(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前後方向に延びた水平枠の前後両端から前後の枠が垂設された略門形をなす支持枠が所定間隔を開けて複数並設され、各支持枠における前枠と後枠の各下端が、方形状をなす本体枠の前縁と後縁とにそれぞれ固定されてなるラックが具備され、
このラックが、断熱扉を前面開口に開閉可能に装着した断熱性の凍結庫本体の庫内に複数段に亘って装着され、
二つ折りされたシート状の蓄冷剤が、前記ラックの前記支持枠における前記水平枠の前端部に掛けられて前記水平枠に沿って押し込まれることで、前記水平枠に吊り下げられて支持されるとともに、庫内の天井部に装備された冷気供給装置により冷気が庫内の奥面または前記断熱扉の裏面に沿うように吹き出されて前方または後方に吹き抜けたのち前記断熱扉の裏面または前記庫内の奥面に沿って立ち上るように循環供給されることにより、前記蓄冷剤が凍結されるようにした凍結庫において、
前記ラックは、前記本体枠の後縁が前記庫内の奥面に配された棚受金に、また前記本体枠の前縁が庫内の側面に配された棚受金にそれぞれ掛止されることによって、同ラックの支持枠の前枠と前記断熱扉の裏面との間、及び前記支持枠の後枠と前記庫内の奥面との間に、それぞれ所定のスペースを開けた形態で位置決めされて装着され、
前記支持枠における前記前枠が、二つ折りされたシート状の蓄冷剤を同支持枠の前記水平枠に吊り下げて支持する場合における同蓄冷剤の前端の位置を指示する目印とされていることを特徴とする蓄冷剤凍結庫。
前記ラックの前記支持枠における前記前枠は、前記水平枠の前端から垂下されたのち奥側に屈曲された形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の蓄冷剤凍結庫。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
本発明の一実施形態を
図1ないし
図17によって説明する。
本実施形態に係る蓄冷剤凍結庫10は、
図1及び
図2に示すように、前面開口の縦長の断熱箱体からなる凍結庫本体11を有し、内部が凍結室12とされて、底面の四隅に設けられた脚13で支持されている。凍結室12の前面開口部14には、断熱扉15が一方の縦縁(例えば右側縁)を中心とした揺動開閉可能に装着されている。
凍結庫本体11の上面には機械室16が設けられ、同機械室16内には、圧縮機18、空冷式の凝縮器19等からなる冷凍装置17等が装備されている。
【0013】
凍結室12の天井部の奥側寄りの位置には、ドレンパンを兼ねたダクトパネル20が張られることで冷却器室21が区画形成されており、その底面の手前側の位置には吸込口22が、奥側には吹出口23がそれぞれ形成されている。冷却器室21内には冷却器25が収容され、上記の機械室16内に装備された冷凍装置17と冷媒配管で接続されて冷凍サイクルが構成されているとともに、吸込口22に臨んで庫内ファン26が装着されている。
そして、冷凍装置17を運転しつつ庫内ファン26を駆動すると、詳しくは後記するように、凍結室12の庫内空気が吸込口22から冷却器室21内に吸引され、その空気が冷却器25を流通する間に熱交換によって冷気が生成され、その冷気が吹出口23から凍結室12の奥壁12Aに沿うようにして吹き出され、凍結室12内に冷気が循環供給されるようになっている。
【0014】
凍結室12内には、蓄冷剤がラックに対して整列して支持されて収納されるようになっている。
この実施形態では基本的には、2種類のシート状の蓄冷剤A,Bが適用されるようになっている。第1の蓄冷剤Aは、樹脂シート内にゲル化剤が充填された短冊状をなす蓄冷部材aが4枚連ねられた形状であって、二つ折り可能とされている。以下、第1の蓄冷剤Aをマット状蓄冷剤Aという。
第2の蓄冷剤Bは、同じく樹脂シート内にゲル化剤が充填されて単体の短冊状に形成されている。以下、第2の蓄冷剤Bを短冊状蓄冷剤Bという。この実施形態の短冊状蓄冷剤Bは、上記マット状蓄冷剤Aを構成する蓄冷部材aと比べて、長さと厚さが同じである反面、幅が半分強に留まっている。
【0015】
マット状蓄冷剤Aは、第1のラック40に対して吊り下げられて支持されるようになっている。以下、第1のラック40をハンガーラック40という。
一方、短冊状蓄冷剤Bは、第2のラック50に対して立て掛けられて支持されるようになっている。以下、第2のラック50をスタンドラック50という。
これらのラック40,50を凍結室12内に装着する手段として、凍結室12の奥壁12Aの左右両端部と、左右の側壁12Bにおける前面開口部14から所定寸法入った位置に、合計4本の棚柱30が立てられており、各棚柱30における同じ高さ位置に棚受金32が装着されて、それらのラック40,50が支持されるようになっている。
【0016】
詳細には、棚受金32は、
図15及び
図18に示すように、水平な載置板33の先端から支え板34が斜め下方に折り返された形状であり、かつ載置板33には掛止片35が垂直に切り起こし形成されている。棚受金32は、載置板33と支え板34に設けられた取付爪33A,34Aを、棚柱30に列設された取付孔31の上下2個に亘って嵌めることで装着されるようになっている。
この実施形態では、凍結室12内における上側の略3/4の領域に、ハンガーラック40が3段に亘って装着され、残りの下側の領域に、スタンドラック50が2段に亘って装着されている。なお下側のスタンドラック50は、凍結室12の底面上に直に載せられている。
【0017】
次に、ラックの形状について詳細に説明する。
ハンガーラック40は、
図3ないし
図7に示すように、共に鋼線等の金属線材を素材として形成された本体枠41と、マット状蓄冷剤Aを二つ折りして吊り下げて支持する複数個(図示8個)の支持枠45とから構成されている。
本体枠41は、前縁と左右の側縁とからなる平面門形をなす三方枠42と、後縁枠44とから構成され、三方枠42の左右の側縁の奥端部では、内向きの鈎形に屈曲された被掛止部43が形成されている。後縁枠44は、上記した三方枠42における左右の被掛止部43の折り返し部43Aの間に亘る長さを有し、両端には、折り返し部43Aより所定寸法短い屈曲部44Aが直角曲げされている。三方枠42の両被掛止部43の間には、折り返し部43Aと屈曲部44Aの先端同士を揃えた形態で後縁枠44が差し渡され、溶接により結合されることで本体枠41が形成されている。
本体枠41は、凍結室12の間口にほぼ匹敵する横幅と、同凍結室12の奥行よりも所定寸法小さい奥行寸法を有する平面方形状に形成され、かつ、左右両側縁の奥端に形成された被掛止部43が、後縁枠44よりも所定寸法後方に突出した形状となっている。
【0018】
支持枠45は、前後方向に延びた水平枠46の前後両端に、前枠47と後枠48とを下向きに形成した形状であって、後枠48が直角に下向きに曲げられているのに対して、前枠47は、直角に下向きに曲げられたのち(垂下部47A)、中央高さより少し下方位置から奥側に向けて斜め(45°)に屈曲された(傾斜部47B)形状となっている。
上記した支持枠45は、隣り合う2個の前枠47の下端同士と、後枠48の下端同士がそれぞれ連結枠45Aで連結されることにより、所定間隔を開けて一体的に形成されている。
【0019】
上記した支持枠45の対が4組、各組間に上記した両支持枠45の間隔に等しい間隔を取って左右方向に並べられ、本体枠41における左右の側縁よりも少し内側に入った領域において同本体枠41上に載せられる。詳細には、各支持枠45の対における前側の連結枠45Aが三方枠42の前縁上に載せられ、また後側の連結枠45Aが後縁枠44上に載せられ、それぞれ溶接によって固定されている。
以上により、本体枠41の上面における左右の側縁の少し内側の領域において、図示8個の支持枠45が一定間隔を開けて左右方向に並んで設けられ、かつ、各支持枠45における手前側の一部、すなわち手前側の端縁から前枠47の傾斜部47Bの下端までの奥行領域が、本体枠41の前縁の手前側に突出した形状となる。
【0020】
ここで、支持枠45における水平枠46の前後方向の長さ寸法は、マット状蓄冷剤Aの縦幅の2倍弱であり、水平枠46までの高さ寸法は、マット状蓄冷剤Aの長さの半分強である。
また、各支持枠45における後枠48の内側の面には、同じく金属線材からなる規制枠49が、ほぼ中央高さ位置において全幅に亘って当てられ、溶接により固定されている。
【0021】
次に、スタンドラック50について
図8ないし
図14によって説明する。
スタンドラック50は大まかには、それぞれ鋼線等の金属線材を素材として形成された本体枠51と、複数の支持枠55(図示15個)と、受け枠62とから構成されている。
本体枠51は、前縁と左右の側縁とからなる平面門形をなす三方枠52と、後縁枠54とから構成されている。三方枠52の左右の側縁の奥端部では、内向きの鈎形に屈曲された被掛止部53が形成され、かつ同被掛止部53の折り返し部53Aの先端部が、互いに対向する方向に直角曲げされている(屈曲部53B)。後縁枠54は、本体枠51の左右の側縁の間に亘る長さを有している。後縁枠54は、左右の被掛止部53における屈曲部53Bの内側に当てられた形態で、本体枠51における左右の側縁の奥端部の間に差し渡され、溶接により結合されることで本体枠51が形成されている。
本体枠51は、凍結室12の間口にほぼ匹敵する横幅と、同凍結室12の奥行よりも所定寸法小さい奥行寸法を有する平面方形状に形成され、かつ、左右両側縁の奥端に形成された被掛止部53が、後縁枠54よりも所定寸法後方に突出した形状となっている。
【0022】
支持枠55は、前後方向に延びた水平枠56の前端に前枠57が一体形成された形状であり、水平枠56の長さ方向の中央部における所定長さ領域には、所定深さを有する方形状の凹陥部58が形成されている。前枠57は、水平枠56の前縁から凹陥部58の深さ寸法だけ垂下したのち、その下端部が奥側に直角曲げされた(屈曲部57A)形状となっている。
上記の支持枠55は、一定間隔を開けて左右方向に並んで配されるが、各支持枠55の水平枠56の後端を連結する連結枠59が設けられている。連結枠59は、本体枠51の左右の側縁の間に亘る長さを有する一方、両端にはL字形をなす脚枠60が互いに向き合う姿勢で形成されている。
【0023】
上記のように15個の支持枠55が所定間隔を開けて並んで配され、各水平枠56の後端の下面側に連結枠59が当てられて溶接により固定されることで、15個の支持枠55が仮組みされる。このような仮組みされた支持枠55が本体枠51上に載せられ、各支持枠55における前枠57の屈曲部57Aの先端が、本体枠51の前縁の上面に当てられて溶接により固定される。このとき、連結枠59の両端の脚枠60が、本体枠51の左右の奥端部に形成された被掛止部53の突出端の少し手前側に対応するため、同脚枠60の下辺が被掛止部53に載せられて溶接で固定される。
【0024】
また、本体枠51の左右の側縁の間に亘るようにして、4本の受け枠62が設けられる。前側の2本の受け枠62は、本体枠51の前縁から少し奥に入った位置と、凹陥部58の前縁寄りの位置とにそれぞれ配されて溶接で固定される。後側の2本の受け枠62は、凹陥部58の後縁寄りの位置と、同位置と後縁枠54との中間位置とにそれぞれ配されて、同じく溶接で固定される。
【0025】
以上により、本体枠51の上面における左右の側縁の少し内側の領域において、図示15個の支持枠55が一定間隔を開けて左右方向に並んで設けられ、かつ、各支持枠55における手前側の一部、すなわち手前側の端縁から前枠57の屈曲部57Aの先端までの奥行領域が、本体枠51の前縁の手前側に突出し、また、本体枠51の左右の奥端部に形成された被掛止部53の突出端側の所定領域が連結枠59並びにその脚枠60の位置から奥側に突出した形態となる。また、手前側と奥側に分かれた各領域において、それぞれ2本ずつの受け枠62が設けられる。
ここで、支持枠55における水平枠56の前後方向の長さ寸法は、短冊状蓄冷剤Bの長さの2倍弱であり、水平枠56までの高さ寸法は、短冊状蓄冷剤Bの幅よりも少し小さい寸法である。また、前側の2本の受け枠62の間隔は、短冊状蓄冷剤Bの長さの6割程度であり、後側の2本の受け枠62の間隔は、前側の間隔の2/3程度である。
【0026】
短冊状蓄冷剤Bは、奥側の領域では、後側の2本の受け枠62並びに後縁枠54で受けられつつ、隣り合う支持枠55における凹陥部58よりも奥側の部分の間に立て掛けられた形態で支持され、一方手前側の領域では、前側の2本の受け枠62並びに本体枠51の前縁で受けられつつ、隣り合う支持枠55における凹陥部58よりも手前側の部分の間に立て掛けられた形態で支持されるようになっている。すなわち、本実施形態のスタンドラック50では、手前側と奥側の二領域において、短冊状蓄冷剤Bを立て掛けた形態で支持し得る支持領域が構成されている。
【0027】
続いて、本実施形態の作用を説明する。
凍結室12内には、上部側にハンガーラック40が3段に亘り、その下方にスタンドラック50が2段に亘って装着される。
ハンガーラック40は、
図15に示すように、奥縁の左右両端部に設けられた被掛止部43が、奥壁12Aの左右の棚柱30に取り付けられた棚受金32に載せられて掛止片35に掛止され、また、本体枠51における前縁の左右の隅部が、左右の側壁12Bの棚柱30に取り付けられた棚受金32に載せられて掛止片35に掛止され、これによりハンガーラック40は前後並びに左右方向に移動不能に位置決めされて装着される。ハンガーラック40は、3段に亘って極力上下方向の間隔を詰めた状態で装着される。
【0028】
このとき、
図17に示すように、上下に並んだハンガーラック40において、下側のハンガーラック40の支持枠45における水平枠46の前端部の上方に、上側のハンガーラック40の前枠47の傾斜部47Bとの間において手前側に広がったスペースSができる。
また、ハンガーラック40の支持枠45における前枠47(垂下部47A)と、閉扉された場合の断熱扉15の裏面との間には、所定(棚柱30の幅程度)のスペースが確保されるとともに、支持枠45の後枠48と奥壁12Aとの間にも、前側と同程度のスペースが確保される。
【0029】
一方、2個のスタンドラック50のうち上側のスタンドラック50は、
図16に示すように、奥縁の左右両端部に設けられた被掛止部53が、奥壁12Aの左右の棚柱30に取り付けられた棚受金32に載せられて掛止片35に掛止され、また、一番前の受け枠62と本体枠51における左右の側縁とが交差した隅部が、左右の側壁12Bの棚柱30に取り付けられた棚受金32に載せられて掛止片35に掛止され、これにより、上側のスタンドラック50は前後並びに左右方向に移動不能に位置決めされて装着される。
このとき、スタンドラック50の支持枠55における前枠57と、閉扉された場合の断熱扉15の裏面との間には、ハンガーラック40側と同程度のスペースが確保されるとともに、奥縁の連結枠59と奥壁12Aとの間にも、同程度のスペースが確保される。
【0030】
下側のスタンドラック50は、凍結室12の底面に直接に載せられる。なお、
図1に示すように、凍結室12の底面には、手前側に向けて下り勾配となった凹面12Cが形成されており、スタンドラック50における本体枠51の前縁が凹面12Cの前縁の内側に嵌って係止されることで、スタンドラック50が手前側へ抜けることが規制されるようになっている。
【0031】
次に、マット状蓄冷剤Aはハンガーラック40に、短冊状蓄冷剤Bはスタンドラック50にそれぞれ支持される。
マット状蓄冷剤Aは下向きに二つ折りされたのち、
図17の矢線に示すように、その折曲部をハンガーラック40における対応する支持枠45の水平枠46の前端部に掛け、同水平枠46に沿って押し込むと、規制枠49に当たったところで押し込みが停止される。これにより二つ折りされたマット状蓄冷剤Aが、支持枠45の奥側の領域において吊り下げられた形態で支持される。
支持枠45の手前側の領域にマット状蓄冷剤Aを支持する場合は、同様に下向きに二つ折りしたのち、同折曲部を対応する支持枠45における水平枠46に掛け、その後縁側を奥側の領域で支持されているマット状蓄冷剤Aの前縁側とオーバラップさせつつ、その前縁が支持枠45の前枠47(垂下部47A)と揃う位置まで押し込むことにより、支持枠45の手前側の領域で吊り下げられた形態で支持される(同図の上段参照)。
【0032】
ここで、特に上から二段目と三段目のハンガーラック40では、上下の間隔が狭いと、二つ折りされたマット状蓄冷剤Aを支持枠45に掛ける作業がし難いと言えるが、この実施形態では、二段目と三段目のハンガーラック40におけるマット状蓄冷剤Aを挿入する部分が、手前側に広がるように口を開けた形態となるから、二つ折りされたマット状蓄冷剤Aを挿入し、ひいては支持枠45の水平枠46に掛ける作業がしやすい。
【0033】
マット状蓄冷剤Aが、上記した要領で、各段のハンガーラック40についてそれぞれ奥側と手前側において吊り下げられた形態で支持された場合、奥側に支持されたマット状蓄冷剤Aの後縁は、規制枠49に当たることでそれ以上奥側に押し込まれることが規制され、言い換えると奥側のマット状蓄冷剤Aの後縁と奥壁12Aとの間には、所定間隔の冷気通路65が確保される。
一方、手前側に支持されたマット状蓄冷剤Aは、その前縁を支持枠45の前枠47の垂下部47Aに揃えた形態で吊り下げ支持されているから、手前側のマット状蓄冷剤Aの前縁と閉扉された断熱扉15の裏面との間にも、所定間隔の冷気通路66が確保されることになる。
【0034】
短冊状蓄冷剤Bをスタンドラック50に支持する場合は、短冊状蓄冷剤Bが断面の長辺側を立てて水平に倒した姿勢とされて、上側のスタンドラック50における隣り合う支持枠55の間に挿入され、その後縁が連結枠59に当たったところで押し込みが停止され、同短冊状蓄冷剤Bは、奥側の領域において、後側の2本の受け枠62並びに後縁枠54で受けられつつ、隣り合う支持枠55における凹陥部58よりも奥側の部分の間に立て掛けられた形態で支持される。
手前側の領域に支持する場合は、短冊状蓄冷剤Bが上記と同じ姿勢において、隣り合う支持枠55の間に挿入され、その後縁側を奥側の領域で支持されている短冊状蓄冷剤Bの前縁側とオーバラップさせつつ、その前縁が支持枠55の前枠57と揃う位置まで押し込まれることにより、同短冊状蓄冷剤Bは、前側の2本の受け枠62並びに本体枠51の前縁で受けられつつ、隣り合う支持枠55における凹陥部58よりも手前側の部分の間に立て掛けられた形態で支持される。
【0035】
下側のスタンドラック50についても、上記と同様に、短冊状蓄冷剤Bが手前側と奥側の領域でそれぞれ立て掛けられた形態で支持される。
このとき、スタンドラック50の奥側の領域に支持された短冊状蓄冷剤Bの後縁と奥壁12Aとの間、並びに手前側の領域に支持された短冊状蓄冷剤Bの前縁と、閉扉された断熱扉15の裏面との間に、上記の冷気通路65,66に繋がる冷気通路が確保される。
【0036】
蓄冷剤A,Bの収納が完了したら、断熱扉15が閉じられたのち冷却運転が開始される。すなわち、冷凍装置17と庫内ファン26とが駆動されると、
図1の矢線に示すように、吸込口22から吸い込まれた庫内空気が冷却器25を通過する間に冷気が生成され、その冷気が吹出口23から奥壁12Aの表面の冷気通路65に向けて吹き出されたのち、各段のラック40,50に支持された蓄冷剤A,Bを通って前方に吹き抜け、そののち断熱扉15の裏面の冷気通路66に沿って立ち上がるように循環供給され、これにより収納された蓄冷剤A,Bが凍結されることになる。
収納された蓄冷剤群の前面側と後面側に冷気通路65,66が確保されているから、冷気が凍結室12内の全域に亘ってスムーズに循環供給され、全蓄冷剤A,Bが均一にかつ高速度で凍結される。
凍結が完了したら、断熱扉15を開けたのち、収納時とは逆の手順によって、蓄冷剤A,Bを対応するラック40,50から引き抜きつつ庫外に取り出せばよい。
【0037】
本実施形態によれば、マット状蓄冷剤Aをハンガーラック40に吊り下げて支持する部分において、ハンガーラック40の後縁側に設けた規制枠49により奥側のマット状蓄冷剤Aのそれ以上の押し込みを規制し、手前側のマット状蓄冷剤Aについては、その前縁を支持枠45の前枠47(垂下部47A)と揃えて吊り下げ支持することにより、一群となったマット状蓄冷剤Aの後面側と前面側とに冷気通路65,66が確保される。そのため、マット状蓄冷剤Aの収納領域の全域に亘ってスムーズに冷気を循環供給することができ、全蓄冷剤Aを均一にかつ高速度で凍結させることができる。
【0038】
二つ折りしたマット状蓄冷剤Aを支持枠45の水平枠46に掛ける場合、マット状蓄冷剤Aを手前側に留め勝ちになるが、支持枠45の前枠47(垂下部47A)を目印として、その目印に前縁を合わせるようにして水平枠46に掛けるといった作業を行うだけで、前面側の冷気通路66を確実に確保できる。
また、奥側では、ハンガーラック40に設けた規制枠49の奥側に冷気通路が確保されることになるが、奥壁12Aに設けられた棚受金32に掛止するべく被掛止部43を、規制枠49よりも奥側に突出させた形態で設けたから、棚柱30並びに棚受金32に既設のものを適用しながら、規制枠49と奥壁12Aとの間隔を広く取れ、すなわち奥面側に広い冷気通路65を確保することができる。
規制枠49は補強材としても機能し、ハンガーラック40の形状保持に寄与することができる。
【0039】
ハンガーラック40の支持枠45における前枠47は、水平枠46の前端から垂下されたのち奥側に屈曲された形状に形成されているから、例えば二つ折りされて水平枠46の手前側に吊り下げられたマット状蓄冷剤Aでは、前側下部において両側に振り分けられた部分の間に前枠47の傾斜部47Bが入り込んだ形態となって隙間が確保され、両側に振り分けられた部分の間に冷気が通りやすくなって、蓄冷剤Aの冷却効果がさらに高められる。
ハンガーラック40は、底面の四隅を棚受金32の掛止片35に嵌めて掛止することで、前後並びに左右方向の移動不能に位置決めされて装着されているから、マット状蓄冷剤Aの出し入れに起因して前後方向に位置ずれすることはない。そのため、マット状蓄冷剤Aを上記のような形態で吊り下げ支持する限り、前後に適正な冷気通路65,66を確保することができる。
【0040】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)冷気の循環方向としては、上記実施形態とは逆に、断熱扉の裏面に沿うように吹き出されて後方に吹き抜けたのち庫内の奥壁に沿って立ち上るように循環供給されるものであってもよい。
(2)上記実施形態では、ハンガーラックの支持枠に対して、マット状蓄冷剤が奥側と手前側の二列に亘って吊り下げ支持される場合を例示したが、同マット状蓄冷剤の大きさによって三列以上に並べたり、一列のみとする場合であってもよい。
【0041】
(3)ハンガーラックに支持されるシート状の蓄冷剤は、短冊状の蓄冷部材を複数個連ねたマット状蓄冷剤に限らず、1枚の大きな蓄冷剤等、要は二つ折りして吊り下げ支持可能な形態のものであればよい。
(4)上記実施形態では、凍結室内にマット状蓄冷剤と短冊状蓄冷剤の両方を収納した場合を例示したが、マット状蓄冷剤のみを複数段に亘って吊り下げ支持する場合においても、本発明は同様に有用である。
(5)ハンガーラックにおける支持枠の前枠が、マット状蓄冷剤を吊り下げる場合の前端の位置を指示する目印であることを際立たせるために、前枠と水平枠とが交差する角部にカラーマーキングを施したり、前枠と水平枠とを別物で形成して、同角部において前枠の上端を水平枠より突出させて目印とするようにしてもよい。