(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5722903
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】無線マルチネットワークテレメトリーのシステム、方法及び集積回路チップ
(51)【国際特許分類】
H04W 48/16 20090101AFI20150507BHJP
H04W 4/04 20090101ALI20150507BHJP
【FI】
H04W48/16 136
H04W4/04 190
【請求項の数】13
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-532433(P2012-532433)
(86)(22)【出願日】2010年10月8日
(65)【公表番号】特表2013-507798(P2013-507798A)
(43)【公表日】2013年3月4日
(86)【国際出願番号】CA2010001626
(87)【国際公開番号】WO2011041913
(87)【国際公開日】20110414
【審査請求日】2013年10月8日
(31)【優先権主張番号】61/249,786
(32)【優先日】2009年10月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507282934
【氏名又は名称】コネクティフ ソリューションズ インク.
【氏名又は名称原語表記】CONNECTIF SOLUTIONS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】シェヴレット,ガイ
(72)【発明者】
【氏名】ディスロチャーズ,ジャン−セドリック
(72)【発明者】
【氏名】デュシェーヌ,ヤニック
【審査官】
望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2008/098149(WO,A2)
【文献】
特開2006−211280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔資産と、遠隔資産からの又は遠隔資産に関するデータを収集するために遠隔資産に接続された無線データ転送装置とを含む無線データ収集システムであって、
該無線データ転送装置が、
データを無線で伝送する無線周波数トランシーバと、
異なる無線ネットワークに対応する複数の加入者識別子を記憶すると共に、プロセッサによって選択された加入者識別子に対応する無線ネットワークの中から、使用するデータを転送するように1の加入者識別子を選択し、および無線周波数トランシーバを適用するためのプロセッサにより適用されたネットワーク選択規則を記憶するメモリを含む集積回路チップとを有し、無線データ転送装置が新しい無線ネットワークについての新しい加入者識別子を無線で受け取るように設定される、無線データ収集システム。
【請求項2】
チップが、加入者識別モジュール(SIM)を含み、各加入者識別子が、IMSIである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
ネットワーク選択規則が、伝送するデータを提供した遠隔資産の識別に基づいて、使用する無線ネットワークを選択する、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
ネットワーク選択規則が、データ伝送費用に基づいて、使用する無線ネットワークを選択する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
ネットワーク選択規則が、伝送するデータを提供した遠隔資産の識別とデータ伝送費用の両方に基づいて、使用する無線ネットワークを選択する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
さらに、無線データ転送装置に新しい無線ネットワークについての新しい加入者識別子を割り当て、この新しい加入者識別子を無線データ転送装置に無線で伝達するように設定された加入者管理プラットフォームを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
無線データ転送装置を使用してデータを遠隔資産から受信者に伝送する方法であって、
異なる無線ネットワークのために、1以上の加入者識別子を無線データ転送装置で受け取る段階と、
遠隔資産に接続された無線データ転送装置のインタフェースを介してデータを収集する段階と、
複数の無線ネットワークの中からデータを受信者に伝送するために利用する無線ネットワークを決定する段階と、
ネットワーク選択規則を適用することによって、無線データ転送装置のメモリに記憶された加入者識別子を選択することによって、無線ネットワークの内の一つの無線ネットワークにより無線通信を確立する段階とを含む方法。
【請求項8】
前記加入者識別子が、IMSIである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
1以上の加入者識別子を受け取る段階が、加入者管理プラットフォームとの無線通信によって無線で達成される、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
複数の無線ネットワークの中から使用する1の無線ネットワークを決定する段階が、伝送するデータを提供する遠隔資産の識別に基づいて無線ネットワークを選択する段階を含む、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
複数の無線ネットワークの中から使用する1の無線ネットワークを決定する段階が、データ伝送費用も考慮して無線ネットワークを選択する段階を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
無線データ収集システムで使用される集積回路チップであって、
複数の異なる加入者識別子を記憶するメモリと、
チップのメモリに記憶された複数の加入者識別子の内から1の加入者識別子を選択するロジックとを含み、各加入者識別子が、異なる無線ネットワークであってこれを通して遠隔資産からの資産データが受信者に伝達される無線ネットワークに対応し、チップが新しい無線ネットワークについての新しい加入者識別子を無線で受け取るように設定される、チップ。
【請求項13】
加入者識別子が、IMSIである、請求項12に記載のチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にテレメトリーとテレマティックスに関し、詳細には装置データが無線で伝送される無線装置読み取りシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
計量器からの計量データを収集し、遠隔の受信者に無線通信リンクによって伝達するための種々の技術が存在する。幾つかの例は、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、及び特許文献7に開示されている。
【0003】
例えば、GSM(登録商標)ネットワーク等の移動体通信ネットワークを使用して計量データを伝送することが知られているが、この技術には、データ転送装置が1の特定のネットワーク又は電気通信事業者に拘束されるという一つの重要な欠点がある。このネットワークが何らかの理由により機能しない場合、装置はそのデータを伝送することができない。計量装置の使用者が、より良いサービス又は低コストを提供する別の電気通信事業者に切り換えたい場合は、慣例的に、SIMを交換して装置に新しいIMSIを提供しなければならない。公益事業会社が移動体通信を利用した遠隔計量を採用する上で、これが大きな障害となっていることが分かっており、その理由は、そのような公益事業会社は、特定の無線電気通信事業者と長期間契約を締結するのを嫌うからである。そのような欠点に対処し、克服する無線による計量器読み取り技術は、現在まで存在しなかった。
【0004】
遠隔地から無線で有効にされ、監視の必要な多数の他の用途でも類似の技術的問題が発生する。例えば、乗用車、トラック、バス、オートバイ、船舶又は他の車両の遠隔監視においても、車両内のデータ転送装置が1の特定のネットワーク又は電気通信事業者に拘束されるという制限がある。
【0005】
同様に、スマートホームモニタリング及び遠隔医療(tele-health)用途の分野でも、データ転送装置は、1の特定のネットワーク又は電気通信事業者に拘束される。
【0006】
用途が、自動車か、遠隔医療か、ユーティリティー(電気、水道、ガス)計量器の読み取りかに関わらず、同じ問題が存続し、現行のネットワークが機能しない場合、装置は、そのデータを伝送することができない。使用者が、別の電気通信事業者に切り換えたい場合、従来は、SIMを交換して新しいIMSIを装置に提供する必要がある。
【0007】
従って、先行技術の欠点を克服するか、少なくともある程度軽減するシステム及び方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】「アパアレイタス アンド メソッド フォー コレクティング アンド トランスミッティング ユーティリティー メーター データ アンド アザー インフォメーション ビィア ア ワイヤレス ネットワーク」(Apparatus and Method for Collecting and Transmitting Utility Meter Data and Other Information via a Wireless Network)と題する米国特許第6,369,719号(Tracyら)
【特許文献2】「システム アンド メソッド フォー コミュニケーティング アンド コントロール オブ オートメィテッド メーター リーディング」(System and Method for Communicating and Control of Automated Meter Reading)と題する米国特許第6,657,552号(Belskiら)
【特許文献3】「モバイル コミュニケーション−ベースド リモート メーター リーディング システム アンド メソッド」(Mobile Communication-Based Remote Meter Reading System and Method)と題する米国特許第7,202,800号(Choi)
【特許文献4】「デバィス フォー リモートリィー モニタリング ア ユーティリティー メーター」(Device for Remotely Monitoring a Utility Meter)と題する英国特許出願公開第2450880号(Middletonら)
【特許文献5】「メソッド アンド システム フォー コレクティング メーター リーディング イン ワイヤレス トランスミッション フラム アンリステッド カスタマーズ」(Method and System for Collecting Meter Readings in Wireless Transmissions from Unlisted Customers)と題するカナダ特許出願第2,624,033号(Bakkenら)
【特許文献6】「リモート ビークル マウンテッド メタリング アンド モニタリング インストルメント」(Remote Vehicle Mounted Metering and Monitoring Instrument)と題する中国特許出願公開第CN201203460号
【特許文献7】「ア デバィス ウィズ ア ジーエスエム チップ フォー メジャリング アンド レコーディング アンド トランスフェアリング ザ エレクトリカル パラメーターズ アンド バーニング アワーズ オブ シーエフエル ランプ」(A Device with a GSM Chip for Measuring and Recording and Transferring the Electrical Parameters and Burning Hours of CFL Lamp)と題するPCT特許出願国際公開WO2009/084016号(Hariら)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
広義には、本発明は、無線によるマルチネットワークデータ収集、装置制御、テレメトリー及びテレマティックスの革新的システム、方法及び集積回路チップを提供する。これは、無線データ転送装置に、異なる無線ネットワークにアクセスするための複数の加入者識別子(例えば、複数のIMSI)を提供することによって達成される。作動中に、無線データ転送装置は、有線又は無線インタフェースを介して、ユーティリティー計量器、車両、機器又は遠隔医療モニタ等(これらは用途の例示に過ぎない)の1以上の遠隔資産に接続又は結合される。資産データ(又は、計量器データ)は、1以上の資産又は計量器から収集されており、装置が、利用可能な複数の異なる無線ネットワークの内の1の無線ネットワークを使用してデータ受信者に伝送される。無線データ転送装置は、複数の加入者識別子(例えば、IMSI)を記憶するメモリを有するチップを含む。各IMSIにより、異なる無線ネットワークへのアクセスが可能となる。複数の加入者識別子(例えば、複数のIMSI)がチップに提供されている。そして、無線データ転送装置により、複数の無線ネットワークの内のいずれか1の無線ネットワークを使用して資産データを伝送することが可能となる。チップが、複数の加入者識別子(例えば、複数のIMSI)を収容しているので、無線データ転送装置により、複数の無線ネットワークの内から1の特定ネットワークを選択することが可能となる。ネットワーク選択規則がチップにロジックとして提供されていてもよく、これによりチップはデータ伝送に使用するネットワークを選択できるようになる。複数のIMSI(又は、他の加入者識別子)は、無線ネットワークごとにチップに事前に読み込まれていてもよく、或いは無線で提供されてもよい。
【0010】
従って、本発明の主態様は、資産データを収集するための遠隔資産と、資産に接続された無線データ転送装置とを含む無線データ収集システムである。無線データ転送装置は、資産データを無線で伝送する無線周波数トランシーバと、集積回路チップを含む。当該集積回路チップは、異なる無線ネットワークに対応する複数の加入者識別子を記憶し、更に無線ネットワークの中から資産データの伝送に使用する1の無線ネットワークを選択するネットワーク選択規則を適用するロジックを記憶するメモリを有する。
【0011】
無線データ転送装置内のチップは、各加入者識別子がIMSI(又は、等価物)である場合に加入者識別モジュール(SIM)又は等価物であるか、或いはその加入者識別モジュール(SIM)又は等価物を含んでいてもよい。
【0012】
システムは、装置管理プラットフォームを含んでいてもよい。当該装置管理プラットフォームは、遠隔資産に接続された無線データ転送装置から資産データを受け取り、無線データ転送装置を介して遠隔資産に制御コマンドを伝達する。
【0013】
システムは、また、加入者事前設定のための加入者管理プラットフォームを含んでいてもよく、加入者管理プラットフォームは、加入者アカウントの作成、有効化(activation)、無効化(deactivation)及び削除を可能にする。
【0014】
本発明の別の主態様は、無線データ転送装置を使用して遠隔資産からデータ受信者に遠隔資産データを伝送する方法である。この方法は、遠隔資産に接続された無線データ転送装置のインタフェースを介して遠隔資産データを収集する段階と、資産データを受信者に伝送するために利用する複数の無線ネットワークの内の1を決定する段階と、無線データ転送装置のメモリに記憶された加入者識別子を選択することによって無線ネットワークの内の1の無線ネットワークにより無線通信を確立する段階とを含む。
【0015】
この方法の主な実施態様では、加入者識別子は、SIMチップ、SIMカード等に記憶されたIMSIである。
【0016】
方法は、新しい無線ネットワーク又は従来利用できなかった無線ネットワークの加入者識別子を無線で受け取る段階を含んでいてもよい。
【0017】
更に、本発明の更に他の主態様は、無線データ収集又は資産監視システムで使用される集積回路チップである。チップは、複数の異なる加入者識別子を記憶するメモリと、チップのメモリに記憶された複数の加入者識別子の中から1の加入者識別子を選択するロジックとを有し、各加入者識別子は、異なる無線ネットワークであって、それを介して遠隔資産からの遠隔資産データがデータ受信者に伝達される無線ネットワークに対応している。主な実施態様は、前述のように、加入者識別子はIMSI又は等価物であり、チップは加入者識別モジュール(SIM)又は等価物であってもよく、或いはその加入者識別モジュール(SIM)又は等価物を含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の更に他の特徴及び利点は、添付図面との組み合わせで行われる以下の詳細な説明から明らかになる。
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態による遠隔資産におけるデータ転送装置のマルチネットワーク無線読み取りシステムの概略図である。
【
図2】
図1に示されるシステムに使用されるような無線データ転送装置の特定の主構成要素の概略図である。
【
図3】無線データ転送装置を使用して遠隔資産からデータ受信者にデータを伝送する方法の主要な段階を示すフローチャートである。
【
図4】ネットワーク選択規則に基づいて選択された無線ネットワークを介してデータを伝送する更に他の段階を示すフローチャートである。
【
図5】データ転送装置を遠隔制御する方法の段階を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態によるマルチネットワーク無線メーター読み取りシステムの概略図である。
【
図7】
図6に示されるシステムで使用されるような無線データ転送装置の特定の主構成要素の概略図である。
【
図8】本発明の一実施形態による車両に取り付けられたデータ転送装置のマルチネットワーク無線読み取りシステムの概略図である。
【
図9】
図8に示されるシステムに使用されるような無線データ転送装置の特定の主構成要素の概略図である。
【
図10】本発明の一実施形態による遠隔医療及びスマートホームアプリケーションに使用されるデータ転送装置のマルチネットワーク無線読み取りシステムの概略図である。
【
図11】
図10に示されるシステムで使用されるような無線データ転送装置の特定の主構成要素の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
添付図面全体に亘って、同じ特徴部分は同じ参照数字によって示されることに注意されたい。更に、図面が必ずしも一律の縮尺でないことに注意されたい。
【0021】
一般的に、また前置きとして、本発明によれば、無線によるマルチネットワークデータ収集、資産監視、テレメトリー及びテレマティックスが可能になる。無線データ転送装置は、複数の加入者識別子(例えば、GSM(登録商標)、UMTS又はLTEの実施態様では複数のIMSI)を記憶するメモリを有する集積回路チップを含む。これらの複数の加入者識別子(例えば、複数のIMSI)により、複数の異なる無線ネットワークへのアクセスが可能となる。無線データ転送装置によって(ネットワーク選択規則に基づいて)、又は前記装置を制御する任意の外部エージェントによって、複数の異なる無線ネットワークの内の1が、随時選択され得る。そして、有効なIMSI(又は、他の加入者識別子)が提供された任意の所望のネットワークを介して資産データが伝送される。これは、無線データ転送装置が、電気通信事業者を即座且つ理性的に切り替えることを可能とし、それにより、通信冗長性が提供され、またデータ伝送料金を最適化することができ、又は異なるタイプの資産及び/又は受信者に対して異なるネットワークを使用することが可能となる。この抜本的な新しい手法は、従来、一電気通信事業者に束縛されていた先行技術の無線計量技術を上回る著しい改良を提供する。遠隔資産は、ユーティリティー計量器、車両(自動車、トラック、バス、オートバイ、ATV、スノーモービル、船舶、航空機等)、機械装置、設備、又は器具(例えば、HVACユニット、販売時点情報管理(POS)装置、スマート機器等)、又は任意のタイプの監視装置(警報システム、遠隔医療モニタ等)でよい。換言すると、この技術を、世界的に又は少なくとも広範囲領域に配備された実質的に任意の遠隔資産に適用することが可能となる。
【0022】
システムの概要
図1は、本発明の一実施形態による無線データ収集、監視、テレメトリー又はテレマティックスの新しいシステムを概略的に示す。このシステムは、全体が参照数字100で示されており、例えばGSM(登録商標)/UMTSネットワーク110等の無線環境又は移動体通信環境で動作する。複数の異なるネットワークオペレータ112(即ち、無線通信事業者又は移動体ネットワークオペレータ)は、無線接続及び通信を提供するために無線環境又は移動体通信環境で稼働する。
図1に示される具体例では、3のネットワークオペレータ/電気通信事業者(ネットワークオペレータ1、ネットワークオペレータ2及びネットワークオペレータ3)が示されているが、理論上は、任意数の移動体ネットワークオペレータとすることができる。
【0023】
図1に示されるように、システム100は、資産データを収集する遠隔資産120(例えば、ユーティリティー計量器、自動車、スマート機器、遠隔医療モニタ等)を含む。
図1に例として示されるように、他の遠隔資産125があってもよい。この技術は、一般的に、
図1と
図2に示される汎用遠隔資産を参照して説明される。しかしながら、この技術は、例えば
図6と
図7に示されるようなユーティリティー計量器に適用されてもよいことを理解されたい。この場合、資産はユーティリティー計量器(例えば、住宅用又は商用電力消費量計量器、ガス消費量計量器、水消費量計量器等)である。計量器は、温水タンク、空調装置、冷蔵庫に設けられた計量器等の器具固有の計量器でもよい。この新技術は、1個の計量器又は複数の異なる計量器からデータを伝送するために使用されてもよい。別の具体例として、この技術は、
図8と
図9に示されるような車両(又は、他の車両テレマティックス)の監視に適用されてもよい。更に他の例として、この技術は、
図10と
図11に示されるような家庭内のスマート機器及び/又は遠隔医療モニタに適用されてもよい。従って、遠隔資産は、移動体資産でもよく、固定資産でもよいことを理解されたい。遠隔資産は、その遠隔資産自体のデータを生成し、且つそのデータをデータ転送装置と共用するために遠隔資産自体のセンサ又は変換器を有してもよい。或いは、データ転送装置は、資産に関するそのデータ転送装置自体のデータを収集するために1個以上のセンサを含んでいてもよい。例えば、資産は、その地理的位置を決定するためにその資産自体の内部GPSチップセットを有していてもよい。そして、このGPSデータは、データ転送装置と共用されてもよい。或いは、データ転送装置が、資産の位置決定のためにGPSチップセットを有していてもよい。資産とデータ転送装置の両方が同じセンサを有する場合、データ転送装置は、そのデータ転送装置自体のセンサの機能を停止状態にし、資産のみからデータを取得してもよく、データ転送装置自体のデータのみを利用するように選択してもよい。
【0024】
次に
図1と
図2を再び参照すると、システム100は、遠隔資産120に接続された無線データ転送装置200(
図1では「遠隔装置」として示されている)を含む。無線データ転送装置は、必要に応じて、他の遠隔資産125に接続されてもよい。理論上、任意数の遠隔資産120、125が、データ転送装置200に接続されるか、或いはデータ転送装置200と通信してもよい。データは、装置200と種々の資産との間の有線又は無線リンクによって収集されてもよい。
【0025】
無線データ転送装置200は、データを無線で伝送する無線周波数トランシーバ(無線広域ネットワークインタフェース)と、集積回路チップ(後でより詳細に説明される)を有する。当該集積回路チップは、メモリを有し、かかるメモリは、異なる無線ネットワークに対応する複数の加入者識別子を記憶すると共に、無線ネットワークの中からデータ伝送に使用する無線ネットワークを選択するネットワーク選択規則を適用するロジックを記憶する。
【0026】
図1に更に示されるように、システム100は、装置管理プラットフォーム130を含んでいてもよい。この装置管理プラットフォーム130は、装置200からデータレポートを受け取り、装置管理コマンドを発する。そのような通信には、SMS、USSD又はGPRS/EDGE/3G技術が使用される。
【0027】
図1に更に示されるように、システム100は、更に、加入者事前設定(subscriber provisioning)のための加入者管理プラットフォーム140を含んでいてもよい。この加入者管理プラットフォーム140は、加入者アカウントの作成、有効化、無効化、及び削除を可能にする。加入者アカウントデータは、中央加入者データベース150に記憶されてもよい。
【0028】
図1に示されるシステムは単なる例示であり、全体の基礎となる発明概念から逸脱することなく多くの変形、修正及び追加を行うことができることが認識されるであろう。
【0029】
無線データ転送装置200は、
図2により詳細に示される。
図2に示される実施形態において、この装置200は、中央処理装置(CPU)202(本明細書ではプロセッサ又はマイクロプロセッサとも称される)と、場合により生データ及び変換データを記憶するメモリ204を含む。CPU202は、図示されるように、データ収集と制御のために入出力モジュール(I/Oポート)206と対話する。CPUは、また、データ収集と制御のためにローカルエリアネットワーク(LAN)インタフェース208と対話する。例として示されるように、LANインタフェースは、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)、WLAN(IEEE 802.11)、USB、Firewire(商標)、電力線通信、イーサネット(登録商標)(IEEE 802.3)、WPAN、又は任意の他の同等又は適切なインタフェースでよい。
【0030】
図2に更に示されるように、無線データ転送装置200は、GSM(登録商標)/UMTSネットワーク110の種々のネットワーク112の基地局タワーと接続する無線広域ネットワーク(WWAN)インタフェース210を含む。WWANインタフェース210は、加入者識別モジュール(SIM/USIM)220と無線インタフェース(air interface)230を含む。この例において、無線インタフェース230は、GSM(登録商標)/UMTS移動体通信用に構成されている。無線インタフェースは、データを無線で送受信するために無線周波数トランシーバを含む。SIM/USIM 220は、加入者識別子222(例えば、複数のIMSI)と、1組のネットワーク選択規則224を定義するロジックを記憶するメモリを含む。ネットワーク選択規則は、データ伝送に利用するネットワーク112を決定するために適用される。ネットワーク選択規則は、装置200において構成可能及び/又は再構成可能でもよく、及び/又は、例えば加入者管理プラットフォーム140等の外部エージェントによって無線で構成可能及び/又は再構成可能でもよい。このシステムの極めて高い融通性は、複数の異なるIMSIをSIM/USIM 222に記憶させるという工夫によって得られ、各IMSIは、装置を、異なる無線ネットワーク112に繋げることを可能とする。従って、装置により、1の電気通信事業者又は移動体ネットワークオペレータ(MNO)によって拘束されない遠隔のデータ受信者にデータレポートを送ることが可能となる。装置により、デフォルトのMNOがサービスを中断した場合に、又は単により安い価格(より低いデータ料金)を利用するために、別のMNOに切り換えることが可能となる。更に、新規又はこれまで利用できなかったMNOにアクセスしたい場合は、新しいIMSIを無線で装置200に送ることが可能となる。
【0031】
この技術は、4G LTEネットワークが最終的に稼動したときには、それと共に使用するために適応されてもよいことを認識されよう。
【0032】
集積回路チップ
以上の説明から、前述の本発明のシステムの中核がチップであることは明らかであるが、このチップはカード方式又は集積回路方式のいずれでもよい。これらは全て、本明細書で使用されている用語「集積回路チップ」に含まれる。この集積回路チップは、複数の加入者識別子を収容する。GSM(登録商標)/UMTS/LTEの場合、チップは、SIM/USIM内に複数のIMSIを記憶する汎用集積回路カード(UICC)でよい。従って、チップは、IMSI又は他の加入者識別子を記憶するメモリと、ネットワーク選択規則を実施するロジックを含む。一実施形態では、チップは、自身のCPU、ROM、RAM、EEPROM及び入出力回路を有するUICCスマートカード(又は、チップ等価物)である。
【0033】
この技術の主な実施形態では、複数のIMSIや他の加入者識別子を記憶するために単一チップ(例えば、単一SIMを備えるUICC)が利用される。しかしながら、同一装置内の複数のSIMカードを使用することよって同じマルチIMSI機能を提供することもでき、その場合、各SIMカードのIMSIが中央制御装置又はマネージャによってアクセス可能である。
【0034】
必要に応じて、チップは、ローカルで又は、例えば装置管理プラットフォームから無線で送られたコマンドによって、IMSIをメモリに追加し、又はメモリから削除することを可能にするロジックを含んでいてもよい。
【0035】
方法
本発明の別の態様は、無線データ転送装置を使用して遠隔資産からのデータを遠隔配置された受信者に伝達する方法である。この方法の第1の態様は、ネットワーク選択である。方法のこの態様は、
図3に示されるフローチャートによって概略的にまとめられている。このフローチャートに示されるように、方法のネットワーク選択態様は、広義には、資産データを受信者に伝送するために複数の無線ネットワークの内のいずれの無線ネットワークを利用するかを決定する第1段階を含む。従って、段階310において、ネットワーク選択規則が、データを伝送する無線ネットワークを選択するために適用される。これは、(資産が提供した)データのタイプ、対象受信者、時刻、データ伝送料金、又は他の要素に基づいて行われる。次に、段階320において、チップ(例えば、SIM)から、選択された無線ネットワークに対応するIMSI(又は、他の加入者識別子)が選択される。段階330において、その選択された無線ネットワークのIMSIを使用して、選択された無線ネットワークにより無線リンクが確立される。
【0036】
図4は、広義には、資産データの伝送を示す。一般的に、これは、資産データを収集する段階400を含む。これは、資産に接続された無線データ転送装置のインタフェースを介して達成される。資産データが受信されると(即ち、収集されると)、段階410での伝送のために、記憶されるか、キャッシュされるか、バッファされる。資産データの伝送は、定期的に(所定の間隔又は外部エージェントによる要求で)行われる。装置は、ネットワーク選択規則を使用することにより事前に選択されたデフォルトネットワークを使用して資産データを伝送するか、或いはネットワークの選択が最新であることを確実にするために伝送前にネットワーク選択規則を再適用することによって資産データを伝送する。
【0037】
図5は、遠隔コマンドと制御機能を示す。これにより、データ転送装置及び/又はその関連資産は、所定のプロトコルを使用してコマンド(信号又はメッセージ)を装置及び/又はその関連資産に対して実行することによって無線で制御される。
図5に示されるように、段階500において、データ転送装置は、コマンドを受け取る。段階510において、データ転送装置は、コマンドに反応又は応答する。このコマンドは、データ転送装置を刺激して、例えば、レポートを直ちに伝送し、自身を再構成し、収集するデータタイプを変更し、定期レポートの頻度又は形式を変更することができる。コマンドは、遠隔資産自体に向けられたものでもよい。例えば、コマンドは、資産を無効にし、非アクティブ化し、又は資産をアクティブ化し、その動作パラメータ等を調整する。
【0038】
GSM(登録商標)又はUMTSの実施態様の場合、加入者識別子は、国際移動体加入者識別番号(IMSI)である。当該技術分野で周知のとおり、IMSIは、通常、15個の数字を有する。最初の3個の数字は、移動体国コード(MCC)を表わす。次の2個又は3個の数字は、移動体ネットワークコード(MNC)を表わす(欧州規格では2個、北米規格では3個)。残りの数字は、ネットワークの顧客ベース内の移動体局識別番号(MSIN)を表す。従って、ネットワーク選択規則は、使用するネットワークをIMSIのMNC部分に基づいて識別する。
【0039】
IMSIが選択された後で、無線データ転送装置200は、GSM(登録商標)/UMTS電話と同様に、IMSIアタッチを実行する。当該技術分野では既によく理解されるように、IMSIアタッチは、チャンネルを要求し、並びに基地局にIMSI又は一時的移動体加入者識別番号(TMSI)のいずれかを送信する装置200を含む。それに対して、基地局は、メッセージの受け取り確認を行い、リクエスト(及びIMSI)を移動体通信交換局/ビジタ位置レジスタ(MSC/VLR)に転送する。MSC/VLRは、検証のためにIMSIをホーム位置レジスタ(HLR)に転送する。HLRは、認証トリプレット(三重認証)(RAND、Kc、SRES)のためにIMSIを認証センター(AuC)に転送する。AuCは、トリプレットを生成し、それをIMSIと共にHLRに返送する。次に、HLRは、IMSIを検証して、そのIMSIを有する装置が実際にネットワーク上で使用資格を与えられていることを確認する。通常のGSM(登録商標)電話と異なり、本発明の新規のマルチIMSI装置200に関しては、選択されたIMSIが、所定のネットワークに対して使用資格を与えられず、検証が失敗した場合に、装置200は、SIMチップに記憶された別のIMSIを自動的に試みてもよい。これは、管理上のトラブル又は加入権喪失によって、最初に選択されたIMSIが拒絶された場合に、別の形式のバックアップ又は冗長性を提供する。或いは、この拒絶は、加入者管理プラットフォームに伝達されて、プラットフォームにすぐに新しいIMSIを無線で提供させてもよい。他方、検証が成功した場合、HLRは、次にIMSIと認証トリプレットをMSC/VLRに転送する。次に、IMSIが1個しかない装置(即ち、通常のGSM(登録商標)電話)の場合と同様に、RANDチャレンジと署名付き応答(SRES)を使用して認証が行われる。SRESが、基地局内のあらかじめ計算されている値と一致した場合は、装置は、基地局がセッションキーKcを受け取ったSIMカード(例えば、A5)内の暗号化アルゴリズムを使用して通信することができる。従って、暗号部分は、通常のGSM(登録商標)/UMTS通信と同じものである。また、A3、A8及びA5暗号アルゴリズムを実現するためのロジックは、任意の他のGSM(登録商標)/UMTS電話の場合と同様に、装置200のSIM/USIMに提供されている。
【0040】
この技術の一実施態様では、加入者管理プラットフォームは、そのプラットフォームでネットワークの検証を行なうことができるという意味で、HLR(ホーム位置レジスタ)の機能を果たすことができる。
【0041】
以上のことから、データ収集、監視、計量、テレメトリー及びテレマティックスは、顧客又は消費者のデータを取得することだけに限定されないことを理解されたい。例えば、ユーティリティー計量器と関連して、計量データの取得は、所定の資源(例えば、電気、ガス、水等)の消費量の測定のみに限定されず、遠隔機器、システム、機械等に関連する任意のパラメータの測定にも広く適用される。
【0042】
一般的に、データ収集、テレメトリー、及び計量は、任意の量、値、又はパラメータの測定、検出、変換を含み、無線装置200がデータを取得する任意の装置、機器(例えば、スマート機器)、設備、機械、システム、発電所、車両等から任意の種類のデータ又はフィードバック信号を取得することを含むことを理解されたい。この技術が、本明細書に示された例を超える多くの活動分野に広く適用可能であることは明らかである。例えば、この技術は、ほんの数例を挙げると、家電製品、ホームセキュリティシステム、HVACシステム、発電機、自動車、航空機、船舶、列車を監視し制御するために使用されてもよい。
【0043】
計量データの伝送に加えて、無線通信リンクは、計量データが取得された装置、車両、器具、機械等を調整するか制御することに関心のあるエンドユーザ、公共公益事業体、管理者、所有者、又は他のエンティティからコマンドを受け取るために使用されてもよい。制御又は監視に加えて、エンドユーザは、データが、いずれのネットワークを介して提供されるかを指定することができる。コマンドを無線送信することにより、直ちに変更がもたらせられる。これにより、これまでの従来技術では不可能であった、全くネットワークに依存しない、若しくはネットワークにとらわれない無線計量ソリューションが可能になる。
【0044】
最後に、この新規なマルチIMSI技術によって、異なるサービスを、異なるネットワークを介して提供することが可能になることに注意されたい。例えば、スマート住宅に設置されたマルチIMSI装置によって、異なるサービスに対して異なるIMSIを使用することが可能となる。例えば1個のIMSIをホームセキュリティシステムに使用することが可能となり、別のIMSIを在宅患者の医療モニタに使用することが可能となり、別のIMSIを家庭のエネルギー消費の管理に使用することが可能となる。
【0045】
本発明を特定の実施形態、実施例、実施態様及び構成の点から述べたが、これらは単に例示に過ぎない。この革新的技術の他の変形、修正、改良及び応用は、この開示を読む利益を有する当業者には容易に明らかになるであろう。そのような変形、修正、改良及び応用は、本発明の範囲に含まれる。従って、本発明に関して出願人が求める独占権の範囲は、添付の特許請求の範囲とその法的均等の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0046】
100 システム
112 ネットワークオペレータ
120 遠隔資産
125 遠隔資産
130 装置管理プラットフォーム
140 加入者管理プラットフォーム
150 中央加入者データベース
200 無線データ転送装置
202 中央処理装置(CPU)
204 メモリ
206 入力/出力モジュール(I/Oポート)
208 ローカルエリアネットワークインタフェース
210 無線広域ネットワークインタフェース
220 加入者識別モジュール
222 加入者識別子
224 ネットワーク選択規則
230 無線インタフェース