(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5722634
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】溶離剤リサイクルを伴うイオンクロマトグラフィーシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 30/26 20060101AFI20150507BHJP
G01N 30/02 20060101ALI20150507BHJP
G01N 30/64 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
G01N30/26 H
G01N30/02 E
G01N30/64 Z
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2010-548791(P2010-548791)
(86)(22)【出願日】2009年2月13日
(65)【公表番号】特表2011-513731(P2011-513731A)
(43)【公表日】2011年4月28日
(86)【国際出願番号】US2009034108
(87)【国際公開番号】WO2009108521
(87)【国際公開日】20090903
【審査請求日】2012年2月13日
(31)【優先権主張番号】12/036,544
(32)【優先日】2008年2月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591025358
【氏名又は名称】ダイオネックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084009
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】スリニヴァサン カナン
(72)【発明者】
【氏名】リン ロン
(72)【発明者】
【氏名】バルドワージ シータル
(72)【発明者】
【氏名】ポール クリストファー エイ
【審査官】
黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−531992(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0186046(US,A1)
【文献】
特表2011−513731(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/035346(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/26
G01N 30/02
G01N 30/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオンクロマトグラフィー装置であって、
(a) 正または負の一方の電荷をもつ交換性のイオンを有し、該交換性のイオンと同じ電荷の被検体イオンを分離するためのイオン交換分離媒体を含み、かつ入口および出口を有するクロマトグラフィーカラムであって、該分離媒体を通して電流を流すための電極と結合していない該クロマトグラフィーカラム;
(b) 該クロマトグラフィーカラム入口と流体連絡状態にある水性溶離剤液体流の源;
(c) 該クロマトグラフィーカラム出口の下流側にあり、該クロマトグラフィーカラムと流体連絡状態にある、サンプル中の被検体イオンを検出するための検出器;
(d) 該検出器と該クロマトグラフィーカラム入口との間に流体連絡をもたらすリサイクルライン;及び
(e) 該リサイクルラインに沿って配置された電解精製デバイスであって、溶離剤流から被検体イオンを分離するための、該分離媒体の交換性イオンと同じ電荷の交換性イオンを有するイオン交換除去媒体を含み、前記イオン交換除去媒体を横切って電場を印加することにより連続的に再生可能である該電解精製デバイス
を含み、該クロマトグラフィーカラム出口と該検出器との間にサプレッサを含まないことを特徴とする、前記イオンクロマトグラフィー装置。
【請求項2】
前記イオン交換除去媒体が、流通式イオン交換充填物を含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記イオン交換除去媒体が、イオン交換膜を含む、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記検出器が、導電率検出器である、請求項1記載の装置。
【請求項5】
(a) 正または負の一方の電荷をもつ交換性のイオンを有し、該交換性のイオンと同じ電荷の被検体イオンを分離するためのイオン交換分離媒体を含み、かつ入口および出口を有するクロマトグラフィーカラム;
(b) 該クロマトグラフィーカラム入口と流体連絡状態にある水性溶離剤液体流の源;
(c) 該クロマトグラフィーカラム出口の下流側にあり、該クロマトグラフィーカラムと流体連絡状態にある、該被検体イオンを検出するための検出器;
(d) 該検出器と該クロマトグラフィーカラム入口との間に流体連絡をもたらすリサイクルライン;及び
(e) 該リサイクルラインに沿って配置された電解精製デバイスであって、溶離剤流から被検体イオンを分離するための、該交換性イオンと同じ電荷の交換性イオンを有するイオン交換除去媒体と、該イオン交換除去媒体を横切る電場を印加して該イオン交換除去媒体を連続的に再生するように配置された一対の電極とを含む、該電解精製デバイス、
を含むことを特徴とする、イオンクロマトグラフィー装置。
【請求項6】
前記イオン交換除去媒体が、イオン交換膜を含む、請求項5記載の装置。
【請求項7】
更に、前記分離媒体を通して電流を流すように設けられた一対の電極を含む、請求項5記載の装置。
【請求項8】
前記クロマトグラフィーカラム出口と前記検出器との間にサプレッサを含まない、請求項5記載の装置。
【請求項9】
イオンクロマトグラフィー方法であって、
(a) 水性溶離剤溶液中の、正または負の一方の電荷をもつサンプル被検体イオンを、該被検体イオンと同じ電荷の交換性イオンを有するイオン交換媒体を含むクロマトグラフィーカラムに流す工程;
(b) 非電解条件の下で、該クロマトグラフィーカラム中の該被検体イオンをクロマトグラフィーにより分離する工程;
(c) 該分離された被検体イオンを検出する工程、ここで該方法は、該分離工程と該検出工程との間において、該溶離剤イオンを抑制することなしに行われ;
(d) 該検出器からの、該検出されたサンプル溶液および該溶離剤溶液を、該クロマトグラフィーカラムに再循環する工程;および
(e) 該再循環工程中、該検出されたサンプル溶液を、被検体イオンを分離するためのイオン交換除去媒体を含む電解精製デバイスを通して流して、該クロマトグラフィーカラムに流す前に該被検体イオンを除去する工程であって、該イオン交換除去媒体が、該イオン交換除去媒体を横切って電場を印加することにより該除去工程中で連続的に再生される、工程;
を含むことを特徴とする、前記イオンクロマトグラフィー法。
【請求項10】
前記溶離剤溶液が、電解質を含む、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記イオン交換除去媒体が、イオン交換膜を含む、請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記除去工程が、前記溶離剤溶液中の前記サンプル被検体イオンを流通式イオン交換充填物を通して流すことにより行われる、請求項9記載の方法。
【請求項13】
(a) 水性溶離剤流中の、正または負の一方の電荷をもつ被検体イオンを、該被検体イオンと同じ電荷の交換性イオンを有するイオン交換媒体を含むクロマトグラフィーカラムに流す工程;
(b) 該クロマトグラフィーカラム中の該被検体イオンをクロマトグラフィーにより分離する工程;
(c) 該分離された被検体イオンを検出する工程;
(d) 該検出器からの、該検出されたサンプル溶液および該水性溶離剤流を、該クロマトグラフィーカラムに再循環する工程;および
(e) 該再循環工程中、該検出されたサンプル溶液を、被検体イオンを分離するためのイオン交換除去媒体および一対の電極を含む電解精製デバイスを通して流し、かつ該イオン交換除去媒体を横切る電流を流して、該クロマトグラフィーカラムに流す前に該被検体イオンを除去する工程;
を含むことを特徴とする、イオンクロマトグラフィー法。
【請求項14】
更に、クロマトグラフィー分離中、前記分離媒体を通して電流を流す工程を含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記イオン交換除去媒体が、イオン交換膜を含む、請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記水性溶離剤流が、実質的に電解質を含まない、請求項13記載の方法。
【請求項17】
前記分離工程と前記検出工程との間に、サプレッサの存在しない状態の下で行われる、請求項13記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では「SCIC」と呼ぶ、単一カラム式イオンクロマトグラフィーは、サプレッサを使用しないイオンクロマトグラフィー用途を包含する。イオンクロマトグラフィーの初期において、充填床(packed bed)サプレッサは、幾つかの潜在的な問題、例えば付加された遅延体積がバンドの広がりを引起すこと、シグナルの該充填床の消耗度に対する依存性、該床の頻繁な再生の必要性等の発生へと導く。従って、幾人かの研究者等は、サプレッサを用いることのないイオンクロマトグラフィー方法を吟味した。これについては、米国特許第4,272,246号および同第4,732,686号を参照のこと。
【背景技術】
【0002】
HPLCにおける溶離剤または移動相のリサイクルは、主として、該分析中の画分を集め、クロマトグラムにおけるピークのない領域を目標として設定得ることにより、定組成モードで行われている。典型的には、バルブを切り換えて、被検体ピークを廃棄すべく迂回させ、一方クロマトグラムのベースライン部分にある間に移動相を集め、これを移動相貯槽に迂回によって戻す。この方法は一般的に用いられているが、幾つかの制限を被る。例えば、(a) この方法は、該被検体濃度が、該ベースラインのノイズよりも著しく高い場合にのみ、実行可能であり;(b) 該方法が、該ベースライン部分と、興味の対象とするピークとの識別に依拠していることから、該被検体濃度が最低検出限界に近い場合には、その差は小さくなり、また溶媒部分を明確に分別、分画することは困難であり;また(c) この方法は、該被検体を含まない領域の入手可能性に依拠しているので、該クロマトグラムにおけるピーク数が少ない場合には、良好に機能する。数種の市販されているモジュールがあり、これらは、溶媒のリサイクルのために利用でき、該モジュールの例は、USA、TX州、ヒューストンのスペクトラム社(Spectrum Corporation)から入手できる、S3-ソルベントリサイクラー(S3-Solvent Recycler)と呼ばれているモジュールを含む。
【0003】
初期の研究者は、また廃液を迂回させて移動相貯槽に戻すことにより、分離後の移動相を直接リサイクルした。この方法においては、該被検体も、溶離剤と共にリサイクルされるので、極限られた量のリサイクルのみが可能であるに過ぎなかった。更に、該被検体イオンが、かなり高い濃度で存在する場合には、該高濃度での該イオンの存在は、その分離およびバックグラウンドに悪影響を与えた。
【0004】
リサイクルするためのイオンクロマトグラフィー法は、ヨコヤマ(Yokoyama)等(J. Chromagr. A 1089, (2005), 82-86)により吟味された。この方法において、混合床樹脂のアリコートが、溶離剤貯槽に添加され、攪拌された。該混合床樹脂を用いる、充填カラム式態様を、上記のセットアップにおいて使用した場合、貧弱な被検体除去率が観測され、またそのベースラインは上方にドリフトした。該被検体イオンは、該溶離剤によって、該混合床イオン交換カラムから溶出された。しかし、該溶離剤貯槽への該混合床樹脂の添加は、5倍も小さな溶離剤体積を用いて稼働可能であるという事実から明らかな如く、改善された性能を与えた。しかし、この方法は、除去のために、該樹脂と該被検体イオンとの平衡に依拠しており、また該樹脂と、該溶離剤中に溶解している該被検体イオンとの良好な接触を保証するのに、攪拌装置が必要とされた。
【0005】
改良されたSCICシステムに対する需要がある。
【発明の概要】
【0006】
一態様においては、イオンクロマトグラフィー装置が提供され、該装置は、(a)正または負の一方の電荷をもつ交換性のイオンを有し、該交換性のイオンと同じ電荷の被検体イオンを分離するためのイオン交換分離媒体を含み、かつ入口および出口を有するクロマトグラフィーカラムであって、該分離媒体を通して電流を流すための電極と結合(associate)していない該クロマトグラフィーカラム、(b)該クロマトグラフィーカラム入口と流体連絡状態にある水性溶離剤液体流の源、(c)該クロマトグラフィーカラム出口の下流側にあり、これと流体連絡状態にある、サンプル中の被検体イオンを検出するための検出器、(d)該検出器と該クロマトグラフィーカラム入口との間に流体連絡をもたらすリサイクルライン、及び(e)該リサイクルラインに沿って配置され、該分離媒体の交換性イオンと同じ電荷の交換性イオンを有するイオン交換除去媒体を含む精製デバイスを含み、該装置は、該クロマトグラフィーカラム出口と該検出器との間に配置されたサプレッサを含まない。
【0007】
もう一つの態様においては、イオンクロマトグラフィー装置が提供され、該装置は、(a)正または負の一方の電荷をもつ交換性のイオンを有し、該交換性のイオンと同じ電荷の被検体イオンを分離するためのイオン交換分離媒体を含み、かつ入口および出口を有するクロマトグラフィーカラム、(b)該クロマトグラフィーカラム入口と流体連絡状態にある水性溶離剤液体流の源、(c)該クロマトグラフィーカラム出口の下流側にあり、これと流体連絡状態にある、被検体イオンを検出するための検出器、(d)該検出器と該クロマトグラフィーカラム入口との間に流体連絡をもたらすリサイクルライン;および(e)該リサイクルラインに沿って配置され、該交換性イオンと同じ電荷の交換性イオンを有するイオン交換除去媒体と、該イオン交換除去媒体を横切って電場を印加して、該イオン交換除去媒体を連続的に再生するように配置された一対の電極とを含む、電解精製デバイスを含む。
【0008】
他の態様においては、イオンクロマトグラフィー方法が提供され、該方法は、(a)水性溶離剤溶液中の、正または負の一方の電荷をもつサンプル被検体イオンを、該被検体イオンと同じ電荷の交換性イオンを有するイオン交換媒体を含むクロマトグラフィーカラムに流す工程、(b)非電解条件の下で、該クロマトグラフィーカラム中の該被検体イオンをクロマトグラフィーにより分離する工程、(c)該分離された被検体イオンを検出する工程、ここで該方法は、該分離工程と該検出工程との間において、該溶離剤イオンを抑制することなしに行われ、(d)該検出器からの、該検出されたサンプル溶液および該溶離剤溶液を、該クロマトグラフィーカラムに再循環する(recycle)工程、および(e)該再循環工程中、該検出されたサンプル溶液をイオン交換除去媒体を含む精製デバイスを通して流して、該クロマトグラフィーカラムに流す前に、該被検体イオンを除去する工程を含む。
【0009】
別の態様においては、イオンクロマトグラフィー方法が提供され、該方法は、(a)水性溶離剤流中の、正または負の一方の電荷をもつ被検体イオンを、該被検体イオンと同じ電荷の交換性イオンを有するイオン交換媒体を含むクロマトグラフィーカラムに流す工程、(b)該クロマトグラフィーカラム中の該被検体イオンをクロマトグラフィーにより分離する工程、(c)該分離された被検体イオンを検出する工程、(d)該検出器からの、該検出されたサンプル溶液および該水性溶離剤流を、該クロマトグラフィーカラムに再循環する工程、および(e)該再循環工程中、該検出されたサンプル溶液を、イオン交換除去媒体および一対の電極を含む電解精製デバイスを通して流し、かつ該イオン交換除去媒体を横切って電流を流して、該クロマトグラフィーカラムに流す前に、該被検体イオンを除去する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明による単一カラム式イオンクロマトグラフィーシステムを模式的に表す図である。
【
図2】
図2は、本発明による単一カラム式イオンクロマトグラフィーシステムを模式的に表す図である。
【
図3a】
図3aは、本発明による実験結果を示すクロマトグラムである。
【
図3b】
図3bは、本発明による実験結果を示すクロマトグラムである。
【
図4a】
図4aは、本発明による実験結果を示すクロマトグラムである。
【
図4b】
図4bは、本発明による実験結果を示すクロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一態様は、SCICシステムにおける溶離剤のリサイクルに関する。
【0012】
SCICアニオン分析中に、アニオンおよびカチオン両者を含むサンプルが、典型的に低容量のクロマトグラフィーカラムに注入され、適当な溶離剤によって溶出される。興味の対象としてのサンプルアニオンは、該クロマトグラフィーカラム内に保持され、一方で保持されないサンプル対イオンと共に等価な量の溶離剤アニオンが、該クロマトグラフィーカラムから遊離する。分析中、これは、クロマトグラムの開始時点でピークをもたらす。このピークは、該サンプルプラグ中のアニオンおよびカチオンの電導度の和が、該溶離剤の当量電導度よりも大きく、あるいは負のピークが検出された場合には、正であり得る。同様に、該クロマトグラフィーカラムを溶出した際に、分離後の興味の対象としての該被検体アニオンは、該溶離剤の当量濃度を占めており、そのため導電率検出器で検出する際には、該被検体アニオンおよび溶離剤対イオンの当量電導度が、該溶離剤の当量電導度よりも高い場合には、正のピークを与え、あるいは負のピークを与えるであろう。
【0013】
アニオンのSCIC分析において使用する典型的な溶離剤は、固定相に対する高い選択性を有する芳香族有機アニオンを含む。該被検体アニオンに対するよりも、該固定アニオン交換相に対して高いアフィニティーを有する、溶離剤アニオンを選択することが好ましい。これは、低濃度の溶離剤を使用して該サンプルアニオンの溶出を行うことを可能とし、その結果低い全導電率バックグラウンドおよびより低いピーク対ピークノイズをもたらし、またそのためにシグナル対ノイズ比の全体としての増加をもたらす。
【0014】
SCICに対して、該溶離剤からの当量電導度の寄与が低いことを保証するためには、該溶離剤のpHは、典型的に略4〜7なる範囲内に調節される。水酸化ナトリウム溶離剤を使用することも可能である。典型的には、該溶離剤の当量電導度が、該典型的なサンプルプラグの値を越えることから、該アニオン被検体ピークは、負であろう。あるいはまた、水酸化ナトリウムと芳香族アニオン、例えばベンゾエートアニオンとの組合せが、使用可能である。この組み合わせは、幾つかのカラムについては、より迅速な溶出を可能とする。塩基性溶離剤使用の一利点は、極めて弱い酸、例えばボレートおよびシリケートを解離し、結果として導電率検出による高感度の検出を可能とする能力である。SCICのもう一つの利益は、該被検体が塩として検出され、そのため僅かに解離した種に対する、濃度の増加に伴う線形応答を与えることにある。これとは対照的に、抑制されたクロマトグラフィーにおいて、僅かに解離した種は、典型的に増大する濃度に伴う四重極応答を与える。
【0015】
図1は、本発明のSCICリサイクルシステムの一態様を示すものである。動作に際して、水性溶離剤溶液12は、ポンプ14を利用して、その貯槽10から汲み上げられ、また注入バルブ16に送られ、次いで分離媒体、典型的にはクロマトグラフィーカラム18内のイオン交換樹脂に送られる。該SCICセットアップのこの部分は、標準的なイオンクロマトグラフィーセットアップ、例えば米国特許第7,329,346号に例示されているセットアップと類似している。該米国特許を参考としてここに組入れる。ここで使用する用語「溶離剤溶液」または「水性溶離剤」とは、実質的な電解質を含まない、即ちクロマトグラフィーにおける展開試薬として使用すべき、不十分な電解質を含む水性溶液、並びに展開試薬として使用される、電解質、例えば酸、塩基、または塩を含み、クロマトグラフィーカラムに保持されているサンプルイオンを遊離する、従来のクロマトグラフィー溶離剤溶液を包含する。
【0016】
カラム18由来の流出液は、導管22を介して、検出器の流通式セル20(好ましくは導電率検出セル)に、次いで精製デバイス24に導かれる。該クロマトグラフィーの分野において利用されている他の検出器を使用することも可能である。精製デバイス24の出口から出てくる溶液は、導管26を介して該貯槽10にリサイクルにより戻される。
【0017】
精製デバイス24は、イオン交換除去媒体を含む。一態様において、該媒体は、流通式(flow-through)イオン交換物質、例えばイオン交換樹脂の充填床またはカラム等の流通式ハウジング内の流通式イオン交換モノリスである。ここで、デバイス24は、興味の対象である該被検体を除去する適当なイオン交換媒体で充填(pack)されている。従って、リサイクルラインは、実質的にサンプルの被検体イオンを含まない溶離剤を、貯槽10に戻す。一態様において、該溶離剤は、電解質、例えばアニオンを分析するための塩基を含む。該塩基は該精製デバイスにより影響されず、また該貯槽にリサイクルされる。電解質を含む溶離剤を使用する場合、クロマトグラフィー分離は、該分離媒体を通して電流を流すための電極と結合されていないクロマトグラフィーカラム内で行うことができる。
【0018】
該貯槽10へのリサイクル流は、サンプルの対イオンを含んでいる。例えば、電解質含有溶離剤の態様においては、全バックグラウンド導電率は、電解質の比較的高い濃度のために高い。従って、比較的低いサンプルの対イオン濃度は、該SCICシステムの全体的な性能に最小の影響を及ぼす。
【0019】
もう一つの態様において、該被検体の対イオンは、該被検体イオンと共に除去することができる。これは、精製デバイス24においてカチオンおよびアニオン交換樹脂の混合物を使用することにより、あるいは反対電荷をもつ樹脂を含む第二の精製デバイスを使用することにより、達成することができる。従って、これらの精製作業は、適当な樹脂を用いることにより、一つのカラム内でまたは多数のカラムを通して実施することができる。例えば、該溶離剤イオン形状にある、高い交換容量を有するアニオン交換体を使用して、興味の対象である該アニオン被検体を除去することができる。同様に、該サンプルカチオンを除去し、またヒドロニウムまたは溶離剤カチオン形状の何れかに置換えることができる。カチオンポリッシャーカラムCP1およびCP2と呼ばれる、ジオネックス社(Dionex Corporation)によって販売されているイオン交換樹脂の市販されている充填床を、この目的のために使用することができる。このようなカラムは、米国特許第7,329,346号において、溶離剤精製カラムとして記載されている。
【0020】
主な目的は、溶離剤としてさらに使用するために、被検体を含まない該溶離剤貯槽に、精製された溶離剤を戻すことである。該カラムの容量が枯渇した際に、該イオン交換除去媒体を再生することが好ましい。再生は、バッチモードで、あるいは定常的に行うことができ、あるいはインラインにて切換えられ、かつ一度に一種類を再生する多数のカラムを使用することにより、自動化することができる。このような切換えの実施は、サプレッサの動作に対して当分野において周知であり、例えば米国特許第5,597,734号に記載されている。この特許を参考としてここに組入れる。公知の充填床サプレッサ再生技術は、該精製器イオン除去媒体の再生に適用できる。このような精製デバイスの該イオン交換除去媒体は、該イオン交換樹脂の充填床の代わりに、流通式イオン交換モノリスであってもかまわない。
【0021】
図示されていないもう一つの態様において、
図1のクロマトグラフィーカラムは、イオン交換分離媒体を通して電流を流すための、一対の間隔をおいて設けられた電極を含む。充填床サプレッサ用の電解再生システムは、米国特許第5,773,615号および同第6,093,327号に例示されている。これら特許を参考としてここに組入れる。ここで、該水性溶離剤溶液は、電解質を含まないものであり得、または電解質展開試薬を含むものを使用することもできる。この態様において、該分離は、該イオン交換分離媒体中で起り、またその分離された成分は、検出器セルに送られる。この時点において、該被検体は、電解質を含まないものまたは電解質を含むものであり得る、水性溶離剤溶液の状態にある。該水性溶離剤溶液は、該貯槽に送り返される。本発明の精製デバイスは、該被検体アニオンまたはカチオンもしくはこれら両者を除去するために使用することができる。
【0022】
図示されていない他の態様において、該精製装置は、また該システムの溶離剤中のあらゆる妨害性の中性成分をも除去するであろう。好ましくは、上記米国特許第7,329,346号に記載されているような、大きな表面積を有する、中性化多孔質樹脂の追加の区画を、これらの態様において使用して、該溶離剤を、あらゆる中性の妨害性成分につき精製することができる。
【0023】
図2は、
図1のものと類似するシステムを例示するものである。同様な部品は同様な参照番号で明示されている。
図2において、検出器20からの流出液は、導管22を介して、トラップカラムの形状にある、電解式連続再生精製デバイス24に送られる。ここで、該イオン交換除去媒体は、
図2の態様に例示されたような連続電解式デバイス中のイオン交換膜である。該サンプル溶液は、イオン交換膜24bの、再生チャンネル24c中の液体の流動流とは反対側において、サンプル流流動チャンネル24aを流通する。図示されていない一対の電極は、夫々チャンネル24aおよび24cと電気的に連絡状態にあり、また電源に接続されている。この連続電解式デバイスの構成及び動作は、従来の連続電解式サプレッサ、例えば米国特許第7,329,346号に例示されているものと類似している。但し、本発明においては、該精製装置は、該検出器の下流側にあり、即ち該精製装置は、該検出器と該クロマトグラフィーカラムとの間に位置している点を除く。
【0024】
該精製装置24の機能は、電解によりかつ連続的に該被検体カチオンまたはアニオンを除去し、これらを、夫々ヒドロニウムまたは水酸イオンと置換することにある。例えば、カチオン分析のためには、カチオンサンプルイオンをジオネックス(Dionex) CR-CTCカラムを用いる精製デバイスによって除去し、これらをヒドロニウムイオンと置換することができる。この方法の、
図1に示された充填床を用いる方法を越える利点は、周期的な再生を必要としない(即ち、連続的に動作する)点にある。一態様において、随意の脱ガス装置32を使用して、該精製装置によって電解的に発生するガスを除去することができる。該CR-TCは、該溶離剤流通経路内に電極を持たないように設計することができ、即ちこの態様では該脱ガス装置は省略できることに注意すべきである。一態様において、該電解式連続再生精製デバイスおよび脱ガスデバイス並びにこれらの動作は、米国特許出願第2003/0127392に例示されている。この米国特許出願を参考としてここに組入れる。一例として、アニオンに対して設計されている該CR-ATCデバイスは、該溶離剤流からアニオン性汚染物および被検体を除去し、該被検体を水酸イオンで置換する。幾つかの例において、このCR-ATCは、該溶離剤の濃度を変更する恐れのある、該溶離剤アニオンを除去することができる。従って、これら条件の下で、イオン交換樹脂の充填床を、該溶離剤アニオン形状で使用することができる。というのは、これが該溶離剤組成を保存するであろうからである。
【0025】
外部からの脱イオン(DI)水の流れを使用して、例えば
図2に示された該CR-TCの、該再生チャンネル24cを流通させることができる。この流れは、30において廃棄部に送ることができ、あるいは短期間に渡り、貯槽を介してその源28にリサイクルによって戻すことも可能である。該被検体イオンを場合によりヒドロニウムまたは水酸イオンで置換する、電解膜を基本とするデバイスを、この態様において、元の溶離剤の組成を変更することなしに、該溶離剤を精製する目的で使用できることに注意すべきである。適当な電解膜式デバイスは、米国特許第4,999,098号に記載されているような、市販のサプレッサデバイスと同様にして構築することができる。この米国特許を参考としてここに組入れる。
【0026】
SCICアニオン分析に適した水性溶離剤における、典型的なクロマトグラフィー用展開電解質は、カルボン酸およびスルホン酸並びにこれらの塩、例えば安息香酸、フタール酸、スルホ安息香酸、クエン酸、フェノール酸のナトリウムまたはカリウム塩である。8.5なるpHに調節されたp-ヒドロキシ安息香酸は、一価または二価のイオンを溶出するための適当な溶離剤である。溶離剤中の塩基性電解質、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ピリジン、アミンおよびジアミンも、単独でまたは上に列挙した有機酸との組合せとして使用することができる。同様に、カチオン分析に関する、のSCIC用の溶離剤における典型的な電解質は、硝酸、メタンスルホン酸、添加されたジピリジンカルボン酸を含む酒石酸、炭酸アンモニウムおよびフェニレンジアミン等の酸である。
【0027】
該リサイクル操作中、該溶離剤を補充すべきとの決定は、該クロマトグラフィーの性能を観測し、またその許容基準を評価することによって行うことができる。該SCICシステムは、検定に従って動作させることができ、従ってバックグラウンドにおける変動に起因する滞留時間およびピーク応答における僅かな変動を、容易に修正することができる。該溶離剤を補充する好ましい時間は、該分離された成分のピーク効率を観測することにより決定することができる。例えば、該効率が50%またはそれ以上、および好ましくは約30%および最も好ましくは約10%降下した場合に、該溶離剤を、補充することができる。
【0028】
本発明のデバイスは、様々な流量の下にて動作させることが可能である。好ましい流量は、0〜2mL/分なる範囲にあり、また該流量は、より好ましくは該クロマトグラフィーカラムの内径に比例する。例えば、標準的ボア型カラムが、典型的に0.5〜2mL/分なる範囲で動作され、またマイクロボア型カラムが、0.2〜0.5なる範囲内で動作され、以下同様であることは、十分に容認されることである。
【実施例】
【0029】
本発明を更に例証するために、以下の非-限定的な実施例を与える:
【0030】
実施例1:
ジオネックス(Dionex) ICS 3000システムを、カチオン分析のためのこの研究で使用した。4mMの酒石酸と0.75mMの2,6-ピリジンジカルボン酸(PDCA)を含有する溶離剤を、500mLなる出発体積にて、本研究のために使用した。カチオン交換カラム(2×250mm)を、本研究における分析カラムとして、0.25mL/分なる流量にて使用した。CR-CTC式連続再生カチオントラップカラムを用いて、
図2に示されたように、検出後に該溶離剤を精製した。該CR-CTCには、外部の12V定電圧電源を用いて電力供給した。EGシステムにおいて用いたジオネックスから入手した脱ガスモジュールを使用して、電解的に発生した酸素ガスを除去し、また精製された溶離剤を該溶離剤貯槽10に戻した。(該CR-CTCの適当な設計によって、該脱ガス装置を迂回することも可能である)。
【0031】
該CR-CTC再生チャンネルは、連続的に脱イオン水により清浄化して、該溶離剤からの、あらゆるアニオン性不純物の除去を補助した。この流れを、500mLのDI水で満たされた1L容量のDI水貯槽を用いてリサイクルし、また2週間の動作後に置換した。4種の一価カチオン(リチウム、ナトリウム、アンモニウムおよびカリウム)を含むテスト混合物を、mg/L単位で表した動作有効期間(regime)におけるこの研究で使用した。サンプルは、間欠的に30日なる期間に渡り注入し、一方で該機器には連続的に該溶離剤をリサイクルさせた。上記4種の一価カチオンの優れた分析が、
図3Aに示した如く達成された。
図3Bは、連続的に実験を行った30日後の分離結果を示し、また性能における極めて僅かな変動を示した。
【0032】
実施例2:
実施例1からの性能パラメータを、以下において比較したところ、1か月に及ぶ連続操作後の、滞留時間、ピーク応答および効率における極めて僅かな変動がみられる。全体として優れた性能を、本発明のリサイクル式単一カラム型イオンクロマトグラフから推定することができる。該溶離剤の全使用体積は、リサイクルモードの0.5Lに対して、標準的な動作モードにおいては10.8Lであった。更に、廃液の投棄量も、大幅に減少した。
【表1】
【0033】
実施例3:
本実施例では、メトロセップ(Metrosep) C2カラム(4×150mm)と呼ばれる、メトロームインスツルメンツ(Metrohm Instruments)社から入手できる単式カラムを、この研究において、1mL/分なる流量にて使用した。他の全ての条件は、実施例1と同様に維持した。6種のカチオンを含むカチオンテスト混合物を、本研究において分析した。このシステムは、連続的に注入を行いつつ、連続的に運転した。
図4aおよび4bは、1週間に及ぶ連続操作前後の、分離性能を比較したものである。この図から、優れた再現性の存在が推定される。該溶離剤の消費量は、標準的な単式カラムによる動作モードにおける10.8Lに対して、このリサイクルモードでは0.5Lに維持された。流量は1mL/分であるので、上記事実から、1週間以内の操作では、溶離剤の消費量を大幅に節減できることが推測される。
【0034】
実施例4:
該性能パラメータを以下において比較したところ、7日間に渡る連続使用後の、滞留時間、ピーク応答および効率において極めて僅かな変動が示された。全体としての優れた性能が、本発明の該リサイクル式単一カラム型イオンクロマトグラフから推定できる。
【表2】
【0035】
実施例5:
該ICリサイクルシステムを、アニオン分析用にセットアップした。ジオネックス社から入手した4×250mmのAS11カラムを、フタール酸およびトリス(Tris)塩基を含有する溶離剤と共に、本研究において使用した。9×50mmのATC-HCトラップカラムを、本研究における精製装置として使用した。ATC-HCトラップカラムを、この用途のために使用したが、そこでは、溶離剤中にポンプで汲み上げることにより、フタレート型に転化された。5種のアニオンを含む標準物質を分析した。このシステムを、1週間に渡り連続的に運転した。塩化物に対する滞留時間およびピーク面積におけるRSDを追跡したところ、n=200実験に対して、夫々0.19%および1.6%であった。このことは、単一カラム式イオンクロマトグラフィー分析に対する、このシステムの優れた性能を実証した。
【0036】
上記実施例の結果から、本発明のリサイクルシステムが、クロマトグラフィーの性能を維持し、しかも該溶離剤をリサイクルし、また極めて少量の廃棄物しか生成しないことは明白である。
本発明の態様として、例えば以下のものがある。
1.イオンクロマトグラフィー装置であって、
(a) 正または負の一方の電荷をもつ交換性のイオンを有し、該交換性のイオンと同じ電荷の被検体イオンを分離するためのイオン交換分離媒体を含み、かつ入口および出口を有するクロマトグラフィーカラムであって、該分離媒体を通して電流を流すための電極と結合していない該クロマトグラフィーカラム;
(b) 該クロマトグラフィーカラム入口と流体連絡状態にある水性溶離剤液体流の源;
(c) 該クロマトグラフィーカラム出口の下流側にあり、該クロマトグラフィーカラムと流体連絡状態にある、サンプル中の被検体イオンを検出するための検出器;
(d) 該検出器と該クロマトグラフィーカラム入口との間に流体連絡をもたらすリサイクルライン;及び
(e) 該リサイクルラインに沿って配置され、該分離媒体の交換性イオンと同じ電荷の交換性イオンを有するイオン交換除去媒体を含む精製デバイス
を含み、該クロマトグラフィーカラム出口と該検出器との間に配置されたサプレッサを含まないことを特徴とする、前記イオンクロマトグラフィー装置。
2.前記精製デバイスが、電解的であり、かつ前記イオン交換除去媒体を横切って電場を印加することにより連続的に再生可能である、上記1記載の装置。
3.前記精製デバイスが、非電解的である、上記1記載の装置。
4.前記イオン交換除去媒体が、流通式イオン交換充填物を含む、上記3記載の装置。
5.前記イオン交換除去媒体が、イオン交換膜を含む、上記1記載の装置。
6.前記検出器が、導電率検出器である、上記1記載の装置。
7.(a) 正または負の一方の電荷をもつ交換性のイオンを有し、該交換性のイオンと同じ電荷の被検体イオンを分離するためのイオン交換分離媒体を含み、かつ入口および出口を有するクロマトグラフィーカラム;
(b) 該クロマトグラフィーカラム入口と流体連絡状態にある水性溶離剤液体流の源;
(c) 該クロマトグラフィーカラム出口の下流側にあり、該クロマトグラフィーカラムと流体連絡状態にある、該被検体イオンを検出するための検出器;
(d) 該検出器と該クロマトグラフィーカラム入口との間に流体連絡をもたらすリサイクルライン;及び
(e) 該リサイクルラインに沿って配置され、該交換性イオンと同じ電荷の交換性イオンを有するイオン交換除去媒体と、該イオン交換除去媒体を横切る電場を印加して該イオン交換除去媒体を連続的に再生するように配置された一対の電極とを含む、電解精製デバイス、
を含むことを特徴とする、イオンクロマトグラフィー装置。
8.前記イオン交換除去媒体が、イオン交換膜を含む、上記7記載の装置。
9.更に、前記分離媒体を通して電流を流すように設けられた一対の電極を含む、上記7記載の装置。
10.前記クロマトグラフィーカラム出口と前記検出器との間にサプレッサを含まない、上記7記載の装置。
11.イオンクロマトグラフィー方法であって、
(a) 水性溶離剤溶液中の、正または負の一方の電荷をもつサンプル被検体イオンを、該被検体イオンと同じ電荷の交換性イオンを有するイオン交換媒体を含むクロマトグラフィーカラムに流す工程;
(b) 非電解条件の下で、該クロマトグラフィーカラム中の該被検体イオンをクロマトグラフィーにより分離する工程;
(c) 該分離された被検体イオンを検出する工程、ここで該方法は、該分離工程と該検出工程との間において、該溶離剤イオンを抑制することなしに行われ;
(d) 該検出器からの、該検出されたサンプル溶液および該溶離剤溶液を、該クロマトグラフィーカラムに再循環する工程;および
(e) 該再循環工程中、該検出されたサンプル溶液をイオン交換除去媒体を含む精製デバイスを通して流して、該クロマトグラフィーカラムに流す前に該被検体イオンを除去する工程;
を含むことを特徴とする、前記イオンクロマトグラフィー法。
12.前記溶離剤溶液が、電解質を含む、上記11記載の方法。
13.前記イオン交換媒体が、該イオン交換除去媒体を横切って電場を印加することにより前記除去工程中で連続的に再生される、上記11記載の方法。
14.前記イオン交換除去媒体が、イオン交換膜を含む、上記13記載の方法。
15.前記除去工程が、非電解的に行われる、上記13記載の方法。
16.前記除去工程が、前記溶離剤溶液中の前記サンプル被検体イオンを流通式イオン交換充填物を通して流すことにより行われる、上記15記載の方法。
17.(a) 水性溶離剤流中の、正または負の一方の電荷をもつ被検体イオンを、該被検体イオンと同じ電荷の交換性イオンを有するイオン交換媒体を含むクロマトグラフィーカラムに流す工程;
(b) 該クロマトグラフィーカラム中の該被検体イオンをクロマトグラフィーにより分離する工程;
(c) 該分離された被検体イオンを検出する工程;
(d) 該検出器からの、該検出されたサンプル溶液および該水性溶離剤流を、該クロマトグラフィーカラムに再循環する工程;および
(e) 該再循環工程中、該検出されたサンプル溶液を、イオン交換除去媒体および一対の電極を含む電解精製デバイスを通して流し、かつ該イオン交換除去媒体を横切る電流を流して、該クロマトグラフィーカラムに流す前に該被検体イオンを除去する工程;
を含むことを特徴とする、イオンクロマトグラフィー法。
18.更に、クロマトグラフィー分離中、前記分離媒体を通して電流を流す工程を含む、上記17記載の方法。
19.前記イオン交換除去媒体が、イオン交換膜を含む、上記17記載の方法。
20.前記水性溶離剤流が、実質的に電解質を含まない、上記17記載の方法。
21.前記分離工程と前記検出工程との間に、サプレッサの存在しない状態の下で行われる、上記17記載の方法。