【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のことから、本発明は、遠
心抽出装置内でカプセルに遠心力を加えることによって、飲料を調製するためのカプセルシステムであって、
複数の異なるカプセルからなるセットを備え、セットにおける各カプセルがセットにおける他のカプセルと異なる固有の特性を有する飲料を選択的に注出するためのカプセルであり、セットにおける各カプセルが、側壁および自由縁部を有する本体と、上壁と、抽出可能成分または不溶解性成分と、基準位置で遠
心抽出装置の回転型カプセルホルダに本体を挿入するための挿入直径(D)とを有し、
セットにおける複数の異なるカプセルが、セットにおける本体の可変深さに応じた異なる貯蔵容積の本体を有するが、セットのすべてのカプセルが同じ挿入直径を有する、カプセルシステムに関する。
【0008】
「挿入直径」という用語は、カプセル本体の外面上で測定される基準直径をさす。
【0009】
カプセルをこのように構成することで、多種多様な飲料、例えば、リステロット、エスプレッソおよびルンゴコーヒー(またはより多量のコーヒー)をさらに都合よく注出することができる。特に、カプセルの幾何学的な構成により、抽出装置に特殊な適応を施す必要もなく、同じ抽出装置で異なる容積のカプセルを収容することができる。
【0010】
ある形態において、セットにおける複数の異なるカプセルは、セットにおいて実質的に同じ角度または同じ段付き状の形状を有する少なくとも1つの本体上側部分を有する。「角度」という用語は、カプセルの回転中心軸線に対して、カプセルの軸方向(または本体上側部分の非直線プロファイルの場合、軸方向の曲率線)の部分の角度を意味する。
【0011】
本体上側部分は、例えば、切頭状(truncated)または円筒状部分でありうる。
【0012】
ある形態において、本体の下側部分は可変長であるのに対して、上側部分は、セットのすべてのカプセルで一定長でありうる。下側部分は、凸状、平坦または凹状でありうる。
【0013】
慣例により、「上側部分」という用語は、本体の自由縁部に近い本体の部分を意味し、「下側部分」という用語は、カプセルの本体の底部に向かう本体の部分を意味する。
【0014】
別の形態において、セットにおける複数の異なるカプセルの本体は、その表面全体で凸状であり、セットにおいて可変の深さを有する。この形態において、本体の上側部分および下側部分は、別個の部分ではなく、単一の凸状部分に融合される。
【0015】
好ましくは、不溶解性または抽出可能な成分の量は、セットにおいて増大する本体の貯蔵容積(すなわち深さ)に応じて増大する。その結果、セットにおける各カプセルは、異なる量および異なる特性の飲料を注出しうる。「特性」という用語は、飲料をさす場合、風味、濃度、泡またはクレマ、色合いなどを区別する飲料の任意の特質を意味する。このような特質は、任意の適当な分析手段によって測定可能であり、または任意の官能検査および/または目視検査によって示されうる。
【0016】
特に、複数の異なるカプセルは、セットにおいて焙煎および/または挽き具合の特性が異なる焙煎され挽かれたコーヒーを含む。カプセルは、リステロット、エスプレッソ、ルンゴなどの異なるコーヒーまたは同じタイプではあるが、異なる特性、例えば、異なる風味やクレマを有するコーヒーを注出するように適応されうる。
【0017】
カプセルシステムは、各カプセルを識別し、識別の結果に応じて抽出パラメータを調節するための、セットにおける複数の異なるカプセルに関連付けられた識別手段をさらに備える。調節可能なパラメータは、以下のパラメータ、すなわち、回転速度、流量、カプセルの出口での背圧および/またはカプセルに供給される液体の容量の1つ以上から選択されうる。識別手段は、さまざまな特性(量、風味、濃度、クレマ、色合いなど)を有する多種多様な飲料の注出に関与する。識別手段は、カプセルホルダを駆動する回転モータおよび/またはカプセルに液体を供給するポンプを制御することによって、遠
心抽出装置に配置されてパラメータの調節を制御する制御手段に関連付けられる。
【0018】
本発明の別の特徴において、抽出装置は、セットにおけるカプセルの本体の部分を支持するように配設された支持面を有する回転型カプセルホルダを備え、側壁の部分は、カプセルの挿入直径と整合する基準直径を有する。このようにして、カプセルホルダの支持面は、同じ基準位置でセットにおける任意のカプセルを保持するために、セットにおけるカプセルの挿入直径に対応する基準直径を含む。この同じ位置は、例えば、抽出ユニットを閉じる前、基準面(P)に沿ったカプセル本体の自由縁部の基準位置によって決定されうる。さらに、カプセルホルダの支持面は、セットにおける複数の異なるカプセルの本体の上側部分を保持する一方で、カプセルの本体の下側部分を支持しない。
【0019】
その結果、セットにおけるすべてのカプセルが、各カプセルと、回転中の装置、すなわちカプセルホルダとの間の相対運動の可能性を制限しながら装置にぴったりと適合されるため、遠心
処理中に振動を発生させるリスクが軽減される。
【0020】
本発明はまた、遠
心抽出装置の回転カプセルホルダにおいて遠心
力をかけることによって飲料を調製するためのカプセルであって、側壁および自由縁部を有する本体と、上壁と、抽出可能成分または不溶解性成分と、カプセルの本体の挿入直径(D)とを有し、この挿入直径(D)が、回転カプセルホルダの支持面の基準直径と整合するとともに、カプセルホルダに挿入されたときにカプセルを自己閉塞(self-blocking)するように、本体の自由縁部からある距離だけ下方に配置される、カプセルに関する。
【0021】
好ましくは、カプセルは、カプセルホルダの支持面の角度(β)よりわずかに小さい角度(α)で直径(D)の部分から延伸する上側部分を備える。
【0022】
上側部分の角度(α)は、カプセルホルダの支持部分の角度(β)よりも、好ましくは1〜8度、最も好ましくは1〜5度だけ小さい。
【0023】
このような構成により、カプセルの縁部に閉鎖力がかかると、カプセルホルダ内でのカプセルの自己閉塞機能が働き、遠
心プロセス中の振動の危険性が結果的に軽減される。
【0024】
慣例により、「角度」とは、本明細書において、カプセルの軸方向の表面が、回転軸線に対応するカプセル本体の中心軸線に対してなす角度をさす。測定された表面は真っ直ぐな直線ではなく、本発明の範囲から逸脱することなく、わずかな曲率線を有しうることに留意されたい。
【0025】
さらに、振動を回避するためにすべてのカプセルをしっかりと支持する他にも、セットのすべてのカプセルを収容できるように、カプセルホルダの中心は中空でありうる。別の形態において、カプセルホルダは、セットの中に長め(すなわち、深め)のカプセルを受けることができる底壁を有しうる。この利点は、本質的に、固有のカプセルホルダで、セットにおけるすべてのカプセルを受け入れられることである。
【0026】
本発明は、遠
心抽出装置内で遠心力が加えられるカプセルを使用して飲料を抽出するためのシステムであって、
複数の異なる容積からなるカプセルセットと、
セットにおける複数の異なるカプセルに対応する識別手段と、
流量、回転速度、セットにおける任意のカプセル内の注入液体量、およびそれらの任意の組合せのパラメータのうち少なくとも1つを含む所定の抽出パラメータに従って、カプセルに対して遠心力を加える際に遠
心抽出装置を作動可能な制御手段を有する遠
心抽出装置と、
を備えるシステムにさらに関する。
【0027】
特に、制御手段は、流量およびカプセル内の注入液体量を含む、セットの任意のカプセルに対して装置を作動可能である。
【0028】
言い換えれば、セットにおける各カプセルに対して、基準流量または流量プロファイル(例えば、0.2〜10ml/secの範囲内に含まれる任意の値)および特定の注入液体量(例えば、25、40、120、230または400ml)が対応する。流量または容量の特定の値は、セットにおける複数の異なるカプセルに共通のものであってもよい。
【0029】
特に、流量は、装置および/またはカプセルの流れ制限手段によって
、遠心
力がかけられた液体にかかる回転速度および/または背圧を変更することによって制御される。
【0030】
例えば、コーヒー飲料の場合、流量を0.2ml/sから10ml/sに変更することで、コーヒーの特性が大きく変化しうる。
【0031】
流量は、好ましくは、カプセルの容積に応じて制御される。好ましくは、容積が小さいほど、流量は少ない。
【0032】
制御はまた、流れ制限手段の背圧を変える、カプセルの識別可能な形状または開口特性などの受動手段によって実現されうる。例えば、セットにおける異なる容積のカプセルは、異なる出口断面が与えられることで、遠心
力がかけられた液体にかかる異なる背圧値を加えうる。
【0033】
好ましくは、本発明のシステムは、制御手段による注入液体量および回転速度の調節、ならびに任意的に、選択的流れ制限手段による背圧の調節を意図している。
【0034】
識別手段は、装置を作動するための制御手段によって識別される。
【0035】
識別手段は、パラメータを能動的に制御するための制御手段に接続された検知手段によって検知可能であり、または受動的識別手段、例えば選択的流れ制限手段でありうる。
【0036】
特に、識別手段は、遠
心抽出装置の制御手段に接続される検知手段によって認識されるカプセル認識手段を備え、制御手段は、認識の結果に応じて抽出パラメータを制御する。
【0037】
認識手段は、バーコード、色、標識、ロゴなど視覚コードによって、または無線周波数コード(RFID)、磁気要素、または識別可能な形状によって区別化されうる。
【0038】
本発明は、さらに、遠
心抽出装置内で遠心力が加えられるカプセルを使用して飲料を抽出する方法であって、
複数の異なる容積のカプセルからなるセットを準備するステップと、
カプセルのセットからカプセルを選択し、飲料を抽出するための遠
心抽出装置内でカプセルに遠心力を加えるステップとを含み、
流量、回転速度および注入液体量のうち少なくとも1つのパラメータが、選択されたカプセルの容積に応じて調節される方法に関する。
【0039】
好ましくは、流量および注入液体量は、カプセルの選択された容積に応じて調節される。
【0040】
別の形態において、回転速度およびカプセル内の注入液体量は、選択されたカプセルの容積に応じて調節される。
【0041】
この方法は、回転速度および/または遠心
力がかけられた液体にかかる背圧を調節することによって流量を調節することを意図している。言い換えれば、流量は、飲料の調製中、回転速度および/または遠心
力がかけられた液体にかかる背圧を調節することによって、設定値に可能な限り近い値に維持されるか、または所定のプロファイルに応じて変更される。
【0042】
他の形態において、識別手段は、ユーザインタフェースの選択手段として形成されうる。