(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5722993
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】ブラスト材料、およびブラスト作業
(51)【国際特許分類】
B24C 11/00 20060101AFI20150507BHJP
B24C 9/00 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
B24C11/00 F
B24C11/00 C
B24C9/00 F
B24C9/00 B
【請求項の数】11
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-504125(P2013-504125)
(86)(22)【出願日】2010年12月11日
(65)【公表番号】特表2013-523475(P2013-523475A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】EP2010007567
(87)【国際公開番号】WO2011127952
(87)【国際公開日】20111020
【審査請求日】2012年11月28日
(31)【優先権主張番号】10003976.7
(32)【優先日】2010年4月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512062969
【氏名又は名称】コンポフェルム・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100157440
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】ハルステンベルク・イェルク
【審査官】
大山 健
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05591064(US,A)
【文献】
特開昭62−203764(JP,A)
【文献】
特開平06−246636(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24C 1/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラスト材料(4)であって、
このブラスト材料が、表面の機械的な加工のための少なくとも1種類のブラスト材を有する様式の上記ブラスト材料において、
上記ブラスト材料(4)が、ブラストされるべき表面(2)及び/または上記ブラスト材の脱脂および洗浄のための添加物(6)を含んでおり、
上記添加物が、粒子状の材料から成っており、
上記粒子状の材料が、表面の機械的な加工のための前記少なくとも1種類のブラスト材自体よりも小さな破壊強度を有していること、
上記添加物が、膨張させられたパーライト岩石であり、前記膨張させられたパーライト岩石の粒子が内部の多孔性を有すること、
を特徴とするブラスト材料(4)。
【請求項2】
ブラスト作業であって、
このブラスト作業の場合、1つのブラスト工程内において、
請求項1に記載のブラスト材料(4)が、加工材料(2)の上に噴射され、その際、
添加物(6)の粒状物質が、このブラスト作業の間じゅう、少なくとも一部は粉砕されることを特徴とするブラスト作業。
【請求項3】
使用されたブラスト材料(5)は捕捉され、且つ、
浄化工程の後、再び、ブラスト工程に供給されることを特徴とする請求項2に記載のブラスト作業。
【請求項4】
前記粉砕された添加物(6)は、浄化工程の間じゅう、ブラスト材料(4)の循環から分離されることを特徴とする請求項2または3に記載のブラスト作業。
【請求項5】
ブラスト材料(4)の循環に、添加物(6)が供給され、その際、ブラスト材料(4)の循環内における、添加物(6)とブラスト材との間の量の比率が、制御によって、一定に保持されることを特徴とする請求項2から4のいずれか一つに記載のブラスト作業。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか一つに記載のブラスト作業を実施するための装置であって、この装置が、このブラスト作業を実施するためのブラスト装置(1)を有している様式の上記装置において、
粒子状の添加物(6)の配量された供給のための装置(7)が設けられており、
この装置(7)が、添加物(6)と表面(2)機械的な加工のための少なくとも1種類のブラスト材との間の一定の量の比率の維持を、ブラスト材料(4)の循環内において、制御によって許容することを特徴とする装置。
【請求項7】
表面の機械的な加工のための少なくとも1種類のブラスト材と粉砕されていない添加物(6)の割合量とを含む第1の分留(13)と、
および、
粉砕された添加物の割合量と加工材料および表面の機械的な加工のための少なくとも1種類のブラスト材の摩擦破片とを含む第2の分留12とに、
使用されたブラスト材料(5)を分離するために、
1つの浄化装置(8)が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
表面の機械的な加工のための少なくとも1種類のブラスト材と粉砕されていない添加物(6)の割合量とを含む第1の分留(13)と、
および、
粉砕された添加物(6)の割合量と加工材料および表面の機械的な加工のための少なくとも1種類のブラスト材の摩擦破片とを含む第2の分留12とに、
使用されたブラスト材料(5)を分離するための上記浄化装置(8)は、
空気分級機、及び/またはサイクロン分離器であることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
ブラスト装置(1)は、遠心ホイールブラスト装置であることを特徴とする請求項6から8のいずれか一つに記載の装置。
【請求項10】
遠心ホイールブラスト装置内における、請求項1に記載のブラスト材料(4)の使用。
【請求項11】
少なくとも1種類のブラスト材は、スチールビーズまたは鋳物ビーズであることを特徴とする請求項1に記載のブラスト材料(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラスト材料、並びにこのブラスト材料の製造、およびブラスト作業、並びにこのブラスト作業を実施するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラスト作業は、従来技術から公知である。
表面の機械的な加工のための材料(ブラスト材)(以下で、同様に:本来のブラスト材料と称する)−通常は粒子状の材料である−は、ブラストされるべき表面の上に、撃ち当てられることは、これらブラスト作業に共通である。粒子状の材料のもとで、1つの粒子状の材料が、広義において、即ち、所定の大きさの分布状態を有する微粒子から成る材料と理解されるべきであり、その際、同様に、対称的に成形された微粒子、例えば、球体も、以下で、粒子状の材料として理解されるべきである。
【0003】
形状、大きさの分布状態、および、その材料から粒状物質が成る該材料は、その際に、加工されるべき加工材料の材料、および、この加工材料に対するブラスト工程の所望される効果に相応して選択される。
この作業の目的が、1つの表面から1つの古い被覆部を除去すること、1つの表面を1つの更新された塗装の上に準備すること、またはしかも、この表面を研磨すること、または、この表面の機械的な特性を改善することであることは可能である。
【0004】
上記のことに応じて、作業の目的が、表面からの材料の剥削、または、表面の粗面化である場合、例えば、しばしば、角のある粒子状の材料が、粒子状の材料として選択され、または、
この表面が研磨されるべき、または、この表面の機械的な特性を改善されるべき場合、例えば、いわゆる鋼球ショットブラスト(Kugelstrahlen)の場合、丸みを帯びた粒子状の材料が選択される。
原理的に、しかしながら、同様に、材料の剥削は、丸みを帯びた粒子状の材料の使用でもっても可能である。
【0005】
ブラスト材料として、多数の材料、例えば、鋼、鋳物、コランダム、ガラス、柘榴石の砂(Granatsand)、実際上は−使用の目的に応じて−、粉砕されたナッツの殻のようなより異国的な物質が使用される。粒度は、その際、典型的に、0.1mmと3mmとの間で変動する。
【0006】
従来のブラスト作業の場合、それら加工材料のブラストされるべき表面に、油脂、オイル、シリコンオイル被膜、分離材料残渣、または類似の物質を有する、加工材料には問題点がある。
ブラスト材料が、ブラスト装置内において、典型的に、循環プロセス(Kreisprozess)内において導かれ、且つ再使用されるので、このような加工材料の場合、ブラスト材料内において、汚染物の濃縮(Anreicherung)という事態となり、このことは、ブラスト装置およびブラスト材料の増大された洗浄経費を誘起する。
【0007】
この理由から、しばしば、加工材料の予洗浄が、ブラスト装置製造メーカーから指示され、この予洗浄は、使用される溶剤に基づいて、著しい健康リスク、周囲環境リスクを備えており、且つ、このことに応じて、付加的な経費を誘起する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
このような様式の作業および装置に関して、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の根底をなす課題は、ブラスト作業、および、このブラスト作業を実施するための補助材料を提供することであり、
このブラスト作業が、上記された汚染物を有する加工材料の加工の際に、比較的に効率に良く、比較的に周囲環境を損なわず、且つ、健康技術的並びに安全保護技術的に心配ない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、
ブラスト材料であって、
このブラスト材料が、表面の機械的な加工のための少なくとも1種類のブラスト材を有する様式の上記ブラスト材料において、
上記ブラスト材料が、ブラストされるべき表面及び/または上記ブラスト材の脱脂および洗浄のための添加物を含んでおり、
上記添加物が、粒子状の材料から成っており、
上記粒子状の材料が、表面の機械的な加工のための前記少なくとも1種類のブラスト材自体よりも小さな破壊強度を有していること、
上記添加物が、膨張させられたパーライト岩石であり、前記膨張させられたパーライト岩石の粒子が内部の多孔性を有することを特徴とする、上記ブラスト材料によって解決される。
従属請求項は、有利な実施形態に関している。
【発明の効果】
【0011】
本発明に従い、ブラスト材料が使用され、
このブラスト材料は、表面の機械的な加工のための少なくとも1種類のブラスト材(以下で、本来のブラスト材料と称する)と並んで、添加物を含んでおり、この添加物が、ブラストされるべき表面、およびブラスト材の、脱脂、および洗浄を担当している。
本発明に従い、この添加物は、その際同様に、粒子状の材料であり、この粒子状の材料が、ブラスト材料がブラスト作業の間じゅう受ける機械的な負荷のもとで、上記の本来のブラスト材料自体よりも小さな破壊強度を有している。その際、破壊強度のもとで、ブラストされるべき表面上への衝突の際に、ブラスト作業のために、典型的な衝突速度でもって砕くことの無い、粒状物質の能力が、理解されるべきである。
【0012】
特に有利には、本来のブラスト材料(ブラスト材)としての、スチールビーズまたは鋳物ビーズの使用の際の、本発明に従う添加物の使用である。何故ならば、この使用が自体、最小限の自己摩損を有しているからである。
【0013】
上記のことは、ブラスト作業、および、本来のブラスト材料の粒状物質を典型的に破損せずに持ち堪える、例えば移送コンベヤまたはバケットコンベヤを介しての、装置内におけるブラスト材料の移送の間じゅう、添加物の粒状物質が粉砕されるということを結果として招く。
この粉砕によって、添加物の相対的な表面は何倍も増大され、従って、加工材料の表面に存在する汚染物の、はるかに大きな部分が、本来のブラスト材料の粒状物質においてではなくて、むしろ、添加物の粉砕された粒状物質において、付着した状態に留まる。
【0014】
粉砕された分留は、従って、簡単な方法において、微粒子サイズ選択的な分離方法によって、ブラスト材料混合物から除去され、このことによって、これら汚染物が、簡単な方法において、プロセスから導出され得る。
このことは、例えば、空気分級、または分級するサイクロン分離器の使用によって行われ、
この場合、ブラスト材料混合物は、
基本的に本来のブラスト材料および未だに粉砕されていない添加物の成分を含む、1つの分留内へと、および、
汚染物でもって汚された添加物の粉砕された成分、並びに、例えば、加工材料または本来のブラスト材料の粒状物質の摩擦破片のような更に微粒子状の汚染物を含む、1つの分留内へと分配される。
第1の分留が、典型的に、ブラスト作業に再び供給されるのに対して、第2の分留は、例えば、フィルター内において分離され、且つ、合目的な廃棄物処理プロセスに供給され得る。
【0015】
添加物が、この作業の場合に使い果たされるので、ブラスト材料の、ブラスト装置(Strahlanalgen)のために典型的な循環案内の際に、このブラスト材料内における添加物の割合量(Anteil)は、連続的に取り去られる。
従って、添加物の配量された供給のための装置を設けることは有利であり、その際、この配量された供給が、有利には、添加物と本来のブラスト材料との間の量の比率が、循環内において導かれるブラスト材料内において、可能な限り小さな変動の影響下にあるように、理想的には、一定に留まるように制御される。
【0016】
本発明に従うブラスト材料、および、本発明に従うブラスト作業の使用は、遠心ホイールブラスト装置との関連において、特に有利であることは明らかである。このブラスト装置の、この構造様式において、ブラスト材料は、そのことがブラスト装置の大部分内において通常であるように、空気流によって加速されず、むしろ、粒状物質は、回転するホイールに装着された面によって加速され、且つ、加工材料に対して、撃ち当てられる。
この作業の場合、既に、遠心ホイールの面の上への粒状物質の衝突の際に、この粒状物質の衝突応力が存在し、このことによって、既に、加工材料の上への衝突の前に、添加物の部分粉砕が行われる。
【0017】
添加物として、本発明に従い、全ての当該の材料が適しており、これら材料が、粒状物質として、冒頭に記載した意味において存在し、且つ、
小さな破壊強度を、少なくとも本来のブラスト材料よりも小さな破壊強度を、ブラストされるべき表面の上への粒状物質の衝突の際に支配的である、諸条件のもとで有している。
【0018】
その際、本来のブラスト材料の粒状物質が比較的に高い延性を有する場合で、
これら材料が、これら材料の脆性に基づいて、ブラスト作業の場合に生じる衝突応力の際に、本来のブラスト材料の粒状物質よりも容易に砕ける場合には、
それ自体で、同様に硬質の材料も考慮の対象になる。
従って、添加物として、例えば、塩または酸化物も考慮の対象になり、これらに関して、特に自然に存在するパーライト岩石((真珠岩、Perlitgestein))の様式においての、特に酸化ケイ素が適している。
【0019】
同様に、それら添加物の粒状物質自体が多孔性の固体である該添加物は、即ち、内部の多孔性を有する粒子状の材料は有利である。
この内部の多孔性によって、一方では、粒状物質の機械的な弱化が行われ、他方では、この内部の多孔性が、微粒子破壊によっての可能な限り大きな表面の形成の場合に、有利な影響を及ぼされる。
ここで、膨張させられたパーライト岩石の使用が、特に有利であることは明らかであり、この膨張させられたパーライト岩石は、このパーライト岩石を含む結晶水内における、膨張工程の間じゅう、内部の多孔性がこのパーライト岩石の粒状物質内において形成されることによって、特徴付けられている。
【0020】
有利な価格と並んで、このパーライト岩石は、更に別の特徴を有しており、これら特徴が、本来のブラスト材料および適合する添加物の選択の際に有利である。従って、このパーライト岩石は、健康的に心配なく、周囲環境にとって有害でなく、且つ、如何なる粉塵爆発も誘起可能ではない。
特に、分級機、及び/またはサイクロン分離器のような分離機器の使用の際に、このパーライト岩石は、火災の危険及び/または爆発の危険の抑制に寄与する。このパーライト岩石は、粉砕された状態において、容易に、通常使用されるブラスト材料から分離され得、且つ、如何なる、加工材料に損害を与える特性、例えば腐食する特性を有してない。
粉砕されたパーライト岩石が、フィルターによって、プロセス経過から分離される場合、それに加えて、このパーライト岩石は、フィルターの洗浄の容易化に、このパーライト岩石の油脂を結合する作用(fettbindende Wirkung)によって、寄与する。
【0021】
次に、例示的な本発明に従う装置の概略図を示している
図1に基づいて、本発明を、概略的に詳しく説明する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
例示的な本発明に従う装置は、ブラスト装置1を有しており、このブラスト装置内において、噴射3が、加工材料2に当たる。使用されたブラスト材料5は、捕捉され、且つ、浄化装置8に供給される。
この浄化装置内において、分級するサイクロン分離器(klassierenden Zyklonabscheiders)、または、空気分級機(Windsichter)の原理に従い、
基本的に本来のブラスト材料並びに粉砕されていない添加物の割合量を含む、第1の分留(Fraktion)13が分離され、且つ、第2の分留12から分離され、
この第2の分留が、有利には、キャリアー空気流によって搬出され、且つ、粉砕された添加物の割合量、並びに、加工材料及び/またはブラスト材料の摩擦破片、および、プロセスから除去されるべき汚染物を含んでいる。
この第2の分留12は、フィルターでもって、キャリアー空気流から除去され得、このキャリアー空気流から、次いで、単に汚れの無い(unbelastete)排気だけが後に残る。
【0024】
本発明に従い、粒子状の添加物6の配量された供給のための装置7が設けられており、この装置が、この添加物を、循環回路(Kreislauf)内において導かれるブラスト材料5に添加することの役目を果たし、且つ、有利には、この添加された添加物が、同様に、この装置の比較的に長い作動の場合にも、この添加物6の割合量が、ブラスト材料混合物5において、極めて十分に一定に留まるように配量される。
【符号の説明】
【0025】
1 ブラスト装置
2 表面、加工材料
3 噴射
4 ブラスト材料
5 使用されたブラスト材料
6 添加物
7 装置
8 浄化装置
12 第2の分留
13 第1の分留