(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
心電図センサ、心音図センサ及び脈波センサを含む生体信号測定センサ部と、前記生体信号測定センサ部の各センサに連結されて測定された生体信号の受信を受けて信号処理する生体信号受信及び処理部とで構成された生体信号測定計、及び
前記生体信号受信及び処理部と連結され、互いに通信して測定データの受信を受けて冠状動脈を分析するための生物力学的指標を算出する主処理部と、前記主処理部に連結されて使用者の制御命令の入力を受ける入力部と、前記主処理部に連結されて算出された結果を示す出力部とで構成された分析指標算出計を含んで構成され、
前記主処理部は、前記生体信号測定計から獲得された生体信号中の収縮期血圧より一定圧力加圧されたカフ脈波センサを通して獲得された高周波APG脈波、弛緩期血圧より一定圧力減圧されたカフ脈波センサを通して獲得された低周波APG脈波及び頚動脈APG脈波を利用して大動脈弓内圧曲線を合成し、前記大動脈弓内圧曲線の面積を利用して生物力学的指標を算出することを特徴とする心血管分析装置。
前記第2−2段階、前記第2−3段階及び前記第2−4段階において、前記検査結果窓に各波形を表示した後、前記検査診断窓から検査命令の受信を受けると、前記第1−1段階に戻り、そうでなければそれぞれの次の段階に進むことを特徴とする請求項17に記載の心血管分析装置。
【背景技術】
【0002】
今日、主に肉類中心の食習慣変化に起因し、動脈硬化、心筋梗塞等の血管系疾患及び心血管疾患が幅広く発病しているが、事前にこれを確認して予防することができる技術と装置がほとんど存在していない。
【0003】
今日、臨床で用いられている心電図計は、虚血性疾病を早期発見することができず、導管系の機能を遂行することができない。また、画像処理技術と導管検査は、心臓血管の状態をイメージ状態で表示するために、疾病が発生した場合にのみ診断を行うことができる。
【0004】
心筋梗塞等の心血管疾患の徴候を事前に知るためには、心臓血管の状態をイメージにより確認するか、又は心電図検査をするのではなく、冠状動脈の性質と血液流れ特性、血液状態を確認することが必要である。
【0005】
血液状態は、血液検査により分かるが、冠状動脈の性質と血液流れ特性を知るには、冠状動脈の性質と血液流れ特性を判断することができる新たな設備が要求される。
【0006】
ここで最も重要な問題は、冠状動脈特性を正確に判断することである。冠状動脈は他の血管とは異なり、外的要因により血管の攣縮、痙攣、拡張等を引き起こし、組織内圧の作用で力学関係が複雑である。従って、冠状動脈においては、動脈硬化度や血管の順応性、血流量、血流速度、血液流れ抵抗を求める問題は非常に難しい。
【0007】
心電図自動分析体系は、臨床に広く普及されているが、冠状動脈疾病の発生危険性を早期に診断して非観血的方法で冠状動脈の手術対象を探し出すことができない。
【0008】
心電図は、心臓における電気的変化のみを記録するものであるので、心血管の力学的特性を反映する血管の弾性係数、血管の順応性、血液流れ抵抗、血流量、血液流れ速度等は測定することができない。
【0009】
今まで開発された冠状動脈疾患の診断機としては、単一光子断層撮影(SPECT)、造影心超音波(Contrast Echocardiography)、多列検出器コンピュータ断層撮影(Multidetector CT;MDCT)、MRI等が知られている。
【0010】
冠状動脈手術を目的とする導管検査法のような観血的な検査は、血管自体の病的変化を直感的に観察することができるという長所はあるが、血管に対する侵襲的な操作が必須的でかつ複雑であり、被検者たちのうち40%程度が非手術対象である。
【0011】
心電図計は、原理上虚血性心血管疾患の診断を正確に行うことができない。
【0012】
また、前述の医療設備らは、臨床的意義は大きいが、製作原価と診断費用が高く、特定の病棟でのみ利用することができるという短所がある。それにも拘わらず、これらの設備は互いに若干の差があるが、血管の特性を確認することができないという共通点がある。
【0013】
冠状動脈における血流特性は、左冠状動脈と右冠状動脈とで互いに異なる。左冠状動脈は、心室心筋収縮により生じる収縮時の組織圧が血管を外部から圧迫するため、左冠状動脈の血管は補充的内圧を受ける。
【0014】
従って、左冠状動脈の血液流れは、非常に複雑な構造を成しているので、左冠状動脈で血流を引き起こす圧力波形を求める問題は、今まで未解決の問題として残っている。
【0015】
右冠状動脈は、主に右心室を灌流する。
【0016】
右心室の収縮気圧は、左心室の収縮気圧の30%程度であり、右心室壁の心筋で収縮期の冠状動脈の圧迫は比較的に小さい。
【0017】
冠状動脈で固有の心筋収縮により生じる心臓収縮時の組織内圧により生じる補充的内圧を観血的に求める問題は多く研究されてきたが、今日までも冠状動脈で非観血的方法で冠状動脈の血流量と血流速度、血管の順応性と弾性係数、血液流れ抵抗を求める設備の開発は微々たるものである。
【0018】
最近10数年間冠状動脈の血流動態に関する実験が多く行われ、左冠状動脈の血流はほとんど弛緩期にのみ流れることを発見した。
【0019】
同じ時期に日本の科学者たちは、冠状動脈内に同位元素スキャンを利用して毛細血管においても弛緩期にのみ血液流れが存在することを発見した。
【0020】
一方、血管特性を知るための研究も少なからず行われた。2006年に韓国と米国の学者たちが共同で動脈の弾性係数を求める整合法を提起した。整合法は、アテローム(atherome)を測定して血管の弾性係数を求める方法であり、冠状動脈には適用し難い。一方、1997年に米国ハーバード大学教授チームにより高敏感性C−反応性蛋白質(high Sensitivity C-reactive protein)と心血管疾患との間には高い相関関係が存在するという仮定に基礎した実験をもとに、2006年に開発されたJ−chroma
TMは、疾病の進行過程は見ることができるが、血管状態についての回答は得られない。
【0021】
しかし、本発明においては、心臓の電気的特性と冠状動脈の生物力学的な特性を同時に分析することにより、左右冠状動脈で血流量、血管の順応性、血流速度、血液流れ抵抗、動脈硬化度を測定することができる方法を提起した。
【0022】
左右冠状動脈に血管枝らで血流量、血管の順応性、血流速度、血流抵抗を求めるに当たって、最初の課題は非観血的に大動脈弓内圧曲線(Aortic Arch Internal Pressure Curve)を求める問題を解決しなければならない。
【0023】
国際特許公開WO1995/016391(METHOD AND APPARATUS FOR TREATING CARDIOVASCULAR PATHOLOGIES)においては、大動脈弓内圧曲線を非観血的に求める方法を提起したが、この方法により求めた大動脈弓内圧曲線は、観血的に求めた曲線と人によって大きな差が生じるために、実質的に観血的得た大動脈弓内圧曲線と、非観血的に得た大動脈弓内圧曲線とを一致させることはほとんど不可能である。
【0024】
従って、この方法により得た大動脈弓内圧曲線を観血的な大動脈弓内圧曲線と仮定して臨床に導入する問題は事実上不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明は、前述の従来技術の問題点を解消するために導き出されたものであり、一般的に用いられている心電図計とは異なり、左右冠状動脈の血管枝で血管の気質的変化を示す血管の弾性係数(動脈硬化度)、血管の気質的変化及び機能的変化を同時に示す血管の順応性、血流抵抗特性を示す血流量、血流抵抗及び血流速度を更に測定することができるように構成することにより、心血管疾患を早期発見すると共にその原因も究明することができる心血管分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
前述の目的を達成するために、本発明による心血管分析装置は、心電図センサ、心音図センサ及び脈波センサを含む生体信号測定センサ部と、生体信号測定センサ部の各センサに連結されて測定された生体信号の受信を受けて信号処理する生体信号受信及び処理部とで構成された生体信号測定計、及び生体信号受信及び処理部と連結され、互いに通信して測定データの受信を受けて冠状動脈を分析するための生物力学的指標を算出する主処理部と、主処理部に連結されて使用者の制御命令の入力を受ける入力部と、主処理部に連結されて算出された結果を表示する出力部とで構成された分析指標算出計を含んで構成され、主処理部は、生体信号測定計から獲得された生体信号
中の収縮期血圧より一定圧力加圧されたカフ脈波センサを通して獲得された高周波APG脈波、弛緩期血圧より一定圧力減圧されたカフ脈波センサを通して獲得された低周波APG脈波及び頚動脈APG脈波を利用して大動脈弓内圧曲線を合成し、大動脈弓内圧曲線の面積を利用して生物力学的指標を算出することを第1の特徴とする。
【0028】
そして、生体信号受信及び処理部は、生体信号測定センサ部から受信される生体信号を処理して主処理部に測定データを伝送するように制御する制御器(microcontroller)、制御器の制御信号により心電図センサ、心音図センサ及び脈波センサから受信される生体信号を選択する多重信号選択器、多重信号選択器により選択された生体信号を制御器の制御信号によって雑音除去又は増幅度を調節する雑音除去及び信号増幅器、雑音除去及び信号増幅器を通過した生体信号を受け、入力部の制御命令又は主処理部に内蔵されたプログラムの制御命令が制御器を通して必要な生体信号の選択を受けるようにする信号切換器、信号切換器で選択された生体信号を制御器の制御信号によってサンプリング(sampling)してホールディング(holding)する標本維持器、及び標本維持器を通してホールディング(holding)された生体信号を制御器の制御信号によってデジタル信号に変えて制御器に送るA/D変換器を含んで構成されたことを第2の特徴とする。
【0029】
そして、
主処理部は、高周波APG脈波、低周波APG脈波及び頚動脈APG脈波を収縮期と弛緩期に分けて大動脈弓内圧曲線を合成することを第3の特徴とする。
【0030】
そして、
カフ脈波センサは、カフ血圧計に圧力センサが更に取着されたことを第4の特徴とする。
【0031】
そして、
カフ脈波センサは、カフ血圧計の空気袋と連結されたゴム管に支路管を形成して支路管の出口にアダプタを装着し、
アダプタは、圧力センサを内蔵されたハウジング胴体の開口部に装着され、圧力センサは、センシングリード線を通して生体信号受信及び処理部に連結されたことを第5の特徴とする。
【0032】
そして、主処理部は、生体信号測定計に生体信号を測定させて生体信号の受信を受ける第1段階、受信された生体信号の波形を分析し、分析された波形資料をもとに大動脈弓内圧曲線Pを合成する第2段階、及び合成された大動脈弓内圧曲線Pの面積から生物力学的指標を算出して心血管の分析結果を表示する第3段階が含まれるようにプログラムされたことを第6の特徴とする。
【0033】
そして、第3段階には、大動脈弓内圧曲線Pの面積を含む基礎情報から左右冠状動脈の血流量(S
l、S
r)を算出する段階、大動脈弓内圧曲線P及び左右冠状動脈の血流量(S
l、S
r)を利用して左右冠状動脈の順応性(C
l、C
r)と血流抵抗(R
l、R
r)をそれぞれ算出する段階、及び算出された左右冠状動脈の順応性(C
l、C
r)と血流抵抗(R
l、R
r)を1つの状態図(C−R Chart)上に表示されるように、出力部に心血管の分析結果を伝送する段階を含んで構成されたことを第7の特徴とする。
【0034】
そして、第の3段階には、左右冠状動脈の血流量(S
l、S
r)、順応性(C
l、C
r)及び血流抵抗(R
l、R
r)から左右冠状動脈の動脈硬化度(As
l、As
r)を更に算出して出力部に心血管の分析結果を伝送する段階を含んで構成されたことを第8の特徴とする。
【0035】
そして、第3段階には、大動脈弓内圧曲線P及び左右冠状動脈の順応性(C
l、C
r)から左右冠状動脈の血流速度(V
l、V
r)を更に算出して出力部に心血管の分析結果を伝送する段階を含んで構成されたことを第9の特徴とする。
【0036】
そして、左右冠状動脈の血流量(S
l、S
r)、順応性(C
l、C
r)及び血流抵抗(R
l、R
r)は、所定の数式によりそれぞれ算出されたことを第10の特徴とする。
【0037】
そして、数式で出る係数Kは、所定の数式により算出されたものであり、K
1は冠状動脈の入口から冠状動脈に流れる血流量の中で右冠状動脈に流れる血流量と関連する係数であって0.12〜0.15であり、K
2は組織内圧係数であって0.70〜0.75であることを第11の特徴とする。
【0038】
そして、左右冠状動脈の動脈硬化度(As
l、As
r)は、所定の数式によりそれぞれ算出されたことを第12の特徴とする。
【0039】
そして、左右冠状動脈の血流速度(V
l、V
r)は、所定の数式によりそれぞれ算出されたことを第13の特徴とする。
【0040】
そして、第2段階の受信された生体信号の波形分析は、生体信号測定計中の心電図センサと心音図センサを通して獲得されたECG信号とPCG信号を分析して大動脈弓内圧曲線Pの特徴点(収縮期の開始点、収縮期の最高点、切痕点、弛緩期の最高点、弛緩期の終了点)を求め、生体信号測定計中の収縮期血圧より一定圧力加圧されたカフ脈波センサを通して獲得されたCuff−APG脈波を分析して大動脈弓内圧曲線Pの
高周波成分を持つ高周波APG脈波を求め、生体信号測定計中の弛緩期血圧より一定圧力減圧されたカフ脈波センサを通して獲得されたCuff−APG脈波を分析して大動脈弓内圧曲線Pの
低周波成分を持つ低周波APG脈波を求め、生体信号測定計中の頚動脈センサにより獲得された左、右頚動脈APG脈波を大動脈弓内圧曲線Pの時間に関する
基本波形により分析し、大動脈弓内圧曲線Pの合成は、
高周波APG脈波、低周波APG脈波及び左、右頚動脈APG脈波の分析資料を含む情報をもとに行われることを第14の特徴とする。
【0041】
そして、第1段階以前に、検索メニュー窓、患者情報窓、検査診断窓、検査結果窓が含まれた初期画面を出力部に表示する段階、初期画面において、新患者の登録命令が受信された場合は患者情報の入力を受けて保存し、そうでない場合は登録された患者ファイルを開く命令の受信を受ける段階、登録された患者ファイルを開く命令が受信された場合は登録された患者リストを検査結果窓に表示し、患者の選択を受けて追加情報の入力を受け、そうでない場合は初期画面を引き続き表示する段階、及び新患者情報又は選択された患者情報を患者情報窓に表示して検査診断命令の入力を受ける段階が更に含まれ、新患者情報又は選択された患者情報には、患者を識別することができる個人情報及び身長、体重、血圧、人種の中で1つ以上含まれた身体情報で構成されたことを第15の特徴とする。
【0042】
そして、第1段階の生体信号測定及び受信は、検査診断窓から検査命令の受信を受けると、生体信号測定命令選択窓を更に示し、そうでなければ以前段階状態を維持する第1−1段階、生体信号測定命令選択窓から収縮期脈波の測定命令の受信を受けた場合は、生体信号測定センサ部の心電図センサ、心音図センサ及び加圧されたカフ脈波センサから測定波形を受け付けて検査結果窓に受信されたECG、PCG、高周波APG波形を表示し、そうでない場合は以前段階である生体信号測定命令受信待機段階を維持する第1−2−1段階、生体信号測定命令選択窓から弛緩期脈波の測定命令の受信を受けた場合は、生体信号測定センサ部の心電図センサ、心音図センサ及び減圧されたカフ脈波センサから測定波形を受け付けて検査結果窓に受信されたECG、PCG、低周波APG波形を表示し、そうでない場合は以前段階である生体信号測定命令受信待機段階を維持する第1−2−2段階、生体信号測定命令選択窓から左側頚動脈脈波の測定命令の受信を受けた場合は、生体信号測定センサ部の心電図センサ、心音図センサ及び頚動脈センサから測定波形を受け付けて検査結果窓に受信されたECG、PCG、左側頚動脈APG波形を表示し、そうでない場合は以前段階である生体信号測定命令受信待機段階を維持する第1−2−3段階、生体信号測定命令選択窓から右側頚動脈脈波の測定命令の受信を受けた場合は、生体信号測定センサ部の心電図センサ、心音図センサ及び頚動脈センサから測定波形を受け付けて検査結果窓に受信されたECG、PCG、右側頚動脈APG波形を表示し、そうでない場合は以前段階である生体信号測定命令受信待機段階を維持する第1−2−4段階、生体信号測定命令選択窓から大腿動脈脈波の測定命令の受信を受けた場合は、生体信号測定センサ部の心電図センサ及び大腿動脈センサから測定波形を受け付けて検査結果窓に受信されたECG、大腿動脈APG波形を表示し、そうでない場合は以前段階である生体信号測定命令受信待機段階を維持する第
1−2−5段階、及び第1−2−1段階乃至第
1−2−5段階の各段階以後には、検査結果窓に表示する波形の中で理想的な波形を選択するように波形選択命令の受信を受け、波形選択命令が受信された場合は画面キャプチャーをして選択された波形を保存し、そうでない場合は引き続き測定して測定された波形を表示する第1−3段階からなることを第16の特徴とする。
【0043】
そして、第2段階の受信された生体信号の波形分析及び大動脈弓内圧曲線Pの合成は、検査診断窓から分析命令の受信を受けると、分析メニュー窓を更に表示し、そうでなければ以前段階状態を維持する第2−1段階、分析メニュー窓において、収縮期信号の分析命令の受信を受けると、保存されたECG、PCG、高周波APG波形の特徴点を自動分析して検査結果窓に表示し、そうでなければ以前段階状態を維持する第2−2段階、分析メニュー窓において、弛緩期信号の分析命令の受信を受けると、保存されたECG、PCG、低周波APG波形の特徴点を自動分析して検査結果窓に表示し、そうでなければ以前段階状態を維持する第2−3段階、分析メニュー窓において、合成信号の分析命令の受信を受けると、保存された左、右側頚動脈波形を検査結果窓に表示し、そうでなければ以前段階状態を維持する第2−4段階、検査結果窓の左、右側頚動脈波形で各波形の詳細分析区間の選択を受けた場合は、選択された区間の波形を拡大分析して検査結果窓の左下段に表示し、そうでない場合は以前段階状態を維持する第2−5段階、及び検査結果窓の左下段に拡大された左、右側頚動脈波形が順に表示された後、検査結果窓の右下段の空白をクリックする場合は、保存されたECG、PCG−APG波形資料を含む情報をもとに合成された大動脈弓内圧曲線をクリックした位置に表示し、そうでない場合は以前段階状態を維持する第2−6段階からなることを第17の特徴とする。
【0044】
そして、第3段階の合成された大動脈弓内圧曲線Pの面積から生物力学的指標を算出して心血管の分析結果を表示する段階は、検査診断窓から結果表示命令の受信を受けると、結果メニュー窓及び出力手段を更に表示し、そうでなければ以前段階状態を維持する第3−1段階、結果メニュー窓のうち、あるメニュー窓の選択を受けると、該当メニュー結果を表示し、そうでなければ以前段階状態を維持する第3−2段階、及び該当メニュー結果を表示した後、出力手段から出力命令の受信を受けると、該当メニュー結果を出力し、そうでなければ以前段階状態を維持する第3−3段階を含んでなることを第18の特徴とする。
【0045】
そして、第2−2段階、第2−3段階及び第2−4段階において、検査結果窓に各波形を表示した後、検査診断窓から検査命令の受信を受けると、第1−1段階に戻り、そうでなければそれぞれの次の段階に進むことを第19の特徴とする。
【0046】
そして、結果メニュー窓には、C−R状態図(Chart)の評価が含まれており、C−R状態図(Chart)は、臨床結果による冠状動脈の状態を示す領域が区画されており、C−R状態図(Chart)の評価結果は、被検者の左右冠状動脈の状態をC−R状態図(Chart)上に点で表現されたものが含まれることを第20の特徴とする。
【発明の効果】
【0047】
本発明の心血管分析装置によると、一般的に用いられている心電図計とは異なり、左右冠状動脈の血管枝で血管の気質的変化を示す血管の弾性係数(動脈硬化度)、血管の気質的変化及び機能的変化を同時に示す血管の順応性、血流抵抗特性を示す血流量、血流抵抗及び血流速度を更に測定することができるように構成することにより、心電図計による心電図機能の他に心筋梗塞を始めとする様々な冠状動脈の難治性の病を早期診断して冠状動脈の手術対象を非観血的方法で発見することができる。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように、本発明の実施例について添付した図面を参考として詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な相違する形態に具現することができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0050】
図1は本発明による心血管分析装置の一実施例による全体システムのブロック図であり、
図2は
図1の生体信号受信及び処理部の構成と信号流れを概念的に示すブロック図であり、
図3は
図1の脈波センサの一種であるカフ脈波センサの構成を示す一面図及び腰部分解斜視図であり、
図4は本発明による大動脈弓及びこれに連結された左右冠状動脈を示す心臓の血流代表図であり、
図5は本発明による左右冠状動脈の弾性鋼模型図であり、
図6はカテーテルにより得た大動脈弓内圧曲線の特徴点と各特徴点についての血圧を図示した血圧特性図であり、
図7はカテーテルにより得た大動脈弓内圧曲線と本発明の心血管分析装置により得た大動脈弓内圧曲線との特性対比図である。
【0051】
本発明による心血管分析装置の一実施例は、基本的に
図1のように、心電図センサ122、心音図センサ124及び脈波センサ126を含む生体信号測定センサ部120と、生体信号測定センサ部120の各センサに連結されて測定された生体信号の受信を受けて信号処理する生体信号受信及び処理部140で構成された生体信号測定計100、及び生体信号受信及び処理部140と連結され、互いに通信して測定データの受信を受けて冠状動脈を分析するための生物力学的指標を算出する主処理部210と、主処理部に連結されて使用者の制御命令の入力を受ける入力部220と、主処理部に連結されて算出された結果を表示する出力部
240とで構成された分析指標算出計200を含んで構成され、主処理部210は、生体信号測定計100から獲得された生体信号により大動脈弓内圧曲線を合成し、大動脈弓内圧曲線の面積を利用して生物力学的指標を算出することを特徴とする。
【0052】
ここで、心電図センサ122は、少なくとも3個以上の電極で構成されて心電図(Electrocardiogram;ECG)波形を得るためのものであり、心音図センサと共に大動脈弓内圧曲線(Aortic Arch Internal Pressure Curve)の特徴点(収縮期の開始点、収縮期の最高点、切痕点、弛緩期の最高点、弛緩期の終了点)を把握するためのものである。
【0053】
心音図センサ124は、心臓の弁膜が開閉するときに出る音を感知するためのマイクロフォンで構成され、これを通して心音図(Phonocardiogram;PCG)波形を得て大動脈弓内圧曲線の特徴点を把握するためのものである。
【0054】
脈波センサ126は、脈動による脈波を感知してAPG(Accelerated Plethysmogram;APG)波形を得るためのものであり、圧電素子で構成された圧力センサを用いることができるが、脈動を感知することができれば、これに限定されない。
【0055】
本実施例による脈波センサ126は、大動脈弓の
高周波及び低周波成分を得るためのカフ(Cuff)脈波センサ、左、右側頚動脈の脈波を直接測定し、大動脈弓の
基本波形を得るための頚動脈センサ、大腿動脈の脈波を直接測定して脈波伝達速度(
Pulse Wave Velocity;PWV)等を求めるための大腿動脈センサのうち何れか1つを指す。
【0056】
ここで、頚動脈脈波センサと大腿動脈脈波センサは、同一の種類の圧力センサであり得、カフ(Cuff)脈波センサは、カフ血圧計に圧力センサが更に取着されたもので構成することができる。
【0057】
図3は、
カフ脈波センサの具体的構成の例を示すものであり、これによると、従来カフ血圧計10の空気袋13と連結されたゴム管14又は17に支路管21を形成し、支路管の出口にアダプタ20を装着してアダプタ20を頚動脈脈波センサ又は大腿動脈脈波センサと同一の構造のセンサ(例えば、圧力センサ、34)の開放溝32に装着して用いることができる。
【0058】
以上のように、心電図センサ122、心音図センサ124及び脈波センサ126は、別個の生体信号を感知するための生体信号測定センサ部
120の必須構成になり、生体信号測定センサ部
120と連結される生体信号受信及び処理部140が内蔵された装置には少なくとも3個の連結端子が備えられる。
【0059】
そして、生体信号受信及び処理部140は、
図2のように、生体信号測定センサ部120から受信される生体信号を処理して主処理部210に測定データを伝送するように制御する制御器(microcontroller;マイコン、
146)、制御器
146の制御信号により心電図センサ122、心音図センサ124及び脈波センサ126から受信される生体信号を選択する多重信号選択器141、多重信号選択器141により選択された生体信号を制御器
146の制御信号によって雑音除去又は増幅度を調節する雑音除去及び信号増幅器142、雑音除去及び信号増幅器142を通過した生体信号を受け、入力部220の制御命令又は主処理部210に内蔵されたプログラムの制御命令が、制御器
146を通して必要な生体信号の選択を受けるようにする信号切換器143、信号切換器143で選択された生体信号を制御器
146の制御信号によってサンプリング(sampling)してホールディング(holding)する標本維持器144、及び標本維持器144を通してホールディング(holding)された生体信号を制御器
146の制御信号によってデジタル信号に変えて制御器
146に送るA/D変換器145を含んで構成される。
【0060】
ここで、多重信号選択器141は、心電図センサ122、心音図センサ124及び脈波センサ126により同時測定して同時入力されるとき、これらの測定信号を順に選別して処理するためのものであり、雑音除去及び信号増幅器142は獲得された生体信号で各種雑音を除去して標準波とし、患者(被検者)によって増幅度を調節することができるように備えられる。
【0061】
上記のように、生体信号受信及び処理部140は、生体信号測定計100に含まれるように備えられることが好ましいが、回路設計によって後述の主処理部210と一体として構成することができる。
【0062】
次に、生体信号測定計100で獲得されて処理された生体信号は分析指標算出計200に伝達され、分析指標算出計200で大動脈弓内圧曲線を合成し、大動脈弓内圧曲線の面積を利用して生物力学的指標を算出するようになる。
【0063】
生体信号受信及び処理部140が、
図1のように、主処理部210と離れて構成されるときは、両者間の所定の通信手段(例えば、RS−232C)によりデータをやり取りするようになる。
【0064】
主処理部210は、内蔵型メモリ部又は外付型メモリ部に保存されたプログラムによって生体信号受信及び処理部140から伝達された測定データを処理して冠状動脈を分析するための生物力学的指標を算出する核心装置であり、コンピュータの中央処理装置に当たる。
【0065】
ここで、冠状動脈を分析するための生物力学的指標は、左右冠状動脈の血流量(S
l、S
r)、左右冠状動脈の順応性(C
l、C
r)、左右冠状動脈の血流抵抗(R
l、R
r)、左右冠状動脈の動脈硬化度(As
l、As
r)及び左右冠状動脈の血流速度(V
l、V
r)を言う。
【0066】
先ず、各生物力学的指標が、本明細書で用いられる定義と他の指標間の関係について簡単に説明する。
【0067】
血流量は、左側又は右側冠状動脈に沿って流れる血液量を言うものであって単位はmLであり、時間の関数により表現する場合はQ又はQ(t)であり、一定時間流れた血液量(Qの時間積分量)により表現する場合はSで表記する。血流量は、一般的に冠状動脈の長さ方向に離隔された2ヶ所の血圧差(P−Pv)に正比例し、血流抵抗(R)に半比例する。血流量が小さければ、それに伴う虚血症状等が現れるようになる。
【0068】
順応性(Complience)は、単位体積の血管に単位力を与えたときに起こる体積変化を言うものであって単位はmL/mmHgであり、簡略にCで表記される。Cが小さいというのは血管壁が硬化されるか、又は収縮されることを示し、逆にCが大きいというのは血管壁が柔軟であるか、又は拡張型痙攣が起こるということを意味する。
【0069】
血流抵抗(Resistance)は、左側又は右側冠状動脈に沿って流れる血液が受ける抵抗を言うものであって単位はmmHg/Lであり、簡略にRで表記される。Rは、近似的に冠状動脈の長さ方向に離隔された2ヶ所の血圧差(P−Pv)と血流量(Q)の比で決定される。
【0070】
動脈硬化度(Asc)は、血管を単位長さだけ変更させるために、どの程度力を与えるべきかを示す指標、即ち血管の硬化度を示す指標であり、血管の気質的変化を反映するものであって単位はKg/cm
2あり、一般的に弾性波伝播速度の2乗に比例する。
【0071】
最後に、血流速度(V)は、左側又は右側冠状動脈に沿って流れる血液の速度であって単位はcm/sであり、脈波伝達速度(
Pulse Wave Velocity;PWV)は、頚動脈と大腿動脈で脈波記録方法により測定したものであり、大動脈の弾力状態を反映する。血管壁が硬くなるほど速くなるが、特に動脈硬化性の変化が激しいほど血流速度又は脈波伝達速度が速い。
【0072】
また、各生物力学的指標を示す文字において、下付文字lは左側(left)を、下付文字rは右側(right)をそれぞれ指す。
【0073】
一方、主処理部210には、使用者の制御命令の入力を受ける入力部220と、主処理部で算出された結果を表示する出力部240とがそれぞれ連結される。
【0074】
ここで、出力部240は、プリンタだけでなく、モニタを通した画面出力部も含む。従って、
図1に図示した映像処理部230は画面出力部に内蔵するようになる。
【0075】
そして、入力部220は、通常のキーボード、マウスだけでなく、画面出力部(モニタ)に備えられたタッチ入力手段も含む。
【0076】
上記のような構成において、核心的な部分は、主処理部210の制御により生体信号を測定、分析してこれをもとに所定の数式により各生物力学的指標を算出させることにあるので、以下においては、これについて詳細に説明する。
【0077】
主処理部210の制御は、全体的に
図8のように、生体信号測定計100で獲得された生体信号をもとに大動脈弓内圧曲線を合成する段階(S100)、合成された大動脈弓内圧曲線を利用して左右冠状動脈血流量を算出する段階(S200)、大動脈弓内圧曲線及び左右冠状動脈血流量をもとに左右冠状動脈のC、Rを算出する段階(S300)、算出された生物力学的指標をもとに左右冠状動脈硬化度を算出する段階(S400)、及び算出された生物力学的指標を出力部240に伝送して状態図を算出させる段階(S500)からなることができる。
【0078】
ところが、主処理部210の制御は、基本的に生体信号測定計100に生体信号を測定させて生体信号の受信を受ける第1段階、受信された生体信号の波形を分析し、分析された波形資料をもとに大動脈弓内圧曲線Pを合成する第2段階、及び合成された大動脈弓内圧曲線Pの面積から生物力学的指標を算出して心血管の分析結果を表示する第3段階が含まれるようにプログラムされたことを特徴とし、下記のように多様に実施することができる。
【0079】
先ず、第1段階において、生体信号測定計100により生体信号を測定させるとき、心電図センサ122、心音図センサ124及び
収縮期血圧より一定圧力(約10〜15mmHg)加圧された状態で、カフ脈波センサ
126により同時に測定して生体信号(ECG、PCG、Cuff−APG)を獲得し、心電図センサ122、心音図センサ124及び
弛緩期血圧より一定圧力(約20〜30mmHg)減圧された状態で、カフ脈波センサ
126により同時に測定して生体信号(ECG、PCG、Cuff−APG)を獲得し、心電図センサ122、心音図センサ124及び左側頚動脈脈波センサ
126により同時に測定して生体信号(ECG、PCG、左頚動脈APG)を獲得し、心電図センサ122、心音図センサ124及び右側頚動脈脈波センサ
126により同時に測定して生体信号(ECG、PCG、右頚動脈APG)を獲得し、心電図センサ122及び大腿動脈脈波センサ
126により測定して生体信号(ECG、大腿動脈APG)を獲得するように制御することが好ましい。
【0080】
そして、第2段階において、受信された生体信号の波形分析は、先ず生体信号測定計中の心電図センサ122と心音図センサ124を通して獲得されたECG信号とPCG信号を分析して大動脈弓内圧曲線Pの特徴点を求める。
【0081】
ここで、大動脈弓内圧曲線Pの特徴点は、
図6において、収縮期の開始点(t1)、収縮期の最高点(t2)、切痕点(t3)、弛緩期の最高点(t4)、弛緩期の終了点(t5)を言う。
【0082】
そして、第2段階における大動脈弓内圧曲線Pの合成は、
収縮期血圧より一定圧力加圧して得られたCuff−APG脈波の分析資料
(高周波APG脈波)、弛緩期血圧より一定圧力減圧して得られたCuff−APG脈波の分析資料
(低周波APG脈波)及び左、右側頚動脈APG脈波の分析資料
(頚動脈APG脈波)を含んだ情報をもとに行われるようになる。
【0083】
そして、第3段階には、合成された大動脈弓内圧曲線Pの面積から生物力学的指標を算出して心血管の分析結果を表示するようになるが、これは、後述するように、合成された大動脈弓内圧曲線(P;60)が、
図7のように、カテーテルにより直接観血的に測定した大動脈弓内圧曲線50と波形の差はあるが、面積は互いに同一であることを利用したものである。
【0084】
生物力学的指標を算出する段階は、具体的に合成された大動脈弓内圧曲線Pの面積を含んだ基礎情報から左右冠状動脈の血流量(S
l、S
r)を算出する段階、大動脈弓内圧曲線P及び左右冠状動脈の血流量(S
l、S
r)を利用して左右冠状動脈の順応性(C
l、C
r)と血流抵抗(R
l、R
r)をそれぞれ算出する段階、及び算出された左右冠状動脈の順応性(C
l、C
r)と血流抵抗(R
l、R
r)を1つの状態図(C−R Chart)上に表示されるように出力部240に心血管の分析結果を伝送する段階を含んで構成される。
【0085】
このとき、左右冠状動脈の血流量(S
l、S
r)、順応性(C
l、C
r)及び血流抵抗(R
l、R
r)は、下記数式によりそれぞれ算出される。
【0088】
右冠状動脈の血流量
S
r=K
1πR
2(1−υ
2)
1/2Pm(1+Ad/K
2As)/(ρa) (数式2)
左冠状動脈の順応性
【0098】
数式1〜7において、Adは大動脈弓内圧曲線Pの弛緩期面積、Asは大動脈弓内圧曲線Pの収縮期面積、t
*は弛緩期で大動脈弓内圧曲線Pの1階導関数が0である点までの時間、υは血管のポアソン定数、Rは血管の換算半径、Pmは平均血圧、ρは血液密度、aは脈波伝播速度、Pdは大動脈弓内圧曲線Pの弛緩期血圧、Psは大動脈弓内圧曲線Pの収縮期血圧、P
*及びPs
*は大動脈弓内圧曲線Pの切痕点血圧、P
vは左冠状動脈の任意点における血圧、S
vは心拍出量、Kは係数、そしてK
1及びK
2はそれぞれ係数である。
【0099】
ここで、係数Kは下記数式8により算出されたものであり、K
1は冠状動脈入口から冠状動脈に流れる血流量の中で右冠状動脈に流れる血流量と関連する係数であって0.12〜0.15であり、K
2は組織内圧係数であって0.70〜0.75である。
【0101】
数式8において、kは冠状動脈入口から冠状動脈に流れる血流量の中で左冠状動脈に流れる血流量と関連する係数であって
0.85〜0.88であり、A=πR
2であって左冠状動脈の換算断面積であり、C
sは収縮時の順応性であり、mとnはそれぞれコペ定数である。
【0102】
そして、生物力学指標を算出する第3段階は、左右冠状動脈の血流量(S
l、S
r)、順応性(C
l、C
r)及び血流抵抗(R
l、R
r)から左右冠状動脈の動脈硬化度(As
l、As
r)を更に算出して出力部240に心血管の分析結果を伝送する段階を含んで構成されるようにすることが好ましい。
【0103】
このとき、左右冠状動脈の動脈硬化度(As
l、As
r)は、下記数式9、10によりそれぞれ算出される。
【0108】
数式9、10において、K
3は臨床で得られた係数であって0.70〜0.89である。
【0109】
更に、生物力学的指標を算出する第3段階は、合成された大動脈弓内圧曲線P及び左右冠状動脈の順応性(C
l、C
r)から左右冠状動脈の血流速度(V
l、V
r)を更に算出して出力部240に心血管の分析結果を伝送する段階を含んで構成されるようにすることが好ましい。
【0110】
このとき、左右冠状動脈の血流速度(V
l、V
r)は、下記数式11、12によりそれぞれ算出される。
【0118】
次に、
図9乃至
図16を参照とし、主処理部210の制御により第1段階から第3段階が具現される具体的な一実施例について説明する。
【0119】
図9乃至
図12は
図8の作業図をより具体的に示す一例示的詳細作業図であり、
図13は
図1の主処理部によるECG、PCG及び高周波APG波形の分析結果を表示する検査結果窓の一例示図であり、
図14は
図1の主処理部によるECG、PCG及び低周波APG波形の分析結果を示す検査結果窓の一例示図であり、
図15は
図1の主処理部による左右頚動脈APG波形の分析結果及び各一定区間選択時に拡大された波形と合成された大動脈弓内圧曲線の一例を示す検査結果窓の一例示図であり、
図16は
図1の主処理部による分析結果の一例としてC−R状態図(Chart)を示す検査結果窓の一例示図である。
【0120】
主処理部210は、先ず
図9のように、第1段階以前に検索メニュー窓、患者情報窓、検査診断窓、検査結果窓が含まれた初期画面を出力部240に表示し(S10)、初期画面において、新患者登録命令(S11)が受信された場合は患者情報の入力を受けて保存し(S13)、そうでない場合は登録された患者ファイルを開く命令(S12)の受信を受ける。
【0121】
次に、登録された患者ファイルを開く命令が受信された場合は登録された患者リストを検査結果窓に表示し、患者選択を受けて追加情報の入力を受け(S14)、そうでない場合は初期画面を引き続き表示する。
【0122】
次に、新患者情報又は選択された患者情報を患者情報窓に表示し、検査診断命令(S18)の受信を受ける段階に進むようになる。
【0123】
このとき、新患者情報又は選択された患者情報には患者を識別することができる個人情報及び身長、体重、血圧、人種の中で1つ以上含まれた身体情報で構成されるようにすることが好ましい。特に、患者(被検者)の身長、血圧、人種等は、生物力学的指標を算出するのに基礎データとして活用することができる。
【0124】
次に、第1段階の生体信号測定及び受信は、
図9及び
図10のように、下記の段階を含んで構成することができる。
【0125】
先ず、検査診断窓から検査命令(S18)の受信を受けると、生体信号測定命令選択窓を更に表示し(S20)、そうでなければ以前段階状態を維持する(第1−1段階)。
【0126】
次に、生体信号測定命令選択窓から収縮期脈波測定命令(S21)の受信を受けた場合は、生体信号測定センサ部の心電図センサ122、心音図センサ124及び加圧されたカフ脈波センサ126から測定波形を受け付けて検査結果窓に受信されたECG、PCG、高周波APG波形を表示し(S26)、そうでない場合は以前段階である生体信号測定命令受信待機段階を維持する(第1−2−1段階)。
【0127】
生体信号測定命令選択窓から弛緩期脈波測定命令(S22)の受信を受けた場合は、生体信号測定センサ部の心電図センサ122、心音図センサ124及び減圧されたカフ脈波センサ126から測定波形を受け付けて検査結果窓に受信されたECG、PCG、低周波APG波形を表示し(S26)、そうでない場合は以前段階である生体信号測定命令受信待機段階を維持する(第1−2−2段階)。
【0128】
生体信号測定命令選択窓から左側頚動脈脈波測定命令(S23)の受信を受けた場合は、生体信号測定センサ部の心電図センサ122、心音図センサ124及び頚動脈センサ126から測定波形を受け付けて検査結果窓に受信されたECG、PCG、左側頚動脈APG波形を表示し(S26)、そうでない場合は以前段階である生体信号測定命令受信待機段階を維持する(第1−2−3段階)。
【0129】
生体信号測定命令選択窓から右側頚動脈脈波測定命令(S24)の受信を受けた場合は、生体信号測定センサ部の心電図センサ122、心音図センサ124及び頚動脈センサ126から測定波形を受け付けて検査結果窓に受信されたECG、PCG、右側頚動脈APG波形を表示し(S26)、そうでない場合は以前段階である生体信号測定命令受信待機段階を維持する(第1−2−4段階)。
【0130】
生体信号測定命令選択窓から大腿動脈脈波測定命令(S25)の受信を受けた場合は、生体信号測定センサ部の心電図センサ122及び大腿動脈センサ126から測定波形を受け付けて検査結果窓に受信されたECG、大腿動脈APG波形を表示し(S27)、そうでない場合は以前段階である生体信号測定命令受信待機段階を維持する(第
1−2−5段階)。
【0131】
そして、第1−2−1段階乃至第
1−2−5段階の各段階以後には、検査結果窓に表示する波形の中で理想的な波形を選択するように波形選択命令(S28、S29)の受信を受け、波形選択命令が受信された場合は、画面キャプチャーをして選択された波形を保存し(S30)、そうでない場合は引き続き測定して測定された波形を表示する(第1−3段階)。
【0132】
このとき、理想的な波形が検査結果窓に表示されないとき、入力部220及び制御器146を通して雑音除去及び信号増幅器142に受信信号を調節することもできる。
【0133】
そして、第2段階の受信された生体信号の波形分析及び大動脈弓内圧曲線Pの合成は、
図10乃至
図12のように、下記段階等を含んで構成することができる。
【0134】
検査診断窓から分析命令(S32)の受信を受けると、分析メニュー窓を更に表示し(S34)、そうでなければ以前段階状態を維持する(第2−1段階)。
【0135】
分析メニュー窓において、収縮期信号分析命令(S36)が受信されると、
図13のように、保存されたECG71、PCG73、高周波APG75波形の特徴点を自動分析して検査結果窓70に表示し(S38)、そうでなければ以前段階状態を維持する(第2−2段階)。
【0136】
分析メニュー窓において、弛緩期信号分析命令(S40)が受信されると、
図14のように、保存されたECG72、PCG74、低周波APG76波形の特徴点を自動分析して検査結果窓70に表示し(S42)、そうでなければ以前段階状態を維持する(第2−3段階)。
【0137】
分析メニュー窓において、合成信号分析命令(S44)が受信されると、
図15のように、保存された左、右側頚動脈波形(77、78)を検査結果窓に表示し(S46)、そうでなければ以前段階状態を維持する(第2−4段階)。
【0138】
検査結果窓の左、右側頚動脈波形で各波形の詳細分析区間の選択(S48)を受けた場合(これは、
図15のように、出力部の画面でマウスにより該当区間をドラッグすることにより行うことができる)は、選択された区間の波形を拡大分析して検査結果窓の左下段(81、82)に表示し(S50)、そうでない場合は以前段階状態を維持する(第2−5段階)。
【0139】
検査結果窓の左下段に拡大された左、右側頚動脈波形(81、82)が順に表示された後、検査結果窓の右下段の空白をクリック(S52)する場合は、保存されたECG、PCG−APG波形資料を含む情報をもとに合成された大動脈弓内圧曲線83をクリックした位置に表示し(S54)、そうでない場合は以前段階状態を維持する(第2−6段階)。
【0140】
このとき、第2−2段階、第2−3段階及び第2−4段階において、検査結果窓に各波形を表示した後(S38、S42、S46)、検査診断窓から検査命令(S18)の受信を受けると、第1−1段階に戻って再測定し、そうでなければそれぞれの次の段階に進むようにすることが好ましい。
【0141】
最後に、第3段階の合成された大動脈弓内圧曲線Pの面積から生物力学的指標を算出して心血管の分析結果を表示する段階は、
図12のように、下記段階等を含んで構成することができる。
【0142】
検査診断窓から結果表示命令(S56)の受信を受けると、結果メニュー窓及び出力手段を更に表示し(S58)、そうでなければ以前段階状態を維持する(第3−1段階)。
【0143】
結果メニュー窓のうち、あるメニュー窓の選択(S60)を受けると、該当メニュー結果を表示し(S62)、そうでなければ以前段階状態を維持する(第3−2段階)。
【0144】
該当メニュー結果を表示した後、出力手段から出力命令(S64)の受信を受けると、該当メニュー結果を出力し(S66)、そうでなければ以前段階状態を維持する(第3−3段階)。
【0145】
このとき、結果メニュー窓には、C−R状態図(Chart)の評価が含まれており、
図16のように、C−R状態図(Chart)は、臨床結果による冠状動脈の状態を表示する領域が区画されており、C−R状態図(Chart)の評価結果は、被検者の左右冠状動脈の状態をC−R状態図(Chart)上に点で表現されたものが含まれるようにすることが好ましい。
【0146】
図16のC−R状態図(Chart)の領域の区画は、多様な臨床結果によって精密度を高めることができるように再区画することができることは当然であるが、臨床結果の一例として各領域を定義すると、下記のとおりである。
【0147】
領域1は、心血管の狭窄区域であり、症状がなくても一応冠状動脈の狭窄を疑うべきであり、症状がある場合の90%以上が、冠状動脈が50%以上塞がれている場合である。
【0148】
領域2は、心血管の狭窄が非常に疑われる区域であり、症状がある場合は80%以上狭窄であると診断することができる。
【0149】
領域3は、心血管の狭窄が疑われる区域であり、症状がある場合は狭窄に準じて次の検査や治療をすることができる。
【0150】
領域4は、50%程度の頻度で心血管の狭窄状態であると示され、症状がある場合は心血管造影術には正常であると示されても、心血管の状態がよくないものと判断することができる。
【0151】
領域5は、心血管の拡張型痙攣区域であり、症状がなくても非正常であると判断して観察が必要である。非正常的な拡張になり得る薬物過多服用も疑うことができる。
【0152】
領域6は、心筋組織の内圧による組織内の微細逆流若しくはその他の容認による心血管血流の不安定性が疑われる区域であり、心血管造影術においては大概正常であると示される場合が多い。症状の有無によって観察する必要がある。
【0153】
領域7は、血流、血管状態が正常ではないが、心血管造影術には塞がれていないものと示される領域であり、通常正常であると判断する。
【0155】
以下においては、上記実施例を裏付ける関連理論及び臨床資料を補充的に提示する。
【0156】
左冠状動脈で血液は弛緩期にのみ流れる。このような研究結果は、CCD型生体顕微鏡により冠状動脈内に流れ込むニオビウム光標識粒子の動きを観察して確証したものである。
【0157】
これにより、本発明においては、心臓が収縮するときに生じた組織内圧と心筋の自家操縦特性により左冠状動脈で血液流れは、弛緩期にのみあると見なす。
【0158】
このような事実から、大動脈弓40の収縮と弛緩は、冠状動脈の血液循環の見地で冠状動脈(42、44)に血液を供給する心臓と同じであると見ることができる。(
図4参照)。
【0159】
一方、右心室の収縮気圧は、左心室の収縮気圧の25〜30%程度であり、右心室壁内の心筋の収縮による冠状動脈の圧迫は小さい。
【0160】
従って、右冠状動脈で血流は、心臓が収縮するときに最大となり、右冠状動脈の血流波形は、大動脈弓内圧曲線に比例する圧力特性を有する。
【0161】
一方、他の実験試料によると、血管の収縮膨張時の血流量と血圧との間の関係は、170以下の血圧で線変形する。従って、収縮期血管の順応性と弛緩期血管の順応性は同一である。
【0162】
従って、非観血的に大動脈弓内圧曲線の面積を求める問題は、冠状動脈の血液循環を評価するための心臓タンクのポンプ機能、即ち冠状動脈に血液を供給するポンプの作用力を解明する問題と同一である。
【0163】
従って、先ず大動脈弓内圧曲線を構成する問題を検討すると、観血的方法により血管にカテーテルを挿入し、大動脈弓内圧曲線を描くと、最も正確な大動脈弓内の血圧波形と収縮期血圧及び弛緩期血圧を測ることができる。
【0164】
しかし、実際にはそのような方法を用いることができないため、大動脈弓内圧曲線を非観血的に求める問題を解決しなければならない。
【0165】
先ず、被検者の腕
(上腕)に
図3のようなカフ脈波センサを着用させ、収縮期血圧以上と弛緩期血圧以下に圧力を与えて波を受けると、血流がカフ(Cuff)の空気袋13を振動させて生じた波が伝達されるが、この波をコンピュータに表示すると、
それぞれ図13の高周波APG波形75及び図14の低周波APG波形76のようなカフの振動波形を
得ることができる。
【0166】
コンピュータに表示されたカフの空気袋に充満した空気が起こす波は原則的に脈波ではない。しかし、腕でカフ脈波センサにより測った脈波は血液が流れる全過程をコンピュータに正確に伝達する。
【0167】
上記のように、収縮期血圧より一定圧力加圧されたカフ脈波センサを通して獲得されたCuff―APG脈波は、コンピュータの主処理部210で分析され、高周波成分を持つ高周波APG波形を、弛緩期血圧より一定圧力減圧されたカフ脈波センサを通して獲得されたCuff―APG脈波は、低周波成分を持つ低周波APG波形をそれぞれ得て大動脈弓内圧曲線の合成に用いることになる。
【0168】
血圧計により測った収縮期血圧をP
sis、弛緩期血圧をP
dia、高周波
APG波形75の収縮期血圧をP
*sis、低周波
APG波形76の弛緩期血圧をP
*diaで表示すると、
P
*sis=P
sis+Δ1 (数式13)
P
*dia=P
dia−Δ2 (数式14)
である。
【0169】
一方、カテーテル及びカフ脈波センサにより測定した24名の導管検査資料を紹介すると、表1及び表2のとおりである。
【0172】
上記表1で得られたとおり、収縮期には血圧を大体11、弛緩期には20〜38程度であると考慮して脈波を受けると、観血的に得た大動脈弓内圧曲線と類似する
高周波APG波形75の収縮期血圧と低周波APG波形76の弛緩期血圧を求めることができる。
【0173】
ところが、カフ脈波センサにより測定された波らは、全てカフの空気袋に充満した空気に伝達される摂動波であるので、この波により実際に脈拍波を構成することができない。しかし、これらの波を適当に整合すると、ドップラーにより得た血圧波形の周波数と類似する
図13の75及び図14の76のような波形を描くことができる。
【0174】
コンピュータの検査結果窓70には、図13及び図14のように、同時測定されたECG及びPCG信号と同様に特徴点、即ち、収縮期の開始点(又は弛緩期の終了点)、収縮期の最高点、切痕点が自動解析され、各高周波APG波形75及び低周波APG波形76上に指示目盛りで表示される。
【0175】
従って、高周波APG波形75及び低周波APG波形76は、それぞれ観血的に得た大動脈弓内圧曲線と類似する収縮期血圧(収縮期の最高点での血圧)と弛緩期血圧(収縮期の開始点又は弛緩期の終了点での血圧)を持つようにされるので、前者を収縮期血圧の有効な情報を持つCuff―APG脈波に、後者を弛緩期血圧有効な情報を持つCuff―APG脈波とし、後述するように、頸動脈APG脈波と共に大動脈弓内耐圧曲線の合成資料として用いることになる。
【0176】
一方、頚動脈波は、Cuff−APGの空気袋を振動させる波ではなく、血管の表面で測定する波動であり、反射点を有しないので、
図15のように、大動脈弓内圧曲線の
波形と類似する頸動脈APG波形77、78を得ることができる。
【0177】
従って、本発明においては、
次の数式15及び16のような頸動脈APG脈波Pc、高周波APG脈波Pss及び低周波APG脈波Pdsを
収縮期と弛緩期に分けて合成して大動脈弓内圧曲線を作る。
【0178】
即ち、
合成された大動脈弓内圧曲線の収縮期脈波曲線
Pcsは、
【0180】
合成された大動脈弓内圧曲線の弛緩期脈波曲線
Pcdは、
【0182】
であり、切痕点
(ts)においては、次の条件を満たさなければならない。
【0184】
P
ssは
上腕でカフに収縮期血圧より一定圧力加圧して得られた高周波APG脈波、P
dsは
上腕でカフに弛緩期血圧より一定圧力減圧して得られた低周波APG脈波、P
cは頚動脈で測定した
頸動脈APG脈波である。
【0185】
上記数式15乃至17において、α、β、γを求める問題は、
観血的に血管内超音波ドップラーにより測った脈波曲線と合成した
脈波曲線の差により汎関数J[u(α、β、γ)]を作り、その最小化問題を解けば済む。
【0186】
上記のように非観血的に合成された大動脈弓内圧曲線は、観血的に得た大動脈弓脈波曲線との基本的な最小の誤差を有するが、両者の面積は同一であり、これらの特性は、人によって差がほとんどなかった。
【0187】
従って、本発明においては、観血的に得た大動脈弓内圧曲線の面積と非観血的に得た大動脈内圧曲線の面積とを利用して必要な臨床指標を得る方法を提案した。
【0188】
24名の導管検査資料を利用して
数式18乃至20による汎関数J1、J2の最小二乗法にα、β、γ
を得た例は、次のとおりである。
【0190】
上記表3の導管検査資料からα=0.22、β=0.13、γ=0.65を
得ることができる。
【0191】
従って、頸動脈APG脈波(Pc)、高周波APG脈波(Pss)及び低周波APG脈波(Pds)を測定することにより、数式15及び数式16によって大動脈弓内圧曲線を合成することができるようになり、合成された大動脈弓内圧曲線の収縮期及び弛緩期の面積を求め、必要な臨床指標を得ることができるようになる。
【0192】
次に、冠状動脈の血管を評価するための臨床指標決定について検討する。
【0193】
前述のように、心臓が収縮するときに左冠状動脈には血液が流れず、弛緩されるときこそ血液が流れ始める。
【0194】
ところが、冠状動脈の変形は大きくなく、ほぼ等方変形をするので、収縮期順応性や弛緩期順応性は近似的に同一である。従って、左冠状動脈で血流を起こす弛緩期血圧と体積変形により左冠状動脈の順応性を求めても、その順応性を冠状動脈の順応性として考察することができる。
【0195】
このような思想から、Ts≦t<T脈波波形をP(t)とすると、
図5の模型図から、
【0198】
上記数式21において、R
lは左冠状動脈の末梢抵抗、C
lは左冠状動脈の順応性、Q
lは左冠状動脈に流れる血流量である。
【0199】
実験資料によると、血管で圧力と体積間の関係は、普通血圧が170近傍まで血管変形が圧力に線状比例であった。
従って、C
lは定数であって、次のとおりである。
【0203】
右冠状動脈では収縮期にも血液が流れるので、
【0206】
上記数式22、23は、P、Qr、Rr、Cr間の関係を示す。
【0207】
Rr、Crを求める算法は、大動脈弓内圧曲線Pと血流量曲線(Q)が一致するときまでR、Cを調整する代わりに、大動脈弓内圧曲線Pの面積と血流量曲線の面積との間の関数関係を以ってR、Cを求める。
【0208】
面積対面積間の関数関係を得ると、再現性のあるR、Cを得ることができる。
【0210】
即ち、収縮期と弛緩期の大動脈弓内圧曲線の面積
の合との差の比に、切痕点血圧と弛緩期血圧との差を乗じたのは、冠状血管に入った血流量を順応性で割ったものと同一である。言い換えれば、大動脈弓内圧曲線の面積を入力信号とし、出力信号を血流量としてみると、次のような関数関係がある。
【0216】
となり、これは、血圧変動、血流量変動、大動脈弓内圧曲線の面積変動、即ち血管の動脈硬化、血管の痙攣発作と攣縮、薬物作用、血圧変動等に敏感であることが分かる。
【0217】
次に、冠状動脈を弾性管に血液が流れる単純管路と見て、血液が流れる弾性管路で流弾性体の問題を解いて、冠状血管の気質的変化と機能的変化とを区別する問題を解明する。
【0218】
図4において、左冠状動脈42及び右左冠状動脈44を1個の単純管路と見て、連続方程式と運動方程式を考察すると、
【0222】
上記数式26において、pwvは脈波伝播速度
【0224】
Pは血圧曲線、Qは血流量曲線、μは粘度、Aは血管断面積、ρは血液密度である。
【0233】
一方、Moensu Kortewegによると、
【0235】
であるので、弾性係数E=ρ(d/h)PWV
2である。
【0236】
従って、弾性係数(動脈硬化度)Eは、弾性波伝播速度aで表示されるので、冠状血管で血圧変動、痙攣発作、攣縮、薬物作用等に関係なく、冠状血管の気質的変化を代表することができる。
【0237】
従って、C、RでAを消去し変換して冠状血管の動脈硬化度Asc(弾性係数)を得る。
【0239】
上記数式31において、S=f(PWV)、K
3は臨床で得られた係数である。
【0240】
次に、上記で提起した冠状血管性質と血流特性とを反映する指標を臨床で用いるには、冠状動脈に流れる血流量を求める問題を解明しなければならない。
【0241】
ここで、この問題を解明するために、左冠状動脈と右冠状動脈とを区別して考察する。
【0242】
先ず、右冠状動脈の換算血管の長さがL、断面積Aとすると、
既に、水力学において広く知られているとおり、直線管路でスラリー流体の1次元流れで血圧波形と血流量波形とは類似する形態を有する。
【0243】
このような事実に基づいて右冠状動脈に流れる血流量の公式を、次のとおり作ることができる。
【0244】
実験結果から右冠状動脈における血圧曲線は、次のとおりである。
【0245】
血圧曲線を収縮期と弛緩期とに分けて積分すると、
【0248】
上記数式32、33において、T
Sは収縮時間、Tは心動周期であり、k
2は
0.70〜0.75である。
【0249】
プランク法則から、ここで右冠状動脈で脈圧と血流速度、弾性波伝播速度、血液密度の間には、次のような式が成立する。
ΔP=ρVa (数式34)
(V:血流速度、a:脈波伝播速度、ρ:血液密度、ΔP:脈圧)
右冠状動脈を単弾性鋼と仮定し、プランク公式を
Mc.Donald式に変換すると、右冠状動脈の血流量は、次のとおり求めることができる。
【0250】
S
r=K
1πR
2(1−υ
2)
1/2Pm(1+Ad/K
2As)/(ρa) (数式2)
(υ:血管のポアソン定数、R:血管直径、Pm:平均血圧)
K
1は、冠状動脈の入口から冠状動脈に流れる血流量の中で右冠状動脈に流れる血流量と関連する係数であって0.12〜0.15である。
【0251】
K
2は、組織内圧係数であって0.70〜0.75である。
【0252】
Pm=(K
2As+Ad)/R (数式35)
次に、左冠状動脈に流れる血流量について検討する。
【0253】
左冠状動脈で血流は、弛緩期大動脈に貯蓄されたポテンシャルエネルギーにより起こる。これにより、大動脈が収縮するときに血管の順応性の大きさは、冠状動脈で血流を起こす補充的因子となる。
【0254】
前述のプランク公式によると、Svc=ΔPπR
2T/(2ρa)である。本発明において、大動脈弓の収縮を冠状動脈に血液を供給する心臓であると仮定すると、プランク公式を利用して管血流量を求める
Mc.Donald公式Sv=KPm(1+Ad/As)を利用して冠状動脈血流量を求める公式を、次のとおり構成することができる。
【0256】
上記数式1において、Adは弛緩期大動脈弓内圧曲線Pの面積であり、t
*は弛緩期大動脈弓内圧曲線Pの1階導関数が0である点までの時間である。
【0259】
上記数式8において、kは冠状動脈の入口から冠状動脈に流れる血流量の中で左冠状動脈に流れる血流量と関連する係数であって
0.85〜0.88であり、A=πR
2であって左冠状動脈の換算断面積であり、C
sは収縮時の順応性であり、mとnはそれぞれコペ定数である。
【0260】
人種別コペ定数と年齢による収縮時の順応性の実験資料は、次の表4、5のとおりである。
【0263】
Mc.Donald公式と類似する上記数式1は、弛緩期の左冠状動脈血流量を極めて正確に反映している。本発明においては、左冠状動脈血流量公式を確証するために、6匹の犬を以って実験を進めた。
【0264】
実験においては、血管の拡張時に左冠状動脈の回旋枝の近位部でドップラーカテーテルにより血流量を測定し、カフ脈波曲線と頚動脈波曲線を測定して大動脈弓内圧曲線を作り、本発明において提起した公式を利用して血流量を求めた。
【0265】
実験結果によると、ドップラーカテーテルにより測定した血流量と、本発明において提起した大動脈弓内圧曲線により得た血流量は、高い相関関係があるということを示した。
【0266】
被実験犬の脈拍は、35回/分から207回/分、弛緩期の平均動脈圧は16〜60mmHg、血流量は0.12〜0.14mL、心動周期は481個を取った。
【0267】
ドップラー法による血流速度は、ドップラーにより測定した血流速度分布がポアズイユ速度分布を成すと仮定し、空間最大速度がスペクトルの最大速度の半分と同一であると仮定した。
【0268】
次に、超音波ドップラーを用いて求めた血流量は、血管造影検査で得た左冠状動脈の回旋枝の近位部の断面を測定してS
c=AVにより求めた(A:断面積、V:血流速度)。
【0269】
用いた超音波ドップラーは、スペクトル分析血流速度測定器付きの血流曲線形を描くドップラー血管の成形案内針金式血流量計を用いた。
【0270】
案内針金の長さは175cm、直径18インチであり、その端には12MHzの圧電超音波探測子付きの超音波ドップラー型導管計を用いた。
【0271】
実験結果、Sc=0.945S
*c+0.71、Cfである。
【0272】
左冠状動脈血流量の公式は、実測値と±6%の誤差を有する。
【0273】
同一の方法により右冠状動脈についても実験をし、実験結果はSc=1.21S
*c−0.21、γ
2=0.86、Se=3.98ffである。
【0274】
ここで、該当数学式をTsからTまで積分する。
【0275】
このとき、PvはPに比べて非常に小さいので、Pvを無視すると、
【0277】
である。この関係式を該当数式に代入すると、
【0280】
上記式において、P
*は切痕点の血圧であって、
【0283】
一方、R=(As+Ad)/Scl、Sclは左冠状動脈の血流量である。
【0284】
次に、大動脈に流れる血流速度を求める。
【0285】
観血的に得た大動脈弓内圧曲線の傾斜度と非観血的に得た大動脈弓内圧曲線の傾斜度を比較してみると、収縮期には人によって相関比に大きく差が出る。
【0286】
しかし、平均血圧点から弛緩期の終点までの曲線の傾斜度の間には、高い相関を示した。
【0287】
上記実験において、選定した24名の患者を対象に得た相関関係は、次のとおりである。
Grad Hc=0.918Grad Hn+0.024、γ
2=0.92、Se=1.68f (数式39)
上記数式39において、Grad Hcは観血的に得た大動脈弓内圧曲線の傾斜度であり、Grad Hnは、非観血的に得た大動脈弓内圧曲線の傾斜度である。
【0288】
一方、血管路で血流は、1次元運動するニュートン流体であると仮定するとき、血流はS平均化の意味で均一であるので、流体の運動をオイレルの見地で考察することができる。
【0289】
即ち、動脈のある点x1でV
1=(dx/dt)x
1が成立する。
【0290】
一方、大動脈弓内圧曲線において、脈波は平均動脈圧の近傍で弛緩期の終点までの圧力変化がほとんど線形であるので、次の方程式が成立する。
【0292】
上記数式40において、V
0は弛緩期の間に存在する平均血液の流れ速度であり、時間(t
1、t
2)は弛緩期区間内におけるある2点である。
【0293】
以上から左冠状動脈で血管の順応性と血流抵抗と動脈硬化度、血流速度は、次のとおりである。
【0307】
一方、右冠状動脈において、
順応性Crは、
【0315】
血流量Srは、
S
r=K
1πR
2(1−υ
2)
1/2Pm(1+Ad/K
2As)/(ρa) (数式2)
である。
【0316】
最後に、本発明による心血管分析装置を大韓民国内のある大学病院で直接複数名の患者に適用し、心血管分析を行った臨床試験結果を下記に提示する。
【0317】
下記臨床試験は、擬似冠状動脈疾患に対する血管造影を行った34名の患者を対象に行い、その結果は、次の表6及び7のとおりである。
【0320】
上記表6、7において、重症冠状動脈疾患(CAD)は、少なくとも1つの主要心外冠状動脈について血管造影を行い、50%以上の狭窄を示した冠状動脈疾患を言う。
【0321】
重症冠状動脈疾患に関する結果が陽性である場合、確実に高い可能性のカテゴリーを言う反面、低い可能性と否定のカテゴリーは、重症冠状動脈疾患に関するいろんな否定的結果に分かれる。
【0322】
結局、本発明による心血管分析装置は、心電図計(ECG)と超音波心臓診断術のようなその他の画面診断法に比べ、重症冠状動脈疾患の検出において、非常に良好な感度と診断特性を示した。
【0323】
他にも、測定時間、非観血的特性及び歩行不能の患者又はドブタミンの副作用を持つ患者を含むほぼ全ての対象について適用可能であるという長所を有する。