【実施例】
【0062】
実施例1:Fe
3O
4−ZnOコア−シェルナノ粒子の合成
Fe
3O
4−ZnOコアシェルナノ粒子(core−shellna noparticles、CSNP)を改良されたナノエマルジョン方法により製造した。
Fe
3O
4コア合成のために0.5mmol(0.1766g)のアイアン(III)アセチルアセトネート(Fe(acac)3、99.9%、Aldrich)と2.5mmol(0.6468g)の1、2−ヘキサデカンジオール(1、2−hexdecanediol、C
14H
29CH(OH)CH
2(OH)、90%、Aldrich)をポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(ポリプロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)(PEG−PPG−PEG、Aldrich)(0.7529g)とともに10ml〜20mlのオクチルエーテル(C
8H
17OC
8H
17、99%、Wako)に溶解した。ナノ粒子の物理的、化学的特性制御のためにPEG−PPG−PEGの代わりに、ポリビニルピロリドン(PVP)が使用されることができ、溶媒としては、オレイルアミン(OAM、C
9H
18=C
9H
17NH
2、70%)、オレイン酸(OA、C
9H
18=C
8H
15COOH、99%)などが使用されることができる。
【0063】
還元過程は、上記混合溶液を1時間80℃〜130℃までゆっくり加熱し、その温度で1時間〜2時間循環させた。その後、15分間260℃〜300℃まで早く加熱し、260℃〜300℃で1時間〜2時間循環させた。混合溶液を室温まで冷却させれば、磁性体コア物質が形成される。合成過程は、アルゴンのような不活性ガス雰囲気で進行することができる。上記磁性体コアを製造した後、特別な精製過程なしにZnOコーティング工程を進行した。既に形成されたFe
3O
4コアに0.25mmol(0.0659g)の亜鉛アセチルアセトネート(zinc acetylacetonate、Zn(acac)2)、0.3234g(1.25mmol)の1、2−ヘキサデカンジオール(1、2−hexdecanediol)が溶解されたオクチルエーテル(octylether、5ml)を添加した後、加熱手段と磁力攪拌器(Magnetic Stirring)を使用して上記反応混合物を80℃〜130℃まで温度を上げ、1時間〜2時間均一に混合した。次いで、混合溶液を加熱し、260℃〜300℃の間で1時間〜2時間程度維持した結果、ZnO層がFe
3O
4上に形成された。反応後、Fe
3O
4−ZnOコア−シェルナノ粒子を無水エタノール(anhydrous ethanol)を添加し、遠心分離及び磁性分離を利用して洗浄した。製造されたコア−シェルナノ粒子の形態、組成及びナノ構造は、エネルギー分散型X線分析(Energy dispersive X-ray spectrometry) が備えられたTEM(JEOL 2010F、Technai F20(FEI Co.))で測定した。TEM測定のためのサンプルの製造のために、ヘキサン中に分散したナノ粒子と水とPBSに分散されたペプチド−ナノ粒子複合体は、それぞれcarbon−supported copper grids上に落とした。Fe
3O
4−ZnONPsの構造的分析は、粉末x−線回折分析機(10C1 beamline、Pohang Accelerator Laboratory、South Korea)により行われた。磁性特性は、試料振動型磁力計 (vibrating sample magnetometer)(Lakeshore 7300)、 物理特性測定装置(Physical property measurement system)(PPMS、Quantum Design)を使用して測定された。ヘキサン中に分散されたナノ粒子と水とPBSに分散されたペプチド−ナノ粒子複合体の光学特性は、それぞれUV− 可視分光法(Visspectroscopy)(Agilent 8453E)及び分光蛍光光度計(spectrofluorophotometer) (Shimadzu RF−5301PC)により分析された。
図1は、Fe
3O
4−ZnOナノ粒子のTEM分析、水分散性、磁性特性及び光学特性分析結果を示す。具体的に、
図1aは、Fe
3O
4−ZnOナノ粒子の球形形態及び均一なサイズ分布を示すTEM結果である(Scale bar:100nm)。
図1bは、コア−シェルナノ粒子の構造的模式図である。
図1cは、単一コアシェルナノ粒子がFeとZnよりなることを示すTEM−EDX point−probe analysisの結果である。
図1dは、PBS中での茶色のコアシェルナノ粒子の均質な分散を示し、
図1eは、磁石によってナノ粒子の回収後、きれいで且つ透明な溶液を示す。
図1fは、Fe
3O
4コア部分(赤色)とFe
3O
4−ZnOコアシェルナノ粒子(青色)の磁性履歴曲線を示す。
図1gは、ペプチドが結合されたコアシェルナノ粒子のUV及び可視光放出を示す光発光(Photoluminescence)スペクトルを示す。
【0064】
実施例2:ZnO−結合性ペプチドの設計及び製造
ZnO−結合性ペプチド(ZnO−binding peptide、ZBP)の設計のために、先行研究から高−親和性ZnO結合パターンの配列を収集した。高−親和性結合ペプチドのクラスタリングによりRXXRまたはRXXRKの結合モチーフがZnO結合に重要な役目を行うことを知見し、RPHRKまたはRTHRKを下記実施例で使用されるZnO−結合性ペプチドのモチーフとして選択した。また、酸化亜鉛ナノ粒子とZnO−結合性ペプチドの間の結合力を増加させるために、酸化亜鉛−結合性ペプチドの製造時に、ZnO結合モチーフの直列繰り返しを導入しようとした。周辺モチーフ間の柔軟性を増加させることができる柔軟性リンカーとしてGGDAを選択し、これをモチーブの間に導入した。
【0065】
酸化亜鉛−結合性ペプチドの酸化亜鉛ナノ粒子に対する結合性を定量分析することができるように、酸化亜鉛−結合性ペプチドをビオチンで標識し、ストレプトアビジンとの結合性を調査する方法を使用した。このために、まず、ビオチンが標識された酸化亜鉛−結合性ペプチドとストレプトアビジンの間の結合を確認しようとした。ペプチド合成器(PeptrEXTM、Peptron)を利用してビオチンで標識されたペプチドとして、biotin−RPHRKGGDA(biotin−ZnOpep−1)、biotin−RPHRKGGDARPHRKGGDARPHRKGGDA(biotin−3xZnOpep−1)、biotin−RTHRKGGDA(biotin−ZnOpep−2)及びbiotin−RTHRKGGDARTHRKGGDARTHRKGGDA(biotin−3xZnOpep−2)を合成した後、滅菌された水に1mg/mlの濃度で溶かした。TBS(Tris buffered saline)に希釈した上記ペプチドをそれぞれ10μg/well、1μg/well、0.1μg/well及び0.01μg/wellずつとなるように、96ウェルプレート(96 well plate)に分注した後、4℃で16時間反応させて、上記プレートにコーティングした。その後、各ウェルに遮断溶液(blocking solution:5%Bovine serum albumin in TBS)を入れ、常温で一時間反応させた後、0.05%Tween20を含むTBSを使用して3回洗浄した。その後、AP−ストレプトアビジン結合体(alkaline phosphatase−streptavidin conjugate)を1:1,000で希釈し、常温で一時間反応させた。反応が終わった後、さらに0.05%Tween20を含むTBSを使用して残留AP−ストレプトアビジン結合体を除去した。その後、pNPPホスファターゼ(pNPP phosphatase)基質を添加し、20分間常温で反応させた後、停止バッファーを入れ、反応を停止した後、VICTOR(Perkinelmer社)を使用して405nmの波長で吸光度を測定した。その結果、
図2から明らかなように、単一酸化亜鉛−結合性ペプチドより3X酸化亜鉛−結合性ペプチドがさらに高い吸光度を示し、これは、コーティングされた量に依存的に増加することを確認することができた。この結果は、酸化亜鉛−結合性ペプチドのビオチンとストレプトアビジンの結合力を利用して定量分析が可能であることを示唆する。
【0066】
実施例3:酸化亜鉛ナノ粒子と酸化亜鉛−結合性ペプチドの間の結合力
実施例3では、実施例2に基づいて酸化亜鉛ナノ粒子と酸化亜鉛−結合性ペプチドの間の結合力を確認しようとした。実施例1で得た酸化亜鉛ナノ粒子(エタノール内に保管)を1.5mlチューブに移し、マグネチックスタンドに20分間静置させて、コア−シェル(core−shell)酸化亜鉛粒子を分離した。上記酸化亜鉛ナノ粒子からエタノールを完全に除去した後、TBSを添加した後、超音波を利用してナノ粒子を水溶液に分散させた。100μgのナノ粒子と10μg、1μg、0.1μg、0.01μg及び0.001μgのペプチドをTBSに希釈して混合した後、常温で1時間回転して反応させた。反応後、遠心分離機を利用して(15,000g、2min)複合体を沈殿させた後、マグネチックスタンドに15分間静置させて、ナノ粒子−ペプチド複合体 を分離した。
【0067】
同一の方法で複合体をTBSを利用して6回洗浄した。1:1000で希釈されたAP−ストレプトアビジン結合体(1.5mg/ml)を添加し、常温で一時間回転して反応させた。反応が終わった後、さらに遠心分離機を利用して上記AP−ストレプトアビジン結合体を分離し、マグネチックスタンドに15分間静置させて溶液を除去した後、TBSを利用して6回洗浄した。その後、pNPPホスファターゼ基質を入れ、20分間常温で反応させ、停止バッファーを入れて反応を停止した後、VICTOR(Perkinelmer社)を利用して405nmの波長で吸光度を測定した。その結果、
図3から明らかなように、酸化亜鉛ナノ粒子と酸化亜鉛−結合性ペプチドの間の結合が酸化亜鉛−結合性ペプチドの濃度に依存的に増加することを確認することができた。また、単一酸化亜鉛−結合性ペプチドより3X酸化亜鉛−結合性ペプチドが酸化亜鉛ナノ粒子とさらによく結合することを確認することができた。それぞれのペプチドの結合は、100μgのコアシェルナノ粒子に対して約1μg以下のペプチド(1xZBPに対して〜1nmol、3xZBPに対して〜0.3nmolに均等)が使用される時に飽和され、1μgのコアシェルナノ粒子当たり約3〜10pmolのペプチドが結合するものと現われた。
【0068】
実施例4:多様な水溶液での酸化亜鉛ナノ粒子と酸化亜鉛−結合性ペプチドの間の結合力
実施例4では、実施例3から確認した酸化亜鉛ナノ粒子と酸化亜鉛−結合性ペプチドの間の結合力を多様な水溶液条件でも結合が可能であるかを調べるために行った。実施例1で得た酸化亜鉛ナノ粒子(エタノール内に保管)を1.5mlチューブに移し、マグネチックスタンドに20分間静置させてコア−シェル(core−shell)酸化亜鉛粒子を分離した後、エタノールを完全に除去した。分離したナノ粒子(100μg)をTBS、RIPAバッファー(1%Triton X−100、0.1%ソジウムドデシルスルフェート、0.5%ソジウムジオキシコレート、150mM NaCl、50mM Tris−HCl[pH7.5]、2mMEDTA)、または多様な濃度(6M、3M、1.5M、0.75M、0.375M)のヨウ素が添加されたバクテリア溶菌バッファー(bacteria lysis buffer:20mM HEPES[pH7.6]、500mM NaCl、1mM EDTA、1%NP−40)に浮遊させた後、0.1μgのペプチド(3×ZnOpep−1)を添加し、常温で一時間回転して反応させた。遠心分離機を利用して複合体を分離し、マグネチックスタンドに15分間入れた後、水溶液を除去した後、TBSを利用して6回洗浄した。AP−ストレプトアビジン結合体を入れて常温で一時間回転して反応させた。反応が終わった後、さらに遠心分離機を回転して上記複合体を分離した後、マグネチックスタンドに15分間静置させて反応溶液を除去した後、TBSを利用して6回洗浄した。pNPPホスファターゼ基質を入れ、20分間常温で反応させた後、反応停止バッファーを入れ、405nmの波長で吸光度を測定した。その結果、
図4から明らかように、TBS、RIPA、そして多様な濃度のヨウ素が添加された水溶液上でも酸化亜鉛ナノ粒子と酸化亜鉛−結合性ペプチドがよく結合されていることを確認することができた。これは、酸化亜鉛ナノ粒子と酸化亜鉛−結合性ペプチドが多様な水溶液条件でもよく結合することを意味する。
【0069】
実施例5:癌腫胚芽抗原と酸化亜鉛−結合性ペプチドとの融合タンパク質の製造
Bae、M.Y.、など[Bae、M.Y.、Cho、N.H.&Seong、S.Y.Protective anti−tumour immune responses by murine dendritic cells pulsed with recombinant Tat−carcinoembryonic antigen derived from Escherichia coli.Clin.Exper.Immunol.157、128−138(2009)]に開示された方法を利用してE.coliからアミノ酸35から332(GenBank Accessionno.M17303)に相当するヒト癌腫胚芽抗原(CEA)を精製した。組換えZBP−CEA融合タンパク質の製造のために、3xZnOpep−1(RPHRKGGDARPHRKGGDARPHRKGGDA)をコーディングするannealed double−stranded DNA(5’−
CTA GCC GCC CGC ATC GCA AAG GCG GCG ATG CGC GCC CGC ATC GCA AAG GCG GCG ATG CGC GCC CGC ATC GCA AAG GCG GCG ATG CG
G−3’)をNheI及びEcoRI位置の切断後(下線で表示)、上記Bae、M.Y.、などに開示されたpET23a−CEAプラスミドでクローニングした。Bae、M.Y.、などに開示された方法によって組換えタンパク質を生産し精製した。同じ方法で、ZnOpep−1、ZnOpep−2及び3xZnOpep−2を生産した。精製されたタンパク質は、使用前にエンドキシン除去カラム(Pierce)で処理された。精製された組換えタンパク質のエンドトキシン汚染は、QCI−1000 End−Point Chromagenic Endotoxin Detection Kit(Lonza)を利用して調査した。
【0070】
実施例6:酸化亜鉛ナノ粒子と酸化亜鉛−結合性ペプチドアミノ酸配列を含む組換えCEA腫瘍抗原の結合力
実施例5では、酸化亜鉛ナノ粒子と酸化亜鉛−結合性ペプチドアミノ酸配列を含む組換え癌腫胚芽抗原(Carcino−Embryonic Antigen、CEA)の結合力を確認した。互いに異なる濃度の酸化亜鉛結合ペプチドが含まれた組換えCEA腫瘍抗原と上記酸化亜鉛−結合性ペプチドが含まれていない腫瘍抗原を50μgの酸化亜鉛ナノ粒子とPBS(Phosphate−buffered saline)で1時間反応させ、反応が終わった後、さらに遠心分離機を利用して複合体を分離した後、マグネチックスタンドに15分間静置させた後、溶液を除去した後、PBSを利用して6回洗浄した。収去された酸化亜鉛ナノ粒子をSDS−PAGEサンプルバッファーに入れ、100℃で10分間反応させ、SDS−PAGEを行った後、クマシブルー染色法(Coomassie blue staining)を使用して酸化亜鉛ナノ粒子に結合された組換えタンパク質の量を確認した。その結果、
図5から明らかなように、酸化亜鉛−結合性ペプチドアミノ酸配列を含まない組換えCEA腫瘍抗原は、酸化亜鉛ナノ粒子と非常に少ない量だけ結合したのに対し、酸化亜鉛−結合性ペプチドアミノ酸配列を含む組換えCEA腫瘍抗原と酸化亜鉛の亜鉛は,ペプチドの濃度に依存的に増加することを確認することができた。これは、酸化亜鉛ナノ粒子と酸化亜鉛−結合性ペプチドアミノ酸配列を含む組換え腫瘍抗原の間にも結合が可能であることを意味する。
【0071】
実施例7:樹枝状細胞にローディングされた酸化亜鉛ナノ粒子と酸化亜鉛−結合性ペプチドアミノ酸配列を含むCEA腫瘍抗原複合体のインビトロモニタリング
Bae、M.Y.、などに記述された方法を利用してマウス細胞から樹枝状細胞を製造し、これにコアシェルナノ粒子をローディングした。未成熟樹枝状細胞をコアシェルナノ粒子と共培養した。これは、成熟樹枝状細胞に比べて未成熟樹枝状細胞が捕食作用が活発するからである。インキュベーション時間とZnOシェルのローディング効率に対する効果を評価するために、未成熟樹枝状細胞を100μg/mlのFe
3O
4 NPsまたはFe
3O
4−ZnOコアシェルナノ粒子と多様な時間条件でインキュベーションした。導入されたナノ粒子は、DAB(diaminobenzidine)−enhanced Prussian blue染色法により探知され、光学強度の測定を用いて定量した。
図6aは、DAB−enhanced Prussian blue染色を用いてインキュベーション時間によるFe
3O
4NPsとFe
3O
4−ZnOコアシェルナノ粒子の細胞内運搬状態を示し、
図6bは、それぞれのサンプルでランダムに選択された100個の細胞の光学強度を測定した結果を示す。
図6から明らかなように、8時間以前の反応時間では、Fe
3O
4−ZnOコアシェルナノ粒子がFe
3O
4 NPsに比べてさらに効率的に樹枝状細胞により摂取されたが、インキュベーション20時間後には、何らの差異がなかった。この結果は、ZnOシェルがコアシェルナノ粒子の細胞内運搬を促進し、コアシェルナノ粒子を利用する場合、樹枝状細胞内への導入に必要なインキュベーション時間を低減することができることを提示する。
【0072】
図7は、コアシェルナノ粒子の光学的特性を利用した樹枝状細胞にローディングされた抗原のインビトロモニタリング結果を示す。
図7aは、DAB−enhanced Prussian blue染色後に可視化されたコアシェルナノ粒子がローディングされた樹枝状細胞とコアシェルナノ粒子がローディングされていない樹枝状細胞を示す。
図7aから明らかなように、インキュベーション1時間後、約95%以上の樹枝状細胞がコアシェルナノ粒子で標識されたものと現われた。ZnOナノ粒子が数時間内に捕食性細胞と非−捕食性細胞により効率的に吸収されることはよく知られている。正確なメカニズムは、まだわからないが、この結果は、ZnOによるFe
3O
4 NPsの表面コーティングが細胞性吸収(uptake)を促進することができることを提示する。通常的な超常磁性Fe
3O
4粒子が細胞内伝達のためにプロタミンスルフェートのようなトランスフェクション促進化合物や長いインキュベーション時間(略16時間〜48時間)を必要とするという点を考慮する時、本発明のコア−シェルナノ粒子は、少ないインキュベーション時間を必要とし、トランスフェクションのための試薬や表面改質を必要とないという点から大きい長所を有する。
【0073】
ZnOの光発光は、樹枝状細胞サイトゾル内への運搬後、レーザースキャニング共焦点顕微鏡を利用して調査した。
図7bは、コアシェルナノ粒子がローディングされた樹枝状細胞(下端)またはローディングされていない樹枝状細胞(上端)を共焦点顕微鏡で観察した結果を示す(励起:405nm、発光:>420nm)。ToPro−3染色試薬で染色された樹枝状細胞の核は、青色で現われる(White bar:10μm)。コアシェルナノ粒子−標識された樹枝状細胞は、405nmの波長で励起され、465〜679nmの広い発光波長で高い蛍光強度を示した。しかし、ピーク発光は、529〜550nmで観察され、これは、通常的なFACSまたは共焦点顕微鏡を通じて容易に観察されることができる(図示せず)。コアシェルナノ粒子は、サイトプラズムにわって分散されていて、凝集された形態で発見されたが、これは、捕食作用により吸収されたことを意味することができる。細胞内コアシェルナノ粒子分布の類似のパターンが非−食細胞性エピセリウム(epithelium)から由来したHeLa細胞でも現われた(データ不図示)。エンドソーム性またはリソソーム性小胞の共染色は、凝集されたコアシェルナノ粒子が初期エンドソーム性マーカーであるEEA1またはリソソーム性マーカーであるLAMP2との共存を示し、これは、凝集されたナノ粒子がエンドサイトーシスを通じて内在化されることを提示する。コアシェルナノ粒子がサイトプラズム及び細胞内輸送小胞(intracellular trafficking vesicles)内で探知されることを考慮する時、それらは、ファゴサイトーシスまたはエンドサイトーシスによって内在化されるものと思われる。
【0074】
また、コアシェルナノ粒子上に固定されたポリペプチドの細胞内運搬を調査した。
図7cから明かなように、3×ZBP−結合されたコアシェルナノ粒子が樹枝状細胞のサイトプラズム内に効率的に運搬された。一部のペプチド−コアシェルナノ粒子凝集体は、ペプチドが結合されていないコアシェルナノ粒子のようにエンドソームまたはリソソームに部分的に共存したりした(White bar:10μm)。
【0075】
実施例8:酸化亜鉛ナノ粒子と酸化亜鉛−結合性ペプチドアミノ酸配列を含むCEA腫瘍抗原複合体の樹枝状細胞内伝達効率
実施例8では、酸化亜鉛ナノ粒子と酸化亜鉛−結合性ペプチドアミノ酸配列を含むCEA腫瘍抗原複合体の樹枝状細胞内に伝達される効率を調べた。酸化亜鉛ナノ粒子と酸化亜鉛−結合性ペプチドアミノ酸配列を含むCEA腫瘍抗原複合体の樹枝状細胞内伝達効率をFACS分析法を使用して確認した。マウスの骨髓から分離した未成熟樹枝状細胞(1×10
6cells)をCEA腫瘍抗原と37℃で1時間反応させた後、細胞内に伝達された腫瘍抗原の量をFACSで分析した。酸化亜鉛ナノ粒子(50μg)とCEA腫瘍抗原(20μg)複合体をPBSで1時間反応させた。
【0076】
対照群及び実験群としてa)酸化亜鉛ナノ粒子処理群、b)CEA腫瘍抗原処理群、c)酸化亜鉛−結合性ペプチドを含む組換えCEA腫瘍抗原処理群、d)酸化亜鉛ナノ粒子とCEA腫瘍抗原を一緒に処理した群、e)酸化亜鉛ナノ粒子と酸化亜鉛−結合性ペプチドアミノ酸配列を含むCEA腫瘍抗原複合体処理群に分析した結果、
図7dから明らかなように、酸化亜鉛ナノ粒子と酸化亜鉛−結合性ペプチドアミノ酸配列を含むCEA腫瘍抗原が複合体を形成することができる実験群だけで樹枝状細胞内でCEA腫瘍抗原が細胞内に伝達されたことを確認することができた(コアシェルナノ粒子:酸化亜鉛コアシェルナノ粒子、CEA:腫瘍抗原、3Xzbp−CEA:酸化亜鉛−結合性ペプチド(3×ZnOpep−1)が結合された腫瘍抗原)。これは、今後、酸化亜鉛ナノ粒子を利用して酸化亜鉛−結合性ペプチドを含むCEA腫瘍抗原の複合体を樹枝状細胞内に導入することができる伝達体として使用可能であることを意味する。
【0077】
実施例9:酸化亜鉛ナノ粒子と酸化亜鉛−結合性ペプチドアミノ酸配列を含むCEA腫瘍抗原複合体の樹枝状細胞内伝達による樹枝状細胞の生存率及び成熟
コアシェルナノ粒子のローディングが樹枝状細胞の生存率及び成熟に及ぶ影響に対して評価した。
図8aは、100μg/mlコアシェルナノ粒子を1〜7日間樹枝状細胞とインキュベーションした時の細胞生存率を示し、
図8bは、多様な濃度のコアシェルナノ粒子(12.5〜400μg/ml)を3日間樹枝状細胞とインキュベーションした時の細胞生存率を示す。
図8から明らかなように、コアシェルナノ粒子のローディングは、樹枝状細胞の細胞生存率に影響を及ぼさない。
図9は、コアシェルナノ粒子のローディングの前と後の樹枝状細胞の成熟マーカーを示す。バクテリアのLPS(lipopolysaccharide)が樹枝状細胞の成熟のために使用された。樹枝状細胞上の成熟マーカー(MHCII、CD40、CD80、andCD86)の表面発現は、コアシェルナノ粒子ローディングによって影響を受けなかった。総合すれば、これら結果は、コアシェルナノ粒子ローディングが樹枝状細胞の細胞生存率や成熟に影響を及ぼさないことを提示する。
【0078】
実施例10:酸化亜鉛ナノ粒子と酸化亜鉛−結合性ペプチドアミノ酸配列を含むCEA腫瘍抗原複合体で標識された樹枝状細胞の磁気共鳴分析によるインビトロ及びイン秘宝での探知
ナノ粒子を利用したインビトロまたはインビボ磁気共鳴映像分析実験において、効果的な細胞標識リングのための最適の条件を決定することは非常に重要である。このために、まず、樹枝状細胞を多様な濃度のコアシェルナノ粒子(0〜160μg/ml)とインキュベーションした。
図10aから明らかなように、樹枝状細胞のインビトロ磁気共鳴イメージング結果は、コアシェルナノ粒子の濃度が増加するにつれてT2弛緩時間が漸進的に減少するものと現われ(イメージが暗くなる)、100μg/ml未満で飽和されるものと現われた。最適のインキュベーション時間を定めるために、40μg/mlのコアシェルナノ粒子の存在下で0.5〜24時間樹枝状細胞を培養した。
図10bから明らかなように、樹枝状細胞は、1時間内にコアシェルナノ粒子に飽和され、これは、前述したように、コアシェルナノ粒子が1時間内に樹枝状細胞により効率的に吸収されることを示し、磁気共鳴イメージングにおいてT2弛緩時間の十分な減少を示す。
図11から明らかなように、Fe
3O
4−標識された樹枝状細胞(○)と比較する時、最初4時間コアシェルナノ粒子−標識された樹枝状細胞(●)の磁気共鳴映像分析結果は、T2弛緩時間においてさらに迅速な減少を示した。これら結果は、コアシェルナノ粒子が非浸湿的磁気共鳴映像分析を利用したインビボでの樹枝状細胞移動モニタリングのために適用されることができることを示す。
【0079】
磁気共鳴映像分析による樹枝状細胞輸送のインビトロモニタリングに対するコアシェルナノ粒子の潜在的用途を検証するために、コアシェルナノ粒子が標識された樹枝状細胞をC57BL/6マウスの後足の裏に注射した。注射された足の裏から膝窩リンパ節に移動した樹枝状細胞をT2−weighted multigradient echo磁気共鳴シーケンス(sequence)を利用して観察した。
図10cから明らかなように、注射48時間後、左側リンパ節内でコアシェルナノ粒子−標識された細胞の存在を示す低信号強度(hypointense)を示す領域が観察された(赤色矢印)。予想したように、ZnO NPで標識された樹枝状細胞の注射部位に相当する膝窩リンパ節では、T2減少が観察されなかった(白色矢印)。
【0080】
コアシェルナノ粒子で標識された樹枝状細胞は、排出リンパ節の中心部で観察され、これは、T2減少がリンパ管を通じて輸送されたコアシェルナノ粒子よりはコアシェルナノ粒子で標識された樹枝状細胞によるものであることを示す。ガラスナノ粒子は、一般的にリンパ管を通じて輸送された後、リンパ節の被膜下領域(subcapsular region)に位置する。切断したリンパ節の免疫組職学的分析は、磁気共鳴映像分析により観察されたT2減少がT細胞領域に移動したコアシェルナノ粒子−標識樹枝状細胞により惹起されたものであることを示す(
図10d)。DAB−enhanced Prussian blue染色と免疫組職化学染色(anti−Thy1.2、
図10dの上端;anti−B220、
図10dの下端)の結果を組み合わせて見れば、コアシェルナノ粒子で標識された樹枝状細胞は、大部分B220+B細胞小胞(follicle)ではないThy1.2+T細胞領域内に存在することが分かる。対照的に、酸化亜鉛でラベルされたDCsを注入したリンパ節では、鉄成分を測定することができなかった。
【0081】
実施例11:酸化亜鉛ナノ粒子と酸化亜鉛−結合性ペプチドアミノ酸配列を含むCEA腫瘍抗原複合体で標識された樹枝状細胞により誘導された抗−腫瘍免疫
酸化亜鉛ナノ粒子と酸化亜鉛−結合性ペプチドアミノ酸配列を含むCEA腫瘍抗原複合体で標識された樹枝状細胞でC57BL/6マウスを兔疫し、CEA−特異的細胞性免疫を分析した。兔疫されたマウスの脾臓からリンパ球を得、インビトロで多様な濃度のCEAで再刺激した。
図12aから明らかなように、樹枝状細胞(コアシェルナノ粒子/3×ZBPCEA)で免疫化されたマウスのリンパ球は、対照群のリンパ球よりCEAに対する反応においてさらに高い投与量−依存的な増殖を示した。CEA特異的な細胞毒性リンパ球が全身的に生成されるか否かを調査するために、免疫化されたマウスから得た脾臓細胞(Splenocyte)を分析した。樹枝状細胞(コアシェルナノ粒子/3×ZBP−CEA)で免疫化されたマウスからの脾臓細胞を利用する時、CEA−発現癌細胞((MC38/CEA)に対する著しい細胞毒性反応が観察されたのに対し、対照群では、有意な細胞毒性が観察されなかった(
図12b、右側パネル)。CEA−陰性MC38標的細胞に対する脾臓細胞の細胞毒性は、実験群のうちいずれも有意に現われなかった(
図12b、左側パネル)。これは、兔疫されたマウスで探知された反応が腫瘍抗原CEA特異的であることを提示する。次に、細胞−媒介免疫反応の典型的な標識サイトカインであるIFN−γを生成するT細胞の生成を調査した。脾臓細胞でCEA−特異的CD8+T細胞免疫反応を細胞内サイトカイン染色及びCEA抗原の存在または不在下でフローサイトメトリーを用いて調査した。IFN−γ−分泌CD8+T細胞の頻度は、樹枝状細胞(コアシェルナノ粒子/3×ZBP−CEA)で免疫化されたマウスから得たCD8+T細胞だけでただ腫瘍抗原による刺激後、略10倍程度増加した。対照的に、他の対照群から得たCD8+T細胞は、免疫後、有意なIFN−γ分泌を示さなかった(
図12c)。樹枝状細胞(コアシェルナノ粒子/3×ZBPCEA)群は、他の樹枝状細胞群に比べてリンパ節でCEA−特異的な、IFN−γ−生産CD4+またはCD8+T細胞を生成するにあたってさらに効果的であった(
図13)。この結果は、樹枝状細胞(コアシェルナノ粒子/3×ZBP−CEA)がインビボでCEA特異的な細胞性免疫を効果的に生成することができることを示す。
【0082】
C57BL/6マウスのわき腹にMC38/CEA細胞を注入し、樹枝状細胞(コアシェルナノ粒子/3×ZBP−CEA)免疫による腫瘍の成長を観察し、樹枝状細胞(コアシェルナノ粒子/3×ZBP−CEA)の抗腫瘍兔疫性を評価した。腫瘍接種後7日後、マウスを一週間間隔をもって週1回ずつ樹枝状細胞を4回兔疫した。
図14aから明らかなように、対照群と比べて樹枝状細胞(コアシェルナノ粒子/3×ZBP−CEA)が注入されたマウスで腫瘍成長がより抑制された(□:NP/3×ZBP−CEA、■:NP/CEA、▽:3xZBP−CEA、▼:CEA、○:NP、●:DC)。また、
図14bから明らかなように、腫瘍接種40日後、樹枝状細胞(コアシェルナノ粒子/3×ZBP−CEA)で処理された5匹のマウスが全部生存したのに対し、他のすべての群のマウスは、死んだ。樹枝状細胞(コアシェルナノ粒子/3×ZBP−CEA)で免疫化されたマウスの平均生存期間は、対照群マウスに比べて平均10.5〜19.5日延長された。このような結果は、樹枝状細胞(コアシェルナノ粒子/3×ZBP−CEA)が対照群に比べてCEA−陽性腫瘍に対するさらに強力な保護免疫反応を誘導することを示す。