【実施例】
【0051】
3gのアクリルアミド、1.7gのアクリル酸、9mgのビスアクリルアミド、50mgのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、15mgの過硫酸アンモニウム、および15.9gの水が組み合わされ、0.020インチのチューブ内で重合された。チューブ状のポリマーがチューブから取り出され、米国特許第6,878,384号に従ったヒドロゲル1を調製した。
【0052】
4.6gのポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミド、3.3gのアクリル酸ナトリウム、100mgのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、25mgの過硫酸アンモニウム、および15.9gの水が組み合わされ、0.020インチのチューブ内で重合された。チューブ状のポリマーがチューブから取り出され、本発明のマクロマー含有ヒドロゲル実施形態に従った、ヒドロゲル2を調製した。
【0053】
上記の実施例に対する大型白金マイクロコイルは、0.014インチの外径および0.0025インチの糸線を有する。小型白金マイクロコイルは、0.010インチの外径および0.002インチの糸線を有する。
【0054】
8.3gのポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミド、9.0gのアクリル酸ナトリウム、155mgのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、20mgの過硫酸アンモニウム、および15.9gの水を組み合わせて、0.025インチのチューブの中で重合した。本発明のマクロマー含有ヒドロゲルの実施形態に従って、ヒドロゲル3を調製するために、チューブ状のポリマーをチューブから取り出した。
【0055】
ヒドロゲル3は、ヒドロゲル1および2の実施例とは明確に異なる。ヒドロゲル3は、ヒドロゲル1に対して低減した剛性を有し、さらに、ヒドロゲル3は、使用前に前処理を必要としない。そのような前処理は、所望の可撓性を達成するために、温かい流体中の浸漬または蒸気処理を必要とし得る。ヒドロゲル3はまた、ヒドロゲル2と比較して増加した膨張も可能にする。
【0056】
別の実施形態において、例えば、副腎皮質ステロイド(例えばプレドニゾンおよびデキサメタゾン)のような抗炎症薬;または亜酸化窒素またはヒドララジンのような血管拡張剤;またはアスピリンおよびヘパリンのような抗血栓剤;または他の治療用化合物、イガイ付着タンパク質(MAP)のようなタンパク質、3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−L−アラニン(DOPA)のようなアミノ酸、遺伝子、または細胞物質などの、生物活性化合物を、連結するために適した部分を膨張性要素1に与えるために、モノマーが使用される。米国特許第5,658,308号、WO99/65401号、Polymer
Preprints 2001、42(2)、147「Synthesis and Characterization of Self−Assembling Block Copolymers Containing Adhesive Moieties」(Kui Hwangらによる)、およびWO00/27445号を参照されたく、これらの開示は、参考として本明細書において援用される。ヒドロゲル物質に組み込むための部分の例は、ヒドロキシル基、アミン、およびカルボン酸を含むが、これらに限定されない。
【0057】
別の実施形態において、膨張性要素1は、例えばヨウ素を含有するモノマーおよび/またはポリマーの組み込み、またはタンタルおよび白金のような放射線不透過性金属の組み込みによって、放射線不透過性を与えられ得る。
【0058】
一部の実施形態において、搬送部材2は柔軟で細長い構造である。搬送部材2の好適な構成は、螺旋状コイル、編組、およびスロット付きまたは螺旋切り込み付きチューブを含む。搬送部材2は、白金、タングステン、PET、PEEK、テフロン(登録商標)、ニチノール、ナイロン、鋼、などの、任意の好適な生体適合性金属またはポリマーで作製され得る。搬送部材は、螺旋、箱、球体、平らな輪、J字型、S字型、または当該分野において公知の他の複雑な形状のような、二次的構成に形成され得る。適切な形状の例がHortonの第5,766,219号、Schaeferの出願第10/043,947号、およびWallaceの第6,860,893号において開示されており、そのすべてが、参考として本明細書において援用される。
【0059】
先に記載の通り、本発明の一部の実施形態は、十分に柔らかで柔軟なポリマーを備え得るので、実質的に連続した長さの膨張性要素1が、デバイスを予備軟化したり、あるいはそれを血液、流体、または蒸気に暴露することなしに、もともと搬送部材2に設定された構成と類似の二次的構成を形成する。
【0060】
一部の実施形態において、搬送部材2は、少なくとも1つの空隙7を組み込み、該空隙は、膨張性要素1が該空隙を通って膨張できる寸法である(本構成の一実施形態を
図1〜
図2に示す)。他の実施形態において、搬送部材2は、少なくとも1つの空隙7を組み込み、該空隙は、膨張性要素1の体液への暴露を可能にするが、膨張性要素1は必ずしも該空隙を通って膨張しない(本構成の一実施形態を
図8に示す)。他の実施形態においては、実質的な空隙が、搬送部材2に組み込まれない。むしろ、流体がデバイスの末端から浸透し得、あるいは内腔を通って送達システム内に注入され、膨張性要素1が膨張して、搬送部材2の内部を埋め尽くす。
【0061】
図1に示す一実施形態において、膨張性要素1は、アクリルアミドまたはポリ(エチレングリコール)ベースの膨張性ヒドロゲルを備える。搬送部材2は、コイルを備える。少なくとも1つの空隙7が、搬送部材2の中に形成される。膨張性要素1は、搬送部材2によって画定される内腔3の中に、概ね同軸構成に配置される。先端4が、例えばレーザ、ハンダ、接着剤、またはヒドロゲル物質自体を融解することによって、デバイス11の遠位端に形成される。膨張性要素1は、近位端から遠位端までに連続して存在し得、または、デバイスの一部分に存在して、遠位端または近位端、あるいはその両方に到達する手前で終了し得る。
【0062】
実施例として、一実施形態において、デバイスは、脳動脈瘤を治療するように寸法設定される。当業者であれば、本実施例で使用される寸法は、より大きな病変またはより小さな病変を治療するために再拡大縮小できることを理解する。本実施形態において、膨張性要素1は、膨張前には約0.006インチ〜0.007インチであり、膨張後には約0.02インチである。膨張性要素は、例えば、約52%アクリル酸ナトリウム、約8000グラム/モルの分子量を伴う48%ポリ(エチレングリコール)ジアクリルアミドである。約0.4g/g塩化ナトリウム(約10ミクロン粒径)がポロシゲンとして使用され、約0.6mg/mLの過硫酸アンモニウムおよび7mg/mLのテトラメチルエチレンジアミンが開始剤として使用される。本実施形態において、搬送部材2は、直径が約0.012インチ〜0.0125インチの範囲内のマイクロコイルであり、約0.002インチから0.00225インチの間の糸線を有する。一実施形態において、搬送部材2は、1〜3の糸線長の少なくとも1つの空隙7を備える。別の実施形態において、搬送部材2は、約2糸線長である、少なくとも1つの空隙7を備える。一実施形態において、空隙7のサイズは、長さ約0.0015インチから0.0075インチの間である。別の実施形態において、空隙7のサイズは、長さ0.00225インチから0.00750インチである。
【0063】
連結部分13が近位端付近に設置されて、インプラント11が送達システムに着脱可能に連結され、またはカテーテルを通じて押し込みまたは注入されることができるようにする。送達システムの実施例は、Fitzに属する同時係属中の出願第11/212,830号、Guglielmiに属するUS6,425,893号、Ritchartに属するUS4,994,069号、Diazに属するUS6,063,100号、およびBerensteinに属するUS5,690,666号の中に見出され、それらの開示は、参考として本明細書において援用される。
【0064】
本実施形態において、インプラント11は、膨張性要素1を形成するために先に記載した通り、ヒドロゲル物質を配合および混合することによって製作される。搬送部材2は、螺旋状または複雑な形の周りに巻きつけられ、次いで、当該分野において公知の技術によって加熱固定され、二次的な0.5mm〜30mmの範囲の直径および5mm〜100cmの範囲の長さを形成する。加工、洗浄、および任意の酸処理の後に、膨張性要素1は、搬送部材2の内腔3に通される。膨張性要素1の遠位端は、搬送部材2の遠位端に、例えば結び目を形成することによって、結び付けられる。UV硬化接着剤またはエポキシのような接着剤が使用され得、膨張性要素1と搬送部材2との間の接着をさら強化し、遠位先端4を形成する。代替案として、先端は、例えばレーザ溶接またはハンダボールによって形成され得る。
【0065】
いくつかの実施形態において、膨張性要素1が膨張するにつれて、空隙7のサイズ、膨張比、ループまたは折り曲げ部12は、
図7に示されるように形成し得る。これらのループまたは折り曲げ部12が形成するのを防止することが望ましい。これは、搬送部材2内に膨張性要素1を設置する前、または膨張性要素1の遠位端が搬送部材2に固定された後のいずれかに、膨張性要素1を延伸させることによって行うことができる。例えば、いったん膨張性要素1の遠位端が搬送部材2に固定されると、膨張性要素1は、搬送部材2内に膨張性要素1を設置する前に、0.010インチの初期直径が約0.006インチから0.007インチの間に縮小されるように延伸される。延伸後、膨張性要素1は、搬送部材2の長さに合致するように切り取られ、次いで、例えば、結び目を作ること、接着剤による接着、または当技術分野で公知の他の技法によって、搬送部材2の近位端付近に接着され得る。
【0066】
インプラント11が製作されると、当該分野において公知の方法によって、それは先に記載の送達システムに取り付けられる。本デバイスはまた、膨張性要素1を架橋するため、およびその膨張を制御するために、例えば電子ビームまたはガンマ線照射に暴露され得る。これは米国特許第6,537,569号に記載されており、該特許は、本出願の譲受人に譲渡され、参考として本明細書において援用される。
【0067】
これまで、従来のデバイス(例えば、HES)の二次的寸法は、これらのデバイスが比較的硬いために、一般に治療部位の寸法(つまり、容積)よりも1〜2mm小さくサイズ設定されている。本発明のインプラント11の増加した柔軟性、およびその全体的な設計が、インプラント11の二次的形状を、治療部位とほぼ同じ寸法、またはさらに若干大きい寸法とすることを可能とする。このサイズ設定はさらに、インプラントが治療部位内で移動、またはそこから滑り出る危険を最小化する。
【0068】
HESデバイスのような従来のインプラントデバイスは、現在、使用者に約5分間の再位置決め時間を提供する。しかしながら、本発明のインプラント11は、再位置決め時間を増加させる。一部の実施形態において、処置中の再位置決め時間が約30分間にまで増加され得る。この点において、使用者は、より長い再位置決め時間を提供され、望ましいインプラント構成をより良く達成できる。
【0069】
図2は、膨張性要素1が空隙7を通って搬送部材2よりも大きな寸法にまで膨張した後の、
図1に示すものと類似のインプラント11を示す。
【0070】
図3は、複数の膨張性要素1が搬送部材2の中に互いにほぼ平行に存在する、インプラント11を示す。一実施形態において、本構成は、1つの膨張性要素1をインプラント11の先端4の周りで輪にして、膨張性要素1の両端を搬送部材2の近位端に結び付けることによって、作製される。別の実施形態において、複数本の膨張性要素1が、搬送部材2の長さに沿って接着され得る。これらの実施形態の作製は、先に記載の通り、膨張性要素1を延伸すること、および/または搬送部材2の空隙を形成することを含み得る。
【0071】
図4は、インプラント11が非コイル状の搬送部材2を備える実施形態を示す。一実施形態において、搬送部材2は、膨張性要素1がそれを介して体液と接触できるような溝穴、穴、または他の有窓部を形成するために、ポリイミド、ナイロン、ポリエステル、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、PEEK、テフロン(登録商標)、炭素繊維または熱分解炭素、シリコーン、または当該分野において公知の他のポリマーのような、プラスチックのチューブまたはシートを、例えば鋸刃、レーザ、または水噴流で切断することによって形成される。本実施形態におけるプラスチックはまた、タングステン粉末、ヨウ素、または硫酸バリウムのような、放射線不透過性物質を備え得る。別の実施形態において、搬送部材2は、白金、鋼、タングステン、ニチノール、タンタル、チタニウム、クロム−コバルト合金、などのような、金属のチューブまたはシートを、例えば、酸腐食、レーザ、水噴流、または当該分野において公知の他の技術で切断することによって形成される。別の実施形態において、搬送部材2は、有窓部を形成するために、金属またはプラスチックの繊維を編組にする、編地にする、または巻き重ねることによって形成される。
【0072】
図5は、搬送部材2、膨張性要素1、および
延伸防止部材10を備えるインプラント11を示す。
延伸防止部材10は、送達および再位置決めの間に、搬送部材2が延伸したり、または巻き戻るのを防ぐために使用される。
延伸防止部材10は、鋼、ニチノール、PET、PEEK、ナイロン、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリオレフィンエラストマー、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、および当該分野において公知の他の様々な縫合物質のような、様々な金属またはプラスチックの繊維で作製され得る。インプラント11の製作は、Kenに属するUS6,013,084号およびMarksに属するUS5,217,484号(これらは共に、参考として本明細書において援用される)に記載のように、
延伸防止部材10の端部を搬送部材2の端部に取り付けることによってなされ得る。代替案として、Fitzに属する同時係属中の出願第11/212,830号に記載のように、
延伸防止部材10の遠位端は、搬送部材2の遠位端付近に、また近位端は送達システムに取り付けられた
延伸防止部材10に、取り付けられ得る。
【0073】
図6は、膨張性要素1を覆い、それに結び付けられた、またはそれに絡み合った
延伸防止部材10を備える、代替的な実施形態である。これは、膨張性要素の1全長にわたってなされ得、あるいは、一区域のみにおいて覆う、または結び付けがなされ得て、
延伸防止部材10を接着要素として使用することによって膨張性要素1の搬送要素2への接着を助長する。
【0074】
図7は、搬送要素2の外側に突出する膨張性要素1のループまたは折り曲げ部12を示す。一部の実施形態において、例えば、先に記載のとおり膨張性要素1を延伸することによって、この状態を避けることが望まれ得る。これは、例えば小さなマイクロカテーテルを通じて送達するように構成された実施形態において、インプラント11が送達中にマイクロカテーテルの中で動きが取れなくなることを防ぐために行われる。他の実施形態において、ループまたは折り曲げ部がインプラント11内に予め形成されるように、膨張性要素1に弛みが加えられ得る。これは、ループまたは折り曲げ部は膨張性要素1の全長を増すことになるので、例えば大容量の充填が必要とされる実施形態において行われる。
【0075】
図8は、膨張性要素1が、初期寸法よりも大きいが、搬送部材2の外側寸法よりも小さい寸法にまで膨張するように構成される実施形態を示す。これは、膨張性要素1がヒドロゲルを含む実施形態において、例えば、PEGジアクリルアミドのアクリル酸ナトリウムに対する比を調整することによって行われ得る。代替として、膨張性要素1を架橋するために、相対的に高い線量の放射が使用され得、その結果、膨張を制限する。
図8に示されるような実施形態は、充填が必要であるときに望ましく、膨張性要素1が提供する組織の成長および増殖のための基質を有することが望ましい。脳動脈瘤を治療するために使用される実施形態において、この構成は、「充填」コイルとして使用され得る。一実施形態において、膨張性要素1は、細胞の成長および治癒を促すための網状マトリクスを提供するために、前述のようなポロシゲンを組み込むヒドロゲルを備える。前述したように、例えば、成長ホルモンまたはタンパク質を膨張性要素1に組み込むことは、インプラント11の生物学的応答を引き出す能力をさらに強化し得る。
【0076】
図9〜11は、本発明によるインプラント11の別の好ましい実施形態を図示する。このインプラントは、前述の実施形態とほぼ同様であり、搬送部材2内に配置された膨張性要素1を含む。加えて、
延伸防止部材10は、膨張性要素1の長手方向軸に沿うように位置付けられ、搬送部材2の遠位端に取り付けられる。
延伸防止部材10は、好ましくは、膨張性要素1内に位置するか、または膨張性要素1によって部分的に囲まれる。好ましくは、
延伸防止部材10は、
図11に示されるように、搬送部材2の近位部分に巻き付けられ、送達デバイス20の遠位端内のヒーターコイル22の付近に取り付けられる。
【0077】
図9において最も良く見られるように、搬送部材2の近位端は、部材2の他のコイル状領域よりも小さい直径を有するコイル状領域を含み得る。このより小さい直径のコイル状領域は、部材2の他のコイル状領域の直径を通り過ぎて外向きに延在することなく、
延伸防止部材10が部材2に巻き付けられることを可能にする。加えて、
延伸防止部材10のループが露出されることなく、より小さい直径のコイル状領域を覆って、被覆材料5をさらに位置付けることができる。好ましくは、この被覆材料5は、レーザ、はんだ、接着剤、または融解ヒドロゲル材料である。
【0078】
図9において最も良く見られるように、搬送部材のらせん状のコイルの間隔は、インプラント11の長さ方向に沿って変化し得る。例えば、コイルは、相互に接近して、または近位および遠位端の付近で相互に接触して位置し得る一方で、インプラント11の中心部分は、それらの間により大きい空間を伴うコイルを有し得る。言い換えれば、コイルの間の空隙は、インプラント11の大部分に沿ってより大きく、インプラント11の端部の付近でより小さくなり得る。
【0079】
一実施形態において、このインプラント11を以下の方法に従って作製する。膨張性要素1を、本明細書における先述の技法に従ってヒドロゲルを用いて作製する。一実施形態において、膨張性要素1を、内径が約0.025インチから0.032インチの間の重合チューブの中で形成する。重合後、重合チューブを複数の区分に切断し、この複数の区分を真空下で乾燥させる。いったん全ての水をヒドロゲルから除去して、乾燥したヒドロゲルをマンドレルを使用して重合管から押し出す。次いで、ヒドロゲルを水で3回洗浄し、ヒドロゲルを膨張させ、塩化ナトリウムおよび未反応モノマーを除去する。
【0080】
次いで、この膨張したヒドロゲルは、マイクロコイル(または同様の細長いツール)を使用して、ヒドロゲルの長手方向軸に沿って(すなわち、その長さ方向の軸に沿って)串刺しにする。この串刺しにより、後で
延伸防止部材10を通すことができるように、ヒドロゲルフィラメントのほぼ中心に沿って経路を作製する。次に、串刺しにしたヒドロゲルは、塩酸溶液の中への浸浸によって酸処理され、ポリマー網目のアクリル酸ナトリウム成分のカルボン酸部分をプロトン化する。串刺しにしたヒドロゲルを、最終的に、残留酸を除去するようにアルコールで洗浄し、真空下で乾燥させる。
【0081】
空隙付き白金コイルを部材2に対して使用し、この白金コイルは、約0.012インチから約0.018インチに及ぶ外径と、約0.0015インチから約0.0030インチに及ぶ糸線と、および約0.0015インチから約0.0075インチに及ぶ空隙7とを有する。別の実施形態において、空隙7は、約0.00225インチから約0.00750インチに及ぶ。一実施形態において、この白金コイルは、約0.012インチの外径と、約0.002インチの糸線と、約0.004インチの空隙7とを有する。別の実施形態において、この白金コイルは、約0.0125インチの外径と、約0.00225インチの糸線と、約0.0045インチの空隙7とを有する。この空隙付き白金コイルを、マンドレルに対して巻き付け、二次的ならせん形状に熱設定する。白金コイルを、所望のインプラントの長さに切断し、はんだ付け、溶接、または接着剤(例えば、
図9の溶接15)を介して連結マーカーバンドまたは連結器13に接着する。
【0082】
ヒドロゲルフィラメントを串刺しにするために使用したコイルを除去し、
延伸防止部材10用の約0.0022インチポリオレフィン耐延伸性ネジ山を、コイルによって残された経路に沿ってフィラメントを通して螺合する。約0.010インチから約0.018インチの間の外径を有するヒドロゲルフィラメントを、約0.006インチから約0.012インチの間の外径まで延伸させ、空隙付き白金本体コイルに挿入する。依然として張力を受けている間、ヒドロゲルフィラメントは、両端で本体コイルに接着される。
【0083】
耐延伸性糸を白金コイルの遠位端において締め付け、近位端(すなわち、連結器13を伴う端部)において開放コイル空隙に巻き付ける。インプラント11の両端を、
延伸防止部材10を固定し、膨張性要素1の端部を封入するように、接着剤4および5で覆う。最終的に、インプラント11を、インプラント11の近位端から突出する
延伸防止部材10を使用して、着脱プッシャに取り付ける。
【0084】
本実施形態のインプラント11の使用中に、インプラント11をマイクロカテーテル(図示せず)を通して、着脱プッシャ20を介して前進させる。マイクロカテーテルの遠位端が所望の標的領域に達すると、プッシャ20を前進させることにより、マイクロカテーテルからインプラント11を押し出す。ユーザがインプラント11を着脱することを希望するときに、ヒーターコイル22を
延伸防止部材10を破壊するように前進させる。血液との接触時に、pHに敏感な膨張性要素を、約0.020インチから0.035インチの間の最終直径まで膨張させ、約5〜10分の作業時間をユーザに許容する。
【0085】
本発明の別の実施形態において、
図9のインプラント11は、
延伸防止部材10を含み、この
延伸防止部材10は、ポリオレフィンから構成され、約0.0022インチの外径を有する。膨張性要素1は、約48%のPEG 8000ジアクリルアミドと52%のアクリル酸ナトリウムのヒドロゲルから成る。部材2は、約0.012インチから0.020インチの間、より好ましくは、約0.012インチの外径を有する空隙付き白金コイルである。部材2は、約0.0015インチから0.005インチの間、より好ましくは約0.002インチの糸線を有する。部材2の巻線の間の空隙は、好ましくは、約0.003インチである。
【0086】
図12は、前述の実施形態と同様のインプラント11の好ましい実施形態を図示し、ここにおいて、部材2の巻線の間の空隙が、好ましくは、約0.002インチから0.020インチの間である。加えて、インプラント11は、インプラント11の近位端に、インプラントの遠位端に、インプラントの近位または遠位端に隣接して、またはこれらの場所の任意の組み合わせで位置する1つ以上の外側部材30を含む。
図12の実施例において、外側部材30は、インプラント11の近位および遠位端に位置付けられる。
【0087】
一実施例において、外側部材30は、好ましくは、約0.010インチから0.120インチの間、より好ましくは、約0.040インチから0.080インチの間の長さを有する白金コイルから構成される。外側部材30の内径は、好ましくは、約0.012インチから0.017インチの間、より好ましくは、約0.012インチから0.0125インチの間である。外側部材30のワイヤは、好ましくは、約0.0015インチから約0.003インチの間、より好ましくは、約0.0015インチの糸線を有する。
【0088】
別の実施例において、外側部材30は、約0.010インチから0.120の間、より好ましくは、約0.040インチから0.080インチの間の長さを有する、スロット付き管から成る。スロット付き管の内径は、好ましくは、約0.012インチから0.017インチの間、より好ましくは、約0.012インチから0.0125インチの間である。スロット付き管の厚さは、好ましくは、約0.001インチから0.003インチの間、より好ましくは、約0.0015インチである。
【0089】
図13は、前述の実施形態とほぼ同様であるインプラント11の別の好ましい実施形態を図示する。しかしながら、このインプラント11はさらに、
延伸防止部材10を覆って配置される、閉鎖巻装白金コイル32を備える。好ましくは、
延伸防止部材10は、ポリエチレンから成り、約0.0009インチの外径を有する。閉鎖巻装白金コイル32は、好ましくは、約0.006インチの外径を有し、約0.0015インチのワイヤ糸線を有する。膨張性要素1は、好ましくは、48%のPEG 8000ジアクリルアミドおよび52%のアクリル酸ナトリウムとで構成される。部材2は、約0.012インチから0.020インチの間、より好ましくは、約0.014インチから0.015インチの間の外径を有する、空隙付き白金コイルである。部材2は、約0.0015インチから0.005インチの間、より好ましくは、約0.002インチの糸線を有する。部材2の巻線の間の空隙は、好ましくは、約0.002インチから0.020インチの間、より好ましくは、0.004インチである。
【0090】
好ましくは、
図13のインプラント11は、本明細書で前述のようなヒドロゲルを用いて膨張性要素1を調製することによって作製される。酸処理前に、水和ヒドロゲルが白金コイル32で串刺しにされる。好ましくは、白金コイル32は、串刺しにする前に、規定のピッチおよび直径を伴う所定のらせん形状に熱設定される。インプラント11のさらなる処理および構築中に支持を提供するように、堅く、好ましくは、白金ベースのマンドレルが、白金コイル32に挿入される。
【0091】
ヒドロゲルの酸処理後、マンドレルを白金コイル32内から除去し、
延伸防止部材10(例えば、ポリオレフィンモノフィラメント)と交換する。オプションで、マンドレルおよび白金コイル32の両方を除去し、
延伸防止部材10に交換することもできる。部材2(例えば、空隙付き白金コイル)は、結果として生じるサブアセンブリを覆って設置され、部材2の内径内に自由空間をほとんど許容しない、または全く許容しないように適切にサイズ決定される。部材2は、オプションで、ヒドロゲルおよび白金コイル32を覆って設置する前に、規定のピッチおよび直径の予備的で好ましくはらせん形の形状に巻装および熱設定することができる。
【0092】
いったん部材2が設置されると、部材2を、近位および遠位端で、接着剤(好ましくは、UV硬化型接着剤)を使用してヒドロゲルに接着する。この時点で、外側部材30は、オプションで、インプラント11の1つ以上の端部に位置し、接着することができる。次いで、
延伸防止部材10を、インプラント11の両端で固定し、インプラント11は、本明細書の他の場所で説明されるような電気的着脱機構に連結する。
【0093】
本発明の一実施形態において、血管閉塞デバイスは、外表面を有する膨張性ポリマー要素と、膨張性ポリマー要素の外表面の少なくとも一部分を覆う搬送部材とを備え、膨張性要素の外表面の内部には搬送部材は配置されない。
【0094】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、内腔を有するコイルと、外表面を有するヒドロゲルポリマーとを備え、ヒドロゲルポリマーは、該コイルの内腔内に配置され、ヒドロゲルポリマーは、ヒドロゲルポリマーの外表面の内部にコイルを含まない。
【0095】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、二次的構成に形成された搬送部材と、膨張性要素とを備え、膨張性要素は、十分な柔らかさを有するように配合されたポリマーで作製され、膨張性要素は前処理なしに、実質的に搬送部材に形成された二次的構成の形状をとる。
【0096】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、二次的構成に形成された搬送部材と、実質的に連続した長さのヒドロゲルとを備え、本デバイスは前処理なしに、実質的に搬送部材に形成された二次的構成の形状をとる。
【0097】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、内側内腔を有するマイクロコイルと、内側内腔の中に配置された膨張性要素とを備える。本実施形態において、膨張性要素は、アクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、プルロニック、およびポリ(プロピレンオキシド)から成る群から選択される、ヒドロゲルを含む。
【0098】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、コイルと、コイル内に少なくとも部分的に配置されたヒドロゲルポリマーとを備え、ヒドロゲルは初期長さを有し、ヒドロゲルポリマーは該初期長さよりも長い第2の長さに延伸されている。
【0099】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、膨張性要素と、内側内腔を画定する搬送部材とを備え、膨張性要素は搬送部材の内側内腔の中に配置され、膨張性要素は、膨張性要素のループが搬送部材を通って突出することを防ぐための十分な長さに延伸されている。
【0100】
本明細書において開示された本発明はまた、医療デバイスを製造する方法を含む。本方法は、内側内腔を有する搬送部材と、膨張性要素とを提供するステップと、膨張性要素を搬送部材の内側内腔の中に挿入するステップと、膨張性要素を延伸するステップとを含む。
【0101】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、搬送要素によって封入された膨張性要素を含み、膨張性要素は実質的に全体に、かつ実質的に均一に、膨張特性を有する物質から成る。
【0102】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、搬送要素と、膨張性要素とを備え、搬送要素は一次形状とは異なる二次的形状を有し、膨張性要素は、通常の未処理状態において、搬送部の二次的形状に十分適合するほどに柔軟である。
【0103】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、搬送部と膨張性要素とを含み、膨張性要素は、膨張性要素が搬送部に沿って延伸された状態で、搬送部に固定される。
【0104】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、搬送部に沿って複数の空隙を有する搬送部と、搬送部の内側包絡面に沿って配置された膨張性要素とを含み、膨張性要素は空隙の内部には膨張するが、搬送部の外側包絡面を越えては膨張しないように、膨張性要素の膨張が制御される。
【0105】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、搬送部材と、膨張性要素とを含み、膨張性要素は、搬送部に沿って延在する複数本から成る。
【0106】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、搬送部と、膨張部材とを含み、搬送部は非コイル状の円筒形状構造であり、膨張部材は搬送部の内側に配置される。
【0107】
別の実施形態において、血管閉塞デバイスは、搬送部と、膨張部材と、
延伸防止部材とを含み、該膨張部材および該
延伸防止部材は搬送部の内部領域に配置され、
延伸防止部材は該搬送部の上で緊張された状態にある。
【0108】
本明細書において開示された本発明はまた、体内の病巣を治療する方法を含む。本方法は、搬送部材と膨張性要素とを含む血管閉塞デバイスを提供するステップであって、搬送部材が病巣とほぼ同じ直径である二次的構成に形成される、ステップと、血管閉塞デバイスを病巣に挿入するステップとを含む。
【0109】
本明細書および添付図面において、本発明の好適な実施形態が説明されたが、多くの変形形態および修正形態が当業者に対して示唆されることが認識される。従って、本発明の範囲は、本明細書に記載された特定の実施形態および実施例に制限されず、代替的な実施形態および均等物を包含するとみなされるべきである。
【0110】
他に指示されていない限り、明細書および特許請求の範囲において使用される、成分、分子量のような特性、反応条件、などの量を表す全ての数字は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されていると理解されるべきである。従って、それに反した指示がない限り、本明細書および付属の特許請求の範囲で説明される数値パラメータは近似値であり、それは、本発明によって得られることが求められる所望の特性に応じて異なり得る。少なくとも、また特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限する試みとしてではなく、各数値パラメータは少なくとも、報告された有効桁数に照らして、かつ通常の丸め手法を適用することによって、解釈されるべきである。本発明の広い範囲を説明する数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例において説明される数値は、できる限り正確に報告されている。しかしながら、任意の数値は、それぞれの試験測定において得られた標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を、本質的に含む。
【0111】
本発明を説明する文脈において(特に、以下の特許請求の範囲の文脈において)使用される、不定冠詞と定冠詞(「a」、「an」、「the」という用語)、および同様の指示物は、本明細書において他に指示がないか、文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を含むと解釈されるべきである。本明細書における数値範囲の列挙は、単に、その範囲内に入るそれぞれの単独の値を、個別に指すための簡易法としての役割を果たすことが意図されている。本明細書において他に指示されていない限り、個別の値のそれぞれは、本明細書において個別に列挙されているものとして、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されたすべての方法は、本明細書において他に指示されないか、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行され得る。本明細書において提供される任意の、かつすべての実施例、または例示的な言葉遣い(例えば、「のような」)の使用は、単に本発明をより解りやすくすることを意図しており、特許請求されるもの以外に、本発明の範囲に制限を加えるものではない。本明細書における言葉遣いは、本発明の実践に必須な任意の非特許請求要素を指していると解釈されるべきではない。
【0112】
本明細書において開示された発明の代替的な要素または実施形態のグループ分けは、制限として解釈されるべきではない。各グループ構成要素は、個別に、あるいはグループの他の構成要素または本明細書に見られる他の要素との任意の組合せで、参照され、また請求特許され得る。グループの1つ以上の構成要素が、便宜上および/または特許性の理由から、グループに含まれ、またはグループから削除され得ることが予期される。任意のかかる包含または削除が生じるときには、本明細書は、修正されたグループを含むものとみなされ、従って、付属の特許請求の範囲において使用されるすべてのマーカッシュグループの書面による記載を満たす。
【0113】
本発明を実行するうえで発明者らに知られる最良の形態を含む、本発明の特定の実施形態が、本明細書において説明されている。言うまでもなく、前述の説明を読めば、これらの記載された実施形態の変形形態が、当業者には明らかとなる。本発明者は、当業者がかかる変形形態を適切に利用することを期待し、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されたものとは別の方法で、本発明が実施されることを意図する。従って、本発明は、適用法令により許される範囲で、本明細書に付属する特許請求の範囲において列挙される主題のあらゆる修正形態および均等物を含む。また、そのすべての可能な変形形態の中の前述の要素の任意の組み合わせは、本明細書において他に指示されていないか、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含される。
【0114】
なお、多数の特許および刊行物が、本明細書を通して参照された。前述の参考文献および刊行物の各々は、その全体が個別に、参考として本明細書において援用される。
【0115】
最後に、本明細書において開示された本発明の実施形態は、本発明の原理を例示するものであることが理解されるべきである。利用され得る他の修正形態は、本発明の範囲内である。かくして、制限としてではなく一例として、本発明の代替的な構成が、本明細書の教示に従って利用され得る。従って、本発明は、示され記載されたように厳密には、それに限定されない。