【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の態様によれば、増幅装置は、信号入力と、帰還入力と、信号出力とを備えた増幅器を有する。更に、増幅装置は、第1のインピーダンス素子を備え、且つ、前記帰還入力を前記信号出力に接続する第1の結合路と、直列に接続したフィルタ装置、バッファ回路、第2のインピーダンス素子及び電圧源を備え、前記帰還入力を前記信号出力または前記信号入力に接続する第2の結合路とを有する。前記直列に接続した回路が前記電圧源を介して信号出力又は信号入力にそれぞれ結合され、前記第1のインピーダンス素子及び前記第2のインピーダンス素子が前記帰還入力に共通に接続され、この共通接続は、固定基準電位接続点に結合されていない。前記第1のインピーダンス素子の抵抗値をR
1とし、前記第2のインピーダンス素子の抵抗値をR
2としたときに、前記増幅装置の交流増幅係数A
ACは次式で表される。
【0009】
【数1】
【0010】
伝達関数、例えば、増幅装置の利得は、第1及び第2の結合路の第1及び第2のインピーダンス素子を介して規定可能である。第1及び第2のインピーダンス素子は、それぞれ抵抗器を含むことができる。あるいは、インピーダンス素子は、容量特性を備えることができ、あるいは、容量特性と抵抗特性あるいはオーミック特性の組み合わせを備えていてもよい。更に、第2の結合路のフィルタ装置は、増幅器の帰還入力に供給される個々の信号の望ましくない周波数成分を抑制することができる。第2の結合路のバッファ回路は、第1の結合路の第1ループ信号が第2の結合路の第2ループ信号に最低限の影響しか与えないことを可能にする。
【0011】
増幅装置のノイズレベルも小さく抑えられるように、第1及び第2のインピーダンス素子のインピーダンス値、あるいは抵抗値は、比較的小さく選択することができる。
【0012】
第2の結合路は、帰還路として構成でき、増幅装置の信号出力を形成するか、あるいは増幅装置に結合される、増幅器の出力を帰還入力に接続する。あるいは、第2の結合路は、増幅器の信号入力を帰還入力に接続する前方結合(forward coupling)として構成することもできる。このように、入力信号の適切な処理により、あるいは、増幅装置の出力信号の処理により、入力信号の周波数依存増幅(frequency dependent amplification)が達成できる。
【0013】
一の態様では、フィルタ装置が低域通過フィルタを備えている。ここで、低域通過フィルタは、例えば、RC回路を含むことができる。しかし、低域通過フィルタは、能動フィルタとして構成することもできる。
【0014】
別の態様のフィルタ装置では、低域通過フィルタ以外のフィルタ特性を備えていてもよい。例えば、フィルタ装置は、高域通過フィルタ、帯域通過フィルタ、あるいは帯域阻止フィルタとして構成することもできる。また、別の態様では、フィルタ装置が任意のフィルタ機能を有することもできる。別の態様では、フィルタ装置は、能動フィルタ並びに受動フィルタで構成することもできる。
【0015】
更に別の態様では、第2の結合路は、電圧源を有する。この電圧源は、前記電圧源の電圧に基づいて前記信号出力でオフセット電圧を生成するように構成されている。この電圧源によって、例えば、増幅装置の出力信号において、固定の所定電圧オフセットを達成することができる。従って、増幅装置への入力信号が振動を有する場合には、2つのインピーダンス素子によって、また、信号入力でのDC入力レベルによって、電圧源により指定される電圧値を中心に振動する出力信号を発生できる。この態様の増幅器は、線間出力(rail-to-rail output)を備えた増幅器と呼ぶことができる。
【0016】
更に別の態様では、増幅器は、多段増幅段を含む。増幅器は、例えば、信号入力と、インピーダンス素子を介して信号出力とに接続されたトランジスタを有する入力段と、入力側でトランジスタに接続され、出力側で信号出力に接続された少なくとも1個の出力段を含む。入力信号は、入力側では、例えば、制御入力において信号入力を介してトランジスタに供給できる。トランジスタの更なる接続点で形成された入力段の出力は、適切な場合には、更なる機器や機能ブロックを介して、出力段の入力に接続される。出力段は、入力段の入力信号から得られる出力信号を提供し、増幅される。出力段の出力は、少なくとも第1の結合路を介して、例えば、トランジスタを更に接続することにより形成される入力段の帰還入力に結合される。このようにして、第1とおそらく第2の結合路は、出力段を含むだけでなく、出力段の出力をトランジスタへ接続する。
【0017】
この態様では、信号の増幅により、入力段において既にノイズが大幅に削減される。このような制御閉回路(closed control loop)により、直線性は高い。温度に依存する変化、工程に依存する変化、供給電圧に依存する変化は低い。
【0018】
好ましくは、入力段のトランジスタは、増幅装置の入力信号供給のための入力が、トランジスタの制御入力に形成されるように接続される。トランジスタの制御部の接続点は、接続点の1つが入力段の出力を形成するように接続し、出力段に接続されることが望ましく、トランジスタの制御部の更なる接続点は、第1及び第2の結合路に接続されることが望ましい。
【0019】
トランジスタは、pMOSトランジスタとして構成されることが望ましい。しかし、nMOSトランジスタを使用した実施も可能である。
【0020】
出力段も同様に少なくとも1つのトランジスタを含むことができる。一の態様において、例えば、出力段は、AB級段(class AB stage)である。別の態様では、入力段が抵抗器を有し、この抵抗器はトランジスタのドレイン端子の接続点を供給電位接続点又は基準電位接続点に結合する。抵抗を使用すると、例えば、入力段の利得は調節可能である。入力段は、更に又は代案として、トランジスタに接続されるバイアス電流源を含むことができる。
【0021】
一の態様では、入力段は、供給及び基準電位接続点の間で切り替えられる電流路を含む。例えば、入力段のバイアス電流源、トランジスタ、及び抵抗器は、同一の電流路に配設される。
【0022】
信号増幅方法の一の態様において、入力信号が第1のループ信号及び第2のループ信号に応じて増幅され、この入力信号から発生した出力信号が得られる。第1のループ信号は、第1のインピーダンスに応じて出力信号から得られる。中間信号は、入力信号又は出力信号をフィルタリング及びバッファリングして得られる。第2のループ信号は、第2インピーダンスに応じて中間信号から得られる。
【0023】
第1及び第2のループ信号に応じて入力信号を増幅することにより、増幅された出力信号と入力信号との間の伝達関数が、ループ信号の適切な処理により制御可能である。特に、入力信号又は出力信号のフィルタリング及びその後のバッファリングによって得られる第2のループ信号は、入力信号の周波数依存増幅に使用できる。例えば、フィルタリングにより、入力信号又は出力信号の周波数成分は、特に第2のループ信号が、入力信号の増幅中に好ましい周波数特性を起こす程に抑制されている。このバッファリングにより、フィルタリングされた信号又は信号のフィルタリングは、それぞれ増幅から又はループ信号のインピーダンスに基づく入手から分離(decoupling)される。前記第1のループ信号及び前記第2のループ信号は、少なくとも直接には固定基準電位の影響を受けない。前記第1のインピーダンスをR
1とし、前記第2のインピーダンスをR
2としたときに、前記入力信号と前記増幅された出力信号との間の交流増幅係数A
ACは、次式で表される。
【0024】
【数1】
【0025】
この方法の一の態様において、第1及び第2のループ信号のいずれか一方又は両方の入手は、抵抗に基づいて起こる。このように、第1及び第2のループ信号のいずれか一方又は両方は、それぞれの抵抗値に基づいて得られる。例えば、増幅装置の利得係数等増幅特性は、第1及び第2のインピーダンスの比率あるいは第1及び第2の抵抗値の比率に依存する。ここで、インピーダンス又は抵抗値は、ノイズを増幅中にできるだけ小さくできるように、なるべく小さな値を選択する。
【0026】
別の態様において、フィルタリングは、低域通過特性を有する。あるいは、フィルタリングは、その他、高域通過、帯域通過、帯域阻止特性やこれらを組み合わせた、所望のフィルタ特性を有することができる。従って、信号の増幅は、周波数に任意に依存して発生できる。
【0027】
この方法の別の態様において、中間信号の入手には、中間信号のオフセット信号への適用が伴う。例えば、オフセット電圧又はオフセット電流であるオフセット信号を使用すれば、例えば、増幅出力信号における振動用基準値の働きをする固定基準値を増幅出力信号において発生できる。前記オフセット信号は、前記オフセット信号に基づいて前記増幅された出力信号でオフセット電圧を生成するために加えられる。
【0028】
この方法の一の態様において、増幅と提供は、トランジスタによる入力信号の増幅と、入力信号から入手された更なる中間信号の提供と、中間信号の更なる増幅と、前記更なる中間信号から入手された出力信号の提供を含む。ここで、第1及び第2のループ信号は、トランジスタへと帰還される。
【0029】
例えば、更なる中間信号は、トランジスタのソース端子の接続点にタップされる。この場合、第1及び第2のループ信号は、トランジスタのソース端子の別な接続点に帰還される。
【0030】
一の態様において、バイアス電流は、増幅のためにトランジスタに供給される。更に、トランジスタに接続された抵抗を使って、トランジスタを含む入力段の利得が調節可能である。
【0031】
以下、図面に基づく実施形態を用いて本発明をより詳細に説明する。尚、同等の機能を有する要素又は同一の作用を有する要素には、同一の符号を付す。