【0038】
DNA切片の回収は、電気泳動されたアガロースゲルをUV透過照明装置(transilluminator、Avegene)で照射して所望する切片を切断した後、ゲル抽出キット(gel extraction kit、Qiagene)を使用して分離した。
<参考例2>細菌性アルカリフォスファターゼ(bacterial alkaline phosphatase)処理
細菌性アルカリフォスファターゼ(BAP)処理時に使用したBAP溶液は、フェルメンタス(Fermentas)社から購入し、滅菌された1.5mlエッペンドルフチューブに普通反応体積が50μlになるようにして、60〜65℃の反応温度で1時間反応させた。BAP反応には、1M トリス−HCl緩衝溶液(pH8.0)(Bioneer)を使用した。
<参考例3>ライゲーション反応(ligation reaction)
ライゲーション反応は、DNAライゲーションキット(DNA Ligation Kit Ver2.1、タカラ)を使用してベクター(vector)と挿入物(insert)の割合を1:3程度で混合して反応体積を10〜20μlになるようにして、16℃で少なくとも12時間以上反応させた。
<参考例4>大腸菌形質転換
形質転換のための大腸菌宿主細胞には、E.coli K12 TB1(New England Biolabs)を使用した。前記細胞を60mlの液体培地(10g/lバクト・トリプトン[bacto−tryptone]、5g/l 酵母抽出物、10g/l NaCl)に接種した後、吸光度(OD
600)値が0.4〜0.6になるまで37℃振盪培養した。前記培養された細胞を1.5mlエッペンドルフチューブに分注して、遠心分離を通じて細胞を得た。得られた細胞に50mM CaCl
2を300μlずつ添加して弱くボルテキシング(vortexing)した後、再度遠心分離を通じて細胞を収穫した。前記得られた細胞に、50mM CaCl
2を300μlずつ添加して細胞を均一に分散させた後、0℃で30分間静置させた。前記静置液を再度遠心分離して上澄み液は捨てた後、50mM CaCl
2に15%グリセロールを添加した冷たい溶液を、残った細胞に150μlずつ添加して均一に分散させて冷凍保管した。
<参考例5>オリゴヌクレオチドの合成
目的とする生理活性ポリペプチドをコードする遺伝子を増幅するために、重合酵素連鎖反応(PCR)に使用されるプライマー対は、バイオニア(Bioneer)社のオリゴヌクレオチド合成サービスを使用して製作した。
<参考例6>重合酵素連鎖反応
鋳型50ngと正方向および逆方向プライマーそれぞれ10μMに蒸留水を添加して、総体積が10μlになるようにした後、ホットスタートPCRプレミックス(Hot Start PCR Premix、Bioneer)に添加した。温度循環器(T−gradient thermo block、Applied Biometra)を使用して、前記反応混合物を95℃で1分間変性させた後、94℃で30秒、55℃で30秒、および68℃で1分間の反応を31回反復して、最終的に72℃で5分間増幅させた。前記増幅された反応産物をPCR精製キット(PCR purification kit、Bioneer)を使用して精製して、アガロースゲルに電気泳動した後、UVトランスイルミネーター(transilluminator)(Avegene)を照射して所望する切片を切断した。回収されたゲル切片からゲル抽出キット(gel extraction kit、Qiagene)を使用して増幅されたDNAを分離した。
<参考例7>細胞培養
HEK293ヒト胚芽腎臓細胞から由来した293/KDR細胞は、ヒトVEGFR−2(KDR/Flk1)受容体を発現するように作られた細胞である。293/KDR細胞はシブテック(Sibtech)社から5回継代培養された状態で購入した。細胞培養には、DMEM液体培地(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium、ウェルジン)( D−グルコース 4500mg/l 、L−グルタミン、 ピルビン酸ナトリウム 110mg/l 、10%FBS)に、0.375μg/mlのピュロマイシン(Puromysin、Sigma)を添加した培地を使用して、37℃で5%のCO
2を添加しながらインキュベーター(Thermo)で培養した。培地は、2日間隔で新しいものと交換して、細胞がT−フラスコに70〜80%程度生育した後に継代した。
<参考例8>7.5%ポリアクリルアミドゲル(polyacrylamide gel)の製造
ミニプロテアン3電気泳動セット(Mini−protean 3 Electrophoresis Set)(Bio−rad)を使用して、7.5%ポリアクリルアミドゲルを製造した。まず、1.0mmのガラスプレートをフレームに固定させて、キャスティングフレーム(casting frame)を形成した。50mlのコニカルチューブに蒸留水4.94mlと1.5M トリス−HCl緩衝溶液を2.5ml、30%アクリルアミド溶液を2.5ml、10%過硫酸アンモニウム(ammonium persulfate、APS)50μlおよびTEMED(N,N,N’、N’−テトラメチルエチレンジアミン)10μlを添加してよく混合した後、前記1.0mmガラスプレートに4.5mlずつ入れて解像度ゲル(resolution gel)を作製した。その後、ゲルが乾かないように500μlの蒸留水を注入した後、解像度ゲルが完全に固まるとゲルの上の蒸留水を除去した。スタッキングゲル(stacking gel)を製造するために、50mlのコニカルチューブに蒸留水3.05ml、0.5M トリス−HCl緩衝溶液 1.25ml、30%アクリルアミド溶液 0.67ml、10%APS 25μlおよびTEMED 5μlを添加してよく混合した後、1.0mmガラスプレートに最後まで注いで、15ウェル(20μl)鋳型を挿入した後、固めた。ポリアクリルアミドゲルに使用された試薬の組成を下記に示す:
1)1.5M トリス−HCl緩衝溶液:トリス塩基 18.17g(Invitrogen)、20% SDS(Amersham Pharmacia Biotech)2 ml、蒸留水 80ml,(pH8.8)、
2)0.5M トリス−HCl緩衝溶液:トリス塩基 6.06g(Invitrogen)、20% SDS(Amersham Pharmacia Biotech)2ml、蒸留水 80ml,(pH6.8)、および
3)30% アクリルアミド溶液:29% アクリルアミド(Sigma)、1% ビス−アクリルアミド(Sigma)。
<参考例9>ビオチンカップリング(biotin coupling)
タンパク質のビオチンカップリングは、スルホ−NHS−ビオチン化キット(sulfo−NHS−biotinylation kit、Pierce)を使用して行った。反応体積が0.5〜2ml、タンパク質の濃度が1〜10mg/mlになるようにリン酸塩緩衝溶液(phosphate buffered saline、PBS)でタンパク質を希釈した後、10mM スルホ−NHS−ビオチン溶液をビオチン処理されるタンパク質の分子量によって計算して添加して、1時間常温で反応させた。一方、スルホ−NHS−ビオチン化キット内に含まれている脱塩スピンカラム(desalt spin column)に15mlのコニカルチューブを結合させて、1000×gで2分間遠心分離(ハニル)を行った後、コニカルチューブに集められた溶液を除去した。その後、脱塩スピンカラムにPBS 2.5mlを添加して、1000×gで2分間遠心分離をして脱塩スピンカラムを洗浄した。前記洗浄過程を2回繰り返し実施した。このように準備した脱塩スピンカラムに新しい15mlのコニカルチューブを結合させた後、前記ビオチン処理された反応物を添加して、1000×gで2分間遠心分離を行ってビオチンが結合されたタンパク質を分離した。
【実施例】
【0039】
<実施例1>組換えタンパク質を発現するプラスミドpMAL−c2X−VEGFの製造<1−1>VEGF遺伝子がクローニングされたプラスミドの製造
VEGF遺伝子がクローニングされたプラスミドを製造するため、配列番号1の塩基配列を有する正方向プライマーVEGF−F(EcoRI)および配列番号2の塩基配列を有する逆方向プライマーVEGF−R(HindIII)を合成した。前記プライマー対を使用して、ヒト血管平滑筋(vascular smooth muscle、VSM)細胞から抽出した全体遺伝子を鋳型に、重合酵素連鎖反応(PCR)を行って、血管内皮細胞成長因子(vascular endothelial growth factor、VEGF)165部分のみを増幅した。
【0040】
pGEM−TベクターシステムI(Promega)に含まれている2×ライゲーション緩衝溶液(rapid ligation buffer)5μlに、前記で増幅されたVEGF遺伝子断片4ng、pGEM−Tベクター50ngおよびT4 DNAリガーゼ(ligase)1μlを添加した後、総体積が10μlになるように蒸留水を添加して、常温で1時間放置した後、続いて16℃で12時間反応させた。反応が終結した後、連結物を大腸菌E.coli K12 TB1に形質転換させて、それから目的とする遺伝子がクローニングされた組換えプラスミドを選別して、pGEM−VEGFと命名した。
<1−2>MBP−VEGF融合遺伝子がクローニングされたプラスミドの製造
リンカーとしてマルトース結合タンパク質(MBP)とVEGF遺伝子とを融合させるために、前記実施例<1−1>で製造された組換えプラスミドpGEM−VEGFを、エンザイノミックス緩衝溶液EzバッファーI、緩衝溶液EzバッファーII中で、制限酵素EcoRIとHindIIIで切断した後、アガロースゲル上でVEGF遺伝子切片を分離した。以後のライゲーション反応を容易に行うために、分離したVEGF遺伝子をBAPで処理した。BAP処理は、緩衝溶液(1M トリス−HCl、pH8.0、Bioneer)7.5μlおよびBAP溶液(Fermentas)1μlを入れた後、最終体積が50μlになるようにVEGF遺伝子を添加して、65℃で1時間反応させた。反応物をアガロースゲルで電気泳動した後、UVトランスイルミネーター(Avegene)で照射して所望する部分を切断した後、ゲル抽出キット(gel extraction kit、Qiagene)を使用してVEGF遺伝子断片を分離した。
【0041】
一方、ライゲーション反応に使用されるMBP遺伝子を有しているベクターpMAL−c2X(New England Biolabs)を、エンザイノミックス緩衝溶液EzバッファーI、緩衝溶液EzバッファーIIで制限酵素EcoRIとHindIIIで切断した後、アガロースゲル上でMBP遺伝子含有ベクター切片を分離した。
【0042】
前記で分離したVEGF遺伝子9μl、切断したベクター切片pMAL−c2X 3μlおよびDNAライゲーションキット(DNA Ligation Kit Ver2.1、タカラ)に含まれた酵素溶液I(enzyme solution I)12μlを混合して、総体積が20μlになるように蒸留水を加えた後、16℃で16時間反応させた。反応が終結した後、接合物を大腸菌E.coli K12 TB1に形質転換させて、それからMBPとVEGFの融合遺伝子がクローニングされた組換えプラスミドをスクリーニングして、pMAL−c2X−VEGFと命名した。
<実施例2>MBP−VEGF融合タンパク質の発現および精製
<2−1>MBP−VEGF融合タンパク質の発現誘導
MBP−VEGF融合タンパク質を発現する組換えプラスミドpMAL−c2X−VEGFを、大腸菌E.coli K12 TB1に形質転換させて、37℃のLB(Luria−Bertani)固体培地で一日の間培養した。翌日、培地の上に形成されたコロニー(colony)を採取して、60μg/ml濃度のアンピシリンを含む3mlのRB(rich medium+グルコース)液体培地に接種して、37℃で約2時間培養した。そこに、IPTG(イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)を最終濃度3mMになるように添加して、再び37℃で2時間さらに培養した。培養が終わった後、1mlの培養液を採取して、遠心分離機を通じて細胞沈殿物を得た。前記細胞沈殿物に20μlの1×試料ローディング緩衝溶液(sample loading buffer)を添加してよく混合した。前記混合物を95℃で5分間沸かしてから常温に冷却させた後、15μlを取って10%SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行った。電気泳動が終結した後、ポリアクリルアミドゲルをクマシブルー(coomassie brilliant blue)で染色して、抗−MBP抗血清(New England Biolabs)を使用したウエスタンブロットを通じて、MBP−VEGF融合タンパク質の発現有無を観察した。
<2−2>水溶性融合タンパク質の発現および精製
前記実施例<2−1>で組換えプラスミドpMAL−c2X−VEGFに形質転換された大腸菌細胞を、アンピシリンが60μg/ml添加されたRB培地に接種した後、37℃で一晩中培養した。前記培養液10mlを1lのRB培地に添加して、37℃で継続振盪培養し、培養液の吸光度が650nmの波長で約0.6程度になった時、3mMの最終濃度でIPTGを添加した。IPTGを添加して約2時間後に培養を停止した後、培養液を4000×gで20分間遠心分離(Combi−514R、ハニル)して細胞沈殿物を集めた。前記細胞沈殿物に緩衝溶液(1M トリス−HCl 20ml、pH7.5、NaCl 11.7g、0.5M EDTA 2ml)50mlを添加して懸濁させた後、最終濃度が1mMになるようにEDTA(ethylenediaminetetraacetic acid)とPMSF(phenylmethanesulphonyl fluoride)を添加した。前記細胞混合物の精製に先立って、−20℃での冷凍および解凍を繰り返して細胞破砕が容易に起きるようにした。その後、細胞混合物を冷却浴内で超音波粉砕機(Fisher Scientific Model 500 Sonic Dismembrator)を使用して、10%出力で約10秒間超音波処理して細胞を破砕した後、30秒間冷却浴内に放置した。前記のような過程を2回反復して細胞を完全に破砕した。このように得た細胞均質液を、9000×gで1時間遠心分離(Combi−514R、ハニル)して、可溶性タンパク質が溶解している上澄み液を得た後、緩衝溶液(1M トリス−HCl 20ml、pH7.5、NaCl 11.7g、0.5M EDTA、2ml)で5倍希釈した。
【0043】
一方、大腸菌形質転換体から発現されたMBP−VEGF融合タンパク質を分離するために、アミロース樹脂(amylose resin、New England Biolabs)を使用したアフィニティークロマトグラフィーを準備した。このカラムをあらかじめ約8×ベッドボリューム(bed volume)の緩衝溶液(1M トリス−HCl 20ml、pH7.5、NaCl 11.7g、0.5M EDTA 2ml)で洗浄して平衡化させた。平衡化されたアミロース樹脂親和性クロマトグラフィーに、前記で得た可溶性タンパク質が溶解している上澄み液を分当たり1mlの速度でローディング(loading)した。続いて、12×ベッドボリューム以上の緩衝溶液(1M トリス−HCl 20ml、pH7.5、NaCl 11.7g、0.5M EDTA 2ml)をカラムに流して、樹脂に吸着されないタンパク質を除去した。その次に、10mM マルトース溶出緩衝溶液(1M トリス−HCl 20ml、pH7.5、NaCl 11.7g、0.5M EDTA 2ml、10mM マルトース)を添加して、樹脂に吸着されていたタンパク質を分当たり1mlの速度で溶出させて回収した。その後、回収されたタンパク質を10%ポリアクリルアミドゲルに電気泳動(Bio−rad)して、精製されたタンパク質の概算の分子量と純度を確認した。その結果、精製されたタンパク質の純度は95%以上で、概算の分子量は60,000Da程度と示された。
【0044】
前記タンパク質試料を、希釈膜(MWCO12−14,000)(dialysis membrane、Spectrum laboratories、Inc.)に入れてPBSで3日間希釈させた後、マルトースが除去されたタンパク質のみを収得した。その後、遠心分離ろ過器(Centrifugal Filter、Amicon Ultra−15 MWCO 5,000、Millipore)を使用して、4000×gで45分間遠心分離(Combi−514R、ハニル)してタンパク質を濃縮した。前記過程によって最終的に濃縮されたタンパク質を、MBP−VEGFと命名した。
【0045】
図1は、アミロースレジンにローディングする前のMBP単独(ライン1)およびMBP−VEGF融合タンパク質(ライン3)と、アミロースレジンにローディングした後に精製されたMBP単独(ライン2)およびMBP−VEGF融合タンパク質(ライン4)のSDS−PAGE結果を示したもので、MBP−VEGF融合タンパク質が、MBP単独より高い分子量を有することが確認されて、大腸菌形質転換体から融合タンパク質が発現されたことが分かった。
<実施例3>MBP−VEGF融合タンパク質の活性測定
<3−1>MBP−VEGF融合タンパク質による293/KDRのリン酸化
MBP−VEGF融合タンパク質の活性を測定するために、まず293/KDRを培養した後、6−ウェルに5×10
5の細胞濃度で移植した。293/KDR細胞は、293HEK(human embryonic kidney cell)にVEGFR2(VEGF受容体)を過発現させた細胞で、VEGFのリン酸化試験などに使用されている。細胞移植6時間後、0.05%のFBS(fetal bovine serum、ウェルジン)が添加されたDMEM液体培地(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium、ウェルジン)に培地を交換した。それから16時間経過後、前記培地を分析培地(assay medium、DMEM、ウェルジン、25mM HEPES pH7.2、Sigma、5mM Na
3VO
4、Sigma、0.05%BSA(bovine serum albumin、Sigma))に交換して、10分間培養器(Thermo)で培養した。
【0046】
一方、293/KDR細胞を刺激するためにVEGF165(vascular endothelial cell growth factor 165、R&D Systems)および製造されたMBP−VEGF融合タンパク質を、それぞれ0、1、5、10、50および100ng/mlの濃度で分析培地に希釈した。続いて希釈されたVEGFおよびMBP−VEGF融合タンパク質を、前記で培養された293/KDR細胞に1.5mlずつ濃度別にそれぞれのグループに添加した後、37℃培養器(Thermo)で10分間培養した。VEGFおよびMBP−VEGF融合タンパク質によって刺激された細胞を氷に浸した後、冷たいPBSで2回洗浄した。続いて細胞を破砕するために、RIPA(Radio−Immunoprecipitation Assay、Pierce)緩衝溶液に1mM オルトバナジン酸塩ナトリウム(sodium orthovanadate、Sigma)、5mM ピロリン酸塩ナトリウム(sodium pyrophosphate、Sigma)および25mM フッ化ナトリウム(sodium fluoride、Sigma)を混合した後、100μlの混合液を前記細胞反応液に添加してスクラッパー(scraper、SPL)を使用して細胞を回収した。回収された各グループの細胞を1時間氷に浸した後、15,000rpmで30分間遠心分離(micro 17TR、ハニル)して上澄み液のみを採取して、BCA(Pierce)タンパク質測定方法を使用して定量した。それぞれの試料を5×試料緩衝溶液(0.6ml 1M トリス−HCl、pH6.8、5ml 50% グリセロール、2ml 10% SDS、0.5ml 2−メルカプトエタノール、1ml 1%ブロモフェノールブルー、0.9ml 蒸留水)に添加して、蒸留水で各試料の最終濃度を同一に合わせた後、1.5ml エッペンドルフチューブに入れて4℃で冷蔵保管した。
【0047】
図2は、細胞を破送する前の細胞形態を観察した結果で、
図2のAは細胞に分析培地を添加する前の細胞形態で、Bは分析培地を、CはMBP(100ng/ml)を、DはMBP−VEGF(150ng/ml)を、EはVEGF(50ng/ml)を10分間処理した後の細胞形態である。分析培地とMBPを処理した群(BおよびC)では、細胞形態が処理する前の形態と類似に伸長した状態であるが、MBP−VEGFとVEGFを処理した群(DおよびE)では細胞が丸い形態に変化したことが分かった。このような結果は、本発明によってVEGFがMBPとの融合タンパク質形態に発現されて精製されても、本来のVEGF活性をそのまま維持していることを示すものである。
<3−2>MBP−VEGF融合タンパク質による293/KDRのリン酸化シグナル変化
前記実施例<3−1>で準備した試料を95℃で10分間加熱した後、15,000rpmで1分間遠心分離(micro 17TR、ハニル)して、ふたに気化された試料を集めた。ウエスタンブロット(western blotting)分析のために7.5% ポリアクリルアミドゲルを製造して、前記ゲルに前記試料をそれぞれ20μlずつローディングした後、電気泳動(Bio−rad社)を実施した。一方、ニトロセルロース膜とろ過紙を10×トリス/グリシン緩衝溶液(25mM トリス、192mM グリシン、pH8.3、Bio−rad)20mlとMeOH 40mlおよび蒸留水140mlを混合した溶液に20分間浸けて活性化させた。
【0048】
その後、半乾燥伝達システム(Semi−Dry Transfer System、Bio−rad)を使用して、前記で電気泳動されたポリアクリルアミドゲルをニトロセルロース膜に伝達した。前記ニトロセルロース膜を5%BSA(bovine serum albumin、Sigma)で4℃で8時間処理して遮断させた後、TBS−T(Tris buffered saline−NaCl 8g、KCl 0.2g、トリス 3g、ツイーン20 0.5ml)緩衝溶液で10分間3回洗浄した。その後、1次抗体であるホスホチロシン:ビオチン(phosphotyrosine:biotin、BD Biosciences)と単一クローン抗−ホスホチロシン(monoclonal anti−phosphotyrosine、Sigma)を5%BSA(bovine serum albumin、Sigma)に1:2000に希釈した後、前記洗浄されたニトロセルロース膜に10mlずつ添加して、8時間4℃で反応させた。前記ニトロセルロース膜をTBS−T緩衝溶液で10分間3回洗浄した後、5%BSA(bovine serum albumin、Sigma)に1:10000に希釈された2次抗体(Mouse−Pierce)と、ストレプタビジン(streptavidin、Sigma)とを10mlずつ添加して、1時間常温で反応させた。前記ニトロセルロース膜をTBS−T緩衝溶液で10分間3回洗浄した後、ウェストフェムト最大敏感性基質(West Femto maximum sensitivity substrate、Pierce)に含まれているルミノール/エンハンサー溶液(West Femto Luminol/Enhancer Solution)と、過酸化溶液(West Femto Stable Peroxide Solution)とを、それぞれ500μlずつ混合した溶液を添加して、常温で5分間反させた。反応が終結した後、前記ニトロセルロース膜をイメージ分析機(image analyzer、Las 3000、フジフィルム)で分析して、MBP−VEGF融合タンパク質による293/KDR細胞のリン酸化シグナルを確認した。
【0049】
その結果、
図3に示したように、MBP−VEGF融合タンパク質で処理した細胞では、VEGFだけで処理した細胞群と類似して220KDa付近から濃度依存的にリン酸化が起きることを分かった。このようなリン酸化様相は、VEGFによって処理された293/KDR細胞で本実施例に使用された抗体によって示されるリン酸化様相と同一である(Backer MV等、Biomaterials,2006年,第27巻,5452−5458頁)。その他にも、130KDa付近で細胞内のリン酸化が濃度依存的に増加することを確認することができた。
<実施例4>ポリスチレン表面でのMBP−VEGF融合タンパク質の固定化に対する生化学的分析
本発明によるMBP−VEGF融合タンパク質が、ポリスチレン(polystyrene)のような疎水性表面に固定化される程度を調べるため、まず、下記のようにMBP−VEGF融合タンパク質をビオチン(biotin)で処理した。具体的に、1mg/mlのMBP−VEGF融合タンパク質185μlに、10mM スルホ−NHS−ビオチン溶液16μlを入れた後、最終体積が0.5mlになるようにPBSを添加して、1時間常温で反応させた。一方、<参考例10>に記述した方法で脱塩スピンカラム(Pierce)を洗浄した後、前記反応物を15mlコニカルチューブを結合した洗浄された脱塩スピンカラムに入れて、1000×gで2分間遠心分離してビオチン処理されたMBP−VEGF融合タンパク質を得た。
【0050】
10〜10,000ng/ml濃度のビオチン処理されたMBP−VEGF融合タンパク質を100μlずつ、ポリスチレン製の96ウェル(非−組織培養用、Falcon)に加えて、常温で4時間処理して、PBS200μlで3回洗浄した。その後、ポリスチレン表面にMBP−VEGF融合タンパク質の非特異的結合を防止するために、1%BSA(bovine serum albumin、Sigma)200μlを入れて常温で2時間処理した後、0.05% ツイーン20(Amersham Pharmacia Biotech)含有PBS200μlで5回洗浄した。
【0051】
前記のMBP−VEGFが固定された96ウェルに、ストレプタビジンペルオキシダーゼ(streptavidin−peroxidase、Sigma)がPBSに1:10,000に希釈された溶液を100μl添加して、常温で1時間反応させた後、0.05%ツイーン20含有PBS200μlで5回洗浄した。続いて、前記96ウェルに安定化された過酸化水素(stabilized hydrogen peroxide、R&D Systems)と安定化されたテトラメチルベンジジン(stabilized tetramethylbenzidine、R&D Systems)を1:1で混合した溶液100μlを添加してアルミホイルで包んだ後、20分間反応させた。20分後、2N硫酸溶液50μlを前記ウェルに添加して反応を停止させた。前記96ウェルをマイクロプレートリーダー(microplate reader、Molecular Device)を使用して450nmで吸光度を測定して、MBP−VEGF融合タンパク質がポリスチレン表面に固定化された程度を確認した。
【0052】
その結果、
図4に示されたように、MBPおよびMBP−VEGFが10〜1,000ng/mlの範囲で、濃度依存的に疎水性ポリスチレン表面に吸着されることが分かった。しかし、前記範囲を逸脱した高い濃度では、このような生化学的方法で固定化された程度を分析するのに限界があった。
<実施例5>ポリスチレン表面でのMBP−VEGF融合タンパク質の固定化に対する物理学的分析
前記実施例4の生化学的方法では、高濃度でMBP−VEGF融合タンパク質の固定化程度を測定するのに限界があることを確認して、物理学的方法である水晶振動子微量秤(quartz crystal microbalance、QCM)を使用して、高濃度で前記融合タンパク質が疎水性表面に吸着する程度を調査した。QCMは、水晶振動子(quartz crystal)に物質が吸着した時に振動数の減少が生じて、このような振動数の減少を検出して吸着されたタンパク質の量を測定する方法である。本実験で水晶振動子は、0.5%ポリスチレン/トルエン溶液をスピンコーティングした後、使用した。試料は、MBPおよびMBP−VEGFを、それぞれ1、10、50、100および500μg/mlの濃度で緩衝溶液(1M トリス−HCl 20ml、pH7.5、NaCl 11.7g、0.5M EDTA 2ml)に希釈して準備した。水晶振動子に前記緩衝溶液を1時間流して平衡化させた後、準備したそれぞれの指標を15分間流して水晶振動子にMBPおよびMBP−VEGFが吸着するようにした後、再び緩衝溶液を流して吸着されないタンパク質を除去した。その後、タンパク質吸着前と比べて吸着後の水晶振動子の振動数減少を測定して、吸着した重さをソルベリー式(Sauerbrey equation、Δf=−ΔmC/n)(Hook F、Rodahl M.等、Langmuir.,1998年,第14巻,729−734頁)に代入して算出した。
【0053】
その結果、
図5に示されように、本発明によるMBP−VEGF融合タンパク質が、1〜500μg/mlの高濃度でも濃度依存的に疎水性ポリスチレン表面に吸着して、このような濃度によるタンパク質の吸着がログ関数的増加を示すラングミュアタイプ(Langmuir−type)の吸着挙動と類似に単層に吸着することを確認した。
<実施例6>MBP−VEGF融合タンパク質による293/KDR細胞の形態変化
MBP−VEGF融合タンパク質による293/KDR細胞の形態変化を調査するため、まず、前記<実施例2>で抽出したMBP−VEGF融合タンパク質を無菌作業台(Sanyo)で0.22μm注射器フィルター(Millex GV、Millipore)を使用してろ過した後、0.1、1および10μg/mlの濃度で100μlずつポリスチレン材質の96ウェルプレート(非−組織培養用、Falcon)に添加した後、プレート表面にコーティングされるように無菌作業台中で4時間放置した。その後、前記96ウェルをPBS200μlで3回洗浄し、293/KDR細胞とMBP−VEGF融合タンパク質がコーティングされたウェル表面との非特異的結合を防止するために、一部のウェルには1%BSA(bovine serum albumin、Sigma)200μlを添加して無菌作業台内で2時間処理した後、PBS200μlで3回洗浄した。
【0054】
MBP−VEGF融合タンパク質がコーティングされた96ウェルに、ウェル当たり293/KDR細胞を2×10
4の濃度で移植した。ここで、使用された培地は、DMEM(ウェルジン)無血清培地を使用した。移植された細胞は、37℃培養器(Thermo)で45時間培養した後、位相差顕微鏡(ニコン社)を使用してこれらの形態変化を観察した。
【0055】
図6および
図7は、それぞれ本発明のMBP−VEGF融合タンパク質が固定されたポリスチレン疎水性表面において、BSA存在下および不在下に培養された293/KDR細胞の形態変化を観察した結果である。
図6に示されたように、細胞の非特異的な結合を防止するためにMBP−VEGFが吸着された表面にBSAを処理した場合に、MBP−VEGFが吸着されない表面(
図6のA)では細胞が凝固した丸い(spheroid)形態を維持していて、吸着されたMBP−VEGFの濃度が増加するに比例して細胞に偽足が形成されながら細長い形態に生育することを確認することができた(
図6のB〜D)。
【0056】
一方、
図7に示されたように、MBP−VEGFが吸着した表面にBSAを処理しない場合に、MBP−VEGFが吸着されない表面(
図7のA)では細胞がよく接着して広くひろがった形態に生育したが、MBP−VEGFが吸着した表面では
図6のB〜Dと類似に細胞が細長に偽足を生成しながら生育することを確認した。このような結果は、本発明によるMBP−VEGF融合タンパク質のVEGFが、細胞の形態形成に影響を及ぼしていることを示すものである。
【0057】
以上、本発明の具体的な内容を詳しく記述したように、通常の知識を有する当業者において、このような具体的技術は単に好ましい実施様態であるだけであり、これによって本発明の範囲が制限されるものではない点は明白であろう。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付された請求項とそれらの均等物によって定義される。