【実施例1】
【0027】
図1は、本発明の実施例1に係るバッテリ充電システムの回路図である。
図1に示すように、バッテリ充電システムは、発電機1と、バッテリ充電回路100と、バッテリBとを備える。このバッテリ充電システムは、例えば、自動二輪車等に用いられる。
【0028】
発電機1は、三相の交流電圧を出力する。バッテリ充電回路100は、発電機1から出力された3相の交流電圧を整流し、整流された直流電圧でのバッテリBの充電および非充電を制御する。充電されたバッテリBは、図示しない負荷回路等に電力を供給できる。
【0029】
バッテリ充電回路100は、整流部2と、スイッチ部3と、バッテリ電圧検出部40と、スイッチ制御部50と、基準電圧生成部60と、トリミング回路61と、起動/停止電圧制御部70と、PNP型トランジスタQ2と、を備える。
【0030】
整流部2は、発電機1が出力する三相の交流電圧を整流してバッテリを充電するための充電電圧を生成する。具体的には、整流部2は、ダイオードD1〜D6を有する。ダイオードD1のアノード及びダイオードD4のカソードは、発電機1のU相出力端子に接続されている。ダイオードD2のアノード及びダイオードD5のカソードは、発電機1のV相出力端子に接続されている。ダイオードD3のアノード及びダイオードD6のカソードは、発電機1のW相出力端子に接続されている。ダイオードD1〜D3のカソードはバッテリBの正極側端子に共通に接続され、ダイオードD4〜D6のアノードはバッテリBの負極側端子に共通に接続されている。
【0031】
スイッチ部3は、オン状態又はオフ状態に切り替えられ、オフ状態で整流部2を介して発電機1にバッテリBを充電させ、オン状態で整流部2を介して発電機1を短絡させる。具体的には、スイッチ部3は、サイリスタS1〜S3と、抵抗R1〜R3とを有する。サイリスタS1のアノードは発電機1のU相出力端子に接続され、サイリスタS2のアノードは発電機1のV相出力端子に接続され、サイリスタS3のアノードは発電機1のW相出力端子に接続されている。サイリスタS1〜S3のカソードは、ダイオードD4〜D6のアノードに共通に接続されている。各サイリスタS1〜S3のゲートには、対応する抵抗R1〜R3の一端が接続されている。共通に接続された抵抗R1〜R3の他端には、出力端子T3を介してスイッチ制御部50から電圧OUTが供給される。
【0032】
このような構成により、スイッチ部3は、オフ状態、即ちサイリスタS1〜S3がオフ状態(非導通状態)の時に、ダイオードD1〜D6を介して発電機1にバッテリBを充電させる。一方、スイッチ部3は、オン状態、即ちサイリスタS1〜S3がオン状態(導通状態)の時に、発電機1のU相出力端子、V相出力端子およびW相出力端子を、サイリスタS1〜S3及びダイオードD4〜D6を介して互いに短絡させる。即ち、この状態では、バッテリBは非充電となる。
【0033】
バッテリ電圧検出部40は、バッテリBの電圧Vccが予め定められた起動/停止電圧Va以上であるか否か検出し、検出結果を出力する。
【0034】
具体的には、バッテリ電圧検出部40は、バッテリBの電圧Vccが起動/停止電圧Va以上の時に導通する電圧検出回路41を有し、電圧検出回路41が導通することにより、バッテリBの電圧Vccが起動/停止電圧Va以上であることを検出する。電圧検出回路41は、直列接続されたツェナーダイオード(電圧検出素子)ZD1と、ダイオード(電圧検出素子)D7と、を含む。ツェナーダイオードZD1は、カソード(電圧検出回路41の一端)が電源端子T1を介してバッテリBの正極側端子に接続されている。ダイオードD7は、アノードがツェナーダイオードZD1のアノードに接続され、カソードが電圧検出回路41の他端になっている。起動/停止電圧Vaは、ツェナーダイオードZD1の降伏電圧(ツェナー電圧)と、ダイオードD7の順方向電圧との和にほぼ等しい。ダイオードD7は、起動/停止電圧Vaを微調整するためのものである。
【0035】
バッテリ電圧検出部40は、さらに、抵抗R4〜R6と、NPN型トランジスタ(第1のトランジスタ)Q1と、を有する。抵抗R4は、一端が電圧検出回路41の他端(ダイオードD7のカソード)に接続されている。抵抗R5は、一端が抵抗R4の他端に接続され、他端が接地端子T2を介してバッテリBの負極側端子に接続されている。
【0036】
抵抗R6は、一端が電源端子T1に接続されている。NPN型トランジスタQ1は、コレクタが抵抗R6の他端に接続され、エミッタが接地端子T2に接続され、ベース(制御端子)が抵抗R4と抵抗R5の接続点に接続されている。つまり、NPN型トランジスタQ1は、バッテリBの正極側端子と負極側端子との間に電流経路が接続され、バッテリBの電圧Vccが起動/停止電圧Va以上である時にオン状態になる。
【0037】
PNP型トランジスタQ2は、エミッタが電源端子T1に接続され、ベースが抵抗R6とNPN型トランジスタQ1のコレクタとの接続点に接続され、コレクタが基準電圧生成部60に接続されている。
【0038】
基準電圧生成部60は、PNP型トランジスタQ2が電流を流すことによって起動する。即ち、基準電圧生成部60は、バッテリ電圧検出部40の検出結果に基づいて制御され、バッテリBの電圧Vccが起動/停止電圧Va以上である期間に起動して基準電圧Vrefとバイアス電圧Vb,Vcを生成する。本実施例では、基準電圧生成部60はバンドギャップ回路から構成されている。そのため、基準電圧Vrefは起動/停止電圧Vaよりも温度依存性が小さい。
【0039】
トリミング回路61は、基準電圧生成部60に接続されていて、基準電圧Vrefを調整できるようになっている。例えば、製品の検査時等に、製品毎の基準電圧Vrefのばらつきが小さくなるように、製品毎にトリミング回路61を用いて基準電圧Vrefを調整しておくことができる。
【0040】
起動した基準電圧生成部60は、基準電圧Vrefとバイアス電圧Vb,Vcをスイッチ制御部50に供給する。これにより、スイッチ制御部50は、基準電圧生成部60の起動に同期して起動する。そして、起動したスイッチ制御部50は、バッテリBの電圧Vccを分圧した分圧電圧SNSが基準電圧Vref以上になった後でスイッチ部3をオン状態に制御し、その後、分圧電圧SNSが基準電圧Vref未満になった後でスイッチ部3をオフ状態に制御する。
【0041】
スイッチ制御部50は、PNP型トランジスタQ3と、分圧部51と、第1の比較器COMP1と、遅延部52と、PNP型トランジスタQ5と、NPN型トランジスタQ6と、を有する。
【0042】
PNP型トランジスタQ3は、エミッタが電源端子T1に接続され、ベースにバイアス電圧Vbが供給され、コレクタが端子T5に接続され、スイッチとして機能する。端子T5の電圧を電圧SWとする。
【0043】
分圧部51は、端子T5と接地端子T2との間に直列接続された抵抗R7と抵抗R8とを含む。分圧部51は、PNP型トランジスタQ3がオン状態の時に、バッテリBの電圧Vccを分圧して、分圧電圧SNSを抵抗R7と抵抗R8の接続点から端子T6に出力する。
【0044】
第1の比較器COMP1は、バイアス電圧Vcが供給されると動作して、非反転入力端子に入力される基準電圧Vrefと、端子T6を介して反転入力端子に入力される分圧電圧SNSとを比較して、比較結果を出力する。
【0045】
遅延部52は、第1の比較器COMP1の比較結果に応じて、分圧電圧SNSが基準電圧Vref以上になってから所定の遅延時間後にスイッチ部3をオン状態に制御する。
【0046】
具体的には、遅延部52は、容量素子C1と、電流源I1と、NPN型トランジスタ(第2のトランジスタ)Q4と、PNP型トランジスタQ8と、第2の比較器COMP2と、を含む。これらのうち、電流源I1と、NPN型トランジスタQ4と、PNP型トランジスタQ8とは、充放電部として機能する。
【0047】
充放電部は、第1の比較器COMP1の比較結果に応じて、分圧電圧SNSが基準電圧Vref以上になった時に容量素子C1を充電し、分圧電圧SNSが基準電圧Vref未満になった時に容量素子C1を放電させる。
【0048】
電流源I1は、一端が電源端子T1に接続され、他端がPNP型トランジスタQ8のエミッタに接続されている。PNP型トランジスタQ8は、ベースにバイアス電圧Vbが供給され、コレクタが端子T4を介して容量素子C1の一端に接続され、スイッチとして機能する。容量素子C1の他端は、接地端子T2に接続されている。つまり、電流源I1は、PNP型トランジスタQ8がオン状態の時、容量素子C1を充電するための電流を容量素子C1の一端に供給するようになっている。
【0049】
NPN型トランジスタQ4は、ベースが第1の比較器COMP1の出力端子に接続され、コレクタが端子T4を介して容量素子C1の一端に接続され、エミッタが接地端子T2に接続され、スイッチとして機能する。これにより、NPN型トランジスタQ4は、第1の比較器COMP1の比較結果に応じて、分圧電圧SNSが基準電圧Vref以上になった時にオフ状態となって容量素子C1の両端を解放し、分圧電圧SNSが基準電圧Vref未満になった時にオン状態となって容量素子C1の両端を短絡する。
【0050】
第2の比較器COMP2は、バイアス電圧Vcが供給されると動作して、非反転入力端子に入力される基準電圧Vrefと、端子T4を介して反転入力端子に入力される容量素子C1の一端の電圧DLYとを比較する。第2の比較器COMP2は、容量素子C1の電圧DLYが基準電圧Vref以上になった時にスイッチ部3をオン状態に制御し、容量素子C1の電圧DLYが基準電圧Vref未満になった後(具体的には基準電圧Vrefより低い電圧Vh未満になった時)にスイッチ部3をオフ状態に制御する。つまり、第2の比較器COMP2は、ヒステリシスを有している。第2の比較器COMP2は、バイアス電圧Vcが供給されていない停止状態では、比較結果がハイレベルになっている。
【0051】
なお、基準電圧生成部60はバイアス電圧Vcに代えてバイアス電流を供給してもよく、第1及び第2の比較器COMP1,COMP2はバイアス電流が供給されると動作してもよい。
【0052】
第2の比較器COMP2の出力端子は、PNP型トランジスタQ5のベースに接続されている。PNP型トランジスタQ5は、エミッタが電源端子T1に接続されている。
【0053】
NPN型トランジスタQ6は、ベースがPNP型トランジスタQ5のコレクタに接続され、コレクタが電源端子T1に接続され、エミッタが出力端子T3に接続されている。
【0054】
起動/停止電圧制御部70は、スイッチ制御部50がスイッチ部3をオン状態に制御している間に、ツェナーダイオードZD1及びダイオードD7を短絡させ、それによりバッテリ電圧検出部40の起動/停止電圧Vaを低下させる。起動/停止電圧制御部70は、例えば、PNP型トランジスタQ7から構成されている。PNP型トランジスタQ7は、エミッタが電源端子T1に接続され、ベースが第2の比較器COMP2の出力端子に接続され、コレクタがダイオードD7のカソードと抵抗R4との接続点に接続されている。
【0055】
以上で説明したバッテリ充電回路100のうち、例えば、バッテリ電圧検出部40と、スイッチ制御部50のうち容量素子C1、抵抗R7及び抵抗R8以外の構成要素と、基準電圧生成部60と、トリミング回路61と、起動/停止電圧制御部70と、PNP型トランジスタQ2とは、半導体集積回路(IC)80として構成されている。当然、容量素子C1、抵抗R7及び抵抗R8を半導体集積回路80内に含めてもよい。
【0056】
次に、
図2及び
図3の波形図を参照して、バッテリ充電システムの動作を説明する。まず、バッテリBを取り外した状態でバッテリ充電回路100の基本動作を説明する。
【0057】
図2は、実施例1に係るバッテリ充電回路100における基本動作を示す波形図である。
図2は、
図1のバッテリ充電回路100に供給されるバッテリBの電圧Vccを、外部から強制的に変動させた場合の波形を示す。
【0058】
時刻t1までは、バッテリBの電圧Vccが起動/停止電圧Va未満であるため、ツェナーダイオードZD1とダイオードD7は導通しない。よって、抵抗R4,R5に電流は流れず、そのためNPN型トランジスタQ1のベースにも電流は流れず、NPN型トランジスタQ1はオフ状態になっている。これにより、抵抗R6にも電流は流れないので、PNP型トランジスタQ2もオフ状態であり電流が流れない。従って、基準電圧生成部60は停止している。従って、基準電圧Vref及びバイアス電圧Vb,Vcは、生成されず、バッテリBの電圧Vccとほぼ等しい電圧(ハイレベル)となっている。よって、第1及び第2の比較器COMP1,COMP2も動作を停止していて、それらの比較結果(出力)はハイレベルになっている。これにより、PNP型トランジスタQ5とNPN型トランジスタQ6もオフ状態であり、電圧OUTはローレベルになっている。従って、サイリスタS1〜S3はオフ状態であるため、バッテリBは充電状態になる。
【0059】
時刻t1にてバッテリBの電圧Vccが起動/停止電圧Va以上になると、ツェナーダイオードZD1とダイオードD7は導通する。これにより、NPN型トランジスタQ1とPNP型トランジスタQ2がオン状態になる。オン状態のPNP型トランジスタQ2が流す電流により、基準電圧生成部60は起動して、基準電圧Vref及びバイアス電圧Vb,Vcを生成する。
【0060】
バイアス電圧Vbにより、PNP型トランジスタQ3はオン状態になるので、抵抗R7,R8に電流が流れて電圧SW及び分圧電圧SNSは上昇する。また、PNP型トランジスタQ8もオン状態になる。
【0061】
さらに、バイアス電圧Vcにより、第1及び第2の比較器COMP1,COMP2も起動する。
【0062】
この時点では、分圧電圧SNSは基準電圧Vref未満であるため、第1の比較器COMP1の比較結果はハイレベルになっている。よって、NPN型トランジスタQ4はオン状態であり、電流源I1からの電流はPNP型トランジスタQ8とNPN型トランジスタQ4を介して端子T2に流れる。即ち電圧DLYはローレベルであり、第2の比較器COMP2の比較結果はハイレベルである。従って、PNP型トランジスタQ5とNPN型トランジスタQ6はオフ状態を維持し、電圧OUTもローレベルを維持する。
【0063】
時刻t1以降、電圧Vccの上昇に伴って電圧SWと分圧電圧SNSも上昇する。
【0064】
時刻t2にて、分圧電圧SNSが基準電圧Vref以上になると、第1の比較器COMP1の比較結果はローレベルになる。これにより、NPN型トランジスタQ4はオフ状態になる。
【0065】
NPN型トランジスタQ4がオフ状態になることで、時刻t2以降、電流源I1からの電流によって容量素子C1が充電され、容量素子C1の一端の電圧DLYが上昇していく。
【0066】
時刻t3にて、電圧DLYが基準電圧Vref以上になると、第2の比較器COMP2の比較結果はハイレベルからローレベルになる。これにより、PNP型トランジスタQ5がオン状態となり、PNP型トランジスタQ5を流れる電流がNPN型トランジスタQ6のベースに流れることで、NPN型トランジスタQ6はオン状態になる。即ち、電圧OUTはローレベルからハイレベルになる。そして、NPN型トランジスタQ6が流す電流により、サイリスタS1〜S3はオン状態になる。よって、時刻t3以降、バッテリBは非充電状態になる。
【0067】
このように、本実施例では、時刻t2ではなく、時刻t2から容量素子C1の充電時間だけ遅らせた時刻t3に電圧OUTをハイレベルにするようにしている。この充電時間は、電圧Vccの不規則な上昇に対して即座にサイリスタS1〜S3がオン状態となってしまうことを防止するために設けられている。
【0068】
さらに、時刻t3にてPNP型トランジスタQ7もオン状態になるので、PNP型トランジスタQ7は、ツェナーダイオードZD1とダイオードD7を短絡させて、抵抗R4,R5に電流を流すようになる。これにより、起動/停止電圧Vaは低下するため、電圧Vccの不規則な低下の影響を受け難くすることができる。この点については、詳細に後述する。
【0069】
時刻t3以降、電圧Vccは低下するものとする。それに伴い、電圧SW及び分圧電圧SNSも低下する。
【0070】
時刻t4において、分圧電圧SNSが基準電圧Vref未満になると、第1の比較器COMP1の比較結果はハイレベルになる。これにより、NPN型トランジスタQ4はオン状態になる。従って、容量素子C1は放電され、電圧DLYは、時刻t2からt3までの充電期間よりも短期間で低下する。
【0071】
時刻t5において、電圧DLYが、基準電圧Vrefより低い電圧Vh未満になると、第2の比較器COMP2の比較結果はハイレベルになる。これにより、PNP型トランジスタQ5がオフになり、NPN型トランジスタQ6もオフになり、電圧OUTはローレベルになる。よって、バッテリBは充電状態になる。このように、第2の比較器COMP2はヒステリシスを有しているので、時刻t2からt3までの電圧DLYの上昇が遅い場合であっても、第2の比較器COMP2の比較結果が不安定になる恐れが少なくなる。
【0072】
時刻t6において、バッテリBの電圧Vccが起動/停止電圧Va未満になると、ツェナーダイオードZD1とダイオードD7は非導通になる。これにより、基準電圧生成部60は停止するので、スイッチ制御部50も停止する。よって、時刻t1以前と同じ状態となる。
【0073】
次に、バッテリBも含むバッテリ充電システムの全体動作を説明する。
【0074】
図3は、実施例1に係るバッテリ充電システムにおけるバッテリBの充放電動作を示す波形図である。この
図3は、端子T2と端子T6との間に図示しない容量素子が接続されている場合の動作を示すものとする。
【0075】
時刻t1からt5までの動作は、
図2と同一であるため、説明を省略する。時刻t5において非充電状態から充電状態に移行した後、バッテリBは充電されるため、電圧Vccは再び上昇する。そして、時刻t12において時刻t2と同様に電圧DLYが再び上昇し、以降、時刻t13〜t15において、時刻t3〜t5と同様に動作する。
【0076】
(放電動作時にバッテリBの電圧Vccが低下した場合の動作)
以上で説明したバッテリ充電システムにおいて、放電動作時に端子T3からサイリスタS1〜S3のゲートに流れる電流が大きい場合、バッテリBの電圧Vccが低下するようになる。
【0077】
図4は、本発明の実施例1に係るバッテリ充電システムにおける放電動作時にバッテリBの電圧Vccが低下した場合の動作を示す波形図である。
【0078】
時刻t21から時刻t23までは、
図3の時刻t1から時刻t3までと同様に動作する。時刻t23において電圧OUTがハイレベルになり、端子T3からサイリスタS1〜S3のゲートに大きな電流が流れると、バッテリBは非充電状態であるため、バッテリBの電圧Vccが急激に低下する。しかし、本実施例では、前述の様に、この時刻t23でPNP型トランジスタQ7もオン状態になるので、非充電状態において起動/停止電圧Vaは低下する。よって、電圧Vccが低下しても、起動/停止電圧Va未満にならないようにできる。従って、基準電圧生成部60は動作を続けることができるので、電圧OUTは
図3の例と同様になり、電圧Vccの不規則な低下の影響を受け難くすることができる。
【0079】
図3と同様に、その後、時刻t24において第1の比較器COMP1の比較結果はハイレベルになり、その後、時刻t25において第2の比較器COMP2の比較結果はハイレベルになって充電状態になる。これにより、PNP型トランジスタQ7はオフ状態になるので、起動/停止電圧Vaは低下する前の値に戻る。
【0080】
時刻t25以降、バッテリBが充電されて電圧Vccは再び上昇し、以降、時刻t32〜t35において、時刻t22〜t25と同様に動作する。
【0081】
なお、充電状態では、発電機1が出力する三相の交流電圧の影響で、電圧Vccにノイズが発生する。そのため、時刻t23で電圧OUTがハイレベルになった直後では、ノイズによる電圧Vccの低下(Vd1)と、サイリスタS1〜S3に電流が流れることによる電圧Vccの低下(Vd2)とが重なる。その後、ノイズによる低下が無くなり、電圧VccはバッテリBの放電により時刻t25までゆるやかに低下する。
【0082】
これに対して、以下に説明するように、比較例のバッテリ充電システムでは、放電動作時にバッテリBの電圧Vccが低下すると、動作が不安定になってしまう。この比較例のバッテリ充電システムは、
図1のバッテリ充電システムから起動電圧制御部70を除いた回路構成を有する。
【0083】
図5は、比較例に係るバッテリ充電システムにおける放電動作時にバッテリBの電圧Vccが低下した場合の動作を示す波形図である。
【0084】
時刻t21から時刻t23までは、
図4の例と同様に動作する。時刻t23において電圧OUTがハイレベルになり、端子T3からサイリスタS1〜S3のゲートに電流が流れると、バッテリBは非充電状態であるため、バッテリBの電圧Vccが低下する。これにより、電圧Vccが起動/停止電圧Va未満になり、基準電圧生成部60が停止してしまう。従って、第2の比較器COMP2は停止して、その比較結果はハイレベルになり、NPN型トランジスタQ6はオフ状態になる。従って、時刻t23aにて、電圧OUTはローレベルになり、それにより端子T3からサイリスタS1〜S3のゲートに電流が流れなくなるため、バッテリBが再び充電されて電圧Vccが上昇する。
【0085】
これ以降、以上の時刻t23〜t23aと同様の動作が繰り返されることにより、電圧Vccの低下と上昇が短い周期で繰り返され、充電動作が不安定になる。前述のように、本実施例では、このような比較例の不具合を防止できる。
【0086】
以上で説明した様に、本実施例によれば、基準電圧生成部60が、バッテリBの電圧Vccが起動/停止電圧Va以上である期間に起動して基準電圧Vrefを生成するようにしている。そして、スイッチ制御部50が、基準電圧生成部60の起動に同期して起動し、バッテリBの電圧Vccを分圧した分圧電圧SNSが基準電圧Vref以上になった後でスイッチ部3をオン状態に制御し、その後、分圧電圧SNSが基準電圧Vref未満になった後でスイッチ部3をオフ状態に制御するようにしている。これにより、スイッチ部3がオン状態又はオフ状態に切り替えられる電圧、即ちバッテリBの充電と非充電とが切り替えられる電圧は、基準電圧Vrefに基づいて決定されるため、ばらつき及び温度依存性が大きい起動/停止電圧Vaとは無関係になる。
【0087】
また、基準電圧Vrefをバンドギャップ回路である基準電圧生成部60により生成しているので、起動/停止電圧Vaよりもばらつき及び温度依存性が小さい基準電圧Vrefを生成できる。従って、バッテリBの充電と非充電とが切り替えられる電圧のばらつき及び温度依存性を小さくできる。
【0088】
さらには、バッテリBの電圧Vccが起動/停止電圧Va未満である期間に基準電圧生成部60及びスイッチ制御部50を停止させることができるので、バッテリBを効率的に充電できる。
【0089】
以上に加え、本実施例によれば、スイッチ制御部50がスイッチ部3をオン状態に制御している間にバッテリ電圧検出部40の起動/停止電圧Vaを低下させるようにしている。これにより、オン状態のスイッチ部3に電流が流れてバッテリBの電圧Vccが低下した場合であっても、バッテリBの電圧Vccは低下した起動/停止電圧Va以上を保つことができ、基準電圧生成部60及びスイッチ制御部50が停止することがない。よって、安定して充放電動作を行うことができる。
【実施例2】
【0090】
実施例2では、起動/停止電圧Vaを実施例1と異なる値に設定している。
【0091】
図6(a)〜(d)は、本発明の実施例2に係るバッテリ充電回路100の起動/停止電圧制御部70及びバッテリ電圧検出部40,40a,40bの回路図である。なお、
図6(a)〜(d)において、バッテリ電圧検出部40,40a,40bの抵抗R6の記載を省略している。
図6(a)には、比較のため、実施例1と同一の構成を示す。
【0092】
図6(b)では、バッテリ電圧検出部40は実施例1と同一の構成であり、バッテリ電圧検出部40と起動/停止電圧制御部70との間の接続が実施例1と異なる。つまり、起動/停止電圧制御部70のPNP型トランジスタQ7のコレクタは、ツェナーダイオードZD1のアノードとダイオードD7のアノードとの接続点に接続されている。これにより、起動/停止電圧制御部70は、スイッチ制御部50がスイッチ部3をオン状態に制御している間に、ツェナーダイオードZD1を短絡させ、それによりバッテリ電圧検出部40の起動/停止電圧Vaを低下させる。この回路の非充電状態での低下した起動/停止電圧Vaは、実施例1の非充電状態での低下した起動/停止電圧Vaより高い。
【0093】
図6(c)では、バッテリ電圧検出部40aの電圧検出回路41aの構成が実施例1と異なる。つまり、電圧検出回路41aにおいて、ダイオードD7のアノード(電圧検出回路41aの一端)が電源端子T1に接続されている。ツェナーダイオードZD1は、カソードがダイオードD7のカソードに接続され、アノードが電圧検出回路41aの他端になっている。その他のバッテリ電圧検出部40aの回路構成は、実施例1のバッテリ電圧検出部40と同一であるため、同一の要素に同一の符号を付して説明を省略する。
【0094】
起動/停止電圧制御部70のPNP型トランジスタQ7のコレクタは、ダイオードD7のカソードとツェナーダイオードZD1のカソードとの接続点に接続されている。これにより、起動/停止電圧制御部70は、スイッチ制御部50がスイッチ部3をオン状態に制御している間に、ダイオードD7を短絡させ、それによりバッテリ電圧検出部40aの起動/停止電圧Vaを低下させる。この回路の非充電状態での低下した起動/停止電圧Vaは、
図6(b)の回路の非充電状態での低下した起動/停止電圧Vaより高い。
【0095】
図6(d)では、バッテリ電圧検出部40bの電圧検出回路41bの構成が実施例1と異なる。つまり、電圧検出回路41bは、ダイオードD7と、ツェナーダイオードZD1と、抵抗R4と、ツェナーダイオードZD2とを含む。ダイオードD7のアノード(電圧検出回路41bの一端)が電源端子T1に接続されている。ツェナーダイオードZD1は、カソードがダイオードD7のカソードに接続され、アノードが抵抗R4の一端に接続されている。抵抗R4の他端は、ツェナーダイオードZD2のカソードに接続されている。ツェナーダイオードZD2のアノードは、電圧検出回路41bの他端になっていて、NPN型トランジスタQ1のベース及び抵抗R5の一端に接続されている。その他のバッテリ電圧検出部40bの回路構成は、実施例1のバッテリ電圧検出部40と同一であるため、同一の要素に同一の符号を付して説明を省略する。
【0096】
起動/停止電圧制御部70のPNP型トランジスタQ7のコレクタは、抵抗R4の他端とツェナーダイオードZD2のカソードとの接続点に接続されている。これにより、起動/停止電圧制御部70は、スイッチ制御部50がスイッチ部3をオン状態に制御している間に、ダイオードD7とツェナーダイオードZD1と抵抗R4とを短絡させ、それによりバッテリ電圧検出部40bの起動/停止電圧Vaを低下させる。
【0097】
この回路の充電状態での起動/停止電圧Vaは、実施例1の充電状態での起動/停止電圧Vaより高く、非充電状態での低下した起動/停止電圧Vaも、実施例1の非充電状態での低下した起動/停止電圧Vaより高い。
【0098】
以上で説明した様に、本実施例によれば、起動/停止電圧制御部70が短絡させる電圧検出素子の数と種類を実施例1と異なるように設定している。よって、電圧OUTがハイレベルの期間、即ち非充電期間において、起動/停止電圧Vaを実施例1と異なる電圧に設定できる。つまり、電圧Vccの低下量に応じて、起動/停止電圧Vaの低下量を設定できる。
【0099】
以上、本発明の実施例を詳述してきたが、具体的な構成は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変形して実施することができる。
【0100】
例えば、バイポーラトランジスタに代えて、MOSトランジスタを用いて半導体集積回路80を構成してもよい。