特許第5722302号(P5722302)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5722302鉛フリーはんだ合金と、これを用いたソルダペースト及び実装品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5722302
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】鉛フリーはんだ合金と、これを用いたソルダペースト及び実装品
(51)【国際特許分類】
   B23K 35/26 20060101AFI20150430BHJP
   C22C 13/00 20060101ALI20150430BHJP
   C22C 13/02 20060101ALI20150430BHJP
   B23K 35/22 20060101ALI20150430BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
   B23K35/26 310A
   C22C13/00
   C22C13/02
   B23K35/22 310A
   H05K3/34 512C
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-500457(P2012-500457)
(86)(22)【出願日】2010年11月17日
(86)【国際出願番号】JP2010070451
(87)【国際公開番号】WO2011102034
(87)【国際公開日】20110825
【審査請求日】2013年10月29日
(31)【優先権主張番号】特願2010-31481(P2010-31481)
(32)【優先日】2010年2月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林田 喜任
(72)【発明者】
【氏名】小森 篤史
【審査官】 守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−261863(JP,A)
【文献】 特開2002−239780(JP,A)
【文献】 特開2000−288772(JP,A)
【文献】 特開2005−118800(JP,A)
【文献】 特開2002−086294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 35/22
B23K 35/26
C22C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Cu0.1〜5.0質量%、Bi0.1〜3.5質量%、Sb0.1〜3.5質量%、Fe0.001〜0.1質量%、Ni及びCoから選ばれる一種以上の金属0.01〜0.5質量%、Ag3.0質量%以下、並びに残部Snからなる鉛フリーはんだ合金であって、
Feと、Ni及びCoから選ばれる一種以上の金属との含有量の比率(Fe/Ni及びCoから選ばれる一種以上の金属)が、0.007〜5.0である、鉛フリーはんだ合金。
【請求項2】
固相線温度が220℃以下である請求項1記載の鉛フリーはんだ合金。
【請求項3】
粉末形状である請求項1又は2記載の鉛フリーはんだ合金。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項記載の鉛フリーはんだ合金と、フラックスとを含有するソルダペースト。
【請求項5】
前記フラックスの含有量が9〜13質量%である請求項4記載のソルダペースト。
【請求項6】
接合強度が70MPa以上である請求項4又は5記載のソルダペースト。
【請求項7】
クリープ時間が160時間以上である請求項4〜6の何れか1項記載のソルダペースト。
【請求項8】
電子部品と、該電子部品がはんだ付けされている回路基板とを有する実装品であって、
前記はんだ付けに使用されているはんだ合金が、請求項1〜3の何れか1項記載の鉛フリーはんだ合金である実装品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板に電子部品を実装するためのはんだ合金と、これを用いたソルダペースト及び実装品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器の小型化及び薄型化に伴って、モジュール化された部品の実装や、ICやLSI等の半導体素子その他の各種電子部品の組立ての中で、優れた導電性と高い接合信頼性の点から、63Sn/37Pb(Sn/Pbの質量比が63/37)の共晶はんだ合金が広く使用されてきた。しかし近年、環境汚染の問題から鉛に対する規制が強化され、鉛フリーはんだ合金に切り替わりつつある。
【0003】
例えば、特許文献1には、はんだ付け作業の際の有毒ガスの発生を抑制するために、燐及びゲルマニウムを含有するSn−Ag系はんだ合金が提案されている。特許文献2には、耐熱サイクル性を向上させるために、Bi及びInの少なくとも一方を含有するSn−Cu系はんだ合金が提案されている。特許文献3には、63Sn/37Pbの共晶はんだ合金の使用温度条件に近づけるために、亜鉛を含有するSn−Ag系はんだ合金が提案されている。特許文献4には、はんだ付け性向上のために、燐を含有するSn−Cu系はんだ合金が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−225790号公報
【特許文献2】特開2000−190090号公報
【特許文献3】特開2004−34099号公報
【特許文献4】特開2007−260779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
はんだ付けの際に実装品の熱損傷を防ぐには、一般的なプリント基板の耐熱温度が250℃以下であることを考慮すると、はんだ合金として固相線温度(示差走査熱量測定(DSC)における融解開始温度)が220℃以下のものを使用することが好ましい。これにより、はんだ付け温度を低減することができる。従来の鉛フリーはんだ合金であるSn−Ag系合金やSn−Cu系合金の固相線温度を下げるには、Biを添加すればよいが、Biを大量に添加すると、はんだが非常に脆くなるため、はんだにより接合された箇所(以下、接合箇所という)の信頼性が低下するおそれがあった。
【0006】
本発明は、はんだ付け温度を低減できる上、接合箇所の信頼性を向上させることができる鉛フリーはんだ合金と、これを用いたソルダペースト及び実装品を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、特定の元素を特定の組成範囲で含有する鉛フリーはんだ合金により、はんだ付け温度を低減できる上、接合箇所の信頼性を向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の鉛フリーはんだ合金は、Cu0.07〜7.0質量%、Bi0.05〜5.0質量%、Sb0.05〜5.0質量%、Fe0.001〜0.1質量%、Ni及びCoから選ばれる一種以上の金属0.01〜1.0質量%、Ag3.0質量%以下、並びに残部Snからなる鉛フリーはんだ合金であって、Feと、Ni及びCoから選ばれる一種以上の金属との含有量の比率(Fe/Ni及びCoから選ばれる一種以上の金属)が、0.002〜5.0であることを特徴とする。
【0009】
本発明のソルダペーストは、上記本発明の鉛フリーはんだ合金と、フラックスとを含有することを特徴とする。
【0010】
本発明の実装品は、電子部品と、該電子部品がはんだ付けされている回路基板とを有する実装品であって、前記はんだ付けに使用されているはんだ合金が、上記本発明の鉛フリーはんだ合金であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の鉛フリーはんだ合金によれば、はんだ付け温度を低減できる上、接合箇所の信頼性を向上できる。また、本発明のソルダペースト及び実装品によれば、本発明の鉛フリーはんだ合金を用いるため、はんだ付けの際の実装品の熱損傷を防ぐことができる上、接合強度やクリープ時間等を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例及び比較例における接合強度の測定方法を説明するための平面図である。
図2】実施例及び比較例におけるソルダペーストのリフロー条件を示すグラフである。
図3】実施例及び比較例におけるクリープ時間の測定方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、「鉛フリーはんだ合金」、即ち鉛が添加されていないはんだ合金を対象とする。ただし、はんだ合金中に、不可避的不純物として鉛が存在することは許容されるが、この場合、鉛の量は、100ppm以下であることが好ましい。以下、本発明の鉛フリーはんだ合金に含有される成分について説明する。
【0014】
(Cu)
本発明の鉛フリーはんだ合金には、はんだによる接合強度を高めて接合箇所の信頼性を向上させるためにCuが含有される。Cuの含有量は、接合強度向上の観点から、0.07質量%以上であり、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。また、はんだ付け温度の低減の観点から、7.0質量%以下であり、5.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましい。
【0015】
(Bi)
本発明の鉛フリーはんだ合金には、固相線温度を低減させるためにBiが含有される。Biの含有量は、固相線温度低減の観点から、0.05質量%以上であり、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましい。また、Biの脆性に起因する接合箇所の信頼性低下を抑制する観点から、5.0質量%以下であり、3.5質量%以下が好ましく、2.0質量%以下がより好ましい。
【0016】
(Sb)
本発明の鉛フリーはんだ合金には、Biの脆性を改善することによって接合箇所の信頼性低下を抑制するためにSbが含有される。Sbの含有量は、Biの脆性を改善する観点から0.05質量%以上であり、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましい。また、はんだ付け温度の低減の観点から、5.0質量%以下であり、3.5質量%以下が好ましく、2.0質量%以下がより好ましい。
【0017】
(Fe)
本発明の鉛フリーはんだ合金には、はんだによる接合強度を高め、かつ後述するクリープ時間を増大させることによって接合箇所の信頼性を向上させるために、Feが含有される。Feの含有量は、接合箇所の信頼性向上の観点から、0.001質量%以上であり、0.005質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましい。また、はんだ付け温度の低減の観点から、0.1質量%以下であり、0.08質量%以下が好ましく、0.05質量%以下がより好ましい。
【0018】
(Ni及びCoから選ばれる一種以上の金属)
本発明の鉛フリーはんだ合金には、はんだによる接合強度を高め、かつ後述するクリープ時間を増大させることによって接合箇所の信頼性を向上させるために、Ni及びCoから選ばれる一種以上の金属が含まれ、接合箇所の信頼性向上の観点から好ましくはCoが含まれる。Ni及びCoから選ばれる一種以上の金属の合計含有量は、接合箇所の信頼性向上の観点から、0.01質量%以上であり、0.05質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。また、はんだ付け温度の低減の観点から、1.0質量%以下であり、0.5質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましい。
【0019】
本発明の鉛フリーはんだ合金において、はんだによる接合強度を高め、かつ後述するクリープ時間を増大させることによって接合箇所の信頼性を向上させる観点から、Feと、Ni及びCoから選ばれる一種以上の金属との含有量の比率(Fe/Ni及びCoから選ばれる一種以上の金属)は、0.002〜5.0であり、0.01〜3.0であることが好ましく、0.05〜0.5であることがより好ましい。
【0020】
(Ag)
本発明の鉛フリーはんだ合金には、はんだによる接合強度を高める観点から、Agが含有されていることが好ましい。Agの含有量は、接合強度向上の観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましい。また、はんだ付け温度の低減及びコスト低減の観点から、3.0質量%以下であり、2.0質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましい。
【0021】
(Sn及びその他の成分)
本発明の鉛フリーはんだ合金は、上述した各元素が上記特定の組成範囲で含有され、その残部がSnである。ただし、はんだ合金中に、不可避的不純物として上述した各元素及びSn以外の他の成分が存在することは許容されるが、この場合、他の成分の量は、100ppm以下であることが好ましい。Snの含有量は、接合箇所の信頼性向上の観点から、80.5〜99.8質量%であることが好ましく、87.0〜99.5質量%であることがより好ましく、94.5〜98.5質量%であることが更に好ましい。
【0022】
本発明の鉛フリーはんだ合金は、はんだ付け温度の低減の観点から、その固相線温度が220℃以下であることが好ましく、217℃以下であることがより好ましく、214℃以下であることが更に好ましい。固相線温度を上記範囲に制御するには、例えばBiの含有量を調整すればよい。
【0023】
本発明の鉛フリーはんだ合金は、粉末形状であることが好ましい。後述するフラックスへの分散性が向上するからである。
【0024】
次に、本発明のソルダペーストについて説明する。本発明のソルダペーストは、上述した本発明の鉛フリーはんだ合金と、フラックスとを含有する。フラックスとしては、特に限定されず、従来のソルダペーストで使用されている配合のものを使用できる。例えば、ロジン系樹脂、活性剤、チクソ剤、溶剤等を含有するロジン系樹脂含有フラックスや、熱硬化性樹脂、活性剤、チクソ剤、硬化剤等を含有する熱硬化性樹脂含有フラックス等が使用できる。なかでも、はんだ付け時の作業性及びリペアの容易性の観点から、ロジン系樹脂含有フラックスを使用するのが好ましい。
【0025】
本発明のソルダペーストにおいて、フラックスの含有量は、9〜13質量%であることが好ましく、10〜12質量%であることがより好ましい。上記範囲とすることにより、ペーストとしての粘性やチクソ性が良好となり、印刷やディスペンス塗布などの量産工程に適したソルダペーストが得られる。同様の観点から、本発明のソルダペーストにおいて、鉛フリーはんだ合金の含有量は、81〜91質量%であることが好ましく、88〜90質量%であることがより好ましい。
【0026】
本発明のソルダペースト、又はソルダペーストに含まれるフラックスは、上述した成分に加えて、必要に応じて種々の添加剤、例えば界面活性剤、消泡剤、レベリング剤等の添加剤などを含有することができる。なかでも、界面活性剤を添加すると、はんだ濡れ広がり性が向上するため好ましい。
【0027】
本発明のソルダペーストは、接合箇所の信頼性向上の観点から、後述する実施例に記載の測定方法により測定した接合強度が70MPa以上であることが好ましく、80MPa以上であることがより好ましく、90MPa以上であることが更に好ましい。なお、上記接合強度は、通常1GPa以下である。接合強度を上記範囲内に制御するには、例えば、Fe、Ni、Co等の含有量や、Feと、Ni及びCoから選ばれる一種以上の金属との含有量の比率(Fe/Ni及びCoから選ばれる一種以上の金属)を調整すればよい。
【0028】
本発明のソルダペーストは、接合箇所の熱的疲労による信頼性低下を抑制する観点から、後述する実施例に記載の測定方法により測定したクリープ時間が160時間以上であることが好ましく、170時間以上であることがより好ましく、180時間以上であることが更に好ましい。なお、上記クリープ時間は、通常1000時間以下である。クリープ時間を上記範囲内に制御するには、例えば、Fe、Ni、Co等の含有量や、Feと、Ni及びCoから選ばれる一種以上の金属との含有量の比率(Fe/Ni及びCoから選ばれる一種以上の金属)を調整すればよい。
【0029】
本発明のソルダペーストは、上述した必須成分及び必要に応じて添加される添加剤と共に混練処理することにより容易に製造することができる。
【0030】
次に、本発明の実装品について説明する。本発明の実装品は、電子部品と回路基板とを有し、前記電子部品と前記回路基板とを接合するはんだ合金として、上述した本発明の鉛フリーはんだ合金が使用されている。例えば、前記電子部品と前記回路基板とが、上述した本発明のソルダペーストを用いてはんだ付けされた実装品が例示できる。なお、電子部品は特に限定されず、例えば太陽光発電モジュール等が使用できる。また、回路基板についても特に限定されず、例えばポリイミド等を基材の材料とする回路基板が使用できる。
【実施例】
【0031】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。これら実施例は、本発明における最良の実施形態の一例ではあるものの、本発明はこれら実施例により限定を受けるものではない。
【0032】
(鉛フリーはんだ合金粉末の作製及び固相線温度測定)
表1に示す各組成のはんだ合金を作製し、次いでそれらを粉末化し、粒径20μmから40μmの間にあるものを分級し、評価に使用する鉛フリーはんだ合金粉末を得た。得られた各鉛フリーはんだ合金粉末について、示差走査熱量計(セイコーインスツルメント社製、EXSTAR6000)を用い、測定温度範囲を30〜600℃として、固相線温度を測定した。結果を表1に示す。なお、測定の際は、吸熱量が1.5J/g以上あるものを測定対象物由来のピークとし、それ未満のピークは、分析精度の観点から除外した。
【0033】
(ソルダペーストの調製)
ロジン系樹脂(ハリマ化成社製 ハリフェノール512)48質量%、チクソ剤(新日本理化社製 ゲルオールD)9質量%、活性剤(アジピン酸)8質量%、界面活性剤(ビックケミージャパン社製 BYK361N)1質量%、及び溶剤としてヘキシルジグリコール34質量%を同容器に計量し、らいかい機を用いて混合し、フラックスを調製した。得られたフラックスと、上記の方法で得られた各鉛フリーはんだ合金粉末とを、フラックス:はんだ粉末=10:90の比率で計量し、これらを混練機にて2時間混合することで、ソルダペーストを調製した。このソルダペーストを用いて、後述する各種物性評価を行った。
【0034】
(接合強度の測定)
接合強度の測定方法について、図1を参照しながら説明する。図1は、接合強度の測定方法を説明するための平面図である。まず、銅板1(5mm×50mm、厚さ0.5mm)を2枚準備し、2枚の銅板1の短辺部同士を合わせ、その間に上記の方法で得られた各ソルダペースト2(1mm×5mm、厚さ0.5mm)を挟み、図2に示すリフロー条件にてリフロー溶融させることによって、2枚の銅板1同士を接合させた。得られた試料を、引張り試験機(SHIMADZU社製、EZ−L)を使用して、引っ張り速度5mm/minの条件で図1に示す矢印方向に引っ張って、接合強度(接合箇所が破断する強度)を測定した。結果を表1に示す。
【0035】
(クリープ時間の測定)
クリープ時間の測定方法について、図3を参照しながら説明する。図3は、クリープ時間の測定方法を説明するための断面図である。まず、ガラスエポキシ基板3上に銅ランド4(径4.0mm)が設けられた試験基板を準備し、ガラスエポキシ基板3及び銅ランド4を貫通する貫通孔5(孔径1.0mm)を設けた。別途、上記の方法で得られた各ソルダペーストを用いて6.0mm径の円形はんだ6(重量2g、中心に直径1.0mmの孔6aが設けられたもの)をそれぞれ作製した。次いで、貫通孔5に0.8mm径の銅線7を通し、更に銅線7の上部を円形はんだ6の孔6aに通した状態で、図2に示すリフロー条件にてリフロー溶融させることによって、銅ランド4と銅線7とを固定した。次いで、銅線7の下部に錘8(重量2kg)を吊るし、125℃の恒温槽内に放置し、放置直後から錘8が落下するまでの時間をクリープ時間として記録した。結果を表1に示す。なお、クリープ時間が長いほど、接合箇所の熱的疲労による信頼性低下を抑制できる。
【0036】
(せん断強度の測定)
ガラスエポキシ基板上に形成された銅箔ランド(導体寸法:0.85×0.55mm、導体間隔:0.85mm)に、上記の方法で得られた各ソルダペーストを、厚み150μmtのメタルマスクを用いてメタルスキージで印刷した。次いで、Snめっきされた1608CRチップを上記銅箔ランド(10個)の印刷膜上に1つずつ載置した。そして、図2に示すリフロー条件で加熱して試験片を作製した。この試験片について、引張り試験機(SHIMADZU社製、EZ−L)を用いて、引っ張り速度5mm/minの条件でチップのせん断強度を測定した。結果を表1に示す。なお、表1の結果は、せん断強度を測定した10個のチップの平均値である。
【0037】
【表1】
【0038】
表1に示すように、本発明の実施例1〜12は、いずれの評価項目についても良好な結果が得られた。一方、比較例1〜11は、少なくとも1つの評価項目について実施例よりも劣る結果が得られた。
【符号の説明】
【0039】
1 銅板
2 ソルダペースト
3 ガラスエポキシ基板
4 銅ランド
5 貫通孔
6 円形はんだ
6a 孔
7 銅線
8 錘
図1
図2
図3