【実施例1】
【0015】
図1は、実施例1の伝送システム及び管理レベルの一例を示す説明図である。
図1に示す伝送システム1は、例えば、伝送装置2A、伝送装置2B、伝送装置2C、伝送装置2D及び伝送装置2Eを有し、これら複数の伝送装置2同士をケーブル3で通信接続する。尚、伝送システム1では、伝送装置2間の保守区間の管理形態として複数の管理レベルがある。
図1の例では、管理レベルとして“A”、“B”及び“C”の3種類ある。管理レベル“A”では、伝送装置2A及び伝送装置2EをMEP、伝送装置2B、伝送装置2C及び伝送装置2DをMIPに設定する。そして、伝送装置2Aと伝送装置2BとのMEP間の導通性をチェックする。更に、管理レベル“B”では、伝送装置2A、伝送装置2C及び伝送装置2EをMEP、伝送装置2B及び伝送装置2DをMIPに設定する。そして、伝送装置2Aと、伝送装置2Cと、伝送装置2EとのMEP間の導通性をチェックする。管理レベル“C”では、伝送装置2A、伝送装置2B、伝送装置2C、伝送装置2D及び伝送装置2EをMEPに設定する。そして、伝送装置2Aと、伝送装置2Bと、伝送装置2Cと、伝送装置2Dと、伝送装置2EとのMEP間の導通性をチェックする。
【0016】
図2は、実施例1の伝送装置2の一例を示すブロック図である。
図2に示す伝送装置2は、入力インタフェース11と、出力インタフェース12と、L2スイッチ13と、RAM(Random Access Memory)14と、ROM(Read Only Memory)15と、CPU(Central Processing Unit)16とを有する。入力インタフェース11は、ケーブル3と接続して伝送システム1内の他の伝送装置2からのフレーム等を入力する。出力インタフェース12は、ケーブル3と接続して伝送システム1内の他の伝送装置2に対してフレーム等を出力する。L2スイッチ13は、入力インタフェース11と出力インタフェース12と切替接続すると共に、レイヤ2レベルの各種処理を実行する。RAM14には、各種情報、例えば、警報情報を記憶する警報情報記憶部14Aと、輻輳情報を記憶する輻輳情報記憶部14Bと、後述する調整量を記憶する調整量記憶部14Cとが記憶されている。尚、警報情報は、例えば、CCMフレームに付加されたRDI情報に関わる障害を示す情報である。輻輳情報は、CCMフレームの受信処理が輻輳状態であるか否かを示す情報である。調整量は、後述するCCMフレームに付加された調整量、すなわちCCMフレームの送信タイミングを調整する量である。警報情報記憶部14A、輻輳情報記憶部14B及び調整量記憶部14Cは、単一のRAM14内に記憶するようにしたが、複数のRAMに各自記憶するようにしても良い。更に、ROM15には、各種プログラム、例えば、CCM処理プログラム15Aが格納される。
【0017】
CPU16は、伝送装置2全体を制御すると共に、ROM15に格納されたCCM処理プログラムを読み出してCCM処理機能を実行する。尚、請求項記載の判定部、算出部、調整部はCPU16で実行する。CPU16は、入力インタフェース11経由でCCMフレームを受信する。CPU16は、出力インタフェース12経由でCCMフレームを送信する。CPU16は、入力インタフェース11で受信した他の伝送装置2からのCCMフレームを受信する。更に、CPU16は、受信されたCCMフレームを分析する。更に、CPU16は、分析結果に基づき、CCMフレーム内のRDI情報に基づき警報情報があるか否かを判定する。更に、CPU16は、警報情報がある場合、その警報情報を警報情報記憶部14Aに記憶する。
【0018】
また、CPU16は、分析結果に基づき、受信するCCMフレームの受信処理が輻輳状態であるか否かを判定する。尚、輻輳状態とは、例えば、CCMフレームで規定する送信期間内で、各管理レベルの複数のCCMフレームを同一若しくは同一に近い受信タイミングで受信した際に、各CCMフレームの受信処理が輻輳した状態である。CPU16は、受信処理が輻輳状態である場合、輻輳状態に基づき、各管理レベルの対向MEPの伝送装置2側のCCMフレームの送信タイミングを調整する調整量を算出する。また、CPU16は、分析結果に基づき、MEPの伝送装置2から受信したCCMフレーム内の特定領域に付加された調整量があるか否かを判定する。更に、CPU16は、CCMフレーム内の特定領域に付加された調整量がある場合、その調整量を検出する。そして、CPU16は、調整量を検出すると、その調整量を調整量記憶部14Cに記憶する。
【0019】
CPU16は、対向MEPの伝送装置2に送信するCCMフレームを生成する。また、CPU16は、対向MEPの伝送装置2宛に送信する調整量を算出した場合、対向MEPの伝送装置2宛のCCMフレーム内の特定領域に調整量を付加する。また、CPU16は、生成されたCCMフレームを対向MEPの伝送装置2宛に送信する。また、CPU16は、CCMフレームから調整量を検出した場合、当該CCMフレームの対向MEPの伝送装置2宛に送信するCCMフレームの送信タイミングを調整量に基づき調整する。そして、CPU16は、調整された送信タイミングに基づき、CCMフレームを対向MEPの伝送装置2に送信する。
【0020】
図3は、CCMフレームのフォーマット構成の一例を示す説明図である。
図3に示すCCMフレームは、「DA」と、「SA」と、「VLAN header」と、「Ether Type」と、「MEL」と、「Version」と、「Opcode」と、「RDI Bit」と、「Period」とを有する。更に、CCMフレームは、「TLV Offset」と、「All“0x00”」と、「MEP ID」と、「MEG ID」と、「TxFCf」と、「RxFCb」と、「TxFCb」とを有する。更に、CCMフレームは、「Reserved」と、「TLV type」と、「TLV length」と、「Value」と、「End TLV」と、「FCS」とを有する。
【0021】
「DA」は、マルチキャスト又はユニキャストの送信先のアドレスを格納する領域である。「SA」は、自装置のMACアドレスを格納する領域である。「VLAN header」はヘッダを格納する領域である。「Ether Type」は、イーサネット種別としてOAMを格納する領域である。「MEL」は、送信元のMEPのMEG(Maintenance Entity Group)レベルを格納する領域である。尚、MEGは、CCMフレームを使用して保守を行う一つの区間を示すME(Maintenance Entity)の集合体を示すものである。「Version」は、受信廃棄すべきか否かを識別するデータを格納する領域である。「Opcode」は、命令を識別するオペコードを格納する領域である。「RDI Bit」は、障害内容を識別するビット列のRDI情報を格納する領域である。「Period」は、CCMフレームの送受信に使用する送受信間隔を格納する領域である。「TLV Offset」は、CCMフレームのType、Length、Valueのオフセット値を格納する領域である。「All“0x00”」は、シーケンス番号が未使用の状態を格納する領域である。「MEP ID」は、送信元のMEPを識別するIDを格納する領域である。また、「MEG ID」は、送信元のMEPのMEGを識別するIDを格納する領域である。
【0022】
「TxFCf」は、CCMフレーム送信時のローカルカウンタを格納する領域である。「RxFCb」は、対向MEPからの最終CCMフレームレセプション時のローカルカウンタを格納する領域である。「TxFCb」は、対向MEPからのCCMフレームを受信した最終TxFCf値を格納する領域である。「Reserved」はリザーブ領域である。「TLV type」は、リザーブ領域内のフレーム種別を格納する領域である。「TLV length」は、リザーブ領域内のフレームサイズを格納する領域である。「Value」は、リザーブ領域内の値を格納する領域である。「FCS」は、エラーを検出するためのチェックサムを使用して誤り検出するための領域である。尚、図中の「All “00x0”」は未使用であることを示すものである。尚、生成部31は、
図3に示すCCMフレーム内の「TLV type」、「TLV length」及び「Value」の特定領域に調整量を付加するものである。
【0023】
図4は、管理レベル毎の各MEPのCCMフレームの通信タイミングの一例を示す説明図である。管理レベル“A”では、MEPの伝送装置2AがMIP経由でCCMフレームを対向MEPの伝送装置2Eに送信する。更に、MEPの伝送装置2Eは、伝送装置2AからのCCMフレームを受信すると、MIP経由でCCMフレームを対向MEPの伝送装置2Aに送信する。また、管理レベル“B”では、MEPの伝送装置2AがMIP経由でCCMフレームをMEPの伝送装置2Cに送信する。更に、MEPの伝送装置2Cは、伝送装置2AからのCCMフレームを受信すると、MIP経由で対向MEPの伝送装置2Eに送信する。そして、MEPの伝送装置2Eは、伝送装置2CからのCCMフレームを受信すると、MIP経由でCCMフレームをMEPの伝送装置2Cに送信する。更に、MEPの伝送装置2Cは、伝送装置2EからのCCMフレームを受信すると、MIP経由で対向MEPの伝送装置2Aに送信する。
【0024】
また、管理レベル“C”では、MEPの伝送装置2AがCCMフレームをMEPの伝送装置2Bに送信する。更に、MEPの伝送装置2Bは、伝送装置2AからのCCMフレームを受信すると、対向MEPの伝送装置2Cに送信する。MEPの伝送装置2Cは、伝送装置2BからのCCMフレームを受信すると、CCMフレームをMEPの伝送装置2Dに送信する。更に、MEPの伝送装置2Dは、伝送装置2CからのCCMフレームを受信すると、対向MEPの伝送装置2Eに送信する。また、MEPの伝送装置2Eは、伝送装置2DからのCCMフレームを受信すると、CCMフレームをMEPの伝送装置2Dに送信する。更に、MEPの伝送装置2Dは、伝送装置2DからのCCMフレームを受信すると、対向MEPの伝送装置2Cに送信する。MEPの伝送装置2Cは、伝送装置2DからのCCMフレームを受信すると、CCMフレームをMEPの伝送装置2Bに送信する。更に、MEPの伝送装置2Bは、伝送装置2CからのCCMフレームを受信すると、対向MEPの伝送装置2Aに送信する。尚、管理レベル“A”、“B”及び“C”では、状況によっては受信元MEPの伝送装置2E側で各管理レベルのCCMフレームの受信タイミングが同一となる。
【0025】
次に、本実施例の伝送システム1の動作について説明する。
図5は、調整量指示処理に関わる伝送装置2のCPU16の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図5に示す調整量指示処理では、各管理レベルの対向MEPの伝送装置2から受信したCCMフレームのMEPの伝送装置2側の受信処理が輻輳しないように、CCMフレームの送信タイミングを調整する調整量を対向MEPの伝送装置2側に指示する処理である。
図5においてCPU16は、各管理レベルの複数のCCMフレームの受信処理が輻輳状態であるか否かを判定する(ステップS11)。
図4の例では、管理レベル“A”、“B”及び“C”のMEPの伝送装置2Aは、同一送信タイミングで管理レベル“A”、“B”及び“C”の対向MEPの伝送装置2Eに各CCMフレームを送信する(ステップS51、S51A,S51B)。その結果、対向MEPの伝送装置2Eは、各管理レベル“A”、“B”及び“C”の各CCMフレームを同一受信タイミングで受信した状態となる。つまり、伝送装置2Eは、各CCMフレームの受信処理が輻輳状態にある。
【0026】
CPU16は、受信処理が輻輳状態である場合(ステップS11肯定)、輻輳状態に基づき、管理レベル毎のCCMフレームの送信タイミングを調整した調整量を算出する(ステップS12)。尚、CPU16は、CCMフレームを送信する通常の送信間隔(例えば、10秒)を所定単位(例えば、1秒)で分割し、その分割された所定単位を管理レベル毎の調整量として算出する。つまり、CPU16は、管理レベル毎にCCMフレームの調整量を1秒ずつ遅延する。
図4の例では、管理レベル“A”のCCMフレームの調整量を基準値として遅延0秒とした場合、管理レベル“B”のCCMフレームの調整量は管理レベル“A”の送信タイミングから1秒遅延となる。更に、管理レベル“C”のCCMフレームの調整量は、管理レベル“B”の送信タイミングから1秒遅延、すなわち管理レベル“A”の送信タイミングから2秒遅延となる。
【0027】
CPU16は、管理レベル毎の調整量を算出すると、管理レベル毎の対向MEPの伝送装置2宛に送信するCCMフレームの特定領域に該当管理レベルに対応した調整量を付加する(ステップS13)。例えば、CPU16は、管理レベル“A”の調整量、すなわち0秒遅延を管理レベル“A”の対向MEPの伝送装置2宛のCCMフレームの特定領域に付加する。更に、CPU16は、管理レベル“B”の調整量、すなわち1秒遅延を管理レベル“B”の対向MEPの伝送装置2宛のCCMフレームの特定領域に付加する。更に、CPU16は、管理レベル“C”の調整量、すなわち2秒遅延を管理レベル“C”の対向MEPの伝送装置2宛のCCMフレームの特定領域に付加する。
【0028】
CPU16は、調整量を付加したCCMフレームを管理レベルに対応した対向MEPの伝送装置2に送信し(ステップS14)、
図5に示す処理動作を終了する。
図4の例では、CPU16は、“0秒遅延”の調整量を付加したCCMフレームを管理レベル“A”の対向MEPの伝送装置2に送信する(ステップS52)。更に、CPU16は、“1秒遅延”の調整量を付加したCCMフレームを管理レベル“B”の対向MEPの伝送装置2に送信する(ステップS52A)。更に、CPU16は、“2秒遅延”の調整量を付加したCCMフレームを管理レベル“C”の対向MEPの伝送装置2に送信する(ステップS52B)。また、CPU16は、受信タイミングの輻輳状態がない場合(ステップS11否定)、
図5に示す処理動作を終了する。
【0029】
図5に示す調整量指示処理では、CPU16が、受信処理が輻輳状態の場合、受信処理が輻輳しないように、管理レベル毎のCCMフレームの送信タイミングを調整する調整量を算出する。そして、CPU16は、管理レベル毎の調整量を付加したCCMフレームを管理レベルの対向MEPの伝送装置2宛に送信する。その結果、MEPの伝送装置2は、各管理レベルの対向MEPの伝送装置2宛に調整量を通知できる。
【0030】
図6は、送信タイミング調整処理に関わる伝送装置2のCPU16の処理動作の一例を示すフローチャートである。
図6に示す送信タイミング調整処理では、対向MEPの伝送装置2からの調整量に基づき、対向MEPの伝送装置2宛に送信するCCMフレームの送信タイミングを遅延調整する処理である。
図6においてCPU16は、対向MEPの伝送装置2からCCMフレームを受信したか否かを判定する(ステップS21)。CPU16は、CCMフレームを受信した場合(ステップS21肯定)、対向MEPの伝送装置2からCCMフレームを分析する(ステップS22)。
【0031】
CPU16は、CCMフレーム内の特定領域内に付加された調整量を検出したか否かを判定する(ステップS23)。
図4の例で、管理レベル“A”の伝送装置2AのCPU16は、管理レベル“A”の対向MEPの伝送装置2EからのCCMフレームから“0秒遅延”の調整量を検出する。更に、CPU16は、管理レベル“B”の対向MEPの伝送装置2EからのCCMフレームから“1秒遅延”の調整量を検出する。更に、CPU16は、管理レベル“C”の対向MEPの伝送装置2EからのCCMフレームから“2秒遅延”の調整量を検出する。
【0032】
CPU16は、CCMフレーム内の特定領域内に付加された調整量を検出した場合に(ステップS23肯定)、調整量に基づき、対向MEPの伝送装置2宛のCCMフレームの送信タイミングを調整する(ステップS24)。
図4の例では、管理レベル“A”の伝送装置2AのCPU16は、管理レベル“A”の“0秒遅延”の調整量に基づき、対向MEPの伝送装置2E宛の送信タイミングを“0秒遅延”で調整する。更に、CPU16は、管理レベル“B”の“1秒遅延”の調整量に基づき、対向MEPの伝送装置2E宛の送信タイミングを管理レベル“A”の送信タイミングから“1秒遅延”で調整する。更に、調整部33は、管理レベル“C”の“2秒遅延”の調整量に基づき、対向MEPの伝送装置2E宛の送信タイミングを管理レベル“A”の送信タイミングから“2秒遅延”で調整する。
【0033】
そして、CPU16は、調整された送信タイミングに基づき、各管理レベルの対向MEPの伝送装置2宛にCCMフレームを送信することで(ステップS25)、
図6に示す処理動作を終了する。
図4の例では、伝送装置2AのCPU16は、管理レベル“A”の対向MEPの伝送装置2E宛にCCMフレームを送信する(ステップS53)。更に、CPU16は、ステップS53のCCMフレーム送信後の1秒後に、管理レベル“B”の対向MEPの伝送装置2E宛にCCMフレームを送信する(ステップS53A)。更に、伝送装置2AのCPU16は、ステップS53のCCMフレーム送信後の2秒後、すなわちステップS53AのCCMフレーム送信後の1秒後に、管理レベル“C”の対向MEPの伝送装置2E宛にCCMフレームを送信する(ステップS53B)。その結果、伝送システム1では、伝送装置2Aから管理レベル“A”、“B”及び“C”のCCMフレームの送信タイミングがずれるため、瞬間的なトラヒックの増大を防止できる。
【0034】
つまり、管理レベル“A”、“B”及び“C”の伝送装置2Eは、管理レベル“A”のCCMフレームを受信した後、1秒後に、管理レベル“B”のCCMフレームを受信し、その1秒後に、管理レベル“C”のCCMフレームを受信する。その結果、伝送装置2Eは、管理レベル“A”のCCMフレーム、管理レベル“B”のCCMフレーム及び管理レベル“C”のCCMフレームの受信処理が輻輳することなく、各管理レベルのCCMフレームの受信処理を順次実行できる。その後、
図4の例では、各管理レベルのMEPの伝送装置2Eは、遅延調整された送信タイミングのCCMフレームを受信すると、CCMフレームを対向MEPの伝送装置2A宛に送信する(ステップS54、S54A、S54B)。
【0035】
CPU16は、対向MEPの伝送装置2からCCMフレームを受信したのでない場合(ステップS21否定)、
図6に示す処理動作を終了する。また、CPU16は、CCMフレームの特定領域内に付加された調整量を検出しなかった場合(ステップS23否定)、そのままの送信タイミングに基づき、対向MEPの伝送装置2宛のCCMフレームを送信すべく、ステップS25に移行する。
【0036】
図6に示す送信タイミング調整処理では、CPU16が、管理レベル毎のCCMフレームに付加された調整量に基づき、各管理レベルのCCMフレームの送信タイミングを調整する。CPU16は、調整量に基づき調整されたCCMフレームを該当管理レベルの対向MEPの伝送装置2宛に送信する。各管理レベルのMEPの伝送装置2のCPU16は、各管理レベルの対向MEPの伝送装置2からCCMフレームを順次に受信する。その結果、MEPの伝送装置2は、各CCMフレームの受信処理が輻輳しないため、各CCMフレームの受信処理の分散化で受信処理に要する処理負担が軽減できる。
【0037】
実施例1では、受信元MEPの伝送装置2側の受信処理が輻輳状態である場合、管理レベル毎のCCMフレームの送信タイミングを調整する調整量を管理レベルの対向MEPの伝送装置2宛に送信する。更に、対向MEPの伝送装置2は、調整量に基づき、CCMフレームの送信タイミングを調整してCCMフレームを送信する。各管理レベルのMEPの伝送装置2は、各管理レベルの対向MEPの伝送装置2からCCMフレームを順次に受信する。その結果、MEPの伝送装置2は、各CCMフレームの受信処理が輻輳しないため、各CCMフレームの受信処理の分散化で受信処理に要する処理負担が軽減できる。しかも、受信処理に要する処理負担が軽減されることで、安価な低性能のCPUやL2スイッチでも実現可能となるので、伝送装置2の部品コストが低減できる。
【0038】
ところで、上記実施例1で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをコンピュータで実行することによって実現できる。そこで、以下では、
図7を用いて、上記の実施例1の変形例としてプログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。
図7は、実施例1の変形例を示す説明図である。
【0039】
図7に示すように、伝送プログラムを実行するコンピュータ100では、HDD(Hard Disk Drive)110、RAM120、ROM130及びCPU140がバス150を介して接続される。
【0040】
そして、ROM130若しくはHDD110には、上記の実施例と同様の機能を発揮する伝送プログラムが予め記憶されている。尚、ROM130及びHDD110ではなく、図示せぬドライブでコンピュータ読取可能な記録媒体に伝送プログラムが記録されていても良い。また、記録媒体としては、例えば、CD−ROM、DVDディスク、USBメモリ等の可搬型記録媒体、フラッシュメモリ等の半導体メモリ等でも良い。伝送プログラムとしては、
図7に示すように、判定プログラム131、算出プログラム132、送信プログラム133及び調整プログラム134である。
【0041】
そして、CPU140が、これらのプログラム131〜134をROM130から読み出して実行する。そして、各プログラム131〜134は、判定プロセス141、算出プロセス142、送信プロセス143及び調整プロセス144として機能するようになる。
【0042】
CPU140は、対向MEPの伝送装置から受信する監視フレームの受信処理が輻輳状態であるか否かを判定する。更に、CPU140は、受信処理が輻輳状態である場合に、監視フレームの受信処理が分散するように、送信元の伝送装置に関わる監視フレームの送信タイミングを調整する調整量を算出する。更に、CPU140は、算出された調整量を送信元の伝送装置に送信する。また、CPU140は、他の伝送装置2から調整量を受信した場合に、当該調整量に基づき、当該伝送装置へ送信する監視フレームの送信タイミングを調整する。その結果、CPU140は、受信処理が輻輳せず、各CCMフレームの受信処理を分散化して処理負担を軽減できる。
【0043】
尚、上記実施例1では、CPU16でCCM処理プログラムを実行したが、CPU16と別個にCCM処理を実行するCCM処理回路を設けることで、CPU16側の負荷を低減するようにしても良く、実施例2として以下に説明する。
【実施例2】
【0044】
図8は、実施例2の伝送装置の一例を示すブロック図である。尚、
図2に示す伝送装置2と同一の構成には同一符号を付すことで、その重複する構成及び動作の説明については省略する。
図8に示す伝送装置2Xは、入力インタフェース11、出力インタフェース12、L2スイッチ13、RAM14及びCPU16の他に、CCM処理回路18を内蔵した。尚、CCM処理回路18は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の半導体デバイスで構成する。
【0045】
CCM処理回路18は、受信回路18Aと、送信回路18Bとを有する。受信回路18Aは、インタフェース21Aと、メモリ22Aと、FPGA23Aとを有する。メモリ22Aには、CCMフレームに関わる受信処理プログラムが記憶されている。FPGA23Aは、メモリ22Aに記憶された受信処理プログラムを読み出して受信処理機能を実行する。FPGA23Aは、インタフェース21Aを通じて、入力インタフェース11で受信した他の伝送装置2からのCCMフレームを受信する。FPGA23Aは、受信されたCCMフレームを分析する。FPGA23Aは、分析結果に基づき、CCMフレーム内のRDI情報に基づき警報情報があるか否かを判定する。FPGA23Aは、警報情報がある場合、その警報情報を警報情報記憶部14Aに記憶する。
【0046】
また、FPGA23Aは、分析結果に基づき、受信するCCMフレームの受信処理が輻輳状態であるか否かを判定する。尚、輻輳状態とは、例えば、CCMフレームで規定する送信期間内で、各管理レベルの複数のCCMフレームを同一若しくは同一に近い受信タイミングで受信した際に、各CCMフレームの受信処理が輻輳した状態である。FPGA23Aは、受信処理が輻輳状態である場合、輻輳状態に基づき、各管理レベルの対向MEPの伝送装置2側のCCMフレームの送信タイミングを調整する調整量を算出する。また、FPGA23Aは、分析結果に基づき、MEPの伝送装置2から受信したCCMフレーム内の特定領域に付加された調整量があるか否かを判定する。FPGA23Aは、CCMフレーム内の特定領域に付加された調整量がある場合、その調整量を検出する。そして、FPGA23Aは、調整量を検出すると、その調整量を調整量記憶部14Cに記憶する。
【0047】
また、送信回路18Bは、インタフェース21Bと、メモリ22Bと、FPGA23Bとを有する。メモリ22Bは、CCMフレームに関わる送信処理プログラムが記憶されている。FPGA23Bは、メモリ22Bに記憶された送信処理プログラムを読み出して送信処理機能を実行する。FPGA23Bは、対向MEPの伝送装置2に送信するCCMフレームを生成する。また、FPGA23Bは、対向MEPの伝送装置2宛に送信する調整量を算出した場合、対向MEPの伝送装置2宛のCCMフレーム内の特定領域に調整量を付加する。また、FPGA23Bは、生成されたCCMフレームを対向MEPの伝送装置2宛に送信する。また、FPGA23Bは、CCMフレームから調整量を検出した場合、当該CCMフレームの対向MEPの伝送装置2宛に送信するCCMフレームの送信タイミングを調整量に基づき調整する。そして、FPGA23Bは、調整された送信タイミングに基づき、CCMフレームを対向MEPの伝送装置2に送信する。
【0048】
CCM処理回路18は、
図5に示す調整量指示処理を実行する。つまり、CCM処理回路18は、受信処理が輻輳状態の場合、受信処理が輻輳しないように、管理レベル毎のCCMフレームの送信タイミングを調整する調整量を算出する。そして、CCM処理回路18は、管理レベル毎の調整量を付加したCCMフレームを管理レベルの対向MEPの伝送装置2宛に送信する。その結果、MEPの伝送装置2は、各管理レベルの対向MEPの伝送装置2宛に調整量を通知できる。
【0049】
更に、CCM処理回路18は、
図6に示す送信タイミング調整処理を実行する。つまり、CCM処理回路18は、管理レベル毎のCCMフレームに付加された調整量に基づき、各管理レベルのCCMフレームの送信タイミングを調整する。更に、CCM処理回路18は、調整量に基づき調整されたCCMフレームを該当管理レベルの対向MEPの伝送装置2宛に送信する。各管理レベルのMEPの伝送装置2のCCM処理回路18は、各管理レベルの対向MEPの伝送装置2からCCMフレームを順次に受信する。その結果、MEPの伝送装置2は、各CCMフレームの受信処理が輻輳しないため、各CCMフレームの受信処理の分散化で受信処理に要する処理負担が軽減できる。
【0050】
実施例2のCCM処理回路18では、受信元MEPの伝送装置2側の受信処理が輻輳状態である場合、管理レベル毎のCCMフレームの送信タイミングを調整する調整量を管理レベルの対向MEPの伝送装置2宛に送信する。更に、対向MEPの伝送装置2のCCM処理回路18は、調整量に基づき、CCMフレームの送信タイミングを調整してCCMフレームを送信する。各管理レベルのMEPの伝送装置2のCCM処理回路18は、各管理レベルの対向MEPの伝送装置2からCCMフレームを順次に受信する。その結果、MEPの伝送装置2のCCM処理回路18は、各CCMフレームの受信処理が輻輳しないため、各CCMフレームの受信処理の分散化で受信処理に要する処理負担が軽減できる。しかも、受信処理に要する処理負担が軽減されることで、安価な低性能のCPUやL2スイッチでも実現可能となるので、伝送装置2の部品コストが低減できる。しかも、CCM処理回路18自体がCCM処理を実行することでCPU16の負荷を低減できる。
【0051】
尚、上記実施例では、受信元MEPの伝送装置2が、管理レベル毎に対向MEPの伝送装置2に関わるCCMフレームの送信タイミングを調整する調整量を対向MEPの伝送装置2に通知した。しかしながら、受信元MEPの伝送装置2では、管理レベルに関係なく、対向MEPの伝送装置2毎にCCMフレームの送信タイミングを調整する調整量を算出して、その調整量を対向MEPの伝送装置2宛に通知しても良い。
【0052】
また、上記実施例では、通常送信間隔を所定単位、例えば、1秒単位に分割して管理レベル毎に、CCMフレームの送信タイミングを1秒ずつ遅延調整した。しかしながら、通常送信間隔と、通常送信間隔内に受信した管理レベルのCCMフレームの受信回数とに基づき、通常送信間隔÷受信回数でCCMフレームの1フレーム当りの調整量を算出しても良い。例えば、通常送信間隔が10秒、5個の管理レベル“A”〜“E”の受信回数が5回の場合、10秒÷5回で1フレーム当りの調整量は2秒となる。そして、管理レベル“A”の調整量は“0秒遅延”、管理レベル“B”の調整量は、管理レベル“A”の送信タイミングから“2秒遅延”、管理レベル“C”の調整量は、管理レベル“A”の送信タイミングから“4秒遅延”、管理レベル“D”の調整量は、管理レベル“A”の送信タイミングから“6秒遅延”、管理レベル“E”の調整量は、管理レベル“A”の送信タイミングから“8秒遅延”となる。
【0053】
また、上記実施例では、調整量に基づき、送信タイミング時間を遅延調整したが、例えば、送信タイミング時間を速める調整をすることで、受信処理の分散化を図るようにしても良い。
【0054】
更に、各装置で行われる各種処理機能は、CPU(又はMPU(Micro Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)等のマイクロ・コンピュータ)上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良い。また、各種処理機能は、CPU(又はMPU、MCU等のマイクロ・コンピュータ)で解析実行するプログラム上、又はワイヤードロジックによるハードウェア上で、その全部又は任意の一部を実行するようにしても良いことは言うまでもない。