(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の一実施形態のMRI装置について説明する。
【0026】
<MRI装置の構成>
まず、本実施形態のMRI装置の全体構成について説明する。
図1は、カバーが取り付けられていないMRI装置の全体構成の概要図である。このMRI装置は、静磁場を発生する静磁場発生装置101と、傾斜磁場コイル111と、高周波(RF)コイル113と、シムプレート110と、被検者102を搭載するベッド119と、傾斜磁場パワーアンプ112と、高周波パワーアンプ114と、高周波増幅回路116と、コンピュータ117と、ディスプレイ118とを備えて構成される。なお、静磁場発生装置101、傾斜磁場コイル111、高周波コイル113およびシムプレート110をガントリ1と称する。
【0027】
ガントリ1の静磁場発生装置101は、開放構造であり、被検者102が配置される撮影空間103を挟んで上下に上磁石104と下磁石105を備えている。上磁石104と下磁石105は、支柱106によって連結されている。これにより、撮影空間103の前後左右が広く空いた開放的な構造となるため、被検者102に与える圧迫感の少ない検査環境を提供することができる。上磁石104および下磁石105は、永久磁石、常電導磁石および超電導磁石のいずれかであっても構わないが、ここでは永久磁石を採用している。
【0028】
静磁場発生装置101は、撮影空間103に静磁場を発生している。その磁場均一度を所定値以下に改善するために、上磁石104と下磁石105の撮影空間103の面には、それぞれシムプレート110が取り付けられている。シムプレート110には複数のねじ穴(図では示してない)が開けられ、適切な位置に磁性体のねじが装着されている。磁性体のねじの磁束により、静磁場発生装置101が発生する磁束の分布を補正することで、磁場均一度が所定値以下に調整されている。
【0029】
一対のシムプレート110の撮影空間103の面には、傾斜磁場を発生する一対の傾斜磁場コイル111が配置されている。この傾斜磁場コイル111は、静磁場発生装置101の開放的な構造を妨げることがないように平板構造である。上下一対の傾斜磁場コイル111はそれぞれ、互いに直交する3軸方向に勾配磁場を生じさせるxとyとzの3種のコイルを積層した状態で内蔵している。xコイル、yコイル、zコイルには、それぞれ独立に電流を印加する傾斜磁場パワーアンプ112が接続されている。
【0030】
zコイルは、撮影空間103のz軸(垂直軸)の上から下に向けて磁束密度が徐々に少なくなる傾斜磁場を形成する。同様に、xコイルおよびyコイルは、それぞれx軸、y軸(ともに水平軸)の勾配磁場を形成する。これにより、静磁場発生装置101の発生する磁場に所定の軸方向の勾配磁場を重畳する。
【0031】
一対の傾斜磁場コイル111の撮影空間103側には一対の高周波コイル113が取り付けられている。この高周波コイル113も平板構造である。上下一対の高周波コイル113には高周波パワーアンプ114が接続され、高周波電流が供給される。これにより、被検者102の検査部位に所定周波数の高周波磁界を照射し、検査部位の核スピンに核磁気共鳴(NMR)を生じさせる。傾斜磁場コイル111の形成する傾斜磁場と、この高周波磁場を組み合わせることにより、被検者102の検査部位に選択的にNMR信号を放出させる。NMR信号には、傾斜磁場により三次元的位置情報である位相エンコードおよび周波数エンコードが付加されている。
【0032】
被検者102の検査部位には、核スピンの歳差運動を検出する検出コイル115が配置されている。この検出コイル115は、NMR信号を検出し、高周波増幅回路116に受け渡す。高周波増幅回路116では、検出信号を増幅、検波してデジタル信号に変換処理する。コンピュータ117は、デジタル信号に変換された検出信号を処理し、被検体102の画像等を再構成し、ディスプレイ118に表示する。
【0033】
コンピュータ117は、バスライン120を介して傾斜磁場パワーアンプ112、高周波パワーアンプ114、高周波増幅回路116に制御信号を出力し、所定の撮像シーケンスでの撮像を実行させる制御も行う。
【0034】
その他の主要なユニットとして、被検者102を撮影空間103の中心に搬送するベッド119が静磁場発生装置101の下磁石105に隣接して配置されている。静磁場発生装置101およびベッド119は電磁シールドを施した検査室109に設置されている。
【0035】
<カバーの構成>
図2〜
図8に示すように、ガントリ1は、その外側がカバー20で覆われている。
図2は、カバー20で覆われたガントリ1とベッド119の斜視図である。
図3、
図4および
図5は、カバー20で覆われたガントリ1の斜視図、側面図および背面図である。また、
図6にはカバー20を構成する各部品と、ガントリ1の斜視図を示す。
図7は、カバー20の背面側の断面構造を示すための
図5のA-A断面図(一部)である。
図8は、カバー20の全面側の断面構造を示すための
図2のB-B断面図(一部)である。
【0036】
図6のように、静磁場発生装置101の上磁石104の外形は、上部が斜めに傾斜した円盤状である。下磁石105は円盤状であり、下面に配置された2本以上の脚部131によって床面に対して支持されている。支柱106は、底面が床面に接し、上磁石104の上面までの高さを有し、上磁石104を支持するとともに、上磁石104と下磁石105とを連結している。傾斜磁場コイル111、高周波コイル113およびシムプレート110は、上磁石104の下面および下磁石105の上面に、それぞれ一体に固定されている。
【0037】
図2〜
図8を用いてカバー20の構成について説明する。カバー20は、右メインカバー2、左メインカバー3、ヒンジ4、ヒンジカバー8、センターカバー5、上RFカバー6、下RFカバー7、および、連結部カバー9を含んでいる。
【0038】
右メインカバー2は、正面から見て、上磁石104および支柱の上面の右半分および右側面と、下磁石105の右側面の一部を覆う形状である。右メインカバー2が覆っていない下磁石105の右側面正面側の部分は、連結部カバー9によって覆われている。左メインカバー3は、上磁石104および支柱106の上面の左半分および左側面と、下磁石105の左側面を覆う形状である。
【0039】
右および左メインカバー2,3の下端には、一体形成された脚部2a,3aが設けられている。
右および左メインカバー2,3は、背面のヒンジ4に接続された状態で、脚部2a,3aにより床面に対して自立できるように、その強度および重量等が設計されている。
【0040】
右メインカバー2と左メインカバー3は、上磁石104の正面および上面では中央線31の位置で、背面側では背部中央線32の位置で突き合わされている。正面の中央線31の位置には、
図8に示したラッチ機構80が備えられている。背面の中央線32の位置には、ヒンジ4が設けられている。これらにより、右および左メインカバー2および3は、中央線31の位置で突き合わされ、ラッチ機構80により連結されるとともに、内部のガントリ1の一部に固定されている。
【0041】
図8のラッチ機構80を具体的に説明する。右メインカバー2と左メインカバー3の正面の中央線31の突き合わせ端部には、内壁面に鉤部81がそれぞれ固定されている。一方、上磁石104の外側面には、鉤部81と係合する形状の受け部82がそれぞれ固定されている。よって、右メインカバー2と左メインカバー3を中央線31の位置で突き合わせ、それぞれの鉤部81を受け部82に係合させることにより、右および左メインカバー2および3の端部を中央線31で突き合わせた状態で上磁石104に固定することができる。
【0042】
ヒンジ4について
図5、
図7、
図9(a)を用いて説明する。
図9(a)は、ヒンジ4の拡大正面図である。
図5、
図7のように、ヒンジ4は、支柱106の背面側の中心線32に沿って複数固定されている。ヒンジ4は、中心線32を挟んで並べて配置された2本の回転軸4a,4bと、回転軸4a,4bを支える支持プレート4cと、回転軸4a,4bに回転可能に固定された羽部4e,4fと、支持プレート4cを支柱106に固定する固定部4dと、ヒンジカバー8とを有する。なお、
図5および
図9(a)には、ヒンジカバー8は図示していない。
【0043】
羽部4e,4fには、それぞれ右メインカバー2および左メインカバー3の背面側端部がそれぞれ連結されている。これにより、右メインカバー2と左メインカバー3は、
図10に上面から見た図を示すように、ヒンジ4を中心にそれぞれ回転し、右メインカバー2は、正面から見て右側に、左メインカバー3は正面から見て左側に向かってそれぞれ開く、両開き構造になっている。
【0044】
ヒンジカバー8は、回転軸4a,4bと間隔をあけて支持プレート4cに固定されている。ヒンジカバー8の表面は、
図4および
図7のように、右および左メインカバー2,3の外側面と同一面を形成するように構成されている。これにより、ヒンジ4の凹凸を覆い隠し、滑らかな美観に優れたカバー20を提供できる。また、ヒンジカバー8を支持プレート4に取り付けたまま、右および左メインカバー2,3を開閉できるように、ヒンジカバー8の大きさや位置等が設計されている。ヒンジカバー8の表面を右および左メインカバー2および3の外側面と同一面上に配置するため、羽部4e,4fは、屈曲した形状になっている。
【0045】
センターカバー5は、
図3、
図4のように、支柱106の正面側の面を覆うカバーである。
センターカバー5は、右メインカバー2及び左メインカバー3を閉じた状態で、右メインカバー2及び左メインカバー3と一部重なり合って支柱12を覆い隠す形状に構成されている。
図6のようにセンターカバー5の上下には、鉤状の金具5a、5bが取り付けられている。これを支柱106側に取り付けられた受け側金具(不図示)に係合させることにより、センターカバー5は、支柱106に着脱可能に固定される。
【0046】
上RFカバー6、下RFカバー7は、傾斜磁場コイル111、高周波コイル113およびシムプレート110が固定された上磁石104の下面および下磁石105の上面を覆う円盤状のカバーである。上および下RFカバー6,7は、主平面にねじ通し穴6a,7aがあけられており、ねじ通し穴6a,7aにねじを挿入して、高周波コイル114に設けられたねじ穴(不図示)に螺合することにより、固定される。
【0047】
下RFカバー7は、
図11に断面を示したように、右および左メインカバー2,3の下磁石105の側面を覆う部分の上部にかぶせられて、これらと嵌合するように構成されている。また、図示していないが、上RFカバー6についても、下RFカバー7と同様に、右および左メインカバー2,3の上磁石104の側面を覆う部分の下部にかぶせられて、これらと嵌合するように構成されている。これにより、右および左メインカバー2,3は、上および下RFカバー6,7によってロックされた状態となっている。よって、右および左メインカバー2,3は、正面部のラッチ構造80、ならびに、上および下RFカバー6,7によりロックされ、MRI装置の使用時に開くことがない。また、上および下RFカバー6,7が、右および左メインカバー2,3を外側から覆うことにより、液体や埃が右および左メインカバー2,3の内側に入り込まず、衛生面が向上する。さらに、操作者や被検者から見て、メインカバー2,3の継ぎ目が目立たず、美観も向上する。
【0048】
なお、下RFカバー7の縁には所定の位置に、平坦部33が設けられている。平坦部33には、
図2のようにベッド119が隣接配置される。平坦部33は、被検体102を撮像空間103に搬入する際に、ベッド119のスライド面119bを同じ高さに配置することにより、被検体102を搭載したスライド天板119aの走行路となる。
【0049】
連結部カバー9は、平坦部33の下部、すなわちベッド119の側面が隣接する下磁石105の側面領域を覆うように固定されている。固定は、連結部カバー9に備えられた金具9a,9bを下磁石105の側面にねじ止めすることにより行う。このように、平坦部33の下部に連結部カバー9を配置したことにより、連結部カバー9以外の部分を覆う右および左メインカバー2,3を開く際に、ベッド119と干渉しない。よって、ベッド119を下磁石105に隣接配置したまま、右および左メインカバー2,3を開くことが可能になる。
【0050】
なお、右メインカバー2の上部には、操作者が操作するためのスイッチ2b,2cが備えられている。スイッチ2b,2cには電気配線(不図示)が接続されており、電気配線は右メインカバー2の内側でガントリ1の所定個所に接続されている。
【0051】
カバー20を構成する材料としては、軽く強度の大きい樹脂を用いることができる。例えばガラス繊維強化プラスチック(Glass Fiber Reinforced Plastics, GFRP)が好適である。
【0052】
<メンテナンス作業>
つぎに、カバー20を取り外し、ガントリ1をメンテナンス(例えばシムコイル110の調整)する際の作業フローを
図12を用いて説明する。また、
図13および
図14には、メンテナンスのために右および左メインカバー2,3を開いた状態の斜視図および断面図を示す。
【0053】
まず、上RFカバー6を、ねじを外して取り外す(ステップ121)。つぎに、下RFカバー7をねじを外して取り外す(ステップ122)。これにより、右および左メインカバー2,3を開くことができる状態となる。
【0054】
つぎに、右および左メインカバー2,3の正面の突き合わせ部にあるラッチ構造80を外し、作業者が右および左メインカバー2,3の突き合わせ部を押し開くことにより、右および左メインカバー2,3は、背面のヒンジ4を中心に回転し、
図10、
図13および
図14のように左右に開く(ステップ123)。このとき、脚部2a,3aが床面を滑り、右および左メインカバー2,3は、脚部2a,3aにより床面に自立した状態を保ちながら開く。このため、作業者が、右および左メインカバー2,3の重量を支える必要はない。また、ベッド119は、右および左メインカバー2,3の回転の際に、これらと干渉しないため、ベッド119を配置したまま開くことができる。
【0055】
右および左メインカバー2,3を開くことにより、ガントリ1が露出される。これにより、ガントリ1にアクセスが可能になり、所望のメンテナンス(例えばシミング)を行うことができる(ステップ124)。
【0056】
このとき、ベッド119を退避させる必要がないため、シムプレート110を調整してシミングを行う際に、撮影時と同じ位置に配置されたベッド119に含まれる磁性体の影響を加味して、高精度に磁場均一度を調整することができる。
【0057】
また、必要に応じてセンターカバー5を支柱106から取り外し、支柱106のメンテナンスを行うことも可能である。
【0058】
メンテナンス終了後は、作業者は、センターカバー5を取り外している際にはこれを取り付け、右および左メインカバー2,3を閉じ、ラッチ構造80の鉤部81を受け部82に係合させる。これにより、右および左メインカバー2,3の正面部が中央線31で突き合わせられた状態で固定される。この後、上RFカバー6および下RFカバー7をねじ止めにより取り付ける。以上により、メンテナンス作業が終了する。
【0059】
本実施形態のMRI装置では、右メインカバー2及び左メインカバー3は、ヒンジ4および脚部2a,2bによって支持され、脚部2a,2bが床面を滑ることにより、重量をヒンジ4および脚部2a,2bにより支えた状態で開閉することができる。これにより、カバー取付け・取外しの作業中は、右メインカバー2及び左メインカバー3の重量を作業者が支える必要がないため、作業性が向上する。一人の作業者で右メインカバー2及び左メインカバー3の取り外しを行うことが可能である。
【0060】
また、上RFカバー6、下RFカバー7およびセンターカバー5は、面積が小さく軽いため、作業者に大きな負担を与えることなく、容易に取り外すことができる。
【0061】
また、右メインカバー2および左メインカバー3で、MRI装置本体1の大部分を覆うことができるため、従来に比べてカバーの数を少なくすることができる。よってカバーの取付け・取外しの作業工程数が少なく、短時間で効率よくカバー20の取り外しができる。
【0062】
また、本実施形態では、従来よりもカバーの数が少ないため、カバーの種類も少なく、カバー全体での価格を安価にすることができる。
【0063】
また、カバー数が少ないため、カバー同士の合わせ面が少なくなり、装置の見栄えが良く、美観に優れたMRI装置を提供できる。
【0064】
メンテナンス時に、連結部カバー9およびベッド119、ならびに、センターカバー5を配置したまま、右および左メインカバー2,3を開閉できるため、作業工程を低減できる。作業効率を上げることができる。
【0065】
ベッド119は、構成材の一部に磁性材料を含むため、MRI装置の静磁場均一度に影響を与えている。本実施形態では、ベッド119を配置したままシミング等のメンテナンスを行うことができるため、ベッド119の影響を加味した撮影時に近い状態でメンテナンスすることができ、高精度のメンテナンスが可能になる。
【0066】
本実施形態においては、
図9(a)のように2本の回転軸4a,4bを有するヒンジ4を用い、右および左メインカバー2,3がそれぞれ異なる回転軸4a,4bに接続され、それぞれの回転軸4a,4bを中心に回転する構成にしたが、ヒンジ4の構造はこの構造に限定されるものではない。
図9(b)に示すようにヒンジ4の回転軸91を一つにすることも可能である。
【0067】
また、本実施形態においてヒンジ4は、見た目を良くするため、
図4および
図7に示すように、平坦なヒンジカバー8によって覆い隠す構造としたが、ヒンジカバー8を備えない構成にすることも可能である。また、右および左メインカバー2,3の内側にヒンジ4を設ける等別の手段でヒンジ4を隠す構造としても良い。
【0068】
また、第1の実施形態では、右および左メインカバー2,3の重量を、ヒンジ4および脚部2a,3aにより支持しているが、ヒンジ4だけで支持する構成にすることも可能である。この場合、右および左メインカバー2,3の下部を床面から浮いた構造にすることができるため、メインカバー2,3の開閉に必要な力を低減することができる。
【0069】
(第2の実施形態)
第2の実施形態のMRI装置について
図15を用いて説明する。
【0070】
第1の実施形態ではヒンジ4は、支柱106に固定したが、
図15に示すように、ヒンジ4を支柱106に固定せず、右および左メインカバー2,3をヒンジ4により連結した構成にすることも可能である。この場合、右および左メインカバー2,3の重量は、脚部2a,3aのみにより床面に対して支持される。他の構成は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0071】
図15の構成の場合、右および左メインカバーカバー2,3を開き、背面方向に移動させることにより、ガントリ1から取り外すことが可能である。よって、ガントリ1は支柱106の背面まで露出されるため、支柱106の周囲に作業員が回りこんでメンテナンス作業を行うことが可能になる。
【0072】
(第3の実施形態)
第3の実施形態について説明する。
図16および
図17は、メインカバー2,3の脚部2a,3aに車輪を備えたMRI装置の断面図および斜視図である。
【0073】
第1の実施形態で説明したように右メインカバー2及び左メインカバー3の重量は、脚部2a,3aおよびヒンジ4を介して支柱106が支持する。開閉時には、作業者が右メインカバー2及び左メインカバー3を押し、脚部2a,3aを床面を滑らせて回転移動させる。第3の実施形態では、開閉時の作業者の負担をさらに軽減するため、右メインカバー2と左メインカバー3と床との接触面の摩擦係数を低減する手段として、複数の車輪14を配置した。
【0074】
これによって、右メインカバー2及び左メインカバー3は、車輪14の回転により床面を移動することができる。また、車輪14は、右メインカバー2および左メインカバー3の自重を床面に対して支持する。
【0075】
本実施形態においては、
図16のように右メインカバー2において2個、左メインカバー3において3個の車輪14をそれぞれのカバー内側の床面付近に設けた。車輪14は、取り付け位置および個数は、
図16、
図17の構造に限定されるものではなく、右および左メインカバー2,3の外側に設けても良いし、より多くの車輪を設けても良い。また、車輪を脱着の可能な構造にすることもできる。
【0076】
右メインカバー2と左メインカバー3と床との接触面の摩擦係数を低減する手段は、車輪14に限定されるものではなく、他の構成を用いることも可能である。
図18、
図19には、スライドレール15を用いる構成を示す。
【0077】
図18の構成は、床面に複数の直線形状のスライドレール15が配置され、右および左メインカバー2,3の底面には、スライドレール15と係合する切り欠き16が設けられている。
スライドレール15の表面と、切り欠き16の内壁面は、摩擦係数が小さくなるように滑らかに加工されている。
【0078】
このようにスライドレール15を配置したことにより、右および左メインカバー2,3をスライドレール15に沿って移動させることができ、小さな力で右および左メインカバー2,3を開閉することができる。
【0079】
なお、スライドレール15は、床面に対して脱着可能な構成や、メインカバー開閉のたびに取付け・取外しを行う構成や、折りたたみ可能でカバー内部に収納可能な構成等にすることができる。また、スライドレール15は直線形状のものの他、湾曲した形状のものを用いることができる。また、メインカバー2,3の切り欠き16を備えない構成にすることも可能である。
【0080】
また、車輪14やスライドレール15を用いず、右および左メインカバー2,3の脚部2a,3aの底面に、フッ素樹脂シート等床面に対する摩擦係数が小さい材料を取り付けた構成にすることも可能である。この場合も、右および左メインカバー2,3を小さな力で床面を滑らせることができる。
【0081】
第3の実施形態の構成では、メインカバー2,3の床面付近に車輪14やスライドレール15を設けることでメインカバー開閉時の操作力を軽減でき、スムーズにメインカバーを開閉できる。
【0082】
上記車輪14やスライドレール15を設けることにより、車輪14およびスライドレール15で支持するメインカバーの重量を大きくすることができるため、ヒンジ4にかかる負荷を軽減することができる。よって、ヒンジ4の剛性を低減させることが可能になり、コスト低減につながる。
【0083】
なお、第2の実施形態のようにヒンジ4を支柱106に固定しない構成に、第3の実施形態の車輪14やスライドレール15等の摩擦係数を低減する構成を採用することも可能である。
【0084】
(第4の実施形態)
第4の実施形態のMRI装置を、
図20の斜視図を用いて説明する。
【0085】
本実施形態では、
図20のように右および左メインカバー2,3をそれぞれ上下に2つの部材に分割している。右メインカバー2は、右上メインカバー202および右下メインカバー212に分割されている。左メインカバー3は、左上メインカバー203、左下メインカバー203に分割されている。
【0086】
ヒンジ4も2以上設けられ、右上および左上メインカバー202、203が取り付けられるヒンジ4は、右下および左下メインカバー212、213が取り付けられるヒンジ4とは異なっている。これにより、上側のメインカバー202,203と、下側のメインカバー212,213とをそれぞれ独立させて開閉することが可能である。
【0087】
本実施形態の構成では、メインカバー2,3を上下に分割しているため、上磁石104および下磁石105のどちらか一方をメンテナンスしたい場合、上側のメインカバー202,203または下側のメインカバー212,213のみを開閉することでメンテナンス作業が可能である。2分割されたメインカバーは、分割されていないメインカバー2,3よりも小さく、軽いため、開閉作業を容易に行うことができる。よって、メンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0088】
なお、右下および左下メインカバー212、213の底面には、第4の実施形態のように床面との摩擦係数を低減するための構成を採用することが可能である。
【0089】
また、右下および左下メインカバー212、213は、分割されたことにより重量が低減しているため、ヒンジ4によりすべての重量が支持されるように構成することも容易である。
【0090】
また、右下および左下メインカバー212、213は、第2の実施形態のように、ヒンジ4を支柱106に固定せず、ガントリ104から着脱可能な構成にすることもできる。