(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
患者の腹部にガスを吹込む、即ち患者の腹部をガスで膨張させる腹腔鏡手順では、腹部に吹込まれるガスを通すデバイス(第1エントリデバイスとも呼ぶ)を配置する。腹膜が臓器床(organ bed) と触接的に接触しているため、腹膜を穿通するデバイスは、腹膜の下にある臓器床を損傷する場合がある。これに続いてデバイスを配置する工程は、腹部にガスを吹込むことによって、腹部がガスで充填された空間の上方に即ち臓器床の上方に持ち上げられるため、危険性が小さい。これによって誤って臓器床を損傷する危険を低減する。
【0004】
腹腔鏡手術で気腹状態を達成するのに幾つかの技術が使用される。第1の技術は、先の尖ったニードルであるベレスニードルを使用する技術である。ベレスニードルは、目視なしで腹壁を通して腹腔内に配置される。次いで、吹込みガス、例えばCO
2を中空のベレスニードルを通して腹腔内に圧送し、これによって腹膜腔にガスを吹込む。ベレスニードル技術は、コントロールドスタッブ(controlled stab) としても周知であり、腸管等の臓器を損傷する場合がある。この技術は、外科医に対し、解剖学的構造に対する損傷が生じたことをほとんど又は全くフィードバックしない。
【0005】
第2の技術は、ハッサン技術(Hassan technique)として周知であり、外科医は、腹層を通して腹腔内にミニラパロトミー(小切開創開腹術)を行い、この切開創を通してトロカールを挿入し、腹部にガスを吹込む。ハッサン技術はカットダウン(cut-down)技術であり、腹部に比較的大きな傷を形成し、患者の瘢痕を大きくする。この技術は、更に、腹壁が非常に厚い肥満症の患者では実施困難である。
【0006】
第3の技術では、外科医はトロカールを目視下で配置し、トロカールを腹壁を通して配置するときにトロカールのオブチュレータ内に配置された腹腔鏡を通して腹層を見えるようにする。オブチュレータのチップは、カニューレを配置し、気腹状態を形成するとき、腹腔の臓器床内に約2cm(約0.75インチ)穿通する。
【0007】
第4の技術では、腹壁を通してトロカールを前進するときに腹層が見えるようにする。
オブチュレータのチップが腹膜を穿通すると直ぐに、トロカールシステムによって、オブチュレータのチップに配置されたベント穴を通してガスを体腔内に圧送する。第4の技術は、真空解放を使用し、これにより臓器を腹壁から落として遠ざけ、腹腔内にオブチュレータチップ用の空間を形成する。従って、この空間内への穿通を最小にして腹腔を膨らますことができる。オブチュレータのチップが腹膜を穿通すると直ぐに、ガスがオブチュレータのチップのベント穴を通って腹腔に進入し、これによって、外科医が腹壁を持ち上げることによって生じる負圧を低減し、臓器床の上方に空間を形成し、この空間内にトロカールシステムが一杯に挿入される。オブチュレータ内には、腹腔鏡が所定の場所にあろうとなかろうと、ガス密シールを提供するシールが配置されている。オブチュレータのチップのベント穴により、水分及び組織をオブチュレータに入れることができる。しかしながら、これはオブチュレータチップ内の視野を曇らせる。オブチュレータ内の腹腔鏡を通って直接的に流れるガスは、腹腔鏡を冷却し、これによってそのレンズを曇らせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
カニューレを体腔に挿入する前に体腔にガスを吹込むことができるシステム、デバイス、及び方法を提供する。アクセスシステムの幾つかの実施例は、オブチュレータ、トロカール、及び流体流れチャンネルを含む。アクセスシステムは、このアクセスシステムの遠位端が流体流れチャンネルから流動学的に遮断された閉鎖形態と、アクセスシステムの遠位端が流体流れチャンネルに流動学的に連結され、これにより例えば吹込みガス等の流体を体腔に流入できる開放形態とを有する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、幾つかの実施例は、手術用吹込みアクセスシステム、及びこの手術用吹込みアクセスシステムを使用して体腔にガスを吹込むための方法を提供する。手術用吹込みアクセスシステムの幾つかの実施例は、トロカール及びオブチュレータを含み、トロカールは、近位端及び遠位端と、トロカールの近位端に配置された、機器シールを含むトロカールシールアッセンブリと、トロカールの遠位端に配置された、内腔、開放した近位端、及び開放した遠位端を形成するチューブ状の壁を含む細長いカニューレと、長さ方向軸線を形成し、トロカールシールアッセンブリ及びカニューレの内腔を通ってトロカールの近位端からトロカールの遠位端まで延びるアクセスチャンネルと、トロカールの近位端に配置された流体ポートと、アクセスチャンネルに配置された流体流れシールとを含み、オブチュレータは、近位端及び遠位端を含む細長い本体と、遠位端に配置された組織穿通チップと、近位端に配置されたハンドルとを含み、オブチュレータは、アクセスチャンネルの近位端に摺動自在に挿入でき、オブチュレータのチップは、カニューレに一杯に挿入したとき、カニューレの開放した遠位端の外に延び、流体流れチャンネルがトロカールの流体ポートに流動学的に連結されており、吹込みアクセスシステムの遠位端まで延びている。アクセスチャンネル内のオブチュレータは、オブチュレータの本体が流体流れシールと密封接触し、これによってガスが流体流れチャンネルを通って流れないようにする閉鎖位置と、オブチュレータの本体が流体流れシールと密封接触せず、これによって流体が流体流れチャンネルを通って流れることができる開放位置とを含む。
【0010】
幾つかの実施例では、トロカールシールアッセンブリは、更に、ゼロシールを含む。
【0011】
幾つかの実施例では、カニューレの遠位端は、角度をなしたチップを含む。
【0012】
幾つかの実施例では、流体ポートは、トロカールシールアッセンブリに配置されている。
【0013】
幾つかの実施例では、流体流れシールは、カニューレの遠位端に配置されたカニューレチップと一体である。幾つかの実施例では、流体流れシールは、カニューレの遠位端の近位側に配置されている。幾つかの実施例では、流体流れシールは、軸線チャンネルの長さ方向軸線に対して実質的に垂直である。幾つかの実施例では、流体流れシールは、軸線チャンネルの長さ方向軸線に対して垂直でない。
【0014】
幾つかの実施例では、オブチュレータは、更に、機器ウェルを含み、この機器ウェルは、オブチュレータの近位端のところで開放しており、オブチュレータの本体を通って長さ方向に延び、オブチュレータのチップのところで終端し、腹腔鏡を内部に受け入れるような寸法を有し、オブチュレータのチップの少なくとも一部が透明である。幾つかの実施例では、更に、腹腔鏡を含む。
【0015】
幾つかの実施例では、流体流れチャンネルは、カニューレの内腔及びオブチュレータの本体によって形成された空間を含む。幾つかの実施例では、流体流れチャンネルは、オブチュレータの本体内に配置された機器ウェルを含む。幾つかの実施例では、流体流れチャンネルは、オブチュレータの本体に配置された少なくとも一つの近位開口部及び少なくとも一つの遠位開口部を含む。幾つかの実施例では、流体流れチャンネルは、オブチュレータの本体に配置されたスロットを含む。
【0016】
幾つかの実施例では、閉鎖位置では、オブチュレータは、アクセスチャンネル内で、開放位置と比較して遠位方向に変位されている。幾つかの実施例では、閉鎖位置では、オブチュレータは、アクセスチャンネル内で、開放位置と比較して近位方向に変位されている。幾つかの実施例では、閉鎖位置では、オブチュレータは、アクセスチャンネル内で、開放位置と比較して回転されている。
【0017】
体腔にガスを吹込むための方法の幾つかの実施例では、オブチュレータを閉鎖位置に位置決めする工程と、流体ポートを吹込みガス源に流動学的に連結する工程と、組織穿通チップを所望の位置に位置決めする工程と、組織穿通チップを、体壁を通して、チップが体腔に進入するまで前進する工程と、オブチュレータを開放位置に位置決めし、流体ポートを流体流れチャンネルを通して体腔に流動学的に連結し、これによって体腔にガスを吹込む工程とを含む。
【0018】
幾つかの実施例では、穿通チップの位置を腹腔鏡を通して視覚的にモニターする工程を含む。
【0019】
幾つかの実施例は、手術用吹込みアクセスシステムにおいて、トロカール及びオブチュレータを含み、トロカールは、近位端及び遠位端と、トロカールの近位端に配置された、機器シールを含むトロカールシールアッセンブリと、トロカールの遠位端に配置された、内腔、開放した近位端、及び開放した遠位端を形成するチューブ状の壁を含む細長いカニューレと、長さ方向軸線を形成し、トロカールシールアッセンブリ及びカニューレの内腔を通ってトロカールの近位端からトロカールの遠位端まで延びるアクセスチャンネルと、トロカールの近位端に配置された流体ポートとを含み、オブチュレータは、近位端及び遠位端を含む細長い本体と、遠位端に配置された組織穿通チップと、近位端に配置されたハンドルとを含み、オブチュレータは、アクセスチャンネルの近位端に摺動自在に挿入でき、オブチュレータのチップは、カニューレに一杯に挿入したとき、カニューレの開放した遠位端の外に延び、ガス流チャンネルがトロカールの流体ポートに流動学的に連結されており、吹込みアクセスシステムの遠位端まで延びており、更に、ガス流チャンネルを通過するガス流を調節するための手段を含む、手術用吹込みアクセスシステムである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1Aは、トロカール110及びこのトロカール110に摺動自在に挿入できるオブチュレータ160を含む吹込みアクセスシステム100の一実施例の斜視図である。吹込みアクセスシステム100は、更に、以下に更に詳細に論じる流体流れチャンネルを含む。
トロカール110及びオブチュレータ160は、適当な生体親和性材料で形成されている。
【0022】
図1Bは、トロカール110の部分断面斜視図であり、
図1Cはその部分側断面図である。トロカール110は、近位端112及び遠位端114を含む。トロカールシールアッセンブリ120がトロカール110の近位端112に配置されており、細長いカニューレ130がトロカールシールアッセンブリ120から延びており、トロカール110の遠位端114に配置されている。アクセスチャンネル116が、トロカール110の近位端112から遠位端114までトロカールシールアッセンブリ120及びカニューレ130を通って延びている。アクセスチャンネル116は長さ方向軸線を形成する。幾つかの実施例では、トロカールシールアッセンブリ120及びカニューレ130は一体であるが、他の実施例では、トロカールシールアッセンブリ120及びカニューレ130は別々の構成要素であり、幾つかの実施例では、取り外し自在に連結されている。
【0023】
例示の実施例では、トロカールシールアッセンブリ120は、トロカールシールハウジング126内のアクセスチャンネル116に配置された第1シール122及び第2シール124を含む。第1シール122は機器シールであり、これを通って延びる器具と実質的に流体密のシールを形成し、これによって流体がトロカール110の近位端112から漏出しないようにする。幾つかの実施例では、第1シール122は隔壁シールを含む。第2シール124はゼロシールであり、これを通って延びる器具がなくても流体密のシールを形成し、流体がトロカール110の近位端112から漏出しないようにする。幾つかの実施例では、第2シール124は、ダックビルバルブ、ダブルダックビルバルブ、及び/又はフラップバルブである。第2シール124は、幾つかの実施例では随意である。例えば、幾つかの実施例では、第1シール122は機器シール及びゼロシールの両方を提供し、例えば、ゲル材料でできたバルブである。他の実施例はゼロシールを備えていない。幾つかの実施例では、第1シール122及び第2シール124は、例えばゴム、合成ゴム、シリコーン、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、エチレンプロピレンコポリマー(EPゴム)、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリウレタン、スチレン−ブタジエン、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリクロロプレン(ネオプレン(Neoprene)の登録商標)、ペルフルオロエラストマー(カルレッツ(Kalrez)の登録商標)、等のエラストマーでできている。
【0024】
カニューレ130は、トロカールシールアッセンブリ120が配置された近位端及びチップ132で終端する遠位端を含む。例示の実施例では、カニューレのチップ132は角度をなしており、ベベル状縁部を備えている。角度をなしたチップ132は、組織を通した挿入を容易にする。他の実施例では、チップ132は角度をなしていない。カニューレ130は、近位端及び遠位端が開放した中空チューブを含む。この中空チューブは内腔134を形成し、この内腔を通ってアクセスチャンネル116が延びる。一つ又はそれ以上の随意のベント136がカニューレ130の遠位端の近くに設けられている。例示の実施例では、カニューレ130は全体に円形の断面を備えているが、楕円形、長円形、菱形、正方形、多角形、等の他の適当な断面を持つ様々な実施例があるということは当業者には理解されよう。
【0025】
流体流れシール140がカニューレ130の内腔内に中空チューブの内壁に配置されている。流体流れシール140は、以下に更に詳細に論じるように、オブチュレータの本体162と密封接触するように位置決めされており、寸法が定められており、形成されている。例示の実施例では、流体流れシール140は、チップ132即ちカニューレの遠位端の近くに配置されている。流体流れシール140は、トロカール110の長さ方向軸線に対して実質的に垂直であり、及び従って、例示の実施例では全体に円形である。他の実施例では、流体流れシール140は別の位置に配置される。例えば、幾つかの実施例では、流体流れシール140はカニューレのチップ132のところに配置され、又はチップ132と一体化されているか或いは、チップ132と隣接して離間され、又は最遠位端のチップ132から僅かに内方に設けられる。これらの実施例のうちの幾つかの実施例では、チップ132はトロカール110の長さ方向軸線に対して垂直でなく、流体流れシール140もまた長さ方向軸線に関して垂直方向以外の角度をなしており、及び従って、円形でなく長円形又は楕円形をなしている。幾つかの実施例では、流体流れシール140及びチップ132は長さ方向軸線に関してほぼ同じ角度をなすのに対し、他の実施例では、流体流れシール140及びチップ132は、長さ方向軸線に関して異なる角度をなす。流体流れシール140の幾つかの実施例は、複数の副シールを備えており、これらの副シールは、幾つかの実施例ではほぼ同じ位置に配置されており、他の実施例では複数の位置に配置されている。流体流れシール140は、例えば、ゴム、合成ゴム、シリコーン、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、エチレンプロピレンコポリマー(EPゴム)、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリウレタン、スチレン−ブタジエン、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリクロロプレン(ネオプレン(Neoprene)の登録商標)、ペルフルオロエラストマー(カルレッツ(Kalrez)の登録商標)のうちの少なくとも一つ等の適当なエラストマーで形成される。
【0026】
流体ポート150がトロカールシールアッセンブリ120のハウジング126に配置されており、第1シール122及び第2シール124の遠位側のアクセスチャンネル116に流動学的に連結されている。流体ポート150は、例示の実施例ではストップコックを備えており、流体源及び/又は吸引源に連結できる継手、例えばルアー継手で終端する。
他の実施例では、流体ポート150は別の位置に設けられていてもよく、例えば、カニューレ130やオブチュレータ160に設けられていてもよい。流体ポート150の実施例は、吹込みガス、例えば二酸化炭素等を流体ポート150を通して導入し、及び/又はベントする上で有用である。他の実施例では、この他の流体の導入及び/又はベントが行われる。
【0027】
トロカール110は、代表的には、様々な直径の、例えば最大約5mm、最大約8mm、最大約11mm、最大約12mm、又は最大約15mmの直径の器具を受け入れる所定範囲の大きさで製造される。トロカール110の実施例は、作用カニューレ長が約55mm、約75mm、約100mm、又は約150mmである。
吹込みアクセスシステム100の側断面図である
図1Dで最もよくわかるように、オブチュレータ160は、近位端がハンドル164で終端し、遠位端が組織穿通チップ166で終端する細長い本体162を含む。チップ166の直径は、その近位端から遠位端まで先細になっている。オブチュレータ160の本体162及びチップ166は、トロカール110の近位端を通してアクセスチャンネル116に摺動自在に挿入でき、アクセスチャンネル116から取り出すことができる。一杯に挿入した形態では、オブチュレータ160のチップ166は、カニューレ130の遠位端即ちチップ132の外に延びている。トロカールシールアッセンブリ120の第1シール122は、カニューレの本体162とともに機器シールを形成し、これによって、流体がアクセスチャンネル116の近位端から実質的に漏れないようにする。例示の実施例では、本体162は中空機器ウェル168を含む。中空機器ウェル168は、オブチュレータ160の近位端のハンドル162のところで開放しており且つオブチュレータ160のチップ166まで延びる。機器ウェル168は、その近位開口部を通して腹腔鏡を受け入れる寸法を備えている。腹腔鏡は、一杯に挿入された場合には、その一端がオブチュレータ160の本体162を通ってチップ166内に又はチップの近位側まで延びる。例示の実施例では、チップ166は少なくとも一つの透明な部分又はウィンドウを備えた部分を備えており、これを通して腹腔鏡がチップ166の近位側の組織を撮影する。これは、例えば、体腔内へのアクセスシステム100の挿入中にチップ166の位置をモニターするためである。チップ166の幾つかの実施例は、マーカー又は別の種類の視認性を高める又は容易にする特徴を含む。これにより組織及び体腔の視認を補助し、及びかくして、身体を通したチップ166の横断を補助する。幾つかの実施例では、腹腔鏡を機器ウェル168に一杯に挿入することによって、腹腔鏡が曇らないようにし、又は腹腔鏡の曇りを低減する。従って、幾つかの実施例は、腹腔鏡の遠位端にシール、メンブレン、又はロックのうちの少なくとも一つを含み、これにより腹腔鏡を一杯に又はほぼ一杯に挿入した位置に保持し、曇りをなくすか或いは低減し、腹腔鏡の視認領域に対するこの他の種類の妨害をなくすか或いは低減する。
【0028】
図1Eは、吹込みアクセスシステム100の閉鎖形態での側断面図であり、
図1Fは、吹込みアクセスシステム100の開放形態での側断面図である。カニューレ130の内腔134及びオブチュレータ160の本体162は、その間に流体流れチャンネル180を形成する。この流体流れチャンネル180は、アクセスチャンネル116内で長さ方向に延びる。流体流れチャンネル180の近位端182は、流体ポート150に流動学的に連結されている。流体流れチャンネル180の遠位端184は、アクセスシステム100の遠位端まで延びており、アクセスシステム100の遠位端は、例示の実施例では、カニューレのチップ132を含む。例示の実施例では、カニューレの内腔134及びオブチュレータ160の本体162は、両方とも、全体に円形であり、ほぼ環状の断面の流体流れチャンネル180を形成する。他の実施例では、カニューレの内腔134及びオブチュレータ160の本体162の断面形状は互いに異なっており、流体流れチャンネル180の断面は別の形状を備えている。
【0029】
オブチュレータ160のチップ166とカニューレのチップ132との間の空間即ち隙間の大きさは、アクセスシステムを前進させるときに組織のコアリング(coring)が起こらないように又はコアリングを減少するように選択される。幾つかの実施例では、オブチュレータ160のチップ166とカニューレのチップ132との間の隙間は、吹込みを行う上で十分なガス流を提供する。これを以下に詳細に論じる。幾つかの実施例では、オブチュレータ160の本体162とカニューレの内腔134との間の隙間は長さ方向で均等でなく、例えば近位端112のところで比較的広幅であり、遠位端116のところで比較的狭幅である。
【0030】
図1Eに示す閉鎖形態では、オブチュレータ160のチップ166は、体壁を通して体腔内にアクセスシステム100を挿入するのに適した形態のカニューレのチップ132から延びている。この形態におけるオブチュレータ160の位置を閉鎖位置と呼ぶ。閉鎖形態では、流体流れシール140がオブチュレータ160の本体162と密封接触し、これと協働し、流体が流体ポート150から流体流れチャンネル180を通ってカニューレのチップ132を通って流出しないようにする。従って、流体ポート150は、流体流れチャンネル184の遠位端に流動学的に連結されていない。
【0031】
図1Fに示す開放形態では、オブチュレータ160はアクセスチャンネル116から部分的に引っ込められている。即ち、
図1Eに示す形態と比較して長さ方向軸線に沿って近位方向に並進させてある。この形態におけるオブチュレータ160の位置を開放位置と呼ぶ。例示の実施例では、オブチュレータ160の本体162は、流体流れシール140の近位側にあり、及び従って、このシール140と接触しておらず、シール140とシールを形成しない。従って、開放形態では、流体流れチャンネルの遠位端184は流体ポート150に流動学的に連結されている。幾つかの実施例では、流体流れシール140は、開放形態において、オブチュレータ160の本体162の一部と接触しているが、これと密封接触していない。例えば、幾つかの実施例では、流体流れシール140及びオブチュレータ160の本体162とチップ166との間の移行部のうちの少なくとも一方が長さ方向軸線に対して垂直でない。これらの実施例のうちの幾つかの実施例では、アクセスチャンネル内でのオブチュレータ160の幾つかの位置において、オブチュレータ160の本体162は流体流れシール140の一部だけと接触するのであって、そのシール面全体と接触するのではなく、及び従ってシール140とシールを形成しない。
【0032】
アクセスシステム100の幾つかの実施例は、開放形態にあるか或いは閉鎖形態にあるかのいずれかであるかを示すインジケータを備えている。例えば、幾つかの実施例は、開放位置及び/又は閉鎖位置におけるオブチュレータ160の位置を示す印をオブチュレータ160及び/又はトロカール110に備えている。幾つかの実施例は、流体流れチャンネル180及び/又は流体ポート150を通る流体流れの音響的インジケータ及び/又は視覚的インジケータ、例えばスピニングディスク、スピニングボール、ランプ、ホイッスル、及び/又はアラームを備えている。
幾つかの実施例は、開放形態及び閉鎖形態のうちの少なくとも一方へのアクセスシステム100の係止状態を示す、例えば戻り止め、ラッチ、ストップ、等の一つ又はそれ以上の機械的特徴を備えている。
【0033】
図2Aは、
図1A乃至
図1Fに示す実施例とほぼ同様の吹込みアクセスシステム200の別の実施例の斜視図である。吹込みアクセスシステム200は、トロカール210と、このトロカール210に挿入したオブチュレータ260と、オブチュレータ260に挿入した腹腔鏡290とを含む。
図2Bは、上文中に説明したオブチュレータ160の実施例と同様のオブチュレータ260の一実施例の斜視図である。オブチュレータ260は、細長い本体262と、近位端に配置されたハンドル264と、遠位端に配置されたチップ266と、オブチュレータ260の近位端のハンドル264に設けられた開口部からオブチュレータ260の遠位端のチップ266まで長さ方向に延びる機器ウェル268とを含む。
オブチュレータ260の本体262には、更に、長さ方向に延びるスロット272が設けられている。以下の説明から明らかになるように、例示の実施例では、スロット272は、機器ウェル268を流体流れチャンネル280に組み込む。機器ウェル268を含む流体流れチャンネル280は、
図1A乃至
図1Fに示す実施例の流体流れチャンネル180と比較して断面積が大きいため、アクセスシステム200の実施例は、流体流れを増大する。スロット272の近位端は、オブチュレータ260が開放位置又は閉鎖位置にあるとき、スロット272が本体262とトロカールシールアッセンブリ220との間の機器シールの障害とならないように位置決めされている。スロット272の遠位端は、閉鎖形態において、流体がスロット272から流出しないように、即ち、スロット272の遠位端がアクセスシステム200の遠位端から流動学的に遮断されるように位置決めされる。
開放形態により、流体をスロット272の遠位端から流すことができる。即ち、開放形態では、スロット272の遠位端は、アクセスシステム200の遠位端に流動学的に連結されるのである。例示の実施例では、スロット272は、オブチュレータ260の本体262を通って機器ウェル268内に延びている。従って、例示の実施例は、オブチュレータ260の近位端と腹腔鏡290との間のシールを備えており、これによって、オブチュレータ260の近位端と腹腔鏡290との間からの流体の流れを阻止し又は減少する。シールは、腹腔鏡290及びオブチュレータ260のうちの少なくとも一方に配置される。幾つかの実施例では、スロット272はオブチュレータ260の本体262を貫通しておらず、本体262の外面に配置された一つ又はそれ以上の長さ方向溝で形成される。これらの実施例では、オブチュレータ260の近位端と腹腔鏡290との間のシールは随意である。流体流れチャンネル280の幾つかの実施例は、カニューレ230の内壁に配置された一つ又はそれ以上の長さ方向溝を含む。
【0034】
図2Cは、
図2Aに示す吹込みアクセスシステムの一実施例の閉鎖形態での部分断面側面図である。閉鎖位置では、オブチュレータ260がトロカール210のアクセスチャンネルに挿入されており、組織穿通位置のカニューレのチップ232からチップ266が延びている。スロット272の近位端は、シールアッセンブリ220の機器シールの下に配置されており、流体ポート250と流体連通している。スロット272の遠位端は流体チャンネルシール240の近位側に配置されている。流体チャンネルシール240は、オブチュレータ260の本体262をシールし、これによってスロット272をカニューレのチップ232及びアクセスシステム200の遠位端から流動学的に遮断する。
【0035】
図2Dは、
図2Cに示す吹込みアクセスシステムの実施例の開放形態の部分断面側面図である。開放形態では、オブチュレータ260が、例えばハンドル264を使用してアクセスチャンネル内で遠位方向に前進させてある。これによって、スロット272の遠位端は流体チャンネルシール240を通過し、これによってオブチュレータ260の本体262と流体チャンネルシール240との間のシールを解放する。例示の実施例では、スロット272はカニューレ230の長さとほぼ同じであり、ほぼ流体入口の位置から、スロット272が整合したカニューレの角度をなしたチップ232の近位部分を通過する。従って、スロット272の遠位端と、角度をなしたチップ232の近位部分との整合により、スロット272の遠位端を露呈し、これによって、吹込みガスをスロット272から体腔内に直接的に出すことができる流体流れチャンネル280を提供する。幾つかの実施例では、オブチュレータ260及びトロカール210はキー止めされており、又はこれらの間で回転が生じないようにするその他の形態を備えており、これによって、アクセスシステム200が開放形態にあるとき、スロット272を露呈状態に係止する。スロット272の遠位端及び角度をなしたチップ232の近位部分が整合しないようにスロット272を
図2Dに示す形態に対して回転させた幾つかの実施例もまた、流体を通過させることができるが、流量が減少するということは当業者には理解されよう。
【0036】
他の実施例では、アクセスシステム200は、流体流れシール240がカニューレ230に、その角度をなしたチップ232のところに、又はこのチップの近くに配置された
図2Aに示す開放形態を有する。上文中に論じたように、これらの実施例のうちの幾つかにおいて、流体流れシール240は、チップ232と同じ又は同様の角度で延びていてもよい。オブチュレータ260を回転することによって、スロット272の全体をカニューレ230内で流体流れシール240の近位側に位置決めし、これによって開放形態を閉鎖形態にする。閉鎖形態では、スロット272の遠位端がアクセスシステム200の遠位端から流動学的に遮断されており、流体がここから流れないようにする。これらの実施例のうちの幾つかにおいて、オブチュレータ260のハンドル264の回転は、デバイス200が第1回転限度で開放形態にあり、第2回転限度で閉鎖形態にあるように制限される。
【0037】
図3Aは、吹込みアクセスシステム300の別の実施例の開放形態での斜視図である。
図3Bは、
図3Aに示す吹込みアクセスシステム300の側断面図である。
図3A及び
図3Bに示すアクセスシステム300の実施例は、上文中に説明した実施例と類似している。
図2A乃至
図2Dに示す実施例と同様に、例示の実施例のガス流チャンネルには機器ウェルが含まれており、これによってその断面積を増大する。アクセスシステム300は、トロカール310及びオブチュレータ360を含む。
【0038】
図3Bで最もよくわかるように、オブチュレータ360は、少なくとも一つの近位開口部372及び少なくとも一つの遠位開口部374を含み、これらの開口部は、両方とも、オブチュレータ360の本体362を通って機器ウェル368内に延びている。例示の実施例では、少なくとも一つの近位開口部372及び少なくとも一つの遠位開口部374は両方ともほぼ円形又は楕円形であるが、他の実施例では、これに関わらず、他の適当な形状を備えている。
【0039】
例示の実施例では、上文中に説明したように、流体流れシール340がカニューレチップ332のところに配置されており、又はこのチップと一体をなしている。トロカール310の幾つかの実施例は、更に、流体流れシール340の他に、又は流体流れシール340の代わりに、第2流体流れシールを含む。第2流体流れシールの幾つかの実施例は、シールアッセンブリ320に配置されたチューブ状部材を含む。このチューブ状部材を通ってオブチュレータが延びる。チューブ状部材は、オブチュレータが開放位置にあるとき、少なくとも一つの近位開口部372と整合し、これによって流体を流すことができる少なくとも一つの開口部を含む。チューブ状部材の少なくとも一つの開口部は、オブチュレータが閉鎖位置にある場合には少なくとも一つの近位開口部372と整合せず、これによって流体の流通を阻止する。
【0040】
例示の実施例では、オブチュレータ360を、例えばハンドル362を使用して回転することによって、アクセスシステム300を
図3Aに示す開放形態から、
図3Bに示す閉鎖形態にする。例示の実施例では、オブチュレータ360を
図3Aに示す状態から
図3Bに示す状態まで約180°回転したが、他の実施例では、この他の回転角度が使用されるということは当業者には理解されよう。特定の回転角度は、遠位開口部374の大きさ及び形状、遠位開口部374の位置、流体流れシール340の位置、及び流体流れシール340の角度を含むファクタで決まる。例示の実施例では、流体は、流体ポート350から近位開口部372内へ、機器ウェル368内へ、そして遠位開口部374の外に流れる。
例示の実施例では、開放形態において遠位開口部374が露呈される。閉鎖形態では、遠位開口部374は流体流れシール340の近位側に位置決めされ、遠位開口部374の遠位側のオブチュレータ360の本体362の一部とシールを形成し、これによって流体が遠位開口部374から流れないようにする。
【0041】
図3Cは、吹込みアクセスシステム300の別の実施例の開放形態での透視図である。
例示の実施例では、トロカール310は、
図1A乃至
図1Fに示す実施例のトロカールと同様であり、流体流れシール340がカニューレの内腔334にチップ332の近位側に配置されている。例示の実施例では、アクセスシステム300は、オブチュレータを近位端に向かって長さ方向に引っ込めることによって遠位開口部374を流体流れシール340の近位側に位置決めすることによって、図示の開放形態から、閉鎖形態になる。流体流れシール340は遠位開口部374の遠位側のオブチュレータの本体362の一部をシールし、これによって流体の流れを阻止する。
【0042】
図4Aは、吹込みアクセスシステム400の別の実施例の閉鎖形態での側断面図である。
図4Bは、
図4Aに示す吹込みアクセスシステム400の開放形態での側断面図である。吹込みアクセスシステム400は、上文中に説明した吹込みアクセスシステムとほぼ同じであり、トロカール410及びオブチュレータ460を含む。例示の実施例では、トロカール410は、
図1A乃至
図4Fに示し、上文中に説明した実施例とほぼ同じである。
トロカール410は、そのカニューレ430の内腔434にカニューレのチップ432の近位側に配置された流体流れシール440を含む。例示の実施例では、流体流れシール440は、トロカール310の長さ方向軸線に対してほぼ垂直である。
【0043】
オブチュレータ460の一実施例の斜視図である
図4Cで最もよくわかるように、オブチュレータ460は、オブチュレータの本体462に長さ方向に及び周方向に配置された複数の開口部472を含む。これらの開口部は、機器ウェル468内に延びる。例示の実施例は、複数の近位開口部472a、複数の遠位開口部474b、及び複数の随意の中間開口部472cを含む。
【0044】
アクセスシステム400を
図4Aに示す閉鎖形態から
図4Bに示す開放形態にするとき、オブチュレータ460を長さ方向軸線に沿って近位方向に並進する。
図4Aに示す閉鎖形態では、流体流れシール440は、遠位開口部474bの遠位側のオブチュレータ460の本体462の一部をシールし、これによって、アクセスシステム400の遠位端のカニューレのチップ432から流体が流出しないようにする。
図4Bに示す開放形態では、オブチュレータ460の本体462が流体流れシール440の近位側にあるため、本体462及び流体流れシール440は、流体流れチャンネル480内でシールを形成するように協働しない。従って、流体は、流体ポート450から流体流れチャンネル480内に及びこのチャンネル480を通って流れることができる。例示の実施例では、流体流れチャンネル480は、機器ウェル468及びカニューレの内腔434とオブチュレータ460の本体462との間の空間の両方を含む。
図4Bで最もよくわかるように、例示の実施例では、近位開口部472aは、トロカールシールアッセンブリ420内でカニューレ430の近位側に配置されており、これによって近位開口部472aの周囲の断面積を増大し、これを通る流体の流れを増大する。流体は、機器ウェル468及びカニューレの内腔434とオブチュレータ460の本体462との間の空間の両方を通って、アクセスシステム400の遠位端に向かって長さ方向に流れ続ける。オブチュレータ460の遠位端で、流体が機器ウェル468を出て遠位開口部472cを通過し、カニューレの内腔434とオブチュレータ460の本体462との間の空間内を遠位方向に流れ続ける。流体はチップ432を通ってアクセスシステム400を出る。
【0045】
吹込みアクセスシステムの実施例は、吹込みを使用する全ての内視鏡に適用可能であるが、基本的には、腹腔鏡手順に適用される。従って、単に例示を目的として、内視鏡ポート又は吹込みアクセスシステムのトロカールを挿入し、腹腔鏡手術で気腹状態を形成するための方法の一実施例を、
図1A乃至
図1Fに示す実施例を参照して以下に説明する。この方法は、本明細書中に開示したアクセスシステムの他の実施例にも適用できるということは、当業者には理解されよう。
【0046】
オブチュレータ160をトロカール110に挿入し、
図1Eに示す閉鎖形態に位置決めする。腹腔鏡をオブチュレータ160の機器ウェル168に挿入する。腹腔鏡は、撮影システム、例えばカメラ及びビデオモニターに接続されている。流体ポート150を加圧吹込みガス源に流動学的に連結する。
【0047】
使用者は、
図5Aに概略に示すように、患者の腹500の所望の位置に形成した切開口に組織穿通チップ166を配置し、吹込みアクセスシステム100を腹壁502を通して前進する。使用者は、腹腔鏡及び撮影システムを通してチップ166の位置をモニターする。
図5Bに示すようにチップ166が腹膜504を穿通したことを使用者が観察したとき、使用者は、アクセスシステム100を開放形態に変換する。例示の実施例では、使用者は、例えばハンドル162を引っ張ってオブチュレータ160を近位方向に押圧し、アクセスシステム100を
図1Fに示す開放形態に変換する。上文中に論じたように、幾つかの実施例では、オブチュレータ160及び/又はトロカール110は、開放位置におけるオブチュレータ160の位置を示す一つ又はそれ以上のマーク即ち印を備えている。アクセスシステム100が開放形態にある状態で、吹込みガスが、吹込みガス源から、流体ポート150に、流体流れチャンネルの近位端182に流入し、流体流れチャンネル180を長さ方向に通過し、流体流れシール140を通過し、オブチュレータ160の部分的に引っ込めたチップ166を通過し、カニューレのチップ132を通って出る。特にカニューレのチップ132が完全に又は部分的に塞がれた場合、ガスの幾分かがベント136から流出する。ガスは、腹膜の開口部を通って腹腔に流入し、これによって腹腔506にガスを吹込み、
図5Cに示すように気腹状態を形成する。
【0048】
従って、アクセスシステム100の実施例及び方法は、腹腔鏡手術を行うために腹腔へのアクセスを得るための正確で簡単な方法を提供する。他の実施例では、吹込みアクセスシステム100は、腹腔の腹膜腔ライニングと隣接した別の表面、例えばダグラス窩、横隔膜から肛門までの胃腸管、又は腹大動脈又は大静脈等の太い血管を通して、腹腔へのアクセスを提供する。アクセスシステム100及び方法の実施例は、他の内部構造、例えば腎臓、胃、及び/又は第3脳室、又は正確に且つ浅く入れた後にガスや液体を流入するのが望ましい任意の中空器官へのアクセスを提供する。
【0049】
流体流れシール140をオブチュレータ160とカニューレの遠位端114との間に配置することにより、腹壁502を通してデバイスを前進させるとき、デバイス100をCO
2源に流動学的に連結できる。外科医は、オブチュレータ160のチップ166が腹膜504を穿刺すると直ぐに、デバイス100の前方への移動を停止し、オブチュレータ160とカニューレ130との間の流体流れシール140を開き、これによってガスをガス流チャンネル180を通して流し、デバイス100から流出できる。ガスは、チップ166と腹壁502との間の最も抵抗が小さな経路を通って流れ、腹膜504に形成された開口部を通過し、最終的には腹腔506に流入する。従って、臓器床への穿通を小さくして気腹状態が形成される。これは、オブチュレータ160のチップ166が、腹腔に吹き込まれるガスが通過するベント穴がチップに設けられた実施例程大きく腹膜を越えて延びることがないためである。デバイス100の実施例は、更に、オブチュレータ内のシール及び腹腔鏡の周囲のガスチャンネルのうちの少なくとも一方を備えていない。幾つかの実施例は、流体及び/又は組織がオブチュレータのチップ166内の視野に入る可能性をなくすか或いは減少する。幾つかの実施例では、腹膜504を穿刺し、チップ166を腹膜504を越えて腹腔506内に又は臓器床内に更に大きく穿通することなく、腹腔504にガスを吹込む。
【0050】
特定の実施例を、その例示の実施例を参照して図示し且つ説明したが、以下の特許請求の範囲に記載の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細における様々な変更を行うことができるということは当業者には理解されよう。