(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
<一の実施形態の説明>
以下、
図1のブロック図を用いて一の実施形態の構成例を説明する。
図1は、一の実施形態の構成例を示すブロック図である。一の実施形態におけるブラシ寿命判定装置は、例えば車両等におけるエンジンのスタータを対象としてブラシの寿命を判定する。
【0015】
図1に示す一の実施形態に係るブラシ寿命判定装置は、エンジン10と、制御部20と、クランク回転数取得部21と、電圧取得部22と、温度取得部23と、オイルグレード入力部24と、第1記憶部25と、フライホイール回転数取得部26と、カウント部27と、第2記憶部28と、出力部30と、を備える。制御部20は、クランク回転数取得部21と、電圧取得部22と、温度取得部23と、オイルグレード入力部24と、第1記憶部25と、フライホイール回転数取得部26と、カウント部27と、第2記憶部28と、出力部30と、それぞれ接続されている。
【0016】
エンジン10は、例えば車両等のクランクシャフトを回転させて動力を供給する動力源であって、スタータ11により始動する。スタータ11は、整流子および回転子(不図示)と、例えば黒鉛等から構成されるブラシ12を備える。ブラシ12は、回転する整流子に対してバネ等の付勢手段によって押し当てられながら接触して通電する。ブラシ12により整流子に電流を流すことで、整流子と一体の回転子を回転させ、この回転子に接続されたエンジン10のクランクシャフトを回転させる。なお、ブラシ12が寿命に達するとブラシ12が摩耗して適正通電不能となり、スタータ11によるエンジン10の始動が不能となる。
【0017】
制御部20は、後述のクランク回転数取得部21と、電圧取得部22と、温度取得部23と、オイルグレード入力部24と、フライホイール回転数取得部26とより入力される情報を読み込む。また、制御部20は、第1記憶部25に記憶される後述の閾値と、第2記憶部28に記憶されるかみ合いミスの積算回数とを参照して、上記の入力情報からブラシ12の寿命を判定する。制御部20は、判定結果を後述の出力部30に出力する。
【0018】
クランク回転数取得部21は、例えばエンジン10のクランク回転数を取得するセンサであり、取得したクランク回転数を制御部20に出力する。なお、本明細書でのクランク回転数は、エンジン10のクランクシャフトの1分間あたりの回転数(rpm)であり、クランクシャフトの回転速度を示す。
【0019】
電圧取得部22は、例えばスタータ11に接続される電圧計であり、スタータ11の電圧を常時取得する。電圧取得部22は、取得した電圧値の情報を制御部20に出力する。
【0020】
温度取得部23は、例えばエンジンの温度を取得する温度センサである。エンジンの温度は、例えば冷却水の温度やオイルの温度等から取得することができる。温度取得部23は、取得した温度の情報を制御部20に出力する。
【0021】
オイルグレード入力部24は、例えば運転者の入力に応じてオイルグレードの情報を取得する。オイルグレード入力部24は、入力を受け付けたオイルグレードの情報を制御部20に出力する。
【0022】
第1記憶部25は、例えば不揮発性の記録媒体等から構成され、ブラシ寿命時のクランク回転数を示す閾値を記憶する。上記の閾値は、エンジンの温度と、オイルグレードとの組み合わせに応じて異なる値をとる。そのため、第1記憶部25は、例えば、エンジンの温度およびオイルグレードの条件と上記条件でのブラシの寿命の閾値との対応関係を記憶する。なお、第1記憶部25に記憶される閾値は、実験等により予め求められた値である。
【0023】
以下、クランク回転数とブラシの寿命との関係を説明する。一般に、寿命に至る前のブラシを用いてエンジンを始動させる場合、エンジン始動時のクランク回転数に大きな変化は見られない。しかし、ブラシが寿命に近づくと急激にエンジン始動時のクランク回転数は低下する。
【0024】
図3は、エンジン始動時のクランク回転数とエンジンの温度との関係例を示す図である。
図3において、縦軸はエンジンのクランク回転数を示し、横軸はエンジンの始動回数を示す。また、図中の4本のラインは、4種類のエンジンの温度におけるクランク回転数とエンジンの始動回数との関係を示す。一番上のラインは、エンジンの温度が高温時(例えば90度の時)におけるクランク回転数とエンジンの始動回数との関係を示す。以下同様に、2番目のラインは常温時、3番目のラインは低温時、一番下のラインは極低温時(例えば−25度の時)における上記の関係を示す。
図3によれば、各温度において、エンジンの始動回数が一定の回数に達するまではクランク回転数は一定の値を保つが、エンジンの始動回数が一定の回数を超えるとクランク回転数が急激に低下する。
【0025】
図3において、各温度におけるクランク回転数が急激に低下しているときがブラシが寿命に達したときである。このため、第1記憶部25には、クランク回転数が低下した後のクランク回転数が上記の閾値として記憶されている。但し、
図3に示すとおり、エンジンの温度によってクランク回転数の条件がそれぞれ異なるため、第1記憶部25には、エンジンの温度に応じた複数の閾値が記憶される。例えば、
図3では、エンジンの温度が常温の場合はエンジンの始動回数が50,000回前後からクランク回転数の低下が見られる。一方、エンジンの温度が高温、低温、極低温の場合には、常温の場合よりもエンジンの始動回数が少ない時点でクランク回転数が低下している。すなわち、エンジンの温度が常温の場合はブラシの寿命が長く、高温の場合や低温の場合はブラシの寿命が短い傾向がある。
【0026】
また、同一のエンジンの温度であってもオイルグレードによってブラシの寿命は異なる傾向にある。特に低温や極低温の場合は、オイルグレードが低いとブラシの寿命が短くなる傾向がある。従って、第1記憶部25には、オイルグレードに応じて、それぞれ異なる閾値が記憶されている。
【0027】
フライホイール回転数取得部26は、例えばエンジン10のフライホイール回転数を取得するセンサであり、取得したフライホイール回転数を制御部20に出力する。なお、本明細書でのフライホイール回転数は、上記のクランク回転数と同様にエンジン10の1分間あたりのフライホイール回転数(rpm)であり、フライホイールの回転速度を示す。
【0028】
カウント部27は、エンジン10の始動時にフライホイール回転数が上がらないときにギアのかみ合いミスをカウントする。一般に、エンジン始動時には、フライホイールのリングギアにピニオンギアがかみ合い、その結果フライホイール回転数が上がっていく。しかし、ギアのかみ合いミスが発生するとスタータ電流は流れる一方、フライホイール回転数が上がらない現象が起きる。このため、例えばエンジン10を始動してから3秒間フライホイール回転数が上がらなかった場合は、制御部20はギアのかみ合いミスと判断し、カウント部27は、かみ合いミスをカウントする。そして、カウント部27は、上記のかみ合いミスのカウントを第2記憶部28に出力する。
【0029】
第2記憶部28は、例えば不揮発性の記録媒体から構成され、カウント部27より出力される所定期間におけるギアのかみ合いミスの回数を積算して記憶する。第2記憶部28では、メモリの節約等のため直近の所定期間でのかみ合いミスの回数の積算としてもよい。
【0030】
出力部30は、例えば車両のインストルメントパネル(インパネ)等に設けられるランプや音声等の公知の出力手段で構成され、制御部20の判定結果(ブラシ12の寿命の到来)を運転者に知らせる。
【0031】
次に、
図2のフローチャートを用いて一の実施形態の動作例を説明する。
図2は、一の実施形態の動作例を示すフローチャートである。
図2のフローチャートの処理は、エンジン10の始動に応じて制御部20により開始される。
【0032】
ステップS1:制御部20は、温度取得部23より現在のエンジンの温度の情報を取得する。例えば、制御部20は、エンジンの温度が90度(高温)であるとの情報を取得する。
【0033】
ステップS2:制御部20は、オイルグレード入力部24より現在のオイルグレードの情報を取得する。なお、オイルグレード入力部24は、事前に運転者等によって入力された情報をそのまま出力してもよい。
【0034】
ステップS3:制御部20は、第1記憶部25を参照し、現在のエンジンの温度及びオイルグレードに対応するブラシ寿命時のクランク回転数を示す閾値を取得する。例えば、制御部20は、第1記憶部25を参照し、現在のオイルグレードにおける現在のエンジンの温度(例えば、高温時)に対応する閾値は200回転であるとの情報を取得する。
【0035】
ステップS4:制御部20は、クランク回転数取得部21より現在のエンジン10のクランク回転数を取得する。
【0036】
ステップS5:制御部20は、電圧取得部22より、現在のスタータ電圧を取得する。
【0037】
ステップS6:制御部20は、取得したクランク回転数が上記の閾値を下回っているか否かを判定する。クランク回転数が閾値を下回っている場合(Yes側)、制御部20は処理をステップS7に移行させる。一方、クランク回転数が閾値を下回っていない場合(No側)、制御部20は処理をステップS8に移行させる。例えば、現在のオイルグレード及びエンジンの温度(例えば、高温時)におけるクランク回転数の閾値が200回転であるときに、クランク回転数が200回転を下回っている場合(Yes側)、制御部20は処理をステップS7に移行させる。一方、クランク回転数が200回転を下回っていない場合(No側)、制御部20は処理をステップS8に移行させる。
【0038】
ステップS7:制御部20は、取得したスタータ電圧が所定の電圧(電圧閾値)よりも低下しているか否かを判定する。取得したスタータ電圧が所定の電圧よりも低下している場合(Yes側)、制御部20は処理をステップS11に移行させる。一方、取得したスタータ電圧が所定の電圧よりも低下していない場合(No側)、制御部20は処理をステップS12に移行させる。
【0039】
ここで、クランク回転数が閾値を下回るときにスタータ電圧を判定するのは、電圧低下に起因するクランク回転数の低下をブラシ寿命と誤判定することを防止するためである。
【0040】
図4は、エンジン始動時のクランク回転数と電圧との関係例を示す図である。
図4の縦軸はクランク回転数または電圧を示し、横軸はエンジンの始動回数を示す。
図4の一番上のラインは、クランク回転数とエンジンの始動回数との関係を示す。
図4の真ん中のラインは、バッテリ電圧とエンジンの始動回数との関係を示す。また、
図4の一番下のラインは、スタータ電圧とエンジンの始動回数との関係を示す。なお、
図4におけるブラシ寿命時のクランク回転数の閾値は200回転であるものとする。一の実施形態では、クランク回転数と電圧との関係をクランク回転数とスタータ電圧との関係を用いて説明する。一般に、クランク回転数はスタータ電圧が落ち込むと同時に落ち込む傾向がある。すなわち、この場合は、ブラシが寿命に達したわけではなく、電圧低下の影響を受けてクランク回転数が落ち込んでいるに過ぎない。
【0041】
図4において、エンジンの始動回数が10,000回付近においてクランク回転数が閾値である200回転を下回っている。上述の通り、この場合は、ブラシ12が寿命に達したわけではなく、電圧低下の影響を受けてクランク回転が低下しているに過ぎない。このような場合は、制御部20は、取得したスタータ電圧が所定の電圧よりも低下しているとして(Yes側)、処理をステップS11に移行させる。一方、
図4において、エンジンの始動回数が50,000回付近においてもクランク回転数が閾値である200回転を下回っている。しかし、この場合のスタータ電圧は25Vを維持しており、スタータ電圧には低下が見られない。この場合は、ブラシ12が寿命に達したためクランク回転数が閾値を下回っている。このような場合は、制御部20は、取得したスタータ電圧が所定の電圧よりも低下していないとして(No側)、処理をステップS12に移行させる。
【0042】
ステップS8:制御部20は、クランク回転数が低下しているか否かを判定する。クランク回転数が低下している場合(Yes側)、制御部20は処理をステップS9に移行させる。一方、クランク回転数が低下していない場合(No側)、制御部20は処理をステップS11に移行させる。
【0043】
ステップS9:制御部20は、第2記憶部28を参照し、所定期間におけるギアのかみ合いミスの積算回数を取得する。なお、カウント部27は、エンジン10の始動時にフライホイール回転数取得部26が取得するフライホイール回転数が上がらないときはギアのかみ合いミスをカウントする。そして、所定期間におけるカウントの回数は、第2記憶部28に積算して記憶されている。
【0044】
ステップS10:所定期間におけるギアのかみ合いミスの積算回数が所定の回数(回数閾値)よりも増加している場合(Yes側)、制御部20は処理をステップS12に移行させる。一方、取得した上記の積算回数が所定の回数よりも増加していない場合(No側)、制御部20は処理をステップS11に移行させる。
【0045】
ここで、クランク回転数が低下しているときに所定期間におけるギアのかみ合いミスの積算回数を判定するのは、クランク回転数が閾値を下回っていないにもかかわらずブラシが寿命に達している場合の誤判定を防止するためである。
【0046】
図5は、エンジン始動時のクランク回転数と所定期間におけるギアのかみ合いミスの積算回数との関係例を示す図である。
図5の縦軸はクランク回転数または所定期間におけるギアのかみ合いミスの積算回数を示し、横軸はエンジンの始動回数を示す。
図5の上のラインは、クランク回転数とエンジンの始動回数との関係を示す。
図5の下のラインは、所定期間におけるギアのかみ合いミスの積算回数とエンジンの始動回数との関係を示す。なお、
図5におけるブラシ寿命時のクランク回転数の閾値は200回転であるものとする。まれに、クランク回転数が低下している場合において、クランク回転数がブラシ寿命時の閾値を下回っていないにもかかわらずブラシが寿命に達していることがある。このような場合には、ブラシの寿命はギアのかみ合いミスとしても現れる。すなわち、クランク回転数が低下している場合において、所定期間におけるギアのかみ合いミスの積算回数が所定の回数よりも増加している場合は、クランク回転数がブラシ寿命時の閾値を下回っていない場合であってもブラシは寿命に達していると判定される。但し、クランク回転数が低下していない場合は、所定期間におけるギアのかみ合いミスの積算回数が所定の回数よりも増加していてもブラシは寿命に達しているわけではない。例えば、ニュートラルポジションを検知しない車両において、半クラッチのままで坂道発進を連続して失敗した場合などは、フライホイールのリングギアにピニオンギアが上手くかみ合わない。このため、ブラシの寿命に関係なく、所定期間におけるギアのかみ合いミスの積算回数が所定の回数よりも増加する。
【0047】
図5において、エンジンの始動回数が10,000回付近において所定期間におけるギアのかみ合いミスの積算回数が増加している。しかし、この場合は、クランク回転数が低下しているわけではない。これは、ただ単にフライホイールのリングギアにピニオンギアがかみ合わず、上記の積算回数が増加しているに過ぎない。このようにクランク回転数が低下していない場合は(ステップS8のNo側)、制御部20は処理をステップS11に移行させる。一方、
図5において、エンジンの始動回数が40,000回を超えた辺りにおいても所定期間におけるギアのかみ合いミスの積算回数が増加している。この場合はクランク回転数も低下しているため、ブラシ12は寿命に達している。このようにクランク回転数が低下している場合において(ステップS8のYes側)、ステップS9で取得した所定期間におけるギアのかみ合いミスの積算回数が増加している場合は(ステップS10のYes側)、制御部20は処理をステップS12に移行させる。但し、クランク回転数が低下している場合においても(ステップS8のYes側)、ステップS9で取得した所定期間におけるギアのかみ合いミスの積算回数が増加していない場合は(ステップS10のNo側)、制御部20は処理をステップS11に移行させる。
【0048】
ステップS11:制御部20は、ブラシ12は寿命ではないと判定し、
図2のフローチャートの処理を終了する。
【0049】
ステップS12:制御部20は、ブラシ12は寿命であると判定する。
【0050】
ステップS13:制御部20は、ブラシ12の寿命の到来を出力部30に出力させて
図2のフローチャートの処理を終了する。なお、ブラシが寿命に達していない場合は、出力部30には、例えばランプや音声等が何も出力されないことで、運転者はブラシがまだ寿命に達していないとの判定結果を知ることができる。
【0051】
以下、一の実施形態の作用効果を説明する。
【0052】
一の実施形態では、エンジン10のクランク回転数がブラシ寿命時のクランク回転数を示す閾値を下回るか否かで(S6)ブラシ12の寿命が判定される。このため、一の実施形態のブラシ寿命判定装置は、ブラシ12の実際の寿命をより適切に判定できる。また、これにより、ブラシ12の寿命前のブラシ12の無駄な交換やブラシ12の寿命後のスタータ11の使用による電動機等の故障を防止することができる。
【0053】
また、一の実施形態では、クランク回転数が閾値を下回り(S6のYes側)、かつ電圧が所定の電圧よりも低下している場合には(S7のYes側)、ブラシ12の寿命の判定結果が補正される(S11)。このため、一の実施形態のブラシ寿命判定装置は、ブラシ12の寿命をより正確に判定できる。
【0054】
また、一の実施形態では、エンジン10のエンジンの温度に応じて異なる閾値で(S1、S3)ブラシ12の寿命が判定される。このため、一の実施形態のブラシ寿命判定装置は、ブラシ12の寿命をより正確に判定できる。
【0055】
また、一の実施形態では、クランク回転数が閾値を下回らないが低下しており(S6のNo側、S8のYes側)、かつ所定期間におけるギアのかみ合いミスの積算回数が所定の回数よりも増加している場合には(S10のYes側)、ブラシ12の寿命の判定結果が補正される(S12)。このため、一の実施形態のブラシ寿命判定装置は、ブラシ12の寿命をより正確に判定できる。
【0056】
また、一の実施形態では、オイルグレードに応じて異なる閾値で(S2、S3)ブラシ12の寿命が判定される。このため、一の実施形態のブラシ寿命判定装置は、ブラシ12の寿命をより正確に判定できる。
【0057】
なお、一の実施形態では、ブラシ12の寿命の判定結果(ブラシの寿命の到来)を出力する出力部30をさらに備える(S13)。このため、一の実施形態のブラシ寿命判定装置では、運転者は、ブラシ12の寿命の到来を容易に正確に知ることができる。
【0058】
<実施形態の補足事項>
(1)一の実施形態では、エンジン10のクランク回転数と電圧との関係をスタータ電圧を用いて説明したが、バッテリ電圧を用いてもよい。
図4に示すように、スタータ電圧とバッテリ電圧とは同一の波形を示すためである。なお、この場合、一の実施形態の電圧取得部22は、バッテリ電圧を取得すればよい。
【0059】
(2)一の実施形態では、クランク回転数取得部21とフライホイール回転数取得部26とは別の構成として説明したが、同一の構成であってもよい。クランクシャフトの回転数はフライホイールの回転数と同一であるため、クランク回転数取得部21とフライホイール回転数取得部26とは同一の部位(センサ)で兼ねることができるためである。
【0060】
(3)一の実施形態では、
図2のステップS8において、制御部20は、クランク回転数が低下しているか否かを判定する例を説明したが、上記のステップは省略してもよい。クランク回転数が低下していない場合に所定期間におけるギアのかみ合いミスが増加するのは、上述の通り、例えば、ニュートラルポジションを検知しない車両において、半クラッチのままで坂道発進を連続して失敗した場合など特殊な場合である。このため、上記のステップを省略しても、ブラシ12の寿命をほぼ正確に判定できる。なお、一の実施形態において
図2のステップS8を省略した場合の動作例を示すフローチャートを
図6に示す。
図6のステップS6では、クランク回転数が閾値を下回っていない場合(No側)、制御部20は処理をステップS9に移行させる。
図6のフローチャートにおいて、
図2のステップS8が省略されていること以外は、
図2のフローチャートと同一である。
【0061】
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲が、その精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図する。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずであり、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物によることも可能である。