(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を
図1ないし
図5によって説明する。
本実施形態の冷却貯蔵庫は、プレハブ冷蔵庫10に適用した場合を例示している。
まず、
図1を用いて、プレハブ冷蔵庫10の全体構成を説明する。プレハブ冷蔵庫10は複数枚の断熱性のパネルを組み立てることで方形の箱形に形成された冷蔵庫本体11を備えており、その内部は貯蔵物を収容可能な貯蔵庫12とされている。図示はしないが、冷蔵庫本体11の壁面には、貯蔵物の出入れが可能な出入口が開口形成され、その出入口を覆うように、断熱扉が装着されている。
【0016】
この冷蔵庫本体11内外に跨って、冷却装置20が配置されている。冷却装置20は、所謂冷凍サイクルからなり、圧縮機21、凝縮器ファン22Aを備えた凝縮器22、レシーバ(受液器)23、ドライヤ24、膨張弁25、冷却器(蒸発器)26等が冷媒配管27によって循環接続され、このうち膨張弁25、冷却器26が貯蔵庫内12に設置された室内機13に、残りが冷蔵庫本体11外に設置された室外機14に収容されている。この冷却装置20は、冷媒配管27内の冷媒を圧縮機21で圧縮し、凝縮器22で放熱させ、冷却器26で蒸発させることに冷却作用を生じさせる周知の構成である。なお、冷却装置20には、圧縮機21の吸入側及び吐出側の冷媒圧力を測定し、所定範囲を超える異常圧力を検出した場合に冷却装置20を強制的に停止させる圧力スイッチ28が設けられている。
【0017】
室内機13は、冷却器26等を収容するケーシング15を備えており、吸込口15Aと吹出口15Bとが対向状に開口形成されている。ケーシング15外側における吸込口15A付近には、貯蔵庫12内の温度である庫内温度tを検知する庫内サーミスタ16が取り付けられている。一方、ケーシング15内において、吹出口15B側には、冷却器26とファンモータ29Aを備えた庫内ファン29とが配置されている。冷却器26は、図示はしないが、冷却管の外表面に平板状のフィンが複数並列配置された構成をなしており、そのフィン間に差し込むようにしてフィンに接触した状態で取り付けられる冷却器サーミスタ17が設けられている。この冷却器サーミスタ17は、冷却器温度t
eを検知する。
【0018】
貯蔵庫12内の庫内空気は、
図1の矢印で示すように、庫内ファン29によって吸込口15Aからケーシング15内へと吸い込まれ、その庫内空気は冷却器26により熱交換が行われることで冷却され、その後吹出口15Bより貯蔵庫12内へと吹き出されることで、貯蔵庫12内に冷却された庫内空気が循環供給されるようになっている。
【0019】
さて、圧縮機21及び庫内ファン29を制御するものとして、マイクロコンピュータを備えた運転制御部30が設けられている(
図2参照)。この運転制御部30の入力側には、貯蔵庫12内の庫内温度tを検出する庫内サーミスタ16と、冷却器温度t
eを検出する冷却器サーミスタ17、除霜周期時間T
dをカウントする除霜周期タイマ40が接続されている。同出力側には、圧縮機21及び庫内ファン29が接続されている。運転制御部30には、貯蔵庫12内を予め設定された設定温度t
s付近に維持する冷却運転を制御する冷却運転制御部31と、所定の除霜周期T
d毎に貯蔵庫12内を冷却する事前冷却運転、続いて冷却器26の着霜を除去する除霜運転を制御する除霜運転制御部32とが具備されている。
【0020】
冷却運転制御部31には、予め設定された設定温度t
sに基づいて算出された設定温度t
sよりも所定温度高いON温度t
(ON)と、設定温度t
sよりも所定温度低いOFF温度t
(OFF)とが記憶されている。冷却運転制御部31は、庫内サーミスタ16からの信号を読み取り、その入力値である庫内温度tとON温度t
(ON)及びOFF温度t
(OFF)とを比較する。庫内温度tがON温度t
(ON)を上回る場合には、圧縮機21の運転が開始(又は運転状態が継続)され、庫内温度tがOFF温度t
(OFF)を下回る場合には、圧縮機21の運転が停止(又は停止状態が継続)される。即ち、冷却運転制御部31から庫内温度tとON/OFF温度t
(ON)、t
(OFF)との比較結果に基づいて、運転指示又は運転停止指示の信号が圧縮機21に出力される。一方、庫内ファン29については、詳しい説明は省略するが、冷却運転制御部31により、圧縮機21の運転に同期して運転制御がなされ、圧縮機21停止中には所定の間欠運転又は連続運転がなされるように設定されている。このように、圧縮機21及び庫内ファン29の運転及び停止を繰り返す冷却運転により、貯蔵庫12内の庫内温度tを所望の設定温度t
s付近に維持する構成とされている。
【0021】
続いて、除霜運転制御部32について詳しく説明する。
除霜運転は、所定の除霜周期時間T
d毎に行われ、除霜周期タイマ40によりカウントされた除霜周期時間T
dが経過すると、除霜運転制御部32に除霜運転を指示する信号(除霜開始信号に相当する)が入力される。すると、除霜運転制御部32の温度差算出部33が除霜庫内サーミスタ16及び冷却器サーミスタ17から入力された庫内温度tと冷却器温度t
eから温度差Δtを算出する。温度差算出部33で算出された温度差Δtは、除霜運転強制開始部34に入力され、所定の強制開始基準値t
fsと比較される。温度差Δtが強制開始基準値t
fsを上回る場合には、オフサイクル除霜運転が強制的に開始される。
【0022】
一方、温度差Δtが強制開始基準値t
fsを下回る場合には、その結果が冷却運転状態検知部35へと出力される。冷却運転状態検知部35は、圧縮機21が運転中か停止中かを検出する。そして、圧縮機21が運転中の場合には、そのまま圧縮機21及び庫内ファン29の運転状態が継続され(
図4参照)、圧縮機21が停止中の場合には、圧縮機21及び庫内ファン29の運転が新たに開始され(
図5参照)、事前冷却運転がなされる。この事前冷却運転とは、通常、除霜運転強制開始部34によりオフサイクル除霜運転が強制的に開始されない限りは、オフサイクル除霜運転前に貯蔵庫12内を除霜開始温度t
1(本実施形態ではOFF温度t
(OFF))まで冷やし込む冷却運転のことで、この除霜開始温度に庫内温度tが達すると、続いてオフサイクル除霜運転が開始される。
【0023】
この事前冷却運転中にも、温度差算出部33により庫内温度tと冷却器温度t
eとの温度差Δt
pが算出されており、この温度差Δt
pは除霜運転強制開始部34に入力され、強制開始基準値t
fsと比較される。温度差Δt
pが強制開始基準値t
fsを上回る場合には、直ちに事前冷却運転を終了し、オフサイクル除霜運転が開始される。
【0024】
ここで、オフサイクル除霜運転について説明する。オフサイクル除霜運転は、まず、
図1の冷却器26手前に位置する電磁弁27Aを閉じて冷却器26への冷媒の供給を停止し、そのまましばらく圧縮機21を運転させ続けることで冷却器26内の冷媒を室外機14側(圧縮機21側)へと回収する。その後、圧縮機21の運転を停止させる。一方、庫内ファン29は、オフサイクル除霜運転が開始されてから、運転した状態が継続される。圧縮機21の停止中は、冷却器温度t
eは自然に、又は庫内ファン29の送風によって上昇し冷却器26に生じた霜は溶かされる。これら霜が溶けた除霜水や結露水は図示しないドレンパンを介して貯蔵庫本体11外へと排出されるか、庫内ファン29によって送り込まれた庫内空気と共に、貯蔵庫12内へと水蒸気として戻される。このようにして、冷却器26の除霜がなされ、冷却器温度t
eがON温度t
(ON)より所定値αだけ高い除霜終了温度t
2に達すると、オフサイクル除霜運転は終了される。
【0025】
続いて本実施形態の作用を
図3ないし
図5を用いて説明する。
設定温度t
s付近に庫内温度tを維持する冷却運転中に、除霜周期時間T
dが経過すると(ステップS11で「YES」)、冷却器26への着霜量が多い場合には(ステップS12で「YES」)、直ちにオフサイクル除霜運転が開始される(ステップS13)。冷却器26への着霜量が特に多い場合を除いては(ステップS12で「NO」)、
図4に示すように冷却運転を継続し(ステップS14で「YES」、ステップS15)、圧縮機21が停止している場合には
図5に示すように新たに事前冷却運転が開始される(ステップS14で「NO」、ステップS16)。貯蔵庫12内が除霜開始温度t
1(t
(OFF))まで冷却されると(ステップS17で「YES」)、オフサイクル除霜運転が開始される(ステップS13)。
【0026】
事前冷却運転中に冷却器26への着霜量が多いと判断されると(ステップS17で「NO」、ステップS18で「YES」)、事前冷却運転が強制的に終了され(ステップS19)、オフサイクル除霜運転が開始される(ステップS13)。オフサイクル除霜運転は、冷却器26の除霜が完了したと判断されると(ステップS20で「YES」)、終了する(ステップS21)。そして、このオフサイクル除霜運転が終了すると同時に除霜周期タイマがリセットされて新たに除霜周期時間T
dのカウントが開始される(ステップS10)。このように、除霜周期時間T
d毎に、上記動作が繰り返され、冷却器26への着霜量に応じた除霜運転がなされる。
【0027】
以上説明したように、本実施形態によれば、庫内温度tと冷却器温度t
eとの温度差Δt、Δt
pにより、冷却器26への着霜量を判断し、事前冷却運転の有無、及び長さを調整することができる。詳しく説明すると、庫内温度tと冷却器温度t
eとの温度差Δt、Δt
pが大きいということは、冷却器26への着霜量が多いと推定される。このような状態においては、冷却器26と庫内ファン29によって送られる庫内空気との熱交換効率が悪く、事前冷却運転を行っても貯蔵庫12内の温度tが下がりにくいため、冷却装置20の消費電力に対する庫内温度t上昇抑制効果が芳しくなく、その後の貯蔵庫12内の冷却不良につながる可能性もある。よって除霜運転制御部32は、除霜運転強制開始部34により、事前冷却運転よりもオフサイクル除霜運転を優先して行うことで、冷却器26の除霜を確実に行い、その後の冷却運転における冷却不良を防止することができる。また、冷却器26と庫内空気との熱交換効率が悪いまま無駄に事前冷却運転が行われることを抑制できるから、プレハブ冷蔵庫10全体としての消費電力量を抑えることもできる。
【0028】
一方、庫内温度tと冷却器温度t
eとの温度差Δt、Δt
pが小さいということは、冷却器26への着霜量が少ないと推定される。このような状態においては、冷却器26と庫内空気との熱交換効率が良好で、事前冷却運転による除霜運転中の温度上昇を抑える効果が十分に発揮される場合である。よって、除霜運転制御部32は、通常通り、事前冷却を行った後にオフサイクル除霜運転を行うことで、オフサイクル除霜運転時の庫内温度tの上昇を抑えつつ冷却器26の除霜を確実に行うことができる。このように、冷却器26の着霜量により、庫内冷却と冷却器26の除霜とのバランスを考慮して事前冷却運転及びオフサイクル除霜運転を行うことで、冷却不良及び除霜不良を抑制することができる。
【0029】
また、冷却運転状態検知部35で検知された冷却装置20の運転状態に応じて、冷却運転を継続する、又は新たに事前冷却運転を開始し、庫内温度tが除霜開始温度t
1(t
(OFF))に達したところで当該事前冷却運転が終了されることとした。このため、着霜量が少なく、除霜運転強制開始部34により強制的にオフサイクル除霜運転が開始されない限りは、事前冷却運転開始時の庫内温度tに関係なく、同じ除霜開始温度t
1に達したところで当該事前冷却運転が終了する。よって、上記の場合には、オフサイクル除霜運転開始時の庫内温度tを除霜開始温度t
1を揃えることができるから、オフサイクル除霜にかかる時間及びその間に上昇する温度幅を考慮した除霜開始温度t
1を設定することで、オフサイクル除霜時間中に庫内温度tが上昇して貯蔵物に悪影響を及ぼす等の冷却不良を確実に抑制することができる。
【0030】
また、事前冷却運転を時間単位ではなく、庫内温度tが除霜開始温度t
1に達するまで冷却するものとすることで、その庫内空気を冷却する冷却器温度t
eを一定量下がった状態に揃えることができる。即ち、冷却器26の温度分布はばらつき易く、そのようなばらついた状態で除霜を開始すると、冷却器26に部分的に霜が残ってしまう場合がある。このため、事前冷却運転により冷却器26の温度分布を一定に揃えることで、除霜不良を抑制し、部分的な着霜により起こりうる冷却不良を未然に防止することができる。
【0031】
また、除霜運転制御部32は、冷却器温度t
eが予め設定された除霜終了温度t
2を上回った場合に、オフサイクル除霜運転を終了し、当該オフサイクル除霜運転を時間でなく冷却器温度t
eで管理することで、冷却器26及びその周りの室内機13中の除霜を確実に行い、除霜不良を抑制することができる。
【0032】
以上本発明の実施形態1を示したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば以下のような変形例を含むこともできる。なお、以下の変形例において、上記実施形態と同様の部材には、上記実施形態と同符号を付して説明を省略する。
【0033】
[実施形態1の変形例1]
実施形態1の変形例1について説明する。本変形例は、実施形態1とは、事前冷却運転の長さが一定の事前冷却運転時間に予め決められているところが相違する。つまり、実施形態1では、庫内温度tが除霜開始温度t
1に達した場合、又は除霜運転強制開始部34により冷却器温度t
eと庫内温度tとの温度差Δt
pが強制開始基準値t
fsを上回った場合に事前冷却運転が終了される。これに対して、本変形例では、事前冷却運転が一律の事前冷却運転時間の間、運転されるように制御されているから、除霜運転強制開始部34によっては事前冷却運転が強制的に終了されないような、冷却器26への着霜量がさほど多くない場合であっても、一定の事前冷却運転時間により事前冷却運転が打ち切られる。
【0034】
このような構成は、例えば事前冷却運転中に新たな貯蔵物が貯蔵庫12へと投入された場合に特に有用である。つまり、貯蔵庫12内に新たな熱負荷が加えられることで、冷却器26への着霜以外の要素で、庫内温度tが除霜開始温度t
1になかなか達しないような場合である。このような場合に、本変形例のように、一定の事前冷却運転時間で事前冷却運転を終了するものとすれば、所定時間毎に確実にオフサイクル除霜運転を行うことができる。よって、このように事前冷却運転を時間で制御するものであっても、除霜不良を抑制するのに有効である。
【0035】
[実施形態1の変形例2]
次に、実施形態1の変形例2について説明する。本変形例は、実施形態1とは、除霜周期タイマ40による除霜周期時間T
dのカウント開始が、オフサイクル除霜運転終了(
図3のステップS21、ステップS10参照)に連動しないところが相違する。つまり、
図3に示した除霜運転制御動作とは別に、オフサイクル除霜運転の終了とは関係なく除霜周期時間をカウントする除霜周期タイマが設けられており、所定の除霜周期時間毎に除霜運転を指示する信号が除霜運転制御部へと出力される構成である。
【0036】
このような構成によれば、各回の事前冷却運転時間とオフサイクル除霜運転時間とを足し合わせた除霜運転時間に関係なく、所定の時間ごとに確実に除霜運転を行うことができる。
【0037】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を
図6及び
図7によって説明する。
本実施形態は、実施形態1とは、オフサイクル除霜運転が所定の制限時間T
r、継続運転された場合に、冷却器26を除霜ヒータにより加熱する加熱除霜運転に切り替えるところが相違する。他の構成については実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0038】
冷却器26には、図示しない例えばシーズヒータからなる除霜ヒータが装着されている。除霜運転制御部32には、ヒータ制御部が設けられており、このヒータ制御部は、
図7に示すように、オフサイクル除霜運転開始から制限時間T
r後、オフサイクル除霜運転が継続運転されていた場合に、オフサイクル除霜運転を終了して、ヒータ除霜運転に切り替える。なお、オフサイクル除霜運転開始からの制限時間T
rは、ヒータ切替タイマによりカウントするものとする。
【0039】
ヒータ除霜運転は、
図7に示すように圧縮機21及び庫内ファン29を停止した状態で、除霜ヒータに通電して冷却器26を加熱することによって行われる。霜が溶けた除霜水は図示しないドレンパンを介して貯蔵庫本体11外へと排出される。このようにして、冷却器26の除霜がなされ、冷却器温度t
eが除霜終了温度t
2よりも所定値βだけ高いヒータ終了温度t
3に達すると、除霜が終了したと見なされ、まず除霜ヒータへの通電が遮断され、所定の水切り時間を経たのち、圧縮機21及び庫内ファン29が駆動されて、冷却運転が再開される。
【0040】
続いて、本実施形態の作用について説明する。
冷却運転中に、除霜周期時間T
dが経過すると(ステップS31で「YES」)、実施形態1と同様に着霜量に応じて、オフサイクル除霜運転か(ステップS32で「YES」、ステップS33)、冷却運転の継続か(ステップS32で「NO」、ステップS34で「YES」、ステップS35)、新たに事前冷却運転を開始するか(ステップS32で「NO」、ステップS34で「NO」、ステップS36)、事前冷却運転からオフサイクル除霜運転に切り替えるか(ステップS37で「YES」、ステップS33)が決定される。オフサイクル除霜運転の継続時間が、制限時間T
rに達すると(ステップS40で「YES」)、冷却器26への着霜量が多いと判断されて、オフサイクル除霜運転が終了され、ヒータ除霜運転が開始される(ステップS41)。オフサイクル除霜運転、又はオフサイクル除霜運転とヒータ除霜運転の組み合わせにより、冷却器26の除霜が終了したと判断されると(ステップS43で「YES」、又はステップS42で「YES」)、これら除霜運転は終了する(ステップS44)。そして、除霜運転が終了すると同時に除霜周期タイマがリセットされて新たに除霜周期時間T
dのカウントが開始される(ステップS30)。このように、除霜周期時間T
d毎に、上記動作が繰り返され、冷却器26への着霜量に応じた除霜運転がなされる。
【0041】
このように、オフサイクル除霜運転にヒータ除霜運転を組み合わせることにより、冷却器26への着霜量が特段多い場合であっても、除霜にかかる時間を抑えることができ、除霜中の庫内温度t上昇による貯蔵庫12内の貯蔵物への悪影響を及ぼす等の冷却不良を抑制できる。また、加熱除霜を行うことで、その周囲の室内機14を含めて確実な除霜を行うことができるから、更に除霜不良を抑制可能である。なお、本実施形態の一態様として、
図7には除霜周期タイマUP時に冷却運転停止中である場合のタイミングチャートを示したが、実施形態1と同様に、除霜周期タイマUP時に冷却運転中である場合には、
図4と同様、冷却運転を継続することにより事前冷却運転が行われるものとする。
【0042】
以上本発明の実施形態2を示したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば以下のような変形例を含むこともできる。なお、以下の変形例において、上記実施形態と同様の部材には、上記実施形態と同符号を付して説明を省略する。
【0043】
[実施形態2の変形例1]
実施形態2の変形例1について説明する。本変形例は、実施形態2とは、オフサイクル除霜運転から制限時間T
r後に切り替えられる加熱除霜運転が除霜ヒータによるものではなく、圧縮機21からのホットガスを冷却器に供給して、除霜するところが相違する。
【0044】
このホットガス除霜運転は、圧縮機21の吐出側から凝縮器22の出口側へバイパスされた管路に設けられた(冷却運転時は閉じされている)電磁弁を開放することにより、圧縮機21からホットガスを冷却器26へと供給することで、冷却器26内部からの発熱により冷却器26の着霜を溶かし、除霜する周知のものである。
【0045】
このように、ヒータ除霜運転の代わりにホットガス除霜運転を行うことによっても、実施形態2と同様に、除霜運転全体の時間を短縮することができ、除霜中の庫内温度上昇による冷却不良を抑制できる。また、圧縮機21からのホットガスを利用することで、除霜ヒータを用いるよりも消費電力量を抑え、省エネルギー化を図ることができる。
【0046】
<関連技術1>
続いて、関連技術1を
図8を用いて説明する。この関連技術1は、実施形態1と同様に、除霜周期時間T
dをカウントする除霜周期タイマ40がUPすると、冷却運転状態検知部35により冷却装置20の運転/停止状態が検知され、冷却運転中の場合には、引き続き冷却運転を、停止中の場合には、新たに事前冷却運転を開始するものである。そして、庫内温度tが除霜開始温度t
1に達すると、継続された冷却運転及び事前冷却運転が終了され、オフサイクル除霜運転が開始される。なお、実施形態1の温度差算出部33、除霜運転強制開始部34は備えないものとする。
【0047】
このような構成によれば、実施形態1と同様に、オフサイクル除霜運転開始時の庫内温度tを除霜開始温度t
1を揃えることができるから、オフサイクル除霜にかかる時間及びその間に上昇する温度幅を考慮した除霜開始温度t
1を設定することで、オフサイクル除霜時間中に庫内温度tが上昇して貯蔵物に悪影響を及ぼす等の冷却不良を抑制することができる。また、事前冷却運転を時間単位ではなく、庫内温度tが除霜開始温度t
1に達するまで冷却するものとすることで、冷却器温度t
eをオフサイクル除霜運転前に一定量下がった状態に揃えることができる。即ち、冷却器26の温度分布はばらつき易く、そのようなばらついた状態で除霜を開始すると、冷却器26に部分的に霜が残ってしまう場合がある。このため、事前冷却運転により冷却器26の温度分布を一定に揃えることで、除霜不良を抑制し、部分的な着霜により起こりうる冷却不良を未然に防止することができる。
【0048】
<関連技術2>
続いて、関連技術2を
図9を用いて説明する。この関連技術2は、実施形態2と同様に、オフサイクル除霜運転が所定の制限時間T
r、継続運転された場合に、冷却器26を除霜ヒータにより加熱する加熱除霜運転に切り替えるものである。なお、実施形態2の温度差算出部33、除霜運転強制開始部34は備えないものとする。
【0049】
このような構成によれば、実施形態2と同様に、オフサイクル除霜運転にヒータ除霜運転を組み合わせることにより、冷却器26への着霜量が特段多い場合であっても、除霜にかかる時間を抑えることができ、除霜中の庫内温度t上昇による貯蔵庫12内の貯蔵物への悪影響を及ぼす等の冷却不良を抑制できる。また、加熱除霜を行うことで、その周囲の室内機14を含めて確実な除霜を行うことができるから、更に除霜不良を抑制可能である。
【0050】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0051】
(1)上記した各実施形態では、冷却運転は圧縮機21の運転・停止を繰り返すことで所望の設定温度t
s付近に維持するものとされていたが、これに限られず、例えば圧縮機の回転速度を可変させて設定温度付近に維持するものであってもよい。また、庫内温度と設定温度との比較に限らず、庫内温度の温度変化率と予め記憶された目標の温度変化率とを比較して、圧縮機の回転速度を増減制御するものであってもよい。
【0052】
(2)上記した各実施形態では、冷却器サーミスタ17は冷却器26のフィン間に接触して冷却器26の表面に取り付けられていたが、これに限られず、例えば冷却器出口側近傍の冷媒配管の温度を検知して、冷却器の温度とするものであってもよい。
【0053】
(3)上記した各実施形態では、除霜運転は、所定の除霜周期時間T
d毎に行われる場合を例示したが、これに限られず、例えば断熱扉が一定回数以上開閉された場合等冷却貯蔵庫の使用状況から霜の付着を判断して除霜開始信号が出力される構成であってもよい。
【0054】
(4)上記した実施形態2において、実施形態1の変形例1と同様に、事前冷却運転の終了を庫内温度tにより制御するのではなく、所定の事前冷却運転時間により制御されていてもよい。また、実施形態1の変形例2と同様に、除霜運転の終了とは関係なく除霜周期時間をカウントする除霜周期タイマが別途設けられており、所定の除霜周期時間毎に除霜運転を指示する信号が除霜運転制御部へと出力される構成であってもよい。このように実施形態2を変更した場合にも、実施形態1の変形例1、又は同変形例2と同様の効果を発揮する。
【0055】
(5)上記した実施形態2では、除霜運転全体を冷却器温度t
eが除霜終了温度t
2又はヒータ終了温度t
3に達した場合に終了していたが、これに限られず、オフサイクル除霜運転及び加熱除霜運転のいずれか、又は両方の運転時間を所定の時間により制御するものであってもよい。制限時間T
rを待たずして加熱除霜運転に切り替えれば、オフサイクル除霜運転と比較して、庫内温度が上昇しやすいという欠点はあるものの、除霜時間を短くすることができ、庫内冷却と冷却器の除霜とのバランスを考慮しつつ、冷却不良及び除霜不良を抑制することは可能である。
【0056】
(6)上記した実施形態2では、オフサイクル除霜運転開始から制限時間T
r経過後、ヒータ切替タイマによりヒータ除霜運転に切り替わる構成とされていたが、これに限られず、例えばオフサイクル除霜運転から、切替スイッチ等により手動でヒータ除霜運転に切替可能なものであってもよい。
【0057】
(7)上記した各実施形態では、冷却貯蔵庫としてプレハブ冷蔵庫を例示したが、本発明はプレハブ冷蔵庫に限定されず、業務用冷蔵庫、同冷凍庫、同冷凍冷蔵庫等、要は除霜運転機能を備えた冷却貯蔵庫全般に適用することができる。