(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5722568
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月20日
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 23/32 20060101AFI20150430BHJP
【FI】
H02K23/32
【請求項の数】14
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-176753(P2010-176753)
(22)【出願日】2010年7月20日
(65)【公開番号】特開2011-24417(P2011-24417A)
(43)【公開日】2011年2月3日
【審査請求日】2013年7月19日
(31)【優先権主張番号】200910108820.1
(32)【優先日】2009年7月20日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】502458039
【氏名又は名称】ジョンソン エレクトリック ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(72)【発明者】
【氏名】ユー リ
(72)【発明者】
【氏名】バオ ティン リウ
(72)【発明者】
【氏名】ジー チェン パン
(72)【発明者】
【氏名】マオ ション ジアン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン キアン ソン
(72)【発明者】
【氏名】ジー ドン チャイ
【審査官】
塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2005/0184612(US,A1)
【文献】
特開昭50−116904(JP,A)
【文献】
実開昭55−023821(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 23/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子及び回転子を備え、固定子は、1より大きな整数をPとすれば、2P個の極を含み、回転子は、シャフト、シャフトに固定された回転子コア及び整流子を含み、
整流子は、Pより大きな偶数の整数をmとすれば、m個のセグメントを含み、各2つの隣接セグメントが巻線ユニットによって一緒に電気的に接続されて、回転子巻線がm個の巻線ユニットを含むようにし、それら巻線ユニットの少なくとも1つは、直列に接続されたP個のコイルを含み、そして
各巻線ユニットの各コイルが2つのセグメントに直接接続されており、
前記m個の巻線ユニットは、
1つのコイルしか含まない1つの巻線ユニットと、
直列に接続されたP+1個のコイルを各々含むP−1個の巻線ユニットと、
直列に接続されたP個のコイルを各々含むm−P個の巻線ユニットと、
で構成されることを特徴とするモータ。
【請求項2】
mは、Pの倍数であり、そしてnがPの倍数でPより大きいとすれば、回転子コアは、n個の歯を含む、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
第1セグメントZX及びそれに隣接する第2セグメントZX+1に接続され且つ2つ以上のコイルを含む巻線ユニットの場合、巻線ユニットの各2つの隣接コイルは、第1セグメントZX又は第2セグメントZX+1と同じ極性のもとにある共有セグメントZYに直接接続される、請求項1又は2に記載のモータ。
【請求項4】
整流子の1つの周囲方向に沿って、セグメントの数で測定された第1セグメントZXから共有セグメントZYまでの距離は、セグメントの数で測定された共有セグメントZYから第2セグメントZX+1までの距離より大きいか又は小さい、請求項3に記載のモータ。
【請求項5】
m個の巻線ユニットの各コイルは、そのコイルピッチが極ピッチに実質的に等しい、請求項1から4のいずれかに記載のモータ。
【請求項6】
同じ巻線ユニットの全てのコイルは、同じ巻線方向を有する、請求項1から5のいずれかに記載のモータ。
【請求項7】
第1セグメントZX及びそれに隣接する第2セグメントZX+1に接続された第1の巻線ユニット、並びにその第2セグメントZX+1及びそれに隣接する第3セグメントZX+2に接続された第2の巻線ユニットの場合に、前記第1の巻線ユニットの各コイルの巻き付け方向は、前記第2の巻線ユニットの各コイルの巻き付け方向と逆である、請求項6に記載のモータ。
【請求項8】
mは、nの倍数である、請求項2に記載のモータ。
【請求項9】
P、m及びnは、次の条件、即ち
P=2、m=36、n=18;
P=2、m=52、n=26;及び
P=3、m=54、n=27、
の1つを満足する、請求項8に記載のモータ。
【請求項10】
固定子は、固定子コアを備え、この固定子コアは、ヨーク部分と、ヨーク部分から内方に延びる2P個の歯とを備え、P個の歯は、一次突極として働き、残りのP個の歯は、補助突極として働き、一次突極及び補助突極は、ヨークの周囲方向に沿って交互に配列される、請求項1から9のいずれかに記載のモータ。
【請求項11】
前記一次突極の各々には、集中界磁コイルが巻かれ、そして前記補助突極の各々には、界磁コイルが巻かれないか、又は前記一次突極の界磁コイルより巻回数の少ない集中界磁コイルが巻かれる、請求項10に記載のモータ。
【請求項12】
前記モータは、整流子のセグメントにスライド接触する2つのブラシを備えた、請求項1から11のいずれかに記載のモータ。
【請求項13】
固定子及び回転子を備え、固定子は、1より大きな整数をPとすれば、2P個の極を含み、回転子は、シャフト、シャフトに固定された回転子コア及び整流子を含み、
整流子は、Pより大きな偶数の整数をmとすれば、m個のセグメントを含み、各2つの隣接セグメントが巻線ユニットによって一緒に電気的に接続されて、回転子巻線がm個の巻線ユニットを含むようにし、それら巻線ユニットの少なくとも1つは、直列に接続されたP個のコイルを含み、そして
各巻線ユニットの各コイルは、2つのセグメントに直接接続されており、
同じ巻線ユニットの全てのコイルは、同じ巻線方向を有し、
第1セグメントZX及びそれに隣接する第2セグメントZX+1に接続された第1の巻線ユニット、並びにその第2セグメントZX+1及びそれに隣接する第3セグメントZX+2に接続された第2の巻線ユニットの場合に、前記第1の巻線ユニットの各コイルの巻き付け方向は、前記第2の巻線ユニットの各コイルの巻き付け方向と逆であることを特徴とするコイル。
【請求項14】
固定子及び回転子を備え、固定子は、1より大きな整数をPとすれば、2P個の極を含み、回転子は、シャフト、シャフトに固定された回転子コア及び整流子を含み、
整流子は、Pより大きな偶数の整数をmとすれば、m個のセグメントを含み、各2つの隣接セグメントが巻線ユニットによって一緒に電気的に接続されて、回転子巻線がm個の巻線ユニットを含むようにし、それら巻線ユニットの少なくとも1つは、直列に接続されたP個のコイルを含み、そして
各巻線ユニットの各コイルは、離間しかつ同じ極性のもとにある2つのセグメントに直接接続されており、
第1セグメントZX及びそれに隣接する第2セグメントZX+1に接続され且つ2つ以上のコイルを含む巻線ユニットの場合、巻線ユニットの各2つの隣接コイルは、第1セグメントZX又は第2セグメントZX+1と同じ極性のもとにある共有セグメントZYに直接接続されており、セグメントZXとセグメントZYとの間にあるセグメントの数は、セグメントZYとセグメントZX+1との間にあるセグメントの数と異なることを特徴とするモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気モータに係り、より詳細には、固定子と、ブラシと、整流子を伴う回転子とを備えた多極モータに係る。ここで使用する「多極モータ」という語は、4つ以上の固定子極を有するモータを意味する。
【背景技術】
【0002】
整流子モータは、一般的に、複数の固定子極を有する固定子と、回転子シャフト、シャフトに固定された回転子コア、シャフトに固定された整流子、及び回転子コアの極の周りに巻かれて整流子のセグメントに電気的に接続された回転子巻線を有する回転子とを備えている。ブラシは、整流子を経て巻線へ電力を伝達する。ブラシの数は、一般に、固定子極の数の増加と共に増加する。例えば、2極モータは、通常、2つのブラシを有し、又、4極モータは、通常、4つのブラシを有する。ブラシの数の増加は、モータのコスト及びサイズを増加させる。
【0003】
良く知られたように、ウェーブ巻線は、ブラシの数を減少する1つの方法である。しかしながら、慣習的なウェーブ巻線は、奇数の巻線スロットをもつ回転子及び奇数のセグメントをもつ整流子をモータに設ける必要がある上に、巻線スロット(回転子極)の数及びセグメントの数を固定子極の数の倍数でないようにする必要もある。それ故、ウェーブ巻線は、ある特定のモータに限定される。更に、慣習的なウェーブ巻線は、奇数のコイルであるために単一のフライヤーを使用する巻き付け機によって巻かれ、これは、二重フライヤー巻き付け機を使用する場合より長い時間を要する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、改良された多極モータ、特に、偶数のセグメントを有するモータを開発することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、本発明は、その1つの態様において、固定子及び回転子を備え、固定子は、1より大きな整数をPとすれば、2P個の極を含み、回転子は、シャフト、シャフトに固定された回転子コア及び整流子を含み、整流子は、Pより大きな偶数の整数をmとすれば、m個のセグメントを含み、各2つの隣接セグメントが巻線ユニットによって一緒に電気的に接続されて、回転子巻線がm個の巻線ユニットを含むようにし、それら巻線ユニットの少なくとも1つは、直列に接続されたP個のコイルを含み、そして各巻線ユニットの各コイルがそれに対応する2つのセグメントに直接接続されるようにしたモータを提供する。
【0006】
好ましくは、mは、Pの倍数であり、そしてnがPの倍数でPより大きいとすれば、回転子コアは、n個の歯を含む。
【0007】
好ましくは、m個の巻線ユニットは、1つのコイルしか含まない1つの巻線ユニットと、直列に接続されたP+1個のコイルを各々含むP−1個の巻線ユニットと、直列に接続されたP個のコイルを各々含むm−P個の巻線ユニットとで構成される。
【0008】
好ましくは、第1セグメントZX及びそれに隣接する第2セグメントZX+1に接続され、2つ以上のコイルを含む巻線ユニットの場合に、巻線ユニットの各2つの隣接コイルは、第1セグメントZX又は第2セグメントZX+1と同じ極性のもとにある共有セグメントZYに直接接続される。
【0009】
好ましくは、整流子の1つの周囲方向に沿って、セグメントの数で測定された第1セグメントZXから共有セグメントZYまでの距離は、セグメントの数で測定された共有セグメントZYから第2セグメントZX+1までの距離より大きいか又は小さい。
【0010】
好ましくは、m個の巻線ユニットの各コイルは、そのコイルピッチが極ピッチに実質的に等しい。
【0011】
好ましくは、同じ巻線ユニットの全てのコイルは、同じ巻線方向を有する。
【0012】
好ましくは、第1セグメントZX及びそれに隣接する第2セグメントZX+1に接続された第1の巻線ユニット、並びにその第2セグメントZX+1及びそれに隣接する第3セグメントZX+2に接続された第2の巻線ユニットの場合に、第1の巻線ユニットの各コイルの巻き付け方向は、第2の巻線ユニットの各コイルの巻き付け方向と逆である。
【0013】
好ましくは、mは、nの倍数である。
【0014】
好ましくは、P、m及びnは、次の条件、即ちP=2、m=36、n=18;P=2、m=52、n=26;及びP=3、m=54、n=27、の1つを満足する。
【0015】
好ましくは、モータは、整流子のセグメントにスライド接触する2つのブラシを備えている。
【0016】
好ましくは、固定子は、固定子コアを備え、この固定子コアは、ヨーク部分と、ヨーク部分から内方に延びる2P個の歯とを備え、P個の歯は、一次突極として働き、残りのP個の歯は、補助突極として働き、一次突極及び補助突極は、ヨークの周囲方向に沿って交互に配列される。
【0017】
好ましくは、一次突極の各々には、集中界磁コイルが巻かれ、そして補助突極の各々には、界磁コイルが巻かれないか、又は一次突極の界磁コイルより巻回数の少ない集中界磁コイルが巻かれる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の好ましい実施形態によるモータは、偶数のセグメントを有し、それ故、回転子巻線は、二重フライヤー巻き付け機を使用して迅速に巻かれる。本発明による巻線スキームを実施することによりブラシの数を減少することができる。
【0019】
以下、添付図面を参照し、本発明の好ましい実施形態を一例として説明する。2つ以上の図に現れる同じ構造物、要素又は部品は、一般的に、それらが現れる全ての図において同じ参照番号で示す。図示されたコンポーネント及び特徴部の寸法は、一般的に、表現の便宜上及び明瞭化のために選択されたものであって、必ずしも正しいスケールで示されていない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態によるユニバーサルモータを示す。
【
図2】ベアリングブラケットを除去した
図1のユニバーサルモータの平面図である。
【
図3】
図1のユニバーサルモータの回転子の巻線を示す。
【
図4】
図1のモータの巻線スロット、回転子巻線及びセグメントの間の接続関係を示す巻線テーブルである。
【
図5】
図1のモータの回転子巻線、セグメント及びブラシの電気的接続関係を示す。
【
図6】本発明の別の実施形態による多極モータの巻線スロット、回転子巻線及びセグメントの接続関係を示す巻線テーブルである。
【
図7】本発明の更に別の実施形態による別の多極モータの回転子巻線及びセグメントの接続関係を示す巻線テーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、4つ以上の極を有する固定子と、偶数の歯(スロット)を有する回転子と、偶数のセグメントをもつ整流子とを備えたモータを提供する。本発明の実施によりブラシの数が減少される。
【0022】
図1は、本発明の1つの好ましい実施形態によるユニバーサルモータを示し、そして
図2は、整流子122を露呈させるためにベアリングブラケットが除去されたユニバーサルモータの平面図である。この実施形態によるユニバーサルモータは、固定子と、固定子に直面して回転可能に取り付けられた回転子とを備えた単相直列モータである。固定子は、固定子コア101と、固定子の軸方向一端に配置された2つのブラシ108、109とを備えている。固定子コア101は、モータの軸方向にラミネーションを積み重ねることにより形成され、そしてヨーク部分と、ヨーク部分から内方に延びる突極102〜105とを備え、突極102及び104は、界磁コイルが巻かれて、一次極として機能し、一方、突極103及び105は、界磁コイルが巻かれず、補助極として機能する。或いは又、補助極は、一次極より巻回数が各々少ない界磁コイルを有してもよい。一次極102、104、及び補助極103、105は、固定子コア101の周囲方向に交互に配列される。界磁コイルの電気的接続は、固定子により4つの極が形成されるように制御ユニット(図示せず)により制御される。換言すれば、以下、Pと称される、モータの極対の数は、2である。界磁コイルにより極を形成する方法は、良く知られている。
【0023】
回転子は、回転子シャフト121と、シャフト121に固定された回転子コアと、回転子コアに隣接してシャフト121に固定された整流子122と、回転子コアの歯の周りに巻かれて整流子122のセグメントに電気的に接続された回転子巻線とを備えている。この実施形態では、回転子コアは、18個の歯を含み、そして整流子122は、36個のセグメントを含む。セグメントの数は、極対の数の倍数である歯の数の倍数である。
【0024】
図3及び4は、回転子巻線の接続関係を示す。
図3を参照すれば、最も上の行は、2つのブラシ108及び109を表し、第2の行は、整流子の36個のセグメントZ
1〜Z
36を表し、第3の行は、回転子コアの18個の歯及びこれらの歯によって形成された18個の巻線スロットS
1〜S
18を表し、そして第4の行は、固定子の4個の極102〜105を表している。巻き付け手順において、ワイヤは、セグメントZ
1からスタートし、次いで、巻線スロットS
5及びS
1を繰り返し通って、それら巻線スロットS
5とS
1との間の4つの歯の周りに巻かれたコイルを形成し、次いで、ワイヤは、セグメントZ
19に接続される。次いで、ワイヤは、セグメントZ
19からスタートし、巻線スロットS
14及びS
15を通過して、それら巻線スロットS
14とS
10との間の歯の周りに巻かれたコイルを形成し、次いで、ワイヤは、セグメントZ
1に隣接するセグメントZ
2に接続される。換言すれば、セグメントZ
1は、実質的にセグメントZ
1と同じ極性のもとにある共有セグメントZ
19に接続された直列接続の2つのコイルにより、セグメントZ
2に電気的に接続される。ここで使用する「同じ極性のもとにある2つ以上のセグメント」とは、同じ極性の極間の距離により2つ以上のセグメントが互いに分離されていることを意味する。良く知られたように、2P個の交互の極と、m個のセグメントの整流子とを有するモータの場合、セグメントの数で測定された同じ極性の極間の距離は、m/Pに等しい。簡単化のため、m個のセグメントは、セグメントZ
1、Z
2、・・・Z
x、Z
y、・・・Z
mと称され、ここで、1≦x≦m及び1≦y≦mである。|y−x|がm/P又はm/Pの倍数に等しい場合には、セグメントZ
x及びZ
yが同じ極性のもとになければならない。
図3及び4を更に参照すれば、好ましい実施形態によるモータは、4即ち2x2の交互の極と、36個のセグメントとを有し、そして|y−x|が18即ち36/2に等しい場合には、セグメントZ
x及びZ
yが同じ極性のもとになければならない。
【0025】
セグメントZ
2は、直列接続された2つのコイルより成る巻線ユニットによりセグメントZ
3に電気的に接続される。2つのコイルの一方は、巻線スロットS
6とS
10との間で歯の周りに巻かれ、そして他方のコイルは、巻線スロットS
15とS
1との間で歯の周りに巻かれる。又、2つのコイルは、セグメントZ
2と同じ極性のもとにある共有セグメントZ
20にも接続される。
【0026】
セグメントZ
1及びZ
2の電気的接続と同様に、セグメントZ
3は、直列接続された2つのコイルより成る巻線ユニットによりセグメントZ
4に電気的に接続される。2つのコイルの一方は、巻線スロットS
6とS
2との間で歯の周りに巻かれ、そして他方のコイルは、巻線スロットS
15とS
11との間で歯の周りに巻かれる。又、2つのコイルは、セグメントZ
3と同じ極性のもとにある共有セグメントZ
21にも接続される。
【0027】
セグメントZ
2及びZ
3の電気的接続と同様に、セグメントZ
4は、直列接続された2つのコイルより成る巻線ユニットによりセグメントZ
5に電気的に接続される。2つのコイルの一方は、巻線スロットS
7とS
11との間で歯の周りに巻かれ、そして他方のコイルは、巻線スロットS
16とS
2との間で歯の周りに巻かれる。又、2つのコイルは、セグメントZ
4と同じ極性のもとにある共有セグメントZ
22にも接続される。
【0028】
換言すれば、各2つの隣接セグメントが巻線ユニットにより電気的に接続される。ほとんどのケースでは、巻線ユニットは、直列に接続された2つのコイルを含む。しかしながら、セグメントZ
18及びZ
19は、直列に接続された3つのコイルを含む巻線ユニットにより電気的に接続され、そしてセグメントZ
36及びZ
1は、1つのコイルしか含まない巻線ユニットにより電気的に接続される。
【0029】
換言すれば、2P個の交互の極と、m個のセグメントZ
1〜Z
mの整流子とを含み、Pが1より大きな偶数の整数で、mがPの倍数であるモータの場合、各2つの隣接セグメントが巻線ユニットにより接続されて、回転子巻線がm個の巻線ユニットをもつようにされ、ここで、
(1)セグメントZ
m及びZ
1に接続された巻線ユニットは、1つのコイルしか含まず、
(2)1≦x、x+1≦m、及びxがm/Pの倍数である場合に、セグメントZ
x及びZ
x+1に接続される巻線ユニットは、直列接続されたP+1個のコイルを含む。巻線ユニットの各2つの隣接コイルは、セグメントZ
x又はZ
x+1と同じ極性のもとにある共有セグメントに接続され、P−1個のこのような巻線ユニットがあることを理解すべきであり、そして
(3)1≦x、x+1≦m、及びxがm/Pの倍数でない場合に、セグメントZ
x及びZ
x+1に接続される巻線ユニットは、直列接続されたP個のコイルを含み、巻線ユニットのP個のコイルの各2つの隣接セグメントは、セグメントZ
x又はZ
x+1と同じ極性のもとにある共有セグメントに接続される。m−P個のこのような巻線ユニットがあることを理解すべきである。
【0030】
更に、コイルピッチ(以下、qと称する)は、モータの性能を改善すると共に、コイルのリード線を短縮するために、できるだけ極ピッチに等しくするのが好ましい。2P個の固定子極の固定子及びn個の歯の回転子を有するモータの場合に、極ピッチは、n/2Pとして表現される。コイルピッチqは、式|q−n/2P|<1を満足するのが好ましい。
図3及び
図4に示す規範的なモータの場合、極ピッチは、4.5即ち18/4に等しく、そしてコイルピッチは4である。
【0031】
更に、上述したように、セグメントZ
x及びZ
x+1に接続され且つ2つ以上のコイルを含む巻線ユニットの場合、各2つの隣接コイルは、セグメントZ
x又はZ
x+1と同じ極性のもとにある共有セグメントZ
yに接続される。即ち、|y−x|がm/Pの倍数に等しいか、又は|(x+1)−y|がm/Pの倍数に等しい。整流子の1つの周囲方向に沿って、セグメントZ
xからセグメントZ
yまでの距離は、セグメントZ
yからセグメントZ
X+1までの距離に等しくない。例えば、セグメントZ
1及びZ
2に接続された巻線ユニットは、2つのコイルを含み、そして2つのコイルは、共有セグメントZ
19に接続される。セグメントZ
1−セグメントZ
19−セグメントZ
2の周囲方向から、セグメントZ
1とセグメントZ
19との間に17個のセグメントZ
2〜Z
18があり、そしてセグメントZ
19とセグメントZ
2との間に18個のセグメントZ
20〜Z
36〜Z
1がある。
【0032】
更に、同じ巻線ユニットのコイルの巻き付け方向は、同じであり、例えば、時計方向又は反時計方向に巻かれる。しかしながら、隣接する3つのセグメントに各々接続される2つの巻線ユニットの場合、第1の巻線ユニットのコイルの巻き付け方向は、第2の巻線ユニットのコイルの巻き付け方向と異なる。これは、2つの巻線ユニットが異なる極性のもとにあるからである。例えば、セグメントZ
1及びZ
2に接続される巻線ユニットのコイルは、時計方向に巻かれ、一方、セグメントZ
2及びZ
3に接続される巻線ユニットのコイルは、反時計方向に巻かれる。
【0033】
図5は、モータの回転子巻線、セグメント及びブラシの電気的接続関係を示す。
図5において、小さな長方形ボックスは、整流子のセグメントを表し、例えば、数字ラベル1をもつ小さな長方形ボックスは、セグメントZ
1を表す。波状の線は、セグメントに接続されたコイルを表し、C
-1のような負のラベルをもつコイルは、コイルが反時計方向に巻かれることを意味し、そしてC
1のような正のラベルをもつコイルは、コイルが時計方向に巻かれることを意味する。
【0034】
図5のモータは、m個の巻線ユニットを備えている。上述したように、各巻線ユニットは、1個、P個、又はP+1個のコイルを備え、そしてm個の巻線ユニットは全体でm・P個のコイルを備えている。m・P個のコイルは、2つの並列の岐路を形成し、これは、両方とも、ブラシ108及び109に接続される。ブラシ108及び109は、機械的に約90°離間される。
図5に示すように、各ブラシは、整流中に3つのセグメントを短絡する。例えば、セグメントZ
1、Z
2及びZ
3は、ブラシ108により短絡され、従って、コイルC
2、C
11、C
-7及びC
-16がブラシ108により短絡される。セグメントZ
10、Z
11及びZ
12は、ブラシ109により短絡され、従って、コイルC
-11、C
-2、C
7及びC
16がブラシ109により短絡される。より多くのブラシが使用される場合には、より多くのコイルが短絡されることが明らかである。換言すれば、好ましい実施形態によるモータは、少ない数のブラシを使用し、従って、少ない数のコイルが短絡され、モータの性能が改善される。更に、m・P個のコイルは、2つの平行な岐路しか形成せず、モータは、高い電圧に生き残ることができる。
【0035】
図6は、本発明の別の実施形態による回転子巻線、巻線スロット、及びセグメントの接続関係を示す巻線テーブルである。このモータは、2つのブラシ、4つの極(2P=4)をもつ固定子、26個の歯(n=26)をもつ回転子、52個のセグメント(m=52)をもつ整流子を備えている。簡単化のために、52個のセグメントは、各々、セグメントZ
1からZ
52と命名される。巻線構成は、次の特徴を有する。
(1)各2つの隣接セグメントが、直列接続された1つのコイル又は2つ以上のコイルを含む巻線ユニットにより電気的に接続され、そして各コイルの両端がそれに対応するセグメントに直接接続される。
(2)1≦x、x+1≦m、及びxがm/Pの倍数でない場合に、セグメントZ
x及びZ
x+1に接続される巻線ユニットは、直列接続されたP個のコイルを含み、巻線ユニットの各2つの隣接コイルは、セグメントZ
x又はZ
x+1と同じ極性のもとにある共有セグメントに接続され、このような巻線ユニットの数は、m−Pである。
(3)セグメントZ
m及びセグメントZ
1に接続される巻線ユニットは、1つのコイルしか含まない。
(4)1≦x、x+1≦m、及びxがm/Pの倍数である場合に、セグメントZ
x及びZ
x+1に接続される巻線ユニットは、直列接続されたP+1個のコイルを含み、巻線ユニットの各2つの隣接コイルは、セグメントZ
x又はZ
x+1と同じ極性のもとにある共有セグメントに接続され、このような巻線ユニットの数は、P−1である。
(5)各コイルは、そのコイルピッチが1つの極ピッチにほぼ等しく、極ピッチは、m/2Pとして表現される。
【0036】
図7は、本発明の更に別の実施形態による別の巻線テーブルである。このモータは、6個の極(2P=6)をもつ固定子、2個のブラシ、27個の歯(n=27)の回転子コアをもつ回転子、及び54個のセグメント(m=54)の整流子を備えている。簡単化のために、54個のセグメントは、各々、セグメントZ
1からZ
54と命名される。
図7に示す巻線構成も、
図6に示す巻線構成と同様の特徴を有する。
【0037】
本発明による巻線構成は、ユニバーサルモータ又は永久磁石直流(PMDC)モータにおいて実施することができる、そしてモータは、食品調理機、電動ジューサ、送風機、研磨機、クリーナー、等に使用されるのが好ましい。
【0038】
本発明の説明及び特許請求の範囲において、動詞「備える(comprise)」、「含む(include)」、「収容する(contain)」及び「有する(have)」並びにその変化は、各々、ここに述べたアイテムの存在を特定するために包括的な意味で使用され、付加的なアイテムの存在を除外するものではない。
【0039】
本発明は、1つ以上の好ましい実施形態を参照して説明したが、当業者であれば、種々の変更がなされ得ることが明らかであろう。それ故、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって決定されるものとする。
【符号の説明】
【0040】
101:固定子コア
102〜105:突極
108、109:ブラシ
121:回転子シャフト
122:整流子
Z
1〜Z
36:整流子のセグメント
S
1〜S
18:巻線スロット