特許第5722690号(P5722690)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5722690
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】発電装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 16/02 20060101AFI20150507BHJP
   H02K 1/27 20060101ALI20150507BHJP
   H02K 21/04 20060101ALI20150507BHJP
   H02K 21/16 20060101ALI20150507BHJP
   H02K 21/22 20060101ALI20150507BHJP
   H02K 21/26 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
   H02K16/02
   H02K1/27 501A
   H02K21/04
   H02K21/16 G
   H02K21/22 A
   H02K21/26 G
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-93435(P2011-93435)
(22)【出願日】2011年4月19日
(65)【公開番号】特開2012-228068(P2012-228068A)
(43)【公開日】2012年11月15日
【審査請求日】2012年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】511098688
【氏名又は名称】T.K Leverage株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148792
【弁理士】
【氏名又は名称】三田 大智
(74)【代理人】
【識別番号】100077735
【弁理士】
【氏名又は名称】市橋 俊一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100070323
【弁理士】
【氏名又は名称】中畑 孝
(72)【発明者】
【氏名】小林 隆逸
【審査官】 河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−259636(JP,A)
【文献】 特開2008−193888(JP,A)
【文献】 特表2009−535012(JP,A)
【文献】 特開平10−191621(JP,A)
【文献】 特開2010−017032(JP,A)
【文献】 特開平06−054497(JP,A)
【文献】 特開2001−218431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 16/02
H02K 21/16
H02K 1/27
H02K 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同心円状に配置して入れ子構造にした第一永久磁石部材と第二永久磁石部材と起電コイル部材とを備え、上記第一永久磁石部材又は/及び上記第二永久磁石部材を回転することにより上記起電コイル部材における発電を誘起する構成とし、上記第一,第二永久磁石部材は径方向において対極する永久磁石を周方向に多数配置して成り、該第一,第二永久磁石部材の一方の永久磁石の数を他方の永久磁石の数の2倍以上の整数倍にし、且つ該一方の永久磁石を互いに逆極性となるように隣接して配置すると共に、上記他方の永久磁石を互いに逆極性となるように隣接して配置し、上記起電コイル部材は起電コイルを周方向に多数配置して成り、該起電コイルの数を上記一方の永久磁石の数と同数にし、該各起電コイル上記一方の永久磁石の夫々に対応して配置することを特徴とする発電装置。
【請求項2】
上記第一永久磁石部材及び上記第二永久磁石部材の一方を正回転し他方を逆回転することを特徴とする請求項1記載の発電装置。
【請求項3】
同心円状に配置して入れ子構造にした第一永久磁石部材と第二永久磁石部材と起電コイル部材とを備え、上記起電コイル部材を回転することにより該起電コイル部材における発電を誘起する構成とし、上記第一,第二永久磁石部材は径方向において対極する永久磁石を周方向に多数配置して成り、該第一,第二永久磁石部材の一方の永久磁石の数を他方の永久磁石の数の2倍以上の整数倍にし、且つ該一方の永久磁石を互いに逆極性となるように隣接して配置すると共に、上記他方の永久磁石を互いに逆極性となるように隣接して配置し、上記起電コイル部材は起電コイルを周方向に多数配置して成り、該起電コイルの数を上記一方の永久磁石の数と同数にし、該各起電コイル上記一方の永久磁石の夫々に対応して配置することを特徴とする発電装置。
【請求項4】
上記起電コイル部材を上記第一,第二永久磁石部材の外方に同心配置したことを特徴とする請求項1記載の発電装置。
【請求項5】
上記第一永久磁石部材と第二永久磁石部材間に空芯コイルから成る起電コイルを配設した上記起電コイル部材を同心配置したことを特徴とする請求項1又は請求項3記載の発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は永久磁石と起電コイルとの相対回転により発電を誘起する発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
既知のように、筒状に配設した永久磁石を備える永久磁石部材と、筒状に配設した起電コイルを備える起電コイル部材とを同心配置し、即ち単一の上記永久磁石部材と単一の上記起電コイル部材とを同心配置し、該単一の永久磁石部材を回転することにより、上記起電コイル内の磁力を変化させて発電を誘起する発電装置が種々開発されている。
【0003】
上記既知の発電装置にあっては、発電を誘起する磁力、即ち永久磁石の磁力は一定であることから、下記特許文献1に示すように、上記永久磁石とは別に電磁石を設け、該電磁石の磁力を加算したり、非加算したりして磁力を増減する構成が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3709145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
換言すると、上記特許文献1の発電装置は単一の永久磁石部材に電磁石を付設し、該電磁石により起電コイルに作用する磁力を変化し、効率の良い発電を得んとする発想に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これに対し、本発明は起電コイルに作用する磁力の変化を図る手段として、同心円状に配置し入れ子構造にした第一永久磁石部材と第二永久磁石部材とを備え、両者の協働により起電コイルに作用する磁力を変化し効率の良い発電が得られるようにしたものである。
【0007】
即ち本発明に係る発電装置は、同心円状に配置して入れ子構造にした第一永久磁石部材と第二永久磁石部材と起電コイル部材とを備え、上記第一永久磁石部材又は/及び上記第二永久磁石部材を回転することにより上記起電コイル部材における発電を誘起する構成を有し、上記第一,第二永久磁石部材が協働して磁力を変化し効率の良い発電を得る。
【0008】
具体例として、上記第一永久磁石部材及び上記第二永久磁石部材の一方を正回転し他方を逆回転して、両者の回転スピードを実質上向上し発電効率を高めることができる。
【0009】
又は同心円状に配置して入れ子構造にした第一永久磁石部材と第二永久磁石部材と起電コイル部材とを備え、上記起電コイル部材を回転することにより該起電コイル部材における発電を誘起する構成を有し、上記第一,第二永久磁石部材が協働して磁力を変化し効率の良い発電を得る。
【0010】
上記第一永久磁石部材又は/及び上記第二永久磁石部材を回転する場合の具体例として、上記起電コイル部材を上記第一,第二永久磁石部材の外方に同心配置するか、又は上記第一永久磁石部材と第二永久磁石部材間に空芯コイルから成る起電コイルを配設した上記起電コイル部材を同心配置する。
【0011】
又上記起電コイル部材を回転する場合の具体例として、上記第一永久磁石部材と第二永久磁石部材間に空芯コイルから成る起電コイルを配設した上記起電コイル部材を同心配置する。
【0012】
具体例として、上記第一,第二永久磁石部材は径方向において対極する永久磁石を周方向に多数配置して成り、確実な上記磁力変化を図り効率の良い発電を得る。
【0013】
更には上記第一,第二永久磁石部材の一方の永久磁石の数を他方の永久磁石の数の2倍以上の整数倍にし、該一方の永久磁石を互いに逆極性となるように隣接して配置すると共に、上記他方の永久磁石を互いに逆極性となるように隣接して配置し、上記磁力変化を頻発させ効率の良い発電を得る。加えて上記起電コイル部材は起電コイルを周方向に多数配置して成り、該起電コイルの数を上記一方の永久磁石の数と同数にし、該各起電コイル上記一方の永久磁石の夫々に対応して配置する。

【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、上記第一,第二永久磁石部材の協働により起電コイルに作用する磁力の変化を図り、効率良い発電を得ることができる。
【0015】
具体例として、上記第一,第二永久磁石部材は径方向において対極する永久磁石を周方向に多数配置して成ることにより、上記第一永久磁石部材の永久磁石と上記第二永久磁石部材の永久磁石が径方向で対向し、該対向する永久磁石同士の逆極性(N極とS極)間及び同対向する永久磁石同士の同極性(S極とS極又はN極とN極)間で磁力を増減して磁力変化を図ることができる。
【0016】
更に上記第一,第二永久磁石部材の一方の永久磁石の数を他方の永久磁石の数の2倍以上の整数倍にし、該一方の永久磁石を互いに逆極性となるように隣接して配置すると共に、上記他方の永久磁石を互いに逆極性となるように隣接して配置することにより、上記第一永久磁石部材の永久磁石と上記第二永久磁石部材の永久磁石の逆極性同士の対向と同極性同士の対向の数を増加し上記磁力変化を頻発させて、効率の良い発電を得ることができる。

【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例1に係る発電装置の分解斜視図。
図2】上記実施例1に係る発電装置の横断面図。
図3】上記実施例1に係る発電装置の縦断面図。
図4】上記実施例1における第一永久磁石部材の永久磁石と第二永久磁石部材の永久磁石間及びコアにおける磁力方向を横断面視して示す要部拡大図。
図5】本発明の実施例2,実施例3に係る発電装置の分解斜視図。
図6】上記実施例2,実施例3に係る発電装置の横断面図。
図7】上記実施例2に係る発電装置の縦断面図。
図8】上記実施例3に係る発電装置の縦断面図。
図9】上記実施例2,実施例3における第一永久磁石部材の永久磁石と第二永久磁石部材の永久磁石間における磁力方向を横断面視して示す要部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明を実施するための最良の形態を図1乃至図9に基づき説明する。
【0019】
本発明に係る発電装置は基本構成として、図1図5に示すように、筒状又は環状に配設した永久磁石M1を備える第一永久磁石部材1と、筒状又は環状に配設した永久磁石M2を備える第二永久磁石部材2と、筒状又は環状に配設した起電コイルCを備える起電コイル部材3とを同心円状に配置して入れ子構造にし、上記第一永久磁石部材1又は/及び上記第二永久磁石部材2と上記起電コイル部材3の相対回転により、上記起電コイル部材3における発電を誘起する構成を有する。
【0020】
後記する実施例1〜実施例3に共通の構成として、図2図6にも示すように、上記第一永久磁石部材1は径方向において対極する永久磁石M1、即ち外周面と内周面の極性が互いに逆極性となる永久磁石M1を周方向に多数配置して成る。
【0021】
同様に上記第二永久磁石部材2は径方向において対極する永久磁石M2、即ち外周面と内周面の極性が互いに逆極性となる永久磁石M2を周方向に多数配置して成る。
【0022】
好ましくは、上記永久磁石M1と永久磁石M2の一方の数を他方の数の整数倍にする。後記する実施例1〜実施例3においては、永久磁石M2の数を永久磁石M1の数の2倍にした例を示す。
【0023】
図2図6にも示すように、上記多数の永久磁石M1を互いに逆極性となるように隣接して配置、例えば外周面の極性をN極(内周面の極性をS極)とする永久磁石M1に隣り合う永久磁石M1の外周面の極性をS極(内周面の極性をN極)として配置する。
【0024】
同様に上記多数の永久磁石M2を互いに逆極性となるように隣接して配置、例えば外周面の極性をN極(内周面の極性をS極)とする永久磁石M2に隣り合う永久磁石M2の外周面の極性をS極(内周面の極性をN極)として配置する。
【0025】
上記第一永久磁石部材1は横断面円弧状の板磁石から成る永久磁石M1を筒状又は環状に組み立てて形成するか、又は筒形或いは棒形の磁性体に上記した極性配置となるように着磁して形成する。該着磁は上記磁性体の中心軸方向に沿ってストレート状に行う場合と、同軸方向に対して傾斜角度をもってスキュー状に行う場合を含む。
【0026】
又本発明は上記永久磁石M1を後記する回転軸4又は固定軸4´の周面に埋設して筒状又は環状に配設し上記第一永久磁石部材1を形成することを排除しない。
【0027】
上記第二永久磁石部材2は横断面円弧状の板磁石から成る永久磁石M2を筒状又は環状に組み立てて形成するか、又は筒形の磁性体に上記した極性配置となるように着磁して形成する。該着磁も上記磁性体の中心軸方向に沿ってストレート状に行う場合と、同軸方向に対して傾斜角度をもってスキュー状に行う場合を含む。上記第二永久磁石部材2は上記第一永久磁石部材1よりも大径に形成し、該第一永久磁石部材1の外方に同心配置する。
【0028】
図1に破線で示すように、本発明は上記第一永久磁石部材1を複段構造1A,1Bにし、上記第二永久磁石部材2を複段構造2A,2Bにする場合、又は各セグメント(1A,1B又は2A,2B)を単一部材とする場合を含む。
【0029】
上記起電コイル部材3は起電コイルCを周方向に多数配置して成り、上記第一,第二永久磁石部材1,2と同心配置、例えば後記する実施例1に示すように、上記第一,第二永久磁石部材1,2の外方に同心配置するか、又は後記する実施例2,実施例3に示すように、上記第一永久磁石部材1と第二永久磁石部材2間に同心配置する。
【0030】
本発明に係る発電装置は、図4図9に示すように、上記第一永久磁石部材1と第二永久磁石部材2とが協働して磁力変化を図り、効率の良い発電を誘起することができる。
【0031】
即ち上記第一永久磁石部材1の永久磁石M1の外周面の極性と、該永久磁石M1に径方向で対向する上記第二永久磁石部材2の永久磁石M2の内周面の極性が逆極性となる場合には両者間に安定した強い磁力が生じる。
【0032】
例えば、上記永久磁石M1の外周面の極性がN極で上記永久磁石M2の内周面の極性がS極の場合には、図中F1で示すように、上記永久磁石M1から永久磁石M2へと流れる安定した磁力が発生し、上記永久磁石M1の外周面の極性がS極で上記永久磁石M2の内周面の極性がN極の場合には、図中F2で示すように、上記永久磁石M2から永久磁石M1へと流れる安定した磁力が発生する。
【0033】
又上記第一永久磁石部材1の永久磁石M1の外周面の極性と、該永久磁石M1に径方向で対向する上記第二永久磁石部材2の永久磁石M2の内周面の極性が同極性となる場合には両者間に流れる磁力は生じず、図中F3,F4で示す方向の磁力が生じる。
【0034】
即ち、図中F3で示すように、上記永久磁石M1のN極の外周面から隣接する永久磁石M1のS極の外周面へと流れる磁力が発生し、図中F4で示すように、上記永久磁石M2のN極の外周面から隣接する永久磁石M2のS極の外周面へと流れる磁力が生じる。
【0035】
上記第一永久磁石部材1又は/及び上記第二永久磁石部材2と上記起電コイル部材3との相対回転により、図中F1〜F4で示す方向の磁力が入れ替わって上記起電コイルCに作用し、効率の良い発電を得ることができる。
【0036】
本発明に係る上記第一,第二永久磁石部材1,2は厚さや磁力、永久磁石M1,M2の数を自由に設定でき、磁力変化の向上を図ることができる。
【0037】
又上記第一,第二永久磁石部材1,2の永久磁石M1,M2は、図示のように、筒状に隣接して配設する場合に限らず、周方向に間隔を置いて配設する場合を含む。
【実施例1】
【0038】
実施例1にあっては、図1図4に示すように、モータ、タービン、エンジン等の動力源9により回転する回転軸4に第一筒形ヨーク5を外挿し、該第一筒形ヨーク5に上記第一永久磁石部材1を外挿する。
【0039】
又上記第一永久磁石部材1と径方向に間隔を置いて上記第二永久磁石部材2を同心配置し、該第二永久磁石部材2に上記起電コイル部材3を外挿し、該起電コイル部材3に第二筒形ヨーク6を外挿する。
【0040】
依って、本実施例にあっては、同心円状に配置し入れ子構造にした第一永久磁石部材1と第二永久磁石部材2と起電コイル部材3とを備え、上記第一永久磁石部材1を回転し上記第二永久磁石部材2及び起電コイル部材3とを固定して、上記第一永久磁石部材1と上記第二永久磁石部材2及び起電コイル部材3とを相対回転する構成を有し、該相対回転により上記起電コイル部材3における発電を誘起する。
【0041】
図2に示すように、上記起電コイル部材3の起電コイルCは上記第二筒形ヨーク6の内周面に周方向に間隔を置いて配設した複数のコア7に巻線8を巻いて形成する。上記各コア7は珪素鋼板を積層して形成し、上記第二永久磁石部材2の各永久磁石M2の外周面に接着する。
【0042】
上記第二永久磁石部材2の永久磁石M2の数を上記第一永久磁石部材1の永久磁石M1の数の2倍にし、双方の永久磁石M1,M2を径方向において対向、即ち1個の上記永久磁石M1の外周面と2個の上記永久磁石M2の内周面を対向せしめる。
【0043】
前記のように、上記永久磁石M2は相互に逆極性となるように隣接して配置されているため、1個の上記永久磁石M1の外周面に対し、該永久磁石M1の外周面の極性(例えばN極)と同極性(N極)の内周面を持つ永久磁石M2と、逆極性(S極)の内周面を持つ永久磁石M2とが対向し、後記する磁力変化を頻発させ効率の良い発電を得ることができる。
【0044】
詳述すると、図4に示すように、上記永久磁石M1の外周面の極性と、該永久磁石M1に対向する上記永久磁石M2の内周面の極性が逆極性となる場合には両者間に図中F1又はF2で示す方向に安定した強い磁力が生じる。
【0045】
従って、上記第一永久磁石部材1が回転し各永久磁石M1が回転することにより、上記各永久磁石M2の外周面に接着されたコア7を介して、上記F1で示す方向の磁力と上記F2で示す方向の磁力が交互に上記起電コイルCに作用して該起電コイルC内の磁力変化を図り、効率の良い発電を誘起する。
【0046】
図4に示すように、上記永久磁石M1の外周面の極性と、該永久磁石M1に対向する上記永久磁石M2の内周面の極性が同極性となる場合には両者間に磁力が流れず、図中F3,F4で示す方向に磁力が生じ、該F4で示す方向の磁力は一部が上記F1で示す方向の磁力に加算され、上記磁力変化を補完する。
【0047】
尚上記第一永久磁石部材1の永久磁石M1と第二永久磁石部材2の永久磁石M2との対向間隔はできるだけ小さくして磁力を有効に流すことが好ましい。
【実施例2】
【0048】
実施例2にあっては、図5図7図9に示すように、固定軸4´に第一筒形ヨーク5を外挿し、該第一筒形ヨーク5に上記第一永久磁石部材1を外挿する。
【0049】
又上記第一永久磁石部材1と径方向に間隔を置いて上記起電コイル部材3を回転可能に同心配置し、該起電コイル部材3と径方向に間隔を置いて上記第二永久磁石部材2を固定して同心配置し、該第二永久磁石部材2に第二筒形ヨーク6を外挿する。上記起電コイル部材3はモータ、タービン、エンジン等の動力源9により回転する。
【0050】
依って、本実施例にあっては、同心円状に配置し入れ子構造にした第一永久磁石部材1と第二永久磁石部材2と起電コイル部材3とを備え、上記起電コイル部材3を回転し上記第一,第二永久磁石部材1,2を固定して、上記起電コイル部材3と上記第一,第二永久磁石部材1,2とを相対回転する構成を有し、該相対回転により上記起電コイル部材3における発電を誘起する。
【0051】
図5図6に示すように、上記起電コイル部材3はコアレスで巻線8を筒状又は環状に巻いた空芯コイルから成る起電コイルCを備え、該各起電コイルCを筒状又は環状に連結して形成する。又は上記起電コイル部材3はガラス等の非磁性体から成る2個の筒体で上記空芯コイルから成る各起電コイルCを内外側から挾持して形成する。
【0052】
尚本実施例にあっては、上記実施例1のように、上記起電コイルCをコアコイルとすることを排除しない。
【0053】
上記第二永久磁石部材2の永久磁石M2の数を上記第一永久磁石部材1の永久磁石M1の数の2倍にし、双方の永久磁石M1,M2を径方向において対向、即ち1個の上記永久磁石M1の外周面と2個の上記永久磁石M2の内周面を対向せしめ、その対向間隔に上記起電コイルCを介在せしめる。
【0054】
前記のように、上記永久磁石M2は相互に逆極性となるように隣接して配置されているため、1個の上記永久磁石M1の外周面に対し、該永久磁石M1の外周面の極性(例えばN極)と同極性(N極)の内周面を持つ永久磁石M2と、逆極性(S極)の内周面を持つ永久磁石M2とが対向し、後記する磁力変化を頻発させ効率の良い発電を得ることができる。
【0055】
詳述すると、図9に示すように、上記永久磁石M1の外周面の極性と、該永久磁石M1に対向する上記永久磁石M2の内周面の極性が逆極性となる場合には両者間に図中F1又はF2で示す方向に安定した強い磁力が生じる。
【0056】
図9に示すように、上記永久磁石M1の外周面の極性と、該永久磁石M1に対向する上記永久磁石M2の内周面の極性が同極性となる場合には両者間に磁力が流れず、図中F3,F4で示す方向に磁力が生じる。
【0057】
本実施例にあっては、前記した図9のF1〜F4で示す方向の磁力を直接起電コイルC内に作用させ、効率の良い発電を誘起する。
【0058】
即ち上記起電コイル部材3は上記第一永久磁石部材1の永久磁石M1と上記第二永久磁石部材2の永久磁石M2間で回転し、該起電コイル部材3の各起電コイルC内で磁力が図9のF1〜F4で示す各方向に変化することにより、効率の良い発電を誘起する。
【0059】
本実施例にあっては、上記永久磁石M1と永久磁石M2との対向間隔に上記起電コイルCが介在し上記対向間隔が大きくなるため、上記永久磁石M1,M2由来の磁力をある程度大きくするか、又は超電導現象が起こる絶対零度近くの極低温の環境で使用して、上記永久磁石M1,M2由来の磁力を効率良く利用することが望ましい。
【実施例3】
【0060】
実施例3にあっては、図5図6図8図9に示すように、モータ、タービン、エンジン等の動力源9により回転する回転軸4に第一筒形ヨーク5を外挿し、該第一筒形ヨーク5に上記第一永久磁石部材1を外挿する。
【0061】
又上記第一永久磁石部材1と径方向に間隔を置いて上記起電コイル部材3を固定して同心配置し、該起電コイル部材3と径方向に間隔を置いて上記第二永久磁石部材2を回転可能に同心配置し、該第二永久磁石部材2に第二筒形ヨーク6を外挿する。上記第二永久磁石部材2はモータ、タービン、エンジン等の動力源10により回転する。尚上記動力源9と動力源10とを同一動力源とすることも排除しない。
【0062】
依って、本実施例にあっては、同心円状に配置し入れ子構造にした上記第一永久磁石部材1と第二永久磁石部材2と起電コイル部材3とを備え、上記起電コイル部材3を固定し上記第一,第二永久磁石部材1,2を回転し、上記起電コイル部材3と上記第一,第二永久磁石部材1,2とを相対回転する構成を有し、該相対回転により上記起電コイル部材3における発電を誘起する。
【0063】
図5図6に示すように、上記起電コイル部材3はコアレスで巻線8を筒状又は環状に巻いた空芯コイルから成る起電コイルCを備え、該各起電コイルCを筒状又は環状に連結して形成する。又は上記起電コイル部材3はガラス等の非磁性体から成る2個の筒体で上記空芯コイルから成る各起電コイルCを内外側から挾持して形成する。
【0064】
尚本実施例にあっては、上記実施例1のように、上記起電コイルCをコアコイルとすることを排除しない。
【0065】
上記第二永久磁石部材2の永久磁石M2の数を上記第一永久磁石部材1の永久磁石M1の数の2倍にし、双方の永久磁石M1,M2を径方向において対向、即ち1個の上記永久磁石M1の外周面と2個の上記永久磁石M2の内周面を対向せしめ、その対向間隔に上記起電コイルCを介在せしめる。
【0066】
前記のように、上記永久磁石M2は相互に逆極性となるように隣接して配置されているため、1個の上記永久磁石M1の外周面に対し、該永久磁石M1の外周面の極性(例えばN極)と同極性(N極)の内周面を持つ永久磁石M2と、逆極性(S極)の内周面を持つ永久磁石M2とが対向し、後記する磁力変化を頻発させ効率の良い発電を得ることができる。
【0067】
詳述すると、図9に示すように、上記永久磁石M1の外周面の極性と、該永久磁石M1に対向する上記永久磁石M2の内周面の極性が逆極性となる場合には両者間に図中F1又はF2で示す方向に安定した強い磁力が生じる。
【0068】
図9に示すように、上記永久磁石M1の外周面の極性と、該永久磁石M1に対向する上記永久磁石M2の内周面の極性が同極性となる場合には両者間に磁力が流れず、図中F3,F4で示す方向に磁力が生じる。
【0069】
本実施例にあっては、前記した図9のF1〜F4で示す方向の磁力を直接起電コイルC内に作用させ、効率の良い発電を誘起する。
【0070】
即ち上記第一永久磁石部材1及び第二永久磁石部材2は上記起電コイル部材3を挟んだ状態で回転し、上記永久磁石M1と永久磁石M2間の各起電コイルC内で磁力が図9のF1〜F4で示す各方向に変化することにより、効率の良い発電を誘起する。
【0071】
本実施例にあっては、上記第一,第二永久磁石部材1,2を同方向に同スピードで回転するか、又は一方の永久磁石部材と他方の永久磁石部材のスピードを変えて同方向に回転することができる。
【0072】
又は上記第一,第二永久磁石部材1,2の一方を正回転し他方を逆回転して、両者の回転スピードを実質上向上し発電効率を高めることができる。
【0073】
本実施例にあっては、上記永久磁石M1と永久磁石M2との対向間隔に上記起電コイルCが介在し上記対向間隔が大きくなるため、上記永久磁石M1,M2由来の磁力をある程度大きくするか、又は超電導現象が起こる絶対零度近くの極低温の環境で使用して、上記永久磁石M1,M2由来の磁力を効率良く利用することが望ましい。
【0074】
本発明に係る発電装置は上記した各実施例の場合に限らず、第一永久磁石部材1又は第二永久磁石部材2と起電コイル部材3との相対回転により起電コイル部材3における発電を誘起する全ての場合を包含する。
【0075】
換言すると、上記第一,第二永久磁石部材1,2の一方が回転し、他方と上記起電コイル部材3を固定して上記相対回転を行うか、又は上記第一,第二永久磁石部材1,2の一方を固定し、他方と上記起電コイル部材3を回転して上記相対回転を行い、上記起電コイル部材3における発電を誘起する場合を全て包含する。
【0076】
又本発明に係る発電装置は第一永久磁石部材1及び第二永久磁石部材2と起電コイル部材3との相対回転により起電コイル部材3における発電を誘起する全ての場合を包含する。
【0077】
換言すると、上記第一,第二永久磁石部材1,2を回転し、上記起電コイル部材3を固定して上記相対回転を行うか、又は上記第一,第二永久磁石部材1,2を固定し、上記起電コイル部材3を回転して上記相対回転を行い、上記起電コイル部材3における発電を誘起する場合を全て包含する。
【符号の説明】
【0078】
1…第一永久磁石部材、2…第二永久磁石部材、3…起電コイル部材、4…回転軸、4´…固定軸、5…第一筒形ヨーク、6…第二筒形ヨーク、7…コア、8…巻線、9…動力源、10…動力源、M1…第一永久磁石部材の永久磁石、M2…第二永久磁石部材の永久磁石、C…起電コイル、F1,F2,F3,F4…磁力方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9