(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記工程Bのコーティングが、スピンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、インクジェットプリンティング、ロールコーティング、ドロップキャスティング及びドクターブレードを含む群から選択される1種で行なわれることを特徴とする、請求項1に記載の湿式工程を用いたアルミニウム電極の製造方法。
【背景技術】
【0002】
低い仕事関数を有するアルミニウムは、太陽電池及びOLED(有機発光ダイオード)などオーミック接触を要求する環境エネルギー素子の陰極素材として活用されている。有機太陽電池及びOLED素子の陰極電極素材に使用されるアルミニウム電極は、酸化特性が非常に大きいため、真空状態の熱蒸発法及びスパッタコーティング方法を用いて製造されている。
【0003】
熱蒸発法は、セラミックス材質のるつぼに成膜しようとする物質を入れ、その物質を電熱を用いて加熱し、蒸発させて蒸着させる方法である。一般的に、Mg−Al、Al−Li、Alのような金属電極を電熱によって蒸発させるには、高温の点源(point source)を使用することができる。金属の陰極電極を成膜するためには、1300℃の温度が必要であり、この方法の原料使用効率は30%以下である。前記のような作業条件は、多量の原料損失及び有機物の劣化を発生させる。また、作業途中のセラミックるつぼ壁面上のアルミニウムは、アルミニウム金属とセラミック材料との間の濡れ角が非常に大きく、高温のアルミニウムがるつぼに沿って上がってあふれるクリーピング現象を起こして、ソースの交換周期を短くするため、装備の維持費が上昇するという問題点がある。
【0004】
また、スパッタコーティングは、真空システム内のスパッタガンに(−)バイアスを印加して発生する電子が非活性ガスを解離させてプラズマを発生させ、それによって生成された高エネルギーのイオン粒子を蒸着しようとするターゲットの表面に衝突させ、ターゲット表面の原子や分子との運動エネルギーの交換により、ターゲット表面の原子や分子を表面外に飛び出させて基板に吸着させる方法である。スパッタコーティングには、エネルギーを有した粒子の衝突が欠陥及びローカルトラップサイト(local trap sites)の形成を誘発して、有機フィルムの構造的、有機的歪曲をもたらすという問題点がある。また、衝突は表面温度を上昇させて有機層の特性を低下させるという短所がある。
【0005】
前記のような問題点を解決するために、非特許文献1では、DCマグネトロンに加える電圧を調節することによって有機層欠陥を最小化した。また、非特許文献2及び非特許文献3では、Ar及びKrの混合ガスをスパッタリングに使用することによって、有機層の欠陥を防止しようとした。しかし、前記方法は大面積の電極を製造するには困難であるという問題点がある。
【0006】
特許文献1は、アルミニウム電極ペースト及びそれを用いた太陽電池素子に関するものである。その発明によると、アルミニウム電極ペーストは粒度が互いに異なる3種類以上のアルミニウム粉末、ガラスフリット及び有機バインダーを含んでいる。前記ペーストは、シリコンウェハとの接触面積を増加させて拡散面積を増加させることで、裏面電界層(BSF)を効率的に形成し、粒度が互いに異なる粒子を混合してアルミニウム粉末内の充填密度を高めて、電気的特性を向上させて熱処理時の金属成分の熱膨脹を最小化して粒子の収縮率を極小化することができるという効果を有している。しかし、前記ペーストを乾燥するために、1次では80〜200℃に加熱し、再び700〜900℃に加熱する工程を含んでいて、有機層の熱的欠陥を誘発し得るという短所がある。
【0007】
最近、有機発光素子の大型化及び量産化のためにスパッタリング工程を改善するための研究が進められている。その一例として、非特許文献4に発表されたミラー型ターゲットスパッタリング(MSTS)を用いることで、OLEDのアルミニウム陰極をプラズマの欠陥なしに形成することに関するものがある。また、前記方法を修正して20cm×20cmの基板にコーティングした事例もある。
【0008】
しかし、熱蒸着法及びスパッタリング方法は、前述したように多量の原料損失によって真空蒸着設備製造及び維持のために多くの費用が必要であり、真空チャンバーのサイズの大型化の限界によって、大面積の電極を製作することが難しいという問題点がある。また、最近OLED及び有機太陽電池のような環境エネルギー素子のみならず、7世代(1870mm×2200mm)及び8世代(2200mm×2500mm)のディスプレイ用電極のように電極の大面積化が必要になった。
【0009】
それで、本発明者らは、湿式工程を用いてアルミニウム電極を製造することができるようにアルミニウム前駆溶液を製造して、それを用いたコーティング方法を研究し、それによって製造されたアルミニウム電極は真空蒸着されたアルミニウム電極に劣らない電気的特性を有していて、広い面積に適用が可能であることを確認して本発明を完成した。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明は、
アルミニウム前駆溶液を製造する工程(工程1)と、
前記前駆溶液を基板にコーティングする工程(工程2)と、
コーティングされた基板を80〜150℃で低温熱処理する工程(工程3)とを含むことを特徴とする湿式工程を用いたアルミニウム電極の製造方法を提供する。
【0018】
以下、本発明を工程別に詳しく説明する。
本発明による工程1は、アルミニウム前駆溶液(アルミニウム前駆体を含む溶液)を製造する工程である。前記アルミニウム前駆溶液は、湿式工程を通じてアルミニウム電極を形成可能にする。前記アルミニウム前駆溶液は、AlCl
3とLiAlH
4とを1:3のモル比で混合して製造することが好ましい。前記アルミニウム前駆溶液は、下記のスキーム1のような反応を経て製造される。
<スキーム1>
AlCl
3+3LiAlH
4→4AlH
3+3LiCl
前記スキーム1に示したように、1:3のモル比でAlCl
3とLiAlH
4を混合して反応させると、AlH
3とLiClとが生成される。
【0019】
前記工程1で使用される溶媒は、沸騰点が150℃以下であることが好ましい。有機太陽電池及びOLEDなどの環境エネルギー素子の陰極素材にアルミニウム前駆溶液を活用するためには、アルミニウム電極が形成される電子注入層のような有機素材基板が、熱的に安定した150℃以下の焼成温度で電極が形成されなければならないからである。前記溶媒には、1,3,5−トリメチルベンゼン及びエーテル系の有機溶媒などを使用することができ、アルミニウム生成に必要な温度及び電極形成のための焼成温度によって、適当な沸騰点または熱分解温度を有する溶媒を選択して使用することができる。
【0020】
前記工程1でAlCl
3とLiAlH
4は、溶媒に過飽和になるように導入することが好ましい。原料物質であるAlCl
3とLiAlH
4とを過飽和で導入する場合、前記スキーム1で平衡が右側に移動してAlH
3がより多く生成される。したがって、アルミニウム電極形成をより容易に早く具現するためには、AlCl
3とLiAlH
4とは溶媒に過飽和になるように導入しなければならない。選択された溶媒を入れて、常温〜100℃の温度で1時間撹拌して反応させると、アルミニウム前駆溶液を製造することができる。ここで、前記反応はアルミニウムが酸化されることを防止するために、アルゴン雰囲気下で行なうことが好ましい。
【0021】
前記工程1に対して、ジブチルエーテルを溶媒に用いた場合を例にあげると、反応が完結された溶液はAlH
3を含むH
3AlO(C
4H
9)
2溶液と、沈澱したLiClとを含むようになる。これをフィルターリングすると、アルミニウム前駆溶液であるH
3AlO(C
4H
9)
2溶液を得ることができる。
【0022】
本発明による工程2は、前記前駆溶液を基板にコーティングする工程である。前記工程1で製造されたアルミニウム前駆溶液をスピンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、インクジェットプリント、ロールコーティング、ドロップキャスティング及びドクターブレードなどを含む群から選択される1種で行なうことが好ましいが、アルミニウム前駆溶液を用いて基板にコーティングすることができる方法であれば、これに限定されない。コーティングが完了した後、基板を常温で乾燥させる。工程2も、アルミニウムが酸化されることを防止するためにアルゴン雰囲気下で行なうことが好ましい。
【0023】
本発明による工程3は、コーティングされた基板を80〜150℃で低温熱処理する工程である。前記工程2でコーティングして乾燥した基板をホットプレートのような熱処理が可能な機器に載せて、80〜150℃の温度で加熱して熱処理する。前記熱処理は、温度を徐々にあげて行なうことが好ましい。特に、熱処理温度が120℃を超過する場合、あらかじめ加熱した熱処理装置を使用すると、アルミニウム電極膜の一部が真黒く炭化する現象が発生するようになるので、注意しなければならない。前記工程3の熱処理は、アルミニウムが酸化されることを防止するためにアルゴン雰囲気下で行なうことが好ましい。
【0024】
前記低温熱処理中の反応は、下記のスキーム2のように進行する。
<スキーム2>
4AlH
3→4Al(s)+6H
2(g)
例えば、ジブチルエーテルを溶媒に用いた場合、徐々に加熱すると、乾燥して形成されたH
3AlO(C
4H
9)
2膜では、O(C
4H
9)
2除去と、AlH
3から水素が離れ出る反応とが同時に起きるようになり、アルミニウム膜が形成される。ここで、すでに加熱されているホットプレート上に、H
3AlO(C
4H
9)
2膜が形成された基板を乗せると、アルミニウム膜が形成される前に、H
3AlO(C
4H
9)
2膜が蒸発したり、有機溶媒の一部の炭化によって、均一な電極形成が不可能になるので、常温のホットプレート上にH
3AlO(C
4H
9)
2膜が形成された基板を載せて、80〜150℃に加熱することがアルミニウム膜を形成するのに好ましい。
【0025】
また、本発明は、
アルミニウム前駆溶液を製造する工程(工程A)と、
無機物または前駆物質と反応しない有機物で構成された基板に、前記アルミニウム前駆溶液をコーティングする工程(工程B)と、
コーティングしようとする有機または無機素材の基板を80〜150℃に加熱する工程(工程C)と、前記工程Cで加熱された有機または無機素材基板の上に前記工程Bでコーティングされた基板を載せて80〜150℃で低温熱処理した後、無機物または前駆物質と反応しない有機物で構成された基板を除去する工程(工程D)とを含むことを特徴とする、湿式工程を用いたアルミニウム電極の製造方法を提供する。
【0026】
以下、本発明を工程別に詳しく説明する。
本発明の工程Aは、前記湿式工程を用いたアルミニウム電極の製造方法の工程1と同様に行なわれる。
【0027】
本発明による工程Bは、無機物または前駆物質と反応しない有機物で構成された基板に前記アルミニウム前駆溶液をコーティングする工程である。電極が形成されなければならない表面が有機物質で構成されている時、特に前駆溶液製造に使用された溶媒と反応性がある素材で構成されている場合には、前駆溶液に含まれた有機溶媒と基板とが反応して基板に欠陥を惹起し得るので、前駆溶液が電極を形成しようとする基板に直接接触することを避けることが重要である。そのため、無機物または前駆物質と反応しない有機物で構成された基板を使用するという間接的な方法を用いる。前記工程Bも、アルミニウムが酸化されることを防止するために、アルゴン雰囲気下で行なうことが好ましい。
【0028】
前記工程Bのコーティングは、前記工程Aで製造されたアルミニウム前駆溶液をスピンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、インクジェットプリント、ロールコーティング、ドロップキャスティング及びドクターブレードを含む群から選択される1種で行なうことが好ましいが、アルミニウム前駆溶液を用いて基板にコーティングすることができる方法であれば、これに限定されない。以後、コーティングが完了した基板を常温で乾燥する。
【0029】
本発明による工程Cは、コーティングしようとする有機または無機素材の基板を80〜150℃に加熱する工程である。電極が形成されなければならない表面が上を向くようにホットプレートのように熱処理が可能な装置に載せて、80〜150℃に加熱する。前記工程Cは、アルミニウムが酸化されることを防止するためにアルゴン雰囲気下で行なうことが好ましい。
【0030】
本発明による工程Dは、前記工程Cで加熱された有機または無機素材基板の上に、前記工程Bでコーティングされた基板を載せて80〜150℃で低温熱処理した後、無機物または前駆物質と反応しない有機物で構成された基板を除去する工程である。前駆溶液がコーティングされて乾燥した基板の面と、前記工程Cで加熱されたコーティングしようとする有機または無機素材基板の面とを接触させておけば、溶媒は熱分解しながら除去されて前記スキーム2のようにAlH
3中の水素は離れて、有機または無機素材基板の上にAl膜が形成される。有機または無機素材基板の表面と接触した前駆溶液コーティング層からアルミニウム粉末が形成されるので、前駆溶液がコーティングされて乾燥した無機物または前駆物質と反応しない有機または無機物で構成された基板ではない反対側の、有機または無機素材基板上に、アルミニウム電極膜が形成される。前記工程Dも、アルミニウムが酸化されることを防止するためにアルゴン雰囲気下で行なうことが好ましい。
【0031】
また工程C及びDは、工程1、工程2及び工程3で構成されたアルミニウム電極製造方法の中で、工程3のアルミニウム電極形成のためのアルミニウム前駆溶液がコーティングされた基板の加熱時に発生し得る問題点すなわち、あらかじめ加熱された熱処理機で120℃を超過して熱処理する場合、コーティング膜の蒸発及びコーティング膜を構成する有機溶媒の炭化によって均一な電極形成が難しいという点を解決する方法としても使用することができる。
【0032】
さらに、本発明は、
アルミニウム前駆溶液を製造する工程(工程a)と、
アルミニウム前駆溶液を繊維質媒介体に含浸させて第1基板に載せる工程(工程b)と、
電極を形成するための第2基板を80〜150℃で加熱する工程(工程c)と、
加熱された第2基板上に前記工程bの第1基板を載せて80〜150℃で低温熱処理した後、第1基板及び前駆溶液を含浸させた繊維質媒介体を除去する工程(工程d)とを含むことを特徴とする、湿式工程を用いたアルミニウム電極の製造方法を提供する。
【0033】
本発明による工程aは、前記湿式工程を用いたアルミニウム電極の製造方法の工程1と同様に行なわれる。
本発明による工程bは、アルミニウム前駆溶液を繊維質媒介体に含浸させて第1基板に載せる工程である。繊維質媒介体の代表的な例としては、紙を挙げることができる。繊維質媒介体は、基板とは異なり多量のアルミニウム前駆溶液を吸収することができ、吸収されたアルミニウム前駆溶液によって厚いアルミニウム電極を形成することができる。また同じ材質に対する溶液の吸収量は同じなので、均一な厚さのアルミニウム電極を形成することができる。アルミニウム前駆溶液を含浸させて第1基板に載せて常温で乾燥する工程bも、アルミニウムが酸化されることを防止するためにアルゴン雰囲気下で行なうことが好ましい。
【0034】
本発明による工程cは、電極を形成するための第2基板を80〜150℃で加熱する工程である。電極が形成されなければならない表面が上を向くようにホットプレートのような熱処理が可能な装置に載せて80〜150℃に加熱する。工程cも、アルミニウムが酸化されることを防止するためにアルゴン雰囲気下で行なうことが好ましい。
【0035】
本発明による工程dは、加熱された第2基板上に前記工程bの第1基板を載せて80〜150℃で低温熱処理した後、第1基板及び前駆溶液を含浸させた繊維質媒介体を除去する工程である。前駆溶液がコーティングされて乾燥した繊維質媒介体が付いている第1基板と加熱してコーティングしようとする第2基板の面とを接触させておけば、溶媒が熱分解しながら除去されて前記スキーム2のようにAlH
3中の水素は離れて、第2基板上にAl膜が形成される。第2基板の表面と接触した前駆溶液コーティング層からアルミニウム粉末が形成されるので、第1基板ではない反対側の第2基板上にアルミニウム電極膜が形成される。工程dも、アルミニウムが酸化されることを防止するためにアルゴン雰囲気下で行なうことが好ましい。
【0036】
さらに、本発明は、本発明による湿式工程を用いたアルミニウム電極の製造方法によって製造されるアルミニウム電極を提供する。
前記方法を通じて製造されるアルミニウム電極は、湿式工程を用いたアルミニウム電極の製造方法であり、大気圧雰囲気及び150℃以下の低い熱処理焼成温度で短い時間に電極を製造することができ、従来技術の高温焼成による電極の熱的欠陥問題を解決することができるという効果を有する。また、過量のアルミニウム原料損失を防止して、常圧雰囲気で電極形成が可能であり、施設及び維持の費用が節減されて生産原価の節減効果がある。また、小面積のアルミニウム電極から大面積のアルミニウム電極に至る多様な大きさのアルミニウム電極を形成することができるという効果がある。また、本発明によって製造されるアルミニウム電極は、従来の低い仕事関数電極が求められる有機太陽電池及びOLED陰極の特性と比較した時に、同等またはより優れた特性を示す。
【0037】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。但し、下記の実施例は、発明を例示するだけのものであって、内容が下記の実施例によって制限されるのではない。
【実施例1】
【0038】
ガラス基板にアルミニウム電極製造(I)
工程1.アルミニウム前駆溶液を製造する工程
塩化アルミニウムと水素化アルミニウムリチウムとが、モル比で1:3になるように塩化アルミニウム(AlCl
3)0.133gと、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH
4)0.114gとを、還流フリーザーを装着した3球フラスコに入れてジブチルエーテル100mlを溶媒にして、アルゴン雰囲気下で1時間80℃で加熱しながら撹拌した。合成された物質はLiCl及びAlH
3であり、その中のLiClはフィルターリングを通じて除去して、AlH
3が溶媒に溶解しているアルミニウム前駆溶液OAlH
3(C
4H
9)
2を製造した。
工程2.基板に前駆溶液をコーティングする工程
非晶質ガラス基板を前記工程1で製造したアルミニウム前駆溶液にディッピングする方法でコーティングして乾燥した。
工程3.低温熱処理する工程
前記工程2でコーティングして乾燥した基板を加熱前の常温状態のホットプレートに載せて、140℃になるまで加熱してアルミニウム電極を製造した。
【実施例2】
【0039】
ガラス基板にアルミニウム電極を製造(II)
工程1.アルミニウム前駆溶液を製造する工程
前記実施例1の工程1を同様に行なって、アルミニウム前駆溶液を製造した。
工程2.基板にアルミニウム前駆溶液をコーティングする工程
前記実施例1の工程2を同様に行なって、ガラス基板にアルミニウム前駆溶液膜を形成した。
工程3.無機素材基板を加熱する工程
電極を形成しようとするガラス基板をホットプレートの上に載せて、140℃に加熱した。
工程4.無機素材基板にアルミニウム電極を形成する工程
前記工程3で加熱されたガラス基板をコーティングしようとする面が上に向くようにし、前記基板上に前記工程2でアルミニウム前駆溶液がコーティングされた基板の面が下を向くように載せて140℃で1分間加熱し、ガラス基板上にアルミニウム電極を製造した。
【実施例3】
【0040】
有機素材基板にアルミニウム電極を製造
工程1.アルミニウム前駆溶液を製造する工程
前記実施例1の工程1を同様に行なって、アルミニウム前駆溶液を製造した。
工程2.基板にアルミニウム前駆溶液をコーティングする工程
ガラス基板をアルミニウム前駆溶液にディッピングする方法でコーティングして乾燥した。
工程3.有機素材基板を加熱する工程
電極を形成しようとするポリエチレン基板をホットプレートの上に載せて、140℃に加熱した。
工程4.有機素材基板にアルミニウム電極を形成する工程
前記工程3で加熱されたポリエチレン基板をコーティングしようとする面が上を向くようにし、前記基板上に前記工程2でアルミニウム前駆溶液がコーティングされた基板の面が下を向くように載せて、140℃に1分間加熱してポリエチレン基板上にアルミニウム電極を製造した。
【実施例4】
【0041】
厚いアルミニウム電極の製造
工程1.アルミニウム前駆溶液を製造する工程
前記実施例1の工程1を同一に行なって、アルミニウム前駆溶液を製造した。
工程2.アルミニウム前駆溶液を紙に含浸させる工程
紙に前記工程1で製造されたアルミニウム前駆溶液を含浸させて、ガラス材質の第1基板に載せて乾燥した。
工程3.基板を加熱する工程
電極を形成しようとする第2ガラス基板をホットプレート上に載せて、140℃に加熱した。
工程4.ガラス素材基板にアルミニウム電極形成する工程
前記工程3で加熱された第2ガラス基板の上に、前記工程2でアルミニウム前駆溶液を含浸させて乾燥した紙が付いている第1ガラス基板を載せて140℃で3分間加熱して、コーティングされたアルミニウムの厚さが263nmのアルミニウム電極を製造した。
<実験例1>製造された電極の肉眼による観察
実施例1、実施例2及び実施例3で製造されたアルミニウム電極に対して、外観特性を調べるために肉眼で観察し、
図4にその結果を示した。
【0042】
図4によると、非晶質ガラス板(実施例1及び実施例2)及びポリエチレン(PE)(実施例3)基板に湿式工程を用いてアルミニウム電極を製造した結果、アルミニウムフィルムで均一に覆われていて、コーティングされた金属膜によって反射板のように光の反射率が非常に優れていることを確認することができた。また、ポリエチレン基板上に製造されたアルミニウム電極フィルムは、基板の特性と同様に柔軟にしなわせても電極フィルムの剥離現象のような欠陥は発見されなかった。
<実験例2>XRD分析
実施例1、実施例2及び実施例3で製造されたアルミニウム電極に対して、アルミニウムの結晶性を調べるために、X線回折(XRD)分析を実施して、その結果を
図5に示した。
【0043】
図5によると、形成された電極のX線回折パターンは、JSPDSカードAl(04‐0407)によって、FCC(face centered cubic)構造(面心立方構造)と一致することを確認することができる。ゆえに、本発明を通じて製造されたアルミニウム前駆溶液に含有されたAlH
3が、アルミニウム膜を形成するのに、非常に効果的であることが分かる。
<実験例3>SEM写真分析
実施例1、実施例2及び実施例3で製造されたアルミニウム電極に形成されたアルミニウム膜の微細構造及び厚さを調べるために、電子走査顕微鏡(SEM)を用いて分析し、その結果を
図6に示した。
【0044】
図6によると、アルミニウム膜の表面は、気孔がほとんど形成されない緻密な構造を成している。また、電極の断面を観察した結果、A(実施例1)、B(実施例2)及びC(実施例3)のガラス基板及びPE基板に形成された電極の厚さは、それぞれ117nm、102nm、70nmであることを確認することができた。また、前記実施例1〜3のSEM写真を通じて、製造されたアルミニウム電極は、緻密な構造を有した薄膜の形態を有することが分かる。電極の密度は、電極の電気的特性の向上に必要であるので、前記の結果は本発明によって製造されたアルミニウム電極が電気的特性に優れているということを推測可能にする。
<実験例4>比抵抗測定
実施例1、実施例2及び実施例3で製造されたアルミニウム電極に対して、位置別の比抵抗を調べるために比抵抗測定機(4 point probe method)を用いて比抵抗を測定して、その結果を
図7に示した。
【0045】
図7によると、比抵抗を測定した各点と、各点における比抵抗をグラフで示した。実施例1、実施例2及び実施例3によって製造されたアルミニウム電極の5点の平均比抵抗値は、それぞれ12.52μΩcm、8.49μΩcm、15.53μΩcmであって比較的低い比抵抗値を示し、電極の位置別標準偏差はそれぞれ0.46μΩcm、1.74μΩcm、0.65μΩcmと示され、電極の電気的特性が非常に優秀で均一に示されることが分かる。