(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
弾性材料から構成されて一方を開口すると共に当該開口側と反対側に突出する1または2以上の容器部と、弾性材料から構成されて当該容器部の開口部からその径方向外側に延出して形成される弾性フランジ部とを連接して成り、上記容器部の内側、外側若しくは内部に、上記容器部の少なくとも底部を覆う形状の補強部材を有する防水部材と、
上記防水部材より外方側にあって、上記容器部と対向する位置に貫通孔を備えるカバー部材と、
上記貫通孔から外方向に突出するキートップおよび上記容器部に挿入される軸部を有し、上記容器部に向かって駆動可能な押釦と、
を備え、
上記軸部からの押圧を受けた上記容器部の底部によって上記容器部の下方に配置されるスイッチをオンにする防水用押釦スイッチ部材であって、
上記弾性フランジ部に、
上記カバー部材と接するリブであって、上記弾性フランジ部の表側の面から突出して上記開口部の外周に連続形成されるループ状の防水用第一リブと、
上記防水部材より内方側にあって上記容器部を挿入する挿通口を備える筺体と接するリブであって、上記弾性フランジ部の裏側の面から突出して上記容器部の外周に連続形成されるループ状の防水用第二リブと、
を備えることを特徴とする防水用押釦スイッチ部材。
前記防水用第一リブおよび前記防水用第二リブは、前記弾性フランジ部の厚さ方向において背向かいに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の防水用押釦スイッチ部材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような従来の防水構造には、次のような解決すべき問題がある。当該防水構造は、筒状ホルダを補強部材として、弾性材料から成るカップ部材の内側に装着したものである。押釦の押し込みの際、カップ部材の底部が伸びて、カップ部材の底部越しに押釦が当該底部の下方に配置されるスイッチを押す。かかる押釦の押圧操作を繰り返すと、カップ部材の底部あるいは底部と側面との境界部分が破れやすくなる。この結果、防水性が損なわれる。
【0006】
カップ部材の耐久性を向上するために、カップ部材の底部の厚さを過度に大きくする方法も考えられるが、当該厚さが増すほど、押釦の押圧によって底部越しにスイッチを押した際の、押圧感が悪くなるという別の問題が生じる。
【0007】
本発明は、かかる問題を解消すべくなされたものであって、高い防水性と良好な押圧感を両立することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明の一実施形態は、弾性材料から構成されて一方を開口すると共に開口側と反対側に突出する1または2以上の容器部と、弾性材料から構成されて容器部の開口部からその径方向外側に延出して形成される弾性フランジ部とを連接して成り、容器部の内側、外側若しくは内部に、容器部の少なくとも底部を覆う形状の補強部材を有する防水部材と、防水部材より外方側にあって、容器部と対向する位置に貫通孔を備えるカバー部材と、貫通孔から外方向に突出するキートップおよび容器部に挿入される軸部を有し、容器部に向かって駆動可能な押釦と、を備え、軸部からの押圧を受けた容器部の底部によって容器部の下方に配置されるスイッチをオンにする防水用押釦スイッチ部材であって、弾性フランジ部に、カバー部材と接するリブであって、弾性フランジ部の表側の面から突出して開口部の外周に連続形成されるループ状の防水用第一リブと、防水部材より内方側にあって容器部を挿入する挿通口を備える筺体と接するリブであって、弾性フランジ部の裏側の面から突出して容器部の外周に連続形成されるループ状の防水用第二リブと、を備える防水用押釦スイッチ部材である。
【0009】
本発明の別の実施形態は、上記形態において、防水用第一リブおよび防水用第二リブを弾性フランジ部の厚さ方向において背向かいに形成した防水用押釦スイッチ部材である。
【0010】
本発明の別の実施形態は、上記形態において、補強部材が、容器部の側面に延出する側壁を備えるカップ形状を有する防水用押釦スイッチ部材である。
【0011】
本発明の別の実施形態は、上記形態において、
容器部が、その外側底部に、板形状の補強部材と板形状の弾性部材とを積層した積層体を、補強部材を外側にするように固着する防水用押釦スイッチ部材である。
【0012】
本発明の一形態は、上記いずれかの防水用押釦スイッチ部材を備える電子機器である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高い防水性と良好な押圧感を両立することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の防水用押釦スイッチ部材およびそれを備える電子機器の各実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以後の説明では、電子機器として携帯通信端末を例示するが、電子機器は、携帯電話機器、リモートコントローラー、小型テレビ受像機等の他の機器も含めるように広義に解釈される。
【0016】
1.第一の実施の形態
図1は、第一の実施の形態に係る防水用押釦スイッチ部材を備える電子機器の斜視図を示す。
【0017】
本発明の第一の実施の形態に係る電子機器1は、その側面に凹部2を備えている。凹部2は、第一の実施の形態に係る防水用押釦スイッチ部材3を嵌め込み可能な形態を備える。なお、凹部2は、電子機器1の側面に限定されず、表示部を配置した表側の面あるいは電子機器1の裏側の面に形成されても良い。したがって、防水用押釦スイッチ部材3も、また、電子機器1の表側あるいは裏側の面に備えても良い。
【0018】
図2は、
図1に示す防水用押釦スイッチ部材の分解斜視図を示す。
図3は、
図2に示す防水用押釦スイッチ部材を構成する防水部材の斜視図を示す。
【0019】
防水用押釦スイッチ部材3は、電子機器1にはめ込まれた状態におけるその内方側から外方側に向かって、防水部材10、押釦20、カバー部材30の順に重ねた構成を有する。防水部材10は、弾性材料から構成されて一方を開口すると共に開口側と反対側に突出する3個の容器部10aと、弾性材料から構成されて容器部10aの開口部12からその径方向外側に延出して形成される弾性フランジ部10bとを連接して成る。弾性フランジ部10bおよび容器部10aは、それぞれ別体にて構成されているものを接着して防水部材10を構成しても良く、また、一体として防水部材10を構成しても良い。製造工程の簡略化および低コスト化の観点から、後者のように弾性フランジ部10bおよび容器部10aを一体成形によって防水部材10を構成する方が好ましい。
【0020】
この実施の形態において、弾性フランジ部10bは、薄厚で細長い形態を有しており、その長さ方向に3個の容器部10aを直列に配置する。ただし、弾性フランジ部10bの形態は、上記形態に限定されず、円、正方形あるいは十字形等の如何なる形態でも良い。また、容器部10aの配列、数、大きさについても、同様に如何なる配列、数、大きさでも良い。防水部材10を構成する弾性材料は、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマーあるいは天然ゴム等から好適に成り、その中でもより好適には熱硬化性エラストマーの一種であるシリコーンゴムから成る。
【0021】
押釦20は、カバー部材30から一部を露出して、防水部材10の容器部10aに向かって駆動可能な部材であって、容器部10aの数と同数の3個備えられる。押釦20は、フランジ部21と、フランジ部21の一方の平面から突出すると共にフランジ部21よりも小径の底面を有するキートップ22と、フランジ部21のキートップ22と反対側にある他方の平面から突出すると共にフランジ部21よりも小径の底面を有する軸部23と、を備える。フランジ部21、キートップ22および軸部23は、それぞれ別体にて構成されているものを接着して押釦20を構成しても良く、また、一体として押釦20を構成しても良い。製造工程の簡略化および低コスト化の観点から、後者のように一体成形によって押釦20を構成する方が好ましい。なお、押釦20は、軸部23およびキートップ22をそれぞれ1個ずつ備える形態に限定されず、軸部23を複数備えた樹脂シートや弾性シート上に、1つまたは複数のキートップ22を備える形態であっても良い。この実施の形態において、フランジ部21は、薄厚の円板形状を有する。また、キートップ22は、フランジ部21から徐々に水平断面を小さくする台形形状を有し、その高さ方向の大部分を、カバー部材30の貫通孔(後述する)から挿通できる形態を有する。軸部23は、防水部材10の容器部10aの開口部12から挿入可能な径を有し、かつ容器部10aの底部に接触して、押釦20の押し込みによってスイッチをオンにすることが可能な駆動量を確保するのに十分な長さを有する。軸部23は、フランジ部21からその反対方向に向かって徐々に水平断面を小さくする台形形状を有する。押釦20は、キートップ22をカバー部材30の内側から外側に向かって貫通させ、軸部23を容器部10a内に挿入した状態で、防水用押釦スイッチ部材3に配置される。
【0022】
フランジ部21の形状は、円板以外の形状、例えば、矩形や三角形の板状体でも良い。また、キートップ22および軸部23は、台形以外の形状、例えば、円柱形状、直方体形状でも良い。押釦20は、防水部材10よりも硬質の材料、例えば、樹脂、金属、セラミックス、黒鉛等から好適に構成される。金属としては、ステンレススチール、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄等を例示できる。樹脂としては、アクリル、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、あるいは2種以上の樹脂からなるポリマーアロイ等を例示できる。セラミックスとしては、アルミナ、窒化珪素、ジルコニア等を例示できる。
【0023】
図2および
図3に示すように、弾性フランジ部10bは、そのカバー部材30と対向する側の面から突出して各開口部12の外周に沿って連続形成されるループ状の防水用第一リブ13を3個備える。防水用第一リブ13は、防水部材10をカバー部材30に積層して取り付けた状態において、押釦20のフランジ部21と接触しないように、フランジ部21よりも大径のループを形成する。また、弾性フランジ部10bは、電子機器1の内方の筺体(後述する)と接するリブであって、弾性フランジ部10bの裏側の面から突出して各容器部10aの外周に沿って連続形成されるループ状の防水用第二リブ14を3個備える。防水用第二リブ14は、防水用押釦スイッチ部材3を組み立てた状態において、筐体に接することができる大きさで形成される。防水用第一リブ13および防水用第二リブ14は、この実施の形態では、平面視にて円環状に形成されるが、三角枠状、四角枠状、五角以上の多角枠状でも良い。防水用第一リブ13および防水用第二リブ14は、弾性フランジ部10bと同様の弾性材料から好適に構成される。防水用第一リブ13および防水用第二リブ14は、弾性フランジ部10bと別体にて構成されそれらを接着あるいは溶着にて弾性フランジ部10bに固着しても良く、また、それらを一体として弾性フランジ部10bを構成しても良い。確実なる防水性の確保、製造工程の簡略化および低コスト化の観点から、後者のように一体成形によって弾性フランジ部10bを構成する方が好ましい。
【0024】
カバー部材30は、防水部材10より外方側にあって、防水部材10より硬質の材料、例えば、上記例示の押釦20の構成材料の選択肢の1つ若しくは2以上の組み合わせから好適に構成される。また、カバー部材30を防水部材10と同じ材料(弾性材料)から構成することもできる。カバー部材30は、防水部材10と同じ細長い形態を備える。カバー部材30は、各押釦20のキートップ22を挿通可能であるがフランジ21を挿通しない大きさの貫通孔31を、各容器部10aと対向する位置に、カバー部材30の長さ方向に直列に備える。カバー部材30は、防水部材10と好適には嵌め込み式で固定可能な形態を備えるが、接着やビス止め等により防水部材10と固定可能であっても良い。さらには、カバー部材30は、電子機器1の内方の筐体と固定可能であって、防水部材10を単に挟み込むようにしても良い。
【0025】
図4は、第一の実施の形態に係る防水用押釦スイッチ部材を電子機器にセットした状態における主要断面図およびその一部Xの拡大図を示す。
【0026】
防水部材10は、容器部10aを電子機器1内部の筐体40に形成された挿通口41に挿入させ、弾性フランジ部10bを筐体40の外面に載置した状態にて、筐体40上に配置される。容器部10aは、その内側に、補強部材50を挿入した状態で配置する。補強部材50は、容器部10aの側面に延出する側壁を備えるカップ形状を有する。補強部材50は、その開口部を、容器部10aの開口部12に向けた状態で配置される。押釦20は、軸部23を容器部10a内に挿入してその底部に当接させて配置される。カバー部材30は、貫通孔31から押釦20のキートップ22を挿通させ、押釦20のフランジ部21を貫通孔31の周囲に形成される鍔32の裏面に当接させた状態で、防水部材10の外側から覆い筐体40に固定される。一部Xの拡大図に示すように、防水用押釦スイッチ部材3を電子機器1にセットした状態では、弾性フランジ部10bに形成された防水用第一リブ13および防水用第二リブ14は、カバー部材30と筐体40との間に所定圧をもって挟まれた状態になる。この結果、押釦20とカバー部材30との隙間から水が入ってきても、筐体40の挿通口41から内方に浸水するのを有効に防止できる。防水用第一リブ13および防水用第二リブ14は、弾性フランジ部10bの厚さ方向において背向かいに形成されているので、カバー部材30と筐体40の間の挟持力は、防水用第一リブ13および防水用第二リブ14の両方を確実に変形させるのに利用される。したがって、より高い防水性を発揮できる。
【0027】
補強部材50は、容器部10aの形状を保持して、筐体40の挿通口41に挿入しやすくする機能、押釦20の押圧によって、軸部23が容器部10aの底を破かないようにする機能を併せ持つ。さらに、後述するように、軸部23が補強部材50を押して、容器部10aをその下方に配置されるスイッチを押し込むため、補強部材50は、良好な押圧感を使用者に与えるという機能もある。かかる機能を発揮するための補強部材50は、防水部材10よりも硬質の材料、例えば、樹脂、金属、セラミックス、黒鉛等から好適に構成される。金属としては、ステンレススチール、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄等を例示できる。樹脂としては、アクリル、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、あるいは2種以上の樹脂からなるポリマーアロイ等を例示できる。セラミックスとしては、アルミナ、窒化珪素、ジルコニア等を例示できる。軽薄短小化を図る場合には、剛性の高い金属部材にて補強部材50を構成するのが好ましく、また、キートップ22を内方側から照光する場合には透過性の高い樹脂にて補強部材50を構成するのが好ましい。
【0028】
筐体40より内方には、回路基板60が配置される。回路基板60は、その表側の面に、スイッチ基板61を備える。スイッチ基板61は、筐体40の挿通口41の下方位置に、スイッチの一例であるドームスイッチ62を備える。ドームスイッチ62は、導電性に優れた材料、例えば、ステンレススチールから成る。ドームスイッチ62の環状下端は、スイッチ基板61上に形成された電極63に、電気的に接続される。また、スイッチ基板61上であって、ドームスイッチ62の凸部の直下位置には、電極63と電気的に非接触状態の電極64が配置される。ドームスイッチ62は、スイッチ基板61と固定するため、その上方の容器部10aと接触する領域を除く領域およびスイッチ基板61をシート65によって覆われる。容器部10aと接触する領域を除いてシート65を被せているのは、軸部23とドームスイッチ62との間に挟まれる部材に、できるだけ柔らかい材料を介在させないようにして、良好な押圧感を使用者に与えるためである。
【0029】
電子機器1の内部および防水用押釦スイッチ部材3を上記の構成とすると、キートップ22を電子機器1の内方に向けて押し込んだ際に、軸部23が補強部材50越しに容器部10aの底部を内方に押す。すると、防水部材10の弾性フランジ部10bと容器部10aとの接続領域が伸びて、容器部10aが電子機器1の内方側に移動し、ドームスイッチ62をへこませる。この結果、電極63と電極64は、ドームスイッチ62を介して電気的に接続され、スイッチがオンになる。なお、軸部23がドームスイッチ62をへこませてスイッチをオンにするまで、フランジ部21が弾性フランジ部10bに接触しないように、カバー部材30の鍔32から弾性フランジ部10bまでの距離は、軸部23の可動距離よりも長い。容器部10aが内方側に移動する際、弾性フランジ部10bに形成される防水用第一リブ13および防水用第二リブ14は、
図4中の水平方向移動せずに、カバー部材30と筐体40との間に挟まれた状態を保持する。このため、押釦20の押圧操作時にも高い防水性を発揮できる。
【0030】
キートップ22を電子機器1の内方側に向けて押し込んだ後、その押圧を解除すると、ドームスイッチ62がその弾性によって元の状態に戻ろうとする。同時に、容器部10aの開口部12周囲の弾性フランジ部10bも、伸びた状態から元の状態に戻ろうとする。その結果、押釦20と容器部10aは電子機器1の外方側に移動する。電極63と電極64は、ドームスイッチ62が元の形状に戻ることによって電気的に非接触状態に戻り、スイッチがオフになる。なお、上述のスイッチのオンまたはオフは、上記と逆であっても良い。
【0031】
2.第二の実施の形態
次に、本発明の第二の実施の形態に係る防水用押釦スイッチ部材およびそれを備える電子機器について説明する。第二の実施の形態において、上述の実施の形態と共通する部分については、同じ符号を付し、また、重複した説明を省略する。第二の実施の形態に係る防水用押釦スイッチ部材が第一の実施の形態に係るそれと異なる点は、補強部材の形状であり、それ以外については第一の実施の形態と共通する。
【0032】
図5は、第二の実施の形態に係る防水用押釦スイッチ部材を構成する防水部材の主要断面図を示す。
図6は、
図5に示す防水部材の変形例の主要断面図を示す。
【0033】
図5および
図6に示す補強部材51および補強部材52は、第一の実施の形態にて説明した補強部材50と同様の材料から構成される。
図5に示す補強部材51は、側壁のない板形状を有し、容器部10aの内底面に固定される。押釦20の軸部23は、補強部材51越しに容器部10aの底部を内方に向けて押し込むので、容器部10aの底部の破損を防止すると共に、良好な押圧感を発揮できる。また、
図6に示すように、補強部材52は、上記補強部材51と同様の板形状の部材であって、容器部10aの外側底部に固定されても良い、そのような構成でも、容器部10aの底部の破損を防止すると共に、良好な押圧感を発揮できる。容器部10aの外周囲に、筐体40の挿通口41との間で防水を発揮するリブを設けていないので、容器部10aの側壁と挿通口41の内壁との距離を一定に保持する必要が無い。このため、補強部材51,52のように板形状の部材を用いても、防水に影響が無い。
【0034】
3.第三の実施の形態
次に、本発明の第三の実施の形態に係る防水用押釦スイッチ部材およびそれを備える電子機器について説明する。第三の実施の形態において、上述の実施の形態と共通する部分については、同じ符号を付し、また、重複した説明を省略する。第三の実施の形態に係る防水用押釦スイッチ部材が第一の実施の形態に係るそれと異なる点は、補強部材の固定位置であり、それ以外については第一の実施の形態と共通する。
【0035】
図7は、第三の実施の形態に係る防水用押釦スイッチ部材を構成する防水部材の主要断面図を示す。
【0036】
図7に示す補強部材53は、第一の実施の形態にて説明した補強部材50と同様の材料から成るカップ形状の部材である。補強部材53は、容器部10aの外側に固定される。かかる構成でも、容器部10aの底部の破損を防止すると共に、良好な押圧感を発揮できる。
【0037】
4.第四の実施の形態
次に、本発明の第四の実施の形態に係る防水用押釦スイッチ部材およびそれを備える電子機器について説明する。第四の実施の形態において、上述の実施の形態と共通する部分については、同じ符号を付し、また、重複した説明を省略する。第四の実施の形態に係る防水用押釦スイッチ部材が第一の実施の形態に係るそれと異なる点は、補強部材の形態および固定位置であり、それ以外については第一の実施の形態と共通する。
【0038】
図8は、第四の実施の形態に係る防水用押釦スイッチ部材を構成する防水部材の主要断面図を示す。
【0039】
容器部10aは、その外側底部に、板形状の補強部材55と、同じく板形状の弾性部材54とを積層した積層体56を固着する。補強部材55は、第一の実施の形態にて説明した補強部材50と同様の材料から好適に構成され、弾性部材54は、容器部10aと同様の材料から好適に構成される。
図8では、補強部材55側を外側に、弾性部材54側を容器部10a側にして、積層体56を容器部10aの外側底部に固定している。かかる構成により、補強部材55が直接的にドームスイッチ62に接触するので、良好な押圧感が得られやすくなるからである。しかし、軸部23により容器部10aの底部の破損を防止することを優先すれば、補強部材55を容器部10a側にして、積層体56を容器部10aに固定しても良い。
【0040】
図9は、
図8に示す補強部材を容器部に固定する好適な製造工程の一例を説明する図を示す。
【0041】
前述の第二の実施の形態にて説明した防水部材10のように、補強部材52を容器部10aの外側底部に固定する場合、補強部材52と容器部10aとの接着信頼性が低いことが問題になる。それは、補強部材52と容器部10aとの各構成材料の相違が原因の一つである。同じ材料から構成される物同士を接着するのと比較して、異質の両者を接着すると、両者が剥がれる危険性が高いからである。加えて、電子機器1の一例である携帯通信端末におけるスイッチ部材の構成部として補強部材52を用いる場合、補強部材52の直径は、約2mmであり、非常に小さい。この点は、補強部材52を容器部10aの外側底部に正しい位置に強固に固定することをより困難にする。
【0042】
かかる問題を解消するため、
図8に示す補強部材55と弾性部材54との積層体56を用いて、容器部10aと同一あるいは同系の材料である弾性部材54を容器部10aと接着することにより、補強部材55と容器部10aとの接着不足による剥離等を防止することができる。積層体56における補強部材55と弾性部材54との接着は、次の方法によって強化できる。
図9に示すように、大判の弾性部材用シート70と大判の補強部材用シート71とを接着剤等を用いて強固に固着して、積層シート72を製造する。弾性部材用シート70および補強部材用シート71は、弾性部材54および補強部材55のそれぞれの大きさに比べて非常に大きいので、接着位置や接着剤の塗布不足等の問題が無く、両者を強固に固着できる。次に、積層シート72を、パンチ等を用いて打ち抜いて、小さな積層体56を製造する。次に、積層体56を成形用金型内にセットして、積層体56の弾性部材54側にエラストマー材料を供給して、硬化する。その後、金型を分離して、容器部10aの外側底部と弾性部材54側とを対向固着させた積層体一体型の防水部材10を得ることができる。金型内に積層体56をセットするだけで、容器部10aの外側底部に積層体56を固着した防水部材10が得られるので、成形後の防水部材10の容器部10aに積層体56を1個ずつ接着する必要が無い。なお、積層体56の弾性部材54側に、容器部10aとの接着を強化するためのプライマーの塗布やプライマーの塗布以外の如何なる表面改質を行っても良い。かかる表面改質の手法の一例として、例えば、ブラスト処理、プラズマ処理、UV処理、四塩化ケイ素ガス等を酸化炎で酸化させて得られる酸化ケイ素を付して酸化ケイ素膜を形成するいわゆるイトロ処理等を挙げることができる。
【0043】
5.その他の実施の形態
以上、本発明に係る防水用押釦スイッチ部材およびそれを用いる電子機器の各実施の形態を説明してきたが、本発明は、上記の各実施の形態に限定されることなく、種々変形して実施可能である。
【0044】
図10は、
図2および
図3に示す防水部材の変形例を示す斜視図であって、表側から見た斜視図(A)および裏側から見た斜視図(B)を示す。
【0045】
図2および
図3に示すように、防水用第一リブ13は、1個の容器部10aの開口部12の外周に沿って連続形成されると共に、防水用第二リブ14は、防水用第一リブ13の反対側であって1個の容器部10aの外周に沿って連続形成されている。しかし、
図10に示すように、弾性フランジ部10bの表側の面から突出して、複数の開口部12を囲う1つのループ状の防水用第一リブ13a、および筺体40と接するリブであって弾性フランジ部10bの裏側の面から突出して複数の容器部10aを囲う1つのループ状の防水用第二リブ14aを、弾性フランジ部10bに形成しても良い。
【0046】
防水用第一リブ13および防水用第二リブ14は、弾性フランジ部10bの厚さ方向において背向かいに形成されていなくても良い。例えば、防水用第一リブ13および防水用第二リブ14を、当該厚さ方向に互いにずらして形成することもできる。補強部材50は、容器部10aの内側に固定されているが、容器部10aの内部に埋設されていても良い。また、補強部材50がカップ状の場合には、補強部材50を容器部10aの内側に固定せず、単に配置するだけでも良い。また、ドームスイッチ62以外のスイッチ、例えば、タクトスイッチ等を筐体40より電子機器1の内方に配置しても良い。その場合、押釦20は、押圧後にその押圧を解除した際、もっぱら防水部材10の弾性変形によって元の位置に戻る。防水用第一リブ13および防水用第二リブ14の少なくとも1つの防水リブを、個々の容器部10aの外周に沿って形成すると共に、防水用第一リブ13aおよび防水用第二リブ14aの少なくとも1つの防水リブを複数の容器部10aに共通の外周にも形成して、二重に防水壁を構築するようにしても良い。