特許第5722659号(P5722659)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5722659
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】離床検知装置
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/05 20060101AFI20150507BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20150507BHJP
   A61G 12/00 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
   A61G7/04
   A61B5/00 102A
   A61G12/00 E
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-41032(P2011-41032)
(22)【出願日】2011年2月28日
(65)【公開番号】特開2012-176153(P2012-176153A)
(43)【公開日】2012年9月13日
【審査請求日】2013年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】楠 浩和
(72)【発明者】
【氏名】安東 徹
【審査官】 岩田 洋一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−273939(JP,A)
【文献】 特開2007−282878(JP,A)
【文献】 特開平10−005180(JP,A)
【文献】 特開平11−076178(JP,A)
【文献】 特開2010−005058(JP,A)
【文献】 特開2002−251686(JP,A)
【文献】 特開平10−154276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 7/05
A61B 5/00
A61G 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベッド近傍に設置され、赤外線の反射波により物体の存在を検知する第1のセンサと、赤外線の照射により人体等の熱を反射する物質反射波により物体の存在を検知する焦電センサ等の第2のセンサと、前記第1及び第2のセンサがいずれもが前記物体の存在を検知しなくなったときに離床したとしてナースステーションに通報を行なう報知部とから構成される患者等の離床検知装置であって、
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサの検知動作を一時停止するための停止ボタンと、前記停止ボタンが操作されてから第1の所定時間離床検知を停止させるための第1のタイマと、前記第1のタイマ時間経過後に前記第1のセンサ及び前記第2のセンサの検知動作を再開して患者等の在床検知を開始し、第2の所定時間継続して前記第1のセンサ及び第2のセンサがいずれも患者等の在床を検知すると離床検知動作を再開する第2のタイマを備えるとともに、
ナースステーションと通話するために音声を集音するマイク及びナースステーションからの音声を放音するとともに離床を検知した際に警報音を鳴動するスピーカと、ナースステーションを呼び出すための呼出握りボタンや生体モニタ等の外部通報機器を接続するための接続部とのうち少なくとも一つを備えたことを特徴とする離床検知装置。
【請求項2】
ベッド近傍に設置され、赤外線の反射波により物体の存在を検知する第1のセンサと、赤外線の照射により人体等の熱を反射する物質反射波により物体の存在を検知する焦電センサ等の第2のセンサと、前記第1及び第2のセンサがいずれもが前記物体の存在を検知しなくなったときに離床したとしてナースステーションに通報を行なう報知部とから構成される患者等の離床検知装置であって、
前記第1のセンサ及び前記第2のセンサの検知動作を一時停止するための停止ボタンと、前記停止ボタンが操作されてから第1の所定時間離床検知を停止させるための第1のタイマと、前記第1のタイマ時間経過後に前記第1のセンサ及び前記第2のセンサの検知動作を再開して患者等の在床検知を開始し、第2の所定時間継続して前記第1のセンサ及び第2のセンサがいずれも患者等の在床を検知すると離床検知動作を再開する第2のタイマを備えるとともに、
前記第1のセンサ又は前記第2のセンサの受信部は、ナースステーションを呼び出すための無線呼出ボタンや生体モニタ等の無線通報機器からの呼出信号を受信するための受信回路を有することを特徴とする離床検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、離床検知装置で、特にナースコールとの親和性を向上することができる離床検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、離床検知装置として、文献1の先行技術に示すような装置が提案されている。本装置によれば、患者がベッドから離れると焦電型赤外線センサ等で検知を行なう。
これにより、患者がベッドを離れると、その警報報知によりベッドからの転落に対する対応などに対して迅速な対応をおこなうことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
特開平10−005180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の離床検知装置においては、トイレにいくなど一時的にベッドを離れる場合にも警報報知がおこなわれてしまい、看護師等の看護者にとっては対応する手間が増えてしまうという難点があった。また、この離床検知装置は、単独での設置を前提としているためベッド周辺に生体モニタ等の多数の機器が設置された場合には、配線が絡まったり設置場所がなくなってしまう等の問題があった。
【0005】
本発明は、上述の難点を解消するためになされたもので、トイレにいくなど一時的にベッドを離れる場合であっても誤報されることがなく、また、離床検知装置にナースコール子機の機能を付加することにより、低コストかつ省スペースの離床検知装置を構築して利便性を向上させる離床検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明の第1の態様である離床検知装置は、ベッド近傍に設置され、赤外線の反射波により物体の存在を検知する第1のセンサと、赤外線の照射により人体等の熱を反射する物質反射波により物体の存在を検知する焦電センサ等の第2のセンサと、第1及び第2のセンサがいずれもが物体の存在を検知しなくなったときに離床したとしてナースステーションに通報を行なう報知部とから構成される患者等の離床検知装置であって、第1のセンサ及び第2のセンサの検知動作を一時停止するための停止ボタンと、停止ボタンが操作されてから第1の所定時間離床検知を停止させるための第1のタイマと、第1のタイマ時間経過後に第1のセンサ及び第2のセンサの検知動作を再開して患者等の在床検知を開始し、第2の所定時間継続して第1のセンサ及び第2のセンサがいずれも患者等の在床を検知すると離床検知動作を再開する第2のタイマを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の第2の態様である離床検知装置は、請求項1において、第1のタイマの計時時間経過後に計時を開始し、第3の所定時間内に第1及び第2のセンサがいずれも在床を検知できなかった場合に警報動作を行なうための第3のタイマを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の第3の態様である離床検知装置は、請求項1又は請求項2において、ナースステーションと通話するために音声を集音するマイク及びナースステーションからの音声を放音するとともに離床を検知した際に警報音を鳴動するスピーカと、ナースステーションを呼び出すための呼出握りボタンや生体モニタ等の外部通報機器を接続するための接続部とのうち少なくとも一つを備えたことを特徴とする。
【0009】
更に、本発明の第4の態様である離床検知装置は、請求項1乃至請求項3何れかにおいて、第1のセンサ又は第2のセンサの受信部は、ナースステーションを呼び出すための無線呼出ボタンや生体モニタ等の無線通報機器からの呼出信号を受信するための受信回路を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の離床検知装置によれば、ナースコール子機の通話機能が離床検知装置に内蔵されることにより、離床検知装置に追加の音声回路が不要となるとともに、省スペースで設置することができる。また、押しボタンや生体モニタの配線は離床検知装置から接続でき、壁面への接続線は離床検知装置のみとなるため、配線長が短くなるとともに、押しボタンや生体モニタの移動が容易となる。
請求項2の離床検知装置によれば、押しボタンを無線化できるとともに、押しボタンの受信部を離床検知装置の受信部と兼用できるため、コストが低減できるとともに信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】(a)は、本発明の実施例による離床検知装置の構成図であり、(b)は設置した場合の外観図である。
図2】本発明の実施例による離床検知装置のブロック図である。
図3】本発明の実施例による離床検知装置の検知及び停止操作時のフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の離床検知装置を適用した最良の実施の形態例について、図面を参照して説明する。
図1(a)は、本発明の実施例による離床検知装置の構成を示すシステム構成図であり、ナースコール親機1と、ナースコール子機20a、20b、・・・を内蔵し、徘徊の可能性のある患者の離床を監視する離床検知装置2a、2b、・・・とがそれぞれ接続されている。
【0013】
離床検知装置2a、2b、・・・は赤外線の反射波により物体の存在を検知する赤外センサ26a、26b、・・・、赤外線の照射により人体等の熱を反射する物質反射波により物体の存在を検知する焦電センサ27a、27b、・・・、検知動作を一時停止するための停止ボタン28a、28b、・・・、後述する外部握りボタンを接続するボタンコネクタ24a、24b、・・・、各呼出・警報操作を終了させる復旧ボタン23a、23b、・・・、患者がナースステーションと通話するために音声を集音するマイク21a、21b、・・・、ナースステーションからの音声を放音するとともに離床を検知した際に警報音を鳴動するスピーカ22a、22b、・・・、生体モニタ等を接続するための外部コネクタ25a、25b、・・・とを有している。また、ボタンコネクタ24a、24b、・・・を介して、患者が看護師を呼び出すために操作する外部握りボタン241a、241bが接続されている。
【0014】
図2は、離床検知装置2のブロック図であり、図1の各部の他、後述の動作で説明する第1のタイマ31、第2のタイマ32、第3のタイマ33及び各タイマの時間設定をおこなう設定部41、ナースコール親機1と通信するためのIF29、離床検知装置2の各部を制御するための離床CPU30とから構成されている。
【0015】
以下、このように構成された離床検知装置について以下、図3のフローチャートを参照して動作について説明する。
なお、患者が看護師を呼び出す際に、外部握りボタン241aが押下されると、離床CPU30がそれを検知し、ナースステーションに設置されたナースコール親機1に呼出信号を送出して、これを確認した看護師が、応答操作をおこなうと、図示しないナースコール親機1の通話部と、ナースコール子機20aのマイク21a、スピーカ22aとの通話路が確立され、患者が看護師と通話を行なうことができる点については従来と同様であるため説明を省略し、本実施例では、患者がベッドから離床する場合の動作について詳述する。
なお、患者がベッドに横になっている状態で離床検知装置2aの赤外センサ26a及び焦電センサ27aの検知範囲内となるように設定されているものとする(図1(b)参照)。
【0016】
トイレ、検査等で患者がベッドを離れる際には看護師の付き添いが必要となり、看護師が離床検知装置2aの停止ボタン28aを操作する(ST1)。これにより、離床検知装置2aの離床CPU30の制御により第1のタイマ31が計時を開始し、例えば、第1の所定時間として5分間は赤外センサ26a、焦電センサ27aの全ての検知動作を停止するように制御される(ST2)。これにより、離床作業中の一時的な離床検知後の在床検知により、後述する検知動作の誤再開を防止することができる。
【0017】
そして、離床CPU30は、5分経過により第1のタイマ31が計時を終了すると、赤外センサ26a、焦電センサ27aの在床検知動作のみを再開させる(ST4)。このとき、離床を検知しても、在床を検知するまでは警報音鳴動等の警報動作を行なわない。この状態において、患者がベッドに戻ると赤外センサ26a、焦電センサ27aが患者の在床を検知する(ST5)。このとき、直ぐに離床検知を再開するのではなく、在床を検知したとき第2のタイマ32が計時し、例えば第2の所定時間として1分間は離床検知をおこなわない(ST8)ように制御する。そして。当該1分間連続して患者の在床を検知したとき離床検知を再開するように制御し(ST9)、通常状態に移行させる(ST10)。これにより、在床させるための作業中にたまたま赤外センサ26a、焦電センサ27aの検知範囲外となってしまった場合であっても警報報知がおこなわれないことになり、看護師の負担を軽減することができる。
【0018】
なお、離床CPU30は、第1のタイマ31において計時する第1の所定時間経過後(5分)に、焦電センサ27aの在床検知動作のみを再開するとともに、第3のタイマ33において第3の所定時間として、例えば15分の計時を開始させるよう制御する(ST6)。そして、第3の所定時間内に在床を検知できなかった場合には、異常徘徊の恐れがあるとして、ナースコール親機1に警報信号を送出するとともに、スピーカ22aから警報音を鳴動させるように制御する(ST7)。また、入院中の患者においては、検査、リハビリ等、トイレと比較して長時間にわたって離床することがあるため、離床検知装置2aには、誤報を防止するために第3のタイマの設定時間を設定する設定部41を備えることも好適である。
【0019】
通常動作において、離床CPU30が患者の離床を検知すると、検知信号を離床検知装置IF29を介してナースコール親機1に通知し、当該ナースコール親機で警報報知される。これを確認した看護師が応答操作をおこなうと、離床検知装置2のナースコール子機20aに備えたマイク21a及びスピーカ22a間で通話路が形成され、患者または看護師と通話することができ、迅速な対応をおこなうことができる。
【0020】
上記実施例において、離床検知装置2aには、外部コネクタ25aに接続された生体モニタが接続され、当該生体モニタからの異常信号についても、同様にナースコール親機1に警報信号を送出するとともに、スピーカ22aから警報音を鳴動することができる。
されに、赤外センサ26a、焦電センサ27aの受信部は、ナースステーションを呼び出すための無線呼出ボタンや生体モニタ等の無線通報機器からの呼出信号を受信するための受信回路としても動作させることが可能であり、このように離床検知装置2aにナースコール子機の機能を付加することにより低コストかつ省スペースの離床検知装置を構築して利便性を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0021】
1・・・ ナースコール親機
2・・・ 離床検知装置
21・・・ マイク
22・・・ スピーカ
24・・・ ボタンコネクタ
241・・・ 外部握りボタン
25・・・ 外部コネクタ
26・・・ 第1のセンサ(赤外センサ)
27・・・ 第2のセンサ(焦電センサ)
28・・・ 停止ボタン
31・・・ 第1のタイマ
32・・・ 第2のタイマ
33・・・ 第3のタイマ
図1
図2
図3