【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの目的は、水タンクから重力によって給水を受ける沸騰チャンバを備える飲料調製用家庭電化製品のための湯沸かし器であって、チャンバは底部、垂直隔壁および加熱手段を有しており、垂直隔壁の面積はチャンバの底部の面積よりも広く、加熱手段は、垂直隔壁に付加されたスクリーン印刷による電気抵抗によって形成される湯沸かし器によって達成される。
【0010】
かかる湯沸かし器にあっては、加熱手段と水の間の熱交換面積は広く、高温水を迅速かつ大量に生成することが可能となる。
【0011】
スクリーン印刷による電気抵抗は、熱的慣性の小さい加熱手段を得ることを可能にするものであり、したがって湯沸かし器のきわめて迅速な発熱を得ることができる。さらに、サイクル途中でスクリーン印刷による電気抵抗の電源が切れると、高温水の生成は直ちに停止する。スクリーン印刷による電気抵抗の塗着は、垂直隔壁の表面に抵抗を均一に分布させることができ、それによってホットスポットを防ぐことができる。
【0012】
高温水を複数の小さなショットで生成するのに最適な延伸形の垂直な沸騰チャンバを得る。小さなショットを作り出すことで、少量ずつの高温水を継続的に生成することができ、それによって連続した流れに近い流れを得ることができる。
【0013】
重力によるチャンバへの給水は、ポンプのような高価な構成品の使用を回避するとともに、単純で経済的な設計を可能にする。可動部品を有するポンプや電磁弁のような電気的構成品がないため、きわめて信頼性の高い湯沸かし器を得ることができる。
【0014】
有利には、湯沸かし器は給水側に逆止弁を備え、沸騰チャンバは、下端が沸騰チャンバの底部に近接して配置された加熱水の排出用立上がり管が貫通する天井部を備え、立上がり管は、前記チャンバの天井部付近の沸騰チャンバ内に開口部を有する。
【0015】
この構成により、きわめて経済的な重力給水式の湯沸かし器を得ることができる。
【0016】
さらに、チャンバの垂直隔壁上にスクリーン印刷による電気抵抗を付加した構造により、沸騰開始時に隔壁の内面に蒸気を発生させることができる。発生した蒸気は、高温水をチャンバの中央へと押しやり、それによって立上がり管による高温水の吐出が促進される。
【0017】
有利には、立上がり管はチャンバの中央に配置される。
【0018】
好ましくは、チャンバは少なくとも1つの逆止弁を備える加熱水排出口を有する。
【0019】
チャンバ内の加熱水が立上がり管から吐出されると、チャンバ内に負圧が生じる。チャンバの出口の逆止弁が閉じ、給水側の逆止弁のみを通してきわめて迅速に補給が行われる。これにより、湯沸かし器の補給の際に加熱要素の電源を切ることなく、高温水生成サイクルを次々と繰り出していくことができる。この構成により、絶え間ない給電/切断サイクルに関連する規範的問題を回避することができる。
【0020】
有利には、スクリーン印刷による電気抵抗は、低位の第1のポイントと高位の第2のポイントの間で垂直隔壁上に広がり、チャンバは、低位の第1のポイントを通る第1の水平面と、高位の第2のポイントを通る第2の水平面との間で垂直隔壁内に包含される容積の少なくとも10パーセントの制限手段を有する。
【0021】
この構成は、加熱手段と水の間の熱交換面積を同一に保ちながら、加熱する水の体積を減らすことを可能にする。そうすることで、湯沸かし器によって小さなショットの水が生成され、それぞれのショットがきわめて迅速に繰り出されることで、高温水の流れは連続した流れに近いものとなる。
【0022】
好ましくは、チャンバは下部栓と上部栓を備え、少なくともその一方の栓は、チャンバの内側に向けて延びる突出部を有する。突出部は容積の制限手段を形成する。
【0023】
この構成は、容積の制限手段をきわめて経済的に実現することができる。
【0024】
有利には、下部栓は円錐形の突出部を備える。
【0025】
この構成は、湯沸かし器によって生成される水の温度を高くすることができる。
【0026】
本出願人は、湯沸かし器においては、水の温度がその体積全体で同じ速度で上昇するわけでないことを明らかにした。乱流にほとんど、または全くさらされることがなく、垂直隔壁に接していないゾーンが存在する。円錐形をなすこのゾーンは、立上がり管の足元に存在し、その立上がり管に沿って上方に延びる。下部栓の円錐形の突出部によって、あまり水温の上がらないこのゾーンは存在しなくなる。
【0027】
有利には、スクリーン印刷による電気抵抗は、低位の第1のポイントと高位の第2のポイントの間で垂直隔壁上に広がり、チャンバは、低位の第1のポイントを通る第1の水平面と、高位の第2のポイントを通る第2の水平面との間で垂直隔壁によって画定される容積の少なくとも10パーセントの増大手段を有する。
【0028】
この構成は、スクリーン印刷による電気抵抗および垂直隔壁に使用される材料、たとえば耐食性の金属材料の量を加熱手段との関係で最適化することを可能にする。
【0029】
好ましくは、チャンバは下部栓と上部栓を備え、前記栓の少なくとも一方はチャンバの外側に向けて延びる突出部を有しており、前記突出部は容積の増大手段を形成する。
【0030】
この構成は、チャンバの容積の増大手段をきわめて経済的に実現することができる。
【0031】
有利には、出口は、沸騰前に最初に立上がり管内にあった水とチャンバ内の水との分離手段に接続される。
【0032】
動作時には、立上がり管の中にある水の温度の上がり方は、チャンバの垂直隔壁と立上がり管の外側の間にある水よりも緩慢である。そのため、吐出時には、立上がり管の中にある水は沸騰には至っていない。この構成は、この体積部分の水をチャンバ内の沸騰したその他の体積部分の水から分離することで、沸騰温度に近い高温水の生成を可能にする。
【0033】
好ましくは、分離手段は、チャンバ内の水を排出するために出口に接続されたほぼ垂直な管路と、立上がり管内の水を排出するために出口を水タンクに接続する傾斜した管路とを備える。
【0034】
チャンバの高温水の吐出時には、沸騰初期に発生した圧力によって立上がり管内にある水はゆっくりと押され、次いで傾斜した管路の中を重力によって水タンクの方へ流れる。沸騰に至ると、チャンバ内の圧力は、それによって水が垂直な排出管内を通って高温水出口の方へ向かうのに十分な速度で立上がり管内を押し上げられるまでになる。そのため、この構成は、立上がり管内にある水とチャンバ内にある水との分離手段であって、実施するのにきわめて単純で、きわめて経済的な手段を実現することができる。
【0035】
有利には、出口は、水と蒸気の分離チャンバに接続される。
【0036】
この構成は、噴出を抑えて出口における高温水の穏やかな流れを得ることを可能にするとともに、管路から蒸気が放出されることで、水が確かに沸騰にまで至ったことをユーザーが視覚的に確認することを可能にする。
【0037】
好ましくは、分離チャンバは、蒸気排出管路を形成する区画を画定する内部隔壁および外部隔壁を少なくとも部分的に備える。
【0038】
この構成は、チャンバの隔壁の加熱に蒸気を活用することを可能にするものであり、それによって、湯沸かし器から出る高温水が冷めるのを防ぐことを可能にする。有利には、分離チャンバを形成するものとして選ばれる材料は、熱的慣性が小さいものであり、とりわけ薄手のプラスチックである。
【0039】
有利には、出湯口は高温水の流れの流量が制限されるように寸法が決定され、分離チャンバはバッファタンクの働きもする。
【0040】
この構成は、連続的な流れを得ることを可能にする。
【0041】
本発明はまた、上述したような湯沸かし器を備えた家庭電化製品にも関する。
【0042】
好ましくは、製品は高温水を供給する装置である。
【0043】
この構成は、高温水を迅速かつ大量に生成する給水器型の装置を得ることを可能にする。
【0044】
本発明は、何ら限定的でないものとして取り上げ、添付の図面で説明する実施形態について検討することによって、よりよく理解されよう。