(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
下記で、本発明に係る実施形態を図面に基づいてさらに詳細に説明する。なお、本発明の実施例に記載した部位や部分の寸法、材質、形状、その相対位置などは、とくに特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例にすぎない。
【0024】
1. 第1実施形態
(1)押圧検出機能付タッチパネルの全体構造
図1を用いて、本発明の第1実施形態に係る押圧検出機能付タッチパネルを説明する。
図1は押圧検出機能付タッチパネルの断面図である。
【0025】
図1に示すように、タッチパネル1は、上部電極10と、中部電極20と、下部電極30と、上挿入部材40と、下挿入部材50とを備えている。
なお、上記部材は、タッチパネル1の押圧面から、上部電極10、上挿入部材40、中部電極20、下挿入部材50、下部電極30の順番で配置されている。
以下で、押圧検出機能付タッチパネル1の構成を詳細に説明する。
【0026】
(2)電極
タッチパネル1を構成する電極は、上部電極10、中部電極20、下部電極30からなる。上部電極10、中部電極20、下部電極30は、静電容量検出電極、電荷測定用検出電極、基準電位電極のいずれか、またはこれら電極を組合わせた構成からなる。
なお、静電容量検出電極は、押圧手段Mによってタッチパネル1に押圧が加えられたとき、押圧手段Mがタッチパネル1に接触することによって静電容量検出電極間に生じる静電容量の変化から押圧位置を検出する電極である。
電荷測定用電極は、タッチパネル1に押圧がかかったときに発生する電荷を検出する電極である。基準電位電極は、電位が常に一定の電極である。なお、上記において、押圧手段Mとは指やスタイラスペンなど、タッチパネル1に押圧を加えるものを指している。
【0027】
上部電極10、中部電極20、下部電極30は、導電性を有する材料により構成できる。導電性を有する材料としては、インジウム−スズ酸化物(Indium−Tin−Oxide、ITO)、スズ−亜鉛酸化物(Tin−Zinc−Oxide、TZO)などのような透明導電酸化物、ポリエチレンジオキシチオフェン(PolyethylenedioxythioPhene、PEDOT)などの導電性高分子、などを用いることができる。この場合、上記の電極は、蒸着やスクリーン印刷などを用いて形成できる。
【0028】
また、導電性を有する材料として、銅、銀などの導電性の金属を用いてもよい。この場合、上記の電極は、蒸着により形成してもよく、銅ペースト、銀ペーストなどの金属ペーストを用いて形成してもよい。
【0029】
さらに、導電性を有する材料として、バインダー中に、カーボンナノチューブ、金属粒子、 金属ナノファイバーなどの導電材料が分散したものを用いてもよい。
【0030】
(3)挿入部材
タッチパネル1を構成する挿入部材は、上挿入部材40と下挿入部材50からなる。上挿入部材40と、下挿入部材50は、圧電体または絶縁体からなる。具体的には、上挿入部材40が圧電体から構成される場合、下挿入部材50は絶縁体から構成され、上挿入部材が40絶縁体から構成される場合、下挿入部材50は圧電体から構成される。
【0031】
(4)圧電体
圧電体を構成する材料としては、無機圧電材料や有機圧電材料が挙げられる。
【0032】
無機圧電材料としては、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛、ニオブ酸カリウム、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムなどが挙げられる。
【0033】
有機圧電材料としては、フッ化物重合体又はその共重合体、キラリティーを有する高分子材料などが挙げられる。フッ化物重合体又はその共重合体としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体などが挙げられる。キラリティーを有する高分子材料としては、L型ポリ乳酸や、R型ポリ乳酸などが挙げられる。
【0034】
(5)絶縁体
絶縁体を構成する材料としては、有機材料、無機材料、有機−無機ハイブリッド材料が挙げられる。有機材料としては、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、シクロオレフィンポリマなどを挙げることができる。無機材料としては、ガラス板などが挙げられる。有機−無機ハイブリッド材料としては、樹脂の中にガラス繊維を含有させた材料を挙げることができる。
【0035】
(6)効果
本発明の押圧検出機能付タッチパネル1は、静電容量検出電極と、電荷測定用電極と、圧電体を備えている。従って、タッチパネル1に押圧が加えられたとき、押圧位置を静電容量検出電極で検出し、押圧により発生した電荷を電荷測定用電極で検出することにより、タッチパネル1にかかった押圧位置と押圧荷重を検出できるようになっている。
【0036】
2. 第2実施形態
(1)押圧検出機能付タッチパネルの全体構造
図2を用いて、本発明の第2実施形態に係る押圧検出機能付タッチパネル1を説明する。
図2は押圧検出機能付タッチパネルの断面図である。なお、第2実施形態のタッチパネル1の基本的な構成は、第1実施形態と同じであるので、下記では第2実施形態に特徴的な点について説明する。
【0037】
図2に示すように、第2実施形態のタッチパネル1は、中部電極20が電荷測定用電極Sを備える点に特徴を有している。このようにタッチパネル1が構成されると、電荷測定用電極Sは、上部電極10と下部電極30に挟まれる。そのため、電荷測定用電極Sは、上部電極10と下部電極30によって、タッチパネル1の周囲にあるノイズ(電磁波ノイズや静電気、特に入力手段からの電磁波ノイズや静電気)から保護される。
【0038】
その結果、押圧手段Mによって、タッチパネル1に押圧が加えられたとき、押圧の押圧荷重を正確に測定できるものとなっている。以下では、第2実施形態の押圧検出機能付タッチパネルの具体例について説明する。
【0039】
(2)具体例1
図3は、具体例1に係る押圧検出機能付タッチパネル1の斜視分解図である。
図3に示すように、具体例1のタッチパネル1は、上部電極10と、中部電極20と、下部電極30と、上挿入部材40と、下挿入部材50とを備えている。
【0040】
上部電極10は、X軸方向に複数配列される短冊状の静電容量検出電極C
xを備えている。中部電極20は、Y軸方向に複数配列される短冊状の静電容量検出電極C
yを備えている。上記のように、上部電極10が静電容量検出電極C
xを備え、中部電極20が静電容量検出電極C
yを備えることにより、上記タッチパネル1に押圧が加わったとき、静電容量検出電極C
xと静電容量検出電極C
yの各交点における静電容量の変化を測定することで入力位置の検出が可能となっている。
【0041】
また、中部電極20は、静電容量検出電極C
yの間(静電容量検出電極C
yが配置されていない箇所)に配列される短冊状の電荷測定用電極Sを備えている。さらに、下部電極30は、平板状の基準電位電極Gからなり、中部電極20と下部電極30の間に配置される下挿入部材50は圧電体Pからなる。
上記のように、電荷測定用電極Sと基準電位電極Gの間に圧電体Pが配置されることによって、押圧が加わったときに圧電体Pで発生する電荷を電荷測定用電極Sで検出することが可能となる。従って、上記タッチパネル1に押圧が加わったとき、押圧荷重の検出が可能となっている。
【0042】
また、
図3に示すように、電荷測定用電極Sは、静電容量検出電極C
xと基準電位電極Gの間に配置されている。そのため、電荷測定用電極Sは、静電容量検出電極C
xと基準電位電極Gによって、上記タッチパネル1の周囲にあるノイズ(電磁波ノイズや静電気、特に入力手段からの電磁波ノイズや静電気)から保護される。その結果、上記タッチパネル1は、押圧が加えられたとき、押圧の押圧荷重を正確に測定できるものとなっている。
【0043】
なお、電荷測定用電極Sで検出される電荷が小さい場合には、電荷測定用電極Sにアンプを繋ぐとよい。電荷測定用電極Sにアンプを繋ぐと上記電荷が小さい場合でも、アンプで上記電荷の電荷信号を検出することができる。
【0044】
さらに、タッチパネル1は、上部電極10の上にガラスやプラスチックからなる保護部材を備えていてもよい。かかる場合、上部電極10を構成する静電容量検出電極C
xは、保護部材の下面に配置されていてもよい。さらに、タッチパネル1の下部電極30の下には、液晶や有機ELからなる表示部材が配置されていてもよい。
【0045】
なお、上記では、上部電極10にX軸方向に配列される静電容量検出電極C
xが配置され、中部電極20にY軸方向に配列される静電容量検出電極C
yが配置されている場合について説明したが、上部電極10に静電容量検出電極C
yが配置され、中部電極20に静電容量検出電極C
xが配置されていてもよい。かかる場合、電荷測定用電極S は、静電容量検出電極C
xの間(静電容量検出電極C
xが配置されていない箇所)に配置されていればよい。また、基準電位電極Gは、圧電体Pを介して電荷測定用電極Sと重なるように構成されていれば、部分的であってもよいし、パターン化されていてもよい。
【0046】
(3)具体例2
図4は、具体例2に係るタッチパネル1の斜視分解図である。
図4に示すように、具体例2のタッチパネル1は、上部電極10と、中部電極20と、下部電極30と、上挿入部材40と、下挿入部材50を備えている。
【0047】
上部電極10は、X軸方向に複数配列される短冊状の静電容量検出電極C
xからなる。中部電極20は、Y軸方向に間隔を空けて複数配列される短冊状の電荷測定用電極からなる。下部電極30は、Y軸方向に複数配列される短冊状の静電容量検出電極C
yからなる。
【0048】
また、上挿入部材40は絶縁体Iからなり、下挿入部材50は圧電体Pからなる。
【0049】
上記の場合では、静電容量検出電極C
xと静電容量検出電極C
yの間に電荷測定用電極Sが配置されている。しかし、かかる場合でも、電荷測定用電極Sが間隔を空けて配列されることにより、静電容量検出電極C
xと静電容量検出電極C
yとの間で容量結合が可能となる。その結果、静電容量検出電極C
xと静電容量検出電極C
yとの交点において、人とタッチパネルが接触したとき、上記接触によって生じる静電容量の変化を測定することで、押圧が加わったときの押圧位置の検出が可能となっている。
【0050】
また、上記の場合において、静電容量検出電極C
yは基準電位電極Gを兼ねていることが好ましい。静電容量検出電極C
yが基準電位電極Gを兼ねることによって、押圧が加わったときに圧電体Pで発生する電荷を電荷測定用電極Sで検出することが可能となる。従って、押圧が加わったとき、押圧荷重の検出が可能となっている。
【0051】
また、
図4に示すように、電荷測定用電極Sは、静電容量検出電極C
xと静電容量検出電極C
yの間に配置されている。そのため、電荷測定用電極Sが、静電容量検出電極C
xと静電容量検出電極C
yによって、上記タッチパネルの周囲にあるノイズ(電磁波ノイズや静電気、特に入力手段からの電磁波ノイズや静電気)から保護されている。その結果、上記タッチパネル1は、押圧が加えられたとき、押圧の押圧荷重を正確に測定できるものとなっている。
【0052】
なお、電荷測定用電極Sで検出される電荷が小さい場合には、電荷測定用電極にアンプを繋いでもよい。電荷測定用電極Sにアンプを繋ぐと上記電荷が小さい場合でも、アンプで上記電荷の信号を検出することができる。
【0053】
さらに、タッチパネル1は、上部電極10の上にガラスやプラスチックからなる保護部材を備えていてもよい。かかる場合、上部電極10を構成する静電容量検出電極C
xは、保護部材の下面に配置されていてもよい。さらに、タッチパネル1の下部電極30の下には、液晶や有機ELからなる表示部材が配置されていてもよい。
【0054】
なお、上記では、上部電極10にX軸方向に配列される静電容量検出電極C
xが配置され、中部電極20にY軸方向に配列される静電容量検出電極C
yが配置されている場合について説明したが、上部電極10に静電容量検出電極C
yが配置され、中部電極20に静電容量検出電極C
xが配置されていてもよい。
【0055】
(4)具体例3
図5は、具体例3に係る押圧検出機能付タッチパネルの斜視分解図である。
図6は、上部電極の平面図である。
図5に示すように、具体例3の押圧検出機能付タッチパネル1は、上部電極10と、中部電極20と、下部電極30と、上挿入部材40と、下挿入部材50とを備えている。
【0056】
上部電極10は、X軸方向に複数配列される短冊状の静電容量検出電極C
xと、Y軸方向に複数配列される短冊状の静電容量検出電極C
yを備えている。かかる場合、
図6に示すように、静電容量検出電極Cxと、静電容量検出電極C
yは、ほぼ同一平面上に配置されている。しかし、静電容量検出電極C
xと静電容量検出電極C
yの交点部分には、絶縁材料60が挟み込まれ、静電容量検出電極C
xと、静電容量検出電極C
yは、電気的に絶縁された状態になっている。上記のように、静電容量検出電極C
xと静電容量検出電極C
yが配列されることにより、押圧が加わったとき、静電容量検出電極C
xと静電容量検出電極C
yの交点における静電容量の変化を測定することによって、押圧位置の検出を可能としている。
【0057】
また、
図5に示すように、中部電極20は平板状の電荷測定用電極Sからなり、下部電極30は平板状の基準電位電極Gからなる。なお、中部電極20と下部電極30の間に配置される下挿入部材50は圧電体Pからなる。
【0058】
上記のように、圧電体Pが電荷測定用電極Sと基準電位電極Gで挟まれることによって、上記タッチパネル1に押圧が加わったときに圧電体Pで発生する電荷を電荷測定用電極Sで検出することが可能となる。従って、押圧量の検出が可能となっている。
【0059】
また、
図5に示すように、電荷測定用電極Sは、静電容量検出電極C
x、静電容量検出電極C
y、および基準電位電極Gの間に配置されている。そのため、電荷測定用電極Sが、静電容量検出電極C
x、静電容量検出電極C
yおよび基準電位電極Gによって、上記タッチパネル1の周囲にあるノイズ(電磁波ノイズや静電気、特に入力手段からの電磁波ノイズや静電気)から保護されている。その結果、上記タッチパネル1は、押圧が加えられたとき、押圧の押圧荷重を正確に測定できるものとなっている。
【0060】
なお、電荷測定用電極Sで検出される電荷が小さい場合には、電荷測定用電極Sにアンプを繋ぐとよい。電荷測定用電極Sにアンプを繋ぐと上記電荷が小さい場合でも、アンプで上記電荷の信号を検出することができる。
【0061】
さらに、タッチパネル1は、上部電極10の上にガラスやプラスチックからなる保護部材を備えていてもよい。かかる場合、
図7に示すように、上部電極10を構成する静電容量検出電極C
x、静電容量検出電極C
y、および絶縁部材60は、保護部材Bの下面に配置されていてもよい。さらに、タッチパネル1の下部電極30の下には、液晶や有機ELからなる表示部材が配置されていてもよい。
【0062】
なお、上記では、電荷測定用電極Sと基準電位電極Gが平板状の例について説明したが、電荷測定用電極Sと基準電位電極Gは、圧電体Pを介して重なるように配置されていれば、部分的であってもよいし、パターン化されていてもよい。
【0063】
(5)その他の具体例
第2実施形態に係る押圧検出機能付タッチパネル1のその他の具体例について、
図8に示す。
図8に示すように、具体例A1は、上挿入部材40は絶縁体Iを備え、下挿入部材50は圧電体Pを備えている。上部電極10は、X軸方向に配列される静電容量検出電極C
xとY軸方向に配列される静電容量検出電極C
yを備えている。中部電極20は電荷測定用電極Sを備え、下部電極30は基準電位電極Gを備えている。なお、具体例A2〜A11については、
図8に示す通りである。
【0064】
上記具体例A1〜A11については、中部電極20が電荷測定用電極Sを含む点において共通している。このようにタッチパネル1が構成されると、電荷測定用電極Sは、上部電極10と下部電極30に挟まれるため、タッチパネル1に押圧がかかったとき、押圧の押圧荷重を正確に測定できるものとなっている。
【0065】
さらに、上記構成において、上部電極10は、静電容量検出電極C
x、または静電容量検出電極C
yから構成されていることが好ましい。上部電極10が静電容量検出電極C
x、または静電容量検出電極C
yから構成されていると、押圧検出機能付タッチパネルを押圧するとき、押圧手段と静電容量検出電極C
x、C
yとの距離が近くなる。その結果、人とタッチパネルが接触したとき、接触によって生じる静電容量検出電極C
x,、C
y間の静電容量変化が大きくなり、位置検出の精度が向上する。
【0066】
3. 第3実施形態
(1)押圧検出機能付タッチパネルの全体構造
図9を用いて、本発明の第3実施形態に係る押圧検出機能付タッチパネルを説明する。
図9は押圧検出機能付タッチパネルの断面図である。
図10は、第3実施形態の具体例について示した図である。なお、第3実施形態のタッチパネルの基本的な構成は、第1実施形態と同じであるので、下記では第3実施形態に特徴的な点について説明する。
【0067】
図9に示すように、第3実施形態の押圧検出機能付タッチパネル1は、上挿入部材40が圧電体Pである点、下部挿入部材50が絶縁体Iである点、上部電極10と中部電極20のいずれかの電極が電荷測定用電極Sである点に特徴を有している。このようにタッチパネル1が構成されると、タッチパネル1に押圧がかかったとき、圧電体Pは押圧手段Mの近傍に配置される。その結果、圧電体Pは押圧手段Mから押圧の力を受けやすくなるので、タッチパネル1に加えられる押圧の検出感度が向上する。
【0068】
第3実施形態に係る押圧検出機能付タッチパネル1について、静電容量検出電極C
x、静電容量検出電極C
y、電荷測定用電極S、基準電位電極Gの他の配置方法については、
図10のB1からB11に示す通りである。
【0069】
4. 第4実施形態
(1)押圧検出機能付タッチパネルの全体構造
図11を用いて、本発明の第4実施形態に係る押圧検出機能付タッチパネルを説明する。
図11は押圧検出機能付タッチパネルの断面図である。なお、第4実施形態のタッチパネルの基本的な構成は、第1実施形態と同じであるので、下記では第4実施形態に特徴的な点について説明する。
【0070】
図11に示すように、第4実施形態の押圧検出機能付タッチパネル1は、上挿入部材40が絶縁体Iである点、下挿入部材50が圧電体Pである点、下部電極30が電荷測定用電極Sである点に特徴を有している。このように構成されると、タッチパネル1の電荷測定用電極Sは、タッチパネル1の最下面に配置されるのでX軸方向に配列される静電容量検出電極C
xと、Y軸方向に配列される静電容量検出電極C
yの間に配置されない。そのため、押圧手段Mによってタッチパネル1に押圧が加えられたとき、静電容量検出電極C
xと静電容量検出電極C
yによって生成される容量結合は、電荷測定用電極Sから発生するノイズの影響を受けにくくなる。よって、上記タッチパネル1は、押圧がかかったとき、押圧の押圧位置を正確に測定できるものとなっている。以下では、第4実施形態の押圧検出機能付タッチパネルの具体例について説明する。
【0071】
(2)具体例1
図12は、具体例1に係る押圧検出機能付タッチパネルの斜視分解図である。
図12に示すように、具体例1の押圧検出機能付タッチパネル1は、上部電極10と、中部電極20と、下部電極30と、上挿入部材40と、下挿入部材50を備えている。
【0072】
上部電極10は、X軸方向に複数配置される短冊状の静電容量検出電極C
xと、Y軸方向に複数配置される静電容量検出電極C
yを備えている。かかる場合、
図6の場合と同様に、静電容量検出電極C
xと、静電容量検出電極C
yは、ほぼ同一平面上に配置される。しかし、静電容量検出電極C
xと静電容量検出電極C
yの交点部分には、絶縁材料60が挟み込まれ、静電容量検出電極C
xと、静電容量検出電極C
yは、電気的に絶縁された状態になっている。上記のように、静電容量検出電極C
xと静電容量検出電極C
yが配列されることにより、押圧が加わったとき、静電容量検出電極C
xと静電容量検出電極C
yの交点における静電容量の変化を測定することで、正確な押圧の位置検出が可能となっている。
【0073】
また、
図12に示すように、中部電極20は平板状の基準電位電極Gを備え、下部電極30は平板状の電荷測定用電極Sを備え、中部電極20と下部電極30の間に挟まれる下挿入部材50は、圧電体Pを備えている。
【0074】
上記のように、圧電体Pが電荷測定用電極Sと基準電位電極Gで挟まれることによって、タッチパネル1は、押圧が加わったときに圧電体Pで発生する電荷を電荷測定用電極Sで検出することが可能となっている。従って、タッチパネル1は、押圧が加わったとき、その押圧荷重の検出が可能となっている。
【0075】
なお、電荷測定用電極Sで検出される電荷が小さい場合には、電荷測定用電極Sにアンプを繋ぐとよい。電荷測定用電極Sにアンプを繋ぐと上記電荷が小さい場合でも、アンプで上記電荷の信号を検出することができる。
【0076】
また、
図12に示すように、電荷測定用電極Sが静電容量検出電極C
xと静電容量検出電極C
yと離れて配置されること、すなわち、電荷測定用電極Sが静電容量検出電極C
xと静電容量検出電極C
yとの間に配置されないことにより、静電容量検出電極C
xと静電容量検出電極C
yとの間で形成される容量結合は、電荷測定用電極Sから発生するノイズの影響を受けにくくなっている。そのため、静電容量検出電極C
xと静電容量検出電極C
yとの交点における静電容量の変化を測定することで、押圧が加わった位置の正確な検出が可能となっている。
【0077】
さらに、
図12に示すように、中部電極20が、基準電位電極Gから構成されることにより、下部電極30の電荷測定用電極Sから発生する電磁波ノイズを中部電極20で遮蔽することができる。その結果、静電容量検出電極C
xと静電容量検出電極C
yは、上記ノイズを受けることはなくなるので、上記タッチパネル1は、押圧が加わった位置について極めて正確な検出が可能となっている。
【0078】
なお、具体例1のタッチパネル1は、上部電極10の上にガラスやプラスチックからなる保護部材を備えていてもよい。かかる場合、上部電極10を構成する静電容量検出電極C
x、静電容量検出電極C
y、および絶縁部材60は、保護部材側の下面に配置されていてもよい。さらに、タッチパネル1の下部電極30の下には、液晶や有機ELからなる表示部材が配置されていてもよい。
【0079】
なお、上記では、電荷測定用電極Sと基準電位電極Gが平板状の例について説明したが、電荷測定用電極Sと基準電位電極Gは、圧電体Pを介して重なるように配置されていれば、部分的であってもよいし、パターン化されていてもよい。
【0080】
(3)具体例2
図13は、具体例2に係る押圧検出機能付タッチパネルの斜視分解図である。
図13に示すように、タッチパネル1は、上部電極10と、中部電極20と、下部電極30と、上挿入部材40と、下挿入部材50を備えている。
【0081】
上部電極10は、X軸方向に複数配列される短冊状の静電容量検出電極C
xからなる。中部電極20は、Y軸方向に複数配列される短冊状の静電容量検出電極C
yからなる。下部電極30は、Y軸方向に配列される短冊状の電荷測定用電極Sからなる。また、上挿入部材40は絶縁体Iからなり、下挿入部材50は圧電体Pからなる。
【0082】
上記のように、電荷測定用電極Sが静電容量検出電極C
xと静電容量検出電極C
yと離れて配置されること、すなわち、電荷測定用電極Sが静電容量検出電極C
xと静電容量検出電極C
yとの間に配置されないことにより、静電容量検出電極C
xと静電容量検出電極C
yとの間で形成される容量結合は、電荷測定用電極Sから発生するノイズの影響を受けにくくなっている。そのため、静電容量検出電極C
xと静電容量検出電極C
yとの交点における静電容量の変化を測定することで、押圧が加わった位置の正確な検出が可能となっている。
【0083】
また、静電容量検出電極C
yは、基準電位電極Gを兼ねていることが好ましい。静電容量検出電極C
yが基準電位電極Gを兼ねることによって、押圧が加わったときに圧電体Pで発生する電荷を電荷測定用電極Sで検出することが可能となる。従って、上記タッチパネル1は、押圧が加わったとき押圧荷重の検出が可能となっている。
【0084】
なお、電荷測定用電極Sで検出される電荷が小さい場合には、電荷測定用電極Sにアンプを繋いでもよい。電荷測定用電極Sにアンプを繋ぐと上記電荷が小さい場合でも、アンプで上記電荷の信号を検出することができる。
【0085】
なお、押圧検出機能付タッチパネル1は、上部電極10の上にガラスやプラスチックからなる保護部材を備えていてもよい。かかる場合、上部電極10を構成する静電容量検出電極C
xは、保護部材の下面に直接配置されていてもよい。さらに、タッチパネル1の下部電極30の下には、液晶や有機ELからなる表示部材が配置されていてもよい。
【0086】
なお、上記では、上部電極10にX軸方向に配列される静電容量検出電極C
xが配置され、、中部電極20にY軸方向に配列される静電容量検出電極C
yが配置されている場合について説明したが、上部電極10に静電容量検出電極C
yが配置され、中部電極20に静電容量検出電極C
xが配置されていてもよい。また、電荷測定用電極Sは、平板状であってもよい。
【0087】
(4)その他の具体例
第4実施形態に係る押圧検出機能付タッチパネルについて、その他の具体例を
図14に示す。上部電極10、中部電極20、下部電極30に配置される静電容量検出電極C
x、静電容量検出電極C
y、電荷測定用電極S、基準電位電極Gのその他の配置方法については、
図14に示す通りである。
【0088】
5. その他の態様
図15、
図16に示すように、押圧検出機能付タッチパネル1は、上挿入部材40と下挿入部材50との間に接着層70を備えていてもよい。接着層70は、
図15に示すように中部電極20と下挿入部材50との間に設けられるか、
図16に示すように中部電極20と上挿入部材40との間に設けられる。
【0089】
図15に示すタッチパネル1は、上挿入部材40の上面と下面に電極が積層された両面電極付部材と、下挿入部材50の下面に電極が積層された片面電極付部材とを接着剤を用いて貼り合わせることにより、作成されてもよい。
【0090】
両面電極付部材は、上挿入部材40の上面と下面にスパッタを用いてITOが積層された部材(DITO)について、上記ITOをエッチングなどでパターニングして作成するとよい。上記において、上挿入部材40の上面と下面に積層されたITOは、同時にパターニングされることが好ましい。同時にパターニングされると、上挿入部材40の上面と下面に積層された電極の配列位置の位置精度が向上するためである。
【0091】
片面電極付部材は、下挿入部材50の片面にITOなどの導電部材をスパッタで積層し、上記導電部材をエッチングなどでパターニングして作成するとよい。
【0092】
次に、
図16に示すタッチパネル1は、上挿入部材40の上面に電極が積層された片面電極付部材と、下挿入部材50の上面と下面に電極がそれぞれ積層された両面電極付部材とを接着剤を用いて貼り合わせることにより、作成されてもよい。なお、片面電極付部材と両面電極付部材の作成方法は、上記と同様である。
【0093】
また、
図17、
図18に示すように、タッチパネル1について、上部電極10、中部電極20、下部電極30が上挿入部材40や下挿入部材50に直接設けられない場合は、支持部材80、81、82の上に上部電極10、中部電極20、下部電極30がそれぞれ積層された導電シートを接着層71、72、73を介して上挿入部材40や下挿入部材50に貼り付けてもよい。
【0094】
図17に示すタッチパネル1は、上挿入部材40の上面と下面に支持部材の上に電極が積層された導電シートが貼り付けられたものと、下挿入部材50の下面に上記導電シートが貼り付られたものとを、貼り合わせることにより作成してもよい。上記方法によれば、上挿入部材40や下挿入部材50に直接電極を形成することはないので、上挿入部材40や下挿入部材50が熱に弱い場合であっても、これら挿入部材に電極を積層できる点で好ましい。
【0095】
図18に示すタッチパネル1は、上挿入部材40の上面に上記導電シートが貼り合わされたものと、下挿入部材50の上面と下面に上記導電シートが貼り合わされたものとを、接着剤を用いて貼り合わせることにより作成してもよい。
【0096】
なお、上記において支持部材80、81、82は、基本的にフィルム部材から構成される。しかし、支持部材80は、ガラスなどの保護部材から構成されていてもよい。支持部材80が、保護部材から構成されると、支持部材80は、圧検出機能付タッチパネル1の表面保護部材としての機能と、上部電極10の支持部材としての機能を兼ね備える。そのため、タッチパネル1は、生産性が高く、厚みの薄いタッチパネル1となる。
【0097】
さらに、タッチパネル1の下には、液晶や有機ELからなる表示部材が配置されていてもよい。かかる場合、タッチパネル1は、透明部材から構成されていることが好ましい。また、上記場合において、支持部材82の下面には、反射防止処理が施されていることが好ましい。上記箇所に反射防止処理が施されていると、表示装置に表示される画像が視認されやすくなるためである。