(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
回動自在であって、特定回動位置にてその下方端部を前記上面に設置可能であり、前記掛止体と前記上面との間にスペースを設けることができるスタンドを更に有する、請求項1から請求項4のいずれかに記載のフィルター構造体。
請求項1から5のいずれかに記載のフィルター構造体を複数個準備し、前記傾斜部の各々の傾斜方向を合わせた上で隣接させて連続的に配置することによりなる、長尺のフィルター構造体。
【背景技術】
【0002】
コンクリート製の排水設備に設置され、排水設備の内部に対し、排水を可能とすると共にゴミの侵入を防ぐフィルター構造体として、例えば以下のようなフィルター構造体が存在している。
【0003】
図18はそのようなフィルター構造体の外観形状を示す斜視図である。
【0004】
図を参照して、フィルター構造体70は、鋼に亜鉛溶融メッキが施されたものを平面視矩形の枠形状に形成した掛止体71と、鋼に亜鉛溶融メッキが施されたものより形成された金網を籠形状に形成したものよりなり、掛止体71に接続するフィルター本体72とからなる。
【0005】
図19は、
図18で示したフィルター構造体を排水枡に設置した状態を示した平面図であり、
図20は、
図19で示したXX−XXラインの断面図である。
【0006】
これらの図を参照して、コンクリート製の排水設備の一種であって道路の脇に設置される排水枡80は、平面視矩形の穴形状に形成されて排水が流入する排水部81を中心に有し、平面視矩形の筒状に形成されている。
【0007】
フィルター構造体70は、フィルター本体72を排水部81に落とし込んだ状態で排水部81の上方周縁の上面82に掛止体71を掛止することにより、排水枡80に設置される。尚、上述したようにフィルター本体72が金網よりなるため、フィルター構造体70は排水枡80への設置状態において、排水と共に排水部81に流れ込んできたゴミ1を堰き止めつつ、排水枡80の内部への排水の通過を可能とする。
【0008】
排水部81の上方周縁の上面82の更に上方周縁には段部83が形成され、段部83の上方においては平面視矩形であって格子形状を有するグレーチング85が、その一方端部86の側を軸として回動自在に排水枡80に取り付けられる。尚、グレーチング85は、排水枡80の通常の使用時には排水部81及び設置したフィルター構造体70の上方を覆って段部83に載置されるようにして閉じられる。一方、フィルター構造体70を取り出したり、フィルター本体72に堆積したゴミ1を取り出したりする場合には
図19及び
図20に示したように開かれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような従来のフィルター構造体70では、ゴミ1がフィルター本体72の底面73の上面の全面に広がるように堆積するため、堆積したゴミ1の量が少量であってもフィルター本体72の底面73の全面が目詰まりを起こしてしまう。尚、底面73の全面が目詰まりを起こした状態では
図20の実線の矢印で示したような排水は可能となるが、
図20の破線の矢印で示したような排水はできなくなる。
【0010】
すると、堆積したゴミ1の量は少量であるにも関わらず、排水の通過面積が急に小さくなるため、フィルター構造体70は実質的な使用可能期間が短いものとなっていた。
【0011】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、使用可能期間が長くなるフィルター構造体及び長尺のフィルター構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、コンクリート製の排水設備に設置され、排水設備の内部に対し、排水を可能とすると共にゴミの侵入を防ぐフィルター構造体であって、排水設備の排水部の上方周縁の上面に掛止可能な一対の掛止体と、掛止体に接続し、排水部を覆う形状を有する金網よりなるフィルター本体とを備え、フィルター本体の底面には水平面に対して傾斜する傾斜部が少なくとも一部に形成され、フィルター本体は可撓性及び可塑性を有し、一対の掛止体の間隔よりも長く、且つ、排水部を覆う帯形状に形成されるものである。
【0013】
このように構成すると、排水の通過面積が急に小さくならない。又、このように構成すると、フィルター構造体は、両側面が開放されたものとなる。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、底面には、傾斜部が全面に形成されるものである。
【0015】
このように構成すると、排水の通過面積がより急に小さくならない。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、底面には、水平部と、水平部から上方側に突出する、傾斜部としての隆起部とが形成されるものである。
【0017】
このように構成すると、地面等への載置時に水平部が載置面となる。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、掛止体の対向部分に架け渡すように取り付けられた把手を更に有するものである。
【0019】
このように構成すると、把持に適した部分が生じる。
【0020】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の構成において、回動自在であって、特定回動位置にてその下方端部を上面に設置可能であり、掛止体と上面との間にスペースを設けることができるスタンドを更に有するものである。
【0021】
このように構成すると、排水設備に設置したフィルター構造体の一部を持ち上げて、フィルター構造体を保持することが可能となる。
【0022】
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載のフィルター構造体を複数個準備し、傾斜部の各々の傾斜方向を合わせた上で隣接させて連続的に配置することによりなる、長尺のフィルター構造体である。
【0023】
このように構成すると、複数のフィルター構造体の各々が擬似的に繋がる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、排水の通過面積が急に小さくならないので、使用可能期間が長くなる。又、フィルター構造体は、両側面が開放されたものとなるので、連続して配置することにより長尺のフィルター構造体を構成することが容易となる。
【0025】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、排水の通過面積がより急に小さくならないので、使用可能期間がより長くなる。
【0026】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、地面等への載置時に水平部が載置面となるので、地面等への載置状態が安定すると共にスタッキングに適した形状となる。
【0027】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、把持に適した部分が生じるので、排水設備からの取り出しが容易となる。
【0028】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、排水設備に設置したフィルター構造体の一部を持ち上げて、フィルター構造体を保持することが可能となるので、排水設備への雪等の投入が容易となる。
【0029】
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の発明の効果に加えて、複数のフィルター構造体の各々が擬似的に繋がった効率的な長尺のフィルター構造体となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】この発明の第1の実施の形態によるフィルター構造体の外観形状を示す斜視図である。
【
図2】
図1で示したフィルター構造体を排水枡に設置した状態を示した断面図であって、従来のフィルター構造体の
図20に対応する図である。
【
図3】この発明の第2の実施の形態によるフィルター構造体の外観形状を示す斜視図であって、第1の実施の形態の
図1に対応する図である。
【
図4】この発明の第3の実施の形態によるフィルター構造体の外観形状を示す斜視図であって、第1の実施の形態の
図1に対応する図である。
【
図5】
図4で示したフィルター構造体を排水枡に設置した状態を示した断面図であって、第1の実施の形態の
図2に対応する図である。
【
図6】この発明の第4の実施の形態によるフィルター構造体の外観形状を示す斜視図であって、第1の実施の形態の
図1に対応する図である。
【
図7】
図6で示したフィルター構造体を排水枡に設置した状態を示した断面図であって、第1の実施の形態の
図2に対応する図である。
【
図8】
図6で示したVIII−VIIIラインの端面図において、フィルター構造体を重ねた状態を示した模式図である。
【
図9】この発明の第5の実施の形態によるフィルター構造体の外観形状を示す斜視図であって、第1の実施の形態の
図1に対応する図である。
【
図10】
図9で示したフィルター構造体をグレーチングに取り付ける過程を示した模式図である。
【
図11】
図9で示したフィルター構造体を排水枡に設置した状態を示した平面図である。
【
図12】
図11で示したXII−XIIラインの断面図である。
【
図13】
図11で示したXIII−XIIIラインの断面図である。
【
図14】
図13で示したグレーチングを開けた状態を示す断面図である。
【
図15】この発明の第6の実施の形態によるフィルター構造体の外観形状を示す斜視図であり、第1の実施の形態の
図1に対応する図である。
【
図16】
図15で示したフィルター構造体の設置過程を示す模式図である。
【
図17】
図15に示したフィルター構造体を連続して設置した状態を示した模式図である。
【
図18】従来のフィルター構造体の外観形状を示す斜視図である。
【
図19】
図18で示したフィルター構造体を排水枡に設置した状態を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、この発明の第1の実施の形態によるフィルター構造体の外観形状を示す斜視図である。
【0032】
図を参照して、フィルター構造体10は、鋼に亜鉛溶融メッキが施されたものを平面視矩形の枠形状に形成した掛止体11と、鋼に亜鉛溶融メッキが施された金網を籠形状に形成したものよりなり、掛止体11に接続するフィルター本体12とからなる。尚、掛止体11は、後述する排水枡の排水部の上方周縁の上面に掛止可能なものとなっている。又、フィルター本体12は、後述する排水枡の排水部を覆う形状を有し、その底面13には、水平面に対して傾斜する傾斜部14が全面に形成されている。このように構成したことによる効果は後述する。
【0033】
図2は、
図1で示したフィルター構造体を排水枡に設置した状態を示した断面図であって、従来のフィルター構造体の
図20に対応する図である。
【0034】
図を参照して、コンクリート製の排水設備の一種であって道路の脇に設置される排水枡80に設置されていた従来のフィルター構造体70が、フィルター構造体10に置き換えられている。尚、上述したように、フィルター構造体10の掛止体11は、排水枡80の排水部81の上方周縁の上面82に掛止可能なものとなっており、又、フィルター本体12は、排水部81を覆う形状となっている。そこで、フィルター構造体10は、フィルター本体12を排水部81に落とし込んだ状態で排水部81の上方周縁の上面82に掛止体11を掛止することにより排水枡80に設置される。尚、他の構成要素は従来のフィルター構造体70によるものと同一であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0035】
ここで上述したように、フィルター本体12の底面13には傾斜部14が形成されている。そのため、排水と共に排水部81に流れ込んできたゴミ1はフィルター構造体10により堰き止められ、フィルター本体12の底面13における下方側の部分に集まって積み重なるようにして堆積する。すると、ゴミ1の堆積量が少量の場合においては、図の破線の矢印で示したような、フィルター本体12の一部においての排水はできなくなるが、図の実線の矢印で示したような排水、特にフィルター本体12の底面13の大部分においての排水は可能となる。すなわち、このように構成すると、排水の通過面積が急に小さくならないため、フィルター構造体10の使用可能期間が長くなる。
【0036】
尚、上述したように、傾斜部14はフィルター本体12の底面13の全面に形成されているため、ゴミ1の堆積量が少量の場合、ゴミ1はフィルター本体12のごく一部に集中的に堆積する。このように構成すると、排水の通過面積がより急に小さくならないため、フィルター構造体10の使用可能期間がより長くなる。
【0037】
図3は、この発明の第2の実施の形態によるフィルター構造体の外観形状を示す斜視図であって、第1の実施の形態の
図1に対応する図である。
【0038】
図を参照して、第1の実施の形態によるフィルター構造体10が、掛止体21の対向部分に掛け渡すように取り付けられた把手25を有するフィルター構造体20に置き換えられている。尚、他の構成要素は第1の実施の形態によるフィルター構造体10と同一であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0039】
このように構成すると、把持に適した部分が生じるため、フィルター構造体20の排水設備からの取り出しが容易となる。
【0040】
図4は、この発明の第3の実施の形態によるフィルター構造体の外観形状を示す斜視図であって、第1の実施の形態の
図1に対応する図である。
【0041】
図を参照して、第1の実施の形態によるフィルター構造体10が、回動自在であって、特定回動位置にてその下方端部36が後述する排水枡の上面に設置可能であり、掛止体31と上面との間にスペースを設けることができるスタンド35を有するフィルター構造体30に置き換えられている。尚、他の構成要素は第1の実施の形態によるフィルター構造体10と同一であるため、ここでの説明は繰り返さない。このように構成したことによる効果は後述する。
【0042】
図5は、
図4で示したフィルター構造体を排水枡に設置した状態を示した断面図であって、第1の実施の形態の
図2に対応する図である。
【0043】
図を参照して、排水枡80に設置されていた第1の実施の形態によるフィルター構造体10が、フィルター構造体30に置き換えられている。尚、他の構成要素は第1の実施の形態によるフィルター構造体10によるものと同一であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0044】
ここで上述したように、フィルター構造体30は、回動自在であって、特定回動位置にてその下方端部36が排水枡80の上面81に設置可能なスタンド35を有する。そこで、フィルター構造体30を排水枡80に設置した状態で下方端部36を上面81に設置させると、図に示したように掛止部31の一部が上面に掛止した状態のままフィルター構造体30の一部が持ち上がって上面81と掛止体31との間にスペース37が形成され、そのスペース37を維持した状態でフィルター構造体30が保持される。
【0045】
このように構成すると、排水枡80に設置したフィルター構造体30の一部を持ち上げてフィルター構造体30を保持させることが可能となるため、排水枡80への雪38等の投入が容易となる。
【0046】
図6は、この発明の第4の実施の形態によるフィルター構造体の外観形状を示す斜視図であって、第1の実施の形態の
図1に対応する図であり、
図7は、
図6で示したフィルター構造体を排水枡に設置した状態を示した断面図であって、第1の実施の形態の
図2に対応する図であり、
図8は、
図6で示したVIII−VIIIラインの端面図において、フィルター構造体を重ねた状態を示した模式図である。
【0047】
まず、
図6及び
図7を参照して、第1の実施の形態によるフィルター構造体10が、底面43に水平部44a及び44bと、水平部44a及び44bから上方側に側面視山形に突出する、傾斜部としての隆起部45とが形成されたフィルター構造体40に置き換えられている。尚、他の構成要素は第1の実施の形態によるフィルター構造体10と同一であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0048】
次に、
図7を参照して、排水枡80への設置状態においては、ゴミ1a及び1bが水平部44a及び44bの各々の上面に集まって積み重なるようにして堆積する。すると、ゴミ1a及び1bの堆積量が少量の場合においては、図の破線の矢印で示したような、フィルター本体42の水平部44a及び44b及びその周辺おいての排水はできなくなるが、図の実線の矢印で示したような排水、特に底面43の一部である隆起部45の大部分においての排水は可能となる。すなわち、このように構成すると、排水の通過面積が急に小さくならないため、フィルター構造体40の使用可能期間が長くなる。
【0049】
次に、
図8を参照して、フィルター構造体40を纏めて保管する等、複数のフィルター構造体40を重ねて地面46に載置する場合について、フィルター構造体40においては水平部44a及び44bが最下方に位置するため、地面46への載置時には水平部44a及び44bが地面46と接する。すると、地面46への載置時において、フィルター構造体40は傾かずに載置されるから、フィルター構造体40を複数積み重ねる場合、地面46に対して垂直方向に積み重ねることが可能となる。
【0050】
このように構成すると、地面46等への載置時に水平部44a及び44bが載置面となるから、フィルター構造体40は地面46等への載置状態が安定すると共にスタッキングに適した形状となる。
【0051】
図9は、この発明の第5の実施の形態によるフィルター構造体の外観形状を示す斜視図であって、第1の実施の形態の
図1に対応する図である。
【0052】
図を参照して、第1の実施の形態によるフィルター構造体10が、一対の掛止体51a及び51bと、掛止体51a及び51bの間隔よりも長く、且つ、後述する排水部を覆う帯形状に形成され、可撓性を有するフィルター本体52とからなるフィルター構造体50に置き換えられている。このように構成すると、フィルター構造体50は両側面が開放されたものとなる。又、フィルター本体52が撓むと共に元の形状に復帰可能なものとなる。このように構成したことによる効果は後述する。
【0053】
尚、掛止体51a及び51bの各々には、後述するグレーチングの桁が通過可能な大きさの溝部55a及び55bが形成され、掛止体51a及び51bの各々は、グレーチングの底面側に形成された緩衝機能を有する一対のアンダーバーの上面に掛止可能な形状に形成されている。又、フィルター本体52は可塑性も有し、フィルター本体52の底面53には水平面に対して傾斜する傾斜部54が全面に形成されている。このように構成したことによる効果は後述する。尚、他の構成要素は第1の実施の形態によるフィルター構造体10と同一であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0054】
図10は、
図9で示したフィルター構造体をグレーチングに取り付ける過程を示した模式図である。
【0055】
まず、
図10の(1)を参照して、フィルター構造体50を、平面視矩形であって格子形状を有し、底面側に一対のアンダーバー97a及び97bを有するグレーチング95の底面側に配置する。ここで、掛止体51a及び51bの間隔は、アンダーバー97a及び97bの間隔とほぼ同一に設定されており、A−A断面に示すように、この状態ではアンダーバー97aの下方に掛止体51aが隠れる。尚、アンダーバー97b及び掛止体51bもアンダーバー97a及び掛止体51aと同様の状態となる。
【0056】
次に、
図10の(2)を参照して、上述したように可撓性を有するフィルター本体52を内方側に撓ませて、掛止体51a及び51bの間隔がアンダーバー97a及び97bの間隔よりも短くなるようにフィルター構造体50を変形させる。すると、B−B断面に示すように、アンダーバー97aの内方端部よりも内方側に掛止体51aが位置するようになる。尚、アンダーバー97b及び掛止体51bもアンダーバー97a及び掛止体51aと同様の状態となる。この状態で、溝部55a及び
図9で示した溝部55bの各々が、グレーチング95の桁99の各々に対向し、且つ、掛止部51a及び51bの各々がグレーチング95の内方側に位置するように、フィルター構造体50の位置を調整する。
【0057】
最後に、
図10の(2)及び(3)を参照して、
図10の(2)の状態からフィルター構造体50を上方に移動させてグレーチング95の桁99を溝部55a及び
図9で示した溝部55bに通し、アンダーバー97a及び97bの各々の上面98a及び98bの上方に掛止体51a及び51bが位置するように、フィルター構造体50を配置する。そして、その位置においてフィルター本体52を外方側に撓ませて、フィルター本体52を元の形状に復帰させ、掛止体51a及び51bの各々をアンダーバー97a及び97bの各々の上面98a及び98bに掛止させる。
【0058】
このように構成すると、フィルター本体52が撓むと共に元の形状に復帰可能なものとなるから、グレーチング95の外方からフィルター構造体50をグレーチング95に取り付けることができる。
【0059】
図11は、
図9で示したフィルター構造体を排水枡に設置した状態を示した平面図であり、
図12は、
図11で示したXII−XIIラインの断面図であり、
図13は、
図11で示したXIII−XIIIラインの断面図である。
【0060】
これらの図を参照して、コンクリート製の排水設備の一種であって道路の脇に設置される排水枡90は、平面視矩形の穴形状に形成されて排水が流入する排水部91を中心に有し、平面視矩形の筒状に形成されている。
【0061】
排水枡90には、フィルター構造体50を取り付けたグレーチング95が、その一方端部96の側を軸として回動自在に取り付けられており、排水部91の上方を覆って排水部91の上方周辺の上面92に載置されるようにして閉じられることにより、フィルター構造体50が排水枡90に設置される。この時、
図12に示すように、フィルター本体52と排水部91との間には僅かな隙間56a及び56bが生じるが、この隙間56a及び56bから脱落しうるゴミは微小なものに限られるため実質的には問題とならない。又、
図13に示すように、掛止体51a及び51bは上面92に載置されているアンダーバー97a及び97bの上面98a及び98bに掛止されている、すなわち、排水枡90の上面92の近傍に掛止されている。
【0062】
尚、上述したように、フィルター本体52は可塑性を有し、フィルター本体52の底面53には水平面に対して傾斜する傾斜部54が全面に形成されている。そのため、第1の実施の形態によるフィルター構造体10と同様に、排水と共に排水部91に流れ込んだゴミは、底面53の下方側の部分に集まって積み重なるようにして堆積する。よって、排水の通過面積がより急に小さくならないので、フィルター構造体50の使用可能期間がより長くなる。
【0063】
図14は、
図13で示したグレーチングを開けた状態を示す断面図である。
【0064】
図を参照して、フィルター本体52に堆積したゴミ1を取り出すにあたっては、まず、フィルター構造体50を取り付けたままグレーチング95を開ける。すると、上述したようにフィルター構造体50の両側面は開放されたものとなっているから、その開放された両側面の側からゴミ1を掻き出すようにして取り出す。
【0065】
図15は、この発明の第6の実施の形態によるフィルター構造体の外観形状を示す斜視図であり、第1の実施の形態の
図1に対応する図である。
【0066】
図を参照して、第1の実施の形態によるフィルター構造体10が、一対の掛止体61a及び61bと、掛止体61a及び61bの間隔よりも長く、且つ、後述する排水部を覆う帯形状に形成され、可塑性を有するフィルター本体62とからなるフィルター構造体60に置き換えられている。このように構成すると、フィルター構造体60は両側面が開放されたものとなる。このように構成したことによる効果は後述する。
【0067】
尚、掛止体61a及び61bの各々は、後述する側溝の排水部の上方周縁の上面に配置されたボルトが通過可能な大きさの穴部65a、65b、65c及び65dが形成され、上面に掛止可能な形状に形成されている。又、フィルター本体62の底面63には水平面に対して傾斜する傾斜部64が全面に形成されている。このように構成したことによる効果は後述する。尚、他の構成要素は第1の実施の形態によるフィルター構造体10と同一であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0068】
図16は、
図15で示したフィルター構造体の設置過程を示す模式図である。
【0069】
図を参照して、コンクリート製の排水設備の一種であって道路の脇に設置される側溝100は、溝形状に形成されて排水が流入する排水部101を中心に有し、側面視略U字形状に形成されている。
【0070】
フィルター構造体60の側溝100への設置にあたっては、まず、フィルター本体62を下方側に向け、掛止体61a及び61bの各々に形成された穴部65a、65b、65c及び65dの各々に、排水部101の上方周縁の上面102a及び102bに配置されたボルト103a、103b、103c及び103dの各々を通す。そして、フィルター本体62を排水部101に落とし込んだ状態で上面102a及び102bに掛止体61a及び61bの各々を掛止する。
【0071】
次に、平面視矩形であって格子形状を有するグレーチング105を、ボルト103a、103b、103c及び103dの各々を通しつつ掛止体61a及び61bの各々の上面に載置し、側溝100の上面102a及び102bとグレーチング105とでフィルター構造体60を挟み込む。
【0072】
最後に、グレーチング105の上方からナット104a、104b、104c及び104dの各々を、ボルト103a、103b、103c及び103dの各々に係合させて締め、グレーチング105及びフィルター構造体60を側溝100に固定する。このようにしてフィルター構造体60を側溝100に設置する。
【0073】
尚、上述したように、フィルター本体62は可塑性を有し、フィルター本体62の底面63には水平面に対して傾斜する傾斜部64が全面に形成されている。そのため、第1の実施の形態によるフィルター構造体10と同様に、排水と共に排水部101に流れ込んだゴミは、底面63の下方側の部分に集まって積み重なるようにして堆積する。よって、排水の通過面積がより急に小さくならないので、フィルター構造体60の使用可能期間がより長くなる。フィルター本体62に堆積したゴミは、グレーチング105を取り外して取り出す。
【0074】
図17は、
図15に示したフィルター構造体を連続して設置した状態を示した模式図である。
【0075】
図を参照して、複数のフィルター構造体60a、60b、60c及び60dが連続して配置されている。すると、上述したようにフィルター構造体60a、60b、60c及び60dの各々は両側面が開放されたものとなっているので、複数のフィルター構造体60a、60b、60c及び60dを、傾斜部64a、64b、64c及び64dの各々の傾斜方向を合わせた上で隣接させて連続的に配置することにより、フィルター構造体60a、60b、60c及び60dの各々が擬似的に繋がる。その結果、長尺なフィルター構造体110を容易に構成することができる。逆を言えば、長尺なフィルター構造体110を所望する場合は、フィルター構造体110をフィルター構造体60a、60b、60c及び60dの各々に分割して形成すればよく、長尺のフィルター構造体110の形成が容易となる。
【0076】
尚、このような長尺のフィルター構造体110におけるゴミの取り出しにあたっては、例えばフィルター構造体60aに、流水等を用いて長尺のフィルター構造体110の全体に堆積したゴミを集めると、フィルター構造体60aの上面に載置されたグレーチングを取り外すだけで全てのゴミが取り出せ、清掃の負担が軽減される。
【0077】
尚、上記の各実施の形態では、フィルター構造体は特定の金属により形成されていたが、他の素材により形成されてもよい。
【0078】
又、上記の第1の実施の形態から第4の実施の形態の各々では、フィルター本体は籠形状を有するものであったが、掛止体の間隔よりも長く、且つ、排水部を覆う帯形状に形成されてもよい。
【0079】
更に、上記の第5の実施の形態及び第6の実施の形態では、フィルター本体は可塑性を有するものであったが、有していなくてもよい。
【0080】
更に、上記の第2の実施の形態及び第4の実施の形態から第6の実施の形態の各々では、スタンドを有するものではなかったが、スタンドを有するものであってもよい。
【0081】
更に、上記の第3の実施の形態、第4の実施の形態及び第6の実施の形態の各々では、把手を有するものではなかったが、把手を有するものであってもよい。
【0082】
更に、上記の第2の実施の形態、第3の実施の形態、第5の実施の形態及び第6の実施の形態の各々では、底面の全面に傾斜部が形成されたものであったが、水平部と、水平部から上方に突出する傾斜部としての隆起部とが形成されるものであってもよい。
【0083】
更に、上記の第4の実施の形態では、水平部及び隆起部が特定形状及び特定数形成されていたが、他の形状に形成されてもよく、又、少なくとも1つずつ形成されていればよい。
【0084】
更に、上記の第1の実施の形態から第3の実施の形態、第5の実施の形態及び第6の実施の形態では、傾斜部が底面の全面に形成されていたが、底面の少なくとも一部に傾斜部が形成されていればよい。
【0085】
更に、上記の各実施の形態では、フィルター構造体は特定の排水設備に設置されるものであったが、他のコンクリート製の排水設備に設置されるものであればよい。