(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)チタン化合物
本発明においては、以下の一般式(1)で表されるチタン化合物を用いる。
【0012】
一般式(1)中のR
aは、アルキル基、アリール基またはアシル基であり、これらは置換基を有していてもよい。
【0013】
R
aのアルキル基の構造は特に限定されないが、炭素数20以下の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基が好ましい。
【0014】
直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
【0015】
分岐状のアルキル基としては、例えば、iso−(以下、i−と略称する)プロピル基、i−ブチル基、sec−(以下、s−と略称する)ブチル基、tert−(以下、t−と略称する)ブチル基等が挙げられる。環状のアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
【0016】
R
aのアリール基の構造は特に限定されないが、炭素数22以下のアリール基が好ましい。具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
【0017】
R
aのアシル基の構造は特に限定されないが、炭素数20以下のアシル基が好ましい。具体例としては、ホルミル基、アセチル等のアルキルカルボニル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、アントリルカルボニル基等のアリールカルボニル基が挙げられる。
【0018】
R
a上の置換基の種類は特に限定されないが、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、シアノ基、ニトロ基、シリル基、またはシロキシ基等が例として挙げられる。
【0019】
一般式(1)中のXは、ハロゲン原子であれば特に限定されない。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0020】
一般式(1)中のmは、0以上4以下の整数である。上記チタン化合物の具体例としては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−2−エチルヘキソキシチタン、ジ−i−プロポキシビス(アセチルアセトナト)チタン、クロロトリ−i−プロポキシチタン、ジクロロジ−i−プロポキシチタン、テトラクロロチタン等が挙げられる。
【0021】
上記チタン化合物として、R
aは炭素数2以上8以下のアルキル基が好ましく、mは4であることが好ましく、さらにR
aは炭素数2以上4以下の直鎖のアルキル基が好ましく、mは4であることがより好ましい。このような好ましいチタン化合物の例としては、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタンが挙げられる。これらのチタン化合物は単独で用いることもできるし、二種類以上を使用することもできる。
【0022】
(2)チタン化合物と水との反応物
本発明において、上記チタン化合物は、水と反応させた後に本発明に供される。本発明におけるチタン化合物と水との反応物とは、上記チタン化合物1モルに対して、好ましくは0.1モル以上2.0モル以下、より好ましくは0.2モル以上1.5モル以下、さらに好ましくは0.5モル以上1.4モル以下の水を反応させたものである。
【0023】
チタン化合物と水を反応させる際には、チタン化合物を溶媒に溶解させた後、水を加えることが好ましい。使用する溶媒は特に限定されないが、ジクロロメタン、クロロホルム、フルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、あるいはエタノール、n−ブタノール等のアルコール系溶媒が好ましい。この中でも特に、ハロゲン系溶媒、あるいは芳香族炭化水素系溶媒が好ましい。さらにこれらは、単独または混合溶媒として使用することができる。また、使用する溶媒は、公知の方法で乾燥させた後、使用することが好ましい。
【0024】
水を添加する際の溶媒の総使用量は特には限定されないが、チタン化合物1mmolに対して0.01〜500mlが好ましく、より好ましくは0.1〜50ml程度である(以下、「〜」は、特に明示しない限り、上限値と下限値を含むことを表す)。
水は溶媒に希釈して添加してもよい。また、水を添加する方法としては、水を霧状に添加する方法、高効率の攪拌器を備えた反応槽を用いる方法などにより、水を直接加えてもよい。水を添加する代わりに、結晶水を含んだ無機塩、吸湿したモレキュラーシーブス、及び未脱水のシリカゲルなどを使用することもできる。結晶水を含んだ無機塩としては、Na
2B
4O
7・10H
2O、Na
2SO
4・10H
2O、Na
3PO
4・12H
2O、MgSO
4・7H
2O、CuSO
4・5H
2O、FeSO
4・7H
2O、AlNa(SO
4)
2・12H
2O、AlK(SO
4)
2・12H
2Oなどの水和物を用いることができるが、これらの例に限られるものではない。これらの中では、特にNa
2B
4O
7・10H
2Oが好ましい。吸湿したモレキュラーシーブスとしては、モレキュラーシーブス3A、4Aなどの市販品を外気にさらしておいたものを使用すればよく、粉末状、ペレット状のいずれも使用できる。結晶水含有無機塩やモレキュラーシーブスを使用した場合、配位子と反応させる前にろ別等によりこれらを容易に取り除くことができる。
【0025】
上記チタン化合物と水を反応させるときの温度は溶媒が凍結しない温度が好ましく、通常、室温程度、例えば15〜30℃で実施することができる。用いる溶媒の沸点に応じて加熱して反応を行ってもよい。
上記チタン化合物と水を反応させる工程においては、乾燥した不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等が挙げられる。
【0026】
以上のような方法で得られたチタン化合物と水との反応物は、そのまま精製せずに、溶液として本発明のチタン含有触媒の原料として用いることができる。
【0027】
また、以上のような方法で得られたチタン化合物と水との反応物は、公知の方法で精製した後、本発明のチタン含有触媒の原料として用いることができる。例えば、上記チタン化合物においてm=4のとき、上記のような方法で得られたチタン化合物と水との反応物は公知の方法で精製することにより、下記一般式(7)で表されるチタンオキソアルコキシド化合物として単離することもできる。
【0029】
一般式(7)において、R
aは、上記一般式(1)と同様である。すなわち、R
aは、上記一般式(1)と同様のアルキル基、アリール基またはアシル基であり、これらは置換基を有していてもよい。xは2以上の整数、yは1以上の整数であり、一般的にy/xは0.1<y/x≦1.5の範囲が好ましい。アルコキシドの種類と、加水分解に用いる水の添加量によって、上記一般式(7)のうちのxとyの取り得る値が変わることが知られている(参考文献:D. C. Bradley et al, Alkoxo and Aryloxo Derivatives of Metals, Academic Press, San Diego, 2001.)。また、溶液中では混合物であっても、安定に単離できる場合があることも報告されている(参考文献:例えば、J. Am. Chem. Soc.,113巻, 8190頁(1991))。
このようにして得られたチタンオキソアルコキシド化合物は、混合物、もしくは単一の組成物として、本発明のチタン含有触媒の原料として用いることができる。
また、このようなチタンオキソアルコキシドの一例として、市販品として入手できる、以下の一般式(11)で表される、チタンアルコキシドオリゴマーもしくはチタンアルコキシドポリマーと呼ばれるチタン化合物を挙げることができる。
【0030】
【化12】
一般式(11)中のR
aは一般式(1)中のR
aと同様の定義であり、nは2以上の整数である。
【0031】
(3)光学活性イミン化合物
本発明に係る光学活性イミン化合物は、下記一般式(2)で表される。
【0033】
一般式(2)中、R
1は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアリール基であり、これらは置換基を有していてもよい。好ましくは、R
1は、アルキル基、またはアリール基であり、これらは置換基を有していてもよい。R
2は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアリール基であり、これらは置換基を有していてもよい。好ましくは、R
2は水素原子である。
【0034】
R
1及びR
2のアルキル基の構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは1〜20、より好ましくは1〜8であり、直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよい。このような直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられる。このような分岐状のアルキル基としては、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。このような環状のアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
【0035】
R
1及びR
2のアルケニル基の構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは2〜20、より好ましくは2〜8であり、直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよい。具体例としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基等が挙げられる。
【0036】
R
1及びR
2のアルキニル基の構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは2〜20、より好ましくは2〜8であり、直鎖状、又は分岐状のいずれでもよい。具体例としては、エチニル基、プロパルギル等が挙げられる。
【0037】
R
1及びR
2のアリール基の構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは6〜22、より好ましくは6〜10である。具体例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0038】
R
1及びR
2上の置換基の種類は特に限定されないが、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、シアノ基、ニトロ基、シリル基、またはシロキシ基等が例として挙げられる。
【0039】
R
3、R
4、R
5、及びR
6が、独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、シリル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、またはアリールアミノ基であり、これらは置換基を有していてもよく、それぞれが相互に連結して環を形成してもよい。
【0040】
本発明において、上記のチタン化合物と水との反応物と、光学活性イミン化合物を、後述する反応手順に従って混合させることにより得られるチタン含有化合物が、不斉反応、特に、後述のα、β−不飽和化合物の不斉シアノ化反応に対して有効な触媒となるためには、次の手法が好ましい。すなわち、第1に、R
3、R
4、R
5、及びR
6の少なくとも一箇所への上記の基(以下、活性化基と称することもある)の導入が好ましい。また、第2に、R
3は、立体障害が少なくなるように、嵩高くない基を有していることが好ましい。第1及び/又は第2の手法により、本発明の光学活性を向上させることが可能となる。
【0041】
ここで、本発明に係る光学活性イミン化合物における活性化基に関する推測を説明する。本発明において、活性化基として有効な置換基は、好ましくは芳香環に対して電子供与性を示す置換基であり、より好ましくは、芳香環に対してt−ブチル基より強い電子供与性を示す置換基(以下、電子供与性基と称する)である。このような電子供与性基を芳香環上に導入することにより、芳香環の電子密度が変化する。芳香環上の電子密度の変化は、それに結合する酸素原子、さらにはその酸素原子が配位するチタン原子の電子状態に影響を与え、触媒の活性、選択性を向上させているものと推測される。
【0042】
上記一般式(2)において、電子供与性基としては、例えば、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、またはアリールアミノ基(これらは置換基を有してもよく、隣接した基どうしが相互に連結して環を形成していてもよく、環は置換基を有していてもよい。)等が挙げられる。
【0043】
R
3、R
4、R
5、及びR
6のうち少なくとも一つは、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、またはアリールアミノ基であることが好ましく、これらは置換基を有していてもよく、隣接した基どうしが相互に連結して環を形成していてもよく、環は置換基を有していてもよい。より好ましくは、R
3、R
4、R
5、及びR
6のうち少なくとも一つは、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シロキシ基、またはアルキルアミノ基であり、これらは置換基を有していてもよく、それぞれが相互に連結して環を形成してもよい。さらに好ましくは、R
3、R
4、R
5、及びR
6のうちR
4及び/又はR
6のみが、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、またはアリールアミノ基であり、これらは置換基を有していてもよく、それぞれが相互に連結して環を形成してもよい。特に好ましくは、少なくともR
4が電子供与性基である。また、R
3は、好ましくは、水素原子、フッ素原子、置換基を有しない2以下の炭素数を有するアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
また、R
4、R
5、及びR
6の少なくとも一つが電子供与性基であり、かつR
3が嵩高くない基であることが好ましい。
【0044】
R
3、R
4、R
5、及びR
6のアルコキシ基の構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは2〜20、より好ましくは2〜8である。具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。
【0045】
R
3、R
4、R
5、及びR
6のアリールオキシ基の構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは6〜22、より好ましくは6〜10である。具体例としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。
【0046】
R
3、R
4、R
5、及びR
6のシロキシ基の構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは1〜20、より好ましくは3〜12である。具体例としては、トリメチルシロキシ基、トリエチルシロキシ基、トリ−i−プロピルシロキシ基、t−ブチルジメチルシロキシ基、t−ブチルジフェニルシロキシ基等が挙げられる。
【0047】
R
3、R
4、R
5、及びR
6のアルキルアミノ基とは、アミノ基上の水素原子のうちの一つもしくは二つがアルキル基に置換された基を指し、その構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは0〜20、より好ましくは2〜8である。具体例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジ−i−プロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−i−ブチルアミノ基、ジ−s−ブチルアミノ基、ジ−t−ブチルアミノ基等が挙げられる。
【0048】
R
3、R
4、R
5、及びR
6のアリールアミノ基とは、アミノ基上の水素原子のうちの一つもしくは二つがアリール基に置換された基を指し、その構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは0〜22、より好ましくは6〜12である。具体例としては、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基等が挙げられる。
【0049】
また、活性化基としては、ヒドロキシル基、シロキシ基、またはアルキルアミノ基が好ましく、より好ましい具体例としては、ヒドロキシル基、トリ−i−プロピルシロキシ基、t−ブチルジメチルシロキシ基、t−ブチルジフェニルシロキシ基、ジエチルアミノ基等が挙げられる。
【0050】
R
3、R
4、R
5、及びR
6のうち少なくとも一つが活性化基であれば、それ以外のR
3、R
4、R
5、及びR
6の構造は特に限定されないが、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基等がその例として挙げられる。これらは置換基を有していてもよく、隣接した基どうしが相互に連結して環を形成していてもよく、環は置換基を有していてもよい。R
3、R
4、R
5、及びR
6のハロゲン原子は特に限定されないが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。R
3、R
4、R
5、及びR
6のアルキル基の構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは1〜20、より好ましくは1〜8であり、直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよい。このような直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられる。このような分岐状のアルキル基としては、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。このような環状のアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。R
3、R
4、R
5、及びR
6のアルケニル基の構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは2〜20、より好ましくは2〜8であり、直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよい。具体例としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基等が挙げられる。R
3、R
4、R
5、及びR
6のアルキニル基の構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは2〜20、より好ましくは2〜8であり、直鎖状、又は分岐状のいずれでもよい。具体例としては、エチニル基、プロパルギル基等が挙げられる。R
3、R
4、R
5、及びR
6のアリール基の構造は特に限定されないが、その炭素数は好ましくは6〜22、より好ましくは6〜10である。具体例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0051】
R
3、R
4、R
5、及びR
6における活性化基以外の基の置換基の種類は特に限定されないが、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、シアノ基、ニトロ基、シリル基、またはシロキシ基等が例として挙げられる。
ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
芳香族複素環基としては、炭素数3〜20の芳香族複素環基が好ましく、具体的には、イミダゾリル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基等が挙げられる。
非芳香族複素環基としては、炭素数4〜20の非芳香族複素環基が好ましく、具体的には、ピロリジル基、ピペリジル基、テトラヒドロフリル基等が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、炭素数は好ましくは2〜20、より好ましくは2〜8であり、具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基等が挙げられる。
アリールオキシカルボニル基としては、アリール基上の置換基として、ハロゲン原子、炭素数20以下のアルキル基、炭素数20以下の酸素含有基、炭素数20以下の窒素含有基、炭素数20以下のケイ素含有基等を有していてもよい。
シリル基としては、炭素数20以下のアルキル基もしくはアリール基を有するシリル基が好ましく、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基等が挙げられる。
【0052】
活性化基以外のR
3、R
4、R
5、及びR
6としては、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、より好ましい具体例としては、水素原子、塩素原子、メチル基、エチル基が挙げられる。
【0053】
活性化基の数は、1以上4以下であれば、特に限定されないが、好ましくは1もしくは2である、活性化基の位置は、R
3、R
4、R
5、及びR
6の位置であれば限定されないが、R
4、R
5及びR
6の位置であることが好ましく、R
4及びR
6の位置であることがより好ましい。
【0054】
R
1が結合している*印のついた炭素は、不斉炭素である。不斉触媒の原料となる光学活性配位子の光学純度と、不斉触媒反応の結果得られる光学活性化合物の光学純度との間には密接な関係があり、高い光学純度の光学活性配位子を用いた場合、得られる光学活性化合物の光学純度が向上することが、一般に知られている。従って、本発明においても、光学純度の高い光学活性イミン化合物を用いることが好ましく、例えばその光学純度は、80%ee以上が好ましく、95%ee以上がより好ましく、97%ee以上がさらに好ましい。
【0055】
本発明に係る光学活性イミン化合物として、R体及びS体のいずれも用いることができる。例えば、R体の光学活性イミン化合物を用いた場合、R体もしくはS体のシアノ化合物を優先的に得ることができる。また、立体配置以外は同一構造のS体の光学活性イミン化合物を用いて、同様の条件で反応させた場合、R体の光学活性イミン化合物を用いたときとは逆の立体配置のシアノ化合物を優先的に得ることができる。希望する立体配置のシアノ化合物を得るために、光学活性イミン化合物の立体配置は適宜選択できる。
【0056】
光学活性イミン化合物の具体的な好ましい例を以下に示す。
【0058】
(4)チタン含有触媒
本発明のチタン含有触媒は、α、β−不飽和化合物のシアノ化に用いることができる。また、本発明のチタン含有触媒は、上記のチタン化合物と水との反応物と、上記の光学活性イミン化合物を混合させることにより得られる。このように得られたチタン含有触媒は、後述のα、β−不飽和化合物のシアノ化反応に用いることができ、具体的には、α、β−不飽和化合物C=C結合にCNを付加するシアノ化反応に用いることができる。
具体的な調製方法について、以下に記載する。
【0059】
本発明のチタン含有触媒の調製の際の上記のチタン化合物と水との反応物と、光学活性イミン化合物の比率は、通常、チタン化合物と水との反応物中のチタン1モルに対して、光学活性イミン化合物が、好ましくは0.1〜3.0モル、より好ましくは0.2〜2.0モルである。
【0060】
本発明のチタン含有触媒の調製の際には、溶媒を用いることが好ましい。この工程における溶媒の種類は特に限定されないが、好ましい例としては、上記のチタン化合物と水との反応物の調製時に用いることができる溶媒が挙げられる。さらにこれらは、単独または混合溶媒として使用することができる。この工程における溶媒は、上記のチタン化合物と水との反応物を調製する際に用いた溶媒と同じでもよいし、異なってもよいが、通常は同じ溶媒を用いることが好ましい。チタン化合物と水との反応物が溶液として反応に供される場合は、その溶液をそのままこの工程における溶媒として用いることができるし、さらに溶媒を追加添加してもよい。また、使用する溶媒は、公知の方法で乾燥させた後、使用することが好ましい。
【0061】
溶媒の総使用量は特に限定されないが、通常、チタン原子1mmolに対して、好ましくは1〜5000ml、より好ましくは10〜500ml程度である。このとき、反応温度は特に限定されないが、通常、室温程度、例えば15〜30℃である。反応時間は特に限定されないが、例えば、5分〜1時間程度である。
【0062】
本発明のチタン含有触媒の調製方法としては、上記のチタン化合物と水との反応物に対して、上記の光学活性イミン化合物を添加する。もしくは、上記の光学活性イミン化合物に対して、上記のチタン化合物と水との反応物を添加する。この際、チタン化合物と水との反応物、及び光学活性イミン化合物は、上記の溶媒の溶液として加えてもよいし、単独で添加してもよい。
【0063】
上記のチタン化合物と水との反応物に、上記の光学活性イミン化合物を混合した後、好ましくは公知の方法で攪拌する。また、攪拌しながら、上記のチタン化合物と水との反応物と、上記の光学活性イミン化合物を混合させてもよい。
【0064】
本発明のチタン含有触媒の調製は、乾燥した不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等が挙げられる。
【0065】
好ましい反応手順として、例えば、以下を挙げることができる。1)光学活性イミン化合物を溶媒に溶解させる。その溶液に対して、上記の手順に従い調製された未精製のチタン化合物と水との反応物の溶液を添加し、攪拌する。2)光学活性イミン化合物に対して、上記の手順に従い調製された未精製のチタン化合物と水との反応物の溶液を添加し、攪拌する。3)上記の手順に従い調製された未精製のチタン化合物と水との反応物の溶液に対して、光学活性イミン化合物の溶液を添加し、攪拌する。
以上のように調製されたチタン含有触媒は、通常、特段の精製操作を加えることなく、そのまま後述する本発明の不斉シアノ化反応に使用することができる。
【0066】
(5)α、β−不飽和化合物
本発明において用いられるα、β−不飽和化合物は、以下の一般式(5)で表すことができる。
【0068】
一般式(5)中、Yはニトロ基
、ニトリル基、または
一つの置換基を有するカルボニル基であり、これらは置換基を有していてもよい。このような基がYの位置に導入されることにより、一般式(5)中の二重結合が活性化されることは、既に広く知られている。
【0069】
一般式(5)中、R
b及びR
cの構造は特に限定されないが、例えば、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環基または非芳香族複素環基であり、これらは置換基を有していてもよい。但し、R
bとR
cは同じ基ではない。R
b及びR
c上の置換基の種類は特に限定されないが、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、シアノ基、ニトロ基、シリル基、またはシロキシ基等が例として挙げられる。
【0070】
R
b及びR
cのアルキル基の構造は特に限定されないが、炭素数20以下の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基が好ましい。直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。分岐状のアルキル基としては、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。環状のアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
【0071】
R
b及びR
cのアルケニル基の構造は特に限定されないが、炭素数20以下の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルケニル基が好ましい。具体例としては、ビニル基、アリル基、1−プロペニル基等が挙げられる。
【0072】
R
b及びR
cのアルキニル基の構造は特に限定されないが、炭素数20以下の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキニル基が好ましい。具体例としては、エチニル基、プロパルギル基等が挙げられる。
【0073】
R
b及びR
cのアリール基の構造は特に限定されないが、炭素数22以下のアリール基が好ましい。具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
【0074】
R
b及びR
cの芳香族複素環基の構造は特に限定されないが、炭素数20以下の芳香族複素環基が好ましい。具体例としては、イミダゾリル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基等が挙げられる。
【0075】
R
b及びR
cの非芳香族複素環基の構造は特に限定されないが、炭素数20以下の非芳香族複素環基が好ましい。具体例としては、ピロリジニル基、ピペリジル基、テトラヒドロフリル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
【0076】
一般式(5)中、R
dの構造は特に限定されないが、例えば、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環基または非芳香族複素環基であり、これらは置換基を有していてもよい。
【0077】
R
d上の置換基の種類は特に限定されないが、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、チオール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、シアノ基、ニトロ基、シリル基、またはシロキシ基等が例として挙げられる。
【0078】
また、一般式(5)中の、R
dの構造として、例えばニトロ基
、ニトリル基、または
一つの置換基を有するカルボニル基であり、これらは置換基を有していてもよい。このような基がR
dの位置に導入されることにより、一般式(5)中の二重結合が活性化されることは、既に広く知られている。
【0079】
一般式(5)における、R
b、R
c、R
d及びYの組み合わせは、特に限定されないが、例えば、R
d及びYがニトリル基であるものを挙げることができる。そのようなα、β−不飽和化合物は、以下の一般式(8)で表すことができる。
【0081】
一般式(8)で表されるα、β−不飽和化合物におけるR
b及びR
cの説明は、一般式(5)におけるR
b及びR
cの説明と同様である。R
bとR
cが同じ基でなければ、R
bとR
cの組み合わせには、特に制限はないが、R
bとR
cのいずれかが水素原子であることが好ましい。
【0082】
一般式(8)で表されるα、β−不飽和化合物の好ましい具体的な例を、以下に図示する。
【0084】
また、一般式(5)における、R
b、R
c、R
d及びYの組み合わせの例として、R
d及びYが
一つの置換基を有するカルボニル基であるものを挙げることができる。そのようなα、β−不飽和化合物は、以下の一般式(9)で表すことができる。
【0086】
一般式(9)中、Zは特に限定されないが、例えば
一つの置換基を有するアミド基、含窒素芳香族複素環基、含窒素非芳香族複素環基、
一つの置換基を有するカルボニル基、アルキル基、及びアリール基であり、これらは置換基を有していてもよい。但し、一般式(9)中のZは、それぞれ同一でも異なってもよい。Zとして、好ましくは
一つの置換基を有するアミド基、含窒素芳香族複素環基、及び含窒素非芳香族複素環基であり、さらに好ましくはこれらの基内の窒素原子の一つを介して、一般式(10)のカルボニル炭素に結合していることが好ましい。一般式(9)で表されるα、β−不飽和化合物におけるR
b及びR
cの説明は、一般式(5)におけるR
b及びR
cの説明と同様である。R
bとR
cが同じ基でなければ、R
bとR
cの組み合わせには、特に制限はないが、R
bとR
cのいずれかが水素原子であることが好ましい。
【0087】
一般式(9)で表されるα、β−不飽和化合物の好ましい具体的な例を、以下に図示する。
【0089】
また、一般式(5)における、R
b、R
c、R
d及びYの組み合わせの例として、R
dが水素、及びYが
一つの置換基を有するカルボニル基であるものを挙げることができる。そのようなα、β−不飽和化合物は、以下の一般式(10)で表すことができる。
【0091】
一般式(10)中、Zは特に限定されないが、例えば
一つの置換基を有するアミド基、含窒素芳香族複素環基、含窒素非芳香族複素環基、
一つの置換基を有するカルボニル基、アルキル基、及びアリール基であり、これらは置換基を有してもよい。Zとして、好ましくは
一つの置換基を有するアミド基、含窒素芳香族複素環基、及び含窒素非芳香族複素環基であり、さらに好ましくはこれらの基内の窒素原子の一つを介して、一般式(10)のカルボニル炭素に結合していることが好ましい。一般式(10)で表されるα、β−不飽和化合物におけるR
b及びR
cの説明は、一般式(5)におけるR
b及びR
cの説明と同様であり、独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環基または非芳香族複素環基であり、これらは置換基を有していてもよい。但し、R
bとR
cは同じ基ではない。R
bとR
cが同じ基でなければ、R
bとR
cの組み合わせには、特に制限はないが、R
cが水素原子であることが好ましい。
【0092】
好ましい一般式(10)で表されるα、β−不飽和化合物の具体的な例を、以下に図示する。
【0094】
(6)シアノ化剤
本発明において用いられるシアノ化剤は、通常シアノ化剤として使用されるものであれば、特に限定されない。例えば、トリアルキルシリルシアニド、シアノギ酸エステル、シアン化水素、アルカリ金属シアン化物、およびアルカリ土類金属シアン化物などを挙げることができる。これらの中では、トリアルキルシリルシアニド、シアノギ酸エステル、シアン化水素が好ましく、トリアルキルシリルシアニドが特に好ましい。トリアルキルシリルシアニドとしては、具体的にはトリメチルシリルシアニド、トリ−n−ブチルシリルシアニド等が挙げられる。
【0095】
(7)光学活性シアノ化合物
本発明により得られる光学活性シアノ化合物は、以下の一般式(6)で表すことができる。
【0097】
一般式(6)中、R
b、R
c、R
d及びYは、一般式(5)におけるR
b、R
c、R
d及びYと同じ基を表す。*印の炭素は不斉炭素である。
【0098】
本発明により得られる上記の光学活性シアノ化合物の例を、以下に図示する。
【0100】
本発明により得られる上記の光学活性シアノ化合物は、医薬品、農薬等の合成中間体、機能性材料、またはその他のファインケミカルズ等における合成原料として有用である。
【0101】
(8)不斉シアノ化反応
本発明においては、上記のチタン含有触媒の存在下、上記のα、β−不飽和化合物と、上記のシアノ化剤より、上記光学活性シアノ化合物を製造することができる。すなわち、光学活性シアノ化合物を製造する方法は、上記一般式(1)で表されるチタン化合物と水との反応物と、上記一般式(2)で表される光学活性イミン化合物とを混合させることにより得られるチタン含有触媒の存在下、上記一般式(5)で表されるα、β−不飽和化合物と、シアノ化剤とを反応させることにより、上記α、β−不飽和化合物のC=C結合にCNを付加する工程を有する。この反応を、以下本発明の不斉シアノ化反応と呼ぶ。
【0102】
本発明の不斉シアノ化反応において用いる上記チタン含有触媒の使用量は、α、β−不飽和化合物1モルに対して、チタン原子換算で、好ましくは0.1〜30モル%、より好ましくは1〜10モル%である。
【0103】
本発明の不斉シアノ化反応において用いるシアノ化剤の量は、α、β−不飽和化合物1モルに対して、好ましくは1〜3モルであり、より好ましくは1.05〜2.5モルである。
【0104】
本発明の不斉シアノ化反応の際には、溶媒を用いることが好ましい。この工程における溶媒の種類は特に限定されないが、好ましい例としては、上記のチタン含有触媒の調製時に用いることができる溶媒が挙げられる。さらにこれらは、単独または混合溶媒として使用することができる。この工程における溶媒は、上記のチタン含有触媒を調製する際に用いた溶媒と同じでもよいし、異なってもよいが、通常は同じ溶媒を用いることが好ましい。上記のチタン含有触媒が溶液として反応に供される場合は、その溶液をそのままこの工程における溶媒として用いることができるし、さらに溶媒を追加添加してもよい。また、使用する溶媒は、公知の方法で乾燥させた後、使用することが好ましい。
【0105】
本発明の不斉シアノ化反応の際には、α、β−不飽和化合物、シアノ化剤、及びチタン含有触媒を添加する順番については特に制限されない。また、これらは、反応に用いる量を一度に加えるもよいし、二回以上に分割して加えてもよい。
【0106】
上記のように、チタン含有触媒は、通常、溶液として不斉シアノ化反応に供されるが、α、β−不飽和化合物やシアノ化剤についても、予め溶液としてから、不斉シアノ化反応に用いてもよい。
【0107】
溶媒の総使用量は特に限定されないが、通常、基質のα、β−不飽和化合物1mmolに対して、好ましくは0.1〜50ml、より好ましくは0.2〜25ml程度である。
【0108】
反応温度は特に限定されないが、例えば、−80℃〜溶媒の沸点の範囲であり、好ましくは−20℃〜50℃の範囲である。室温(例えば15℃〜30℃)において、特段温度のコントロールをせずに反応させることもできる。反応時間は特に限定されないが、例えば、1時間〜100時間の範囲であり、4時間〜50時間の範囲がより好ましい。
【0109】
本発明の反応は、無攪拌で、又は攪拌しながら行うことができる。反応を再現性よく、均一に行う観点からは、攪拌しながら行うことが好ましい。反応溶液を攪拌する方法については、特に限定されない公知の方法を用いることができる。
【0110】
本発明により得られた光学活性シアノ化合物は、公知の方法で精製し、単離することもできる。精製方法としては、例えば、再結晶、蒸留、カラムクロマトグラフィー等が挙げられる。
【0111】
本発明により得られた光学活性シアノ化合物は、公知の方法を用いて誘導体化できる。例えば、ニトリル基を公知の方法で加水分解し、カルボキシル基に変換することにより、γ−アミノ酸誘導体に変換することができる。この際、上記の精製を行った後の単離された光学活性シアノ化合物を誘導体化してもよいし、未精製の光学活性シアノ化合物を含む混合物に該操作を加えて、誘導体化することもできる。
【0112】
本発明の反応後、上記のチタン含有触媒もしくは上記の光学活性イミン化合物を、公知の方法で分離し、再利用することができる。分離方法としては、再結晶、カラムクロマトグラフィー等が挙げられる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 下記一般式(1)で表されるチタン化合物と水との反応物と、下記一般式(2)で表される光学活性イミン化合物とを混合させることにより得られるチタン含有触媒の存在下、下記一般式(5)で表されるα、β−不飽和化合物と、シアノ化剤とを反応させることにより、前記α、β−不飽和化合物のC=C結合にCNを付加する工程を含む、光学活性シアノ化合物を製造する方法。
(式中、Raは、アルキル基、アリール基、またはアシル基であり、これらは置換基を有していてもよい。Xは、ハロゲン原子である。mは0以上4以下の整数である。)
(式中、R1は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアリール基であり、これらは置換基を有していてもよい。R2は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアリール基であり、これらは置換基を有していてもよい。R3、R4、R5、及びR6が、独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、シリル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、またはアリールアミノ基であり、これらは置換基を有していてもよく、それぞれが相互に連結して環を形成してもよい。R1が結合している*印のついた炭素は、不斉炭素である。)
(式中、Yは、ニトロ基、イミノメチレン基、ニトリル基、またはカルボニル基であり、これらは置換基を有していてもよい。Rb及びRcは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環基、または非芳香族複素環基であり、これらは置換基を有していてもよい。但し、RbとRcとは同じ基ではない。Rdは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基、ニトロ基、イミノメチレン基、ニトリル基、またはカルボニル基であり、これらは置換基を有していてもよい。)
2. 1.に記載の光学活性シアノ化合物を製造する方法において、
前記一般式(2)中のR3、R4、R5、及びR6のうち少なくとも一つが、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、またはアリールアミノ基であり、これらは置換基を有していてもよく、それぞれが相互に連結して環を形成してもよい、光学活性シアノ化合物を製造する方法。
3. 1.または2.に記載の光学活性シアノ化合物を製造する方法において、
前記一般式(2)中のR3、R4、R5、及びR6のうちR4又はR6のみが、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、またはアリールアミノ基であり、これらは置換基を有していてもよく、それぞれが相互に連結して環を形成してもよい、光学活性シアノ化合物を製造する方法。
4. 1.から3.のいずれか1項に記載の光学活性シアノ化合物を製造する方法において、
前記一般式(2)中のR3が、水素原子である、光学活性シアノ化合物を製造する方法。
5. 1.から4.のいずれか1項に記載の光学活性シアノ化合物を製造する方法において、
前記α、β−不飽和化合物が下記一般式(10)で表される、光学活性シアノ化合物を製造する方法。
(一般式(10)中、Zは、アミド基、含窒素芳香族複素環基、含窒素非芳香族複素環基、カルボニル基、アルキル基、及びアリール基であり、これらは置換基を有していてもよい。Rb及びRcは、独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環基または非芳香族複素環基であり、これらは置換基を有していてもよい。但し、RbとRcは同じ基ではない。)
6. 1.から5.のいずれか1項に記載の光学活性シアノ化合物を製造する方法において、
前記チタン化合物が、下記一般式(3)で表される、光学活性シアノ化合物を製造する方法。
(式中、Raは、炭素数2以上8以下のアルキル基である。)
7. 1.から6.のいずれか1項に記載の光学活性シアノ化合物を製造する方法において、
前記一般式(2)中のR2が、水素原子である、光学活性シアノ化合物を製造する方法。
8. 下記一般式(1)で表されるチタン化合物と水との反応物と、下記一般式(2)で表される光学活性イミン化合物と、を混合させることにより得られるチタン含有触媒。
(式中、Raは、アルキル基、アリール基、またはアシル基であり、これらは置換基を有していてもよい。Xは、ハロゲン原子である。mは0以上4以下の整数である。)
(式中、R1は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアリール基であり、これらは置換基を有していてもよい。R2は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはアリール基であり、これらは置換基を有していてもよい。R3、R4、R5、及びR6のうち少なくとも一つが、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、またはアリールアミノ基であり、これらは置換基を有していてもよく、それぞれが相互に連結して環を形成してもよい。R1が結合している*印のついた炭素は、不斉炭素である。)
9. 8.に記載のチタン含有触媒において、
前記一般式(2)中のR3、R4、R5、及びR6のうちR4又はR6のみが、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シロキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、またはアリールアミノ基であり、これらは置換基を有していてもよく、それぞれが相互に連結して環を形成してもよい、チタン含有触媒。
10. 8.または9.に記載のチタン含有触媒において、
前記一般式(2)中のR3が、水素原子である、チタン含有触媒。
11. 8.から10.のいずれか1項に記載のチタン含有触媒において、
下記一般式(5)で表されるα、β−不飽和化合物のC=C結合にCNを付加するシアノ化に用いる、チタン含有触媒。
(式中、Yは、ニトロ基、イミノメチレン基、ニトリル基、またはカルボニル基であり、これらは置換基を有してもよい。Rb及びRcは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環基、または非芳香族複素環基であり、これらは置換基を有してもよい。但し、RbとRcとは同じ基ではない。Rdは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環基、非芳香族複素環基、ニトロ基、イミノメチレン基、ニトリル基、またはカルボニル基であり、これらは置換基を有してもよい。)
12. 11.に記載のチタン含有触媒において、
前記α、β−不飽和化合物が下記一般式(10)で表される、チタン含有触媒。
(一般式(10)中、Zは、アミド基、含窒素芳香族複素環基、含窒素非芳香族複素環基、カルボニル基、アルキル基、及びアリール基であり、これらは置換基を有していてもよい。Rb及びRcは、独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、芳香族複素環基または非芳香族複素環基であり、これらは置換基を有していてもよい。但し、RbとRcは同じ基ではない。)
【0113】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0114】
本発明に係る光学活性シアノ化合物の同定は、重クロロホルム溶媒中の
1H NMRスペクトル(ブルカー(Bruker社)製Bruker400を使用)を既報値と比較することにより行った。不斉シアノ化反応の収率、不斉収率は、高速液体クロマトグラフィー(ウォーターズ(Waters社)製モデル2695)を用いて測定した。このとき、光学活性カラムとしてはCHIRALPAK IC(ダイセル化学工業社製)を使用した。光学活性光学活性シアノ化合物の絶対立体配置は、旋光度を既報値と比較して決定した。
【0115】
実施例中では、溶媒は市販の無水溶媒を用いた。ジクロロメタン(以下、「無水ジクロロメタン」という)、エタノール〈以下、「無水エタノール」という〉は、関東化学社(KANTO CHEMICAL CO., INC,)製を用いた。テトラ−n−ブトキシチタン、サリシルアルデヒド、2,3−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,4,6−トリヒドロキシベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド、4−(ジエチルアミノ)−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、クロロt−ブチルジメチルシラン、イミダゾール、(R)−フェニルグリシノール、(S)−バリノール、(S)−i−ロイシノール、(S)−t−ロイシノール、クロロアセチルクロライド、ベンズアミド、亜リン酸トリエチル以上の化合物はシグマアルドリッチ社(Sigma−Aldrich Pte Ltd.)製の試薬を精製せずに用いた。その他の化合物については、市販の試薬を精製せずにそのまま用いた。α、β−不飽和イミド化合物については、既報の方法で合成した。反応はすべて窒素雰囲気下で行なった。反応に使用した器具は、十分に乾燥したものを用いた。
【0116】
[製造例1]
500mLの分液ロートに、ジクロロメタン200mLと蒸留水を100mL加え、振とうした。二層分離するまで静置した後、下層(ジクロロメタン層)を分取した。50mLの無水ジクロロメタンを加え含水ジクロロメタンを得た(水含有量987ppm)。10mLのメスフラスコにテトラ−n−ブトキシチタン170mg (0.50mmol)を秤量した。少量の脱水ジクロロメタンを加えてテトラ−n−ブトキシチタンを溶解させた後、水0.5mmol相当(テトラ−n−ブトキシチタンに対して、1.0当量)の含水ジクロロメタンを加え、続いて脱水ジクロロメタンでメスアップした。蓋付容器に溶液を移し、室温で1日間攪拌して、均一で無色透明のテトラ−n−ブトキシチタンと水との反応物の溶液を得た。
【0117】
[製造例2]
添加する含水ジクロロメタンの量を、水0.375mmol相当(テトラ−n−ブトキシチタンに対して、0.75当量)とした以外は、製造例1と同様の操作を行い、均一で無色透明のテトラ−n−ブトキシチタンと水との反応物の溶液を得た。
【0118】
[製造例3]
添加する含水ジクロロメタンの量を、水0.625mmol相当(テトラ−n−ブトキシチタンに対して、1.25当量)とした以外は、製造例1と同様の操作を行い、均一で無色透明のテトラ−n−ブトキシチタンと水との反応物の溶液を得た。
【0119】
[製造例4]
【0120】
【化24】
【0121】
100mLの丸底フラスコに、クロロアセチルクロライド8.0g(70.8mmol)とベンズアミド7.8g(70.0mmol)を加え、攪拌しながら110℃で攪拌した。約30分攪拌した後、反応混合物を室温に冷まし、オレンジ色の固体を得た。この固体にジエチルエーテルを加え、固体を粉末に砕き、濾過してN−(クロロアセチル)ベンズアミドを得た。こうして得られた、未精製のN−(クロロアセチル)ベンズアミドの固体を、100mLの丸底フラスコに移し、亜リン酸トリエチル20mLを加えマグネテックスターラーを用いて80℃で24時間攪拌した。反応混合物を室温に戻した後、ヘキサンを加え、激しく1時間攪拌した後未反応の亜リン酸トリエチルを含む上澄み液を取り除いた。この操作を、3度繰り返し固体の9.7g(収率65%)の2−ベンズアミド−2−オキソエチルホスホン酸ジエチルを得た。
【0122】
[製造例5]
【0123】
【化25】
【0124】
10mLのフラスコに、製造例4で得られた2−ベンズアミド−2−オキソエチルホスホン酸ジエチル300mg(1.0mL)に1mLのTHFを加えて溶解させ、1,8−ジアザビシクロ[5.5.0]ウンデカ−7−エン152mg(1.0mmol)を加え水浴に浸した。得られた溶液を攪拌しながら、プロピオンアルデヒド58mg(1.0mmol)をゆっくり加えた。反応溶液を2時間室温で攪拌した後、反応溶液を5mLの酢酸エチルで希釈し、1規定塩酸を1mL加えて攪拌した。その後、酢酸エチルと水によって抽出し、有機層を回収し硫酸ナトリウムによって乾燥させた後、濃縮させた。シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、153mg(収率75%)の(E)−N−ペンタ−2−エンオイルベンズアミド(S−2)を得た。同様の方法で、以下のα、β−不飽和化合物(S−3)〜(S−17)を得た。
【0125】
【化26】
【0126】
[製造例6]
【0127】
【化27】
【0128】
200mLの丸底フラスコにベンズアミド4.2g(35mmol)と150mLのTHFを加え−78℃に冷却させ、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.6mmol/L)22mL(35mmol)を滴下した。この温度で30分攪拌させた後、クロトニルクロリド1.7mL(17.5mmol)を滴下し、攪拌しながら室温に昇温させ20時間攪拌させた。50mLの塩化アンモニウム飽和水溶液を加え、酢酸エチルと水によって抽出した。こうして得られた、酢酸エチル層を硫酸マグネシウムによって乾燥させ、濃縮後得られた固体を、シリカゲルクロマトグラフィーと再結晶化させることによって、2.0gの(収率60%)(E)−ブタン−2−エンオイルベンズアミド(S−1)を得た。
【0129】
[製造例7]
20mLのシュレンクフラスコに2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド1g(7.2mmol)、イミダゾール750mg(11mmol)、ジクロロメタン15mLを量り取り、クロロt−ブチルジメチルシラン1.1g(7.2mmol)を室温で攪拌しながら加えた。室温で60分攪拌した後、析出した固体を濾過によって取り除き、濃縮した後シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、99%の収率で4−(t−ブチルジメチルシリロキシ)−2−ヒドロキシベンズアルデヒドを得た。以下に同様の方法を用いて、製造した化合物の例を示す。
【0130】
【化28】
【0131】
[実施例1]
2,4−ヒドロキシベンズアルデヒド138mgをエタノール1mLに溶解させ、フェニルグリシノール137mg(1.0mmol)を加え、20時間攪拌させた。こうして得られた溶液を、減圧下で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーを用いて精製し240mg(収率93%)のキラルイミンリガンド(L−1)を得た。以下に同様の方法を用いて、製造した化合物(L−2)〜(L−15)の例を示す。
【0132】
【化29】
【0133】
[実施例2]
【0134】
【化30】
【0135】
蓋付き試験管に実施例1で合成した光学活性イミン化合物(L−6)6.2mg(0.02mmol)を入れ、製造例1で調整したテトラ−n−ブトキシチタンと水との反応物の溶液(0.05mmol/L)400μl(0.02mmol)を加えて密閉した後、室温で30分攪拌した。こうして調整された触媒の溶液に、製造例6で合成されたα、β−不飽和化合物(S−1)(0.2mmol)と、トリメチルシリルシアニド40.0mg(0.4mmol)を加えて蓋をし、23℃で20時間攪拌した。反応溶液をシリカゲルカラムで精製し、(R)体が過剰のシアノ化合物を得た。収率は86%で、不斉収率は96%eeであった。
【0136】
[実施例3]
光学活性イミン化合物(以下の表ではLigandと表記)を以下の表にあるものに変更した以外は、実施例2と同様の操作を行い実施した例を以下に示す。
【0137】
【表1】
【0138】
[実施例4]
【0139】
【化31】
【0140】
蓋付き試験管に実施例1で合成した光学活性イミン化合物(L−6)3.1mg(0.01mmol)を入れ、製造例1で調整したテトラ−n−ブトキシチタンと水との反応物の溶液(0.05mmol/L)200μl(0.01mmol)を加え、蓋をし、室温で30分攪拌した。こうして調整された触媒の溶液に、製造例6で合成されたα、β−不飽和化合物(S−1)38mg(0.2mmol)と、トリメチルシリルシアニド40.0mg(0.4mmol)を加えて蓋をし、23℃で20時間攪拌した。反応溶液をシリカゲルカラムで精製し、(R)体が過剰のシアノ化合物を得た。収率は68%で、不斉収率は94%eeであった。
【0141】
[実施例5]
α、β−不飽和化合物(S−2)〜(S−7)を以下の表にあるものに変更した以外は、実施例4と同様の操作を行い実施した例を以下に示す。
【表2】
【0142】
[実施例6]
テトラ−n−ブトキシチタンと水との反応物の溶液を、製造例2で得られたものに変更した以外は、実施例2と同様の操作を行い、(R)体が過剰のシアノ化合物を得た。収率は79%で、不斉収率は93%eeであった。
【0143】
[実施例7]
テトラ−n−ブトキシチタンと水との反応物の溶液を、製造例3で得られたものに変更した以外は、実施例2と同様の操作を行い、(R)体が過剰のシアノ化合物を得た。収率は73%で、不斉収率は90%eeであった。
【0144】
[実施例8]
光学活性イミン化合物の量を0.02mmolとし、製造例1で調整したテトラ−n−ブトキシチタンと水との反応物の溶液の量を0.02mmolとし、α、β−不飽和化合物(S−8)及び(S−9)を以下の表3にあるものに変更した以外は、実施例5と同様とした。
【0145】
【表3】
【0146】
[実施例9]
光学活性イミン化合物として(L−11)を用い、光学活性イミン化合物の量を0.02mmolとし、製造例1で調整したテトラ−n−ブトキシチタンと水との反応物の溶液の量を0.02mmolとし、α、β−不飽和化合物(S−10)〜(S−17)を以下の表4にあるものに変更した以外は、実施例5と同様とした。
【0147】
【表4】
【0148】
なお、当然ながら、上述した実施の形態および複数の変形例は、その内容が相反しない範囲で組み合わせることができる。また、上述した実施の形態および変形例では、各部の構造などを具体的に説明したが、その構造などは本願発明を満足する範囲で各種に変更することができる。
【0149】
この出願は、2010年5月20日に出願された日本出願特願2010−116643号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。