特許第5722223号(P5722223)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5722223選択的な基板領域メッキを可能とする方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5722223
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】選択的な基板領域メッキを可能とする方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3205 20060101AFI20150430BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20150430BHJP
   H01L 23/522 20060101ALI20150430BHJP
   H05K 3/10 20060101ALI20150430BHJP
   H05K 3/18 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
   H01L21/88 J
   H01L21/88 B
   H05K3/10 E
   H05K3/18 H
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-531270(P2011-531270)
(86)(22)【出願日】2009年11月18日
(65)【公表番号】特表2012-505553(P2012-505553A)
(43)【公表日】2012年3月1日
(86)【国際出願番号】US2009064898
(87)【国際公開番号】WO2010065301
(87)【国際公開日】20100610
【審査請求日】2011年4月12日
(31)【優先権主張番号】12/315,066
(32)【優先日】2008年11月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】593096712
【氏名又は名称】インテル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(72)【発明者】
【氏名】リー,ヨーンガーン
(72)【発明者】
【氏名】サラマ,イスラム
【審査官】 右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−108613(JP,A)
【文献】 特開2007−048827(JP,A)
【文献】 特開2001−118808(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/075052(WO,A1)
【文献】 特開平02−188987(JP,A)
【文献】 特開2006−196768(JP,A)
【文献】 特開2006−093271(JP,A)
【文献】 特開2004−281984(JP,A)
【文献】 特開2008−135445(JP,A)
【文献】 特開平04−209555(JP,A)
【文献】 特表2004−519559(JP,A)
【文献】 特開2005−161245(JP,A)
【文献】 特開平03−244126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205
H01L 21/768
H01L 23/522
H05K 3/10
H05K 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の選択的領域メッキを可能とする方法であり、前記方法は: 前記基板上に第一の電気的伝導層を形成し; 前記第一の電気的伝導層を、無電解メッキプロセスにより形成される材料はその上には形成されないソルダーレジスト層で覆い; 前記基板をパターン化して、前記基板にビアと埋込みトレースパターンを形成し、そこで前記ビアは、前記ソルダーレジスト層と前記第一の電気的伝導層とを通して延長し; 前記第一の電気的伝導層に隣接してかつ電気的に結合された、第二の電気的伝導層を無電解メッキプロセスにより形成し; 前記第二の電気的伝導層の上に第三の電気的伝導層を電解メッキプロセスにより形成し;及び 前記ソルダーレジスト層と前記第一の電気的伝導層と、前記第二及び第三の電気的伝導層の上部部分とを迅速エッチング工程により除去すること、を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であり: 前記第一の電気的伝導層の形成が、第一の無電解メッキプロセスを用いて第1の銅層を形成することを含み; 前記第二の電気的伝導層の形成が、第二の無電解メッキプロセスを用いて第二の銅層を形成することを含み; 前記第一の銅層が、約0.1ミクロン及び約1.0ミクロンの間の第一の厚さを持ち;及び 前記第二の銅層が、ほぼ前記第一の厚さと等しい第二の厚さを持つ、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であり: 前記第一の電気的伝導層を前記ソルダーレジスト層で覆うことが、光感受性ソルダーレジストフィルムを前記第一の電気的伝導層上にコーティングすることを含み、前記光感受性ソルダーレジストフィルムが電磁波長に感受性であり;及び 前記光感受性ソルダーレジストフィルムを、均一に前記電磁波長に曝露すること、を含む方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であり: 前記第一の電気的伝導層上を前記ソルダーレジスト層で覆うことが、ローラーコーティング、スクリーン印刷、スピンコーティング及びスプレーコーティングからなる群から選択される操作を含む、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であり:前記第三の電気的伝導層を形成することが、電解メッキプロセスを用いて銅で前記ビアを埋めることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であり:前記第一の電気的伝導層の除去が、硫酸系溶液を用いた前記第一の電気的伝導層をエッチングして除くことを含む、方法。
【請求項7】
基板の選択的領域メッキを可能とする方法であり、前記方法は: 前記基板上に第一の電気的伝導層を形成し; 前記第一の電気的伝導層を、無電解メッキプロセスにより形成される材料はその上には形成されない疎水性ポリマー層で覆い; 前記基板をパターン化して、前記基板にビアと埋込みトレースパターンを形成し、そこで前記ビアは、前記疎水性ポリマー層と前記第一の電気的伝導層とを通して延長し; 前記第一の電気的伝導層に隣接してかつ電気的に結合された、第二の電気的伝導層を無電解メッキプロセスにより形成し; 前記第二の電気的伝導層の上に第三の電気的伝導層を電解メッキプロセスにより形成し;及び 前記疎水性ポリマー層と前記第一の電気的伝導層と、前記第二及び第三の電気的伝導層の上部部分とを迅速エッチング工程により除去すること、を含む方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であり: 前記第一の電気的導電性層を前記疎水性ポリマー層で覆うことが、PDMS、PE及びPTFEからなる群から選択されるポリマー材料を適用することを含む、方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であり: 第一の電気的伝導層を形成することが、第一の無電解メッキプロセスにより第一の銅層を形成することを含み; 第二の電気的伝導層を形成することが、第二の無電解メッキプロセスにより第二の銅層を形成することを含み; 前記第一の銅層が、約0.1ミクロン及び約1.0ミクロンの間の第一の厚さを持ち;及び 前記第二の銅層が、ほぼ前記第一の厚さと等しい第二の厚さを持つ、方法。
【請求項10】
請求項7に記載の方法であり: 前記第三の電気的伝導層を形成することが、電解メッキプロセスを用いて銅で、前記ビアを埋めることを含む、方法。
【請求項11】
請求項7に記載の方法であり: 前記第一の電気的伝導層の除去が、硫酸系溶液を用いた前記第一の電気的伝導層をエッチングして除くことを含む、方法。
【請求項12】
基板の選択的領域メッキを可能とする方法であり、前記方法は: 前記基板上に第一の電気的伝導層を形成し; プラズマ重合プロセスを用いて、前記第一の電気的伝導層の上に、無電解メッキプロセスにより形成される材料はその上には形成されない疎水性炭化水素フィルムを堆積し; 前記基板をパターン化して、前記基板にビアと埋込みトレースパターンを形成し、そこで前記ビアは、前記疎水性炭化水素フィルムと前記第一の電気的伝導層とを通して延長し、; 前記第一の電気的伝導層に隣接してかつ電気的に結合された、第二の電気的伝導層を無電解メッキプロセスにより形成し; 前記第二の電気的伝導層の上に第三の電気的伝導層を電解メッキプロセスにより形成し;及び 前記疎水性炭化水素フィルムと前記第一の電気的伝導層と、前記第二及び第三の電気的伝導層の上部部分とを迅速エッチング工程により除去すること、を含む方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であり: 第一の電気的伝導層を形成することが、第一の無電解メッキプロセスにより第一の銅層を形成することを含み; 第二の電気的伝導層を形成することが、第二の無電解メッキプロセスにより第二の銅層を形成することを含み; 前記第一の銅層が、約0.1ミクロン及び約1.0ミクロンの間の第一の厚さを持ち;及び 前記第二の銅層が、ほぼ前記第一の厚さと等しい第二の厚さを持つ、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であり: 前記第三の電気的伝導層を形成することが、電解メッキプロセスを用いて銅で前記ビアを埋めることを含む、方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法であり: 前記第一の電気的伝導層を除去することが、硫酸系溶液を用いて前記第一の電気的伝導層を化学的エッチングにより除去する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の開示された実施態様は、一般的にマイクロエレクトロニクスデバイスの構造形成に関し、及びより具体的には、かかるデバイスの埋包金属構造のための選択的領域メッキに関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロエレクトロニクスデバイスの形成は通常、基板のビルドアップ層にトレース又は他の構成を形成することが要求される。レーザー放射パターン化(LPP)は、かかる構成を形成するためにレーザーアブレーションを用いるものであり、マイクロエレクトロニクス応用分野において利点を提供するひとつのパターン化技術である。また多くの他のパターン化技術が使用されている。トレンチ又はビアが削られて又は他の方法で形成された後は、それらは基板に電気的相互接続を形成するために銅のような電気的伝導性材料で埋められる必要がある。
【0003】
開示される実施態様は、以下の詳細な説明を、添付の図面を参照にしつつ読むことでよりよい理解が得られるであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、一般的にマイクロエレクトロニクスデバイスの構造形成に関し、及びより具体的には、かかるデバイスの埋包金属構造のための選択的領域メッキを可能とする方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のひとつの実施態様において、基板の選択領域のメッキを可能とする方法は、前記基板に第一の電気的伝導層を形成し、前記第一の電気的導電性層を抗−無電解メッキ層で覆い、前記抗−無電解メッキ層と前記第一の電気的伝導層とを通して延長する構造を形成するために、前記基板をパターン化し、前記第一の電気的伝導層に隣接してかつ電気的に結合された、第二の電気的伝導層を形成し、前記第二の電気的伝導層の上に第三の電気的伝導層を形成し、及び前記抗−無電解メッキ層と前記第一の電気的伝導層を除去する、ことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本発明の実施態様による、基板の選択的領域のメッキを可能とする方法を示す。
図2図2は、本発明の第一の実施態様による製造方法での、種々な特定の点での、ワークピース部分の断面図を示す。
図3図3は、本発明の第一の実施態様による製造方法での、種々な特定の点での、ワークピース部分の断面図を示す。
図4図4は、本発明の第一の実施態様による製造方法での、種々な特定の点での、ワークピース部分の断面図を示す。
図5図5は、本発明の第一の実施態様による製造方法での、種々な特定の点での、ワークピース部分の断面図を示す。
図6図6は、本発明の第一の実施態様による製造方法での、種々な特定の点での、ワークピース部分の断面図を示す。
図7図7は、本発明の第一の実施態様による製造方法での、種々な特定の点での、ワークピース部分の断面図を示す。
図8図8は、本発明の第一の実施態様による製造方法での、種々な特定の点での、ワークピース部分の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
説明を簡単にかつ明瞭にするため、一般的作成方法で記載され、良く知られた構成及び技術についての説明及び詳細は、本発明の記載された実施態様についての説明が不必要に不明瞭になるのを防ぐために省略してある。さらに、図面の各要素は必ずしも寸法が正確ではない。例えば図中のある要素の寸法は、本発明の実施態様の理解を助けるために他の要素に比べて誇張して記載されていることがあり得る。異なる図面の同じ参照番号は、同じ要素を表す。類似の参照番号は、必ずしもそうであるとは限らないが、類似の要素を示す。
【0008】
明細書及び特許請求の範囲の用語、「第一の」、「第二の」、「第三の」、「第四の」等は、類似の要素を区別するために用いられ、必ずしも特定の順序や経時的順序を記載するものではない。そのような用語は、特定の場合には交換可能である。例えばここで記載された本発明の実施態様が例えば、ここで説明され又は他の方法で記載されたものとは異なる順序で実施される場合である。同様に、ここで一連のステップを含むとして記載された方法は、必ずしもその順序でのみ実施されなければならないわけではない。例えば記載されたステップのいくつかは省略され得るし、及び/又はここで記載されていない他のステップが当該方法に加えられてもよい。さらに、用語「からなる」、「含む」、「有する」及びそれらのいかなる変換用語は、非限定的な内包をカバーすることを意図するものである。例えばリストの要素に含まれる、工程、方法、部品又は装置は、必ずしもこれらに限定されるものではなく、他の要素であってリストには明記されていないが、当然リストされる工程、方法、部品又は装置が含まれる。
【0009】
明細書及び特許請求の範囲における用語、「左」、「右」、「前」、「後ろ」、「トップ」、「ボトム」、「上」、「下」等は、説明の目的で使用されているものであり、相対的位置を永続的に記載するためのものではない。このように使用される用語はある場合には交換可能な用語である。例えばここで記載された本発明の実施態様が、例えば、ここで説明され又は他の方法で記載される方向とは逆の方向で実施されるという場合である。ここで使用される用語、「結合される」とは、電気的又は非電気的に直接又は間接的に結合されることを意味する。お互いに「隣接する」として記載される対象物は、当該用語が使用される文脈に従い、お互いに近い位置でお互いが物理的に接触している状態であってもよいし、又はお互いが同じ一般的地域又は領域に存在するという状態であってもよい。ここで「ひとつの実施態様において」なる用語は、同じ実施態様が全てを意味することは必ずしも必要ではない。
【0010】
本発明のひとつの実施態様において、基板の選択領域のメッキを可能とする方法は、
前記基板に第一の電気的伝導層を形成し、
前記第一の電気的導電性層を抗−無電解メッキ層で覆い、
前記抗−無電解メッキ層と前記第一の電気的伝導層とを通して延長する構造を形成するために、前記基板をパターン化し、
前記第一の電気的伝導層に隣接してかつ電気的に結合された、第二の電気的伝導層を形成し、
前記第二の電気的伝導層の上に第三の電気的伝導層を形成し、及び
前記抗−無電解メッキ層と前記第一の電気的伝導層を除去する、ことを含む。前記抗−無電解メッキ層は、例えばポリマー又はセラミックであってよいが、非電気的伝導性であり、以下説明するように、無電解メッキを抑制するものである。
【0011】
無電解メッキ及び電解メッキを組み合わせた標準のダマシン技術を用いてトレンチ及びビアを埋める場合、基板の全てのトレンチとビアが適切に埋め込まれていることを保証するため、誘電体表面にある程度の過度のメッキが必要となる。かかる過度にされた電気伝導性材料は、トレンチ及びビアが電気的に分離されるように基板から除去されなければならない。かかる過度のメッキ材料は化学機械研磨(CMP)を用いて除去することができる。CMPは、半導体チップ(die)製造プロセスに過度の銅メッキを除去する標準の方法である。しかしながら、基板製造のためのCMPは、幾何学形状及び十分でない構造上の堅牢性と寸法安定性のために、技術的に難しいものである。さらに、CMP及び他のメッキ後金属除去プロセスは、基板パネルサイズを越える不均一な金属厚さを生じる傾向があり、しばしば、過度の又は不十分なメッキ金属除去により、電気的にオープン/ショート比率損失の結果となり、また誘電層に傷を付ける原因となり信頼性を損なう他の問題を起こす原因となり得る。これら及び他の問題に関して一般的に、有機基板を製造する場合にCMPを適用することは費用の点から抑制的となる。他の手段であって例えば機械研削(mechanical grinding)又は機械研磨(mechanical polishing)(これらを単独で又は化学的エッチングと組み合わせて)は、上で説明した問題についてはCMPよりもさらによくないものである。
【0012】
以下説明する本発明の実施態様は、CMP(又は存在するその変法技術)により起こる信頼性の問題がなく、選択的領域メッキを用いて基板を金属化することを可能とする。開示される方法は、容易に実施可能であり、CMPよりも基板金属化のための低費用の方法を提供する。というのも、CMPは、基板製造の際に非常な基礎投資を必要とするからである。
【0013】
より具体的に、本発明の実施態様は、埋包されたパターンに電解メッキにより金属で埋めることを可能とする。パターンが形成されない誘電体表面部分には金属メッキは起こらない。この領域選択的な金属化プロセスにより、機械研磨及び/又は化学エッチング等のいかなる金属除去プロセスを必要としない。かかる埋包パターンは、直接のレーザーアブレーション(LPPを含む)、光定義誘電体によるリソグラフフィ等で形成される。かかるプロセスは、微細線及び空間(FLS)形成を可能とし、及び平面化工程の必要のない有機基板への使用に拡張され得る。さらに集積回路及び半導体材料へ拡張することが可能である。
【0014】
次に図を参照する。図1には、本発明の実施態様における基板への選択的領域メッキの方法100を説明するフローチャートである。
【0015】
方法100のステップ110は、第一の電気的伝導層を基板に形成することである。図2は、本発明の実施態様による製造方法のある特定の時点でのワークピース200の部分の断面図を示す。ワークピース200は、基板201の部分をとともに形成する誘電体層210の下にビルドアップ層210及びパッド220を含む。一例として、パッド220は、基板金属化にしばしば用いられるような銅(等)を含むことができる。他の例として、方法100のステップ110で参照される基板が、基板201と類似のものであってよい。理解されるべきは、基板201は多くの基板を含むより大きなサイズの通常の製造技術によるパネルの一部であっといということである(図では、そのパネルの一部のみを示す単一の基板につき示され、説明がされてはいるが)。
【0016】
図3は、本発明の実施態様における製造方法の特定に時点でのワークピース200の断面図を示す。一例として図3は、方法100のステップ110の実施に従うワークピース200を示すことができる。一例として、方法100のステップ110に関する電気的伝導層は、電気的伝導層310と類似のものであってよい。ひとつの実施態様において、電気的伝導層310は、無電解メッキプロセスを用いて形成された金属層である。銅がしばしばこの金属層の金属として用いられるが、いかなる他の適切な金属又は電気的伝導層も使用可能である。ひとつの実施態様において、電気的伝導層310は、約0.1μm及び約1.0μmの間の厚さをとり得る。
【0017】
方法100のステップ120は、前記電気的伝導層を抗−無電解メッキ層で覆うことである。図4は、本発明の実施態様における製造方法の特定に時点でもワークピース200の断面図を示す。一例として、図4は、方法100のステップ120の実施に従ったワークピース200の断面を示すことができる。図4に示すように、抗−無電解メッキ層410は、電気的伝導層310の上に形成される。一例として、方法100でステップ120において参照される抗−無電解メッキ層は、抗−無電解メッキ層410に類似のものであってよい。
【0018】
ひとつの実施態様において、抗−無電解メッキ層410は、特定部分の電磁波スペクトルに感受する光感受性ソルダーレジストフィルムを含む。一例として、係る光感受性ソルダーレジストフィルムは、液状ソルダーレジスト又はドライ型フィルム前駆物質から形成されてよい。液状ソルダーレジストは、ローターコーティング、スクリーン印刷、スピンコーティング、スプレーコーティング又は他の当該分野において知られた適切な技術を用いて、電気的伝導層に適用することができる。例えばスピンコーティングは、光感受性ソルダーレジストフィルムの層を望ましい厚さで適用する上で特に容易な方法を代表する。少なくともひとつの実施態様において、かかる好ましい厚さは、約2−3マイクロメータである。(「マイクロメータ」とはここでは、「ミクロン」又は「μm」を意味する)。このように形成された液状フィルムは、次に熱により硬化されるか、電磁波スペクトルの特定の部分であってソルダーレジストが感受する部分のスペクトルに曝露させるか、又は前記熱と前記曝露の組み合わせかにより、硬化される。ソルダーレジストのドライフィルム型は、部分的に硬化され、前記第一の電気的伝導層の上に単純にラミネートされ、その後十分硬化させるために熱又は曝露を続けて行う。
【0019】
一例として、ソルダーレジストフィルムは、通常のソルダーレジストであって、半導体パッケージの大量生産にしばしば使用されるものであってよい。これらのソルダーレジストが、熱/機械的性質を調節するためにフィラー材料をブレンドされていてよい。そのようなフィラーをわずか含むか又は全く含まない単純な処方物もまた使用可能である。ソルダーレジストは、非常に薄いフィルムとしてコーティングすることができる。例えば2μm又はそれよりも薄い厚さである。係るフィルムは無電解メッキには影響されない。つまり、無電解メッキプロセスにより形成される材料は、かかるソルダーレジストの上には形成されない。
【0020】
他の実施態様において、抗−無電解メッキ層410は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリエチレン(PE)、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)等の疎水性ポリマー層を含む。一例として、疎水性ポリマーは、フィルム形状にラミネートされるか、上で説明した方法のひとつ、即ちローターコーティング、スクリーン印刷、スピンコーティング、スプレーコーティング又は他の当該分野において知られた適切な技術を用いて、液状でコーティングされてもよい。
【0021】
さらに他の実施態様において、抗−無電解メッキ層410は、疎水性炭化水素フィルムを含む。この実施態様において、方法100のステップ120は、電気的伝導層310の上にプラズマ重合プロセスを用いて炭化水素フィルムを堆積させることを含む。一例として、このプロセスは、CHプラズマ重合堆積を含んでよい。これはインライン大気圧RFプラズマプロセスで実施可能である。ここで大気圧RFグロー放電プラズマが相対的に大きな領域(例えば数十平方センチメートル)上で長方形の電極を用いて発生させる。疎水性コーティング層は、NHのプラズマ重合により製造することができる。基板を連続的にプラズマ堆積領域に移動させることができる。このようにして得られる炭化水素層の厚さは、ドウェル時間(基板がプラズマ堆積の対象となっている時間)に依存して、数十から数百ナノメータの範囲で変更され得る。炭化水素コーティングは、非常に安定かつ丈夫なものであり、数ヶ月間空気に晒していても目だった疎水性の分解は見られない。プラズマ堆積コーティングは、ヘキサンのような有機溶媒中でもなんら影響されず保持され、溶媒が完全に乾燥された後で疎水性を維持する。
【0022】
方法100のステップ130は、基板をパターン化してその中に、抗−無電解メッキ層及び第一の電気的伝導層を通る構造を形成させることである。ひとつの実施態様として、ステップ130は、レーザードリル、又はプラズマエッチング等のような他の方法で基板にビアを形成することを含む。またさらに、基板に埋包トレースパターンの形成を含む。ここでかかる形成は、例えばLLPでは、高電力レーザービームが、マスクを通して誘電体物に放射される。直接レーザーライティングでは、焦点されたレーザービームが誘電体をなぞりマスクを用いることなくパターンを形成する。電気的伝導層及び抗−無電解メッキ層は、レーザーアブレーションプロセスには大きくは影響を与えない。2つの層の合計厚さは、通常10μmより小さく(ひとつの実施態様では、3μmより小さい)それを剥離させるためにほんのわずかな追加のレーザーパルスが必要となるにすぎないからである。ひとつの実施態様において、誘電体は、その後清浄溶液のような湿式化学溶液か又はプラズマクリーニングのようなドライクリーニングプロセスかにより清浄化される。
【0023】
図5は、本発明の実施態様における製造方法の特定に時点でのワークピース200の断面図を示す。一例として、図5は、方法100のステップ130の実施に従ったワークピース200を示す。図5に示されるように、基板201は、パターン501を形成するためにパターン化されている。図にのされるように、パターン501は、ビア510及びトレース520を含む。一例として、ビア510及びトレース510のいずれか又はどちらも、方法100のステップ130で参照される構造を含むことができる。
【0024】
方法100のステップ140は、第一の電気的伝導層に隣接しかつ電気的に結合された第二の電気的伝導層を形成することである。ひとつの実施態様においては、ステップ140は、無電解メッキプロセスを用いて金属層の形成を含み、これは、ステップ110に関して上で説明した第一の電気的伝導層を形成するためになされ得ることと類似するものである。第二の電気的伝導層の成分及び厚さは、第一の電気的伝導層の成分及び厚さと非常に類似したものであってよい。従って、第一の電気的伝導層と同様に、第二の電気的伝導層は、ひとつの実施態様においては無電解銅層であり、厚さが約0.1μmと約1.0μmの間である。実際には、ステップ140の実施に従い、第一及び第二の電気的伝導層は、図6に示すようにほとんど区別することができないものである。
【0025】
図6は、本発明の実施態様における製造方法の特定の時点でのワークピース200の断面図を示す。一例として、図6は、方法100のステップ140の実施に従うワークピース200を示す。図6に示すように、電気的伝導層610は、電気的伝導層310と隣接し電気的に結合するように形成されている。一例として、方法100のステップ140で参照されている第二の電気的伝導層は、電気的伝導層610と類似のものであってよい。上で説明した通り、電気的伝導層610及び310は、実際にはお互いにほとんど区別できないものであり、基板201の実質的に全ての上表面を亘って拡張する本質的に単一の電気的伝導層となっている、ということは注意されるべきである。(2つの電気的伝導層は、しかし、電気的伝導層310が抗−無電解メッキ層410により覆われることを思い出せば、区別することはできる)。次の点はさらに注意すべきである。電気的伝導層610は、抗−無電解メッキ層410により覆われていない領域のみ形成されるということである。(抗−無電解メッキ層は、無電解メッキ金属層がその上に形成されることを抑制する)。これらの領域はパターン501を形成し、レーザーアブレーション又は類似のパターン化工程により形成される構造、即ち前記の埋包領域である。
【0026】
方法100のステップ150は、第二の電気的伝導層の上に第三の電気的伝導層を形成することである。ひとつの実施態様においては、ステップ150は、ビア510及びトレース520を、電解メッキプロセスを用いて銅(又は他の適切な電気的伝導材料で)で埋めることを含む。金属は前記埋包領域のみを埋める。というのも残りの基板部分は抗−無電解メッキ層で覆われているからである。ビア510及びトレース520は、高密度内部結合(HDI)基板製造で広く使用される、ビア埋め用のメッキ液を用いて同時に埋めることが可能である。
【0027】
図7は、本発明の実施態様における製造方法の特定に時点でもワークピース200の断面図を示す。ひとつの例として、図7は、方法100のステップ150の実施態様に従ったワークピース200の断面を示す。図7に示すように、電気的伝導層710は、電気的伝導層610の上に形成されている。一例として、方法100のステップ150で参照される第三の電気的伝導層は、電気的伝導層710と類似していてよい。
【0028】
方法100のステップ160は、抗−無電解メッキ層と第一の電気的伝導層を取り除くことである。これによりパターン化された構造が電気的に分離される。ひとつの実施態様において、第一の電気的伝導層を取り除くことは、硫酸系溶液を用いて第一の電気的伝導層をエッチングして除くことを含む。同じ又は他の実施態様において、抗−無電解メッキ層は、プラズマエッチング又は水溶性過マンガン酸塩のような化学的溶液を用いて除いてもよい。ひとつの実施態様においては、単一のステップ又はプロセス(例えば反応性イオンエッチング)を、抗−無電解メッキ層及び第一の電気的伝導層を共に取り除くことに使用することができる。他の実施態様においては、抗−無電解メッキ層が第一の工程で除かれ、第一の電気的伝導層が引き続いて第二の工程例えば迅速エッチングプロセスのような工程で除かれる。
【0029】
上で説明したように、抗−無電解メッキ層に使用される材料に応じて、抗−無電解メッキ層は化学溶液又はプラズマエッチングで取り除かれることができる。一例として、Oプラズマ又はCHプラズマ又はこれらの組み合わせは、抗−無電解メッキ層を除去するための非常に有効な方法である。PDMSは、膨潤及びエッチングを含む2ステッププロセスを用いて化学的に除くことができる。膨潤溶媒は、PDMSにはクロロホルム及びエーテルが、及びエッチング溶液には水溶性過マンガン酸塩溶液を用いることができる。PEは、熱的に除去され得る。PEの融点(分子量に依存するが130℃よりも低い)は、基板201に見られるエポキシ系誘電物に比べてずっと低いからである。
【0030】
図8は、本発明の実施態様における製造方法の特定に時点でもワークピース200の断面図を示す。一例として、図8は、方法100のステップ160の実施態様に従ったワークピース200の断面を示す。図8に示すように、抗−無電解メッキ層410及び電気的伝導層310は除かれ、ビア510とトレース520内に電気的伝導層610及び710が存在する。次の点に注意すべきである。迅速エッチング工程は、電気的伝導層610及び同様に710の上部部分を除くということである。しかし、除かれる量は最小限であり、これらの層の性能にはほとんど悪影響はない。
【0031】
特定の実施態様に基づいて本発明を説明してきたが、この技術分野の熟練者にとって、種々の変更もまた本発明の本質と範囲から離れることなく可能であるということは理解されるべきである。従って、本発明の実施態様の開示は、本発明の範囲を説明することを意図するものであり、それを限定することを意図するものではない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲において要求範囲においてのみ規定されるものである。例えば、この技術分野の熟練者にとって、ここで説明された選択領域のメッキを可能とする方法は種々の態様で実施できるものであること、また特定の実施態様においてこれまで説明されたことは必ずしも全ての可能な実施態様を完全に記載しているものではないこと、を理解するべきである。
【0032】
さらに、効果、他の利点及び解決手段は、特定の実施態様に関連して説明された。効果、利点及び解決手段、及び全ての効果、利点又は解決を生じる又はより増加させる原因となる全ての要素は、しかし、特許請求の範囲のいくつか又は全てについて、決定的な、必須の又は本質的な構成又は要素として、解釈されるべきではない。
【0033】
さらに、ここで開示した実施態様及び限定は、以下の場合、決して奉仕論の下で公衆へ奉仕されるものではない。すなわち、実施態様及び/又は限定が:(1)特許請求の範囲において明示的に表明されていない場合、及び(2)均等論の下で表現された要素及び/又は限定と実質的に均等である場合である。
【符号の説明】
【0034】
200 ワークピース
201 基板
210 誘電体層、ビルドアップ層
220 パッド220
310 電気的伝導層
410 抗−無電解メッキ層
501 パターン
510 ビア
520 トレース
610 電気的伝導層
710 電気的伝導層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8