(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5722361
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】多結晶シリコンの表面汚染を測定する方法
(51)【国際特許分類】
C01B 33/035 20060101AFI20150430BHJP
【FI】
C01B33/035
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-7494(P2013-7494)
(22)【出願日】2013年1月18日
(65)【公開番号】特開2013-151412(P2013-151412A)
(43)【公開日】2013年8月8日
【審査請求日】2013年1月18日
(31)【優先権主張番号】10 2012 200 994.9
(32)【優先日】2012年1月24日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンス・ボツホナー
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト・バウマン
【審査官】
浅野 裕之
(56)【参考文献】
【文献】
特開平06−107496(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第102008040231(DE,A1)
【文献】
特開平06−283581(JP,A)
【文献】
特開2011−063471(JP,A)
【文献】
特開2008−013432(JP,A)
【文献】
特開2003−335512(JP,A)
【文献】
特開2004−091321(JP,A)
【文献】
特開2006−122902(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 33/035
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多結晶シリコンの表面汚染を測定する方法であって、
a)シーメンス反応器中において成長させることによって2つの多結晶シリコンロッドを提供するステップ;
b)前記成長後に、前記2つのロッドのうちの第1のロッドにおける汚染物を測定するステップ;
c)多結晶シリコンロッドが、さらにロッド小片またはポリシリコン断片を得るために処理され、場合によって清浄化され、貯蔵され、または収容される1つまたは複数のシステムに、第2のロッドを通すステップ;
d)次いで、前記第2のロッドにおける汚染物を測定するステップ
を含み、
第1のロッドが、成長後にPEバッグに収容され、
ステップc)における1つまたは複数のシステムが、ポリシリコンの粉砕のための、清浄化のための、貯蔵のためのまたは梱包のためのシステムであり、ロッドが、前記1つまたは複数のシステムを通された後にPEバッグに収容され、
前記第1のロッドおよび第2のロッドにおいて測定された汚染物の違いから、前記システムおよびシステム環境に起因する多結晶シリコンの表面汚染が分かる、方法。
【請求項2】
ドーパントによる、もしくは炭素による、またはその両方による多結晶シリコンの汚染が、第1のロッドおよび第2のロッドについて測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ドーパントが、ホウ素、リン、アルミニウムおよびヒ素からなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ウェハが、ステップb)において第1のロッドから取り出され、前記ウェハが、FTIRによって炭素濃度を測定するために使用される、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
第1のロッドからのウェハの取り出し後に残るロッドが、FZによって単結晶ロッドへ転化され、ドーパントの濃度が、前記単結晶ロッドから取り出されたウェハにおいて光ルミネッセンスにより測定される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
第2のロッドが、ステップd)において、FZによって単結晶ロッドへと転化され;
第1のウェハが、この単結晶ロッドから取り出され、炭素濃度を測定するためにFTIR分析へと送られ;
第2のウェハが取り出され、ドーパントの濃度を測定するために光ルミネッセンス分析へと送られる、請求項2から5のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多結晶シリコンの表面汚染を測定する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
工業規模では、アーク炉において約2000℃の温度で炭素により二酸化シリコンを還元することによって、粗シリコンを得る。
【0003】
これは、約98−99%の純度の「金属グレード」シリコン(Si
mg)を提供する。
【0004】
光発電およびマイクロエレクトロニクスにおける用途のために、金属グレードシリコンを精製しなければならない。
【0005】
この目的のためには、例えば、流動床反応器において300−350℃で金属グレードシリコンをガス状塩化水素と反応させて、シリコン含有ガス、例えばトリクロロシランを得る。この後、当該シリコン含有ガスを精製するために蒸留ステップが続く。
【0006】
次いで、この高純度シリコン含有ガスは、高純度多結晶シリコンの製造のための出発材料としての役割を果たす。
【0007】
多結晶シリコンは、しばしば、略してポリシリコンとも呼ばれ、通常、シーメンス法によって製造される。この方法は、釣鐘形状反応器(「シーメンス反応器」)中において、シリコン含有成分および水素を含む反応ガスを導入しながら、シリコンの細いフィラメントロッドに電流を直接通すことによりこれを加熱するステップを伴う。
【0008】
反応ガスのシリコン含有成分は、一般的に、モノシランまたは一般組成SiH
nX
4−n(n=0、1、2、3;X=Cl、Br、I)のハロシランである。当該成分は、好ましくはクロロシランであり、より好ましくはトリクロロシランである。主に、SiH
4またはSiHCl
3(トリクロロシラン、TCS)が、水素との混合物において使用される。
【0009】
シーメンス法において、フィラメントロッドは、通常、反応器底部に存在する電極中に垂直に挿入されており、この電極を通してフィラメントロッドは電源に接続されている。2本のフィラメントロッドはいずれも水平なブリッジ(同様に、シリコンで構成されている)を介して連結され、これが、シリコン成長のための支持本体を形成する。ブリッジ連結は、典型的なU字形の支持本体を製造し、これは、細いロッドとも呼ばれる。
【0010】
高純度のポリシリコンが、加熱されたロッドおよびブリッジ上に成長し、この結果として、ロッド径が時間とともに増大する(CVD=化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition)/気相成長法(gas phase deposition))。
【0011】
成長が終了した後、これらのポリシリコンロッドは、通常、様々なサイズクラスの断片を得るために、さらに機械加工によって処理され、場合によって、湿式化学精製にかけられ、最終的に収容される。
【0012】
しかしながら、ポリシリコンは、さらにロッドまたはロッド小片の形態においても処理され得る。これは、とりわけ、FZ法におけるポリシリコンの使用に当てはまる。
【0013】
さらに、別の公知の方法は、流動床反応器中において小さいシリコン粒子を直接そのような反応ガスにさらすことである。製造された多結晶シリコンは、顆粒の形態である(粒状ポリ)。
【0014】
多結晶シリコン(略してポリシリコン)は、るつぼ引き上げ(チョクラルスキー法またはCZ法)によるまたは帯域溶融(浮遊帯域法またはFZ法)による単結晶シリコンの製造において、出発材料としての役割を果たす。この単結晶シリコンは、ウェハへと分割され、多数の機械加工、化学加工および化学機械加工処理作業の後、半導体産業において電子部品(チップ)の製作に用いられる。
【0015】
しかしながら、より特定すると、多結晶シリコンは、引き上げ法または鋳造法による単結晶シリコンまたはマルチ結晶シリコンの製造のために益々必要とされており、この単結晶シリコンまたはマルチ結晶シリコンは、光発電のための太陽電池の製造に役立っている。
【0016】
ポリシリコンに対する品質要求は常に高くなっているので、一連のプロセス全体にわたる品質管理が不可欠である。材料は、例えば、金属またはドーパントによる汚染に関して分析される。バルク中の汚染は、ポリシリコンの断片またはロッドの小片の表面における汚染と区別されるべきである。
【0017】
製造されたポリシリコンは、品質管理目的のために単結晶材料へと転化するのが通例である。この場合、単結晶材料が分析される。ここでも、半導体産業における顧客のプロセスにおいて特に批判的に評価される金属汚染は、特に重要である。しかしながら、シリコンは、炭素およびドーパント(例えば、アルミニウム、ホウ素、リンおよびヒ素など)に関しても分析される。
【0018】
ドーパント(B、P、As、Al)は、多結晶材料から製造されたFZ単一結晶(SEMI MF 1723)において、SEMI MF 1398に従って、光ルミネッセンスによって分析される。
【0019】
代替法としては、低温FTIR(フーリエ変換IR分光分析)が使用される(SEMI MF1630)。
【0020】
FZ法の基本事項は、例えばDE−3007377Aに記載されている。
【0021】
FZ法において、多結晶原料ロッドが、高周波コイルを用いて徐々に溶融され、当該溶融材料が、単結晶の種結晶を用いたシーディングおよびその後の再結晶化によって単一結晶へと転化される。再結晶化の過程において、形成される単一結晶の直径は、所望の最終直径が達成される(ロッド形成)まで、最初にコーン形に増大する(コーン形成)。コーン形成段階において、単一結晶は、細い種結晶の負荷を取り除くために機械的にも支持される。
【0022】
ウェハは、多結晶シリコンロッドからFZによって製造された単結晶ロッド(SEMI MF 1723)から切り出される。小さいウェハが、引き上げられた単結晶ロッドから切り出され、HF/HNO
3でエッチングされ、18MOHm水で洗浄され、乾燥される。光ルミネッセンス測定が、このウェハにおいて実施される。
【0023】
FTIR(SEMI MF 1188、SEMI MF 1391)は、炭素濃度および酸素濃度の測定を可能にする。
【0024】
これは、多結晶ロッドから小さいウェハを切り出すステップを伴う。ウェハは、磨き上げられる。それに続いて、炭素含有量が、FTIR分光分析によって測定される。
【0025】
両方の方法(光ルミネッセンスおよびFTIR)は、排他的に、バルク中の汚染物の測定に役立つ。
【0026】
表面における汚染物は、間接的にのみ測定することができる。
【0027】
DE4137521A1には、シリコン粒子中の汚染物の濃度を分析するための方法が記載されており、この方法は、微粒子シリコンをシリコン容器に入れるステップ、浮遊帯域において当該微粒子シリコンおよび当該シリコン容器を処理して単結晶シリコンを得るステップ、および当該単結晶シリコン中に存在する汚染物の濃度を測定するステップを含む。
【0028】
使用されたシリコン容器におけるホウ素、リン、アルミニウムおよび炭素の濃度が測定され、これにより、再現可能なバックグラウンド値が得られる。
【0029】
浮遊帯域法によるFTIRによって見出されたホウ素、リンおよび炭素の値は、当該シリコン容器に由来する割合によって修正された。
【0030】
この用途において、多結晶シリコンロッドの断片化がシリコンの汚染を生じることも示されている。これは、シリコンの断片をシリコン容器に導入し、浮遊帯域法にかけ、次いで、FTIRにより汚染物を分析することによって可能である。断片化以前の基材の汚染は既知であるため、断片化に起因する追加の汚染が推断され得る。
【0031】
同様に、DE4330598A1には、粉砕プロセスに起因するシリコンの汚染を推断することを可能にする方法が開示されている。シリコンブロックが塊へと破砕され、続いて、当該シリコン塊が、帯域溶融法にかけられて単一結晶に転化された。ウェハが当該単一結晶から切り出され、光ルミネッセンスによってホウ素およびリンについて分析された。使用したシリコンブロックのホウ素およびリンの平均含有量と比較して、ホウ素およびリンの濃度の増加が見出されており、これは、粉砕プロセスなどの要因に帰する。
【0032】
しかしながら、記載されているプロセスは、粉砕プロセスだけでなく他のプロセスステップ(例えば、貯蔵、移送、清浄化、収容など)も行われる環境がシリコンの汚染に対して(とりわけこれらの表面汚染に対して)影響するという事実を考慮していない。
【0033】
試験目的の純粋に分析的なプロセスは、この意味において不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0034】
【特許文献1】独国特許出願公開第3007377号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第4137521号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第4330598号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
記載した問題が、本発明の目的のもとであった。
【課題を解決するための手段】
【0036】
この目的は、多結晶シリコンの表面汚染を測定する方法であって、
a)シーメンス反応器中において成長させることによって2つの多結晶シリコンロッドを提供するステップ;
b)当該成長の直後に2つのロッドのうちの第1のロッドにおける汚染物を測定するステップ;
c)多結晶シリコンロッドがさらにロッド小片またはポリシリコン断片を得るために処理され、場合によって、清浄化され、貯蔵されまたは収容される1つまたは複数のシステムに、第2のロッドを通すステップ;
d)次いで、第2のロッドにおける汚染物を測定するステップ
を含み、第1のロッドおよび第2のロッドにおいて測定された汚染物における違いから、システムおよびシステム環境に起因する多結晶シリコンの表面汚染が分かる方法によって達成される。
【発明を実施するための形態】
【0037】
まず、シーメンス反応器において多結晶シリコンを成長させることによって2つの多結晶シリコンロッドが提供され、これが、それぞれ2つの多結晶シリコンロッドを含むU字形状の多結晶シリコン本体となる。
【0038】
当該成長において使用される反応ガスは、通常、シリコン含有成分(好ましくはトリクロロシラン)および水素を含む。
【0039】
当該成長は、好ましくは小さい試験反応器において行われる。
【0040】
実際には、前述のU字形状の本体は、成長後に反応器から取り外され、ブリッジおよびそれぞれのロッド端部が除去されて、全く同一のバッチから2つの多結晶シリコンロッドが得られる。
【0041】
ステップa)において提供された2つの多結晶シリコンロッドは、好ましくは、成長の間、ブリッジを介して(U字形)お互いに連結されていた(兄弟ロッド)。
【0042】
小さい反応器を使用する場合、2つの多結晶シリコンロッドは、通常、長さ約20cm、直径約1.6cmであり得る。
【0043】
2つのロッドのうちの一方は、好ましくは、成長ならびにブリッジおよびロッド端部の分離の直後にPEバッグに収容される。好ましくは、2つのロッドが、それぞれPEバッグに収容される。
【0044】
この第1のロッドは、その後、汚染について分析される。
【0045】
ドーパントおよび炭素を測定することが好ましい。
【0046】
収容されたロッドが移送される分析実験室において、PEバッグからロッドを取り出し、ウェハを多結晶ロッドから分離し、FTIR分析へと送ることが好ましい。
【0048】
残りのロッドは、好ましくは、FZによって単結晶ロッドへと転化される。
【0049】
これにおいて、ドーパントの濃度が光ルミネッセンスによって測定される。
【0050】
このようにして測定されたドーパントおよび炭素の濃度の値は、第2のロッドに対する基準値としての役割を果たす。
【0051】
第2のロッドは、PEバッグから取り出された後、好ましくは、多結晶シリコンチャンクを製造するためのシステム(粉砕、収容)、および場合によって、多結晶シリコンチャンクを清浄化するシステムを通される。
【0052】
この過程において、ロッドは、当該システムを通る間に、ドーパントおよび炭素に関して汚染物を取り込む。
【0053】
清浄化システムまたは非清浄チャンクポリのための製造ラインを通った後、汚染されたロッドが、好ましくは高純度PEバッグに再び収容される。
【0054】
好ましくは、2種のラベルが、当該PEバッグに貼られる。
ラベルNo.1:元のバッチのバッチ番号のラベル(第1のロッドとの比較)
ラベルNo.2:新しいバッチ番号のラベル
【0055】
汚染されたロッドを使用して、FZによって単結晶ロッドを製造する。
【0056】
続いて、第1のロッドについて上において説明したように、光ルミネッセンスによってドーパントが測定され、FTIRによって炭素が測定される。
【0057】
第1のロッドとは対照的に、FTIRによる炭素濃度の測定は、多結晶ウェハではなく単結晶ウェハにおいて行われる。
【0058】
汚染されたロッドのFZ引き上げの過程において、炭素含有粒子が、表面からバルク中へと移行し、その結果、FTIRによる炭素測定に適するようになる。
【0059】
第1のロッドについて測定された値が、システムを通された第2のロッドの値から差し引かれる。
【0060】
第1のロッドおよび第2のロッドの間の差は、加工処理、清浄化、収容の後の多結晶シリコンの表面に帰し得る値となる。
【0061】
したがって、本発明による方法は、加工処理ステップ(例えば、粉砕、清浄化、収容など)の過程において、または輸送作業において、ポリシリコンの表面がどの程度汚染されるかを、間接的に測定することを可能にする。
【0062】
したがって、当該方法により、すべての可能な製造物(例えば、ポリシリコンロッド、カットロッドおよび様々なサイズクラスのポリシリコンチャンク(エッチング済みまたは未エッチング))の表面汚染物が分かる。
【0063】
当該方法は、表面汚染に関して、個々の製造ステップの監視および最適化も可能にする。
【0064】
例えば、第2のロッドは、清浄化システムだけまたは粉砕システムだけを通され得る。この場合、当該方法により、粉砕システムおよびその環境からの、または清浄化システムおよびその環境からの表面汚染に対する影響が別々に分かる。このことは、ポリシリコンの収容またはあるシステムから別のシステムへのポリシリコンの移送にも当てはまる。
【0066】
試験のために、12枚のプロセス皿に12本のロッドを入れて、同時に清浄化システムを通した。
【0067】
続いて、ドーパント濃度を光ルミネッセンスによって測定した。
【0068】
理論的に、当該12本の兄弟ロッドは、それらが異なるバッチに由来していても、同じ条件下で同時に清浄化システムを通されたために、ホウ素、リン、アルミニウムおよびヒ素について同じ分析値を有するはずである。
【0069】
表1は、ホウ素、リン、アルミニウムおよびヒ素について測定された値をppta表示において示している。
【0070】
第1のロッドについて測定された値を、システムを通した第2のロッドの値から差し引いた。
【0072】
以下の再現性および検出限界を見積った。
ホウ素
再現性:+/−5ppta
検出限界:5ppta
リン
再現性:+/−5ppta
検出限界:5ppta
アルミニウム
再現性:+/−0.25ppta
検出限界:1ppta
ヒ素
再現性:+/−0.5ppta
検出限界:5ppta
【0073】
本発明による方法は、シリコン表面における炭素粒子の含有量を、+/−10ppbaの再現性で10ppbaの検出限界において測定するためにも使用することができる。
【実施例】
【0074】
実施例は、第2のロッドを清浄化システムに通す方法、次いでドーパント濃度の分析方法を示している。第1のロッド(成長後のU字形状本体からの、第2のロッドの兄弟ロッド)を、光ルミネッセンスによってドーパントについて上に説明したように分析した。
【0075】
第2のロッド(長さ20cm、直径1.6cm)が収容されているPEバッグを、ハサミで、好ましくはセラミック製のハサミで切り開く。手作業のためのウルトラクリーングローブを使用して、ロッドを取り出す。続いて、当該ロッドをプロセス皿に入れる。
【0076】
適切なウルトラクリーングローブ(PE−Tyvek(登録商標)グローブ)が、US2011−0083249において開示されており、当該文献を参照により本明細書に組み込む。DuPontからのTyvek(登録商標)は、熱で溶接された高密度ポリエチレン(HDPE)の繊維で構成された、ペーパーウェブ様の繊維質の機能性織物である。
【0077】
ロッドを入れたプロセス皿を清浄化システムに通す。
【0078】
この過程において、シリコンロッドが、予備精製において、化合物フッ化水素酸(HF)、塩酸(HCl)、および過酸化水素(H
2O
2)を含有する酸化性清浄液によって洗浄される。主な清浄化作業において、ロッドが、硝酸(HNO
3)およびフッ化水素酸(HF)を含む清浄液によって洗浄される。続いて、当該ロッドが、酸化性清浄液によって洗浄され、その結果、親水化される。清浄化処理に関して、EP0905796B1を参照により完全に組み込む。
【0079】
ロッドは、清浄化された後、乾燥され、冷却後、ウルトラクリーングローブによって、好ましくはPE−Tyvek(登録商標)グローブによって取り扱われ、高純度PEバッグに収容され、密封される。
【0080】
以下の2つのラベルがPEバッグに貼られる。
ラベルNo.1:元のバッチのバッチ番号のラベル(第1のロッドの測定との比較を可能にする)
ラベルNo.2:新しいバッチ番号のラベル
【0081】
汚染されたロッドをFZによって処理し、単結晶ロッドを得る。上に説明したように、光ルミネッセンスによってドーパントを測定する。同様に、FTIRによって炭素を分析することも可能である。
【0082】
第1のロッドについて測定されたホウ素、リン、アルミニウム、およびヒ素のドーパントの値が、第2のロッドの対応する値から差し引かれる。
【0083】
第1のロッドおよび第2のロッドの間の差から、ポリシリコンの表面に起因し得る値が得られる。
【0084】
表2は、ホウ素、リン、アルミニウムおよびヒ素の表面汚染に対して測定された差を示している。
【0085】
【表2】