特許第5722397号(P5722397)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5722397
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】電気的接続端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/34 20060101AFI20150430BHJP
【FI】
   H01R4/34
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-162220(P2013-162220)
(22)【出願日】2013年8月5日
(62)【分割の表示】特願2010-529356(P2010-529356)の分割
【原出願日】2008年10月14日
(65)【公開番号】特開2013-258154(P2013-258154A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2013年9月4日
(31)【優先権主張番号】07/07214
(32)【優先日】2007年10月15日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】510105617
【氏名又は名称】エルドール
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(72)【発明者】
【氏名】ユブリエール フィリペ
(72)【発明者】
【氏名】アモン ファブリス
【審査官】 前田 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−019372(JP,A)
【文献】 特公昭45−017107(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/18−4/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリル穴(104)をもつ導電性プレート(102);
軸方向に穴(426)が貫通する第1の小さなカラム(420)及び
軸方向に穴(416)が貫通する第2の小さなカラム(406)であって、導電性プレート(102)の一方の面と当接状態になるよう意図された肩部(412)と、第1の小さなカラム(420)の穴(426)に入れることのできる半径、及び肩部(412)が当接状態にあるときに自由端が導電性プレート(102)を越えて突出するような長さの第1の円筒(408)と、を含み、第1の円筒(408)の自由端が、第1の小さなカラム(420)の穴(426)における半径方向の膨張、次いで、軸方向の圧縮によりクリンプされる、第2の小さなカラム(406);
を備えた電気的接続アッセンブリ(400)において
前記第1の小さなカラム(420)は、導電性プレート(102)の他方の面と当接状態になるよう意図された肩部(422)を含み、
前記第2の小さなカラム(406)は、ドリル穴(104)に入れることのできる半径の第2の円筒(410)を含み、
前記第2の円筒(410)の長さは、導電性プレート(102)の厚みより大きく、そして第1の小さなカラム(420)の肩部(422)は、それを軸方向に貫通する穴(430)を有し、その半径は、第2の円筒(410)に嵌合させることができるものであり、
前記第1の小さなカラム(420)は、組み立てられた位置において、第2の小さなカラムの第2の円筒(410)と当接状態にある円筒(424)を含む、
ことを特徴とする電気接続アッセンブリ(400)。
【請求項2】
前記第1の小さなカラム(420)の穴(426)は、クリンプ側において傾斜される、請求項1に記載の電気接続アッセンブリ(400)。
【請求項3】
請求項1から2のいずれか1つに記載の接続アッセンブリ(400)を製造するためのツールであって、中空くぼみ(512)が開けられた本体(504)を含む第1部分(501)と、中空くぼみ(512)に入るように設計されたパンチ(514)が形成された本体(506)を含む第2部分(502)とを備えたツールにおいて、前記パンチ(514)が溝付きゾーンにより本体(506)に固定されることを特徴とするツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的接続アッセンブリ及びそのようなアッセンブリを製造するためのツールに係る。
【背景技術】
【0002】
電気的ボックスでは、電気導体として働く導電性プレートが、種々の電力用電子部品、例えば、ケーブル、サーキットブレーカー、等を一緒に接続できるようにする。導電性プレートの長さ及びそれを取り巻く要素の製造公差のために、ある電気部品は、導電性プレートからある距離に位置され、それに接触しないようにされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の1つの目的は、従来技術の欠点がなく、特に、導電性プレート及び電気部品を接触させることのできる電気接続アッセンブリを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的のために、次のもの、即ち、
− ドリル穴をもつ導電性プレート、及び
− 軸方向に穴が貫通する小さなカラムであって、導電性プレートと当接状態になるよう意図された肩部と、ドリル穴に入れることのできる半径、及び肩部が当接状態にあるとき自由端が導電性プレートを越えて突出するような長さの円筒と、を含む小さなカラム、を備えた電気的接続アッセンブリにおいて、前記円筒の自由端が、半径方向の膨張、次いで、軸方向の圧縮によりクリンプされることを特徴とする電気接続アッセンブリが提案される。
【0005】
クリンプ側においてドリル穴が傾斜されるのが好都合である。
【0006】
又、本発明は、次のもの、即ち、
− ドリル穴をもつ導電性プレート、
− 軸方向に穴が貫通する第1の小さなカラムであって、導電性プレートの一方の面と当接状態になるよう意図された肩部を含む第1の小さなカラム、及び
− 軸方向に穴が貫通する第2の小さなカラムであって、導電性プレートの他方の面と当接状態になるよう意図された肩部と、第1の小さなカラムの穴に入れることのできる半径、及び肩部が当接状態にあるときに自由端が導電性プレートを越えて突出するような長さの第1の円筒と、ドリル穴に入れることのできる半径の第2の円筒と、を含む第2の小さなカラム、
を備えた電気的接続アッセンブリにおいて、第1の円筒の自由端が、第1の小さなカラムの穴における半径方向の膨張、次いで、軸方向の圧縮によりクリンプされることを特徴とする電気接続アッセンブリが提案される。
【0007】
第1の小さなカラムの穴は、クリンプ側において傾斜されるのが好都合である。
【0008】
特定の実施形態によれば、第1の小さなカラムは、ドリル穴に入れることのできる半径の中空円筒を備えている。
【0009】
中空円筒及び第2の円筒の長さは、第1の小さなカラムの肩部及び第2の小さなカラムの肩部が導電性プレートと当接状態にあるときに、中空円筒及び第2の円筒が互いに当接状態になるような長さであるのが好都合である。
【0010】
特定の実施形態によれば、第2の円筒の長さは、導電性プレートの厚みより大きく、そして第1のカラムの肩部は、それを軸方向に貫通する穴を有し、その半径は、第2の円筒に嵌合させることができるものである。
【0011】
又、本発明は、中空くぼみが開けられた本体を含む第1部分と、中空くぼみに入るように設計されたパンチが形成された本体を含む第2部分とを備えたツールにおいて、パンチが溝付きゾーンにより本体に固定されることを特徴とするツールも提案する。
【0012】
上述した本発明の特徴及び他のものは、添付図面を参照した一実施形態の以下の詳細な説明を読むことにより明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1a】本発明の第1の実施形態により電気的接続アッセンブリを組み立てるステップを示す。
図1b】本発明の第1の実施形態により電気的接続アッセンブリを組み立てるステップを示す。
図1c】本発明の第1の実施形態により電気的接続アッセンブリを組み立てるステップを示す。
図2】変形実施形態による導電性プレートを示す。
図3a】本発明の第2の実施形態により電気的接続アッセンブリを組み立てるステップを示す。
図3b】本発明の第2の実施形態により電気的接続アッセンブリを組み立てるステップを示す。
図4a】本発明の第3の実施形態により電気的接続アッセンブリを組み立てるステップを示す。
図4b】本発明の第3の実施形態により電気的接続アッセンブリを組み立てるステップを示す。
図5a】本発明によるツール2つの部分を示す。
図5b】本発明によるツール2つの部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1aは、組み立てられていない導電性プレート102及び少なくとも1つの小さなカラム106を含む電気的接続アッセンブリ100を示す。
【0015】
接続アッセンブリ100は、電気的ボックスに設置されるように意図される。導電性プレート102は、電気的ボックスに固定され、そして電気部品は、その電気部品と導電性プレート102との間の距離に基づいて導電性プレート102又は小さなカラム106の1つと接触状態になるように電気的ボックスに固定される。即ち、電気部品を設置した後に電気部品が導電性プレート102に接触する場合には、小さなカラム106設ける必要がないが、電気部品を設置した後に電気部品が導電性プレート102に接触しない場合には、小さなカラム106を設ける必要がある。
【0016】
導電性プレート102は、小さなカラム106を受け入れるように意図されたドリル穴104を有する。このために、小さなカラム106は、円筒108を備え、その半径は、それをドリル穴104に入れることのできるものである(図1b)。小さなカラム106は、中空であり、穴114が軸方向に貫通している。
【0017】
小さなカラム106の肩部110は、小さなカラム106を導電性プレート102に対して当接して停止させる。円筒108の長さは、肩部110が当接したときに、円筒108の自由端が導電性プレート102を越えて突出するような長さである。
【0018】
図1cは、導電性プレート102に対して小さなカラム106をクリンプした後の接続アッセンブリ100を示している。クリンプは、小さなカラム106の円筒108の自由端を半径方向に膨張させ、次いで、それを軸方向に圧縮させることにより行われる。軸方向に圧縮した後に、小さなカラム106のクリンプ端は、導電性プレート102と平坦になる。
【0019】
以下に述べるツールは、小さなカラム106がドリル穴104へ導入される側とは反対側に配置された端を通して穴114へ導入される。ツールは、第1の円筒108の自由端に半径方向の膨張力を作用させ、且つ導電性プレート102の面に対してそれを圧縮するように設計される。
【0020】
クリンプは、第1の円筒での軸方向圧縮だけではなく、半径方向の膨張、次いで、軸方向の圧縮によっても行われる。このクリンプは、単純な軸方向クリンプとは異なり、完全に保持され且つ引き抜きが困難な小さなカラム106を得ることができるようにする。
【0021】
小さなカラム106の外面112は、導電性プレート102の面からある距離にあり、電気部品と接触させることができる。
【0022】
穴114は、電気部品を保持するスクリューのための固定穴として働くことができる。
【0023】
図2は、別の実施形態による導電性プレート202、特に、例えば、1mm未満の薄い導電性プレートを示す。この導電性プレート202は、クリンプ側で傾斜されたドリル穴204を有する。この傾斜は、小さなカラムの半径方向膨張を受け入れる。
【0024】
図3aは、第2の実施形態に基づく電気的接続アッセンブリ300を非組み立て状態で示す。図3bは、接続アッセンブリ300を組み立て状態で、しかし、非クリンプ状態で示す。
【0025】
接続アッセンブリ300は、ドリル穴104をもつ導電性プレート102と、この導電性プレート102の一方の面に接触される第1の小さなカラム320と、導電性プレート102の他方の面に接触される第2の小さなカラム306と、を備えている。
【0026】
第1の小さなカラム320は、傾斜部328を有する穴326が軸方向に貫通し、又、円筒322及び肩部324を備えている。
【0027】
第2の小さなカラムは、穴316が軸方向に貫通し、第1の円筒308と、第2の同軸円筒310と、第2の小さなカラム306を導電性プレート102に対して停止するように意図された肩部312と、を順次に備えている。
【0028】
第1の小さなカラム320の円筒322は、ドリル穴104に入ることのできる半径を有する(図3b)。導電性プレート102に対する第1の小さなカラム320の停止は、肩部324の当接により行われる。円筒322の長さは、ここでは、導電性プレート102の厚みより小さい。
【0029】
第1の円筒308の半径は、第1の小さなカラム320の穴326に入ることができるようにされる。第2の円筒310の半径は、ドリル穴104に入ることができるようにされる。第1の小さなカラム320の円筒322の長さ及び第2の円筒310の長さは、第1の小さなカラム320の肩部324及び第2の小さなカラム306の肩部312が導電性プレート102に当接したときに、円筒322及び第2の円筒310が互いに当接するようになる長さである。
【0030】
第1の円筒308の長さは、接続アッセンブリ300が組み立てられたときに(図3b)、第1の円筒308の自由端が第1の小さなカラム320の外面を越えて突出するような長さである。次いで、第2の小さなカラム306は、第1の実施形態によれば、第1の円筒308の自由端を傾斜部328において半径方向に膨張させ、次いで、それを軸方向に圧縮させることにより、第1の小さなカラム320においてクリンプされる。
【0031】
このようにして形成された接続端300は、各小さなカラム320、306の外面330、318に接触部を得て、これら面318、330の各々に電気部品を接触させることができる。
【0032】
図4aは、第3の実施形態による電気的接続アッセンブリ400を非組み立て状態で示す。図4bは、接続アッセンブリ400を組み立て状態で、しかし、非クリンプ状態で示す。
【0033】
この接続アッセンブリ400は、ドリル穴104をもつ導電性プレート102と、この導電性プレート102の一方に面に接触される第1の小さなカラム420と、導電性プレート102の他方の面に接触される第2の小さなカラム406とを備えている。
【0034】
第1の小さなカラム420は、円筒424と、導電性プレート102に当接するように意図された肩部422とを備えている。円筒424は、傾斜部428を有する穴426が軸方向に貫通している。肩部422は、穴430が軸方向に貫通している。
【0035】
第2の小さなカラム406は、穴416が軸方向に貫通し、第1の円筒408と、第2の同軸円筒410と、第2の小さなカラム406を導電性プレート102に対して停止するように意図された肩部412と、を順次に備えている。
【0036】
第2の円筒410の半径は、これをドリル穴104に入れることができるようにされる(図4b)。第2の円筒410の長さは、導電性プレート102の厚みより大きい。
【0037】
肩部422の穴430の半径は、第1の小さなカラム420を第2の円筒410に嵌合できるものとされる。第1の円筒408の半径は、円筒424の穴426に入れることができるようにされ、そしてその長さは、接続アッセンブリ400が組み立てられたときに(図4b)、その自由端が第1の小さなカラム420の外面を越えて突出するような長さとされる。
【0038】
組み立てられた位置において、第2の円筒410は、円筒424に当接され、そして肩部422及び412は、導電性プレート102の各側に当接される。
【0039】
次いで、第2の小さなカラム406は、第1の実施形態によれば、第1の円筒408の自由端を傾斜部428において半径方向に膨張させ、次いで、それを軸方向に圧縮させることにより、第1の小さなカラム420においてクリンプされる。
【0040】
このようにして形成された接続アッセンブリ400は、各小さなカラム420、406の外面432、418に接触部を得て、これら面432、418の各々に電気部品を接触させることができる。
【0041】
図5aは、本発明による接続アッセンブリ100、300、400のクリンプを行うように意図されたツールの第1部分501を示し、そして図5bは、同じツールの第2部分502を示す。
【0042】
第1部分501は、マシンのジョーに固定されるように意図されたシュー508を一端に支持し且つ中空くぼみ512を他端に保持する円筒状本体504を備えている。
【0043】
第2部分502は、マシンのジョーに固定されるように意図されたシュー510を一端に支持し且つパンチ514を他端に支持する円筒状本体506を備えている。
【0044】
くぼみ512は、パンチ514に面して配置され、そしてマシンは、第1部分501及び第2部分502を互いに接近させるように設計される。
【0045】
クリンプされるべきカラムは、第1部分501の本体504に嵌合され、そして導電性プレート及びおそらくは他方の小さなカラムが、くぼみ512を保持する面に置かれる。
次いで、パンチ514がくぼみ512に接近され、その形状により、カラムの半径方向膨張、次いで、その軸方向圧縮を生じさせる。
【0046】
パンチ514は、溝付きゾーンによって本体506に固定され、くぼみ512へ接近移動することにより、小さなカラムの端を半径方向に移動させる。次いで、本体506の端が、このように移動された自由端を圧縮させる。
【0047】
1つ又は2つのカラムを嵌合させることで、電気部品との距離の問題を管理することができ、半径方向膨張による特定のクリンプが、導電性プレートに対する各小さなカラムの良好な機械的強度及び良好な電気的接触を保証する。
【0048】
種々の要素の寸法は、クリンプの後に、それらの間に並進移動が生じないような寸法である。
【符号の説明】
【0049】
100:電気的接続アッセンブリ
102:導電性プレート
104:ドリル穴
106:小さなカラム
108:円筒
110:肩部
112:外面
114:穴
202:導電性プレート
204:ドリル穴
300:電気的接続アッセンブリ
306:第2の小さなカラム
308:第1の円筒
310:第2の円筒
312:肩部
320:第1の小さなカラム
322:円筒
324:肩部
328:傾斜部
400:電気的接続アッセンブリ
406:第2の小さなカラム
408:第1の円筒
410:第2の円筒
412:肩部
416:穴
420:第1の小さなカラム
422:肩部
424:円筒
428:傾斜部
501:第1部分
502:第2部分
504、506:円筒状本体
508、510:シュー
512:中空くぼみ
514:パンチ
図1a
図1b
図1c
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b