【実施例】
【0014】
実施例の運転方法が実施される製氷機Mは、
図5および
図6に示すように、略箱形をなす筐体10の内部が上下に区画されて、断熱構造をなす貯氷室11が上方に画成されると共に、該貯氷室11の下方に機械室12が画成されている。貯氷室11は、筐体10の前側に配設された開閉扉18の姿勢変位により開閉可能となっており、該貯氷室11の内部上方に、製氷機構Dおよび冷凍機構Eの蒸発器33が配設されている。機械室12には、冷凍機構Eを構成する圧縮機30、凝縮器31および膨張弁32等や、その他の各種機器および部品が配設されている。そして、冷媒検知手段としての冷媒検知センサSが、機械室12の底部に配設されている。また貯氷室11の壁部には、生成された氷塊Iが所定の貯氷量となったことを検知する貯氷スイッチ19が配設されている(
図4、
図9参照)。
【0015】
前記製氷機構Dは、
図5、
図6、
図8および
図9に示すように、下向きに開口した多数の製氷小室20Aが形成された前記製氷部20と、この製氷部20の下方に配設されて該製氷部20の各製氷小室20Aを下方から開閉する水皿21と、水皿21の下部に配設された製氷水タンク22と、これら水皿21および製氷水タンク22を一体的に傾動させる水皿開閉機構23等から構成されている。そして製氷機構Dは、製氷部20の上部において左右方向に水平となるように筐体10に架設された取付部材13に懸架した状態で配設されている(
図7、
図8参照)。前記製氷部20は、各製氷小室20Aを下方に向けた水平状態で取付部材13に固定されている。
【0016】
前記水皿21は、該水皿21の左側端部に取付けた支持アーム24が、取付部材13のブラケット14に支軸15を介して枢支され、該水皿21の右側端部近傍は、該取付部材13に配設した水皿開閉機構23を構成するカムアーム25にコイルスプリング26を介して接続されている。従って水皿21は、前記カムアーム25を開閉モータ27で正逆回転することで、前記製氷部20を閉成するよう上昇して水平となった製氷位置(
図8、
図9に実線で表示)と、該製氷部20を開放するよう下降して右下方に傾斜した除氷位置(
図9に2点鎖線で表示)とに姿勢変位し得る。なお製氷機構Dには、水皿21が製氷位置となったことを検知する第1水皿検知スイッチ40と、水皿21が除氷位置となったことを検知する第2水皿検知スイッチ41が配設されている(
図4参照)。また製氷機構Dは、製氷部20の所要位置に、該製氷部20の温度を検知する製氷部温度センサ42を備えており(
図4、
図9参照)、製氷運転中に該製氷部温度センサ42が予め設定された製氷完了温度を検知すると製氷運転から除氷運転に切り替えられ、除氷運転中に該製氷部温度センサ42が予め設定された除氷完了温度を検知すると除氷運転から製氷運転に切り替わるように制御される。
【0017】
前記製氷水タンク22は、
図6、
図7および
図9に示すように、上方に開口した(水皿21側に開放した)バケット形状の部材であって、水皿21に対して適宜の固定部材で固定され、該水皿21の傾動変位に伴って一体に傾動するよう構成されている。製氷水タンク22は、水皿21が閉成位置に臨む姿勢においては、給水弁29の開放により外部水道源から供給された所定量の製氷水を貯留することができ、水皿21が開放位置に臨む場合は貯留していた製氷水をドレンパン16へ放出するよう構成されている。また、製氷水タンク22の最深部である左側前壁には、該製氷水タンク22内に貯留された製氷水を、前記水皿21に設けた噴射孔を介して製氷部20の各製氷小室20Aへ噴射供給する製氷水ポンプ28が配設されている。なお製氷水タンク22は、水皿21が前記除氷位置に傾動して製氷部20から下方へ離間することで、該製氷水タンク22の内部が貯氷室11内に開放する。
【0018】
前記冷凍機構Eは、
図5、
図6および
図9に示すように、機械室12内に配設された圧縮機30と、冷却ファン34が装備されて強制空冷される凝縮器31と、膨張弁32と、前記貯氷室11内において製氷機構Dの製氷部20の上面に蛇行状に配設された蒸発器33とを備え、これら圧縮機30、凝縮器31、膨張弁32および蒸発器33が連結管35により直列に連結されて、可燃性ガスからなる冷媒が循環する冷凍回路が構成されている。すなわち、圧縮機30の出口部と凝縮器31の入口部とが第1連結管35Aで連結され、凝縮器31の出口部と膨張弁32の入口部とが第2連結管35Bで連結され、膨張弁32の出口部と蒸発器33の入口部とが第3連結管35Cで連結され、蒸発器33の出口部と前記圧縮機30の入口部とが第4連結管35Dで連結されている。また、第1連結管35Aの中途に接続されると共に第3連結管35Cの中途に接続された第5連結管35Eが設けられ、該第5連結管35Eの中途に配設された前記ホットガス弁36を開いた状態に制御することで、圧縮機30で圧縮された加熱状態の冷媒(ホットガス)が該第5連結管35Eを介して蒸発器33へ直接供給し得るようになっている。
【0019】
前記冷媒は、冷蔵庫や製氷機に広く使用されつつあるHC(ハイドロカーボン)冷媒であって、例えばプロパン(R290)やイソブタン(R600a)等の可燃性ガスからなる。この冷媒は、空気より比重が大きく、万一、冷凍機構Eを構成する前記圧縮機30、凝縮器31、膨張弁32、蒸発器33や、連結管35(第1連結管35A〜第5連結管35E)、またはこれら各機器と連結管35との連結部分等から漏出した場合には、製氷機M内の下方に位置する前記機械室12へ移動する。なお、冷媒の各種物性等の説明は省略する。
【0020】
前記機械室12内に配設された膨張弁32と前記貯氷室11内に配設された蒸発器33とを連結する第3連結管35Cと、該蒸発器33と機械室12内に配設された前記圧縮機30とを連結する第4連結管35Dは、
図5に示すように、筐体10の背面に画成された配管空間(連通空間)45内に沿って配設されている。前記配管空間45は、
図6に示すように、上下に長尺で筐体10側に開口した半樋状のカバー部材46を該筐体10の背面に取付けることで、筐体10の背面に垂直に画成されている。また配管空間45は、
図5に示すように、筐体10の上部(貯氷室11の後壁上部)に形成された第1連通部47を介して貯氷室11内と空間的に連通していると共に、該筐体10の上下方向中央から下方に形成された第2挿通部48を介して機械室12内と空間的に連通している。そして、前記第1連通部47、配管空間45および第2挿通部48は、前記第3連結管35Cおよび第4連結管35Dに巻かれた断熱材37との間に、冷媒の流通が許容される隙間Gが画成される形状、サイズに形成されている。
【0021】
なお、第1連通部47を貯氷室11の後壁上部に設けたのは次のような理由からである。理由1として、
図9に示すように、貯氷室11内には製氷機構Dで生成された氷塊Iが満杯に貯留されると、該貯氷室11の底部に第1連通部47を設けた場合には、該氷塊Iで該第1連通部47が塞がれて冷媒を適切に排出できなくなるおそれがある。理由2として、貯氷室11では常に融解水が発生するため、該貯氷室11の底部に第1連通部47を設けた場合には、該融解水が該第1連通部47内へ流入するおそれがある。理由3として、製氷機Mに配設される冷凍機構Eは、家庭用の冷蔵庫や空調機等に比べて冷媒の充填量が多く、かつ貯氷室11の内部容積が家庭用の冷蔵庫や空調機等に比べて貯氷室11の内部容積が小さいので、漏出した冷媒が該貯氷室11の内部全体に比較的短時間で充満するようになり、漏出した冷媒は貯氷室11の後壁上部に設けた第1連通部47からも十分に排出され得る。また、貯氷室11の後壁上部は蒸発器33に近接しているから、該後壁上部に設けた第1連通部47には該蒸発器33から漏出した冷媒が流入し易くなっている。
【0022】
すなわち実施例の製氷機Mは、例えば前記第3連結管35Cまたは第4連結管35Dの途中に亀裂や孔が形成されて該亀裂や孔から冷媒が漏出した場合には、該冷媒が配管空間45内を下方へ移動して第2挿通部48を介して機械室12内へ移動し得るように構成されている。また実施例の製氷機Mは、蒸発器33の途中に亀裂や孔が形成されて該亀裂や孔から冷媒が貯氷室11内に漏出した場合や、蒸発器33と第3連結管35Cとの連結部または該蒸発器33と第4連結管35Dとの連結部から冷媒が貯氷室11内へ漏出した場合に、該冷媒は、前記第1連通部47、配管空間45および第2挿通部48を介して機械室12内へ移動し得るように構成されている。
【0023】
実施例の製氷機Mは、前述したように、貯氷室11と機械室12とが配管空間45で連通した構成としたことで、
図5および
図6に示すように、機械室12内において、前記第2挿通部48の略真下に、前記冷媒を検知可能な冷媒検知センサSが1つだけ配設されている。この冷媒検知センサSは、例えば感ガス素子として酸化第二スズ(SnO
2)を主体とする材料に、ヒータコイルおよび電極リード線を埋設した酸化スズ半導体タイプであって、プロパンやイソブタンからなる冷媒を適切に検知することが可能である。そして冷媒検知センサSは、当該製氷機Mを制御する制御手段C(
図4参照)に電気的に接続されて、冷媒の検知時には該制御手段Cへ検知信号を送信し得るようになっており、これら冷媒検知センサSおよび制御手段Cにより冷媒の検知手段が構成されている。従って冷媒検知センサSは、圧縮機30、凝縮器31、膨張弁32、第1連結管35Aおよび第2連結管35Bから機械室12内へ直接漏出した冷媒を適切に検知し得ると共に、前述したように、凝縮器31、第3連結管35Cおよび第4連結管35Dから漏出して機械室12へ移動した冷媒も適切に検知し得る。なお冷媒検知センサSは、例えば冷媒の濃度が0.15%以上になると検知信号を送信し、冷媒の濃度が0.15%より小さくなると検知信号の送信を解除するようになっている。
【0024】
また前記冷媒検知センサSは、自己診断機能を備えていて常に自己の故障判定を行ない得るようになっており、例えば長期使用による劣化や破損等により使用中に故障が発生した場合には、前記制御手段Cに対して故障信号を送信するようになっている。従って、製氷機Mの制御手段Cは、製氷機構Dの製氷運転中または除氷運転中であっても、冷媒検知センサSの故障を即座に認識可能となっている。なお各冷媒検知センサSは、故障が一時的で正常に復帰した場合に自動復帰すると共に、前記制御手段Cへの前記故障信号の送信を自動停止し得る。
【0025】
前記制御手段Cは、
図4に示すように、製氷機Mを総合的に制御するものであり、前記冷媒検知センサSから検知信号や故障信号が入力され、前記製氷部温度センサ42、第1水皿検知スイッチ40、第2水皿検知スイッチ41および貯氷スイッチ19等から検知信号が入力されると共に、図示省略した各種測定手段や検知手段等から検知信号や検知信号等が入力される。また制御手段Cは、各種入力信号および図示しないコントロールパネルから入力された各種設定等に基づき、冷凍機構Eの圧縮機30、冷却ファン34およびホットガス弁36、製氷機構Dの開閉モータ27、給水弁29およぴ製氷水ポンプ28等を制御する。また実施例の製氷機Mは、冷媒の漏出を警告する漏出警告ランプ(警告手段)50を備えており、前記制御手段Cにより点灯制御される。
【0026】
次に、前述のように構成された製氷機Mにおける運転方法について説明する。
図1は、実施例に係る製氷機の運転方法を示すフローチャートである。実施例の運転方法では、次の表1に示すように、起動中の運転モードとして、「通常モード」と、「セーフホールドモード」とが設定されており、該製氷機Mの状態に応じて運転モードが自動的に切り替わるようになっている。
【0027】
【表1】
【0028】
前記「通常モード」は、冷凍機構Eからの冷媒の漏出が発生していない正常時に実行される運転モードであり、所定の運転プログラムに従って通常の製氷運転および除氷運転が実行される。この通常モードでは、
図2に示すように、製氷運転中においては、凝縮器31の冷却ファン34がON制御されて作動し、除氷運転中においては、ホットガス弁36が開放されている間だけ冷却ファン34がOFF制御されて停止する。
【0029】
前記「セーフホールドモード」は、前記冷凍機構Eから漏出した冷媒を前記冷媒検知センサSが検知して、該冷媒検知センサSからの検知信号が制御手段Cに送信された際に、冷媒が漏出していることを確認した際に実行される運転モードである。このセーフホールドモードにおいて制御手段Cは、
図3に示すように、(1)製氷機構Dの製氷運転を停止する、(2)前記凝縮器31の冷却ファン34を連続ON制御して連続作動する、(3)前記水皿21を前記除氷位置に姿勢変位させる、(4)検知信号の受信後から所定の遅延時間Tの経過後に冷媒の漏出を警告する漏出警告ランプ(警告手段)50を点灯する、等の制御を行なうようになっている。従って、凝縮器31の冷却ファン34が連続作動することで機械室12の空気を攪拌して、該機械室12内へ流入した冷媒を、拡散させると共に筐体10に設けた通気孔17を介して機外へ放出させるので、機械室12内に該冷媒が充満して濃度が上昇することを防止する。なお、貯氷室11に漏出した冷媒は、前記配管空間45を介して機械室12へ移動した後に、通気孔17を介して機外へ放出されるが、開閉扉18を開放することで機外へ放出することも可能である。また、水皿21が除氷位置に変位して停止することで、製氷水タンク22の内部が貯氷室11内に開放するようになり、該製氷水タンク22内に漏出した冷媒が貯氷室11内へ移動することが許容される。
【0030】
前記遅延時間Tは、前記水皿開閉機構23の作動により、前記水皿21が製氷位置から除氷位置へ姿勢変位するのに要する時間より長く設定されている。これにより、製氷機構Dの製氷運転中に、制御手段Cが冷媒検知センサSからの検知信号を受信した場合でも、水皿21が製氷位置から除氷位置へ姿勢変位して停止した後に、前記漏出警告ランプ50が点灯して冷媒の漏出を管理者に警告する。従って、漏出警告ランプ50が点灯した直後に管理者が主電源をOFFにしても、水皿21が製氷位置または該製氷位置と除氷位置との間に停止することが回避され、製氷水タンク22内に漏出した冷媒が該製氷水タンク22内に停留することが防止される。
【0031】
また、前記セーフホールドモードにおいて、前記冷却ファン34を連続作動させる場合における該冷却ファン34の回転数は、通常モードでの製氷運転時の回転数より高くなるように設定されている。これにより、セーフホールドモードにおいては、冷却ファン34が高速で回転して機械室12内の空気を勢いよく攪拌するから、冷凍機構Eから機械室12内へ漏出した冷媒を効率よく拡散させ得る。
【0032】
(実施例の作用)
実施例の製氷機の運転方法では、
図1および
図2に示すように、主電源を投入して製氷機の運転を開始すると、先ず起動初期運転を実行することで製氷機構Dおよび冷凍機構Eに係る所定の初期作動が行なわれ(ステップS10)、該起動初期運転が完了すると、通常モードによる製氷運転が開始され(ステップS11)、製氷機構Dおよび冷凍機構Eが通常に作動する。
【0033】
そして、通常モードの製氷運転中では、冷媒検知センサSが冷媒の検知信号を送信したか否かを制御手段Cが確認し(ステップS12)、検知信号が送信されていない場合には、製氷機構Dにおける製氷が完了したか否かを確認し(ステップS13)、製氷が完了していなければステップS12に戻って、再びステップS12およびステップS13を実行する。すなわち製氷運転中は、常に冷媒検知センサSからの検知信号の送信を確認する。なお製氷の完了は、前記製氷部温度センサ42により、製氷部20が予め設定された製氷完了温度に低下したことを以て判断する。
【0034】
製氷運転中に冷媒検知センサSから検知信号の送信がなされることなく前記ステップS13において製氷が完了した場合には、製氷運転を完了して除氷運転を開始する(ステップS14)。通常モードの除氷運転中では、冷媒検知センサSが冷媒の検知信号を送信したか否かを制御手段Cが確認し(ステップS15)、検知信号が送信されていない場合には、製氷機構Dにおける除氷が完了したか否かを確認し(ステップS16)、除氷が完了していなければステップS15に戻って、再びステップS15およびステップS16を実行する。すなわち除氷運転中は、常に冷媒検知センサSからの検知信号の送信を確認する。なお除氷の完了は、前記製氷部温度センサ42により、製氷部20が予め設定された除氷完了温度に上昇したことを以て判断する。
【0035】
すなわち通常モードにおいては、常に冷媒検知センサSからの検知信号の送信を確認しながら製氷運転および除氷運転を実行する。そして、冷媒検知センサSからの検知信号の送信がなければ、貯氷室11内の所定量の氷塊Iが貯氷されたことを貯氷スイッチ19が検知されるまで、製氷運転および除氷運転が繰り返される。
【0036】
そして、実施例の運転方法では、
図1および
図3に示すように、通常モードにおいてステップS12およびステップS13を繰り返す製氷運転中に、冷媒検知センサSが漏出した冷媒を検知して検知信号を制御手段Cに送信した場合には、該制御手段CはステップS12において該検知信号を検知して、運転モードを通常モードからセーフホールドモードに切り替える。これにより制御手段Cは、冷却ファン34を連続作動させると共に製氷機構Dの製氷運転を停止し(ステップS17)、水皿21を製氷位置から除氷位置へ姿勢変位する制御を行なう(ステップS18)。更に制御手段Cは、前記遅延時間Tが経過するのを確認したら(ステップS19)、漏出警告ランプ50を点灯させた後(ステップS20)、冷却ファン34は連続作動させた状態で製氷機Mの運転を停止する(ステップS21)。すなわち製氷機Mは、セーフホールドモードに切り替わって製氷機機構Dにおける製氷運転が停止しても、製氷水タンク22内に漏出した冷媒を貯氷室11内へ移動させると共に該貯氷室11内の冷媒を機械室12へ移動させ、冷却ファン34が連続作動して機械室12内に冷媒が停留することを防止する。
【0037】
また、実施例の運転方法では、
図1に示すように、通常モードにおいてステップS15およびステップS16を繰り返す除氷運転中に、冷媒検知センサSが漏出した冷媒を検知して検知信号を制御手段Cに送信した場合には、該制御手段CはステップS15において該検知信号を検知して、運転モードを通常モードからセーフホールドモードに切り替える。これにより制御手段Cは、冷却ファン34を連続作動させると共に製氷機構Dの除氷運転を停止し(ステップS22)、水皿21を除氷位置へ姿勢変位する制御を行なう(ステップS18)。従って、除氷運転に際して、水皿21が除氷位置にある場合は勿論、該水皿21が製氷位置から除氷位置へ移動する途中および該水皿21が除氷位置から製氷位置へ移動する途中であっても、水皿21は除氷位置に姿勢変位する。更に制御手段Cは、前記遅延時間Tが経過するのを確認したら(ステップS19)、漏出警告ランプ50を点灯させた後(ステップS20)、冷却ファン34は連続作動させた状態で製氷機Mの運転を停止する(ステップS21)。すなわち製氷機Mは、セーフホールドモードに切り替わって製氷機構Dにおける除氷運転が停止しても、製氷水タンク22内に漏出した冷媒を貯氷室11内へ移動させると共に該貯氷室11内の冷媒を機械室12へ移動させ、冷却ファン34が連続作動して機械室12内に冷媒が停留することを防止する。
【0038】
従って、実施例の製氷機の運転方法では、冷凍機構Eから冷媒が機械室12へ漏出して運転モードが通常モードからセーフホールドモードに切り替わる場合に、製氷運転中および除氷運転中の何れにあっても、水皿21が除氷位置に保持された状態で製氷機Mの運転が停止するから、該冷媒が製氷水タンク22内に危険な濃度まで充満するのを防止することができ、当該製氷機Mの安全性を確保し得る。また、セーフホールドモードに切り替わると、冷却ファン34が連続作動して冷媒を機械室12内において拡散させると共に機外へ放出するから、該冷媒が機械室12内に危険な濃度まで充満するのを防止することができ、当該製氷機Mの安全性を確保し得る。
【0039】
更に、冷却ファン34を通常の製氷運転時よりも高速で作動させるので、漏出した冷媒を適切に拡散させることができる。また、漏出警告ランプ50が点灯することで、製氷機Mの管理者は、当該製氷機Mに冷媒の漏出が発生したことを早期に確認することができ、冷凍機構Eの修理または交換を迅速に行なうことを可能とする。また、漏出警告ランプ50の点灯は、冷媒検知センサSからの検知信号の受信から待機時間Tの経過後で水皿21が除氷位置に停止した後であるから、該漏出警告ランプ50の点灯直後に管理者が製氷機Mの主電源をOFFにしたとしても、水皿21が除氷位置に停止しているから製氷水タンク22内に冷媒が停留することが防止される。
【0040】
(変更例)
(1)実施例では、1つの冷媒検知センサSを備えた製氷機Mの運転方法を説明したが、本願発明に係る製氷機の運転方法は、
図7に示した2つの冷媒検知センサSを備えた製氷機Mや3つ以上の冷媒検知センサSを備えた製氷機にも好適に実施可能である。このように複数の冷媒検知センサSを備えた製氷機Mでは、少なくとも1つの冷媒検知センサSが冷媒を検知して検知信号を送信した場合は前記セーフホールドモードに切り替えるように制御される。
(2)冷媒検知手段は、実施例に例示した酸化スズ半導体タイプに限定されず、冷媒として使用される可燃性ガスを適切に検知し得るものであればよい。
(3)冷凍機構Eからの冷媒の漏出を警告する警告手段は、実施例のランプに限定されず、ブザーやアラーム、パソコンや携帯端末等に発信される電子メール等であってもよい。
(4)実施例では、機械室が下部に配設された噴射式の製氷機を例示したが、該機械室が貯氷室の上部に配設された製氷機や、該機械室が該貯氷室の左右または後に配設された製氷機も対象とされる。
(5)実施例では、噴射式の製氷機を例示したが、本願発明が対象とする製氷機は、可燃性ガスからなる冷媒を使用した冷凍機構を有する全ての製氷機である。