【課題を解決するための手段】
【0006】
ここから始まって、従来技術と関連して記載された技術的課題をさらに緩和することは、本発明の目的である。特に、はじめに記載された課題を少なくとも部分的に解決する排ガスクリーニングコンポーネントを製造する特に有利な方法は、提示される。加えて、特に有利な排ガスクリーニングコンポーネントは、提示される。さらに、エンジンの近くに配置される触媒コンバータ装置の高い触媒活性を確実にするために、エンジンと第1の排ガスクリーニングコンポーネントとの間の領域はできるだけ短く、そして、流れ乱流の減少は回避される。特に戻りフロー領域に配置される環状の触媒コンバータの場合、排ガスも、触媒コンバータ装置の端縁部領域を越えてできるだけ一様に流れることは、同様に達成される。
【0007】
これらの目的は、請求項1の特徴による方法および請求項5の特徴を有する排ガスクリーニングコンポーネントによって達成される。本発明のさらに有利な構成は、従属的に述べられる請求項において特定される。請求項において個々に特定される特徴は、任意の技術的に適切な方法において組み合わされることができ、記載から説明的な材料で補充されることができる。ここで、本発明のさらなる実施形態は示される。
【0008】
本発明によれば、流入側、流出側および所定の流れ方向を有するキャリア構造と、流出側と対向して配置される偏向面とを備える排ガスクリーニングコンポーネントを製造する方法が提案される。そしてその方法は、以下のステップを少なくとも含む:
a)キャリア構造を提供するステップ;
b)キャリア構造を所定の流れ方向において流入側から流出側への排ガスの流れにさらすステップ;
c)キャリア構造の流出側上の流速の分布を決定するステップ;および、
d)流速の分布が均質になるように、流出側上の流速の分布に依存して少なくとも1つの背圧エレメントを有する偏向面の形状を構成するステップ。
【0009】
本発明による方法は、排ガスクリーニングコンポーネントを通過する排ガスフローが均質にされることができるというような方法で、排ガスクリーニングコンポーネントを設計することを可能にする。この場合、戻りフロー領域は流入領域の同心的周辺に概して配置されることができる。その結果、従来技術から記載されている戻りフロー領域から流入領域への効率的な熱移動は、起こることができる。
【0010】
本発明による方法のステップは、好適な構成に関して以下に詳細に説明される。
【0011】
ステップa)において、排ガスクリーニングコンポーネントのキャリア構造は、通常、流れ方向(自由なまたは妨げられない流出および流出する排ガスの純粋な偏向)においてキャリア構造の背後に配置される排気システムの構成要素なしで設けられる。ステップa)において、したがって、流れ方向においてキャリア構造の前方(キャリア構造の後方に配置される構成要素ではなく)の仕上げられた排気システムに存在するすべての構成要素を含む不完全な排ガスクリーニングコンポーネントは、設けられることができる。
【0012】
ステップb)において、このようにして設けられたキャリア構造は、排ガスフローにさらされる。排ガスクリーニングコンポーネントを製造する方法の文脈において、排ガスクリーニングコンポーネントの次の作動において最もしばしば遭遇する排ガス流れ状態におよび/または通常の排ガス試験に対応する特定の特性(排ガス流量、温度および有害物質の積み込み(loading))を有する排ガスクリーニングフローをここで提供することは、通常、有利である。このようにして、排ガスクリーニングコンポーネントは、この種の特にしばしば発生する排ガスフローに正確に適合することができて、したがって、特に作動において効率的である。
【0013】
設けられる排ガスフローは、例えば、自動車両の特定の運転条件の下で排ガスフローに対応してよい。この種の特定の運転条件は、例えば、車両速度、駆動エンジンの回転速度および/または駆動エンジンのトルクに関して定められてよい。この種の特定の運転条件は、排ガスの特定の特性(排ガス流量、温度および有害物質の積み込み)を一般にともなう。
【0014】
特定の特性を有する1つの排ガスフローだけでなく、複数の異なる排ガスフローがステップb)において設けられることもまた可能である。例えば、自動車両の燃料消費量および有害な放出を決定するための通常の試験で生じるような排ガスフロー状態は、提供されてよい。例えば、ヨーロッパのNEDC(New European Driving Cycle)またはアメリカのFTP(Federal Test Procedure)は、ここで適用されてよい。NEDC試験にとって、自動車両は、ローラー形の試験スタンド上で、シミュレートされた一部の都市交通およびシミュレートされた一部のクロスカントリー交通から成る標準化されたドライブサイクルを実行する。この目的のために、自動車両の転がり抵抗および空気抵抗は、前もって正確に決定される。FTPは、自動車両をともなう真の旅行をシミュレートする。両試験は、この技術分野の専門家に知られている。
【0015】
ステップa)およびb)は、特に、キャリア構造の流入挙動および/または通過流挙動を決定するのに役立つ。
【0016】
ステップb)は、排ガスフローをモニタするための信号を測定すると同時に必要な排ガスフローを提供するための手段が利用可能である適切な試験構造において実行されてよい。
【0017】
ステップc)において、キャリア構造の流出側の流速の分布は、決定される。流速の分布は、流出側のどの位置でキャリア構造から現れる排ガスフローがどの速度を有するかを示す領域の関数である。流速のこの種の分布は、例えば、領域の異なる位置で排ガスフローのローカルな流速を測定するかまたは算出することによって決定することができる。これは、例えば、正方形のネットワークセルから成るネットワークのノードに配置されてよい個別の測定点で、通常なされる。測定点は、それから測定格子として組み立てられる。高い測定品質を得るために、測定格子がキャリア構造の横断面に関して対称的に指向される場合、それは有利である。流速の分布の測定品質を向上させるために、測定点の数は増加されてよい。加えて、周囲の測定点に関する流速の勾配は、測定点ごとに考慮されてよい。
【0018】
複数の異なる排ガスフローがステップb)ですでに提供されるときに、ステップc)において、複数のガスフロー分布(異なる積み込み状態で発生する)は決定されることもできる。本発明による方法の継続において、流速の個々に決定される分布(それらの発生する頻度および持続期間にしたがって偏る)を含む流速の平均分布は、これらの流速から決定されることもできる。
【0019】
それから、ステップd)において、キャリア構造からの排ガスの流れを偏らせる偏向面の形状は、流速の分布に依存して構成される。流速の分布は、キャリア構造を通る任意の横断面を通じて、またはキャリア構造の流出側を通じて、概してむらがある。特定の領域において、流速は、他の領域に関して著しく上昇する。キャリア構造の流出側の反対側に位置する偏向面を背圧エレメントに対応して構成することによって、流出側上の流速の均質化は、したがってキャリア構造の部分的に範囲内でも、そして偏向後に、達成されることができる。例えば、キャリア構造と同心的に配置されて、さらなるキャリア構造またはハニカムボディを含む戻りフロー領域は、偏向後に設けられてよい。例えば、キャリア構造の流出側の近くに特に局所的に延びる適切に構成された偏向面は、キャリア構造と偏向面との間の排ガスフローのための背圧エレメントまたはカウンタ圧力エレメントを形成してよい。排ガスがキャリア構造を通って流れるので、この背圧エレメントおよび/またはカウンタ圧力エレメントは、一種のカウンタ圧力クッションを生成して、および/または流れ抵抗はこれにより帯状に増加する。
【0020】
驚くべきことに、カウンタ圧力が偏向面の構成によって帯状に増加する場合、排ガスクリーニングコンポーネントの全体の流れ抵抗にとって有利であることが分かった。このようにして、はじめに言及された課題は、特に、低減されてもよい。
【0021】
偏向面と流出側との間の距離が、高い流速の領域において30mm未満までステップd)において減少している場合、本発明による方法は特に有利である。好ましくは、この距離は、20mm未満にさえ減少する。高い流速の領域は、流速のそのままの分布(すなわち、流出側上の流れに影響する偏向面がないとき)を有するステップc)において決定される高い流速の領域であることが、ここで理解される。偏向面と流出側との間の30mm未満の距離は、流れの重要な再分布を生じさせ偏向面と流出側との間のカウンタ圧力クッションを形成するのに役立つことが分かっている。
【0022】
ステップd)において偏向面の形状が、流速の分布の形状に関して実質的に鏡像をなす(mirror−inverted)ように帯状に構成される場合、方法はまた有利である。これは、特に、偏向面が高い流速の領域においてキャリア構造の流出側に特に近くに接近することを意味する。その一方で、比較的低い流速の領域において偏向面の流出側からの距離はより大きい。偏向面に関しては、流れを均質にする機能に加えて、それがまだ排ガスフローを偏向させる機能を一般に有することも、考慮されなければならない。この理由で、流れを均質にするための偏向面の形状の構成が帯状にのみ実施される場合、それは有利である。流れを均質にするための圧力クッションの形成が必要とされない他の領域において、偏向面の形状の構成は、流れを偏向させる機能によって支配される。
【0023】
ステップb)において、流れが所定の流れ方向に対して少なくとも部分的に傾斜した角度でキャリア構造の流入側に影響を与える(突き当たる、impinge)場合、方法はまた有利である。キャリア構造を通る流れ方向に関して異なる角度を有する複数の部分的な流れは、キャリア構造内に流入してもよい。流れの角度は、例えば、少なくとも10°[度]、好ましくは少なくとも20°[度]、特に好ましくは少なくとも30°[度]でよい。特に、続く偏向面によって均質にされる非対称の流入は、これにより達成される。本発明の好適な応用分野は、ここに存在する。
【0024】
本発明による方法によって製造される排ガスクリーニングコンポーネントに関して、それらが内燃機関のエンジン室において特にスペースをとらない方法で配置されることができることは、通常、必要である。したがって、排ガスフローがこの種の排ガスクリーニングコンポーネントに斜めに(すなわち、ある角度で)入力する場合が、しばしばある。流入が正確にある角度で入る場合、流速のむらのある分布は、一般にキャリア構造の流出側に起こる。これは、本発明による方法を用いる排ガスクリーニングコンポーネントの製造によって、特に効率的にかつ効果的に補償されることができる。
【0025】
本発明の文脈において、流入側、流出側および流れ方向を有するキャリア構造と、流出側と対向して配置される偏向面とを備える排ガスクリーニングコンポーネントであって、偏向面が、内部に配置される偏向面を有する排ガスクリーニングコンポーネントを通過する排ガスフローが0.8を上回る均一性指数を有するように構成される、排ガスクリーニングコンポーネントも提案される。排ガスフローが0.9を上回る均一性指数を有することは、特に好ましい。
【0026】
この種の排ガスクリーニングコンポーネントは、例えば、本発明による方法を用いて製造することができる。均一性指数は、流れ分布の均一性を定める。均一性指数は、流出側を越える流速の分布の積分によって実質的に決定される。そしてそれは、平均流速によって標準化される。均一性指数は、以下の式を用いて流速の分布から決定される。
【0027】
均一性指数を決定するために、領域のローカルの流速
は、多数の測定点(数は指数iに対応する)から決定される。測定点は、領域(例えば、排ガスクリーニングコンポーネントの流出側と平行な通過流れが可能な横断面積)を越えて一様に分布されることが好ましい。例えば、測定点は、各々、正方形のネットワークセルを有する想像上のネットワークのノードでもよい。平均流速
は、流れのこの多数のローカルの流速から算出される。測定点ごとに、ローカルの不均一性指数
は、以下の式を用いてローカルの流速
および平均流速
から決定される。
【0028】
【数1】
【0029】
グローバルな不均一性指数
は、今やローカルの不均一性指数
の平均値としてのすべての測定点にとって算出することができる。均一性指数
は、このグローバルな不均一性指数
から以下の式にしたがって算出される。
【0030】
【数2】
【0031】
1.0の均一性指数は、絶対的に均一な流れ分布に対応する。流速の分布を決定するための上記の特定の方法を用いて、この種の均一性指数が存在するかどうかは調査することができる。均一性指数の存在を決定するために、定義済みの特性を有する排ガスフローが、通常、使われる。これらの特性は、例えば、横断面積当たりの排ガス流量、排ガス温度、および有害物質を有する排ガスの積み込みを含む。
【0032】
均一性指数は、異なる排ガスフローのために決定することもできる。例えば、自動車両(NEDC試験またはFTP試験)の典型的な試験サイクルで生じる異なる排ガスフローは、考慮されてよい。均一性指数が、平均としておよび/または作動時間の所与のパーセンテージ(例えば80%)にとって、定義済みの値の範囲の中に決して位置してはならないという必要性は、それから設定されることができる。
【0033】
偏向面が少なくとも1つの中心を外れたおよび/または複数のへこみを有する場合、本発明による排ガスクリーニングコンポーネントは特に有利である。「へこみ(dent)」は、流出側と偏向面との間の距離が減少している領域をここで意味する。へこみは、例えば、流出側に向かう偏向面の膨らみおよび/または隆起のように形成されてよい。「中心を外れた」は、へこみがキャリア構造の対向側に同心的に位置されず、中心の外側に好ましくは配置されることをここで意味する。「複数のへこみ」は、複数の別々のおよび/または相互に連結したへこみがあってもよいことを意味する。流速の不規則な分布は、この種のへこみによって特に効果的に補償されることができる。へこみの正確な構成は、本発明による方法の結果でもよい。キャリア構造の流出側の最も近くに位置するへこみの一部は、尖ってなくて、特に、台地、球体または半径を形成することが好ましい。へこみの領域において、偏向面は、キャリア構造の流出側に沿ってその近くに帯状に位置して、その結果、圧力クッション領域が形成されることが好ましい。
【0034】
上記のへこみの提供が、キャリア構造を出た後の排ガスフローに所望の影響を与える特徴があるので、この特徴は、個々に用いられてもよい(例えば、所望の不均一流れ分布の場合)。この理由で、この(異なる)目的のために特に設計された排ガスクリーニングコンポーネントもまたここで提案される。そして、そのコンポーネントは、流入側、流出側および流れ方向を有するキャリア構造と、流出側と対向して配置される偏向面とを備え、偏向面は、少なくとも1つの中心を外れたおよび/または複数のへこみを有する。この場合、中心を外れたおよび/または複数のへこみは、(任意の)所望の流れプロファイルが前記へこみの存在下で正確に(のみ)決められるというような方法で構成される。随意に、はじめに記載された方法は、異なる目的に適合してもよい。そのため、ステップd)において、実際の「影響する」または「所定の流れ分布で確立する」は「均質化」の代わりを果たす。さらに、本明細書に記載されたすべての手段および措置は、適切に組み合わされてよい。
【0035】
特に、キャリア構造に対する排ガスの流入導管が組み込みエレメントではなくて、そのため特に、流入導管の中へおよび/または流入導管の壁から隔てて突き出る付加的なフローガイド面が内部に設けられないことは、この場合も提供される。この種のフローガイド面は、付加的な取付けスペース(特に複数の流入導管が設けられる場合)を必要とする。および/または、第1のキャリア構造の触媒効果が減少してもよい排ガスの層流を引き起こしてよい。この種の付加的なフローガイド面はまた、触媒コンバータ装置の昇温位相において排ガスから熱を正確に抽出することができて、したがってキャリア本体の着火温度の達成まで時間を延長することができる熱容量を構成する。エンジンの近くに配置されるキャリア本体の高い触媒活性を確実にするために、内燃機関と第1のキャリア本体との間の領域ができるだけ短いこと、および流れの乱流の減少が回避されることは、したがって達成されることができる。
【0036】
加えて、排ガスが排ガスクリーニングコンポーネントの戻りフロー領域(第1のキャリア構造と同心的に配置される)内に流入するにつれて排ガスができるだけ均一に分布されるというような方法で、偏向面は構成されなければならない。それの上流(すなわち、先に流れにさらされる領域)に位置するキャリア構造の流れを均質にする機能に加えて、偏向面はしたがって、流れがその後通過する下流の戻りフロー領域に向けて、および/または環状の(触媒的に活性の)ハニカムボディに向けて、排ガスを一様に偏向させる機能を付加的に有する。この場合、0.8を上回る均一性指数は、戻りフロー領域においても達成されることが特に好ましい。
【0037】
排ガスクリーニングコンポーネントが主方向を有する流入導管を備える場合、そして、主方向とキャリア構造の所定の流れ方向とが互いにある角度に配置される場合、本発明による排ガスクリーニングコンポーネントはまた有利である。この種の流入導管で、流速の不均等な分布は、一般にキャリア構造の流出側に起こる。この理由で、本発明による排ガスクリーニングコンポーネントは、キャリア構造の流れ方向に対してある角度で配置される主方向を有する流入導管の場合に特に有利である。
【0038】
内燃機関および内燃機関の排ガスをクリーニングするための排気システムを有し、排気システムは、本発明による排ガスクリーニングコンポーネントを有するか、または本発明による方法を用いて製造される排ガスクリーニングコンポーネントを有する自動車両もまた本発明にしたがう。
【0039】
本発明による方法に関して記載された効果および特色は、本発明による排ガスクリーニングコンポーネントに対して類似して移転可能である。同じことは本発明による排ガスクリーニングコンポーネントに関して記載された特別な効果および構成にあてはまる。そしてそれは、本発明による方法に対して類似して移転可能である。