特許第5722325号(P5722325)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ニューフレイ リミテッド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

特許5722325打ち抜きリベット、打ち抜きリベット接続部を生成する方法、及び加工物の構成
<>
  • 特許5722325-打ち抜きリベット、打ち抜きリベット接続部を生成する方法、及び加工物の構成 図000003
  • 特許5722325-打ち抜きリベット、打ち抜きリベット接続部を生成する方法、及び加工物の構成 図000004
  • 特許5722325-打ち抜きリベット、打ち抜きリベット接続部を生成する方法、及び加工物の構成 図000005
  • 特許5722325-打ち抜きリベット、打ち抜きリベット接続部を生成する方法、及び加工物の構成 図000006
  • 特許5722325-打ち抜きリベット、打ち抜きリベット接続部を生成する方法、及び加工物の構成 図000007
  • 特許5722325-打ち抜きリベット、打ち抜きリベット接続部を生成する方法、及び加工物の構成 図000008
  • 特許5722325-打ち抜きリベット、打ち抜きリベット接続部を生成する方法、及び加工物の構成 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5722325
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】打ち抜きリベット、打ち抜きリベット接続部を生成する方法、及び加工物の構成
(51)【国際特許分類】
   F16B 19/08 20060101AFI20150430BHJP
   F16B 5/04 20060101ALI20150430BHJP
   B21J 15/00 20060101ALI20150430BHJP
【FI】
   F16B19/08 A
   F16B5/04 A
   B21J15/00 U
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-526011(P2012-526011)
(86)(22)【出願日】2010年8月19日
(65)【公表番号】特表2013-502550(P2013-502550A)
(43)【公表日】2013年1月24日
(86)【国際出願番号】EP2010062075
(87)【国際公開番号】WO2011023616
(87)【国際公開日】20110303
【審査請求日】2013年7月17日
(31)【優先権主張番号】102009039936.4
(32)【優先日】2009年8月24日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504075577
【氏名又は名称】ニューフレイ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(72)【発明者】
【氏名】バルティヒ ポール
【審査官】 莊司 英史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−132718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 19/08
B21J 15/00
F16B 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部(32)と、シャンク(34)とを備え、前記シャンク(34)は、シャンク内径(D3)シャンク外径(D1)シャンク端面を有する中空シャンクとして構成され、前記シャンク端面に、その直径(D4)が前記シャンク外径(D1)より小さい環状切削端(50)が形成され、前記シャンク内径(D3)は、切削端半径(R2)を介して前記環状切削端(50)に続くようになった、2つの加工物(12、14)を接続するための打ち抜きリベット(30)であって、
前記切削端半径(R2)対前記シャンク外径(D1)の比率は、0.5から0.7までの範囲内であり、
前記環状切削端(50)は、半径方向平面に対して42°より小さい面取り角(α1)で配向されたシャンク外側面取り部(52)を介して前記シャンク外径(D1)の部分に続くように形成された
ことを特徴とする打ち抜きリベット。
【請求項2】
前記シャンク外側面取り部(52)は、遷移半径(R4)を介して前記シャンク外径(D1)の部分に続くことを特徴とする、請求項に記載の打ち抜きリベット。
【請求項3】
頭部外径(D2)対前記シャンク外径(D1)の比率は1.44より小さいことを特徴とする、請求項1又は請求項に記載の打ち抜きリベット。
【請求項4】
前記シャンク外径(D1)は、首下半径(R1)を介して前記頭部(32)の外周と併合し、前記首下半径(R1)対該シャンク外径(D1)の比率は0.15より大きいことを特徴とする、請求項1請求項のいずれかに記載の打ち抜きリベット。
【請求項5】
前記シャンク外径(D1)は、首下半径(R1)を介して前記頭部(32)の外周と併合し、前記首下半径(R1)対該シャンク外径(D1)の比率は0.3より小さいことを特徴とする、請求項1〜請求項のいずれかに記載の打ち抜きリベット。
【請求項6】
前記環状切削端(50)は、半径方向に配向された切削端環状面を有し、その半径方向幅(M3)は、前記環状面の幅(M3)対前記シャンク(34)の半径方向厚(M5)の比率が0.03から0.1の範囲になるように選択される、請求項1〜請求項のいずれかに記載の打ち抜きリベット。
【請求項7】
前記シャンク(34)は切削端部分(42)を有し、その高さ(M2)対前記シャンク外径(D1)の比率は0.25より大きいことを特徴とする、請求項1〜請求項のいずれかに記載の打ち抜きリベット。
【請求項8】
一方が、特に少なくとも800MPaの強度を有する高強度材料で作られ、かつ、特に少なくとも0.5mmの厚さを有する、少なくとも2つの加工物(12、14)の打ち抜きリベット接続部(62)を生成する方法であって、
請求項1〜請求項のいずれかに記載の打ち抜きリベットを準備するステップと、
前記上部加工物(12)が特定の貫通力により打ち抜かれる打ち抜きプロセスを実行するステップと、
を含み、
前記打ち抜きリベット(30)の前記環状面のサイズは、前記貫通力に応じて決られることを特徴とする方法。
【請求項9】
kNで測定された前記貫通力対mm2で測定された前記環状面の前記サイズの比率は、1.2から1.5までの範囲であることを特徴とする、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記環状面の前記サイズは、前記貫通力対修正されたリベット硬度の比率により求められ、前記修正されたリベット硬度は、前記リベット硬度に0.7から0.9までの範囲である修正係数を乗算することにより求められることを特徴とする、請求項8又は請求項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1〜請求項のいずれかに記載の少なくとも1つの打ち抜きリベット(30)によって、及び/又は、請求項〜請求項10のいずれかに記載の打ち抜きリベット締結方法によって接続され、少なくとも2つの加工物(12、14)で構成されることを特徴とする加工物構成(60)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部と、シャンク内外径及びシャンク端面を有する中空シャンクとして具体化されたシャンクとを備え、シャンク端面において、直径がシャンク外径より小さい環状切削端が形成され、シャンク内径が切削端半径となって環状切削端を構成する、2つの加工物を接続するための打ち抜きリベットに関する。
このタイプの打ち抜きリベットは、特許文献1から周知である。
本発明は、さらに、一方が、特に少なくとも800MPaの強度を有する高強度材料で作られ、かつ、特に少なくとも0.5mmの厚さを有する、少なくとも2つの加工物の打ち抜きリベット接続部を生成する方法に関する。本発明はさらに、このタイプの少なくとも1つの打ち抜きリベットによって、又は、このタイプの打ち抜きリベット締結方法によって接続される少なくとも2つの加工物で構成される加工物構成に関する。
【背景技術】
【0002】
打ち抜きリベット締結は、再成形接合方法であり、ソリッド・リベットとして知られるもの及びセミチューブラ・リベットとして知られるものを用いて実行することができる。本例は、中空シャンクとして具体化されたセミチューブラ・リベットによる打ち抜きリベット締結に関する。この方法は、セミチューブラ・リベットを2つの加工物(特に、2つの金属板)の構成内に押しやり、中空シャンクにより上部加工物を打ち抜く(貫通する)ことを特徴とする。下部加工物が置かれているダイ・プレートは、後で中空シャンクが半径方向に広がり、下部加工物内に半径方向に押しやられ、従ってアンダーカット部が形成されるように設計される。この場合、一般に、下部加工物は切断されないため、ダイ・プレートに面する下部加工物の側が閉じたままなので、錆つきに対して感受性が低い。このセミチューブラ・リベットによる打ち抜きリベット締結方法は、自動車産業において、長年にわたり使用が増大している。打ち抜きリベット締結方法は、特に、異なる材料(例えば、鋼とアルミニウム)で作られた加工物を接続するのに適している。特に、車体構造においては、用途のそれぞれの目的に適合した異なる材料の組み合わせに向かう傾向があるため、この場合における打ち抜きリベット締結方法は、溶接方法より好ましい接合方法である。
【0003】
この場合は、少なくとも、下部のダイ・プレート側加工物の材料は、容易に冷間成形可能であり、かつ、できる限り均質な材料特性を有するべきであることが理解されるであろう。
【0004】
上述の適用分野においては、高強度材料(例えば、1,000MPaより大きい、上部のスエージ側加工物の材料)に向かう傾向があるため、このために用いられる打ち抜きリベットは、特に、高強度材料で作られたこのタイプの加工物を打ち抜くことができるように、これに対応したより高い強度(リベット硬度)を有する必要がある。同時に、完成した打ち抜きリベット接続部における十分なアンダーカット部を保証するために、打ち抜きリベットが、そのシャンク領域内で十分に変形可能であるべきである。
【0005】
セミチューブラ・リベットの分野においては、例えば、特許文献2から知られるもののような、C型リベットとして知られる種々のタイプが存在する。特許文献2で説明されるセミチューブラ・リベットは、円筒形の中空シャンクと、シャンク端面の外縁に形成された鋭い環状切削端とを有する。このために、内径は、切削端半径を介してシャンク外径と併合する。しかしながら、このC型リベットは、打ち抜きリベット締結プロセス中に著しく広がる傾向があり、そのため、下部加工物のアンダーカット領域内に僅かな材料しか存在しなくなるので、高強度材料の打ち抜きリベット締結にはあまり適していない。従って、達成できる強度は、比較的小さいものである。シャンク外径から離れている、鋭い環状切削端を有する修正されたC型リベットが、特許文献3から周知である。
【0006】
さらに、当技術分野において、P型リベットとして知られるものが、例えば特許文献1から知られる。
【0007】
この打ち抜きリベットにおいては、その直径がシャンク外径より小さい環状切削端が、シャンク端面に形成される。環状切削端は、半径方向に配向された平坦な環状面として具体化され、シャンクの外側面取り部を介してシャンク外径と併合し、従ってシャンク外径から離れている。シャンク内径は、比較的小さい半径を介して、この環状面と併合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】独国特許第10 2005 052 360 B4号明細書
【特許文献2】国際公開第95/09307号パンフレット
【特許文献3】独国実用新案第203 19 610 U1号明細書
【特許文献4】米国特許第2009/0116934号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
高強度材料の打ち抜きリベット締結においては、P型リベットの方がC型リベットより良好な特性を有するが、それにもかかわらず、この点において、P型リベットに対しても、依然として改善の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、本発明の目的は、改善された打ち抜きリベット、同じく高強度の加工物を手続き上安全な方法で接合するのを可能にする打ち抜きリベット接続部を生成する改善された方法を開示することである。
【0011】
上記の目的は、第1に、切削端半径対シャンク外径の比率が0.3より大きい、冒頭で述べたタイプの打ち抜きリベットにより達成される。
【0012】
さらに、上記の目的は、一方が、特に少なくとも800MPaの強度を有する高強度材料で作られ、かつ、特に少なくとも0.5mmの厚さを有する、少なくとも2つの加工物の打ち抜きリベット接続部を生成する方法であって、
頭部と、シャンクとを有し、特定のリベット高度を有する材料から作られ、シャンクは、シャンク内径、シャンク外径及びシャンク端面を有する中空シャンクとして具体化され、かつ、軸方向投影において、シャンク外径及びシャンク内径により定められる環状面を有する打ち抜きリベット、特に、上述のタイプの打ち抜きリベットを準備するステップと、
上部加工物が特定の貫通力により打ち抜かれる打ち抜きプロセスを実行するステップと、
を含み、
打ち抜きリベットには、貫通力によって決まる環状面のサイズが与えられる、方法により達成される。
【0013】
最後に、上記の目的は、本発明による少なくとも1つの打ち抜きリベットによって、又は、本発明による打ち抜きリベット締結方法によって接続される少なくとも2つの加工物で構成される加工物構成により達成される。
【0014】
本発明による打ち抜きリベットは、その直径がシャンク外径より小さい環状切削端を有する。このことは、C型リベットの場合に生じるような打ち抜きリベットが過度に著しく広がるのを防止することができる。さらに、切削端半径対シャンク外径の比率は、0.3より大きい。換言すれば、打ち抜きリベットは、比較的大きい切削端半径を有する。このことは、打ち抜きプロセス中、上部のスエージ側加工物から打ち抜かれたスラグを、中空シャンク内に、少なくとも大部分受けることを可能にする。換言すれば、このスラグは、P型リベットの場合のように、シャンク端面によって、打ち抜き方向に下方に押し付けられない。このことはまた、下部のダイ・プレート側加工物が比較的薄い接合接続部を達成することも可能にする。
【0015】
本発明による方法は、少なくとも800MPaの強度を有する高強度材料に用いることができ、従って、鋼で作られた加工物において、しかし、軽金属等のあまり強くない材料においても用いることもできる。アルミニウムで作られた2つの加工物を接続することも可能である。加工物は、0.8mmから2.5mmまでの厚さを有することが好ましい。1,000MPaの強度又はさらに1,500MPa又はそれより大きい強度を有する、特に高強度材料の場合、例えば、用いられる加工物は、0.8mmのように比較的薄いことが好ましい。
【0016】
このように、目的は完全に達成される。
【0017】
本発明による打ち抜きリベットの場合、切削端半径対シャンク外径の比率が0.5より大きい場合には、特に利点をもたらす。
【0018】
この方法により、上述の利点をさらに広い範囲で得ることが可能になる。
【0019】
さらに、切削端半径対シャンク外径の比率が0.7より小さい場合は、利点をもたらす。これにより、シャンクが、端面領域において薄くなりすぎることが防止される。従って、高強度鋼の場合でも、高い打ち抜き効果を達成することができる。
【0020】
さらに別の好ましい実施形態によると、環状切削端は、半径方向平面に対して42°より小さい面取り角で配向されたシャンク外側面取り部を介して、シャンク外径と併合する。
【0021】
このことは、ひとたびスエージ側加工物が打ち抜かれると、打ち抜きリベットがより効果的に広がることを可能にし、これにより、十分なアンダーカット部が可能になり、従って、高強度の打ち抜き接続部を得ることが可能になる。
【0022】
この場合、シャンク外側面取り部が、遷移半径を介してシャンク外径と併合する場合に、特に利点をもたらす。遷移半径は、例えば、0.2mm未満、特に0.15mm未満の非常に小さい半径とすることができる。遷移半径は、打ち抜きプロセス中、この領域における応力を防止する。
【0023】
切削端半径対シャンク外径の比率とは関係ないが、それぞれの発明を構成するさらに別の好ましい実施形態によると、頭部外径対シャンク外径の比率は、1.44より小さく、特定的には、1.42より小さい。
【0024】
この方法の結果として、打ち抜きリベットには、比較的大きいシャンク外径が与えられる。これにより、シャンクが軸方向投影において有する環状面の面積を増加させることが可能になる。その結果、打ち抜きプロセス中の打ち抜きリベットの安定性を増大させることが可能になる。
【0025】
さらに、シャンク外径が、首下半径を介して頭部の外周と併合し、首下半径対シャンク外径の比率が0.15より大きい場合は、利点をもたらす。
【0026】
さらに、首下半径対シャンク外径の比率が0.3より小さい場合は、利点をもたらす。
【0027】
従って、首下半径は、C型リベットの場合よりずっと小さく、そのため、取付け力が低減される。P型リベットと比較すると、応力は、より効果的に吸収される。
【0028】
さらに、全体として、環状切削端が半径方向に配向された切削端環状面を有し、その半径方向幅は、環状面の幅対シャンクの半径方向厚の比率が0.03から0.1までの範囲になるように選択される場合は好ましい。
【0029】
従って、環状面幅は、一般に、P型リベットと比較すると狭く、そのため、打ち抜きプロセス中、シャンクがつぶれる又は圧縮するのをより効果的に防止することが可能になる。
【0030】
本発明による打ち抜きリベット締結方法において、kNで測定された貫通力対mm2で測定された環状面の大きさの比率は、1.2から1.5までの範囲である場合は好ましい。
【0031】
この法策は、環状面を、要求される貫通力に適合させることを可能にする。シャンク外径を様々な貫通力に対して変更されないままにすることが好ましいので、この場合、シャンク内径を、要求される貫通力の関数として適合させる場合は好ましい。
【0032】
さらに別の好ましい実施形態によると、本発明による打ち抜きリベット締結方法において、環状面のサイズは、貫通力対修正されたリベット硬度の比率によって求められ、修正されたリベット硬度は、リベット硬度に0.7から0.9までの範囲である修正係数を乗算することによって求められる。
【0033】
このように、定められた貫通力及び定められたリベット硬度に対して、環状面を設定することができる。上述のように、このこともやはり、シャンク外径を変更しないまま、シャンク内径を設定することによって実行されることが好ましい。
【0034】
上述の特徴及びさらに以下に言及される特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、各々の例において特定される組み合わせにだけでなく、他の組み合わせにおいて、或いはそれら自体により用い得ることが理解されるであろう。
【0035】
本発明の例示的な実施形態が、図面に示され、以下の説明においてより詳細に説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】打ち抜きリベット締結装置の概略図である。
図2】本発明による打ち抜きリベットの実施形態を通る長手方向断面図である。
図3図2に示される打ち抜きリベットによって生成される打ち抜きリベット接続部を示す。
図4】P型打ち抜きリベットとして知られるものを用いて従来技術により生成された打ち抜きリベット接続部を示す。
図5】C型打ち抜きリベットとして知られるものを用いて従来技術により生成された打ち抜きリベット接続部を示す。
図6】比較的薄いダイ・プレート側加工物に対する、修正されたP型打ち抜きリベットを用いて従来技術により生成された打ち抜きリベット接続部を示す。
図7】比較的薄いダイ・プレート側加工物に対する、図2に示す打ち抜きリベットを用いて生成された打ち抜きリベット接続部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1において、打ち抜きリベット締結装置が、全体を参照符号10で示される。
【0038】
打ち抜きリベット締結装置10は、第1の加工物12と第2の加工物14を互いに接合する役目を果たす。加工物12、14は、特に、車体構造に用いられるような金属板とすることができる。加工物12、14の厚さは、例えば、0.5mmから4mmまでの範囲、特定的には、1mmから2.5mmまでの範囲内にすることができる。加工物12、14の材料は、冷間成形可能な材料に課される従来の要件を満たさなければならない。多くの場合、これらは、鋼、アルミニウム、マグネシウムなどの合金である。しかしながら、プラスチック材料から、加工物12、14の一方、特に上部加工物12を作ることも可能である。
【0039】
打ち抜きリベット締結装置10は、加工物12、14が直接上下に置かれる第1のダイ・プレート16を有する。特定の押し下げ力20により加工物構成の上に押し付ける押さえ手段は、加工物を固定する役目を果たす。所定の打ち抜きリベット締結力24により長手方向軸26に沿ってダイ・プレート16に向けて移動させることができるスエージ22が、押さえ手段18間に配置される。スエージ22は、打ち抜きリベット30を加工物構成12、14内に押しやる役目を果たす。打ち抜きリベット30は、頭部32と、そこから軸方向に延び、その端面の端部に切削端36が形成された中空シャンク34とを有するセミチューブラ打ち抜きリベットとして具体化される。
【0040】
スエージ22が下方に移動するにつれて、シャンク34は最初に上部のスエージ側加工物14を打ち抜き、スラグとして知られるものが、そこから切り取られる。打ち抜きプロセスの後の過程において、シャンク34の自由端が、ダイ・プレート側加工物14内に押しやられる。中空空間38がダイ・プレート16内に形成され、この中空空間38は、打ち抜きリベット締結プロセスの後の過程において、シャンク34が半径方向に広がり、その結果、シャンク34の自由端が、軸方向で見たときに、ダイ・プレート側加工物14の材料の後ろに付勢されることを、それ自体が周知の方法で保証する。打ち抜きリベット30は、一般に、頭部がスエージ側加工物12の表面と同一平面になるまで、加工物構成12、14内に十分に深く押しやられる。
【0041】
様々な材料で作られた加工物を接続するために、一般に、異なるタイプの打ち抜きリベット30が使用可能である。
【0042】
図2は、特に、高強度材料で作られた加工物12、14と併用するのに適した打ち抜きリベット30の本発明による実施形態を示す。ダイ・プレート側加工物14は、この場合、例えば、400MPaより大きいが、好ましくは800MPaを超えない強度を有することができる。スエージ側加工物は、1,000MPaより大きい又は1,200MPaより大きい強度を有する高強度材料を含むことができる。
【0043】
打ち抜きリベット30自体もまた、例えば、1,500MPaより大きい、特に1,700MPaより大きいリベット硬度を有する高強度材料で作ることができる。
【0044】
打ち抜きリベット30は、長手方向軸26の周りに回転対称に形成され、かつ、頭部32とシャンク34とを有する。シャンク34は、頭部32に隣接するシャンク部分40と、切削端部分42とに分けられる。シャンク部分40は、中空円筒形の形で具体化され、かつ、シャンク外径D1を有し、同じくシャンク内径D3も有する。切削端部分42は、切削端部分高M2を有する。
【0045】
頭部32は、平坦な頭部上側44と、円筒形の頭部外面46とを有する。頭部上側44は、頭部外径D2を有する。頭部外面46は、頭部外面高M1を有する。シャンク34内では、頭部32は頭部裏側48を有し、この頭部裏側は、本例の場合、鈍い円錐形の形でテーパ状になり、頭部内半径R3を介して、シャンク内径D3と併合するように具体化される。外周において、シャンク外径D1は、首下半径R1を介して、頭部外面46の裏側と併合する。この場合、首下半径R1は、シャンク外径D1及び頭部上側44と実質的に平行に配置された半径方向平面の両方と接線方向に併合するように配置される。頭部32は、頭部上側44から頭部裏側48の円錐頂点まで延びる頭部高Hを有する。
【0046】
シャンク30は、シャンク部分40の領域内に、シャンク外径D1とシャンク内径D3との間の差の半分に等しいシャンク厚M5を有する。さらに、軸方向投影において、シャンク34は、その外周はシャンク外径D1により境界が定められ、内周はシャンク内径D3により境界が定められる、環状面を有する。
【0047】
平坦な切削端の環状面として具体化され、半径方向に延びる環状切削端50が、シャンク34の、より正確には切削端部分42の端面に形成される。切削端の環状面の内径は、図2にD4で示される。さらに、切削端の環状面は、半径方向幅M3を有する。これに応じて、軸方向投影において、環状切削端50は、シャンク外径D1とシャンク内径D3との間の平均値により形成される平均シャンク直径の幾分外側に配置される。
【0048】
切削端環状面の外周は、シャンク外側面取り部52を介して、シャンク外径D1と併合する。シャンク外側面取り部52は、角度α1で半径方向平面を囲む。さらに、シャンク外側面取り部52は、遷移半径R4を介してシャンク外径D1と併合する。外側面取り部高は、図2にM4で示される。
【0049】
切削端環状面の内周は、切削端半径R2を介してシャンク内径D3と併合する。この場合、切削端半径R2は、シャンク内径D3と接線方向に併合し、切削端環状面内に開放角α2を形成しながら終端する。より正確には、半径R2は、シャンクの内側が65°の開放角α2を生成するように、シャンク内径D3から切削端環状面に向かって延びる。開放角α2は、55°より大きいことが好ましい。
【0050】
打ち抜きリベット30の上述の寸法が、以下の表1に示される。それぞれの値について、一方では好ましい値の範囲、及びさらに図2に示されるような特に好ましい実施形態の例が特定される。さらに、表1は、これらの寸法の好ましい比率を特定し、他の適用例のために、本発明による打ち抜きリベットをどのように設計できるかも明らかにする。
【0051】
【表1】
【0052】
さらに、打ち抜きリベット30は、異なる長さで具体化することができ、これに関連して、シャンク部分40の長さは、その都度変化することが理解されるであろう。一方、異なる長さの全ての実施形態において、切削端部分42は変更されないままであることが好ましい。
【0053】
図2は、打ち抜きリベット30の軸方向の全長をM6で示す。
【0054】
D2/D1<1.44の比率の結果として、打ち抜きリベット30を比較的大きいシャンク外径で具体化することができ、その結果、打ち抜きリベット締結プロセス中、安定性が増大する。D3/D1<0.7の比率の結果として、シャンク34は、軸方向投影において、比較的大きい環状面で具体化することができる。
【0055】
D4>(D1−D3)/2の比率の結果として、打ち抜きプロセス中、シャンクは、より多く半径方向外方に移動する傾向があり、従って、ダイ・プレート側加工物の下部を切り取るための冷間成形を助けることを保証することができる。
【0056】
M2/D1>0.25、特に>0.3の比率は、打ち抜きプロセス中、比較的大きい容積をシャンク内部に受けることを可能にする。従って、シャンクは、スエージ側加工物から分離されたスラグを少なくとも実質的に受けることが可能である。このことは、スラグがシャンクによって軸方向下方に押し付けられること(これは、打ち抜きリベットの圧縮又はダイ・プレート側加工物の破壊のいずれかをもたらす)を防止する。
【0057】
切削端環状面幅M3対シャンク厚M5の比率の結果として、高い安定性で良好な打ち抜き結果を達成できることを保証することができる。このことは、外側面取り部高対シャンク外径の比率(M4/D1<0.07)にも当てはまる。
【0058】
R2/D1>0.3の比率もまた、比較的高い切削端部分高M2と同様に、シャンク内部に比較的大きい容積を生成するため、打ち抜かれたスラグを効果的に受けることができる。このことは、高強度材料の打ち抜きリベット締結中、シャンクが圧縮されるのを防止することができる。
【0059】
図3は、図2に示される打ち抜きリベット30によって生成され、打ち抜きリベット接続部62を含む加工物構成60を示す。打ち抜きリベット接続部62は、再成形された打ち抜きリベット30により、上部のスエージ側加工物12を下部のダイ・プレート側加工物14に接続する。スエージ側加工物は、この場合、DP800型の2mmの厚さを有する鋼であった。ダイ・プレート側加工物14は、2mmの厚さを有するアルミニウム金属板であった。
【0060】
打ち抜きリベット30が、スエージ側加工物12から打ち抜かれたスラグ64を、シャンク34内にほぼ完全に受けているのを見ることができる。同時に、シャンク34は、ダイ・プレート側加工物14の十分な材料が頭部32とアンダーカット部との間に存在するように、ダイ・プレート側加工物14の材料でアンダーカット部を形成するのに十分なだけ広がっている。打ち抜きリベット30の頭部上側は、スエージ側加工物12の元の上側と実質的に同一平面である。
【0061】
比較対照試験において、同じ加工物12、14が、例えば、特許文献1から知られるようなP型リベットを用いて接続された。打ち抜きリベットPは、軸方向につぶれたことが分かる。この場合、シャンクは、スラグをその正面に押しやり、ダイ・プレート側加工物14内に十分なアンダーカット部を形成することができなかった。
【0062】
図5は、基本的には特許文献2から知られるようなC型リベットを示す。ここでは、同じ材料の打ち抜き中、リベットCの広がりが非常に著しいものであり、十分なアンダーカット部を形成できないことが分かる。
【0063】
最後に、図6は、ダイ・プレート側加工物14が幾分薄い(前の試験における2.0mmの代わりに1.7mmのアルミニウム)、さらに別の比較対照例を示す。基本的には特許文献4から知られるような打ち抜きリベットP’が使用された。この場合、スラグは、打ち抜きリベットによって非常に強く下方に押し付けられ、打ち抜きリベットP’が非常に強く圧縮されたことが分かる。
【0064】
図7は、図6におけるような、しかし、本発明による打ち抜きリベット30を用いて生成された、打ち抜きリベット接続部を同じ加工物12、14と共に示す。本発明による打ち抜きリベット30を使用した場合、図6の打ち抜きリベット接続部と比べると、ダイ・プレート側加工物14内にずっと厚い残留厚66が残ることが分かる。図3に関して詳細に上述された利点が、さらに達成される。
【符号の説明】
【0065】
10:打ち抜きリベット締結装置
12:第1の加工物
14:第2の加工物
16:第1のダイ・プレート
18:押さえ手段
20:押し下げ力
22:スエージ
24:打ち抜きリベット締結力
26:長手方向軸
30:打ち抜きリベット
32:頭部
34:シャンク
36:切削端
38:中空空間
40:シャンク部分
42:切削端部分
44:頭部上側
46:頭部外面
48:頭部裏側
50:環状切端
52:シャンク外側面取り部
60:加工物構成
62:打ち抜きリベット接続部
64:スラグ
66:残留厚
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7