【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、従来のTedlarフィルム/PETフィルム/Tedlarフィルムの積層構造においてTedlarフィルムをフッ素コーティング層に代替するための発明であって、前記の目的を解消するために、物性に優れたフッ素コーティング組成物を用いてオフラインコーティングによりフッ素コーティング層を形成することを特徴とする。
【0014】
しかし、このようなフッ素コーティング組成物はPETフィルム上にオフラインで塗布する場合、弱い接着力のせいでデラミネーションされる問題が生じ得るため、本発明者らは、インラインコーティング法を用いてPETフィルムの製造工程における延伸工程中に水分散組成物(エマルジョン)を塗布して、薄い塗布厚みを有するPETフィルムと易接着性アクリル系コーティング層を形成することでフッ素コーティング層の接着力が向上することを見出し、本発明を完成した。
【0015】
より具体的に、本発明は、一面または両面に易接着性アクリル系コーティング層が形成されたポリエステルフィルム層と、前記アクリル系コーティング層の上部にポリビニリデンフルオライドまたはテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライドから選択されるフッ素樹脂と二酸化チタンを含有するフッ素コーティング組成物を塗布したフッ素コーティング層と、を含む太陽光モジュール用バックシートに関する。
【0016】
また、本発明は、a)ポリエステル樹脂を溶融押出してポリエステルシートを製造する段階と、b)前記ポリエステルシートを縦方向に延伸する段階と、c)前記縦方向に延伸されたポリエステルフィルムの一面または両面にアクリル系バインダー樹脂2〜10重量%、メラミン系架橋剤0.2〜4重量%、硬化触媒0.02〜0.5重量%、及び水を合計100重量%になるように含有したアクリル系エマルジョンを塗布して易接着性アクリル系コーティング層を形成した後、横方向に延伸する段階と、d)前記二軸延伸されたポリエステルフィルムを熱固定する段階と、e)前記易接着性アクリル系コーティング層の上部にポリビニリデンフルオライドまたはテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライドから選択されるフッ素樹脂と二酸化チタンを含有するフッ素コーティング組成物をオフラインで塗布してフッ素コーティング層を形成する段階と、を含む太陽光モジュール用バックシートの製造方法に関する。
【0017】
以下、本発明についてより具体的に説明する。
【0018】
本発明において、前記ポリエステルフィルムはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどを用いることができる。
【0019】
本発明は、このようなポリエステルフィルムを製造する過程で一面または両面にインラインコーティングにより易接着性アクリル系コーティング層を形成する。本発明は、前記易接着性アクリル系コーティング層を用いてポリエステルフィルム上にフッ素コーティング層を塗布することができる。
【0020】
前記易接着性アクリル系コーティング層は、50〜300nmの乾燥塗布厚みを有するものが接着性に優れるため好ましい。
【0021】
前記易接着性アクリル系コーティング層は、アクリル系バインダー樹脂2〜10重量%、メラミン系架橋剤0.2〜4重量%、硬化触媒0.02〜0.5重量%、及び水を合計100重量%になるように含有したアクリル系エマルジョンを用いることが好ましい。
【0022】
前記アクリル系バインダー樹脂は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ノルマルブチルメチルメタクリレート、アクリル酸とメタクリル酸の共重合体または三元共重合体のようなアクリル系樹脂を用いることができる。このようなアクリル系バインダーとして市販されるものとしては、2液性であるPrimal 1018、1液性であるPrimal−3208(ダウ社製)などが挙げられる。前記含量範囲は固形分に用いられる含量を意味する。
【0023】
前記メラミン系架橋剤はアクリル系バインダーの架橋密度を増加させるためのものであって、ポリエステルフィルムとの密着力を向上させ、以降、後加工工程のフッ素系コーティング層との接着力も向上させる。具体的にはメトキシメチルメチロールメラミンを用いることが好ましく、その含量は0.2〜4重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜3重量%を使用することが好ましい。
【0024】
また、前記硬化触媒はチオシアン酸アンモニウム(Ammonium thiocyanate)などを使用することができ、その含量は0.02〜0.5重量%であることがアクリル系バインダーの硬化度を高めることができるため好ましい。
【0025】
本発明において、前記フッ素コーティング層は、PVF(poly vinyl fluoride)からなるフッ素フィルムを代替するためのものであって、前記易接着性アクリル系コーティング層の上部に、オフライン法によりフッ素コーティング組成物を塗布して乾燥することで形成される。
【0026】
本発明において、前記フッ素コーティング組成物は、ポリビニリデンフルオライドまたはテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライドから選択されるフッ素樹脂と二酸化チタンを含む。
【0027】
前記フッ素樹脂として、ポリビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライドなどを使用することができ、オフラインコーティングができるように、溶剤に溶解が可能なものであれば制限されない。このようなフッ素樹脂はフッ素コーティング組成物全含量に対して10〜30重量%を含むことが乾燥塗布厚みが好適であるため好ましい。
【0028】
前記二酸化チタンは150〜300nmの粒径を有するルチル(rutile)型のものを用いることがUV遮断性に優れるため好ましい。その含量はフッ素樹脂の含量に対して30〜40重量%であることが好ましい。即ち、フッ素コーティング組成物の全含量に対して3〜12重量%を用いることが好ましい。
【0029】
また、前記フッ素コーティング組成物をオフラインで塗布するためには溶剤などを用いて樹脂を溶解して用いることができる。この際、使用可能な溶剤としては、ハイドロカーボン系、ケトン系などが挙げられ、好ましくはジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
【0030】
前記オフラインで塗布する方法としては、ロールコティング法、ダイコーティング法、コンマコーティング法などのコーティング法が挙げられる。好ましくは、乾燥塗布厚みが10〜30μmになるようにコーティングすることがUV遮断性に優れるため好ましい。
【0031】
次に、本発明のバックシートを製造する方法について具体的に説明する。
【0032】
本発明は、ポリエステル樹脂を溶融押出してシートを製造し、これを一軸延伸した後、アクリル系エマルジョンを塗布して横方向に二軸延伸し、ポリエステルフィルムを製造する段階と、前記ポリエステルフィルムにフッ素コーティング組成物を塗布する段階と、を含む。
【0033】
より具体的に本発明は、a)ポリエステル樹脂を溶融押出してポリエステルシートを製造する段階と、b)前記ポリエステルシートを縦方向に延伸する段階と、c)前記縦方向に延伸されたポリエステルフィルムの一面または両面にアクリル系バインダー樹脂2〜10重量%、メラミン系架橋剤0.2〜4重量%、硬化触媒0.02〜0.5重量%、及び水を合計100重量%になるように含有したアクリル系エマルジョンを塗布して易接着性アクリル系コーティング層を形成した後、横方向に延伸する段階と、d)前記二軸延伸されたポリエステルフィルムを熱固定する段階と、e)前記易接着性アクリル系コーティング層の上部にポリビニリデンフルオライドまたはテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライドから選択されるフッ素樹脂と二酸化チタンを含有するフッ素コーティング組成物をオフラインで塗布してフッ素コーティング層を形成する段階と、を含む。
【0034】
また、本発明は、必要に応じて、前記アクリル系エマルジョンを塗布する前にコロナ処理を施すことも可能であり、前記フッ素コーティング組成物の塗布前にコロナ処理を施すことも可能である。
【0035】
前記a)段階は、ポリエステルフィルムを製造するために樹脂をシリンダーで溶融押出し、T−ダイを用いてシートに製造する過程である。
【0036】
前記b)段階は、ポリエステルシートを二軸延伸してポリエステルフィルムを製造するための過程であって、縦方向延伸は一つ以上のローラを用いて延伸をすることが好ましい。
【0037】
次に、c)段階において、インラインコーティング法により易接着性アクリル系コーティング層を形成し、この際、インラインコーティングに用いるために水分散したエマルジョンを用いることが好ましい。
【0038】
この際、前記易接着性アクリル系コーティング層を構成するためのエマルジョンの組成は前記のとおりであり、塗布時に延伸後の乾燥塗布厚みが50〜300nmになるように塗布することが好ましい。
【0039】
アクリル系エマルジョンを塗布して易接着性アクリル系コーティング層を形成した後、横方向に延伸する。この際、横方向延伸はテンターを用いることができる。
【0040】
次に、前記易接着性アクリル系コーティング層に用いられた水分を除去し、硬化させ、フィルムが収縮されることを予防するために乾燥及び熱固定する過程を経る。
【0041】
その後、フッ素コーティング組成物をオフラインで塗布してフッ素コーティング層を形成し、この際、フッ素コーティング層は10〜30μmの乾燥塗布厚みを有するように塗布することが好ましい。