(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載の再構成可能なバッテリシステムであって、前記コントロールユニットは前記複数の前記バッテリ回路内の前記バッテリセルからいくつかの使用可能なバッテリセルを決定する再構成可能なバッテリシステム。
請求項2記載の再構成可能なバッテリシステムであって、前記コントロールユニットは前記バッテリシステムに対する電圧出力要求条件を受信し、前記複数のバッテリ回路内の前記スイッチを前記電圧出力要求条件を満たす電圧を出力する回路配置を形成するように構成する再構成可能なバッテリシステム。
請求項3記載の再構成可能なバッテリシステムであって、前記コントロールユニットはいくつかの直列配置されたバッテリセルが前記電圧出力要求条件を満たす必要があると決定し、かつ互いに並列配置することができるいくつかのバッテリセルグループを前記いくつかの使用可能なバッテリセルから決定することにより前記複数のバッテリ回路内の前記スイッチを構成し、ここに、各バッテリセルグループは前記電圧出力要求条件を満たす直列配置された一連のバッテリセルにより構成される再構成可能なバッテリシステム。
請求項8記載の再構成可能なバッテリシステムであって、前記コントロールユニットは定められた出力に対する前記電圧出力要求条件を受信し、前記定められた出力に対する前記電圧出力要求条件を満たす電圧を出力する回路配置を形成するように前記複数のバッテリ回路内の前記スイッチを構成する再構成可能なバッテリシステム。
請求項9記載の再構成可能なバッテリシステムであって、前記定められた出力に割り当てられるいくつかのバッテリセルを決定する前記コントロールユニットはいくつかの直列配置されたバッテリセルが前記電圧出力要求条件を満たす必要があると決定し、かつ前記定められた出力に割り当てられた前記いくつかのバッテリセルから互いに並列配置することができるいくつかのバッテリセルグループを決定し、各バッテリセルグループは前記電圧出力要求条件を満たす直列配置された一連のバッテリセルにより構成される再構成可能なバッテリシステム。
請求項7記載の再構成可能なバッテリシステムであって、前記複数のスイッチは、さらに、前記入力端子および前記バッテリセルの前記負端子間に接続される入力スイッチとして定義され、前記出力端子および前記バッテリセルの前記正端子間に並列スイッチが接続され、前記バッテリセルの前記負端子および隣接バッテリ回路の負端子間にバイパススイッチが接続され、前記バッテリセルの前記正端子および前記隣接バッテリ回路の前記負端子間に直列スイッチが接続される再構成可能なバッテリシステム。
請求項16記載の再構成可能なバッテリシステムであって、前記複数のスイッチは、前記入力端子および前記バッテリセルの前記負端子間に接続された入力スイッチと、前記出力端子および前記バッテリセルの前記正端子間に接続された並列スイッチと、前記バッテリセルの前記負端子と隣接バッテリ回路の負端子間に接続されたバイパススイッチと、前記バッテリセルの前記正端子と前記隣接バッテリ回路の前記負端子間に接続された直列スイッチと、を含む再構成可能なバッテリシステム。
請求項16記載の再構成可能なバッテリシステムであって、前記コントロールユニットは前記複数の前記バッテリ回路内の前記バッテリセルからいくつかの使用可能なバッテリセルの個数を決定する再構成可能なバッテリシステム。
請求項18記載の再構成可能なバッテリシステムであって、前記コントロールユニットは前記バッテリシステムに対する電圧出力要求条件を受信し、前記電圧出力要求条件を満たす電圧を出力する回路配置を形成するように前記複数のバッテリ回路内の前記スイッチを構成する再構成可能なバッテリシステム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(詳細な説明)
ここに記載された図面は可能な全ての実施例ではなく選出された実施例の例示だけを目的とするものであり、本開示の範囲を制限するものではない。いくつかの図面を通して対応する参照番号は対応する部分を示す。再構成可能なバッテリセルは化学エネルギを電気エネルギに変換できる任意のセルとすることができ、その逆もある。典型的に、これは電気化学酸化および還元反応により達成される。これらの反応はバッテリセル内側の2つの電極内の電気活性種間で負荷を介して電子を交換することで、電流を発生することを伴う。理想的には、バッテリセルからの電流単位の総数、すなわちクーロン、はそのライフサイクル全体を通して常に同じである。しかしながら、現実には、反応速度および拡散過程の不確実性および/または時間をかけたバッテリセル内の活物質の溶解のため、バッテリセルの特性はどこでも理想に近いものではない。典型的なバッテリセルはニッケル金属水素化物(NiMH)、リチウムイオン、ニッケルカドミウム(NiCd)、リチウムイオンリン酸塩、リチウム硫黄、チタン酸リチウム、ニッケル水素、ニッケル金属水素化物、ニッケルイオン、ナトリウム硫黄、バナジウムレドックス、および充電式アルカリを含むことができる。後述するアーキテクチュアは他種の充電式バッテリセルだけでなくこれらにも応用することができる。
【0015】
充電式バッテリセルは実際には異なる特性を示す。たとえば、バッテリ端子電圧はその放電中に一定ではなく、電圧は放電率とは非線形に降下する。放電率が高いほど、電圧降下は急峻となる。このような理由で、供給電圧をシフトして安定化させるためにDC−DCコンバータを使用することができる。第2に、バッテリ容量は放電率と共に変動し、放電率が高いほど、バッテリ容量は低くなる。第3に、バッテリは高い放電率において制限された充電回復効果を有する。短時間の高い負荷電流により電気活性種間により高い濃度勾配を生じ、反応および拡散率間の遅れにより使用されない充電を利用できなくする。こうして、バッテリが低(またはゼロ)充電率でしばらく休める時に、一時的に降下した電圧が上昇してしまう。最後に、温度は内部抵抗およびフル充電容量にも影響を及ぼす。温度が低いほど、内部抵抗は高くなりフル充電容量を低下させる。一方、高温により自己放電が生じて実際の供給容量を低下させる。これらの特性の他に、いくつかのバッテリ、たとえばNiCdバッテリ、はリチウムイオンバッテリには無いメモリ効果を有することが知られている。
【0016】
前記したバッテリ容量の一時的な変化は別として、バッテリは電解質の分解、活性材料の溶解、および不動態皮膜の形成を含む望ましくない副反応によりある程度容量を失うことがあり、内部抵抗が高くなって最終的にバッテリセル障害を来たす。いくつかの可能な障害が存在し、バッテリセルの挙動の予測を困難にする。第1に、開路は他のバッテリセルへのさらなる損傷を制限するため、開路したバッテリセルを含む直列チェーン内の他のバッテリセルに対するフェイルセーフモードとなることができる。しかしながら、直列チェーン内の全バッテリセルが開路して使用不能となることがあるため、この障害モードはアプリケーションに対して有用とならないことがある。第2に、全バッテリパック(すなわち、1組のバッテリセル)が機能し続ける間チェーン内の残りのバッテリセルに幾分過負荷をかけられるように、異常に低い電気抵抗を有する短絡はほとんど電圧降下を来たすことがない。最後に、爆発の可能性は極端に高い電流を検出して停止させる保護回路を介して回避される。
【0017】
図1は再構成可能なバッテリシステム10に対する典型的な配置を示す。再構成可能なバッテリシステム10は、一般的に、互いに隣接配置された複数のバッテリ回路30a−30nにより構成される。各バッテリ回路30a−30nは関連するコントロールモジュール20a−20nを有する。典型的な実施例では、コントロールモジュール20a−20nはコントローラ50により実現されるが、コントロールモジュール20a−20n(またはその部分)によりサポートされる機能が複数のコントローラ間で分割されることも考えられる。ここで使用されているように、モジュールという用語は1つ以上のソフトウエアまたはファームウエアプログラムを実行する特定用途集積回路(ASIC)、電子回路、プロセッサ(共有、専用、またはグループ)および/またはメモリ(共有、専用、またはグループ)、組合せ論理回路、および/または記載された機能性を提供する他の適切なコンポーネント、その一部、またはそれを含むものとすることができる。ソフトウエアまたはファームウエアプログラムはコンピュータメモリ内に常駐するコンピュータ実行可能命令として実現され、コンピュータプロセッサにより実行されることを理解しなければならない。
【0018】
バッテリ回路30a−30nは入力端子36a、出力端子34a、および入力端子36aと出力端子34a間に介在するバッテリセル32aにより構成される。動的再構成構造の設計は、任意のバッテリセルをバイパスできなければならない、という原理によって導かれる。さらに、コストを最小限に抑えて信頼性を改善するために定められたバッテリセルの周りに出来るだけ少数のスイッチを配置しなければならない。典型的な実施例では、各バッテリ回路は、さらに、4つのスイッチを含んでおり、入力端子36aとバッテリセル32aの負端子間に接続された入力スイッチ38a(S
Iとも呼ばれる)、出力端子34aとバッテリセルの正端子間に接続された並列スイッチ44a(S
Pとも呼ばれる)、バッテリセルの負端子と隣接バッテリ回路の負端子間に接続されたバイパススイッチ40a(S
Bとも呼ばれる)、およびバッテリセル32aの正端子と隣接バッテリ回路の負端子間に接続された直列スイッチ42a(S
Sとも呼ばれる)である。バッテリ回路30a−30nは、後述するように、バッテリシステムが複数の端子を提供できるようにする入力端子スイッチ46a−46nおよび出力端子スイッチ48a−48n(それぞれ、S
ITおよびS
OTとも呼ばれる)により相互接続される。特定のスイッチ配置を参照しているが、他のスイッチ配置も本開示のより広い局面に入る。
【0019】
コントロールユニット20a−20nは複数のバッテリ回路内のスイッチを異なる回路配置を形成するように構成する。たとえば、バッテリセルは定められたバッテリ回路内30
a内のスイッチを次のように設定することにより、直列配置に構成することができる、すなわち、入力スイッチ38
aがオフに設定され、直列スイッチ42
aがオンに設定され、バイパススイッチ40
aがオフに設定され、そして並列スイッチ44
aがオフに設定され、ここでオンはスイッチ両端間の閉路でありオフはスイッチ両端間の開路である。複数のセルが直列配置されると、スイッチを次のように設定することによりセル32
aをバイパスすることができる、すなわち、入力スイッチ38
aがオフに設定され、直列スイッチ42
aがオフに設定され、バイパススイッチ40
aがオンに設定され、そして並列スイッチ44
aがオフに設定される。直列ストリングのいずれか一端のバッテリ回路内のスイッチは各セルを直列ストリング内に配置する、またはバイパスされるように構成できることが容易に理解される。
【0020】
バッテリセルを互いに並列に構成するために、定められたバッテリ回路30
a内のスイッチは次のように構成される、すなわち、入力スイッチ38
aがオンに設定され、直列スイッチ42
aがオフに設定され、バイパススイッチ40
aがオフに設定され、そして並列スイッチ44
aがオンに設定される。同様に、並列グルーピングのいずれか一端のバッテリ回路内のスイッチは各セルを残りのセルと並列に配置するように構成することができる。複数のセルが並列に配置される時は、定められたバッテリ回路内の全スイッチをオフに設定してセルをバイパスすることができる。
【0021】
動的再構成可能バッテリシステム10のアーキテクチュアはΨ=(E,F,S,D)のように表わすことができ、ここに、Eはセンサのアレイであり、{E
1,...,E
i,...,E
k}その各々が対応するバッテリセルの電圧および電流を読み出す。Fは、コントローラがどのセルをバイパスすべきかの決定を維持する、フィードバックスイッチのアレイを示す、{F
1,...,F
i,...,F
k}。デバイスi内でバッテリセル障害が検出されると、(F
i,On)がターン(turned)される。Sはスイッチのアレイを示し、{S
1,...,S
i,...,S
k}、ここに、S
iはS
i,I、S
i,0、S
i,B、S
i,S、S
i,P、S
i,IT、およびS
i,OTにより構成される。Dは1組のバッテリ装置である、{D
1,...,D
i,...,D
k}。これらのデバイスの接続性はn
s×n
pマトリクスとして考えられる。
【数1】
ここに、n
sは直列チェーン内に接続されたバッテリセルの数であり、n
pは並列接続された直列チェーンの数である。用語V
dおよびV
aは、それぞれ、バッテリセル(または1組のバッテリパック)の電圧需要および平均電圧を示す。電圧需要は応用によって決定される。同様に、f
Nは次のように定義される。
【数2】
ここに、(F
i)は指示関数(indication function)である、すなわち、(F
i,Off)が成り立ち、関数は1へ戻り、さもなくば0へ戻る。
【0022】
動作中に、定められたバッテリ回路に対するコントロールユニットはバッテリ回路内のバッテリセルの動作状態を監視して、バッテリ回路内のスイッチを動作状態に従ってコントロールする。典型的な実施例では、コントロールユニット20a−20nは2つのセンサ54a−54nおよび56a−56nと通信してバッテリ状態を監視する。たとえば、コントロールユニット20a−20nはそのバッテリセルの充電状態(SOC)および電圧の変化を感知装置54a−54nおよび56a−56nを介して感知する。バッテリセルのSOCはバッテリセル32a−32nに流入および流出する電流を時間をかけて測定し積分して推定することができ、クーロンカウントと呼ばれる。実際には、電圧および温度もバッテリ変数として計算に入れることができる。こうして、クーロンカウントの内容に基づく、関数f
V,
T(SOC,∫Idt)はSOCへ戻る。一方、一般的に、直接電圧測定値はその放電率および温度への依存によりインジケータとして使用するのに十分なほど正確ではない。いくつかの実施例では、カルマンフィルタを適用して電圧を推定することができる。あるいは、統合された機能的関数f
V,
I,
T(SOC,∫Idt)が与えられ[V,SOC]へ戻ると仮定することができる。バッテリセルの充電状態および/または電圧を決定するための他の技術も本開示の範囲内である。バッテリ状態を監視するのに異なるタイプのセンサを使用できることが容易に理解される。
【0023】
周期的監視間隔(Δt)で、コントローラ50は各バッテリセルのSOCを対応するコントロールユニット20a−20nを介してチェックし、たとえ、
【数3】
が成り立つ場合でも回転(rotation)をトリガーし、ここに、δはSOCの最大変動の境界を決める閾値を示す。δが大きいほど、より多くのバッテリセルが不平衡になる。さらに、Δtが大きいほど変動が大きいため、変動はΔtと一緒に、δで調節する必要がある。特に、Δtは放電率に反比例する。回転イベントはセルを健全に保つ目的で健全なバッテリセルが他の健全なバッテリセルと一緒に回転されるバッテリパック内の調節である。
【0024】
検討の目的で、故障セルは80%公称容量までしか充電出来ないおよび/またはフル充電状態においてカットオフ電圧までの低電圧を有することがあるバッテリセルと見なすことができる。こうして、バッテリセルiが故障と決定されると、コントロールユニットi内で(F
i,On)がターンされる。故障セルを決定する他の基準も考えられる。
【0025】
各監視間隔(Δt)において、コントローラ50は平均電圧もチェックし、
【数4】
が成り立たなければ、再構成イベントをトリガーし、ここに、αは電圧不平衡の上限を指定する。αは供給電圧内の粒度に基づいて調整されることが観察できる。再構成イベントによりコントローラはバッテリ回路のトポロジを変える。再構成イベントは典型的にバッテリセルが故障していると決定される時に生じる。再構成イベントは追加アプリケーションが電圧供給を必要とし、したがって、複数端子構成を要求する時にも生じることがある。他のタイプのトリガリング再構成イベントも本開示により考えられる。
【0026】
バッテリセル障害またはもう1つのトリガリング再構成イベントが発生した場合、セマンティックバイパス機構がバッテリ接続性を構成する。一般的に、セマンティックバイパス機構は直列チェーンの並列グループ全体の電圧平衡に従いながら広範な電圧を供給する方針を実現する。典型的な実施例では、他の方針も本開示により考えられるが、2つの方針がセマンティックバイパス機構により実現される。セマンティックバイパス機構はコントローラにより実現される。
【0027】
第1に、定電圧保持方針(constant−voltage−keeping policy)ではバッテリセル障害にもかかわらず供給電圧をバッテリの寿命にわたってできるだけ一定に保持するように指定される。この目的のために、故障バッテリセルを含む直列チェーンがバイパスされる。しかしながら、直列チェーン内の健全な使用および非使用バッテリセルの両方の電圧が時間をかけて離れ離れとなり、直列チェーン内のバッテリセル間に不平衡電圧を生じる。このような理由で、監視中に回転イベントがトリガされ、バッテリセル接続性を再構成する。接続性再構成に対して、それらのSOCの最低レベルのバッテリセルが第1に選び出される。
【0028】
図2は定電圧保持方針下での直列チェーン内のバッテリセルの再構成を例示している。
図2には、2つの構成60aおよび60bが示されている。第1の構成60aでは、最後の4つのバッテリセルが直列接続されている。第2の構成60bでは、コントローラ52が定電圧保持方針に従って中央の4つのバッテリセルを直列に接続している。図からお判りのように、健全なバッテリセルは回転されており、したがって、電圧を一定に保持している。図から観察できるように、故障セル62は両方の構成から除外されている。
【0029】
定電圧保持方針を実現するために、コントローラ52はどれだけ多くのバッテリセルをバイパスしなければならないかを決定しなければならない。バイパスすべきバッテリセルの数は次のように計算される。Vdが与えられると、最初にn
sが
により計算され、Vaの使用によりそれらの寿命中の非線形電圧降下が相殺される。次に、
からn
Pが導き出され、ここに、f
N(Ψ)は使用できるバッテリセルの総数を示す/戻す。この方程式は(f
N(Ψ)−n
s・n
p)のバイパスすべき健全なバッテリセルに通じる。この手順は定期的間隔(Δt)または再構成イベントの開始時に繰り返される。
【0030】
あるいは、必要なだけ多くのアプリケーションをサポートし、かつ、利用可能なバッテリセルが与えられると、単一バッテリセル電圧に対応する電圧降下を犠牲にして最大供給可能電力を改善するように動的電圧許容方針(dynamic−voltage−allowing policy)が定義される。動的電圧許容方針下で、直列チェーン内の1つ以上の健全なバッテリセルを
図3に示すように選び出すことができる。この方針を適用するために、n
pはアプリケーション要求条件に従って固定されたままとされ、次に、
によりn
sが計算され、その結果(f
N(Ψ)−n
s・n
p)のバイパスすべき健全なバッテリセルとなる。定電圧保持方針と同様に、バッテリセルはそれらのSOCに基づいて選び出される。同様に、この手順は定期的監視間隔(Δt)または再構成イベントの開始時に繰り返される。
【0031】
これら2つの方針は、さらに、後述する例から理解することができる。各々が4つの直列バッテリセルを有する3つの並列グループを仮定すると、構成は次のように表わされ、
ここに、Oは対応するセルのいずれが使用されているかを示す。各直列ストリングが4Vを出力するように、各セルの電圧は1Vに等しいものと仮定する。C6およびC8が故障するものと仮定すると、他のグループ内の2つのセルはグループ全体の電圧を平衡させるために休まなければならず、その結果この構成となる。
ここに、Xは対応するセルが故障することを示し、‐‐はセルが休むことを示す。
【0032】
セマンティックバイパス機構は2つの方針の一方に従ってバッテリ接続性を再構成する。定電圧保持方針が適用される場合(すなわち、需要電圧が4V)、最終的構成は次のようになり、
この構成により出力される電力は4V
*2(=8P)となる。
一方、動的電圧許容方針が適用されると、最終的構成は次のようになり、
この構成により出力される電力は3V
*3(=9P)である。動的電圧許容方針では、並列グループの数(n
p)は変わらない。代わりに、出力電圧をnsで調節することにより、供給可能電力を増加することができる。
【0033】
これら2つの方針は補足しあってバッテリの使い易さを最大とする。特に、特定用途の負荷需要に従って、必要ならばいつでも定電圧保持方針が適用される。たとえば、動的電圧スケーリングをサポートするシステムは低需要を有する場合にそのシステム電圧を軽減する。これを行うために、システムはしばしば降圧DC−DCコンバータを使用する。DC−DCコンバータは変換が行われているうちにエネルギを消費することがある。この場合、DC−DCコンバータを使用する代わりに、定電圧保持方針を再構成可能なシステムに適用すればさらなる省エネが可能である。一方、動的電圧保持方針は複数のアプリケーションを同時に収容すべき時に適用される。異なる電圧および電力を必要とするアプリケーションは特定の容量を必要とし、それ故並列グループ数n
pの定義が必要でありそれらは固定される。
【0034】
n
sおよびn
pが適用された方針に従って決定されると、コントローラ50は接続性構成アルゴリズムを適用して所望の回路配置を達成する。典型的な構成アルゴリズムが以下に記載されている。
システム内のどのセルが使用できるかを決定することにより接続性構成アルゴリズムが開始する。第kローカルコントロールユニットがセル故障をコントローラに報告すると、コントローラはそのデータ構造PBを更新しPB(k)を1に設定することにより故障セルを永久にバイパスし、ここに、PBはバッテリセルの総数に等しいサイズのビットベクトルであり、kはビットベクトルの第kビットである。セル故障が発生すると各並列グループ内の健全なセルは不活性となる、すなわち、それを一時的にバイパスすることが必要となる。この意図的バイパスは一時的バイパスのためのもう1つのデータ構造TBを維持するコントローラによって追跡され、ここに、TBはPBのそれに等しいサイズのビットベクトルである。
【0035】
使用可能な最初のセルで始まって、並列接続グループがアルゴリズムにより構成される。各セルは順番に評価される。健全セルは直列接続され、不健全すなわち故障セルまたはTBにより反映される健全セルはバイパスされる。この手順はn
sの健全セルが直列接続されるまで繰り返され、並列接続グループが形成される。このプロセスは次の並列接続グループへ移動しn
pの並列接続グループが形成されるまで繰り返される。他のプロセスを使用してセルを接続し所望の回路配置を達成することも考えられる。
【0036】
理想的セルとは異なり、セルの出力電圧はそれらの放電中に一定ではない。すなわち、ns×Vaは非線形に低下してVdから逸脱する。偏差はDC−DCコンバータを使用して処理することができる。しかしながら、DC−DCコンバータは発熱の形でエネルギを放散する。エネルギ放散はEFF
DC−DC=(I
OUT×V
OUT)/(I
IN×V
IN)で与えられるDC−DCコンバータに対する変換効率(EFF
DC−DC)で測定され、I
INおよびV
INは、それぞれ、DC−DCコンバータへの入力電流および電圧であり、I
OUTおよびV
OUTは、それぞれ、そこからの出力電流および電圧である。入力変動が極端でなければ、EFF
DC−DCは75−95%の間に近似することができ、DC−DCコンバータは入力電圧が出力電圧に最も近い場合に最も効率的である。電力放散を最小限に抑えるために再構成可のための適切な時点を見つけることが重要である。電力の関数を定義する、f
DC−DC:V
IN×V
OUT→EFF
DC−DC。次に、電力放散がPD=(1−f
DC−DC(V
IN,V
OUT))×V
IN×I
INにより与えられる。V
INが決定されると、定電圧保持方針が適用される。
【0037】
電力放散を最小限に抑えるために、セル接続性を再構成してV
INをV
dに調節する。再構成オーバヘッドがスイッチングオーバヘッドにより制限されるものと仮定すると、スイッチングオーバヘッドはスイッチに信号を送ってスイッチをオン/オフさせる消費電力を含んでいる。離散時間におけるこのオーバヘッドはめったに変動せず一定に近似され、連続時間におけるエネルギ放散に比べて、無視できる電力放散量となる。事前の電力放散がスイッチングオーバヘッドを含む事後電力放散(再構成後)よりも大きい時、すなわち、下記の条件を満たす時は常にコントローラはセル配置を自己構成する、
ここに、V
Cは事前端子電圧を示し、V
*dは需要電圧Vdの近似であり、αはスイッチングオーバヘッドである。V
*dによりコントローラはn
sおよびn
pを再計算する。この基準によりコントローラはセル接続性をリアルタイムで自己再構成することができる。
【0038】
前記したアーキテクチュアは、前記したように、各バッテリパックが再構成可能なバッテリシステム10により構成される複数のバッテリパックへ拡張することができる。言い換えると、各バッテリパックは複数のバッテリ回路およびバッテリ回路の動作をコントロールするローカルコントローラにより構成される。この拡張されたアーキテクチュアは、さらに、各ローカルコントローラとデータ通信を行ってバッテリパック間で機能を調整するグローバルコントローラを含んでいる。動的再構成構造の複数のバッテリパックへの拡張はY=(E,F,S,Ψ)として表わされ、ここに、Ψ={Ψ
1,...,Ψ
2,...,Ψ
k}である。Yはローカルコントローラと協力するグローバルコントローラにより構成され、各Ψ
iはその各ローカルコントローラを介して構成される。前記した2つの方針はグローバルコントローラ内に実現されそれにより適用される。
【0039】
グローバルコントローラはローカルコントローラと一緒にY内のバッテリセルを再構成し、負荷に対する広範な供給電圧を発生する。V
dが与えられると、グローバルコントローラは直列接続されるバッテリセルの数Ψ
kおよびYを計算する、すなわち、
【数5】
ここに、
はΨ
k内の直列チェーン内のバッテリセル数であり、
はY内の直列チェーン内のバッテリセル数である。この方程式は
ならば
または
ならば
という条件で成り立つ。n
sおよびN
Sが条件に対して解決された後で、Ψ
kの中のn
pが
により計算される。同様に、γ内のN
p(並列接続された直列チェーン数)が
により計算される。その結果、ローカルコントローラおよびグローバルコントローラは、それぞれ、(Ψ,n
s,n
p)および(γ,N
S,N
P)の引数付き接続性構成アルゴリズムを適用し、バッテリパック内外の全バッテリセルがタンデムに構成される。
【0040】
複数のバッテリパックが並列に配置される場合、バッテリパックが故障バッテリセルを含んでおればバッテリパックの1つをバイパスさせることが必要となる場合がある。ローカルコントローラと同様に、グローバルコントローラは(F
i,On)が検出されるとΨ
iを故障と決定する。しかしながら、Ψ
iが単にバイパスされると、Ψ
i内のいくつかのバッテリセルは使用できなくなる可能性がある。この問題に対処するために、グローバルコントローラはパックレベルバイパス決定アルゴリズムを実施する。このアルゴリズムにおいて、グローバルコントローラはパック全体で使用可能な最小セル数を見つけてn
mとして示し、次に、n
mの前の値に基づいて各パック内でどれだけ多くのセルがバイパスされるか計算する。この決定は下記の決定関数を介してグローバルコントローラにより体系的に行われる。
【0041】
この決定関数をよりよく理解するために2つの例が提供される。第1の例では、各々が最初に6セルを有する4つのバッテリパックがあるものと仮定する。すなわち、[6,6,6,6]。1,2,および2セルが、それぞれ、パック1,2,および3において故障していると、([5,4,4,6]で示される)、n
m=4が得られる。各パック内のバイパスすべきセルの数(n
bとして示す)、すなわち、(1,0,0,および2)の和はn
m×2よりも小さく、アルゴリズムはパック2および3をバイパスしない。代わりに、パック1内の2セルおよびパック4内の1セルをバイパスすると決定する。第2の例では、[4,2,3,6]を仮定する。この例では、n
m=2である。n
b=7(すなわち、2+0+1+4)はn
mよりも大きいため、パック2はバイパスされて[4,3,6]となる。このステップにおいて、n
m=3である。n
b=4(すなわち、1+3)はn
m+n
m*(前のn
m)よりも小さいため、アルゴリズムはn
m(すなわち、最後のn
m)へ戻る。次に、各パックはn
mに基づいてそのセルをバイパスする。すなわち、それぞれ、パック1,2,3,および4内の1,2,0,および3セルがバイパスされる。このように、グローバルコントローラはいつどのようにバッテリパックをバイパスするか決定することができる。各パック内のローカルコントローラがグローバルコントローラからn
mの最新値を受信すると、各ローカルコントローラはn
mに基づいて定電圧保持方針を適用する。
【0042】
前記した再構成可能な構造を使用して、1つのアプリケーションがバッテリシステムからの電力を必要とする、複数のアプリケーションをサポートすることもできる。たとえば、車両内で、始動モータ、フロントグラスワイパーおよびラジオは全てバッテリシステムからの電力を必要とすることがある。各アプリケーションは出力電圧要求条件V
dを定義し優先順位を割り当てられることがある。アプリケーションkに対する出力電圧要求条件V
dが要求条件を満たすのに必要な直列N
s,k内のセル数を決定する。N
p,1,N
p,2,...,N
p,k,の和が健全なバッテリセルの総数を与える。N(γ)は全アプリケーションに対するq並列グループとなる。
【0043】
次に、バッテリセルを要求する各アプリケーションに割り当てることができる。アプリケーション要求条件を満たすのに必要なバッテリセル数が使用可能なバッテリセル数を超える場合、アプリケーションに割り当てられる優先順位に基づいて使用可能なバッテリセルがアプリケーションに割り当てられる。使用可能なバッテリセル数がアプリケーション要求条件を満たすのに必要なバッテリセル数を超える場合、コントローラは残りのセルを割り当てることができる。いずれの場合も、使用可能なバッテリセルは最初に優先順位の高いアプリケーション、すなわち、需要電圧の高いアプリケーションへ分布される。この分布は残りのセルが分布されるのに十分ではなくなるまで続く。典型的な割当て方針は次のように定義される。
複数端子ベース組分け
このように、コントローラはN
s,k×N
p,kの電源を各アプリケーションkに割り当てる。拡張された再構成可能な構造の場合、割当て方針はグローバルコントローラによりを実現される。
【0044】
バッテリセルが割り当てられると、コントローラはそれに合わせてバッテリシステムを構成する。バッテリシステムは最初に割り当てられたバッテリセルを有する各アプリケーションに対する入力端子および出力端子を提供するように構成される。そうするために、入力端子スイッチ46a−46nおよび出力端子スイッチ48a−48nは複数の端子を提供するように制御される。たとえば、入力端子スイッチ(S
i,I,On)および出力端子スイッチ(S
i,P,On)が全バッテリ回路30a−30nに対して停止すると、バッテリパックに対するインターフェイスは単一入力端子および単一出力端子を有する。逆に、バッテリ回路30a−30nをセグメント化して複数の端子を提供するために、入力端子スイッチおよび出力端子スイッチ選択をオフに設定することができる。各アプリケーションセグメントに対して、次に、バッテリシステムは前記したセマンティックバイパス機構を使用してアプリケーション要求条件を満たすように構成される。
【0045】
たとえば、EVおよびHEVに対する大規模バッテリセルは、n
sバッテリセルが直列接続されて必要な供給電圧を提供し、n
p並列グループが並列接続されて電流(I)の流れを決定し、必要な容量となるように詰め込まれる。バッテリの非線形性のため、理想的バッテリ容量方程式により単純に容量を導出することはできず、
【数6】
ここに、Tは放電時間(バッテリ寿命)である。代わりに、経験的ポイカートの関係はC≡T・I
αのような経験的パラメータを導入することにより定電流の場合の非線形性をモデル化し、ここに、α>1はポイカートの値と呼ばれ、典型的には1.2と1.4の間の範囲である。
【0046】
再構成可能なバッテリ管理システムの目的のために、電流の流れの離散化を使用して非線形性をモデル化することができる。すなわち、時間をかけて変動する負荷により実世界システムが特徴づけられる。このような可変負荷は1組のM電流レベル(i
1,...,i
M)により表わされるピース単位の一定負荷により近似することができ、Mは負荷を特徴づけるのに使用され、総運転時間Tの端数である量子化間隔、Δt(≡t
i−t
i+1)により決定される。すなわち、
であり、ここに、1
A(t)は定義関数である。そのため、Δtが小さいほど負荷の特徴づけにおける精度は高くなる。Δt≡Tである場合、負荷は一定である。負荷のパターンは経験的測定を介して得られ、バッテリセルまたはバッテリセルのパックに対する放電プロファイルとなる。こうして、方程式(6)のモデルは次のように一般化される。
【数7】
【0047】
総負荷は個別の並列グループから装荷される電流の和であり、すなわち、I=I
1+...+I
i+...+I
npであり、不一致の特定の許容閾値内のある時点において均一に分布され、I=n
p・I
iとなる。その結果、次式が得られる。
【数8】
【0048】
セル故障が発生すると、使用可能な並列グループ数はn
p−N(t)に等しくなり、ここに、N(t)は時間tまでにバッテリセルアレイ内で生じた故障の総数である。ABSにおいて、使用可能な並列グループ数は次のように定義される。
【数9】
【0049】
ばらばらの時間間隔で生じるこれらの障害の数は独立しているため、N(t)はバッテリセル故障率λが分布されたポアソン分布である。そのため、時間tまでに生じるセル故障の平均総数はtに比例し、λ・tとなる。この方程式は方程式(9)に適用されて次式が得られ、
【数10】
ここに、
である。
【0050】
一方、レガシースキームでは、運用バッテリセルの直列チェーンに対する負荷はn
p並列グループ全体のセル故障の総数に比例して次式のように増加する。
【数11】
【0051】
負荷の線形増加は故障セルを含む直列チェーン内の任意の健全なバッテリセルを再利用するのに失敗するという事実による。そのため、レガシースキームに従って使用可能な容量は次式により計算され、
【数12】
ここに、
である。したがって、λが高いほどレガシースキーム上の寿命利得は多くなり、それも直列のバッテリセル数n
sに逆比例する。
【0052】
バッテリセル接続性の構成に基づいて前記した2つの方針のいずれかが適用される。バッテリセルの使用率を最大化するために、全バッテリセルが供給する電力の容量が2つの方針を比較する基準として選択される。m×nマトリクスが直列チェーン内のn
sバッテリセルの組合せを表しn
p並列グループがある場合、マトリクス内のバッテリセルの任意のエレメントが他から独立して不良になると仮定される。たとえば、1つのバッテリセルが故障すると、動的電圧許容方針に基づいて電力の(n
s−1)・n
pが提供される。簡単にするために、定電圧保持方針に基づく電力のn
s・(n
p−1)の間に、各バッテリセルのエレメントは1Vおよび1Aが可能であるものと仮定する。そこで、n
s=・n
pである時に方針選択における損益分岐点が見つけられる。2つ以上のバッテリセルが故障する時は、故障セル迂回により使用されないままとされるバッテリセルの数は容量の基準を反映している。言い換えれば、マトリクス内の故障セル上の列数(c)と行数(w)の比(r)は、マトリクスの合計サイズに匹敵する、判断を行う時の要因となることができる。そこで、損益分岐点は次式により決定され、
【数13】
ここに、
であれば、動的電圧許容方針が選択され、定電圧保持方針よりも多くの電力容量が提供される。
【0053】
最初に評価方法が説明され、次に、説明したアーキテクチュアの性能がバッテリセル接続性をオンラインで構成できないレガシースキームと比較して評価される。バッテリ性能の評価に使用されるメトリクスはバッテリ寿命および供給電圧を含んでいる。寿命はバッテリセル/パックの総容量に比例し、供給電圧は供給可能な電力を決定する。複数バッテリシステムを設計するのに広く使用されるDualfoilを使用してバッテリ動力学がシミュレートされた。Dualfoilのより詳細な説明については、非特許文献1を参照されたい。Dualfoilを使用することはバッテリ接続性が動的に再構成される方法を示すのに十分である。
【0054】
再構成構造はバッテリセル故障の影響を効果的にマスクして、バッテリ寿命を拡張するが、レガシースキームはバッテリ容量の損失を著しく被り、したがって、寿命が低下する。バッテリ寿命は最大供給可能電力およびバッテリパックから絶えず引き出される電流の量により計算される。明らかに、バッテリセルが故障するほど、バッテリ寿命の低下は高くなる。
図4はバッテリ寿命の比較結果を示す。明らかに、レガシースキームは故障バッテリセル数が増すにつれ寿命のかなりの量を失う。その理由は1つのバッテリセルの故障により故障バッテリセルを含む直列チェーンが失われることである。対照的に、再構成構造は直列チェーン内の残りの健全なバッテリセルをバックアップセルとして再利用する。そのため、他のチェーン内でさらにバッテリセル故障があっても、それらは生き残った健全なバッテリセルと置換される。
図4は提案された再構成構造のフォールトトレランス機能を示す。たとえば、λ・t≡6から9かつλ・t≡12から15であれば、バッテリセル故障数の増加にかかわらずバッテリパックの寿命は一定のままである。2つの機構間の寿命の差はバッテリセル故障頻度が高くなるほど大きくなる。
図5から判るように、再構成構造により達成される寿命利得は各並列グループ内の直列チェーン内のバッテリセル数(n
s)の増加と共に実質的に大きくなり、バックアップバッテリセルの可用性を高める。これは2つのバッテリセルを直列接続した場合(すなわち、n
s=2)でも有効であり、5の利得係数が達成される。明らかに、直列のバッテリセルが多いほど、利得は大きい。
【0055】
動的電圧許容方針は供給可能な電力を最大に維持しながら異なるアプリケーションからの広範な供給電圧の需要を満たすことを目指している。
図6は需要電圧と各バッテリセルの実際の供給電圧および容量を2.5%の許容ジッターで、それぞれ、3.6Vおよび1.3AHに設定する構成に基づく25バッテリセルパックから生じる対応する最大供給可能電力の変化を示している。最大供給可能電力は推定された114Wおよび120W間に制限される。この電力は各グループ内の直列チェーンの5つの並列グループと5つのバッテリセルの組合せ(すなわち..,(5,5))、または直列25のバッテリセルを有する1つの並列グループ(すなわち、25,1)で供給することができる。興味深いことに、
図6に円で囲んだグループに対応する、供給電圧の良い範囲は最大供給可能電力を適当に一定に保っている間に提供される。これはバッテリ接続を適切に変えると、基礎となるアプリケーションの需要を満たしながらバッテリセルの利用を改善できることを意味する。一方で、(9,2)または(13,1)の接続性はバッテリセルの利用に関して効率が悪いように見える。しかしながら、任意のバッテリセルの故障または電圧降下はそれらを実質的にバックアップバッテリセルで置換し、必要な電圧レベルを維持して解決することができる。
【0056】
動的電圧許容および定電圧保持方針は異なる目的に対して考案され、前者は幅広い供給電圧の需要を満たすことを目指しており、後者はバッテリ寿命中のバッテリ故障または可能な電圧降下に対して供給電圧の許容範囲を維持することを目指しており、共に供給可能電力は最大に維持される。そのため、2つの方針は供給可能電力に関して比較することができる。
図7は定電圧保持および動的電圧許容方針間の電力の大きさの分布を示す。バッテリ接続性において、n
s>n
pであれば、動的電圧許容方針は最大供給可能電力の供給において効果的であり、n
p>n
sであれば、定電圧保持方針がより良い選択肢となる。この理由は使用されないバッテリセル/パックが利用されることである。明らかに、損益分岐点はn
s=n
pである時に生じる。
【0057】
前記したように、電圧降下は避けられないため、供給電圧が監視されている間供給電圧を需要電圧以上に維持するのに定電圧保持方針が適用される。監視間隔(Δt)は需要以下に電圧降下するためにシステムが被る度合いに直接関連付けられる。監視の頻度が高いほど、アプリケーションが被る時間は短いが、監視のオーバヘッドは高くなる。
図8Aは700バッテリセルパックの寿命中の2つの異なる放電率での供給電圧の変化を示す。4.3Vの出力電圧と1.3AHの公称容量を提供する構成でシミュレートされるリチウムイオンバッテリ放電の分布に続いて、各バッテリセルは独立して放電されるものと仮定する。アプリケーションに対する需要電圧(V
d)は600Vと仮定する。
図8Bにおいて、バッテリパックがCレートで放電される場合、バッテリパックがΔt(=10)毎に監視されると、10
−th時間間隔で供給電圧がV
d以下に降下する時が検出され、バッテリパック接続性は直列チェーン内の143バッテリセルを有する4つの並列グループへ再構成され、すなわち(143,4)、推定された604Vが提供される。C2レートの場合、
図8Cにおいて、基礎となるアプリケーションは正規の放電率におけるよりも5倍多いバッテリ容量損失を被る。特に、供給電圧降下がより急峻であれば、供給および需要電圧間の差は大きくなる。このケースは監視間隔(Δt=10)を減らして改善することができる。
図8Dに示すように、監視間隔を半分にすると(Δt=5)、電圧降下のオンタイム検出は67%だけ改善される。
【0058】
実施例の前記した説明は例示および説明の目的で提供されている。全てを網羅するものではなく、本発明を限定するものでもない。特定実施例の個別のエレメントまたは機能は一般的にその特定実施例に限定はされず、適用可能であれば、特別に図示または記載されていなくても、互換性があり選択された実施例において使用することができる。同じものを多くの方法で変更することができる。このような変更は本発明を逸脱するものとは見なされず、このような修正は本発明の範囲内に入るものとする。
【0059】
実施例は本開示が完璧なものであり、当業者に発明の範囲を完全に伝えるために提供される。本開示の実施例の完璧な理解を提供するために、特定コンポーネント、デバイス、および方法の例等の多くの特定の詳細が記載されている。当業者ならば、特定の詳細は採用する必要はなく、実施例は多くの異なる形で具体化することができ、どちらも開示の範囲を限定するものと解釈すべきではないことが明らかである。いくつかの実施例では、既知のプロセス、既知のデバイス構造、および既知の技術は詳細に説明されていない。
【0060】
ここで使用される技術は特定の実施例を説明することだけを目的としており、限定する意図はない。ここで使用されるように、単数形“a”、“an”、および“the”は特記無き限り複数形も含むものとする。“comprises”、”comprising”、“including”、および“having”という用語は包括的であるため述べられた特徴、完全体(integers)、ステップ、動作、エレメント、および/またはコンポーネントの存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、完全体、ステップ、動作、エレメント、コンポーネントおよび/またはそのグループの存在や追加を排除しない。ここに記載された方法ステップ、プロセス、および動作は、パフォーマンスの順番として特記されていなければ、検討または例示された特定の順番で必ずそれらのパフォーマンスを必要とするものと解釈すべきではない。追加または代替ステップを採用できることも理解される。