特許第5722994号(P5722994)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5722994太陽光モジュール用バックシート及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5722994
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】太陽光モジュール用バックシート及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/049 20140101AFI20150507BHJP
【FI】
   H01L31/04 562
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-506086(P2013-506086)
(86)(22)【出願日】2011年4月22日
(65)【公表番号】特表2013-526033(P2013-526033A)
(43)【公表日】2013年6月20日
(86)【国際出願番号】KR2011002909
(87)【国際公開番号】WO2011132976
(87)【国際公開日】20111027
【審査請求日】2014年2月20日
(31)【優先権主張番号】10-2010-0037769
(32)【優先日】2010年4月23日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】314003797
【氏名又は名称】コーロン インダストリーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】チョイ スク ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ベク サン−ヒュン
【審査官】 井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−522414(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/005029(WO,A1)
【文献】 特表2004−533345(JP,A)
【文献】 特開平09−226079(JP,A)
【文献】 特表2011−521813(JP,A)
【文献】 特開2008−12834(JP,A)
【文献】 特表2011−523387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02−31/078、31/18−31/20、
51/42−51/48
H02S 10/00−50/15
B29C 47/14
B32B 1/00−43/00
B29K 67/00
B29L 7/00
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面または両面に易接着性アクリル系コーティング層が形成されたポリエステルフィルム層と、
前記アクリル系コーティング層の上部に形成されたフッ素コーティング層と、を含み、
前記易接着性アクリル系コーティング層は、アクリル系バインダー樹脂2〜10重量%、メラミン系架橋剤0.2〜4重量%、硬化触媒0.02〜0.5重量%、及び残部の水を含有するアクリル系エマルジョンを用いて、ポリエステルフィルムの延伸工程でインラインコーティングして形成され、
前記フッ素コーティング層は、ポリビニリデンフルオライドまたはテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライドから選択されるフッ素樹脂と二酸化チタンを含有するフッ素コーティング組成物を塗布して形成される、太陽光モジュール用バックシート。
【請求項2】
前記二酸化チタンは150〜300nmの粒径を有するルチル型である、請求項1に記載の太陽光モジュール用バックシート。
【請求項3】
前記メラミン系架橋剤はメトキシメチルメチロールメラミンである、請求項1に記載の太陽光モジュール用バックシート。
【請求項4】
前記易接着性アクリル系コーティング層は乾燥塗布厚みが50〜300nmであり、フッ素コーティング層は乾燥塗布厚みが10〜30μmである、請求項1に記載の太陽光モジュール用バックシート。
【請求項5】
前記延伸工程は二軸延伸工程であり、縦方向に延伸した後、アクリル系エマルジョンを塗布してから横方向に延伸する、請求項1に記載の太陽光モジュール用バックシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光モジュール用バックシートに関し、従来PVF(Tedlar)フィルム/PETフィルム/PVF(Tedlar)フィルムを積層し、各層を接着剤を用いて接着する代わりに、ポリエステルフィルム上にコーティングを施してフッ素コーティング層を形成することにより、製造コストを下げ、フッ素コーティング層との接着力を向上したバックシートに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電のための太陽電池はシリコンまたは各種化合物から出発し、ソーラセル(Solar cell)形態になると電気を出力する。しかし、一つのセルでは十分な出力が得られないため、それぞれのセルを直列または並列状態に連結しなければならず、このように連結された状態を「太陽光モジュール」と称する。
【0003】
太陽光モジュールは、バックシート(back sheet)、EVA(エチレン酢酸ビニルコポリマー)、ソーラセル、EVA(エチレン酢酸ビニルコポリマー)、ガラスを積層して構成される。バックシートは、モジュールの最底部に設けられる素材であって、TPT(Tedlar/PET/Tedlar)型が主に用いられており、リボンは電流を流す通路として用いられるため、銅に銀または錫鉛(SnPb)でコーティングした素材が用いられる。
【0004】
太陽光モジュール用バックシートは、太陽電池モジュールの最裏面に取り付けてセルを保護する核心素材であり、耐久性/耐候性/絶縁性/透湿防止性などの特性を要し、通常、フッ素フィルムとPETフィルムを積層して製造する。
【0005】
フッ素フィルムは耐候性と耐久性に優れたフッ素フィルムが用いられる。現在、デュポン社が1961年開発したPVF樹脂で製造されたテドラー(Tedlar)フィルムが主に用いられているが、供給不足現象により一部企業ではPETなど他のフィルムに代替して使用することもある。
【0006】
EVA(エチレン酢酸ビニルコポリマー)は、1970年NASAとデュポン社が人工衛星に用いられる太陽電池用材料として共同開発したものであり、現在、太陽電池用封止材(Sealing)の標準として用いられる。日本の三井化学社とブリヂストン社が世界市場の70%以上を占めており、太陽電池の内部でセル(Cell)をシールし、充填する機能を果たす。また、EVAは強度、透明性、絶縁性に優れる。
【0007】
ポリエステル(Polyethylene Telephthalate;PET)フィルムは、所定の厚さと物性を有する面状のプラスチックフィルムを使用し、強度に優れており、バックシートの基本骨格を形成する。また、物理的、化学的、機械的、光学的に優れた特性を有しており、食品包装材及び事務用品から半導体、ディスプレイなど先端の電気電子製品に至るまで幅広く用いられている。近年、耐久性と耐候性に優れており、太陽電池用バックシートへの使用が増加している。
【0008】
ガラスは光の反射を防止する機能を果たすために鉄分の含量が少ないものを用いる。
【0009】
従来、TPT(Tedlar/PET/Tedlar)型のバックシートは、TedlarフィルムとPETフィルムを積層するためにそれぞれ接着剤を用いて積層する工程を要し、また、バックシートと封止材であるEVA(エチレン酢酸ビニルコポリマー)フィルムを接着をするためにポリウレタン接着剤などを用いて接着する段階をさらに要した。しかし、このようなTedlarフィルムはコストが高く、現在バックシートの製造工程コストの80%以上を占めており、バックシートのコスト上昇の原因となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、前記のように従来の複数段階の接着剤の塗布工程による工程上の問題点及びTedlarフィルム使用によるコスト上昇を解消するために鋭意研究した結果、ポリエステルフィルムに、従来のTedlarフィルム層を代替するフッ素コーティング組成物をオフラインで塗布してフッ素コーティング層を形成することにより工程及びコストを減少できることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
また、本発明者らは、前記フッ素コーティング層とポリエステルフィルムの接着性を向上させるためにポリエステルフィルムの一面または両面に易接着用アクリル系コーティング層を形成することによりフッ素コーティング層とポリエステルフィルムの接着性が向上することを見出し、本発明を完成した。特に、ポリエステルフィルムの製造時に、前記易接着用アクリル系コーティング層をインラインコーティングにより形成することでポリエステルフィルムとの接着性を向上させることができることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
即ち、本発明によると、従来太陽光モジュール用バックシートに用いられたTedlarフィルム/PETフィルム/Tedlarフィルムの積層構造においてTedlarフィルム層を代替するためにフッ素コーティング組成物を開発することで製品コストを下げることができ、前記フッ素コーティング組成物とポリエステルフィルムとの間の接着性を向上させるために易接着性アクリル系コーティング層を形成することにより接着性に優れたバックシート用フィルムを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、従来のTedlarフィルム/PETフィルム/Tedlarフィルムの積層構造においてTedlarフィルムをフッ素コーティング層に代替するための発明であって、前記の目的を解消するために、物性に優れたフッ素コーティング組成物を用いてオフラインコーティングによりフッ素コーティング層を形成することを特徴とする。
【0014】
しかし、このようなフッ素コーティング組成物はPETフィルム上にオフラインで塗布する場合、弱い接着力のせいでデラミネーションされる問題が生じ得るため、本発明者らは、インラインコーティング法を用いてPETフィルムの製造工程における延伸工程中に水分散組成物(エマルジョン)を塗布して、薄い塗布厚みを有するPETフィルムと易接着性アクリル系コーティング層を形成することでフッ素コーティング層の接着力が向上することを見出し、本発明を完成した。
【0015】
より具体的に、本発明は、一面または両面に易接着性アクリル系コーティング層が形成されたポリエステルフィルム層と、前記アクリル系コーティング層の上部にポリビニリデンフルオライドまたはテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライドから選択されるフッ素樹脂と二酸化チタンを含有するフッ素コーティング組成物を塗布したフッ素コーティング層と、を含む太陽光モジュール用バックシートに関する。
【0016】
また、本発明は、a)ポリエステル樹脂を溶融押出してポリエステルシートを製造する段階と、b)前記ポリエステルシートを縦方向に延伸する段階と、c)前記縦方向に延伸されたポリエステルフィルムの一面または両面にアクリル系バインダー樹脂2〜10重量%、メラミン系架橋剤0.2〜4重量%、硬化触媒0.02〜0.5重量%、及び水を合計100重量%になるように含有したアクリル系エマルジョンを塗布して易接着性アクリル系コーティング層を形成した後、横方向に延伸する段階と、d)前記二軸延伸されたポリエステルフィルムを熱固定する段階と、e)前記易接着性アクリル系コーティング層の上部にポリビニリデンフルオライドまたはテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライドから選択されるフッ素樹脂と二酸化チタンを含有するフッ素コーティング組成物をオフラインで塗布してフッ素コーティング層を形成する段階と、を含む太陽光モジュール用バックシートの製造方法に関する。
【0017】
以下、本発明についてより具体的に説明する。
【0018】
本発明において、前記ポリエステルフィルムはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどを用いることができる。
【0019】
本発明は、このようなポリエステルフィルムを製造する過程で一面または両面にインラインコーティングにより易接着性アクリル系コーティング層を形成する。本発明は、前記易接着性アクリル系コーティング層を用いてポリエステルフィルム上にフッ素コーティング層を塗布することができる。
【0020】
前記易接着性アクリル系コーティング層は、50〜300nmの乾燥塗布厚みを有するものが接着性に優れるため好ましい。
【0021】
前記易接着性アクリル系コーティング層は、アクリル系バインダー樹脂2〜10重量%、メラミン系架橋剤0.2〜4重量%、硬化触媒0.02〜0.5重量%、及び水を合計100重量%になるように含有したアクリル系エマルジョンを用いることが好ましい。
【0022】
前記アクリル系バインダー樹脂は、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ノルマルブチルメチルメタクリレート、アクリル酸とメタクリル酸の共重合体または三元共重合体のようなアクリル系樹脂を用いることができる。このようなアクリル系バインダーとして市販されるものとしては、2液性であるPrimal 1018、1液性であるPrimal−3208(ダウ社製)などが挙げられる。前記含量範囲は固形分に用いられる含量を意味する。
【0023】
前記メラミン系架橋剤はアクリル系バインダーの架橋密度を増加させるためのものであって、ポリエステルフィルムとの密着力を向上させ、以降、後加工工程のフッ素系コーティング層との接着力も向上させる。具体的にはメトキシメチルメチロールメラミンを用いることが好ましく、その含量は0.2〜4重量%の範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜3重量%を使用することが好ましい。
【0024】
また、前記硬化触媒はチオシアン酸アンモニウム(Ammonium thiocyanate)などを使用することができ、その含量は0.02〜0.5重量%であることがアクリル系バインダーの硬化度を高めることができるため好ましい。
【0025】
本発明において、前記フッ素コーティング層は、PVF(poly vinyl fluoride)からなるフッ素フィルムを代替するためのものであって、前記易接着性アクリル系コーティング層の上部に、オフライン法によりフッ素コーティング組成物を塗布して乾燥することで形成される。
【0026】
本発明において、前記フッ素コーティング組成物は、ポリビニリデンフルオライドまたはテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライドから選択されるフッ素樹脂と二酸化チタンを含む。
【0027】
前記フッ素樹脂として、ポリビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライドなどを使用することができ、オフラインコーティングができるように、溶剤に溶解が可能なものであれば制限されない。このようなフッ素樹脂はフッ素コーティング組成物全含量に対して10〜30重量%を含むことが乾燥塗布厚みが好適であるため好ましい。
【0028】
前記二酸化チタンは150〜300nmの粒径を有するルチル(rutile)型のものを用いることがUV遮断性に優れるため好ましい。その含量はフッ素樹脂の含量に対して30〜40重量%であることが好ましい。即ち、フッ素コーティング組成物の全含量に対して3〜12重量%を用いることが好ましい。
【0029】
また、前記フッ素コーティング組成物をオフラインで塗布するためには溶剤などを用いて樹脂を溶解して用いることができる。この際、使用可能な溶剤としては、ハイドロカーボン系、ケトン系などが挙げられ、好ましくはジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
【0030】
前記オフラインで塗布する方法としては、ロールコティング法、ダイコーティング法、コンマコーティング法などのコーティング法が挙げられる。好ましくは、乾燥塗布厚みが10〜30μmになるようにコーティングすることがUV遮断性に優れるため好ましい。
【0031】
次に、本発明のバックシートを製造する方法について具体的に説明する。
【0032】
本発明は、ポリエステル樹脂を溶融押出してシートを製造し、これを一軸延伸した後、アクリル系エマルジョンを塗布して横方向に二軸延伸し、ポリエステルフィルムを製造する段階と、前記ポリエステルフィルムにフッ素コーティング組成物を塗布する段階と、を含む。
【0033】
より具体的に本発明は、a)ポリエステル樹脂を溶融押出してポリエステルシートを製造する段階と、b)前記ポリエステルシートを縦方向に延伸する段階と、c)前記縦方向に延伸されたポリエステルフィルムの一面または両面にアクリル系バインダー樹脂2〜10重量%、メラミン系架橋剤0.2〜4重量%、硬化触媒0.02〜0.5重量%、及び水を合計100重量%になるように含有したアクリル系エマルジョンを塗布して易接着性アクリル系コーティング層を形成した後、横方向に延伸する段階と、d)前記二軸延伸されたポリエステルフィルムを熱固定する段階と、e)前記易接着性アクリル系コーティング層の上部にポリビニリデンフルオライドまたはテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライドから選択されるフッ素樹脂と二酸化チタンを含有するフッ素コーティング組成物をオフラインで塗布してフッ素コーティング層を形成する段階と、を含む。
【0034】
また、本発明は、必要に応じて、前記アクリル系エマルジョンを塗布する前にコロナ処理を施すことも可能であり、前記フッ素コーティング組成物の塗布前にコロナ処理を施すことも可能である。
【0035】
前記a)段階は、ポリエステルフィルムを製造するために樹脂をシリンダーで溶融押出し、T−ダイを用いてシートに製造する過程である。
【0036】
前記b)段階は、ポリエステルシートを二軸延伸してポリエステルフィルムを製造するための過程であって、縦方向延伸は一つ以上のローラを用いて延伸をすることが好ましい。
【0037】
次に、c)段階において、インラインコーティング法により易接着性アクリル系コーティング層を形成し、この際、インラインコーティングに用いるために水分散したエマルジョンを用いることが好ましい。
【0038】
この際、前記易接着性アクリル系コーティング層を構成するためのエマルジョンの組成は前記のとおりであり、塗布時に延伸後の乾燥塗布厚みが50〜300nmになるように塗布することが好ましい。
【0039】
アクリル系エマルジョンを塗布して易接着性アクリル系コーティング層を形成した後、横方向に延伸する。この際、横方向延伸はテンターを用いることができる。
【0040】
次に、前記易接着性アクリル系コーティング層に用いられた水分を除去し、硬化させ、フィルムが収縮されることを予防するために乾燥及び熱固定する過程を経る。
【0041】
その後、フッ素コーティング組成物をオフラインで塗布してフッ素コーティング層を形成し、この際、フッ素コーティング層は10〜30μmの乾燥塗布厚みを有するように塗布することが好ましい。
【発明の効果】
【0042】
本発明による太陽光モジュール用バックシートによると、製造工程が単純になり、コストダウンが可能で、かつ封止材との優れた接着性を有することができる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を参照して説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0044】
物性測定方法は下記のとおりである。
【0045】
1.接着性
ASTM D3359−97 Standard Test Methods For Measuring Adhesion By Tape Testを利用した。
【0046】
評価指標は下記のとおりである。
A:コーティング層剥離現象無し
B:コーティング層剥離現象10%
C:コーティング層剥離現象14%
D:コーティング層剥離現象31%
−合格:A
−不合格:B、C、D
【0047】
2.UV遮断性
測定装備:ベリアン社製、Cary5000UV−visible spectrophotometerを用いて測定した。
【0048】
UV透過度(%):バックシートを製造した後、フッ素コーティング層をUV光源側に向けてから全UV波長領域(200〜400nm)でUV透過度を測定した。測定した範囲で400nmにおけるUV透過度を示す値を用いた。
−合格:1%以下
−不合格:1%以上
【0049】
[実施例1]
易接着性アクリル系エマルジョン(1)の製造
アクリル系バインダー樹脂(Primal−3208(ダウ社製)の固形分含量基準)4重量%、メラミン系架橋剤としてメトキシメチルメチロールメラミン1.5重量%、硬化触媒としてチオシアン酸アンモニウム0.15重量%及び水 94.35重量%を混合してアクリル系エマルジョンを製造した。
【0050】
バックシート用ポリエステルフィルムの製造
水分が100ppm以下に除去されたポリエチレンテレフタレートチップを溶融押出機に注入して溶融した後、T−ダイを用いて押出しながら、表面温度が20℃であるキャスティングドラムで急冷、固化し、2000μmの厚さを有するポリエチレンテレフタレートシートを製造した。
【0051】
製造されたポリエチレンテレフタレートシートを110℃にて縦方向(MD)に3.5倍延伸した後、常温に冷却した。その後、前記易接着性アクリル系エマルジョン(1)をバーコーティング(bar coating)法で一面にコーティングした後、140℃にて予熱、乾燥して横方向(TD)に3.5倍延伸した。その後、5段テンターで235℃にて熱処理を施し、200℃にて縦方向及び横方向に10%弛緩して熱固定し、一面に易接着性アクリル系コーティング層が形成された250μmの二軸延伸フィルムを製造した。前記易接着性アクリル系コーティング層を延伸した後、乾燥塗布厚みは80nmであった。
【0052】
太陽光モジュール用バックシートの製造
前記アクリル系コーティング層が形成された二軸延伸されたポリエステルフィルムのアクリル系コーティング層の上部にポリビニリデンフルオライド20重量%、二酸化チタン(ルチル型、粒径220nm)5重量%及び溶剤(ジメチルアセトアミド)75重量%をサンドミル法により分散したフッ素コーティング組成物を15μmの乾燥塗布厚みで塗布した。
【0053】
このように得られたバックシートの物性を下記表1に示した。
【0054】
[実施例2]
前記実施例1で、バックシート製造時に二酸化チタンの含量を6重量%に調節したこと以外は実施例1と同様な方法で製造した。
【0055】
このように得られたバックシートの物性を下記表1に示した。
【0056】
[実施例3]
前記実施例1で、バックシート製造時に二酸化チタンの含量を7重量%に調節したこと以外は実施例1と同様な方法で製造した。
【0057】
このように得られたバックシートの物性を下記表1に示した。
【0058】
[実施例4]
前記実施例1で、バックシート製造時に二酸化チタンの含量を8重量%に調節したこと以外は実施例1と同様な方法で製造した。
【0059】
このように得られたバックシートの物性を下記表1に示した。
【0060】
[実施例5]
前記実施例1で、バックシート製造時にポリビニリデンフルオライドの代わりにテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド(THV)を用いて、150nmの粒径を有する二酸化チタンを用いること以外は実施例1と同様な方法で製造した。
【0061】
このように得られたバックシートの物性を下記表1に示した。
【0062】
[比較例1]
前記実施例1で、バックシート製造時に二酸化チタンが含まれていないフッ素コーティング組成物を用いたこと以外は同様に製造した。
【0063】
即ち、ポリビニリデンフルオライド20重量%と溶剤(ジメチルアセトアミド)80重量%を混合したフッ素コーティング組成物を15μmの乾燥塗布厚みで塗布した。
【0064】
このように得られたバックシートの物性を下記表1に示した。
【0065】
[比較例2]
前記実施例1で、バックシート製造時にフッ素コーティング組成物としてポリビニリデンフルオライド20重量%、二酸化チタン(ルチル型、粒径220nm)4重量%及び溶剤(ジメチルアセトアミド)80重量%をサンドミル法で分散したフッ素コーティング組成物を15μmの乾燥塗布厚みで塗布した。
【0066】
このように得られたバックシートの物性を下記表1に示した。
【0067】
[比較例3]
前記実施例1で、アクリル系コーティング層の乾燥塗布厚みを40nmに製造したこと以外は実施例1と同様に製造した。
【0068】
このように得られたバックシートの物性を下記表1に示した。
【0069】
[比較例4]
コロナで表面処理された二軸延伸されたポリエステルフィルムの上部にポリビニリデンフルオライド20重量%、二酸化チタン(ルチル型、粒径220nm)5重量%及び溶剤(ジメチルアセトアミド)75重量%をサンドミル法で分散したフッ素コーティング組成物を15μmの乾燥塗布厚みで塗布した。
【0070】
このように得られたバックシートの物性を下記表1に示した。
【0071】
【表1】