(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5722256
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】発泡材を含む廃材の処理装置
(51)【国際特許分類】
B29B 17/04 20060101AFI20150430BHJP
B02C 18/14 20060101ALI20150430BHJP
B02C 18/16 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
B29B17/04ZAB
B02C18/14 B
B02C18/16 Z
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-43603(P2012-43603)
(22)【出願日】2012年2月29日
(65)【公開番号】特開2013-180400(P2013-180400A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2013年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】390015967
【氏名又は名称】株式会社キンキ
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】和田 直哉
(72)【発明者】
【氏名】松本 勝
(72)【発明者】
【氏名】高見 敬太
【審査官】
宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】
特表平03−500857(JP,A)
【文献】
特開2003−211451(JP,A)
【文献】
特開2009−280632(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C18/
B02C23/
B09B
B29B17/
C08J11/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底の筐体内に投入された発泡材を含む廃材を粉砕手段により粉砕し、該粉砕した廃材を移送手段によって筐体の側方に形成した排出口から排出するようにした発泡材を含む廃材の処理装置において、粉砕した発泡材から発生し、筐体内に滞留するガスを、筐体の底部に配設した吸引ノズルによって吸引し、筐体外に排出するガス吸引排出手段と、前記吸引ノズルの上方を覆う吸引ノズルガード部材と、該吸引ノズルガード部材に覆われた空間に侵入したダストを排除するための圧力気体噴出手段とを備えたことを特徴とする発泡材を含む廃材の処理装置。
【請求項2】
前記吸引ノズルの中間部に、側方からガスを吸引するガス排出部を形成するとともに、吸引ノズルの下部に、吸引したガスから分離されたダストを収容するダスト収集部を形成したことを特徴とする請求項1記載の発泡材を含む廃材の処理装置。
【請求項3】
前記ガス吸引排出手段に、筐体内に滞留するガスのガス濃度を計測するガス濃度センサを備え、該ガス濃度センサによって計測したガス濃度に応じてガス吸引排出手段の稼働を制御するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の発泡材を含む廃材の処理装置。
【請求項4】
前記粉砕手段を、対向する回転軸に切断刃を配設した剪断式粉砕手段で構成するとともに、前記移送手段を、前記回転軸と同軸のスクリュー式移送手段で構成し、前記吸引ノズルを、対向する回転軸間の移送手段の下方位置に配設したことを特徴とする請求項1、2又は3記載の発泡材を含む廃材の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡材を含む廃材の処理装置に関し、特に、発泡材を製造する際に使用する発泡ガスに空気よりも重い引火性のガスを使用した発泡材を含む廃材の処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵庫等の断熱材に使用する発泡材として、フロンガスを発泡ガスとして使用して製造したウレタン断熱材が用いられていた。
しかし、フロンガス(クロロフルオロカーボン)は、オゾン層の保護及び地球温暖化の防止の観点から使用が禁止され、さらに、代替フロン(ハイドロクロロフルオロカーボン類及びハイドロフルオロカーボン類)についても、その使用が自粛され、断熱材等に使用する発泡材には、シクロペンタンガス等の引火性のガスが用いられるようになってきている。
【0003】
そして、シクロペンタンガスやその他の発泡ガス(ブタン、ペンタン等の炭化水素ガス)等の引火性のガスを用いて製造されたウレタン断熱材等(以下、単に「発泡材」という。)を含む廃材は、家電リサイクル法の施行によって、回収した廃家電製品の50〜70%は再資源化、再商品化される。
これら発泡材を含む廃材を再資源化する場合、破砕・粉砕工程を経て、固形燃料成形装置によって固形燃料として利用されることが一般的で、その他の部分については、破砕・粉砕工程を経て、選別され、焼却や埋め立て処理される。
そして、再資源化のための固形燃料成形装置や焼却埋め立てのための破砕・粉砕装置等、発泡材を含む廃材の処理装置が種々提案され、実用に供されている(例えば、特許文献1〜2参照。)。
【0004】
この発泡材を含む廃材の処理装置のうち特許文献1に記載の固形燃料成形装置は、廃材を粉砕する粉砕手段と、粉砕手段で横送りされた廃材を軸方向に移送する移送手段とを備え、移送手段の後半部で廃材を圧縮する圧縮部を設けるとともに、圧縮部で圧縮した廃材を所定温度まで加熱する加熱部を設け、圧縮しながら移送される廃材を加熱し、排出口に形成したノズルを通過させて固形燃料を成形するようにしている。
【0005】
ところで、粉砕手段によって発泡材が粉砕される際に、発泡材から発泡ガス(シクロペンタンガスやその他の発泡ガス(ブタン、ペンタン等の炭化水素ガス)等の引火性のガス)が分離する。
この場合、シクロペンタンガスは、発火度G3(発火温度200〜300℃)の可燃物であり、その体積濃度が1.7vol%を越えると爆発燃焼するおそれがある。
また、シクロペンタンガスは空気よりも重く、有底の筐体内でシクロペンタンガスを発泡ガスとして製造した発泡材を破砕・粉砕した場合、装置内で発泡材から分離したシクロペンタンガスが筐体の底部に滞留することとなり、爆発限界に達すると爆発燃焼するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−280632号公報
【特許文献2】特開2009−241072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の発泡材を含む廃材の処理装置の有する問題点に鑑み、破砕・粉砕処理する発泡材から分離するシクロペンタンガス等の発火性のガスによる爆発燃焼を抑制することができる発泡材を含む廃材の処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の発泡材を含む廃材の処理装置は、有底の筐体内に投入された発泡材を含む廃材を粉砕手段により粉砕し、該粉砕した廃材を移送手段によって筐体の側方に形成した排出口から排出するようにした発泡材を含む廃材の処理装置において、粉砕した発泡材から発生し、筐体内に滞留するガスを、筐体の底部に配設した吸引ノズルによって吸引し、筐体外に排出するガス吸引排出手段
と、前記吸引ノズルの上方を覆う吸引ノズルガード部材と、該吸引ノズルガード部材に覆われた空間に侵入したダストを排除するための圧力気体噴出手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、前記吸引ノズルの中間部に、側方からガスを吸引するガス排出部を形成するとともに、吸引ノズルの下部に、吸引したガスから分離されたダストを収容するダスト収集部を形成することができる。
【0011】
また、前記ガス吸引排出手段に、筐体内に滞留するガスのガス濃度を計測するガス濃度センサを備え、該ガス濃度センサによって計測したガス濃度に応じてガス吸引排出手段の稼働を制御することができる。
【0012】
また、前記粉砕手段を、対向する回転軸に切断刃を配設した剪断式粉砕手段で構成するとともに、前記移送手段を、前記回転軸と同軸のスクリュー式移送手段で構成し、前記吸引ノズルを、対向する回転軸間の移送手段の下方位置に配設することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の発泡材を含む廃材の処理装置によれば、有底の筐体内に投入された発泡材を含む廃材を粉砕手段により粉砕し、該粉砕した廃材を移送手段によって筐体の側方に形成した排出口から排出するようにした発泡材を含む廃材の処理装置において、粉砕した発泡材から発生し、筐体内に滞留するガスを、筐体の底部に配設した吸引ノズルによって吸引し、筐体外に排出するガス吸引排出手段を備えるようにすることにより、粉砕手段によって粉砕された発泡材から分離し、筐体の底部に滞留する発泡ガスを吸引して排出することができ、発泡ガスが装置内で爆発燃焼することがなく、発泡材を含む廃材を安全に処理することができる。
【0014】
また、前記吸引ノズルの上方を覆う吸引ノズルガード部材と、該吸引ノズルガード部材に覆われた空間に侵入したダストを排除するための圧力気体噴出手段とを備えることにより、上方から落下する粉砕処理された廃材の小片やダストが、吸引ノズルに直接侵入して目詰まりを起こすことがなく、また、側方から侵入し吸引ノズルの近辺に滞留しようとするダストを吹き払って、吸引ノズルからダストが大量に吸引されることを防止することができる。
【0015】
また、前記吸引ノズルの中間部に、側方からガスを吸引するガス排出部を形成するとともに、吸引ノズルの下部に、吸引したガスから分離されたダストを収容するダスト収集部を形成することにより、発泡ガスと共に吸引されるダストを吸引後に分離することができ、ダストと共に排出されることを防止し、ダストのみを収集部に溜めることができる。
【0016】
また、前記ガス吸引排出手段に、筐体内に滞留するガスのガス濃度を計測するガス濃度センサを備え、該ガス濃度センサによって計測したガス濃度に応じてガス吸引排出手段の稼働を制御することにより、高いガス濃度を計測したときにはガスの吸引量を引き上げて、筐体内のガス濃度を下げ、安全に発泡材を含む廃材を粉砕、処理することができるとともに、ガス濃度が低いときにはガスの吸引量を下げ、装置の省エネルギ運転を行うことができる。
【0017】
また、前記粉砕手段を、対向する回転軸に切断刃を配設した剪断式粉砕手段で構成するとともに、前記移送手段を、前記回転軸と同軸のスクリュー式移送手段で構成することにより、装置の全高を低くし、発泡材を含む廃材の容易に投入することができる。
また、前記吸引ノズルを、対向する回転軸間の移送手段の下方位置に配設することにより、発生した発泡ガスを、負荷の低い箇所で効果的に吸引して排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の発泡材を含む廃材の処理装置の一実施例を示す一部切り欠き断面の正面図である。
【
図2】同発泡材を含む廃材の処理装置の一部切り欠き断面の平面図である。
【
図3】同発泡材を含む廃材の処理装置のガス吸引排出手段を示し、(a)は
図1のA部詳細図、(b)は
図1のX−X断面図である。
【
図4】同発泡材を含む廃材の処理装置の圧力気体噴出手段を示し、(a)は一部切り欠き断面の正面図、(b)は(a)のY−Y断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の発泡材を含む廃材の処理装置の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0020】
図1〜
図4に、本発明の発泡材を含む廃材の処理装置の一実施例を示す。
この発泡材を含む廃材の処理装置1は、有底の筐体10内に投入された発泡材を含む廃材Wを粉砕手段3により粉砕し、粉砕した廃材Wを移送手段4によって筐体10の側方に形成した排出口12から排出するように構成し、粉砕した発泡材から発生し、筐体10内に滞留するガスを、筐体10の底部に配設した吸引ノズル20によって吸引し、筐体10外に排出するガス吸引排出手段2を備えるようにしている。
【0021】
粉砕手段3は、投入される廃材Wを所定の大きさまで粉砕処理することができるものであれば、特に限定されるものではないが、本実施例においては、筐体10内に配設する対向する回転軸13、13に切断刃30を配設した剪断式粉砕手段3Aで構成するようにしている。
【0022】
また、移送手段4は、筐体10の側方に形成した排出口12から、粉砕した廃材Wを排出するように移送するものであれば、特に限定されるものではないが、本実施例においては、スクリュー式移送手段4Aとし、このスクリュー式移送手段4Aのスクリュー40を、剪断式粉砕手段3Aの切断刃30を配設した回転軸13、13と同軸に形成するようにしている。
剪断式粉砕手段3Aによって粉砕される廃材Wは、筐体10の長手方向の内側面に下部から上部に向かって斜めに(排出側に向かって上り傾斜)配設された棒状の横送り部材32によって、切断刃30が筐体10の内側面に沿って掻き上げる際に、この横送り部材32に沿うようにして移送手段4に向かって横送りされる。
【0023】
粉砕手段3及び移送手段4を配設する回転軸13、13は、本実施例においては、それぞれに減速機14、14を介して電動機15、15に接続され、独立駆動するように構成されている。
なお、一方を駆動軸とし、他方を駆動軸と連動して回転する従動軸とすることもできる。
そして、本実施例のように、回転軸13、13を独立駆動とすることによって、両回転軸13、13を異なる回転数で運転したり、一方の回転軸13のみを逆回転させたりすることができ、廃材Wが切断刃30の間に詰まることを防止するとともに、詰まった廃材Wを容易に排除することができる。
なお、本実施例においては、駆動手段として電動機15を使用した例で説明したが、例えば、油圧モータを駆動手段として用いることもできる。
【0024】
剪断式粉砕手段3Aは、回転軸13の軸方向に複数の切断刃30とスペーサ31とを交互に配設する。
そして、対向する回転軸13、13に設けられた切断刃30とスペーサ31とは、対向する位置で切断刃30とスペーサ31とが向き合い、互いに噛み合うように構成され、切断刃30の側面同士に微少隙間が形成されるようにして、筐体10の上方に開放するようにして形成されている投入口11から投入される廃材Wを剪断作用によって粉砕するようにしている。
【0025】
スクリュー式移送手段4Aは、対向する回転軸13、13に形成された螺旋状のスクリュー40、40からなり、このスクリュー40の捻り方向は、回転軸13、13を内向きに回転させたときに粉砕手段3によって粉砕された廃材Wが排出口12に向かって移送される方向となるようにしている。
【0026】
また、このスクリュー40の粉砕手段3に近い外周部では、筐体10の内面との間に所定の隙間(特に側面との間の隙間)が形成され、粉砕手段3によって粉砕された廃材Wを貯溜することができる貯溜空間Tを形成するようにしている。
そして、この貯溜空間Tに、剪断式粉砕手段3Aによって粉砕される廃材Wを一旦貯溜し、この貯溜空間Tから一定量ずつを排出口12に向かって移送するようにしている。
【0027】
排出口12は、スクリュー式移送手段4Aによって移送されてくる廃材Wをそのままの状態で排出し、次工程に送るように構成することもできるが、本実施例においては、排出口12に圧縮手段と固形燃料への成形手段とを配備し、粉砕した廃材Wから固形燃料を成形するように構成している。
【0028】
圧縮手段は、スクリュー式移送手段4Aのスクリュー40の先端部を利用し、この先端部を覆う筐体10との隙間を可及的に小さくすることによって移送される廃材Wを圧縮する。
【0029】
成形手段は、成形板と、成形板に配設される多数の成形ノズルと、成形板内に配設されるヒータとからなり、スクリュー式移送手段4Aの圧縮部で圧縮された廃材Wが、ヒータによって温度管理されるノズル内に押し込まれ、ノズル内周面の形状に沿った固形燃料として排出される。
【0030】
そして、この発泡材を含む廃材の処理装置1に配備されるガス吸引排出手段2は、吸引ノズル20を筐体10の底部に配設し、粉砕した発泡材から発生し、筐体10内に滞留するガスを吸引し、筐体10外に排出するように構成する。
吸引手段や排出手段は、本実施例においては、
図3に示すように、吸引ノズル20の中間部に、側方から吸引ファン等からなる吸引機構23によって吸引したガスを排出するガス排出部21を形成するとともに、吸引ノズル20の下部に、吸引したガスから分離されたダストを収容するダスト収集部22を形成するようにしている。
【0031】
なお、ガス吸引排出手段2は、吸引ノズル20から吸引するダストを含むガスをサイクロン式の分離器に導入し、ダストとガスを分離するように構成することもできる。
【0032】
このように、ガス吸引排出手段2にダスト収集部22を形成することによって、後述する吸引ノズルガード部材25及び圧力気体噴出手段26によって防ぎきれない侵入ダストを、吸引したガスと共に排出することを防止することができる。
【0033】
そして、このガス吸引排出手段2は、吸引ノズル20の上方を覆う吸引ノズルガード部材25と、この吸引ノズルガード部材25に覆われた空間Sに侵入したダストを排除するための圧力気体噴出手段26とを備え、上方から落下する粉砕処理された廃材の小片やダストが、吸引ノズルに直接侵入して目詰まりを起こすことを防止するとともに、側方から吸引ノズルガード部材25に覆われた空間Sに侵入するダストを吹き払って、吸引ノズル20の近辺に滞留して、吸引ノズルからダストが大量に吸引されることを防止するようにしている。
【0034】
吸引ノズルガード部材25は、
図3に示すように、対向する回転軸13、13間の移送手段4の下方位置に配設される吸引ノズル20の上方を覆うように、板状部材を山型に形成し、頂辺(稜線を形成する辺)が対向する回転軸13間の中心の下方に位置するように、回転軸13の軸心方向に配置することによって、スクリュー40に干渉しないように構成されている。
そして、吸引ノズルガード部材25は、回転軸13の軸心方向の前方及び後方側を開放し、筐体10内に滞留するガスを、吸引ノズル20に導くようにしている。
【0035】
圧力気体噴出手段26は、吸引ノズルガード部材25に覆われた空間Sに侵入したダストを排除するために、この空間Sに圧力気体を噴出するもので、本実施例においては、吸引ノズル20の近傍の筐体10の底部に配設され、
図4(a)に示すように、圧力気体噴出ノズル26aの噴出口を水平方向に向けて取り付け、圧力気体を水平方向に向けて噴出するようにしている。
このとき、
図4(b)に示すように、圧力気体噴出ノズル26aを多方向(図例では、3方向)に分岐して構成することができ、これによって、空間Sに侵入したダストを、より効果的に排除することができる。
圧力気体噴出手段26からの圧力気体の噴出のタイミングは、特に限定されるものではないが、ガス吸引排出手段2の吸引機構23の作動タイミングと連動させ、圧力気体噴出手段26からの圧力気体を短時間噴出するときに、吸引機構23からの吸引を停止することによって、空間Sのダストを吸引ノズル20により吸引させることなく排除することができる。
【0036】
また、ガス吸引排出手段2に、筐体10内に滞留するガスのガス濃度を計測するガス濃度センサ27を配備し、ガス濃度センサ27によって計測したガス濃度に応じてガス吸引排出手段2の稼働を制御することができる。
【0037】
ガス濃度センサ27は、発泡材から分離し、ガス吸引排出手段2に吸引されるガスの濃度を計測するもので、計測箇所は吸引ノズル20の近傍に配設することが好ましい。
本実施例においては、吸引機構23から吸引ノズル20までの間の吸引ラインから分岐した先に配設し、このガス濃度センサ27にガスを導くことによって、リアルタイムでガス濃度を計測し、ガス濃度が低い場合には、吸引機構23による吸引量を低下させて省エネルギ運転を行い、ガス濃度が上昇傾向にある場合には、吸引機構23による吸引量を上昇させ、装置を安全に運転するようにしている。
【0038】
次に、この発泡材を含む廃材の処理装置1の運転方法を説明する。
まず、投入口11に設けたホッパ11aから廃材Wを投入する。
このとき、良好な固形燃料を成形するために、発泡材を含む廃材の他に、廃プラスチックや古紙等を投入することが好ましく、例えば、廃プラスチックを80%程度にした固形燃料では、1000kcal/kg程度の高カロリー固形燃料として使用することができる。
【0039】
そして、電動機15を駆動し、減速機14によって所定の回転数(例えば、50rpm)に制御された対向する回転軸13、13を、内向きで噛み合う方向に回転駆動することにより、投入された廃材Wを剪断式粉砕手段3Aの切断刃30よって粉砕する。
このとき、筐体10の長手方向の内側面に下部から上部に向かって斜めに配設された棒状の横送り部材32によって、粉砕された廃材Wは、切断刃30が筐体10の内側面に沿って掻き上げられる際に、この横送り部材32に沿うようにして移送手段4に向かって横送りされる。
【0040】
剪断式粉砕手段3Aによって、粉砕され横送りされた廃材Wは、スクリュー40と筐体10の内面との間に形成する貯溜空間Tに一旦貯溜され、この貯溜空間Tから一定量ずつを排出口12に向かって移送される。
【0041】
そして、この貯溜空間Tを形成する筐体10の底部に配備されているガス吸引排出手段2の吸引ノズル20から剪断式粉砕手段3Aによって粉砕された廃材Wの発泡材から発生するガス(特に、シクロペンタンガス)を、吸引ノズルガード部材25に覆われた空間Sを介して吸引し、吸引したガスに含まれるダストをダスト収集部22に収集するとともに、吸引したガスのみを排出するようにしている。
このとき、空間Sに侵入したダストは、圧力気体噴出手段26から噴出される圧力気体によって吹き払われるから、吸引したガスに含まれるダストは、ごく僅かな量となっている。
【0042】
また、吸引されるガスは、ガス濃度センサ27によって、リアルタイムでガス濃度が計測され、ガス濃度に応じてガス吸引排出手段2の運転(吸引機構23を構成する吸引ファン等の回転速度等)を制御することにより、ガス濃度が低い場合には省エネルギ運転を、ガス濃度が高い場合でも安全に装置の運転を継続することができる。
【0043】
次に、貯溜空間Tに貯溜している廃材Wは、スクリュー式移送手段4Aのスクリュー40によって、排出口12に向かって移送される。
【0044】
そして、圧縮手段と固形燃料への成形手段とを備える排出口12において、廃材Wは、成形手段の成形板に配設される多数の成形ノズルから固形燃料に成形されて排出される。
【0045】
以上、本発明の発泡材を含む廃材の処理装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の発泡材を含む廃材の処理装置は、発泡材を含む廃材を粉砕する際に発生するガスを吸引して排出することができるという特性を有していることから、発火性ガスを発泡ガスとして発泡させた発泡材を含む廃材を処理する装置の用途に好適に用いることができ、例えば、発火性ガスを発泡ガスとして発泡させた発泡材を含む廃材から固形燃料を成形する固形燃料成形装置の用途に用いることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 発泡材を含む廃材の処理装置
10 筐体
11 投入口
12 排出口
13 回転軸
2 ガス吸引排出手段
20 吸引ノズル
21 ガス排出部
22 ダスト収集部
25 吸引ノズルガード部材
26 圧力気体噴出手段
27 ガス濃度センサ
3 粉砕手段
3A 剪断式粉砕手段
30 切断刃
4 移送手段
4A スクリュー式移送手段
40 スクリュー
S 空間
W 廃材