(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5722216
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】高速作動産業用昇降ドア
(51)【国際特許分類】
E06B 9/15 20060101AFI20150430BHJP
E06B 9/17 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
E06B9/15 B
E06B9/15 E
E06B9/17 M
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-523351(P2011-523351)
(86)(22)【出願日】2009年8月20日
(65)【公表番号】特表2012-500347(P2012-500347A)
(43)【公表日】2012年1月5日
(86)【国際出願番号】EP2009006051
(87)【国際公開番号】WO2010020419
(87)【国際公開日】20100225
【審査請求日】2011年4月28日
【審判番号】不服2013-23889(P2013-23889/J1)
【審判請求日】2013年12月4日
(31)【優先権主張番号】102008039144.1
(32)【優先日】2008年8月21日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508116528
【氏名又は名称】エファフレックス インゼニリング デー.オー.オー.リュブリャナ
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
(72)【発明者】
【氏名】セントユルク,マチャズ
【合議体】
【審判長】
本郷 徹
【審判官】
竹村 真一郎
【審判官】
住田 秀弘
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2007/142079(WO,A1)
【文献】
特開2006−328914(JP,A)
【文献】
特開2003−27652(JP,A)
【文献】
実開平5−15962(JP,U)
【文献】
特開平7−229372(JP,A)
【文献】
特開平2−190590(JP,A)
【文献】
特開2001−132363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B9/15
E06B9/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア開口部の両側にそれぞれ配置される2つのガイドトラック(31)と、閉鎖状態で前記ドア開口部を覆うためのセグメントアーマー(2)とを備える高速作動産業用昇降ドア(1)であって、
前記セグメントアーマー(2)は、関節方式で相互接続され、ヒンジピン(23)を介して互いに一定の角度で配置されるヒンジリンク(22)を有するヒンジストラップ(21)を備え、
前記ヒンジストラップ(21)は、前記ドア開口部の垂直間隔に相応する長さを有し、前記ガイドトラック(31)内で支持及び案内され、
前記セグメントアーマー(2)が前記ヒンジリンク(22)に設けられるスラット(24、24a)を備え、
前記関連する隣接するスラット(24、24a)の互いに対向する側方向境界部分(241)は、側断面が凸字状の凸部(243)を持ち、
前記関連する隣接するスラット(24、24a)の互いに対向する側方向境界部分(242)は、中心部分で側断面が凹字状の凹部(244)を持ち、
前記昇降ドアが閉鎖状態のとき前記凸部(243)が前記凹部(244)に挿入され、
前記凸部(243)の頭頂部と前記凹部(244)の底部との間に前記ドア開口部の幅を実質的に超えて延びるシール部材(27)が介挿され、
前記凸部(243)の側壁と前記凹部(244)の側壁(245)との間の2つのギャップ(246)は、7ミリメートルの幅を持ち、
前記凸部(243)の側壁と前記凹部(244)の側壁(245)との間に前記2つのギャップ(246)を閉鎖させるために熱の影響下で膨張する2つの防火要素(28a)を備え、ていることを特徴とする高速作動産業用昇降ドア。
【請求項2】
下端のスラット(24a)に外側シールリップを有する中空プロファイル形態の床側終結部材(29)を備え、
前記床側終結部材(29)のキャビティに防火要素(28d)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の高速作動産業用昇降ドア。
【請求項3】
前記シール部材(27)は、クロロプレンまたはシリコンのような難燃性のエラストマーで作られる請求項1又は2に記載の高速作動産業用昇降ドア。
【請求項4】
前記セグメントアーマ(2)が前記ガイドトラック(31)を備える側枠(3)に進入する領域で前記セグメントアーマ(2)の両側に防火要素(28b)が配置されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の高速作動産業用昇降ドア。
【請求項5】
前記セグメントアーマ(2)が巻き取りケース(4)に進入する領域で、前記スラット(24)の両側に防火要素(28c)が配置されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の高速作動産業用昇降ドア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降ドアまたはゲートに関し、特に、高速
作動産業用ドアに関し、ドア開口部の両側にそれぞれ配置される2つのガイドトラックと、閉鎖位置でドア開口部を覆うためのセグメントアーマー(segmented armor)とを備え、前記セグメントアーマーは、関節方式で相互接続され、ヒンジピンを介して互いに対して一定の角度で配置可能なヒンジリンクを有するヒンジストラップを備え、前記ヒンジストラップは、ドア開口部の垂直間隔に相応する長さを有し、前記ヒンジストラップは、前記ガイドトラック内で支持及び案内され、前記セグメントアーマーは、ヒンジリンクに結合するスラットをさらに備える。
【背景技術】
【0002】
このようなドアは、例えば、
WO91/18178号に開示されている。この文献に記載されたドアは、秒速3メートルまでの高速作動に適合し、閉鎖状態で風や天候に対する優れた密閉機能を提供するだけでなく、不正開放を防止するセキュリティ機能を提供する。さらに、前記公知の昇降ドアは、開閉過程での騷音少なく動くことができる。前記ドアは、実際条件で幅広く採用されている。
【0003】
この場合、ヒンジストラップがセグメントアーマーに対する支持構造を形成し、昇降ドアの開閉中に発生するすべての力を吸収するということが、特に有利であると確認された。これらのヒンジストラップがガイドトラック内で同時に支持及び案内されるため、動作の進路が不規則または不均一になることなく、昇降ドアの超高速作動が可能になる。この既知の昇降ドアの高速動作特性は、セグメントアーマーが、適切に経路が設定されたガイドトラックの部分によって決定される螺旋形態でドアのまぐさ領域において接触なく案内されるという事実により、さらに裏付けられている。
【0004】
各スラットは、各々の隣接するスラットがヒンジストラップにより互いに一定の角度で配置されるように、ヒンジストラップのヒンジリンクに互いに間隔をおいて設けられる。この公知の例において、ヒンジストラップのヒンジピンが係合する隙間が隣接するスラットの空間内に形成される。スラット間の空間内に各ヒンジの回動軸を設けることは、一方では、隣接するスラット間の角度間隔を最小化し、他方では、上部ガイドトラックに進入する際の傾斜加速度を最小化する。このことは、傾斜移動中に低い加速力をもたらし、それによって可能になった昇降ドアの高い移動速度をもたらす。
【0005】
この従来の昇降ドアの隣接するスラットには、ドアの略全幅にわたって、風に対する密閉機能を提供し、雨水及びホコリの浸透を防止する各々のシールストリップが供給される。このほかにも、前記シールストリップは、スラット同士の機械的安定性も提供する。結果的に、セグメントアーマーは、膨張または変形することなく、閉鎖位置でより高い風荷重に耐えられるようになる。これらのシールストリップは、2つの隣接するスラットの互いに対向する側方向境界部分でそれに相応して構成された凹部に係合する凸部を含む。
【0006】
WO91/18178号に記載の昇降ドアは、高速産業用ドアとして幅広く採用されてきたが、防火機能においては非常に不十分であった。他方では、高い耐火効果を有する閉鎖空間を作ることを目指した防火ドアアセンブリが知られている。耐火特性を評価するために、3つの基準が定義される。一方で、防火ドアアセンブリは、火災発生時にも空間閉鎖状態を維持できるように十分な固有安定性を有しなければならない。別の基準は、火炎伝播またはフラッシュバックに対する抵抗、すなわち、火炎がドアの向かい側に伝播するまでの時間である。3つ目の基準として、防火吊り下げの断熱効果が考慮されるが、これによれば、火から離れて面している側の温度が一定の時間範囲内で所定の値を超えることは許容されない。この要求を満たせるようにするために、従来の防火ドアアセンブリは比較的高い重量を有し、従って非常にゆっくりとしか動作できなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、高速作動に適合するとともに、防火特性を備える、改善された昇降ドアを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、隣接する2つのスラットの互いに対向する側方向境界部分が、前記昇降ドアが閉鎖された状態で互いに係合し
て曲折シール(labyrinth seal)を形成するように、相補的な方式で構成されるということで格別に特徴づけられ、請求項1の特性を有する昇降ドアにより達成される。
【0009】
隣接するスラットの互いに対向する側方向境界部分に、本発明によりこのように提供される曲折シール方式の密封により、セグメントアーマーの一方側から他方側へのガスの流れに耐え、このようなガスの移動を抑制する力が生成される。これにより、ガスは、セグメントアーマーを線形的に貫通するのではなく、曲折におけるのと同様に、屈折して減速するか、または停止される。
【0010】
これと同時に、セグメントアーマーを介した直線経路が遮断されるため、火災発生時に火炎伝播が抑制される。
【0011】
昇降ドアのスラットは、通常、金属、好ましくはアルミニウムで作られるため、温度に対する耐性が高く、これにより、火災発生時に効果的なドア閉鎖状態が得られる。
さらに、2つの側方向境界部分の相互係合は、2つの互いに隣接するスラットの任意のずれを効果的に抑制する。これは、各々のスラットが互いに異なる熱の影響にさらされ、これにより、互いに異なる程度の曲げ変形を受けた際に特に重要である。本発明によれば、この場合にもセグメントアーマーは、一貫して結合したユニットとして維持され、火炎の伝達を防止するために効果的なドア閉鎖状態を形成する。
【0012】
本発明の昇降ドアの有利な発展が従属クレーム2〜
5の内容である。
【0013】
したがって、スラットの前記側方向境界部分が側断面の
凸部を提供され、関連する隣接したスラットの前記側方向境界部分がその中心部分で凹部のある側断面を有し、前記昇降ドアが閉鎖状態のとき前記
凸部が前記凹部にぴったりと係合するようになる。この意味では、簡単な構造的手段で2つの隣接するスラットの側方向境界部分の有利な相補的形状を得ることができる。
【0014】
前記ドア開口部の幅を実質的に超えて延びるシール部材が、隣接するスラットに対向するスラットの少なくとも1つの側方向境界部分に配置されると、火災発生時にガスの移動の可能性は遥かに信頼性高く抑制される。このようなシール部材は、風に対するセグメントアーマーの密封をさらに支援する。したがって、簡単な構造的手段により、閉鎖及び防火特性がすべて向上する昇降ドアを提供することが可能である。
【0015】
前記シール部材は、難燃性のエラストマーで作られるという事実のため、火災負荷に特によく耐えることができ、これにより、本発明の昇降ドアの防火性能が向上する。この目的のための好適な材料は、例えば、クロロプレンまたはシリコンである。
【0016】
熱の影響下で膨張し、隣接するスラットの前記側方向境界部分間のギャップを閉鎖させる材料の少なくとも1つの防火要素が、隣接するスラットに対向するスラットの少なくとも1つの側方向境界部分に設けられると、さらに有利である。こうすることで、セグメントアーマーの一方側の他方側に対する信頼性高い遮蔽が達成される。したがって、例えば、昇降ドアの一方側に貯蔵された可燃性物体は、ドアの他方側にある火災源の放射エネルギーからより信頼性高く遮蔽される。こうすることで、本発明の昇降ドアの防火機能はさらに改善される。前記昇降ドアは、同時に構成上の複雑度が低く、かつ公知の材料を使用することにより、実現される。実際には、例えば、TENMAT GmbH社の「ファイアフライ(FIREFLY)」製品群の材料が防火要素に特に適合していることが確認された。したがって、例えば、「FIREFLY102」は、火事で当初の厚さの25倍に膨張し、信頼できる方式で開口部を閉鎖することができる。
【0017】
少なくとも2つの防火要素が、隣接するギャップ領域に配置されるか或いはセグメントアーマーの主表面に対向するとしても、少なくとも1つの側方向境界部分に設けられると。火災源が存在する側に関係なく、昇降ドアの他方側のために信頼性高い遮蔽を行うことが可能である。さらに、この場合、前記防火要素は、火災時に連続的に効力を発揮し、本発明の昇降ドアの安定性を向上させるようになる。
【0018】
ここで、前記側方向境界部分において、前記
凸部と前記凹部の側壁との間のギャップが、少なくとも3ミリの幅を有すると特に有利であることが確認された。一方、これは、例えば、ドアのまぐさ領域内にある螺旋部分において、各スラットが損傷することなく、互いに傾斜できるようにする十分な空間を提供し、他方では、ギャップを狭く維持することにより、曲折シールを介した高温ガスなどの移動をできるだけ信頼性高く抑制することを可能にする。特に、高速動作の場合には、このギャップが少なくとも5ミリの幅を有すると有利であることが確認され、特に少なくとも7ミリの幅を有すると有利であることが確認された。熱の影響下で膨張し、さらに7ミリまたはそれ以上のギャップまで埋め込められる防火要素が、2つの関連するスラット間の領域に存在すると、このギャップの幅はさほど重要なものではない。
【0019】
他の実施例において、本発明の昇降ドアは、好ましくは難燃性のエラストマー製の床側終結部材を備えることができる。この場合、熱の影響下で膨張し、所定の状況で最下端スラットと床との間のギャップを閉鎖させる材料からなる少なくとも1つの防火要素が前記終結部材に配置される。このように、本発明の昇降ドアでは、信頼できる床側の閉鎖がより一層達成され、高温ガスの移動または火炎伝播が回避される。仮に、難燃性のエラストマーが終結部材として使用されると、この効果はさらに高くなる。しかし、前記終結部材が熱の影響に耐えられなくなった後でも、防火要素の発泡または膨張により、この領域で信頼できる閉鎖を行うことが可能である。
【0020】
前記終結部材が中空プロファイルの形態を有し、少なくとも1つの防火要素が前記終結部材のキャビティに設けられることも可能である。一般的な動作過程において、前記防火要素は、終結部材内で保護される方式で配置され、前記終結部材は、この終結部材が熱の影響によって破壊されて、本発明の昇降ドアで床側のギャップが生成されるリスクがあった際にはじめて効力を発揮する。これにより、本発明の昇降ドアの防火機能はさらに向上する。
【0021】
本発明は、以下で図によってより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図2】本発明の
高速作動昇降ドアの側断面図である。
【
図3】本発明の
高速作動昇降ドアの平断面図である。
【
図4】本発明の
高速作動昇降ドアのセグメントアーマーを詳細に示す断面図である。
【
図5】
図4において2つの隣接するスラットの互いに対向する側方向境界部分を含む部分の詳細図である。
【
図8】ドアのまぐさにある巻取ケースの断面図である。
【
図9】
図8においてセグメントアーマーが巻取ケースに進入する領域を含む部分の詳細図である。
【
図10】
セグメントアーマーの床側終結部材の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1〜
図3は、高速産業用ドアとして実施される昇降ドア1の三方視図を示す。昇降ドア1は、一方側の側枠3で保持かつ案内されるセグメントアーマー2の形態を有するドアリーフと、ドアのまぐさ領域内に配置され、ドアリーフが開放された状態で前記セグメントアーマー2を収容する巻取ケース4とを備える。
【0024】
さらに、図示するように、2つの側枠3内には、ガイドトラック31が配置されるが、前記ガイドトラック31は、ドア開口部領域で垂直に延びており、巻取ケースの内部で螺旋状に延びている。結果的に、昇降ドア1が開放状態にあるとき、セグメントアーマー2は、巻取ケース4内で接触しないように配置可能である。
【0025】
さらに、
図4に詳細が示されるように、セグメントアーマー2は、各々がガイドトラック31に隣接するように、セグメントアーマー2において側方向に配置されるヒンジストラップ21を備える。
図4には、前記ヒンジストラップ21のうち1つのみを明確にした。前記ヒンジストラップ21は、ヒンジピン23により関節方式で相互接続され、これにより、互いに一定の角度で配置されるヒンジリンク22を含む。
【0026】
さらに、セグメントアーマー2は、ヒンジリンク22に設けられて固定される複数のスラット24(
図6を参照)を備える。特に、
図4、
図5及び
図7から明らかなように、各スラット24は、その縦端でガイドローラ26を支持するローラ軸25と結合している。これらのガイドローラは、ガイドトラック31に係合する。したがって、ヒンジストラップ21は、ガイドトラック31で間接的に支持かつ案内される。本例において、スラット24は、例えば、アルミニウム合金で作られる。
【0027】
昇降ドア1は、その構成に限り、例えば、WO91/18178号に記載された従来の高速産業用ドアに相当する。
【0028】
図5は、隣接するスラット24の互いに対向する側方向境界部分の構成をより詳細に示す。このように、下部スラット24の上部側方向境界部分241は、上部スラット24の下部側方向境界部分242にぴったりと係合する。このため、上部側方向境界部分241に
凸字状の凸部243が形成されている。
凸部243の上端部には、クロロプレン材料製のシール部材27が配置され、
凸部243の実装溝内に固定されている。前記クロロプレン材料は、難燃性を有するため、優れた防火特
性で特徴づけられる。下部側方向境界部分242は、2つの側壁245で横方向に制限される
凹字状の凹部244を含む。
図6は、このようなスラット24の横断面形状を示す。
【0029】
図5の表示によれば、
凸部243と側壁245は、各々の関連する側方向境界部分が重なり、このため、この位置で、曲折シール方式により、空気、特に、加熱された空気のようなガスの移動を妨害する曲折を形成する。シール部材27の提供により、昇降ドア1の閉鎖状態でガスの移動が完全に抑制される。このため、前記シール部材27は、セグメントアーマー2のまたはドア開口部の全幅をそれぞれ実質的に超えて延びる。
【0030】
凸部243と凹部244の各側壁245との間には、このような曲折シールの密閉特性を本質的に決定するギャップ246が備えられる。
凸部243のいずれか一方の側で前記ギャップ246の幅が狭いほど、例えば、風負荷による空気の流れを許容する傾向が減少する。しかし、一方では、各スラット24が巻取ケース内で損傷することなく互いに傾斜し、これにより、螺旋状コイルが形成されるようにするためには、一定の最小の間隔が有利である。実際に、傾斜するスラット24が、損傷を高速動作中にでも確実に防止するためには、
凸部243のいずれか一方の側で、例えば、7mmの幅を有するギャップが特に適切であることが確認された。ここで、セグメントアーマー2が巻取ケース4内にあるコイルに、例えば、3m/secのドアリーフ速度で進入する間に、相当な動的な力が発生することが想定された。これは、ドアの幅を横切って見たとき、特に、セグメントアーマー2の中心領域に弾性変形現象の出現をもたらすが、この変形は、隣接するスラット24の重なり領域における十分なギャップ幅により、何らのリスクなく調和される。
【0031】
それにもかかわらず、火災発生時に、隣接する2つのスラット24間のこの境界領域で信頼性高い閉鎖を行うために、本実施例においては、
凸部243の両側面に防火要素28aが配置される。これらの防火要素は、熱の影響下で現存するギャップを埋めるために膨張する材料で作られ、したがって、火災を抑制する。好適な材料は、例えば、火災発生時に当初の厚さの25倍に膨張する「FIREFLY102」である。
図5の表示に関して、防火要素28aは、実質的に長方形断面を有し、昇降ドア1のドア全幅を実質的に超えて延び、ストリップ形状の構造を有するようになる。
【0032】
したがって、火災発生時にシール部材27が作動しない場合であっても、2つのスラット24間のギャップの確実な閉鎖が可能であり、火炎の移動が信頼できる方式で防止される。
【0033】
図7は、側枠3の領域を詳細に示す平面図である。この図には、セグメントアーマー2がどのようにガイドトラック31に係合し、ローラ軸25及びガイドローラ26の補助下で保持されているかを示している。
【0034】
図7に示す通り、セグメントアーマー2が側枠3に進入する領域において、セグメントアーマー2の両側に防火要素28bがさらに配置されている。前記防火要素28bは、火災時に熱の影響下で膨張し、側枠3とセグメントアーマー2との間のギャップを充填する材料で作られている。これにより、火災時に側枠3の領域での高温ガスの移動までを確実に抑制することが可能である。防火要素28bとして好適な材料は、再び例えば「FIREFLY102」である。他の側枠3は、
図7に示す側枠と同様に構成され、同じく防火要素を備える。
【0035】
図8は、セグメントアーマー2が巻取ケース4に進入する領域を示す。
図9に、より詳細に示すように、防火要素28a、28bと同様に構成され、火災時にドアのまぐさ領域を密閉させる機能を果たす防火要素28cが配置される。したがって、ここでも、高温ガス、火炎などに対する安全な遮断が可能である。
【0036】
図10には、セグメントアーマー2の下部が示されている。同図から明らかなように、最下端スラット24aの次には終結部材29が続く。このため、最下端スラット24aの下部側方向境界部分は、他のスラット24とは異なる構成を有する。前記最下端スラット24aは、終結部材29の締結部のための受容溝を含む。本実施例において、終結部材29は、順番に使用されるクロロプレンを含めて難燃性のエラストマーで形成される。
【0037】
さらに、
図10から明らかなように、前記終結部材29は、付加的な外側シールリップを備える中空プロファイルの形状を有する。中空プロファイルに形成される内部自由空間には、防火要素28dがさらに設けられる。前記防火要素28dは、熱の影響下で膨張し、自由空間を充填して火炎を防止する「FIREFLY102」のような材料で製作される。これは、火災時に終結部材29が熱の影響により破壊されたとしても、昇降ドアの床領域で確実な遮断を可能にする。したがって、最下端スラット24aと床5との間へのギャップの形成を防止することができる。
【0038】
したがって、
高速作動昇降ドア1は、高速動作特性を示すだけでなく、防火ドアとしても活用される。ビル内で火災が発生すると、
高速作動昇降ドア1を下ろすか閉鎖することにより、火の拡大が確実に阻止される。この方式により、ビルの個別セクションが他のセクションから遮断される。
【0039】
高速作動昇降ドア1の一方の側で強力な熱が発生することにより、セグメントアーマー2の各スラット24が曲げられるとしても、この防禦効果は維持される。このような曲げは、セグメントアーマー2の両側での異なる温度で引き起こされ、したがって、異なる伸びの部材をもたらす。しかし、スラット24が正確に係合するため、2つの隣接するスラット間に引き起こされるずれのリスクはない。したがって、セグメントアーマー2内での結合状態は永久的に維持される。
【0040】
前記実施例のほか、本発明はさらなる設計変更を許容する。
【0041】
例えば、シール部材27は、2つのスラット24の隣接領域において異なる位置に配置されてもよい。例えば、シール部材27が凹部244内に配され、このため、上部スラット24に設置される。さらに、前記シール部材27は、
凸部の側面に位置することもできる。このような類型の様々なシール部材を活用することも可能である。
【0042】
シール部材27のための材料としては、特別な防火特性を有していない従来のラバーなどであってもよい。
【0043】
各々の防火要素28a〜28dは、それらを使用している間に所望の防火効果を達成する限り、各々の領域でいずれかの他の位置に配置されてもよい。したがって、例えば、前記防火要素28aは、凹部244の側壁
245上に配置されてもよい。さらに、終結部材29の領域における防火要素28dの数は、図示する数、4個と異なってもよい。さらに、これらの防火要素は、終結部材29の外部に配置されてもよい。特定の応用分野では、これらの防火要素28a〜28dを部分的または全体的に省略することも可能である。
【0044】
他の変形例においては、ヒンジピンがローラ軸の機能をさらに受け持つことができ、このため、後者が省略される。この場合、ヒンジストラップは、ガイドトラック31内で直接案内される。
【0045】
2つのスラット24の隣接する領域にある曲折は、上述した
凸部/凹部型の配置ではない、他の方式で形成されてもよい。この領域において、セグメントアーマーを介した直接的な移動経路が遮断さ
れる限り、他の幾何学的構成が直接適用可能である。