【実施例】
【0153】
以下、本発明の効果を確認するために行った実施例について説明する。
ホスト材料の合成
使用したホスト材料(ホスフィンオキシド誘導体:上記の式A〜Qで表されるもの)のうち国際公開第2005/104628号パンフレットに記載のものは、同パンフレットに記載の方法にしたがい合成した。
【0154】
ゲスト材料の合成
[I][ビス(2−フェニルピリジナト−N,C
2’)−モノ(2−(4−ジフェニルホスホリルフェニル)ピリジナト−N,C
2’)]イリジウム(III)(Ir(ppy)
2(pdppy))の合成
【0155】
(I−1)4−ブロモフェニルジフェニルホスフィンオキシド(pBrdppo)の合成
【0156】
【化45】
【0157】
マグネシウム2.16g(88.9mmol)にTHF 5mLを加え、0℃で1,4−ジブロモベンゼン22g(93.2mmol)のTHF溶液を滴下した。マグネシウムがなくなるまで撹拌し、THF40mLを加えさらに1時間撹拌した。0℃に冷却し、ジフェニルホスフィン酸クロリド15.7mL(84.5mmol)を滴下した。室温で一晩撹拌した。反応終了後、1N塩酸で加水分解した。ジクロロメタンで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。有機層を濃縮し、充填剤シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール〉により精製した。この溶液を濃縮し、シクロヘキサンで再結晶した。FAB−MSによりm/z=357({M]
+)を確認した。
収量:13.4g、収率:44.2%
【0158】
(I−2)2−[(4−ジフェニルホスホリル)フェニル]ピリジン(pdppy)の合成
【0159】
【化46】
【0160】
室温でpBrdppo(上記I−1で合成)4.28g(12mmol)のTHF(12mL)溶液にイソプロピルマグネシウムクロライド(iPrMgCl)(2Mジエチルエーテル溶液)7mL(14mmol)を滴下して、2時間撹拌した。[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル(II)(Ni(dppp)Cl
2)0.22g(0.4mmol)、2−ブロモピリジン1.55mL(16mmol)を加え、48時間環流した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え反応溶液をクエンチした。ジクロロメタンで2回抽出し、有機層に6N塩酸を加え、2回抽出した。水層を中和し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶液を濃縮し、充填剤シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)により分離した。この溶液をエバボレーターにより濃縮し、シクロヘキサンで再結晶した。FAB−MSによりm/z=356([M+1]
+)を確認した。
収量:2.04g、収率:47.9%
【0161】
(I−3)テトラキス(2−フェニルピリジナト−N,C
2’)(μ−ジクロロ)ジイリジウム(III)([Ir(ppy)
2Cl]
2)の合成
【0162】
【化47】
【0163】
2−フェニルピリジン0.25g(1.6mmol)、塩化イリジウム0.23g(0.66mmol)に2−エトキシエタノール(10mL)、水3mLを加え、一晩環流させた。反応終了後、室温まで冷却し、水を加え生成物を沈殿させた。沈殿物をろ過した。FAB−MSによりm/z=536([M/2]
+)、499([(M−Cl)/2−1]
+)を確認した。
収量:0.32g、収率:90.1%
【0164】
(I−4)[ビス(2−フェニルピリジナト−N,C
2’)−モノ(2−(4−ジフェニルホスホリルフェニル)ピリジナト−N,C
2’)]イリジウム(III)(Ir(ppy)
2(pdppy))の合成
【0165】
【化48】
【0166】
[Ir(ppy)
2Cl]
2(上記I−3で合成)0.54g(0.5mmol)、pdppy(上記I−2で合成)0.5g(1.4mmol)、炭酸カリウム0.34g(2,5mmol)、トリフルオロメタンスルホン酸銀0.32g(1.23mmol)にエチレングリコール13mLを加え一晩環流した。反応終了後、ジクロロメタンを加え、セライトを用いてろ過し、不純物を除いた。ろ液を濃縮し、充填剤シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)で精製した。FAB−MSによりm/z=855([M]
+)を確認した。
粗収量:0.27g、粗収率:31.8%
【0167】
[II][モノ(2−フェニルピリジナト−N,C
2’)−ビス(2−(4−ジフェニルホスホリルフェニル)ピリジナト−N,C
2’)]イリジウム(III)(Ir(ppy)(pdppy)
2)の合成
【0168】
(II−1)テトラキス(2−(4−ジフェニルホスホリルフェニル)ピリジナト−N,C
2’)(μ−ジクロロ)ジイリジウム(III)([Ir(pdppy)
2Cl]
2)の合成
【0169】
【化49】
【0170】
pdppy(上記I−2で合成)0.29g(0.82mmol)、塩化イリジウム0.12g(0.33mmol)に2−エトキシエタノール(5mL)、水1.5mLを加え、一晩環流させた。反応終了後、室温まで冷却し、水を加え生成物を沈殿させた。沈殿物をろ過した。FAB−MSによりm/z=937([M/2]
+)、901([(M−Cl)/2]
+)を確認した。
収量:0.28g、収率:90.6%
【0171】
(II−2)[モノ(2−フェニノレピリジナト−N,C
2’)−ビス(2−(4−ジフェニルホスホリルフェニル)ピリジナト−N,C
2’)]イリジウム(III)(Ir(ppy)(pdppy)
2)の合成
【0172】
【化50】
【0173】
[Ir(pdppy)
2Cl]
2(上記II−1で合成)0.19g(0.1mmol)、2−フェニルピリジン0.04mL(0.28mmol)、炭酸力リウム0.076g(0.51mmol)トリフルオロメタンスルホン酸銀0.063g(0.25mmol)にエチレングリコール2.6mLを加え、一晩環流させた。反応終了後、冷却しクロロホルムを加え、セライトを用いてろ過し不純物を除いた。溶液を濃縮し、充填剤シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)で目的物を分離した。FAB−MSにより1054([M−1]
+)、1056([M+1]
+)を確認した。
粗収量:0.13g、粗収率:61.9%
【0174】
[III][トリス(2−(4−ジフェニルホスホリルフェニル)ピリジナト−N,C
2’)]イリジウム(III)(Ir(pdppy)
3)の合成
【0175】
【化51】
【0176】
[Ir(pdppy)
2Cl]
2(上記II−1で合成)0.76g(0.406mmol)、pdppy(上記I−2で合成)0.41g(0.15mmol)、炭酸カリウム0.29g(2.09mmol)にエチレングリコール11mL加え、200℃で32時間撹拌した。反応終了後、ジクロロメタンを加え、セライトでろ過した。ろ液をエバボレーターにより濃縮し、充填剤シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)により分離した。FAB−MSにより1257([M+2]
+)を確認した。
粗収量:0.3g、粗収率:30%
【0177】
[IV][ビス(2−フェニルピリジナト−N,C
2’)−モノ(2−(3−ジフェニルホスホリルフェニル)ピリジナト−N,C
2’)]イリジウム(III)(Ir(ppy)
2(mdppy)の合成
(IV−1)mdppyの合成(ジフェニルホスフィン酸クロリドを使った合成方法)
【0178】
(IV−1−1)3−ブロモジフェニルホスフィンオキシド(mBrdppo)の合成
【0179】
【化52】
【0180】
マグネシウム0.24g(10mmol)にTHF 0.6mLを加え、0℃で1,3−ジブロモベンゼン2.45g(10.4mmol)のTHF溶液を滴下した。マグネシウムがなくなるまで撹搾し、THF 4mLを加えさらに1時間撹拌した。0℃に冷却し、ジフェニルホスフィン酸クロリド1.83mL(9.5mmol)を滴下した。室混で一晩撹拌した。反応終了後、10%塩酸で加水分解した。ジクロロメタンで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶液を濃縮し、充填剤シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)により精製した。この溶液を濃縮し、シクロヘキサンで再結晶した。FAB−MSによりm/z=357([M]
+)を確認した。
収量:0.82g、収率:23.0%
【0181】
(IV−1−2)2−[(3−ジフェニルホスホリル)フェニル]ピリジン(mdppy)の合成
【0182】
【化53】
【0183】
室温でmBrdppo(上記IV−1−1で合成)3.21g(9mmol)のTHF(9mL)溶液にiPrMgCl(2M ジエチルエーテル溶液)5.25mL(14mmol)を滴下して、2時間撹拌した。Ni(dppp)Cl
2 0.16g(0.3mmol)、2−ブロモピリジン1.16mL(12mmol)を加え、48時間環流した。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、反応をクエンチした。ジクロロメタンで2回抽出し、有機層を6N塩酸で2回抽出した。水層を中和し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。エバポレーターで濃縮し、充填剤シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)により精製した。この溶液をエバボレーターにより濃縮し、シクロヘキサンで再結晶した。FAB−MSによりm/z=356([M+1]
+)を確認した。
収量:0.36g、収率:11.5%
【0184】
(IV−1’)mdppyの合成(クロロジフェニルホスフィンを使った合成方法)
(IV−1’−1)3−ブロモジフェニルホスフィンオキシド(mBrdppo)の合成
【0185】
【化54】
【0186】
マグネシウム2.16g(88.9mmol)にTHF 5mLを加え、0℃で1,3−ジブロモベンゼン17.5g(74.1mmol)のTHF溶液を滴下した。マグネシウムがなくなるまで撹拌し、THF40mLを加えさらに1時間撹拌した。0℃に冷却し、クロロジフェニルホスフィン15.7mL(84.5mmol)を滴下した、室温で一晩撹拌した。反応終了後、1N塩酸で加水分解した。ジクロロメタンで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。エバボレーターで濃縮後、クロロホルム(アミレン添加品)に溶解させ、冷却しながら、30%過酸化水素水をゆっくり滴下し、一晩撹拌した。水で洗浄後、飽和亜硫酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶液を濃縮した。充填剤シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)により分離した。この溶液を濃縮し、シクロヘキサンで再結晶した。FAB−MSによりm/z=357([M]
+)を確認した。
収量:4.84g、収率:18.3%
【0187】
(IV−1’−2)2−[(3−ジフェニルホスホリル)フェニル]ピリジン(mdppy)の合成
(IV−1−2)と同様の反応で合成した。
【0188】
(IV−1”)mdppyの合成(suzuikiカップリングによる合成方法)
(IV−1”−1)2−(3−ブロモフェニル)ピリジン(2(3BrPh)py)の合成
【0189】
【化55】
【0190】
2−ブロモピリジン1,82g(11.5mmol)、3−ブロモフェニルボロン酸1.54g(7.68mmol)、酢酸パラジウム(Pd(OAc)
2)0.043g(0.19mmol)、炭酸カリウム2.93g(21.2mmol)、トリフェニルホスフィン0.20g(0.78mmol)に1,2−ジメトキシエタン16mL、水9.6mLを加え、一晩反応させた。反応終了後、ジクロロメタンで2回抽出し、次いで有機層に6N塩酸を加え2回抽出した。水層を中和して、ジクロロメタンで3回抽出した。エバポレーターで濃縮した。充填剤シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン〉により精製した。溶液を濃縮した。FAB−MSによりm/z=235([M+1]
+)を確認した。溶媒等含んでいると考えられるが、次の反応に使用した。
粗収量:1.88g、粗収率:104%
【0191】
(IV−1”−2)2−(3−ジフェニルホスホリル)ピリジン(mdppy)の合成
【0192】
【化56】
【0193】
2(3BrPh)Py(上記IV−1”−1で合成)1.8g(7.68mmol)、ジフェニルホスフィンオキシド1.86g(9.2mmol)、Pd(OAc)
2 0.12g(0.54mmol)、1,3−ジフェニルホスフィノプロパン(DPPP)0.32g(0.77mmol)DMSO 19mLを加えて撹拌した。さらにN−エチルジイソプロピルアミン(DIEA)7.29mL(42.6mmol)を加えて、100℃で一晩反応させた。反応終了後、ジクロロメタンで有機層を抽出した。有機層に6N塩酸を加え2回抽出し、抽出した水層を中和して、ジクロロメタンで3回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶液を濃縮し、充填剤シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)で分離し、シクロヘキサンで再結晶した。FAB−MSによりm/z=356([M+1]
+)を確認した。
収量:0.77g、収率:28.3%
【0194】
(IV−2)[ビス(2−フェニルピリジナト−N,C
2’)−モノ(2−(3−ジフェニルホスホリルフェニル)ピリジナト−N,C
2’)]イリジウム(III)(Ir(ppy)
2(mdppy))の合成
【0195】
【化57】
【0196】
[Ir(ppy)
2Cl]
2(上記I−3で合成)0.43g(0.4mmol)、mdppy(上記IV−1で合成)0.4g(1.1mmol)、炭酸カリウム0.29g(2.1mmol)にエチレングリコール1mLを加え一晩環流した。反応終了後、ジクロロメタンを加え、セライトを用いてろ過し、不純物を除いた。ろ液を濃縮し、充填剤シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)で分離した。FAB−MSによりm/z=855([M]
+)を確認した。
粗収量=0.33g、粗収率:48.5%
【0197】
[V]トリス[(1−(4−ジフェニルホスホリル)イソキノリナト−N,C
2’)]イリジウム(III)(Ir(pdpiq)
3)の合成
【0198】
(V−1)1−(4−ジフェニルホスフィンオキシド)イソキノリン(pdpiq)の合成
【0199】
【化58】
【0200】
室温で4−ブロモフェニルジフェニルホスフィンオキシド10.7g(30mmol)のTHF(30mL)溶液にiPrMgCl(2M ジエチルエーテル溶液)17mL(34mmol)滴下した。2時間撹拌した。1−クロロイソキノリン5.89g(36mmol)、Ni(dppp)Cl
2 0.54g(1mmol)を加え、48h環流させた。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液で反応をクエンチした。ジクロロメタンで抽出し、有機層に6N塩酸を加え2回抽出した。水層を中和し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。充填剤シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)にて精製した。FAB−MSによりm/z=406([M]+を確認した。シクロヘキサンで再結晶した。
収量:2.30g、収率:18.8%
【0201】
(V−2)テトラキス(1−(4−ジフェニルホスホリル)イソキノリナト−N,C
2’)(μ−ジクロロ)ジイリジウム(III)([Ir(pdpiq)
2Cl]
2)の合成
【0202】
【化59】
【0203】
pdpiq(上記V−1で合成)1.3g(3.2mmol)、塩化イリジウム0.42g(1.2mmol)に2−エトキシエタノール20mL、水6mLを加え、撹拌しながら一晩環流させた。反応終了後、室温まで冷却し水を加え生成物を沈殿させた。沈殿物をろ取し、水で洗浄し、乾燥させた。
収量:1.24g、収率:100%
【0204】
(V−3)ビス(アセトニトリル)ビス[(1−(4−ジフェニルホスホリル)イソキノリナト−N,C
2’)]イリジウム(III)テトラフルオロボレート(Ir(dppiq)
2(CH
3CN)
2BF
4)の合成
【0205】
【化60】
【0206】
[Ir(dpiq)
2Cl]
2(上記V−2で合成)1.24g(0.60mmol)、テトラフルオロホウ酸銀0.26g(1.35mmol)にアセトニトリル34mLを加えて6時間環流させた。反応終了後、ろ過により白色沈殿物を取り除き、溶液をエバボレーターで濃縮した。
収量:1.37g、収率=98.6%
【0207】
(V−4)トリス[(1−(4−ジフェニルホスホリル)イソキノリナト−N,C
2’)]イリジウム(III)(Ir(pdpiq)
3)の合成
【0208】
【化61】
【0209】
[Ir(piq)
2(CH
3CN)
2]BF
4(上記V−3で合成)1.33g(1.14mmol)、pdpiq(上記V−1で合成)1.38g(3,4mmol)にプロピレングリコール40mLを加え160℃で反応させた。反応終了後、ジクロロメタンで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶液をエバボレーターで濃縮し、充填剤シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)で精製した。FAB−MSによりm/z=1408([M+3]
+)を確認した。
粗収量:1.25g、粗収率:78.1%
【0210】
[VI]トリス[(1−(3−ジフェニルホスホリル)イソキノリナト−N,C
2’)]イリジウム(III)(Ir(mdpiq)
3)の合成
【0211】
(VI−1)1−(3−ブロモフェニル)イソキノリン(mBrpiq)の合成
【0212】
【化62】
【0213】
3−ブロモフェニルボロン酸1.83g(15mmol)、1−クロロイソキノリン3.69g(22.5mmol)にトルエン15mL、エタノール75mLおよび2M炭酸ナトリウム水溶液15mLを加えアルゴン雰囲気下で撹拌した。Pd(PPh
3)
4 0.63g(0.55mmol)を加え、一晩環流撹拌した。反応終了後、室温まで冷却し、水、トルエンを加えて抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させた。充填剤シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ジクロロメタン)で精製した。FAB−MSによりm/z=206([M]
+)を確認した。
粗収量:3.04g、粗収率:71.4%
【0214】
(VI−2)1−(3−ジフェニルホスホリルフェニル)イソキノリン(mdpiq)の合成
【0215】
【化63】
【0216】
mBrpiq(上記VI−1で合成)0.85g(3mmol)、DPPO 1g(4.9mmol)、Pd(OAc)
2 0.054g(0.24mmol)、DPPP 0.16g(0.39mmol)にDMSO 9mLを加えて撹拌した。さらにDIEA 2.24mL(13.1mmol)を入れて一晩環流させた。反応終了後、ジクロロメタンで抽出した。有機層に6N塩酸を加え、2回抽出した。水層を中和し、ジクロロメタンで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、エバボレーターで濃縮した。FAB−MSよりm/z=406([M]
+)を確認した。
粗収量::1.11g、粗収率:91.0%
【0217】
(VI−3)テトラキス(1−(3−ジフェニルホスホリル)イソキノリナト−N,C
2’)(μ−ジクロロ)ジイリジウム(III)([Ir(mdpiq)
2Cl]
2)の合成
【0218】
【化64】
【0219】
mdpiq(上記VI−2で合成)0.75g(1.85mmol)、塩化イリジウム0.21g(0.6mmol)に2−エトキシエタノール10mL、水3mLを加えて一晩環流させた。反応終了後、水を加え沈殿物を生成させた。沈殿物をろ取した。FAB−MSより目的物の生成を確認した(m/z=1001([(M−Cl)/2]
+))。
収量:0.56g、収率:90.8%
【0220】
(VI−4)ビス(アセトニトリル)ビス「(2−(3−ジフェニルホスフィノフェニル)イソキノリナト−N,C
2’)」イリジウム(III)テトラブルオロボレート(Ir(mdpiq)
2(CH
3CN)
2BF
4)の合成
【0221】
【化65】
【0222】
[Ir(mdpiq)
2Cl]
2(上記VI−3で合成)0.56g(0.27mmol)、テトラフルオロホウ酸銀0.12g(0.62mmol)にアセトニトリル15mLを加えて4時間環流した。冷却後、ろ過により溶けない白色沈殿物を除去した。ろ液をエバボレーターで濃縮した。
溶媒を含んだ状態であり、収率は100%を超えたが、収率100%と仮定して次の反応に使用した。
【0223】
(VI−5)トリス[(1−(3−ジフェニルホスホリル)イソキノリナト−N,C
2’)]イリジウム(III)(Ir(mdpiq)
3)の合成
【0224】
【化66】
【0225】
Ir(mdpiq)
2(CH
3CN)
2BF
4(上記VI−4で合成)0.63g(0.54mmol)、mdpiq(上記VI−2で合成)0.64g(1.6mmol)にプロピレングリコール17mLを加え5時間環流させた。反応終了後、ジクロロメタンで抽出した。エバボレーターで濃縮し、充填剤シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)で精製した。FAB−MSによりm/z=1409([M+4]
+)を確認した。
粗収量:0.65g、粗収率:85.6%
【0226】
[VII][(ビス(2−(4−ジフェニルホスフィノフェニル)ピリジナトN,C
2’)−モノ(1−フェニルイソキノリナトN,C
2’))イリジウム(Ir(pdppy)
2(piq))の合成
【0227】
(VII−1)1−フェニルイソキノリンの合成
【0228】
【化67】
【0229】
フェニルボロン酸1.83g(15mmol)、1−クロロイソキノリン2.44g(15mmol)にトルエン15mL、エタノール7.5mLおよび2M Na
2CO
3水溶液15mLを加えアルゴン雰囲気下で撹拌した。Pd(PPh
3)
4 0.59g(0.51mmol)を加え、一晩環流撹拌した、反応終了後、室温まで冷却し、水、トルエンを加えて抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。充填剤シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン)で精製した。FAB−MSにより
m/z=206([M]
+)を確認した。
収量:2.59g、収率:84.1%
【0230】
(VII−2)テトラキス(2−(4−ジフェニルホスホリルフェニル)ピリジナト−N,C
2’)(μ−ジクロロ)ジイリジウム(III)([Ir(pdppy)
2Cl]
2)の合成
【0231】
【化68】
【0232】
pdppy(上記I−2で合成)0.4g(1,13mmol)、塩化イリジウム水和物0.16g(0.46mmol)に2−エトキシエタノール6.8mL、水2mLを加え、一晩撹拌しながら環流して反応させた。反応終了後、水を加え生成した沈殿物をろ取し、水で洗浄した。
FAB−MSにより目的物の生成を確認した(m/z=901([(M−Cl)/2]
+)、937([M/2]
+))。
収量:0.42g、収率:98.5%
【0233】
(VII−3)ビス(アセトニトリル)ビス[(2−(4−ジフェニルホスフィノフェニル)ピリジナト−N,C
2’)]イリジウム(III)テトラフルオロボレート(Ir(pdppy)
2(CH
3CN)
2BF
4)の合成
【0234】
【化69】
【0235】
[Ir(pdppy)
2Cl]
2(上記VII−2で合成)0.21g(0.12mmol)、テトラフルオロホウ酸銀0.05g(0.26mmol)にアセトニトリル7mLを加えて4時間環流した。冷却後、溶けない白色沈殿物をろ過により除去した。ろ液をエバポレーターで濃縮した,FAB−MSによりm/z=901([M−BF
4−2CH
3CN]
+)、942([M−BF
4−CH
3CN]
+)を確認した。
【0236】
(VII−4)[(ビス(2−(4−ジフェニルホスフィノフェニル)ピリジナトN,C
2’)−モノ(1−フェニルイソキノリナトN,C
2’))イリジウム(Ir(pdppy)
2(piq))の合成
【0237】
【化70】
【0238】
Ir(pdppy)
2(CH
3CN)
2BF
4(上記VII−3で合成)0.16g(0.15mmol)、1−フェニルイソキノリン(上記VII−1で合成)0.09g(0,43mmol)にプロピレングリコール5mLを加えて160℃で反応させた。反応終了後、ジクロロメタンで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶液を濃縮し、充填剤シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)で精製した。FAB−MSによりm/z=1105(「M]
+)を確認した。
粗収量:60mg、粗収率=24.0%
【0239】
(3)fac−体への異性化条件の検討
上記の(2)の[I]において合成したIr(ppy)
2(pdppy)を用いて、紫外光照射によるmer−体のfac−体への異性化の条件について検討した。逆相HPLC(YMC−Pack ODS−AQ:φ50×500mm、H
2O:MeOH=20:80)により異性化前のfac−:mer−比を求めたところ、45:55であった。これを種々の溶媒に溶解し、高圧水銀灯(オーク製作所 HANDY UV 500:500W)で照射したところ、溶媒としてTHFを用い(57.2mg/40mL)、3時間照射したところ、完全にfac−体に異性化したことが逆相HPLC分析により確認された。
【0240】
[VIII][ビス(2−(4−ジフェニルホスホリルフェニル)ピリジナト−N,C
2’)(アセチルアセトナト)]イリジウム(III)(Ir(pdppy)
2(acac))の合成
【0241】
【化71】
【0242】
[Ir(pdppy)
2Cl]
2(上記II−1で合成)1.05g(1.13mmol)、アセチルアセトン1.8mL(18mmol)、炭酸ナトリウム0.72g(6.8mmol)に2−エトキシエタノール18mLを加え、80℃で1.5時間加熱撹拌した。反応終了後、ジクロロメタンで抽出し、さらに水層をジクロロメタンで抽出した。有機層をあわせて硫酸マグネシウムで乾燥させた。濃縮後、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)で精製した。トルエン/エタノールで再結晶した。収量:0.178g、収率:26.6%
【0243】
[IX][ビス(1−(4−(ジフェニルホスホリル)フェニル)イソキノリナト−N,C2’)(アセチルアセトナト)]イリジウム(III)(Ir(pdpiq)
2(acac))の合成
【0244】
【化72】
【0245】
[Ir(pdpiq)
2Cl]
2(上記V−2で合成)0.3g(0.15mmol)、アセチルアセトン 0.08mL(0.8mmol)、炭酸ナトリウム0.32g(3.0mmol)を入れ、さらに2−エトキシエタノール8mLを加え、一時間室温でかくはんし一晩加熱反応させた。反応終了後、室温まで冷却しジクロロメタンで抽出した。さらに水層をジクロロメタンで抽出し、有機層をあわせて飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、エバポレーターで濃縮した。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)で精製した。FAB−MSよりm/z=1101([M+1]
+)を確認した。粗収量:0.15g、粗収率:45.5%
【0246】
[X][ビス(1−(4−(ジフェニルホスホリル)フェニル)イソキノリナト−N,C2’)(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナト)]イリジウム(III)(Ir(pdpiq)
2(TMHD))の合成
【0247】
【化73】
【0248】
[Ir(pdpiq)
2Cl]
2(上記V−2で合成)0.3g(0.15mmol)、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン0.16mL(0.8mmol)、炭酸ナトリウム 0.32g(3.0mmol)を入れ、さらに2−エトキシエタノール8mLを加え、一時間室温でかくはんし、一晩加熱反応させた。反応終了後、室温まで冷却しジクロロメタンで抽出した。さらに水層をジクロロメタンで抽出し、有機層をあわせて飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、エバポレーターで濃縮した。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)で精製した。FAB−MSによりm/z=1184([M]
+)を確認した。粗収量:0.39g、粗収率:109%
【0249】
[XI][ビス(1−(4−(ジフェニルホスホリル)フェニル)イソキノリナト−N,C2’)(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)]イリジウム(III)(Ir(pdpiq)
2(DBM))の合成
【0250】
【化74】
【0251】
[Ir(pdpiq)
2Cl]
2(上記V−2で合成)0.3g(0.15mmol)、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン0.18g(0.8mmol)、炭酸ナトリウム0.32g(3.0mmol)を入れ、さらに2−エトキシエタノール8mLを加え、一時間室温でかくはんし、一晩加熱反応させた。反応終了後、室温まで冷却しジクロロメタンで抽出した。さらに水層をジクロロメタンで抽出し、有機層をあわせて飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、エバポレーターで濃縮した。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)で精製した。FAB−MSによりm/z=1225([M+1]
+)を確認した。粗収量:0.24g、粗収率:65.4%
【0252】
[XII][ビス(1−(4−(ジフェニルホスホリル)フェニル)イソキノリナト−N,C2’)(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオナト)]イリジウム(III)(Ir(pdpiq)
2(TFA))の合成
【0253】
【化75】
【0254】
[Ir(pdpiq)
2Cl]
2(上記V−2で合成)0.3g(0.15mmol)、トリフルオロアセチルアセトン0.096mL(0.8mmol)、炭酸ナトリウム0.32g(3.0mmol)を入れ、2−エトキシエタノール8mLを加え、一時間室温でかくはんし、一晩加熱反応させた。反応終了後、室温まで冷却しジクロロメタンで抽出した。さらに水層をジクロロメタンで抽出し、有機層をあわせて飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、エバポレーターで濃縮した。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)で精製した。FAB−MSによりm/z=1155([M+1]
+)を確認した。粗収量:0.23g、粗収率:66.5%
【0255】
[XIII][トリス(3−ジフェニルホスホリルフェニルイミダゾ[1,2−f]フェナントリジナト−N,C
2’)]イリジウム(III)Ir(3dpoipt)
3の合成
【0256】
[XIII-1]フェナントリジン−6−アミンの合成
【0257】
【化76】
【0258】
2−ヨードアニリン3.42g(15.6mmol)、2−シアノフェニルボロン酸ピナコールエステル431g(18.8mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.56g(0.8mmol)、リン酸三カリウム一水和物7.39g(32mmol)にトルエン65mLを加えて4時間還流させた。室温に冷却すると沈殿が生成したのでろ別した。沈殿物をトルエン、水で洗浄した。FAB−MSよりm/z=195([M+1]
+)を確認した。粗収量:2.21g、粗収率:73%
【0259】
[XII−2]イミダゾ[1,2−f]フェナントリジンの合成
【0260】
【化77】
【0261】
フェナントリジン−6−アミン(上記XIII−1で合成)2.2g(11.3mmol)、クロロアセトアルデヒド1.96g(10mmol)、炭酸ナトリウム1.76g(16.6mol)に2−プロパノール33mLを加えて80℃で2時間攪拌した。反応終了後溶媒をエバポレーターにより取り除き、残渣をジクロロメタンで抽出した。充填剤シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)で精製した。FAB−MSよりm/z=219([M+1]
+)を確認した。
粗収量:1.29g、粗収率:52.4%
【0262】
[XIII−3]3−(ジフェニルホスホリル)フェニルイミダゾ[1,2−f]フェナントリジン(3dpoipt)の合成
【0263】
【化78】
【0264】
−80℃以下、アルゴン雰囲気下でイミダゾ[1,2−f]イミダゾフェナントリジン2.09g(9.6mmol)(上記XIII−2で合成)にTHF20mLを入れた。n−ブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)14.5mL(23.2mmol)をゆっくり滴下して3時間かくはんした。ジフェニルホスフィン酸クロリド5.68g (24mmol)を滴下して1時間かくはんした。ゆっくりと室温に戻し、一晩かくはんした。反応終了後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた。ジクロロメタンで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、エバポレーターで濃縮した。FAB−MSによりm/z=419([M+1]
+)を確認した。充填剤シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)で精製した。少量のジクロロメタンで洗浄した。収量:3.18g、収率:79.1%
【0265】
[XIII−4][テトラキス(3−(ジフェニルホスホリル)フェニルイミダゾ[1,2−f]フェナントリジナト−N,C
2’)](m−ジクロロ)ジイリジウム(III)([Ir(3dpoipt)
2Cl]
2)
【0266】
【化79】
【0267】
3dpoipt(上記XIII−3で合成)1.67g(4mmol)、塩化イリジウム水和物 0.53g(1.5mmol)に2−エトキシエタノール25mL、水7.5mLを加えて一晩還流させた。反応終了後、室温まで冷却し、生成した沈殿物をろ取し、水で洗浄した。FAB−MSによりm/z=1027([(M−Cl)/2]
+)、1062([M/2−1]
+)を確認した。粗収量:1.18g、粗収率:37%
【0268】
[XIII−5]ビス[(3−(ジフェニルホスホリル)フェニルイミダゾ[1,2−f]フェナントリジナト−N,C
2’)](アセチルアセトナト)イリジウム(III)(Ir(3dpoipt)
2(acac))の合成
【0269】
【化80】
【0270】
[Ir(3dpoipt)
2Cl]
2(上記XIII−4で合成)0.79g(0.33mmol)、アセチルアセトン0.18mL(1.8mmol)、炭酸ナトリウム0.73g(6.8mmol)に2−エトキシエタノール18mLを入れて80℃で1.5h加熱かくはんした。反応終了後、メタノールを加えて生成した沈殿をろ別し(ろ液1)、この沈殿をさらに水で洗浄した(沈殿)。FAB−MSにより、ろ液1および沈殿に目的物が含まれることを確認した(m/z=1127([M+1]
+))。ろ液と沈殿をあわせて、充填剤シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)により精製した。収量:0.56g、収率:76%
【0271】
[XIII−6][トリス(3−ジフェニルホスホリルフェニルイミダゾ[1,2−f]フェナントリジナト−N,C
2’)]イリジウム(III)(Ir(3dpoipt)
3の合成)
【0272】
【化81】
【0273】
Ir(3dpoipt)
2(acac) (上記XIII−5で合成)0.56g(0.50mmol)、3dpoipt 0.69g(1.65mmol)にエチレングリコール40mLを加え、150℃で1時間、さらに170℃で2.5時間加熱かくはんした。反応終了後、ジクロロメタン/水で抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。有機層をエバポレーターで濃縮し、FAB−MSによりm/z=1446([M+2]
+)、1447([M+3]
+)を確認した。充填剤シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)で精製した。粗収量:0.69g、粗収率:96%
【0274】
[XIV][トリス(1−(3−ジフェニルホスホリル)−3−メチル−ベンズイミダゾレン−C,C
2’)]イリジウム(III)(Ir(mdpopmbiz)
3)の合成
【0275】
[XIV−1]3−ジフェニルホスホリルフルオロベンゼン(mFDPPOPh)の合成
【0276】
【化82】
【0277】
Mg 1.10g(45.3mmol)にTHF20mL加え、0℃に冷却して3−ブロモフルオロベンゼン5.1mL(46.6mmol)のTHF(20mL)溶液を滴下した。Mgがほとんどなくなったところで、1時間室温でかくはんした。0℃に冷却してジフェニルホスフィン酸クロライド7.58mL(42.3mmol)を滴下した。その後、室温で一晩かくはんした。反応終了後、1N HClで加水分解した。ジクロロメタンで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。エバポレーターで濃縮した。生成物をクロロホルム(アミレン添加品)40mLに溶解させ、冷却しながら30%過酸化水素4.5mL(45mmol)を加えて、室温で3時間かくはんした。反応終了後、水で洗浄し、さらに飽和亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、エバポレーターで濃縮した。シクロヘキサン/メタノールで再結晶した。FAB−MSによりm/z=297([M+1]
+)を確認した。
収量:9.8g、収率:78.4%
【0278】
[XIV−2]1−(3−(ジフェニルホスフィノ)フェニル)−ベンズイミダゾール(mdpophbiz)の合成
【0279】
【化83】
【0280】
アルゴン雰囲気下、ベンズイミダゾール2.37g(20.1mmol)、水素化ナトリウム(55%パラフィン)1.06g(24.3mmol)、DMF100mLを加え、10分かくはんした。さらに、mFDPPOPh(上記XIV−1で合成)5.93g(20.0mmol)を加え、100℃で18.5時間加熱かくはんした。その後、水素化ナトリウム 0.48g(11.0mmol)加え、130℃で一晩反応させた。反応終了後、室温に冷却し氷に投入した。ジクロロメタンで抽出し、有機層に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、ジクロロメタンで2回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、エバポレーターで濃縮した。シリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製した(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)。FAB−MSよりm/z=395([M−1]
+)を確認した。シクロヘキサン、エタノールで再結晶した。収量:2.82g、収率:35.6%
【0281】
[XIV−3]ヨウ化1−(3−(ジフェニルホスホリル)フェニル)−3−メチル−ベンズイミダゾリウム(mdpophbiz-I)の合成
【0282】
【化84】
【0283】
mdpophbiz(上記XIV−2で合成)2.82g(7.11mmol)にTHF40mL加え、60℃に加熱し溶解させた。ヨウ化メチル2.29mL(2.29mL)加え室温で一晩かくはんした。エバポレーターで濃縮し、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール/メタノール)で精製した。FAB−MSよりm/z=409([M−I−1]
+)を確認した。粗収量:1.36g、粗収率:35.7%
【0284】
[XIV−4][トリス(1−(3−(ジフェニルホスホリル)フェニル)−3−メチル−ベンズイミダゾレン−C,C
2’)]イリジウム(Ir(mdpophbiz)
3)の合成
【0285】
【化85】
【0286】
Mdpophbiz-I(上記XIV−3で合成)2.15g(4.00mmol)、塩化イリジウム0.33g(1.1mmol)、酸化銀0.93g(3.98mmol)に2−エトキシエタノール84mLを加え、アルミホイルで遮光し120℃で24時間反応させた。反応終了後、エバポレーターで溶媒を乾固させ、ジクロロメタンを加えた。セライトで不溶物をろ別し、ろ液をエバポレーターで濃縮した。充填剤シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)により精製した。FAB−MSによりm/z=1416([M+2]
+)を確認した。粗収量:0.22g、粗収率:14.2%
【0287】
[XV][トリス(1−(3−(ジフェニルホスホリル)フェニル)−3−メチル−イミダゾレン−C,C
2’)]イリジウム(III) Ir(mdpopmiz)
3の合成
【0288】
[XV−1]3−ジフェニルホスホリルフルオロベンゼン(mFDPPOPh)の合成
【0289】
【化86】
【0290】
Mg 1.10g(45.3mmol)にTHF20mL加え、0℃に冷却して3−ブロモフルオロベンゼン5.1mL(46.6mmol)のTHF(20mL)溶液を滴下した。Mgがほとんどなくなったところで、1時間室温でかくはんした。0℃に冷却してジフェニルホスフィンクロライド7.58mL(42.3mmol)を滴下した。その後、室温で一晩かくはんした。反応終了後、1N HClで加水分解した。ジクロロメタンで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。エバポレーターで濃縮した。生成物をクロロホルム(アミレン添加品)40mLに溶解させ、冷却しながら30%過酸化水素4.5mL(45mmol)を加えて、室温で3時間かくはんした。反応終了後、水で洗浄し、さらに飽和亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、エバポレーターで濃縮した。シクロヘキサン/メタノールで再結晶した。FAB−MSによりm/z=297([M+1]
+)を確認した。収量:9.8g、収率:78.4%
【0291】
[XV−2]1−(3−(ジフェニルホスホリル)フェニル)−イミダゾールの合成
【0292】
【化87】
【0293】
アルゴン雰囲気下、イミダゾール0.13g(2.00mmol)のDMF(10mL)溶液に水素化ナトリウム(60%パラフィン)0.097g(2.42mmol)を加え、10分かくはんした。さらに、mFDPPOPh(上記XV−1で合成)0.60g(2.02mmol)を加え、120℃で5時間加熱かくはんした。反応終了後、水を加えジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。ASAP−TOF−MSによりm/z=345([M+1]
+)を確認した。シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)で精製した。粗収量:0.53g、粗収率:51.5%
【0294】
[XV−3]ヨウ化1−(3−(ジフェニルホスホリル)フェニル)−3−メチル−イミダゾリウムの合成
【0295】
【化88】
【0296】
アルゴン雰囲気下、THF(4mL)中の1−(3−ジフェニルホスホリル)−ベンズイミダゾール(上記XV−2で合成)0.5g(1.26mmol)にヨードメタン0.36mL(5.9mmol)を加え、室温で16時間かくはんした。反応終了後、溶媒を濃縮し、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール/メタノール)で精製した。粗収量:0.67g、粗収率:95.7%
【0297】
[XV−4][トリス(1−(3−(ジフェニルホスホリル)フェニル)−3−メチル−イミダゾレン−C,C
2’)]イリジウム(Ir(mdpophbiz)
3)の合成
【0298】
【化89】
【0299】
ヨウ化1−(3−(ジフェニルホスホリル)フェニル)−3−メチル−イミダゾリウム(上記XV−3で合成)0.67g、塩化イリジウム0.12g(0.38mmol)、酸化銀(I)0.33g(1.38mmol)に2−エトキシエタノール(29mL)をいれ、遮光して120℃で22時間かくはんした。反応終了後、室温に戻してジクロロメタンを加え、セライトでろ過した。ろ液を濃縮し、シリカゲルのカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ジクロロメタン/エタノール)で精製した。FAB−MSにより目的物の生成を確認した(m/z=1265([M−4]
+)、907([M−ligand]
+))。
【0300】
(4)積層型有機EL素子(有機電界発光素子)の製造
ITO基板は、三容真空製のもの(膜厚80nm)を使用した。基板洗浄に用いる2−プロパノールは関東化学製の電子工業用を用い、電子輸送層の成膜に用いるアルコール類は関東化学製、発光層の成膜に用いるトルエンは関東化学製の電子工業用を用いた。正孔注入材料としては、PEDOT−PSS(H.C.Starck製の、AI4083)を原液のまま用いた。正孔輸送材料としては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK、Aldrich社製)をトルエン溶液(5g/L又は10g/L)として用いた。発光層に用いるホスト材料としては、上記の式Fで表されるホスフィンオキシド誘導体を用い、ゲスト材料としては、上記の(2)で合成した各種イリジウム錯体を用いた。ゲスト材料はホスト材料の8.7重量%添加し、総濃度が10g/L又は15g/Lの2−プロパノール溶液を作製した。
【0301】
ITO基板の前処理として、2−プロパノール中で5分間煮沸洗浄し、その後すぐにUV/O
3処理装置に入れ、15分間UV光照射によりO
3処理を行った。PEDOT−PSS及びPVK及び発光層は酸素濃度が1〜3ppmのN
2雰囲気下(グローブボックス内)でMIKASA製のスピンコーターを用いて形成後、N
2雰囲気下又は真空中で乾燥した。
【0302】
陰極(Al、純度99.999%)及び電子輸送層(LiF)の蒸着には、チャンバー圧8×10
−4Paの高真空蒸着装置を用いた。蒸着速度は、LiFについては0.1Å/s、Alについては10Å/sとした。全ての素子においてN
2雰囲気下で封止を行った。陰極の成膜が完了後、素子を窒素置換したグローブボックス(九州計測器製、露点−60〜−70℃、酸素濃度5ppm以下)内に直ちに移動し、乾燥剤Oledry(14μL)を塗布したガラスキャップで素子を封止した。
【0303】
素子構造は、陰極と発光層の間に電子輸送層を設けたこと以外は全て
図1に示すものとした。各層の膜厚は下記のとおりである。
陽極:ITO(80nm)
正孔注入層:PEDOT−PSS(50nm)
正孔輸送層:PVK(15nm又は30nm)
発光層:(40nm又は70nm)
電子輸送層:LiF(0.2nm)
陰極:Al(100nm)
【0304】
(5)素子及び材料特性の評価
各ゲスト材料の発光特性(量子収率)については、相対蛍光量子収率は、溶液中での紫外可視吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを測定し、Φp=1とされる9,10−ジフェニルアントラセンを標準に用いて相対蛍光量子収率(Φp)を見積もった。なお、リン光は、酸素により消光するため、酸素を脱気するために、5分間アルゴンでバブリング後、スペクトルを測定した。
作製したEL素子の電圧−電流−輝度特性はADVANTEST製DC電圧電流電源・モニター(TR6143)を用いて0Vから20Vまで電圧を印加して0.2Vステップ毎電流値を測定した。ELスペクトルは浜松ホトニクス製マルチチャンネル分光測定器(C7473)の分光検出器を用いて測定した。
【0305】
電流効率η
c[cd/A]の測定には、有機EL発光効率測定装置を使用した。
500cd/m
2換算寿命の測定にはアペックス製の装置を使用し、50mA/m
2の定電流連続駆動により測定した。全て1.5乗則(下式参照)を用い500cd/m
2に換算した駆動時間により、初期輝度の1/2に達した半減時間により比較した。
【0306】
1.5乗則:T=(L
0/L)
1.5×T
1
(式中、L
0:初期輝度[cd/m
2]、L:換算輝度[cd/m
2]、T
1:輝度半減時の実測時間、T:半減時間である。)
【0307】
9,10−ジフェニルアントラセンに対する相対量子収率は、Ir(ppy)
2(pdppy)、Ir(ppy)(pdppy)
2、Ir(pdppy)
3についてそれぞれ0.35、0.44、0.47であった。ホスフィンオキシド基を有しないIr(ppy)
3についても同様に相対量子収率を見積もったところ0.40という値が得られた。嵩高いホスフィンオキシド基の数が増加するにつれ、分子の会合が抑制されることに伴い、相対量子収率が増大していることが確認された。
【0308】
下記の実施例1〜13(使用したホスト化合物、ゲスト化合物、金属化合物及びそれらの濃度は以下に示すとおりである。)についての電流効率η
c、500cd/m
2換算寿命(ホスフィンオキシド基を含まないIr(ppy)
3をゲスト化合物として使用した実施例11に対する相対寿命)及び発光色の測定結果は、下記の表1に示すとおりであった。なお、実施例13において使用したゲスト化合物C545Tの構造式は下記に示すとおりである。
【0309】
【化90】
【0310】
【表1】
【0311】
イリジウム錯体以外のもの(実施例8、13)やホスフィンオキシド基を有しないもの(実施例11〜13)を含む全てのゲスト材料を用いた有機EL素子について、リン光性色素として有機EL素子に用いられているIr(ppy)
3(実施例11)を用いた有機EL素子と同等以上の電流効率及び寿命が観測された。特に、ゲスト材料としてIr(ppy)
2(pdppy)を用いた有機EL素子(実施例1)について電流効率η
cを測定したところ、最大で67cd/Aという値が得られた。これは、ゲスト材料の会合が抑制され、発光層の内部でもゲスト材料の分散性が高く、濃度消光の抑制やキャリア輸送効率が向上していることに起因すると考えられる。
また、発光層にLi(acac)、Ba(acac)
2等の金属化合物を添加すると、耐久性が向上することが確認された(実施例1、2及び3、4参照。)。