特許第5722791号(P5722791)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5722791
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】昇降路内のシーブの表面再形成
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20150507BHJP
   B66B 7/00 20060101ALI20150507BHJP
   B66B 7/06 20060101ALI20150507BHJP
   B66B 11/08 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
   B66B5/00 D
   B66B7/00 K
   B66B7/06 L
   B66B11/08 M
【請求項の数】22
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-543480(P2011-543480)
(86)(22)【出願日】2008年12月23日
(65)【公表番号】特表2012-513356(P2012-513356A)
(43)【公表日】2012年6月14日
(86)【国際出願番号】US2008013995
(87)【国際公開番号】WO2010074672
(87)【国際公開日】20100701
【審査請求日】2011年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】591020353
【氏名又は名称】オーチス エレベータ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】OTIS ELEVATOR COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ビールス,ジェイムズ,ティー.
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,マーク,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ウェイド,アール.
(72)【発明者】
【氏名】ナルディ,アーロン,ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ウェルシュ,グレゴリー,エス.
【審査官】 大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−290983(JP,A)
【文献】 特開平06−272120(JP,A)
【文献】 特開2001−120858(JP,A)
【文献】 特許第3714224(JP,B2)
【文献】 特開2007−197831(JP,A)
【文献】 特開昭64−087970(JP,A)
【文献】 特開昭57−138501(JP,A)
【文献】 特開2005−008415(JP,A)
【文献】 特開平06−316791(JP,A)
【文献】 特開平11−173406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
B66B 7/00
B66B 7/06
B66B 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーブを所望の状態に回復させ、
前記シーブの表面に、鋼製のロープに対する2.0×10-10mm2/N未満の摩耗係数を有するコーティングが被覆されたシーブを形成するように、該シーブの表面にモリブデン、およびコバルトリン合金からなる群から選択されたコーティングを適用することを備え
前記シーブを所望の状態に回復させるステップが、前記コーティングの適用ステップ前に、前記シーブを規定寸法未満に機械加工することを含み、前記コーティングにより前記シーブが前記規定寸法に回復されることを特徴とするエレベータ装置のシーブの修復方法。
【請求項2】
前記エレベータ装置が前記シーブに関連する少なくとも一つのロープを含み、前記シーブの表面へのアクセスを可能にするように、前記シーブに関連する前記少なくとも一つのロープを移動させるステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置のシーブの修復方法。
【請求項3】
前記シーブを所望の状態に回復させるステップが、前記シーブを清浄化することを含むことを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置のシーブの修復方法。
【請求項4】
前記エレベータ装置が巻上機を含み、前記巻上機は、前記ロープの移動時および前記コーティングの適用時に前記シーブを回転させるように用いられ、
必要に応じて前記コーティングされたシーブの厚さを所定値に調節するステップをさらに備えることを特徴とする請求項2に記載のエレベータ装置のシーブの修復方法。
【請求項5】
前記コーティングされたシーブの前記摩耗係数は、1.0×10-10mm2/N未満であることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置のシーブの修復方法。
【請求項6】
前記コーティングされたシーブの前記摩耗係数は、コーティングされていない同様の材料製のシーブの摩耗係数の約10%であることを特徴とする請求項5に記載のエレベータ装置のシーブの修復方法。
【請求項7】
前記コーティングは、高速フレーム溶射、プラズマ溶射、コールドスプレー、ワイヤアーク法、レーザクラッディング、および電気めっき法から選択された処理によって前記シーブに適用されることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置のシーブの修復方法。
【請求項8】
前記コーティングは、適用後に溶融されることを特徴とする請求項6に記載のエレベータ装置のシーブの修復方法。
【請求項9】
前記コーティングの厚さが、単刃工具を用いた旋削による前記コーティングの選択的な除去により調節されることを特徴とする請求項に記載のエレベータ装置のシーブの修復方法。
【請求項10】
前記コーティングの厚さが、0.1mm〜1.25mmの範囲にわたることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置のシーブの修復方法。
【請求項11】
エレベータ装置で使用される少なくとも一つの鋼製ロープとシーブとの組合せを有するシーブ装置の作成方法であって、
前記少なくとも一つの鋼製ロープを移動させることによりシーブを露出させ、
前記エレベータ装置から前記シーブを取り外すことなくコーティングされたシーブを作成するように、前記シーブ上に、前記鋼製ロープに対する2.0×10-10mm2/N未満の摩耗係数を有する、モリブデン、およびコバルトリン合金からなる群から選択されたコーティングを形成させるステップを備え
前記コーティングを形成させるステップが、前記コーティングの適用前に、前記シーブを規定寸法未満に機械加工することを含み、前記コーティングにより前記シーブが前記規定寸法に回復されることを特徴とするシーブ装置の作成方法。
【請求項12】
前記シーブが、かごと、カウンタウェイトと、前記コーティングの適用時に前記シーブを回転させるホイストモータと、を有するエレベータ装置内に配置されていることを特徴とする請求項11に記載のシーブ装置の作成方法。
【請求項13】
前記モータが、前記コーティングされたシーブの厚さを規定寸法に調整するために前記シーブを回転させるように用いられ、前記コーティングの厚さが0.1mm〜1.25mmの範囲にわたることを特徴とする請求項12に記載のシーブ装置の作成方法。
【請求項14】
前記シーブの前記摩耗係数が、1.0×10-10mm2/N未満であることを特徴とする請求項11に記載のシーブ装置の作成方法。
【請求項15】
前記コーティングされたシーブの前記摩耗係数が、コーティングされていない前記シーブの摩耗係数の約10%であることを特徴とする請求項13に記載のシーブ装置の作成方法。
【請求項16】
前記コーティングは、高速フレーム溶射、プラズマ溶射、コールドスプレー、ワイヤアーク法、レーザクラッディング、および電気めっき法から選択された処理によって前記シーブに適用されることを特徴とする請求項11に記載のシーブ装置の作成方法。
【請求項17】
前記コーティングは、適用後に溶融されることを特徴とする請求項16に記載のシーブ装置の作成方法。
【請求項18】
前記コーティングの厚さが、0.125mm〜1.0mmの範囲にわたることを特徴とする請求項10に記載のエレベータ装置のシーブの修復方法。
【請求項19】
前記コーティングの厚さが、0.15mm〜0.75mmの範囲にわたることを特徴とする請求項18に記載のエレベータ装置のシーブの修復方法。
【請求項20】
前記コーティングの厚さが、0.125mm〜1.0mmの範囲にわたることを特徴とする請求項13に記載のシーブ装置の作成方法。
【請求項21】
前記コーティングの厚さが、0.15mm〜0.75mmの範囲にわたることを特徴とする請求項20に記載のシーブ装置の作成方法。
【請求項22】
前記コーティングが、モリブデン元素、およびコバルトリン合金からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のエレベータ装置のシーブの修復方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエレベータ装置に関し、特に、使用時に摩耗を受けるエレベータシーブに関する。
【背景技術】
【0002】
通常のトラクション式エレベータ装置は、一般的に、かごと、カウンタウェイトと、かごとカウンタウェイトとを相互に連結する2つ以上の(円形ロープなどの)引張部材と、ロープを移動させるための駆動綱車と、駆動綱車を回転させるための巻上機と、を含む。巻上機はギアード型もしくはギアレス型の巻上機のどちらでもよい。ギアード型巻上機はより高速なモータの使用を可能にし、これはより小型でより安価であるが、特別なメンテナンスや空間を必要とする。
【0003】
(かごおよびカウンタウェイト用であれ、オーバースピードガバナ用であれ、)ロープはより合わせられた鋼線から形成され、(駆動綱車であれ、そらせ車であれ、もしくはガバナシーブであれ、)シーブは鋳鉄から形成される。シーブのそれぞれの側の差動張力(differential tension)、印加された張力によるロープの変形、もしくはシーブの位置合わせ不良はすべて、ロープとシーブとの間に相対運動をもたらす原因となる。接触に加えて相対運動により、シーブおよびワイヤロープの摩耗が引き起こされる。さらに、オーバースピードガバナの場合、シーブは、エレベータの非常止めを作動させるべくロープに効果的な張力を印加するように用いられる。この機能はシーブとロープとの間で調節された摩擦を必要とする。
【0004】
大型の駆動綱車は多くの場合、鋳鉄からつくられ、時には、使用時に過剰な摩擦を呈する場合がある。シーブは、ホイストモータによって駆動されるホイストロープによりエレベータかごが支持されるエレベータ装置など、様々なエレベータ装置においてエレベータかごを上昇、降下させるロープと共同して機能する。エレベータ装置は、ホイストロープの反対端にカウンタウェイトを用いる。カウンタウェイトを有するエレベータ装置の一例が特許文献1に記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第3610342号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の鋼製ロープおよび鋳鉄製シーブは信頼性が非常に高く、費用対効果が大きいことが証明されている。これらの機構における一つの制約は、ロープとシーブとの間の牽引力である。ロープは交換することができるが、鋳鉄製シーブはメンテナンスが困難である。一つの対応策は、昇降路にシーブを機械加工することであるが、昇降路空間の制限により、その効果は限定的である。多くの場合、シーブの完全な交換が必要となるが、これは高価であり、結果として不必要な稼働休止期間を要する。場合によっては、シーブの完全な交換はビルディングの解体やエレベータの相当な休止期間を要する。大型のシーブが用いられる場合、長寿命を得るために、あるいは追加のロープやより断面積の厚い鋼製ロープを収容するために、エレベータ装置を駆動するためのより大きなトルクが機械装置から必要となり、それによりエレベータ装置のサイズやコストが増大する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、エレベータ装置のシーブの修復方法を提供する。
【0008】
本発明は、修復されるシーブを選択し、選択されたシーブに関連する少なくとも一つのロープを取り外し、シーブを清浄化してシーブを所望の状態に回復させ、シーブの清浄化された面にコーティングを適用することを含み、コーティングは、シーブ面の摩耗係数(wear coefficient)を低下させるように適応される。コーティングにより、シーブ面に2.0×10-10mm2/N未満の摩耗係数を提供し、より好ましくは1.0×10-10mm2/N未満の摩耗係数を提供する。これにより、コーティングされていないシーブの摩耗係数の約20%〜10%の、低下された摩耗係数をもたらす(すなわち、80%以上〜90%の減少)。コーティングされたシーブの厚さは、シーブの元の装置規格寸法等の、所定の水準に調節される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】機械室を有する昇降路内にトラクションドライブを有する本発明のエレベータ装置の斜視図。
図2】引張部材およびシーブを示す、トラクションドライブの側断面図。
図3】ダイバータすなわち第二のシーブを示すエレベータ装置の駆動部の斜視図。
図4】その他のシーブの使用を示すエレベータ装置の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示すように、トラクション式エレベータ装置12が、かご14と、カウンタウェイト16と、トラクションドライブ18と、巻上機すなわちモータ駆動装置20と、を含む。トラクションドライブ18は、かご14とカウンタウェイト16とを相互に連結する引張部材22と、駆動綱車24と、を含む。図示のこの装置は、1:1ローピングシステムである。本発明は、特定のローピングシステムによらず、2:1ローピングシステムなどの任意のローピングシステムや、シーブおよびロープもしくはその他の引張部材が使用される任意のその他のエレベータ装置のシーブ面を修復するように機能する。
【0011】
昇降路内で所望のローピング配置を達成するために、エレベータ装置は1つ以上のそらせ車を含みうる。ロープはそらせ車と係合するが、駆動綱車とは異なりロープを駆動しない。図3は、駆動綱車34によって駆動される引張部材32の経路をそらすように機能するそらせ車37を示す。
【0012】
またエレベータ装置は、かご44が所定の制限を越えないことを保証する、図4に示す安全装置を含む。安全装置はオーバースピードガバナおよび非常止め装置を含みうる。オーバースピードガバナは、昇降路の全長に亘って延在するとともに、ガバナシーブ45とテンショナ47とに取り付けられたガバナロープ46を含む。かごの速度が所定の制限速度を超えた場合、ガバナシーブ45によって駆動される遠心調速機おもりアセンブリが外側に振動して、スイッチを引きはずし、それによりエレベータ装置への電源を遮断する。かごの速度が上昇し続けた場合、調速機おもりはさらに外側へ振動してガバナブレーキを作動させる。ガバナブレーキはガバナロープ46に摩擦抵抗力を印加し、それにより一対のセーフティウエッジ48を作動させてガバナロープ46と連係させる。エレベータかご44に取り付けられたセーフティウエッジ48がエレベータガイドレールに作用する。
【0013】
シーブは様々な形状やサイズで用いられるため、シーブは意図される特定用途によって決まる。各シーブは、エレベータ装置の少なくとも一つのロープもしくはその他の摩擦要素と係合するための所定の形状もしくはサイズを有する。エレベータ装置において摩擦要素と摩擦係合するように用いられる任意のシーブが本発明の範囲に含まれることを理解されたい。
【0014】
図1に見られるように、引張部材22がシーブ24と係合して、シーブ24の回転により引張部材22を移動させ、それによりかご14およびカウンタウェイト16を移動させる。巻上機20がシーブ24と係合してシーブ24を回転させる。ギアード型巻上機20として図示したが、この構成は図示の目的のためにすぎず、本発明はギアード型巻上機もしくはギアレス型巻上機、およびその他のエレベータ装置とともに用いられうることに留意されたい。必要なのはシーブおよびシーブと係合する摩擦要素だけである。エレベータ装置12が機械室26の下方の昇降路28内部に配置されており、一般的なエレベータ装置を示すが、ビルディング内のエレベータの構成を限定するものではない。
【0015】
図2は引張部材22およびシーブ24をより詳細に示す。シーブ24などのシーブは一般に鋳鉄で作られ、より小型の巻上機において摩擦損失に対する適切な耐摩耗性を有する。図示の引張部材は単一のロープである。その他の引張部材は複数のより合わせたストランドから形成され、各々は金属ワイヤから構成される。さらにその他の引張部材が検討されるが、これはエレベータ装置がシーブと係合する様々な種類のロープやその他の摩擦要素を含むためである。必要なのは、シーブと摩擦係合する引張部材である。シーブ径とロープ径との最小比が40:1であるため、シーブ24を分離部品として図示していることに留意されたい。
【0016】
シーブ24がコーティング27とともに図示されており、このコーティング27は、引張部材22がシーブ24と係合する領域に適用される。コーティング27の、シーブ24および引張部材22との関係を図示するように、コーティング27を実際の状態よりも大きく図示している。シーブ24はコーティング27適用前の所定の幅および直径を有しており、適用後は、図2に示すように、その幅Wおよび直径Dは許容誤差内で予めコーティングされたシーブの寸法仕様と同一である。
【0017】
シーブの摩耗係数は実質的にその表面の摩耗率の尺度である。表面の摩耗を評価する際の、測定される摩耗の体積(V)mm3は、摩耗係数(K)mm2/N × 加荷重(P)N(ニュートン) × 滑り距離(D)mmに等しい。公式としては、これはV=K(PD)であり、V、K、P、Dは、前述の通りである。
【0018】
コーティング27は、引張部材22と接触するシーブ24の領域の摩耗係数を低減する任意のコーティングである。シーブ構成の一般的な材料である鋳鉄グレード40は、約1.03×10-9mm2/Nの摩耗係数Kを有する。好ましいのは約2.0×10-10mm2/N未満の摩耗係数であり、より好ましくは約1.0×10-10mm2/N未満の摩耗係数である。これはコーティングされていないシーブ24の摩耗係数の約20%の摩耗係数に相当する(すなわち、摩耗係数の80%低減)。好ましくはコーティングされていないシーブの摩耗係数の約15%までの低減であり、最も好ましくはコーティングされていないシーブの摩耗係数の約10%までの摩耗係数の低減である。80%〜90%の低減により、シーブ寿命や、ロープあるいはこれらのコーティングと接触するその他の摩擦要素の寿命が著しく向上することが分かっている。コーティング厚さは、その他の要因はもとより、適用されるコーティングの種類、摩擦要素がシーブにもたらす力、およびシーブと摩擦要素の大きさに基づいて様々である。
【0019】
多種多様のコーティングが本発明とともに用いられる。例示の目的としてこれに限定しない例では、アルミニウム、コバルト、銅、鉄、ニッケル、モリブデン、およびチタンを含む純金属粉末を含む。合金粉末は、アルミニウム、コバルト、銅、ニッケル、モリブデン、ケイ素および鉄から選択された2つ以上の元素の合金を含む。金属炭化物粉末は、炭化クロム、および炭化タングステンを含む。セラミック酸化物粉末は、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化チタン、および酸化ジルコニウムを含む。金属線は、炭化クロムおよび炭化タングステンを含む金属線はもとより、アルミニウム、コバルト、銅、鉄、ニッケル、チタン、および、アルミニウム、コバルト、銅、ニッケル、モリブデン、ケイ素および鉄から選択された2つ以上の元素の合金線を含む。
【0020】
コーティングは、クロム成分を有するコバルト合金、モリブデン、コバルトリン合金、およびニッケルタングステン合金からなる群から選択される。一例のコバルト合金は、ステライト6の商標指定を有し、約27重量%のクロム、4重量%のタングステン、3重量%の鉄、3重量%のニッケル、1重量%のケイ素、および1重量%の炭素の組成を有する。モリブデンは純粋であり、合金ではない。コバルトリン合金は4〜6重量%のリンを有するコバルト合金である。ニッケルタングステン合金は、約65重量%のニッケルと、約35重量%のタングステンと、を有する。
【0021】
コーティングは様々な方法で適用される。必要なのは、材料が金属であれ、合金もしくはその他の材料であれ、その材料を硬化させてシーブ面に結合させるように、材料を所望の表面に適用することである。高速フレーム溶射、プラズマ溶射、コールドスプレー、ワイヤアーク法、レーザクラッディング、および電気めっき法は全て好ましい。一旦コーティングを適用すれば、追加熱を適用することによりこれを溶融してもよく、もしくはこのステップを省略してもよい。コーティングを適用するための最も効果的な方法は、無論、シーブ24をモータ20から取り外すもしくは分解することなく所定の位置でコーティングできるように、エネルギー源が機械室26内に持ち込めるように十分携帯可能であることが必要である。フレーム溶射、コールドスプレー、ワイヤアーク、およびプラズマ溶射などの溶射処理が望ましい。
【0022】
シーブの修復時期が来た場合、修復作業員が機械室26に入り、エレベータかご14およびカウンタウェイト16が移動しないようにエレベータかご14およびカウンタウェイト16を所定の位置に固定する。モータ駆動装置20の回転によりロープもしくは引張部材22が取り外される。必要に応じて、駆動綱車24の表面を滑らかにするように、機械的手段および化学的手段を用いて駆動綱車24の表面(図2のアンダーコーティング27)が清浄化される。また駆動綱車24の表面が滑らかとなり、それにより適用されるコーティング27が均一表面を有することを保証するようにシーブ24の表面を機械加工することが望ましい。修復されるシーブが駆動綱車である場合、その機械加工時にシーブを回転させるように駆動装置20が用いられる。修復されるシーブが駆動綱車内にある場合、その機械加工時にシーブを回転させるように駆動装置20が用いられる。
【0023】
次いで、機械室内に持ち込むことが可能な装置を用いて所望のコーティングが適用される。機械室に入るようにフレーム溶射、ワイヤアーク溶射、およびプラズマ溶射などの溶射処理を小型化もしくは変更してもよい。また、コールドスプレー法を用いてもよい。マイクロプラズマ溶射装置、コールドスプレー装置、スプレー溶接機、および筆めっき法は全て、機械室内で使用できるように適切にサイズ変更されることが認められる。均一なコーティング厚さを達成する最良の方法は、本明細書に記載の任意の方法を用いてコーティングを適用しながら、モータ20を用いてシーブを回転させることである。
【0024】
コーティングは約0.1mm〜1.25mmの厚さに及び、薄いコーティングほど材料費および加工費が安価である。より好ましくは約0.125mm〜約1.0mmの範囲であり、最も好ましくは約0.15mm〜約0.75mmの範囲である。必要なのは、上述したように、約2.0×10-10mm2/N未満の摩耗係数K(mm2/N)を有する耐摩耗性表面をもたらすように十分な厚さを有することである。
【0025】
図2に示すように、シーブの寸法を示す直径Dおよび幅Wを有し、シーブ24上にコーティング27を有する。これらの寸法は新しいシーブの実際の規定寸法である。多くの場合、シーブが受ける摩損により、シーブは摩耗し、寸法が変化する。ほとんどの場合、ロープやその他の摩擦要素からの摩擦により鋳鉄が除去されるため、直径が減少する。シーブ修復の一環として、コーティングが適用される前にその表面が清浄化され、滑らかにされる。コーティング中にシーブ24を回転させるようにモータ20を用いてコーティングを適用した後、寸法が規定寸法に対してチェックされ、必要の場合には調整される。シーブ24を回転させるためのモータ20を用いることにより、旋盤加工と同様に、一点旋削(single point turning)も達成することができる。
【0026】
本発明によるシーブ用のコーティングとして複数の材料が評価された。ミリメートル単位の距離に亘ってニュートン(N)単位の荷重を受けるものとして、シーブ面からの摩耗くずの立方ミリメートル単位での体積(V)を測定することにより、摩耗係数K(mm2/N)=V(mm3)/(P(N)×D(mm))が測定される。8.9mmの範囲に亘り444ニュートンの第1の荷重を1日の試験期間印加することにより、種々のコーティングに対し試験を行った。222ニュートンおよび666ニュートンでのその他の試験を選択されたコーティングに対して実施した。上記のmm2/N単位の摩耗係数Kにおける顕著な改善を示す一部の試験結果を以下の表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
表1のデータからも明らかなように、試験を行った4つのコーティングはシーブの摩耗係数を著しく低下させ、その結果、コーティングされていないシーブに用いた同様のロープと比較したときに、ロープ摩耗の改善がもたらされた。一部の例では、実験対照の摩耗係数の18.2%未満の数値から6.25%にまで改善した。ロープ摩耗係数の改善は実験対照と比較して、その摩耗係数の41.7%〜9.7%に及ぶ。
【0029】
好ましい実施例を参照しながら本発明について記載したが、本発明の真の範囲を逸脱することなく形状、細部に亘って変更がなされうることが当業者にとって理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4