特許第5722188号(P5722188)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5722188
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20150430BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
   A61B1/00 300B
   G02B23/24 A
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-228115(P2011-228115)
(22)【出願日】2011年10月17日
(65)【公開番号】特開2013-85653(P2013-85653A)
(43)【公開日】2013年5月13日
【審査請求日】2014年4月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100159651
【弁理士】
【氏名又は名称】高倉 成男
(74)【代理人】
【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】内藤 公彦
【審査官】 樋熊 政一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−301011(JP,A)
【文献】 特開2010−012172(JP,A)
【文献】 実開昭55−019682(JP,U)
【文献】 特開2007−020951(JP,A)
【文献】 特開平04−347138(JP,A)
【文献】 実開平04−131214(JP,U)
【文献】 国際公開第2005/053517(WO,A1)
【文献】 特開2003−093332(JP,A)
【文献】 特開2009−273570(JP,A)
【文献】 特開2006−026013(JP,A)
【文献】 特開2010−012222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡挿入部の先端開口から基端側へと長手軸方向に延びたチャンネルを有する内視鏡と、
前記チャンネルの基端側から挿通され、前記先端開口まで延設されるワイヤと、
前記内視鏡挿入部の先端に取り付けられるフードと、
前記ワイヤと前記フードとを前記長手軸方向に沿って磁力により互いに連結る磁力連結部と、
枠を有するフレーム本体と、前記ワイヤの基端に連結され前記フレーム本体の内部で移動することにより前記フードを前記長手軸方向に沿って進退させるスライダとを有する操作部と、
を具備し、
前記操作部において前記フレーム本体内での前記スライダの移動量が最大となっているとき、前記磁力連結部は前記フードと前記ワイヤの先端部との連結状態を維持することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
前記磁力連結部は、前記ワイヤに設けられる第1の磁力連結部と、前記フードに設けられる第2の磁力連結部とが磁力により互いに連結して構成されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記第1の磁力連結部と前記第2の磁力連結部との間の磁気結合力は、前記スライダを操作する力よりも常に大きいことを特徴とする請求項2に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記磁力連結部は、前記フードが前記内視鏡挿入部の先端に最も近接した状態において、前記フードと前記ワイヤの先端部との連結状態を維持することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム
【請求項5】
前記フードと前記ワイヤの先端部とは、前記チャンネル内で連結することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記操作部は、前記フードが前記内視鏡挿入部の先端から所定の突出位置まで移動するように、前記ワイヤ移動量を規制することを特徴とする請求項に記載の内視鏡システム。
【請求項7】
前記第1の磁力連結部と前記第2の磁力連結部とのうち、いずれか一方が凸形状であり、他方が前記凸形状と嵌合する凹形状であることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡先端に取り付けられるフード部材などの内視鏡用モジュールを備えた内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
体腔内に挿入してその内部の生体組織を観察したり処置を行ったりするために、硬性鏡や軟性鏡などの医療用内視鏡が広く使用されている。また、このような内視鏡の先端部には、しばしば、内視鏡先端に設けられた光学部材による内視鏡視野を適切な位置で保持するためのフード部材(キャップ)や、生体組織を切開するための切開部材のような処置用部材などの内視鏡用モジュールが取り付けられて、観察や処置等が行われる。
【0003】
例えば、特許文献1には、このような内視鏡用モジュールを有する内視鏡システムが開示されている。この内視鏡システムでは、内視鏡挿入部の先端面から内視鏡中に長手軸方向に形成されたチャンネル内に、先端に雌ねじ部が設けられたワイヤが挿通され、この雌ねじ部が内視鏡用モジュール側の雄ねじ部と螺合により連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−14630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の内視鏡システムでは、内視鏡中に挿通されたワイヤ側と内視鏡先端に取り付けられる内視鏡用モジュール側とにそれぞれ形成された小さな螺合部を把持しながら、これら螺合部を手で螺着しなければならない。このような螺着は、取り扱いにくく、面倒である。
【0006】
そこで、本発明は、内視鏡先端に取り付けられる内視鏡用モジュールを簡単に装着することができる内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、内視鏡挿入部の先端開口から基端側へと長手軸方向に延びたチャンネルを有する内視鏡と、前記チャンネルの基端側から挿通され、前記先端開口まで延設されるワイヤと、前記内視鏡挿入部の先端に取り付けられるフードと、前記ワイヤと前記フードとを前記長手軸方向に沿って磁力により互いに連結る磁力連結部と、枠を有するフレーム本体と、前記ワイヤの基端に連結され前記フレーム本体の内部で移動することにより前記フードを前記長手軸方向に沿って進退させるスライダとを有する操作部と、を具備し、前記操作部において前記フレーム本体内での前記スライダの移動量が最大となっているとき、前記磁力連結部は前記フードと前記ワイヤの先端部との連結状態を維持する内視鏡システムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、内視鏡先端に取り付けられる内視鏡用モジュールを簡単に装着することができる内視鏡システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、内視鏡先端に取り付けられるフードモジュールを含む、本発明の一実施形態の内視鏡システムを示す図である。
図2図2(a)は、フードモジュールを内視鏡先端に取り付けた状態、もしくは進退操作部を手元側に引くことによりフードモジュールを内視鏡基端方向に移動させた状態を示す図であり、図2(b)は、進退操作部を手元側から押すことによりフードモジュールを内視鏡先端方向に移動させた状態を示す図である。
図3図3(a)は、第1及び第2の磁力連結部材の結合面の形状の一態様を示す図であり、図3(b)は、第1及び第2の磁力連結部材の結合面の形状の他の態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の一実施形態の内視鏡システム1を概略的に示す図である。
内視鏡システム1では、内視鏡2は、内視鏡先端側の挿入部3と、内視鏡基端側の操作部4及び端子部5とを有している。内視鏡先端側の挿入部3の内部には、図示しないレンズカバーや対物レンズを含む対物光学系、照明光を照射する照射部、送気・送水ノズルなど、通常の内視鏡が有している構成部が設けられている。なお、図1に示す内視鏡2の径方向をX軸方向、X軸方向と直交する内視鏡2の長手軸方向をY軸方向とする。
【0011】
端子部5には、外部接続ケーブル6、7を介して、光源8及びビデオセンタ9が接続される。内視鏡2による観察、処置等を行う際には、内視鏡先端側の挿入部3に配置された不図示の対物光学系を通って結像された像が撮像部で光電変換され映像信号が生成されて、この映像信号が端子部5から出力される。そして、この映像信号が外部接続ケーブル7を介して伝送されて、ビデオセンタ9で受信される。受信された映像信号は、ビデオセンタ9に接続されたモニタ10に表示される。
【0012】
なお、内視鏡2は、上述したような撮像部を含む電子内視鏡であってもよいし、撮像部を含まない硬性鏡に撮像部を含む別体の装置が接続される構成であってもよい。
【0013】
挿入部3の先端側には、挿入部3の先端面で開口し内視鏡2の内部へと長手軸方向(Y軸方向)に、すなわち基端側へと延びたチャンネル部11が形成されている。チャンネル部11は、図1に破線で示されるように、内視鏡基端側の操作部4中を通って後述する進退操作部18まで延びている。チャンネル部11内には、後述するフードモジュール14を進退させるワイヤ部としての進退ワイヤ12が挿通される。進退ワイヤ12は、チャンネル部11中に挿通されたとき、挿入部3の先端開口まで延設される。
【0014】
進退ワイヤ12の先端には、第1の磁力連結部材13が設けられている。第1の磁力連結部材13は、例えば、磁石であり、エポキシ樹脂系等の接着剤による接着、あるいは他の適切な手段で進退ワイヤ12の先端に結合されている。
【0015】
本実施形態では、挿入部3の先端側には、内視鏡先端を覆う内視鏡用モジュールとしてのフードモジュール14が取り付けられる。フードモジュール14は、例えば、挿入部3の先端に露出している不図示のカバーレンズ又は対物レンズなどの対物光学系と観察又は処置される生体組織との接触を防ぐように内視鏡先端を保護するカバーの役割や、生体組織と内視鏡先端との間隔を一定に保って内視鏡視野を良好に維持するための間隔規制の役割を果す部材である。
【0016】
フードモジュール14は、内視鏡先端側の挿入部3よりもわずかに大きな外径を有する円筒状のフード本体15を有している。フード本体15は、ほぼ透明であり、例えば、シリコーンゴム、ポリカーボネイト、ポリオレフィン、ABS、ポリアミド又はラテックスなどの比較的軽量で硬質な樹脂素材で形成されている。
【0017】
フード本体15の内部で長手軸方向(Y軸方向)内側に、すなわち基端側に延びた突出部16の先端には、第2の磁力連結部材17が設けられている。第2の磁力連結部材17は、第1の磁力連結部材13と同様に、例えば、磁石であり、エポキシ樹脂系等の接着剤による接着、あるいは他の適切な手段で突出部16の先端に結合されている。
【0018】
進退ワイヤ12の先端の第1の磁力連結部材13と、フードモジュール14の突出部16の先端の第2の磁力連結部材17とは、進退ワイヤ12がチャンネル部11内に挿通されたときに進退ワイヤ12とフードモジュール14とを連結するように、チャンネル部11内で内視鏡2の長手軸方向に沿って磁力により互いに結合される1対の磁力連結部を形成する。例えば、第1の磁力連結部材13の先端が磁石のN極(又はS極)、第2の磁力連結部材17の先端が磁石のS極(又はN極)であり、互いに磁気的に吸引する。
【0019】
これら第1及び第2の磁力連結部材13、17は、磁石に限定されるものではなく、磁力により互いに結合可能な部材であればよい。従って、両方が磁石(永久磁石)であってもよいし、一方が磁石、他方が鉄もしくは鉄を含む合金でできた強磁性体のような、磁石に吸引される金属であってもよい。
【0020】
内視鏡基端側の操作部4には、進退ワイヤ12のチャンネル部11内での長手軸方向(Y軸方向)の進退移動を操作し、これにより、フードモジュール14の長手軸方向の進退移動(すなわち、挿入部3の先端面に対する突没運動)を操作する長手軸方向の進退操作部18が設けられている。
【0021】
進退操作部18は、操作部4に取り付けられ突起部20を有する連結部材19と、円柱状のスライダ21と、スライダ21が取り外し可能に組み付けられるフレーム本体22とを有している。連結部材19及び突起部20には、挿入部3及び操作部4中を長手軸方向に延びたチャンネル部11が引き続き延びており、このチャンネル部11が連結部材19中を貫通して、突起部20で開口している。この開口から、チャンネル部11内に進退ワイヤ12を挿入可能である。進退ワイヤ12の基端は、スライダ21に連結されている。
【0022】
一態様では、スライダ21の外面とフレーム本体22の枠内面との一方に雄ねじ部である螺合部23が形成され、他方に雌ねじ部である螺合部24が形成されている。これら螺合部23、24により、スライダ21がフレーム本体22に組み付けられたとき、スライダ21はフレーム本体22に螺着される。そして、スライダ21を把持して径方向に回転させることによって、スライダ21が図1に矢印で示される双方向にフレーム本体22内を昇降移動する。この移動に伴って、進退ワイヤ12がチャンネル部11で内視鏡先端方向/基端方向に進退移動する。このような螺合部23、24により、進退移動時に進退ワイヤ12に働く力を適宜規制する。
【0023】
他の態様では、螺合部23、24に代わって、例えばばねである弾性部材からなりスライダ21のストローク量を規制する規制機構が設けられることができる。もしくは、螺合部23、24、規制機構のいずれも設けられず、スライダ21を単に手で押したり引いたりすることにより進退ワイヤ12を長手軸方向に進退させる構成であってもよい。
【0024】
以上のように構成された内視鏡システム1における、進退ワイヤ12、フードモジュール14及び進退操作部18に関する装着手順について説明する。
【0025】
まず、進退ワイヤ12の先端を、連結部材19の突起部20の開口からチャンネル部11中へと挿通して、操作部4の基端側に進退ワイヤ12を装着する。そして、内視鏡先端側の挿入部3を中立状態(直線状態)にして、進退ワイヤ12を挿入部3のチャンネル部11中に進行させる。内視鏡先端側の挿入部3をストレートな状態にしてチャンネル部11中に進退ワイヤ12を挿入することにより、内視鏡挿入部の湾曲による装着時の各構成部の位置の誤差をなくす。
【0026】
そして、進退操作部18のスライダ21をフレーム本体22内の最下端位置に取り付ける。つまり、フレーム本体22内でスライダ21のストローク量が最大となっている状態にする。これにより、チャンネル部11内の進退ワイヤ12の先端の第1の磁力連結部材13は、フードモジュール14の装着動作時において常に同じ位置に配置される。進退ワイヤ12をチャンネル部11中に挿入する前に、スライダ21をフレーム本体22内の最下端位置に取り付けていてもよい。
【0027】
さらに、挿入部3の先端面のチャンネル部11の開口から、滅菌済のフードモジュール14の第2の磁力連結部材17をチャンネル部11内に挿入する。かくして、第2の磁力連結部材17が進退ワイヤ12の先端の第1の磁力連結部材13と磁力により結合する。このとき、フードモジュール14は、内視鏡先端に最も近接している状態で結合される。この状態が、図2(a)に示される。
【0028】
つまり、フレーム本体22内でスライダ21のストローク量が最大となっているとき、フードモジュール14は内視鏡先端に最も近接しており内視鏡先端からわずかに突出している状態で進退ワイヤ12に連結される。このとき、進退操作部18のスライダ21は、これ以上手元側に引っ張られることができない。従って、第1及び第2の磁力連結部材13、17が確実に連結した状態、すなわち進退ワイヤ12にフードモジュール14が装着されている状態を維持することができる。
【0029】
そして、図2(a)に示される状態から、進退操作部18のフレーム本体22内のスライダ21を回転、もしくは単に押し上げることにより移動させると、その移動量(ストローク量)だけ、フードモジュール14が内視鏡先端方向にスライドする。これにより、フードモジュール14が内視鏡先端の挿入部3から長手軸方向に突出される。フードモジュール14が内視鏡先端の挿入部3から最も突出している状態が、図2(b)に示される。このように、進退操作部18のスライダ21をストロークさせた分だけ、フードモジュール14が内視鏡先端方向にスライドする。
【0030】
逆に、進退操作部18のフレーム本体22内のスライダ21を逆回転、もしくは単に引き下げることにより、フードモジュール14は内視鏡基端方向にスライドする。なお、第1及び第2の磁力連結部材13、17が連結しているときのこれら間の磁気結合力が、進退操作部18のスライダ21を引き下げる、すなわち手元側に引っ張る力よりも常に大きいように、磁気結合力もしくは進退操作部の規制機構を適宜設定している。このため、スライダ21を手元側に移動させていても常に第1及び第2の磁力連結部材13、17の連結は維持される。
【0031】
また、フレーム本体22にスライダ21が組み付いているときは、上述のように、図1に矢印で示す方向のスライダ21の進退量(移動量)が規制されるため、スライダ21により進退ワイヤ12を内視鏡基端方向に牽引しすぎても進退ワイヤ12とフードモジュール14との連結が外れることはない。
【0032】
本実施形態では、進退操作部18と一体になった進退ワイヤ12を内視鏡操作部側から内視鏡挿入部へと挿通するだけで、フードモジュール14を内視鏡先端に簡単に装着することができる。また、フードモジュール14の取り外しの際には、まず、進退ワイヤ12と一体になったスライダ21をフレーム本体22から取り外す。そして、スライダ21を手元側に引っ張ることにより、第1の磁力連結部材13と第2の磁力連結部材17との連結を解除して、フードモジュール14から進退ワイヤ12を取り外す。
【0033】
このように、内視鏡用モジュールとワイヤ部とを長手軸方向で接触させるだけで内視鏡用モジュールと内視鏡とを結合することができるため、これらの装着が非常に簡単であり、例えば、小径の部材を螺合により着脱するような、使用者を煩わせる装着動作をなくすことができる。
【0034】
また、磁力による連結を用いることにより、進退ワイヤ12とフードモジュール14との長手軸方向の連結部を比較的小径にすることができる。従って、内視鏡挿入部の径が比較的細い内視鏡であってもフードモジュール14のような内視鏡用モジュールを取り付けることができる。小径にすることで、内視鏡先端内部の他の構成部との干渉も起こりにくくなる。
【0035】
さらに、本実施形態では、螺合による連結と比べて、長手軸方向の連結部の長さを短くすることができる。従って、内視鏡先端の硬質部分の長さを短くすることができ、より大きな湾曲角度を有する内視鏡先端湾曲部とすることができる。つまり、小回りがきいて挿入しやすい内視鏡を提供することができる。加えて、本実施形態では、内視鏡用モジュールを再使用する場合に、螺合による連結に比べて、螺合部の洗浄が不要となることから洗浄しやすい内視鏡用モジュールとすることができるという効果も同時に奏する。
【0036】
また、内視鏡先端に螺合部を設けると、進退ワイヤに比べてその外径を太くしなければならず、内視鏡の径を太くしなければならないが、本実施形態によれば、内視鏡先端の外径の太径化もまた防止されることができる。
【0037】
本実施形態では、内視鏡用モジュールが比較的軽量の素材でできたフードモジュールである。従って、フードモジュールをチャンネル部中で押したり引いたりするときに必要とされる力が小さくて済む。
【0038】
図1では、第1及び第2の磁力連結部材13、17の結合面は平面状であるが、これら結合面は、その磁気結合力を高めるために、磁力により結合する際にその接触面積が大きくなるように形成されることができる。
【0039】
例えば、図3(a)に示す一態様では、第1の磁力連結部材13(又は第2の磁力連結部材17)の接触面を凸形状に、第2の磁力連結部材17(又は第1の磁力連結部材13)の接触面を凹形状にしている。また、図3(b)に示す他の態様では、第1の磁力連結部材13及び第2の磁力連結部材17に段差部を形成して互いに嵌合するようにしている。このように、第1及び第2の磁力連結部材13、17が互いに嵌合する形状にすることで、その接触面積が大きくなりこれら部材間を確実に連結することができる。
【0040】
内視鏡先端に取り付けられる内視鏡用モジュールは、以上説明したようなフードモジュールに限定されるものではなく、切開モジュールや結紮モジュールなど、内視鏡に取り付けうるあらゆるモジュールとすることが可能である。
【0041】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内でさまざまな改良及び変更が可能であることが当業者に明らかである。
【符号の説明】
【0042】
1…内視鏡システム、2…内視鏡、3…挿入部、4…操作部、5…端子部、6、7…外部接続ケーブル、8…光源、9…ビデオセンタ、10…モニタ、11…チャンネル部、12…進退ワイヤ、13…第1の磁力連結部材、14…フードモジュール、15…フード本体、16…突出部、17…第2の磁力連結部材、18…進退操作部、19…連結部材、20…突起部、21…スライダ、22…フレーム本体、23、24…螺合部。
図1
図2
図3