(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5722297
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】発光ダイオードパッケージ及びそれに用いられるレンズモジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 33/58 20100101AFI20150430BHJP
【FI】
H01L33/00 430
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-265048(P2012-265048)
(22)【出願日】2012年12月4日
(65)【公開番号】特開2013-123051(P2013-123051A)
(43)【公開日】2013年6月20日
【審査請求日】2012年12月4日
(31)【優先権主張番号】201110408497.7
(32)【優先日】2011年12月9日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】506243208
【氏名又は名称】アドヴァンスト オプトエレクトロニック テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED OPTOELECTRONIC TECHNOLOGY INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】林 ▲メイ▼儀
(72)【発明者】
【氏名】洪 温振
【審査官】
金高 敏康
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−015898(JP,A)
【文献】
特開平01−287973(JP,A)
【文献】
特開2007−140524(JP,A)
【文献】
特開2011−228047(JP,A)
【文献】
特開2009−211990(JP,A)
【文献】
特開2011−228408(JP,A)
【文献】
特開2008−130487(JP,A)
【文献】
特開昭59−226381(JP,A)
【文献】
特開2006−301544(JP,A)
【文献】
特開2010−157653(JP,A)
【文献】
特表2007−516601(JP,A)
【文献】
特表2013−516785(JP,A)
【文献】
特開2007−208301(JP,A)
【文献】
特開2007−102139(JP,A)
【文献】
特開2008−166250(JP,A)
【文献】
特開2005−175048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 − 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードチップと、該発光ダイオードチップの上方に覆設されるレンズモジュールとを備える発光ダイオードパッケージにおいて、該レンズモジュールは、発光ダイオードチップの上方に覆設される凹レンズと、該凹レンズの発光ダイオードチップから離れる表面に貼設され且つ半径方向に沿うサイズが該凹レンズの半径方向に沿うサイズより小さい凸レンズとを備え、前記凹レンズ及び凸レンズの光軸は、前記発光ダイオードチップの中心軸と同一直線上にあり、
前記凹レンズは、発光ダイオードチップに近い第一凹面と、該第一凹面に対向する第二凹面とを備え、第一凹面は、発光ダイオードチップから離れる方向へ凹み、且つ収容空間を形成し、発光ダイオードチップは、該収容空間に収容され、第二凹面は、発光ダイオードチップの方向へ凹み、
前記第一凹面の曲率半径と前記第二凹面の曲率半径とが等しいことを特徴とする発光ダイオードパッケージ。
【請求項2】
前記凸レンズは、前記凹レンズの第二凹面の中央部に設置され、第一凸面と、該第一凸面に対向する第二凸面とを備え、該第一凸面は、凹レンズの第二凹面に貼設され且つ該第二凹面と同じ曲率半径を有し、該第二凸面は、発光ダイオードチップから離れる方向へ突出することを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオードパッケージ。
【請求項3】
前記発光ダイオードパッケージは、発光ダイオードチップの上方に覆設されるインナーレンズをさらに備え、該インナーレンズは、凹レンズと発光ダイオードチップとの間に設置され、且つ発光ダイオードチップから離れる方向へ突出していることを特徴とする請求項2に記載の発光ダイオードパッケージ。
【請求項4】
凹レンズ及び凸レンズを備えるレンズモジュールにおいて、該凸レンズは、該凹レンズの表面に貼設され且つ半径方向に沿うサイズが該凹レンズの半径方向に沿うサイズより小さく、前記凹レンズ及び凸レンズの光軸は、同一直線上にあり、
前記凹レンズは、第一凹面と、該第一凹面に対向し前記凸レンズが設けられた第二凹面とを備え、
前記第一凹面の曲率半径と前記第二凹面の曲率半径とが等しいことを特徴とするレンズモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードパッケージ及びそれに用いられるレンズモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)は、電流を特定の波長の光に転換できる半導体素子からできており、高輝度、低電圧、低消費電力、長寿命である等の利点を有することから、新しいタイプの光源として、現在広く利用されている。
【0003】
バックライトモジュールにおいて、一般的には、複数の発光ダイオードが導光板の側辺或いは底部に設置され、該発光ダイオードによって導光板の照明が実現される。しかし、発光ダイオードの光出射範囲は約120°までであり且つ発光ダイオードの中心の光強度は周囲の光強度より高いため不均一な分布を呈する。これにより、隣接する発光ダイオード間には暗い帯域ができる。そのため、隣接する発光ダイオード間にできる暗い帯域を防止するために、発光ダイオードの数量を増加させて、隣接する発光ダイオード間の距離を縮小させる必要があるが、この場合はコストが増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記課題を解決するために、本発明は、照明角度が大きく且つ中心と周囲との光強度差が小さい発光ダイオードパッケージ及びそれに用いられるレンズモジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る発光ダイオードパッケージは、発光ダイオードチップと、該発光ダイオードチップの上方に覆設されるレンズモジュールとを備え、該レンズモジュールは、発光ダイオードチップの上方に覆設される凹レンズと、該凹レンズの発光ダイオードチップから離れる表面に貼設され且つ半径方向に沿うサイズが該凹レンズの半径方向に沿うサイズより小さい凸レンズと、を備え、前記凹レンズ及び凸レンズの光軸は、前記発光ダイオードチップの中心軸と同一直線上にある。
【0006】
本発明に係るレンズモジュールは、凹レンズ及び凸レンズを備え、該凸レンズは、該凹レンズの表面に貼設され且つ半径方向に沿うサイズが該凹レンズの半径方向に沿うサイズより小さく、前記凹レンズ及び凸レンズの光軸は、同一直線上にある。
【発明の効果】
【0007】
従来の技術と比べ、本発明に係る発光ダイオードパッケージにおいて、発光ダイオードチップから出射した光は、先ず、凹レンズによって一度屈折し、より多くの光を発光ダイオードパッケージの周囲に屈折させる。これにより、発光ダイオードパッケージの周囲の光強度が向上され、発光ダイオードパッケージの照明角度は大きくなる。次に、凹レンズの中心から出射した光は、凸レンズによって再度屈折を行い、凸レンズの焦点に集中された後、凸レンズの焦点から様々な方向に向かって放射状に発散される。凸レンズの曲率半径は小さいので、凸レンズの焦点距離は短い。従って、凸レンズの焦点から周囲に向かって発散する光の角度は比較的大きい。このように、発光ダイオードパッケージの中心の一部の光は周囲にさらに屈折され、発光ダイオードパッケージの中心の光強度はさらに弱められ、発光ダイオードパッケージの周囲の光強度はさらに向上される。これにより、発光ダイオードパッケージの中心と周囲との間の光強度差を縮小することができるため、均一で且つ大きな照明角度を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る発光ダイオードパッケージの断面図である。
【
図2】
図1に示した発光ダイオードパッケージから出射した光の角度と光強度との曲線図である。
【
図3】本発明の第二実施形態に係る発光ダイオードパッケージの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1を参照すると、本発明の第一実施形態に係る発光ダイオードパッケージ100は、基板10と、回路構造20と、基板10に固定され且つ回路構造20に電気的に接続される発光ダイオードチップ30と、レンズモジュール40と、基板10とレンズモジュール40との間に充填され且つ発光ダイオードチップ30を覆う封止体50と、を備える。
【0011】
基板10は発光ダイオードチップ30を支持するために用いられ、第一表面11及び該第一表面11に対向する第二表面12を備える。本実施形態において、基板10の断面の形状は矩形であり、基板10は、PPA或いはセラミックなどの優れた熱伝導性と電気絶縁性を有する材料からなる。
【0012】
回路構造20は、互いに離間して設置された第一電極21及び第二電極22を備える。第一電極21及び第二電極22は、基板10の第一表面11から基板10の2つの側面を各々経由して、基板10の第二表面12までそれぞれ延伸する。回路構造20は、金、銀、銅、白金、アルミニウム、ニッケル、スズ、マグネシウム又はこれらの合金などの優れた電気伝導性を有する金属からなる。
【0013】
発光ダイオードチップ30は基板10の第一表面11に設置される。本実施形態において、発光ダイオードチップ30は、第一電極21に固定され且つ金属線31を介して第一電極21及び第二電極22と電気的に接続される。他の実施形態において、発光ダイオードチップ30は、フリップチップや共晶接合の方法によって第一電極21及び第二電極22に接続しても良い。
【0014】
レンズモジュール40は、発光ダイオードチップ30上に覆設され、発光ダイオードチップ30から出射した光は、該レンズモジュール40によって発光ダイオードパッケージ100の外部へ出射する。レンズモジュール40は、凹レンズ41及び該凹レンズ41の発光ダイオードチップ30から離れる表面に設置される凸レンズ42を備える。
【0015】
凹レンズ41はその両面が内部へそれぞれ凹んだレンズであり、第一凹面411と、該第一凹面411に対向する第二凹面412と、第一凹面411と第二凹面412を連接する側面413と、を備える。凹レンズ41は基板10を完全に覆い且つその側面413と基板10の側面とは、同じ平面上にある。第一凹面411は基板10から離れる方向へ凹む。従って、第一凹面411と基板10の第一表面11との間には、発光ダイオードチップ30及び金属線31を収容する収容空間43が形成される。第一凹面411は、発光ダイオードチップ30の中心軸に対して対称(即ち、凹レンズ41の光軸と発光ダイオードチップ30の中心軸とは同じ)である。従って、第一凹面411を通過する光は、発光ダイオードチップ30の中心軸に対して対称的に発散されることができる。第二凹面412は基板10の方向へ凹む。つまり、第一凹面411と第二凹面412とは互いに向かって凹む。本実施形態において、第一凹面411と第二凹面412とは、第一凹面411と第二凹面412との間の水平面に対して対称であるため、第一凹面411と第二凹面412との曲率は同じである。他の実施形態において、第一凹面411と第二凹面412との曲率は異なっても良い。
【0016】
凸レンズ42は、凹レンズ41の第二凹面412の中央部に設置される。凸レンズ42の半径方向に沿うサイズは、凹レンズ41の半径方向に沿うサイズより小さい。凸レンズ42は、凹レンズ41の第二凹面412に貼付される第一凸面421及び該第一凸面421に対向する第二凸面422を備え、凸レンズ42の光軸と凹レンズ41の光軸とは、同一直線上にある。第二凸面422は、第一凸面421の上方に位置し且つ第一凸面421から離れる方向へ突出する。第二凸面422の周縁部は、凸レンズ42の側面に滑らかに連接される。本実施形態において、凹レンズ41と凸レンズ42との光軸は、発光ダイオードチップ30の中心軸と同一直線上にある。第二凸面422の曲率半径は小さいので、凸レンズ42の焦点と第二凸面422との距離は比較的短い。つまり、凸レンズ42の焦点距離は短い。
【0017】
発光ダイオードチップ30の中心軸と凹レンズ41の光軸とが同一直線上にあるので、発光ダイオードチップ30から出射された光は、凹レンズ41によって屈折された後、凹レンズ41の光軸に対して対称的に発散される。これにより、広い照明範囲を形成することができる。また、凹レンズ41を通過する光が対称的に周囲に発散されるので、より多くの光が発光ダイオードパッケージ100の周囲に屈折されて、発光ダイオードパッケージ100の周囲の光強度を向上させることができる。また、凹レンズ41の中心を通過した光は、凸レンズ42の内部に入射した後、凸レンズ42によって再度屈折する。次いで、該光は凸レンズ42の焦点に集中した後、凸レンズ42の焦点から様々な方向に向かって放射状に発散される。このように、発光ダイオードチップ30の中心の光強度はさらに弱められ、発光ダイオードチップ30の周囲の光強度は向上される。
【0018】
封止体50は、レンズモジュール40と基板10との間の収容空間43の内部に充填され且つ発光ダイオードチップ30を覆って、防水及び防塵の役目を果たす。封止体50の材料は、シリカゲル、エポキシ又は二種の組み合わせであっても良い。また、発光ダイオードチップ30からの光に所望の色変換を行うために、封止体50の内部に蛍光物質を含んでも良い。
【0019】
本発明の発光ダイオードパッケージ100において、レンズモジュール40は、基板10及び発光ダイオードチップ30を覆って設置され、且つ凹レンズ41及び該凹レンズ41と同じ光軸を有する凸レンズ42を備える。従って、発光ダイオードチップ30から出射した光は、先ず、凹レンズ41によって一度屈折し、より多くの光を発光ダイオードパッケージ100の周囲に屈折させる。これにより、発光ダイオードパッケージ100の周囲の光強度が向上され、発光ダイオードパッケージ100の照明角度は大きくなる。次に、凹レンズ41の中心から出射した光は、凸レンズ42によって再度屈折を行い、凸レンズ42の焦点に集中された後、凸レンズ42の焦点から様々な方向に向かって放射状に発散される。凸レンズ42の曲率半径は小さいので、凸レンズ42の焦点距離は短い。従って、凸レンズ42の焦点から周囲に向かって発散する光の角度は比較的に大きい。このように、発光ダイオードパッケージ100の中心の一部の光は周囲にさらに屈折され、発光ダイオードパッケージ100の中心の光強度はさらに弱められ、発光ダイオードパッケージ100の周囲の光強度はさらに向上される。これにより、発光ダイオードパッケージ100の中心と周囲との間の光強度差を縮小することができる。
【0020】
図2を参照すると、
図2は、発光ダイオードチップ30からの光が再度屈折を行った後の光の角度(X軸)と光強度(Y軸)を示す曲線グラフである。
図2からわかるように、発光ダイオードチップ30の中心軸は0°に位置し、ここで、中心軸の光強度は低い。しかし該光は中心軸を対称に、70°及び−70°の位置で高い光強度を持つ。このことから、本発明の発光ダイオードパッケージ100の周囲の光強度は向上されていることがわかる。従って、発光ダイオードパッケージ100がバックライトモジュールに装着される場合、該発光ダイオードパッケージ100は大きい照明角度を持つので、多くの発光ダイオードパッケージ100を採用せずとも、バックライトモジュールの配光要求を満たすことができる。また、発光ダイオードパッケージ100の中心と周囲との光強度差は小さいので、2つの隣接する発光ダイオードパッケージ100間にできる暗い帯域を防止することができ、さらに優れたバックライトモジュールの表示効果を実現することができる。
【0021】
また、本実施形態において、レンズモジュール40は、上記の形状に限定されるものではない。例えば、凹レンズ41は、第一凹面411のみを備え、第一凹面411に対向する表面は平面であり、凸レンズ42において、その一つの表面は平面であり、且つ凸レンズ42は前記凹レンズ41の平面に貼付される。この際、凸レンズ42の他の表面は第二凸面422である。また、凹レンズ41は第二凹面412のみを含み、他の表面は平面であっても良い。
【0022】
図3を参照すると、本発明の第二実施形態に係る発光ダイオードパッケージ200において、レンズモジュール40の第一凹面411及び基板10が共に形成する収容空間43には、発光ダイオードチップ30を覆設するインナーレンズ60が設けられる。インナーレンズ60は、基板10から離れる方向へ突出している。本実施形態において、インナーレンズ60の曲率半径は、第一凹面411の曲率半径より小さい。このインナーレンズ60により、発光ダイオードチップ30からの光をより多く発光ダイオードパッケージ200の周囲に屈折させることができる。
【符号の説明】
【0023】
100、200 発光ダイオードパッケージ
10 基板
11 第一表面
12 第二表面
20 回路構造
21 第一電極
22 第二電極
30 発光ダイオードチップ
31 金属線
40 レンズモジュール
41 凹レンズ
411 第一凹面
412 第二凹面
413 側面
42 凸レンズ
421 第一凸面
422 第二凸面
43 収容空間
50 封止体
60 インナーレンズ