(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5722811
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】多機能ボード付旅行用衣類収納ケース
(51)【国際特許分類】
A45C 5/00 20060101AFI20150507BHJP
A45C 13/00 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
A45C5/00 C
A45C13/00 S
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2012-23482(P2012-23482)
(22)【出願日】2012年1月19日
(65)【公開番号】特開2013-146513(P2013-146513A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2014年8月12日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511287237
【氏名又は名称】八幡 順子
(72)【発明者】
【氏名】八幡 順子
【審査官】
青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3010218(JP,U)
【文献】
実開昭61−060824(JP,U)
【文献】
実開平04−009124(JP,U)
【文献】
特開2006−143219(JP,A)
【文献】
実開平07−014966(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0083932(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0220370(US,A1)
【文献】
登録実用新案第3159885(JP,U)
【文献】
実開昭64−051466(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 5/00
A45C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納ケース本体はナイロン生地のような軽量の素材でできており、前面部分は透けて見えるメッシュを使用し、本体の収納ポケットにはファスナーが設けられ、本体の上部と下部にある連結部にはスナップのような接続部品が付いており、本体の左右サイドに衣類の出し入れ補助と洋服保護の両機能を持つ押さえ布を付帯し、着脱可能なフックを付属した収納ケース本体と発泡ポリエチレンのような軽量の素材でできた多機能ボードとのセットからなり、多機能ボードを本体の収納ポケットに収納して用いる多機能ボード付旅行用衣類収納ケース。
【請求項2】
前記多機能ボードに取っ手部を設けた請求項1記載の多機能ボード付旅行用衣類収納ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納ケース本体と多機能ボードのセットを基本形とし、本体の上下に連結部を持ち、左右に押さえ布を付帯し、着脱可能なフックを付属しており、多様な使い方ができる特性を生かして、身じたくをスピーディにすることを可能にし、旅行日数に応じて、使用するケースの枚数をチョイスできたり、コーディネイトして吊るせたりと、使用者がアレンジできる楽しさを兼ね備えた多機能ボード付旅行用衣類収納ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の旅行用収納ケースは、1つの収納ケースの中に何枚もの衣類を重ねて収納したものを数個スーツケースの中に入れて使用するのが主流である。他には、基盤布の表面に区分け布を逢着し、それぞれの区分け布間にたたんだ衣服を挟み込み全体を一方向から丸めて丸型の荷物にし、旅行用バックに収納しやすいようにした衣料収納帯や3つに区切られた収納空間があり、衣類を吊り下げて輸送する際に使用する目的のハンガーバックなどがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の旅行用収納ケースの使用における問題点
(イ)1つの収納ケースに複数枚の洋服を重ねて収納してあるので、洋服を取り出す時に 、他の洋服が崩れて散らばったりする。
(ロ)運搬途中に洋服の型崩れやシワが出来やすい。
(ハ)荷造り段階で、Yシャツ類などは、たたむのが大変だったり、収納ケースに入れづ らかったりして手間取り、旅先での貴重な時間を無駄に消費してしまうことが多い 。
(ニ)先行技術の中には、縦長の複数の収納ポケットを設けたものもあるが、フックで吊 るせるものはほとんどない。また、収納ポケットの数が決まっているので、入れる 洋服の数をそれに合わせて調整しなくてはならない。
また、ハンガーを中に入れて、収納ポケットに洋服を収納し、吊り下げ輸送を可 能にしたものがあるが、ハンガー部分がスーツケースの中でかさばる等、コンパク ト収納にはなりにくい。
本発明はこのような問題点を解消し、身じたくにかかる時間を大幅に削減することを目的としたものである。
【0004】
収納ケース本体はナイロン生地のような軽量の素材でできており、前面部分は透けて見えるメッシュを使用し、本体の収納ポケットにはファスナーが設けられ、本体の上部と下部にある連結部にはスナップのような接続部品が付いており、本体の左右サイドに衣類の出し入れ補助と洋服保護の両機能を持つ押さえ布を付帯し、着脱可能なフックを付属した収納ケース本体と発砲ポリエチレンのような軽量の素材でできた取っ手部のある多機能ボードとのセットで構成される多機能ボード付旅行用衣類収納ケース。
【0005】
洋服をたたむ時に、多機能ボードに沿って洋服をたたむことで型が決まるので、洋服を均一の大きさに短時間で容易にたたむことができる。また、たたんだ洋服を収納ポケットに、多機能ボードと一緒に入れ、固定することで洋服の型崩れやシワを防ぐことができる。
基本、収納ポケットには厚手のセーター類であれば1枚、薄いものでも2枚を限度とする使用であり、バンドでボードに固定されるので、取り出す際に他の洋服が崩れて散らばるような心配はない。
滞在先のホテルに着いたら、収納ケースに取り付けられる付属のフックを使い、連結した収納ケースを、そのままクローゼットに吊るせるので、洋服をハンガーに掛ける手間、備え付けのタンスに入れ替える手間が不要になる。さらに、洋服が瞬時にスーツケースから、外に出されるので、スーツケースに空間ができ、洋服以外の物も探しやすく、取り出しやすくなるという効果が期待できる。
また、収納ケース本体は、連結部分の着脱が自由にできることで、収納量の調節がしやすい。単体で取り扱う手軽さと、連結することで得られるメリットの両方を持ち合わせており、非常に便利である。例えば、旅行、出張の日数に応じて使う収納ケースの数を、必要な枚数だけ効率よく持っていくことができる。連結部分が自由自在に取り外しできるので、翌日着る洋服をコーディネイトして組み合わせ、吊るしておくこともできる。
また、スーツケースに収める時、洋服の厚みと連結の枚数によっては、スーツケースの収納スペースの高さよりも高くなり、スーツケースが閉まりづらくなることがよくあるが、このような場面でも、厚みを調整し、ちょうど良い厚みのところで連結を外し、別のスペースに移動することなどが容易にでき、とても便利である。
基本は衣料用ではあるが、歯ブラシ、眼鏡などの小物を収納することもできるし、連結もできる。
本発明により、洋服のたたみ易さと型崩れなしの持ち運び、更に吊るすことによるすっきり収納が可能になり、旅行前の準備、旅行先での身じたくにかかる時間を大幅に削減することができる。
また、単に身じたくがスピーディにできるだけではなく、多様な使い方ができる特性があるため、旅行日数に応じて、使用するケースの枚数をチョイスできたり、コーディネイトして吊るせたりと、使用者がアレンジできる楽しさを兼ね備えており、従来の「物を持ち運ぶだけの収納ケース」とは違った効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図4】多機能ボードを使用して洋服を折り込む状態を示す平面図
【
図5】連結部の接続部品を使って複数の収納ケース(本体)を連結した平面図
【
図6】連結した複数の収納ケース(本体)を折りたたんでスーツケースに収納する状態を示した断面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(イ)全体がナイロンのような軽量の生地でできており、前面部分に透けるメッシュを使 用した収納ケース本体(1)に発砲ポリエチレンのような軽量の素材でできている 多機能ボード(2)が備え付けてある形が基本形となる。
(ロ)本体(1)の収納ポケットには、右端部分にファスナー(3)が取り付けられてい る。
(ハ)本体(1)の上部と下部には、本体と同じ生地でできている連結部(4)があり、 連結部(4)の中央左右に2か所、スナップのような接続部品(5)が取り付けら れている。
(ニ)本体(1)の左右サイドには、本体と同じ生地でできている押さえ布(6)が付い ている。
(ホ)本体(1)上部の連結部(4)には、必要に応じて、フック(7)を取り付けられ るようになっている。
(ヘ)多機能ボード(2)には楕円にくり抜いた取っ手部(9)がある。
本発明は以上のような構造である。
本発明の使用に関しては、以下のようになる。
まず、多機能ボード(2)を洋服の内側、背の部分に入れる。ボード(2)に沿ってたたみ、洋服を均一の大きさにする。たたんだ洋服から、ボード(2)を抜かずに、固定バンド(8)で固定し、そのまま本体(1)の収納ポケットに収納、右側のファスナー(3)を閉じて固定する。ボード(2)の使用により、型がきまるので、驚くほど簡単に、早く、均一に洋服をたたむことができ、またボード(2)と洋服を一緒に収納することで、しっかり固定され、洋服の型崩れ、シワを防止し、同時に収納ケース自体の型崩れも防止する。
多機能ボード(2)と洋服を本体(1)から出し入れする時に使用するのが本体(1)の左右サイドについている押さえ布(6)で、左手で押さえ布(6)を持ち、右手でボード(2)の楕円にくり抜いた取っ手部(9)に手を入れて引くと、洋服が引っかかることなくスムーズに取り出せる。入れる時は右サイドの押さえ布(6)を持つと入れやすい。左右サイドの押さえ布(6)は、スーツケース収納時の運搬過程においては、本体(1)のサイドでクッションの役目をし、洋服を保護する効果もある。
本体(1)の上部と下部にある連結部(4)は、複数の収納ケースを連結させることを可能にする。連結する際は、連結部(4)にあるスナップのような接続部品(5)を使う。これを使うことで連結を増やしたり、切り離したりが自由自在に簡単にできる特徴を持つ。旅行や出張の日数に応じて使うケースの枚数を決められる利点がある。また基本的にスーツケース収納時には、連結させたまま、
図6のように折りたたんでコンパクトに収納させるが、洋服の厚みや連結する数によって、スーツケースが閉まりにくくなるような時、ちょうどいい高さのところで連結を外し、他のスペースに移すことも簡単にできる。
また、旅先で次の日に着る洋服を前日にコーディネイトして連結し吊るしておくようなこともできる。前面が透けて中の洋服が見えるため、本体(1)から洋服を出さずに選べるので散らばらない。
フック(7)は基本形の収納ケース本体(1)には付属していない。場面に応じて、必要な時に、本体(1)の上部の連結部(4)の中央部分に簡単に取り付けられる。滞在先のホテルに到着したら、フック(7)を取り付け、連結したままの複数の本体(1)をそのまま吊るす(
図5参照)。軽量なので瞬時に簡単にクローゼットまで移動し吊るすことができ、洋服をハンガーに掛けたり、備え付けのタンスに入れ替えたりする手間も不要になる。また、衣類がそっくり移動することでスーツケースにも空きスペースができ、同時に洋服以外の物なども探しやすくなり、取り出しやすくなる。
また、ボード(2)を使ってたたんだ洋服は、固定バンド(8)を使って固定すると洋服がボード(2)にしっかり固定されるため、本体(1)の収納ポケットに入れやすくなるという利点の他に、本体(1)に収納しない状態で、取っ手部(9)の穴を利用し、単独で吊るすこともできる。
以上のように、基本形の本体(1)と取り外し自在の連結部(4)、場面に応じて取り付け可能なフック(7)、取っ手部(9)などをうまく利用すると、総合的にとても使いやすい収納ケースとなり、使用者がいろいろと選択できたり、アレンジできる特徴をもった多機能ボード付旅行用衣類収納ケースとなる。
【符号の説明】
【0008】
1 収納ケース本体、2 多機能ボード、3 ファスナー、4 連結部、5 接続部品、6 押さえ布、7 フック、8 固定バンド、9 取っ手部