特許第5722658号(P5722658)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5722658
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】現場点検支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20120101AFI20150507BHJP
   G06Q 20/32 20120101ALI20150507BHJP
   E02B 1/00 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
   G06Q50/26
   G06Q20/32
   E02B1/00 ZZAB
【請求項の数】2
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2011-33939(P2011-33939)
(22)【出願日】2011年2月18日
(65)【公開番号】特開2012-173891(P2012-173891A)
(43)【公開日】2012年9月10日
【審査請求日】2013年10月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】390034463
【氏名又は名称】株式会社オリエンタルコンサルタンツ
(73)【特許権者】
【識別番号】592089146
【氏名又は名称】株式会社リサーチアンドソリューション
(73)【特許権者】
【識別番号】511044836
【氏名又は名称】株式会社中央設計技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100059281
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 正次
(74)【代理人】
【識別番号】100108947
【弁理士】
【氏名又は名称】涌井 謙一
(74)【代理人】
【識別番号】100117086
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典弘
(74)【代理人】
【識別番号】100124383
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一永
(72)【発明者】
【氏名】中尾 毅
【審査官】 吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−128901(JP,A)
【文献】 特開平11−045200(JP,A)
【文献】 特開2006−251105(JP,A)
【文献】 特開2002−041719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 1/00−3/02
3/16−3/28
G01D 18/00−21/02
G06F 19/00−19/28
G06Q 10/00−10/10
30/00−30/08
50/00−50/20
50/26−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のように構成したことを特徴とする現場確認システム。
(1) 現場で使用する「端末装置」と、
前記端末装置とネットワークを介して接続される「管理サーバー」と、
前記管理サーバーと直接またはネットワークなどを介して接続される「データベースサーバー」と、
前記管理サーバーとネットワークなどを介して接続される「位置情報・地図情報装置(GIS)」と、
から構成される。
(2) 前記「端末装置」は、単独装置内あるいは、「管理サーバー」又はネットワークで接続された他のサーバーと連携して、以下の機能を有する。
(a) 写真撮影機能
(b) 点検項目入力機能
(c) 写真撮影機能で撮影した写真を保存するメモリー機能
(d) 予め設定されたあるいは入力した「基本位置データ」と、撮影した「写真データ」と、入力した「点検項目データ」とを、前記ネットワークを介して管理サーバーに送る通信機能
(3) 前記点検項目入力機能は、下記の(a)又は(b)の機能とする。
(a)「端末装置」で入力したデータを、前回データと比較した「点検項目」の増減データに変換して「点検項目データ」として、「管理サーバー」に送信できるように処理する。
(b)「端末装置」で入力したデータをそのまま前記「管理サーバー」に送信し、「管理サーバ」では、前記前回データと比較した「点検項目」の増減データとして処理して「点検項目データ」を作成するように処理する。
(4) 前記「管理サーバー」は、以下の機能を有する。
(a) 前記「端末装置」から送られた「基本位置データ」「写真データ」「点検項目データ」をデータベースサーバーに送る。
(b) 「位置情報・地図情報装置」から入手する「地図データ」に、前記「データベースサーバー」から「基本位置データ」を取り出し、その「地図データ」の位置に、「写真データ」「点検項目データ」を表示して、1回点検時の「点検報告書」を作成して、データベースサーバーに「巡視点検報告書」データを送る。
(c) 「地図データ」の位置に、蓄積した前記「点検項目データ」の重みを数値で表現した蓄積情報を表示する。
【請求項2】
以下のように構成したことを特徴とする請求項1記載の現場確認システム。
点検項目増減データの入力は、各項目をリストから選択して入力し、
各項目について、端末装置から入力して送信すると、予め対応して設定した管理サーバーの対応項目の「増加」を記録するように作動する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、河川の保全・維持管理行為の一環である巡視点検など「点検対象の現場」を継続的に点検する際に利用される現場点検支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
河川の定点観測では、例えば、年に1度定期的に縦横断測量をし、出水期の前後に目視で点検をし、また何らかの異常が発見され拡大した時点で追加測量していた。そして、点検した結果は「日誌」として、報告書をその都度作成して、ファイルされていた。
【0003】
このような点検では、タイムリーかつ細やかな変化の把握が困難であり、また、河川の距離標間の状況を確認できない問題点があった。
【0004】
そこで、携帯電話機のカメラ機能とGPS機能を利用して、現場で撮影した写真データをGPS情報ともに、管理サーバーに送って蓄積する発明も提案されている(特許文献1)。この発明では、カメラで撮影した理由として「異常項目」を入力して写真と共に送信するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−128901
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来の技術では、「異常項目」は単なる写真を見る場合の補足説明にすぎず、テキストとして保存整理されるにすぎなかった。従って、河川地図に距離標(キロポスト)と関連した位置毎に報告書(写真データ、テキスト情報)は蓄積されるが、経過情報、取り分け前回巡視から変化した情報を把握し難い問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこでこの発明では、端末装置から管理サーバーに点検項目の増減情報を送り、端末装置から送った点検項目を管理サーバーで増減情報として処理するので、前記問題点を解決した。
【0008】
即ちこの発明は、以下のように構成したことを特徴とする現場確認システムである。
(1) 現場で使用する「端末装置」と、
前記端末装置とネットワークを介して接続される「管理サーバー」と、
前記管理サーバーと直接またはネットワークなどを介して接続される「データベースサーバー」と、
前記管理サーバーとネットワークなどを介して接続される「位置情報・地図情報装置(GIS)」と、
から構成される。
(2) 前記「端末装置」は、単独装置内あるいは、「管理サーバー」又はネットワークで接続された他のサーバーと連携して、以下の機能を有する。
(a) 写真撮影機能
(b) 点検項目入力機能
(c) 写真撮影機能で撮影した写真を保存するメモリー機能
(d) 予め設定されたあるいは入力した「基本位置データ」と、撮影した「写真データ」と、入力した「点検項目データ」とを、前記ネットワークを介して管理サーバーに送る通信機能
(3) 前記点検項目入力機能は、下記の(a)又は(b)の機能とする。
(a)「端末装置」で入力したデータを、前回データと比較した「点検項目」の増減データに変換して「点検項目データ」として、「管理サーバー」に送信できるように処理する。
(b)「端末装置」で入力したデータをそのまま前記「管理サーバー」に送信し、「管理サーバ」では、前記前回データと比較した「点検項目」の増減データとして処理して「点検項目データ」を作成するように処理する。
(4) 前記「管理サーバー」は、以下の機能を有する。
(a) 前記「端末装置」から送られた「基本位置データ」「写真データ」「点検項目データ」をデータベースサーバーに送る。
(b) 「位置情報・地図情報装置」から入手する「地図データ」に、前記「データベースサーバー」から「基本位置データ」を取り出し、その「地図データ」の位置に、「写真データ」「点検項目データ」を表示して、1回点検時の「点検報告書」を作成して、データベースサーバーに「巡視点検報告書」データを送る。
(c) 「地図データ」の位置に、蓄積した前記「点検項目データ」の重みを数値で表現した蓄積情報を表示する。
【0009】
また、前記において、以下のように構成したことを特徴とする現場確認システムである。
点検項目増減データの入力は、各項目をリストから選択して入力し、
各項目について、端末装置から入力して送信すると、予め対応して設定した管理サーバーの対応項目の「増加」を記録するように作動する。
【0010】
この現場点検システムは、「河川の巡視点検管理」に最適であるが、建物や野外施設などの「施設の維持修繕更新などの管理」、河川の河道の変化を時系列に確認する「河川の流下能力管理」、公園や森林などでの外来種動植物の同定など「自然環境管理」などに使用することもできる。その他、警備会社が点検警備する対象で、1回限りの点検ではなく、点検項目の時系列の変化を情報として求められる場合に適用できる。
【0011】
また、このシステムで使用する端末装置は、入力機能、カメラ機能及びインターネットなどへの接続機能を有すれば任意であるので、いわゆるスマートフォンが最適であるが、カメラ機能付き携帯電話、インターネットなどへの接続機能付きデジタルカメラなどでも可能である。
【発明の効果】
【0012】
この発明では、巡視項目を、前回巡視に対する増減情報として蓄積されるので、対応する現場毎、点検項目毎の経年変化や、特定の現場・位置毎の特徴を容易に把握することができる。
【0013】
従って、例えば、河川の管理システムに利用すれば、日々の巡視点検など、過去に蓄積されているデータを活用して、その河川に対応した効率的な巡視方法・巡視経路などを作成することができる。更に、河川空間における「治水機能」「利用機能」「環境機能」などの様々な機能を横断的に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は端末装置の画面で、(a)はメニュー画面、(b)は基本情報入力画面、(c)は送信データ一覧画面、(d)は点検項目入力画面(点検項目)、(e)は点検項目入力画面(写真)、(f)は点検項目入力画面(地図)である。
図2図2は、この発明のシステムの概要を表す図である。
図3図3は、端末装置での操作の流れを説明するブロック図である。
図4図4は、管理サーバーの河川巡視日誌作成の操作の流れを説明するブロック図である。
図5図5は、管理サーバーの機能で、「巡視模式平面図」の出力例を表し、横軸が河口からの距離を表し、中央欄が巡視項目、上欄が右岸の巡視ルート、下欄が左岸の巡視ルートを夫々表した出力例である。
図6図6は、図5のA部(河口付近)の拡大図を表す。
図7図7は、管理サーバーの機能で、「巡視平面図(距離別−円グラフ」の出力例である。
図8図8は、図7のB部(河口付近)の拡大図を表す。
図9図9は、図7の「巡視平面図(距離別−円グラフ」に巡視ルートを表示した出力例である。
図10図10は、点検項目「ごみ等の処理」で横軸が河口からの距離を表し、縦軸が頻度を表した出力例である。
図11図11は、図10のC部(河口付近)の拡大図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明を、河川管理システムに適用した場合について説明する。このシステムでは、「端末装置」「管理サーバー」「データベースサーバー」「位置情報地図情報装置」とからなる(図2)。
【0016】
1.端末装置
【0017】
端末装置は、いわゆるスマートフォンの基本機能に加えて、以下のような専用ソフトウエアを導入して構成する。あるいは、専用ソフトウエアを、端末装置とネットワークで接続された別のサーバーに導入して、端末装置の基本機能(入力機能とカメラ機能)のみを使用することもできる。
【0018】
端末装置での操作の流れは、図3に示すとおりであり、以下詳細に説明する。
【0019】
(1) 端末装置のメニュー画面(初期画面)は、図1(a)に示すように、
・新規撮影
・送信データ一覧
・基本情報入力
・終了
が選択できる画面である。
【0020】
(2) 「基本情報入力」を選択すると、図1(b)のように、
・「ユーザーID」を入力し、
・所属する「出張所」名を、予め用意された一覧から選択する。ここでは「福知山」を入力する。
・「水系名」を、予め用意された一覧から選択する。ここでは「由良川水系」を入力する。
・「河川名」を、予め用意された一覧から選択する。ここでは「由良川」を入力する。
・「点検者」名、「山田太郎」を入力する。
点検者名の入力が完了すると自動的に、メニュー画面(図1(a))に画面が変わる。
なお、「基本情報入力」で入力される各データは、端末装置の固有値として予め、端末装置に登録されている状態にすることもできる。この場合には、「基本情報入力」画面での入力作業は省略することができる。
【0021】
(3) 巡視担当者は、先ず、前回巡視結果(日誌)の内容で、どの位置で、どのような点検項目が発生していたか、その処理はどうなっていたかを確認して、写真も参照する。
【0022】
(4) 巡視担当者は、前回巡視結果で生じていた報告事項が、処理され、異常が無くなっていた場合、その状況を写真撮影し、「処置」欄の中の「処理済」を選択して、最新の情報として記録することができる。
【0023】
(5) 次ぎに、新たな報告対象の事象が発見された場合には「新規撮影」を選択して、スマートフォンの基本機能である写真撮影画面になり(図示していない)、カメラ機能を使って、問題箇所の写真を撮影する。
【0024】
(6) 写真が撮影されると、自動的に「データ収集の画面」になり(図1(d)〜(f))。「点検項目」の画面が表示される(図1(d))。なお、「データ収集の画面」では、画面上部に3つのタブが表示され、点検項目を入力する「点検項目」、添付する写真を選択修正する「写真」、調査位置情報を表した「地図」の各機能を、タブから選択できる(図1(d)〜(f))。
【0025】
(7)まず、「点検項目」画面では(図1(d))、
(a) 「位置」を右岸、河川、左岸、から選択する。図1(d)では「左岸」を選択している。
(b) 「距離標」を「百米標」の選択し、「百米標」からの距離を入力する。図1(d)では、3.2kmを選択して、0mを入力してある。従って、河口から3.2km地点の現場で作業をしている。
(c) 「巡視項目」は、予め設定された「中項目」から該当する項目を選択できるようになっている。「中項目」は、「河川事業関係例規集」(社団法人日本河川協会)等に基づいて、例えば以下のような内容を用意する。
(1) ゴミ等の投棄
(2) 不法取水
(3) 不法占拠
(4) 不法工作物
(5) 盗掘・不法伐採
(6) 汚水の排出状況
(7) 堤防の状況
(8) 護岸・根固及び水制工の状況
(9) 許可工作物の状況
(10) 車止・標識・距離標等の保全状況
(11) 河道内における砂州堆積状況
(12) 樹木・水面利用の状況
(13) 係留・水面利用の状況
(14) その他
(d) 各「中項目」に対応して、「河川事業関係例規集」(社団法人日本河川協会)等に基づいて、「小項目」を設定することもできる。
(e) 「メモ」欄は、任意にテキスト情報を入力することができる(図1(d))。
(f) また、「マイク」ボタンを押すと(図1(d))、スマートフォンの録音機能が作動して(図示していない)、音声情報を録音でき、その音声データを写真データなどと共に送信できる。
(g) 「処置」欄は、通常は「未処理」であるが、処理した場合には「処理済」を選択する(図1(d))。例えば、粗大ゴミがあったが、その粗大ゴミを調査員が撤去した場合には、上記「巡視項目」で「A.ゴミ等の投棄」を選択すると共に、処理欄で「処理済」を選択して入力する。
(h) 以上で入力を完了する。
【0026】
(8) 必要に応じて、写真を追加削除する場合には、上部のタブで「写真」を選択する(図1(e))。
(a) 画面上に、先に撮った写真データがサムネイル表示される。
(b) 追加撮影する場合には、前記同様に、スマートフォンの基本機能であるカメラ機能を使って、写真撮影をする。追加撮影された写真は、同様にサムネイルに加えられ表示される。
(c) 写真を削除する場合には、サムネイルの写真を選択して「削除」する。
(d) このシステムでは、写真が必ず1枚必要であり、「写真」タブの画面でサムネイル表示した写真の総てを削除、あるいは1枚しか表示されていない状態で削除を選択すると、「写真は1枚以上が必要です」のポップアップが出て注意を促し、このような削除作業が規制される。
【0027】
(9) 画面上部のタブで「点検項目」を選択すると、下部に「送信」「キャンセル」ボタンがあらわれる(図1(d))。
(a) ここで「キャンセル」を選択すると、入手した点検情報を送信せずに、スマートフォン内の記憶装置に一次的に記憶することができる。
(b) 「送信」を選択すると「点検項目」で入力したデータ、写真データがインターネットを介して「管理サーバー」に送信される。
(c) 送信操作が完了すると、自動的にメニュー画面に戻る。
【0028】
(10) メニュー画面(図1(a))で、「送信結果」を選択する。送信データの一覧が画面に表示される(図1(c))。一覧には、送信日時、巡視項目(問題点があった中項目、小項目)、距離標、位置、送信状態(送信中、送信済、未送信)が表示される。
(a) 送信データを修正する場合には、送信データ一覧で、未送信又は送信済の内で、修正したいデータを選択する。
点検項目入力画面が表示されるので、修正すべき内容を修正する。
「写真」タブを選択すると同様に写真データの修正ができる。
「地図」タブを選択すると。地図画面と「+」印が表示されるので、同様に位置を修正できる。
データの修正が完了したならば、「点検項目」タブを選択して、同様に「送信」ボタンを送信する。
送信ボタンを押すと、「送信データ一覧画面」に戻り、修正前の送信データは削除され、新たに送信したデータが一覧に表示される。
(b)送信データを削除する場合には、送信データ一覧で、未送信又は送信済の内で、修正したいデータを選択して、長押しする。
削除確認のポップアップ画面がでるので(図示していない)、削除する場合には「YES」を選択する。削除しない場合には「NO」を選択する。
「YES」又は「NO」を選択すると、「送信データ一覧画面」に戻り、「YES」の場合には、削除したデータが、一覧から削除される。
送信データを削除する操作をすると、「YES」ボタンを押した際に、同時に「削除」した旨のデータが管理サーバーに送られ、管理サーバーに保存されていたデータも削除される。
【0029】
(11) なお、同じ位置で、他の問題点がある場合には、上記(8)のあとで、メニュー画面から再度同じように(5)〜(11)の操作を繰り返す。
・写真の撮影
・中項目の選択
・送信
【0030】
(12) その位置での点検が終了したならば、「メニュー画面」で「終了」を選択して(図1(a))、システムを終了させる。
【0031】
3.管理サーバー・データベースサーバー
【0032】
管理サーバーでは、端末装置から送られてきたデータを受け取り、データベースサーバーに保存するとともに、GIS(Geographic Information System。「位置情報・地図情報装置」)から情報を取り入れて、以下のような処理をして、加工したデータをデータベースサーバーに別途保存する。
また、データベースサーバーは、管理サーバーに接続したハードディスク、管理サーバーとインターネットその他のネットワークで接続されたサーバーをデータべースサーバーとすることもできる。
【0033】
(1)管理サーバーから端末装置で点検した「河川名」に対応したGISを起動する。
【0034】
(2)河川巡視日誌作成機能について説明する(図4)。なお、詳細な画面の表示は図示していない。
(a) GISの起動と同時に、当日の点検結果を、データベースサーバーから呼び出し取り込む。この際、開始日と終了日を指定して、その期間内の点検結果を取り込む。
(b) 選択した河川に対応した地図画面が表示され、点検結果で問題のあった位置が地図上に表示される。この場合、各河川の距離標毎に対応した位置データ・地図データを、データベースサーバに蓄積しておいて、管理サーバーに読み込み利用することもできる。
(c) 取り込んだデータから該当する「河川名」に対応する点検結果一覧を表示する。
(d) 点検結果一覧から位置を確認する点検結果を1件選択すると、表示されている地図上に位置が表示されるので、必要に応じて位置を修正する。
(e) 点検結果一覧画面で、内容を確認する点検結果を1件選択すると、点検結果単票画面が表示されるので、データの内容を確認して、必要に応じて修正する。続いて、点検結果単票画面で写真を選択して、同様に確認して、必要ならば、追加・削除する。
(f) 点検結果の確認が完了したならば、点検結果単票画面で「帳票」を選択して「河川巡視日誌」を選び、上記確認したデータから自動的に「河川巡視日誌」を作成する。作成した「河川巡視日誌」は、ファイルとしてデータベースサーバーに保存(出力)し、必要ならば印刷(出力)をする。
(g) 「河川巡視日誌」の出力が完了したならば、GISを終了する。
(h) 「河川巡視日誌」が完了したならば、端末装置(スマートフォン)を起動して、メニュー画面(図1(a))から「送信データ一覧」を表示して(図1(c))、「河川巡視日誌」の対象となった「送信結果」を削除する。
(i) 以上で、終了する。
【0035】
(3) 続いて、蓄積された巡視結果を利用して、各種統計資料の作成について説明する。「巡視項目データが」各巡視項目についての増減データとして蓄積されているので、容易に作成ができる。
(a) 図5は、中央に「右岸」「河川」「左岸」(位置)ごとの「巡視項目」として、横軸に河口から距離標毎に設定して、枠内に「巡視項目」の重みを数値で表現した「巡視模式平面図」を作成した例を示す(図5図6)。 図5で、河口側(A部)を拡大して表示したものが図6である。
図5のではこの表の上側に、右岸の巡視ルート、下側に左岸の巡視ルートを、横軸河口から距離標毎に夫々表示してある。中央の各表内で、10回以上、9〜5回、4〜1回、0回と順に表内の表示が濃い→薄い、と変化させてある。従って、濃い枠が最も頻度が多い事象である。
例えば、以下のようなことが見て取れる。右岸左岸とも「(1)ごみ等の投棄」が、まんべんに生じており、右岸の距離標0〜30kに多く、特に右岸の距離標0.0k(河口)で“68”、距離標0.2Kで“68”となっており、顕著である。また、「河川の係留・水面利用」は河口付近、距離標2.6k“291”、距離標5.2k“124”と極めて多く、また、その距離標の周辺にも多くある。
(b) また、巡視結果を、距離標毎、巡視項目毎に集計して、地図上に距離標毎に円グラフで表示した「巡視平面図」を作成することもできる(図7図8)。 図7で、河口側(B部)を拡大して表示したものが図8である。
この巡視平面図では、前記中項目毎に作成して、各円グラフでは、巡視項目の総量が円の大きさとして、中項目毎に割合が表示される(図7図8)。図5、6の巡視模式平面図を視覚的に理解しやすく、河口付近の問題点が円の大きさで理解できる。
また、ここで、中項目をまとめた大項目で表示すれば、大雑把な把握ができる。例えば、以下のような大項目が考えられる(図示していない)。
・河川区域等における違法行為の発見
・河川管理施設及び許可工作物の維持状況の確認
・河川空間の利用に関する情報収集
・河川の自然環境に関する情報収集
また、中項目で、注目する項目のみ、例えば「(1) ゴミ等の投棄」に絞って円グラフで表示して、全流域で把握することもできる(図示していない)。
また、「巡視平面図」で、距離標位置をクリックすれば、その位置の写真を表示できるようにすることもできる。この場合、過去の巡視実施時の総てを(又は期間を絞って)表示するようにすることもできる(図示していない)。
(c) また、図9には、図7の「巡視平面図」の地図上に巡視ルートを表示して出力した例を表す。問題点の多い距離標の地点を効率よく巡視できるルート、特に問題の無い距離標では巡視回数を減らす等の軽重を付けた巡視ルートの最適化を図ることができる。
(d) また、図10図11に、注目する項目のみ、例えば「(1) ゴミ等の投棄」に着目して、縦軸に頻度、横軸に河口からの距離(距離標)を設定して、平成16年〜平成20年度の結果を年度ごとの折れ線グラフで表示して出力した例を示す。図11図10のC部の拡大図である。
毎年、問題が少ない箇所(距離標)の地点の巡視回数を減らす(例えば、2日に一度巡視していたものを週に一度に変更するなど)最適の巡視計画を立てることができる。
また、年度ではなく、四半期の集計など、巡視期間をキーとした他の出力もできる(図示していない)。
【0036】
4.他の実施態様
【0037】
(1) 前記実施態様において、GISからの地図情報の入手を管理サーバーから行ったが、スマートフォンから入手することもできる。要は最終的に管理サーバー上に、地図データを表示して、巡視位置がプロットできれば良い。
すなわち、スマートフォンの「データ収集の画面」で画面上部のタブで「地図」を選択すると、スマートフォンの地図入手機能で、原位置周辺の地図が入手され、地図上に、写真撮影時にGPSで入手した地上が「+」印で表示される(図1(f))。位置が間違っている場合には、「+」印を正しい位置に移動する。その後、点検項目等を管理サーバーに送る際に、同時に位置情報を送信する。
【0038】
(2) 前記実施態様では、河川に関する点検について説明したが、同様に他の現場として、例えば、道路管理、公園管理、港湾施設管理等、あるいはインフラストラクチャー全般の管理に適用することもできる(図示していない)。
図3
図4
図1
図2
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11