特許第5722997号(P5722997)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5722997
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】外部経皮接続用器具
(51)【国際特許分類】
   A61J 15/00 20060101AFI20150507BHJP
【FI】
   A61J15/00 Z
【請求項の数】18
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-510230(P2013-510230)
(86)(22)【出願日】2011年5月10日
(65)【公表番号】特表2013-526340(P2013-526340A)
(43)【公表日】2013年6月24日
(86)【国際出願番号】US2011035865
(87)【国際公開番号】WO2011143174
(87)【国際公開日】20111117
【審査請求日】2014年4月21日
(31)【優先権主張番号】61/332,911
(32)【優先日】2010年5月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511193846
【氏名又は名称】クック・メディカル・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】アギーレ, アンドレ, エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ドゥシャーム, リチャード, ダブリュー.
【審査官】 岩田 洋一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−005566(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0264413(US,A1)
【文献】 米国特許第05556385(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0156117(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部経皮流体接続を形成するための器具であって、
長手方向軸を画定する第1のチューブと、
前記第1のチューブを支持する第1のボルスターであって、第1の外側リングと、第1の内側ハブと、前記第1の内側ハブと前記第1の外側リングとを相互連結する第1の複数のスポークとを有する第1のボルスターであり、前記第1の複数のスポークがそれらの間に第1の複数の開口部を画定し、前記第1の内側ハブが前記第1のチューブに取り付けられている第1のボルスターであり、少なくとも部分的に強磁性材料で構成されている第1のボルスターと、
第2のチューブと、
前記第2のチューブを支持する第2のボルスターであって、第2の外側リングと、第2の内側ハブと、前記第2の内側ハブと前記第2の外側リングとを相互連結する第2の複数のスポークとを有する第2のボルスターであり、前記第2の複数のスポークがそれらの間に第2の複数の開口部を画定し、前記第2の内側ハブが前記第2のチューブに取り付けられている第2のボルスターであり、前記第1のボルスターの強磁性材料を誘引する磁場を形成する磁石を備える第2のボルスターと、
を備える器具。
【請求項2】
前記第1のボルスターと前記第2のボルスターが磁気的に接続されると、前記第1の複数の開口部は前記第2の複数の開口部と連通し、空気がそれを通過することを可能にする、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記磁石は環状の形状であり、近位側と前記近位側の反対側にある遠位側とを備える、請求項1に記載の器具。
【請求項4】
第2の外側リングが前記磁石の遠位側に接続されている、請求項3に記載の器具。
【請求項5】
前記第2の外側リングと、前記第2の内側ハブと、前記第2の複数のスポークは、中に強磁性粒子が埋め込まれているポリマーで構成されており、前記磁石が、前記強磁性粒子を通って流れる磁束を有する、請求項4に記載の器具。
【請求項6】
前記第2のボルスターが、第3の外側リングと、第3の内側ハブと、前記第3の内側ハブを前記磁石に連結する第3の複数のスポークとを備え、前記第3の複数のスポークがそれらの間に第3の複数の開口部を画定し、前記第3の内側ハブが前記第2のチューブに取り付けられており、前記第3の外側リングが前記磁石の近位側に取り付けられている、請求項4に記載の器具。
【請求項7】
前記第1の複数の開口部が前記第2の複数の開口部と連通し、前記第2の複数の開口部が前記第3の複数の開口部と連通し、空気が前記第1、第2、および第3の複数の開口部を通過することを可能にする、請求項6に記載の器具。
【請求項8】
前記第1のボルスターは、中に強磁性粒子が埋め込まれているポリマーで構成されている、請求項1に記載の器具。
【請求項9】
前記磁石が、前記第2のボルスターの中に埋め込まれた複数の磁化粒子で形成されている、請求項1に記載の器具。
【請求項10】
前記第1の外側リングが、前記長手方向軸に略垂直な遠位面を画定する遠位側を備え、前記第1の複数のスポークが前記遠位面から離間している、請求項1に記載の器具。
【請求項11】
前記第1の複数のスポークが、前記遠位面に対して湾曲している遠位表面を備える、請求項10に記載の器具。
【請求項12】
前記第1の内側ハブが前記遠位面から離間した遠位側を備える、請求項10に記載の器具。
【請求項13】
前記第1の複数のスポークが4つのスポークを備える、請求項1に記載の器具。
【請求項14】
前記第2の複数のスポークが4つのスポークを備える、請求項13に記載の器具。
【請求項15】
前記第1の外側リングは、前記第1のボルスターの把持を容易にするために、前記第1の外側リングから外側に突出する1対のタブを備える、請求項1に記載の器具。
【請求項16】
前記第2の外側リングは、前記第2のボルスターの把持を容易にするために、前記第2の外側リングから外側に突出する1対のタブを備える、請求項1に記載の器具。
【請求項17】
前記第2のチューブの遠位端が前記第2のボルスターを越えて遠位方向に突出し、前記遠位端が前記第1のチューブ内に受け入れられるサイズに形成されている、請求項1に記載の器具。
【請求項18】
前記第1のチューブが近位端と前記近位端に隣接する弁とを備え、前記第2のチューブの遠位端が前記第1のチューブ内に配置されると、前記弁が開放される、請求項17に記載の器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね、内臓または身体管腔への外部経皮接続に関する。
【背景技術】
【0002】
患者または医療スタッフに内臓または身体管腔へのアクセスを提供するために、多くの種類の外部経皮接続が形成される。例えば、IVライン、カテーテル、透析ライン、および人工肛門用袋等を配置するために、皮膚を通して半永久的接続が形成される。人が摂食できない場合、経皮内視鏡的胃瘻造設術チューブ(一般にPEGチューブとして知られている)が栄養供給手段として使用される。PEGチューブは、通常、腹部の小さい切開を通して胃の中に挿入される。これらのチューブは配置される形態であってもよい、または、接着パッドを有する大きい支持ボルスターを使用して、チューブを所定の位置に固定し、これにより一部が胃の中に延び、反対側の部分が胃から延び出し、皮膚を通り外部とアクセスする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、外部経皮流体接続を形成するための器具を提供する。一実施形態では、器具は、長手方向軸を画定する第1のチューブと、第1のチューブを支持する第1のボルスターとを備える。第1のボルスターは、第1の外側リングと、第1の内側ハブと、第1の内側ハブと第1の外側リングとを相互連結する第1の複数のスポークとを有する。第1の複数のスポークはそれらの間に第1の複数の開口部を画定し、第1の内側ハブは第1のチューブに取り付けられている。第1のボルスターは、少なくとも部分的に強磁性材料で構成されている。デバイスはさらに、第2のチューブと、第2のチューブを支持する第2のボルスターとを備える。第2のボルスターは、第2の外側リングと、第2の内側ハブと、第2の内側ハブと第2の外側リングとを相互連結する第2の複数のスポークとを有する。第2の複数のスポークはそれらの間に第2の複数の開口部を画定し、第2の内側ハブは第2のチューブに取り付けられる。第2のボルスターは、第1のボルスターの強磁性材料を誘引する磁場を形成する磁石を備える。
【0004】
より詳細な態様によれば、第1の複数の開口部は第2の複数の開口部と連通し、空気がそれを通過することを可能にする。磁石は環状の形状であり、遠位側の反対側に近位側を備える。第2の外側リングは磁石の遠位側に接続されている。好ましくは、第2の外側リングと、第2の内側ハブと、第2の複数のスポークは、中に強磁性粒子が埋め込まれているポリマーで構成されており、それにより磁石の磁束が強磁性粒子を通って流れる。任意選択により、第2のボルスターは、第3の外側リングと、第3の内側ハブと、第3の内側ハブを第3の外側リングに連結する第3の複数のスポークとを備えてもよい。第3の複数のスポークは、それらの間に第3の複数の開口部を画定する。第3の内側ハブは第2のチューブに取り付けられ、第3の外側リングは磁石の近位側に取り付けられている。第1、第2、および第3の複数の開口部は互いに連通して、空気が通過し、第1のチューブが身体の中に入るストーマの周囲の皮膚に達することを可能にする。
【0005】
さらに別の詳細な態様によれば、第1のボルスターは、好ましくは中に強磁性粒子が埋め込まれているポリマー、最も好ましくはSilicone(登録商標)などのエラストマーで構成されている。第2のボルスターの磁石は、第2のボルスターの中に埋め込まれた複数の磁化粒子で形成されてもよい。第2のチューブの遠位端は第2のボルスターを越えて遠位方向に突出し、第1のチューブ内に受け入れられるサイズに形成されている。第1のチューブは、近位端と、近位端に隣接する弁とを備え、第2のチューブの遠位端が第1のチューブ内に配置されると、弁が開放される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】外部経皮流体接続を形成するための器具の平面図である。
図2図1に示す器具の一部を形成する内部構成要素の斜視図である。
図3図2に示す内部構成要素の断面図である。
図4図1に示す器具の一部を形成する外部構成要素の斜視図である。
図5図1に示し、接続状態で示す器具の断面図である。
図6図1に示す器具の部分を形成する第1のボルスターと第2のボルスターの平面図である。
図7図1に示す器具の一部を形成するボルスターの代替の実施形態の斜視図である。
図8図6に示すボルスターの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書で使用する「近位」および「遠位」という用語は、使用者に対する基準点を有するものとする。具体的には、本明細書全体を通して、「遠位」および「遠位方向に」という用語は、略使用者から離れて、標的部位に向かう位置、方向、または向きを示すものとし、「近位」および「近位方向に」という用語は、略使用の方に向かい、標的部位から離れる位置、方向、または向きを示すものとする。従って、「近位」方向と「遠位」方向、器具の部分、または身体部位は、処置(例えば、経皮または腹腔鏡または内視鏡による)の入口点に依存する可能性がある。
【0008】
ここで図面を参照すると、図1は、外部経皮流体接続を形成するための器具20の正面図を示す。器具20は胃瘻栄養供給器具(例えば、PEGチューブ)として示したが、当業者には、器具20をIVライン、体内に留置されるカテーテル、透析ライン、および人工肛門用袋等を含む多くの様々な外部経皮接続の形成に適用できることが分かるであろう。器具20は、内部構成要素22と外部構成要素24とを備える。内部構成要素は、内臓または身体管腔(図1には胃12として示されている)への流体接続を形成するように外部構成要素24に選択的に接続することができる。
【0009】
内部構成要素22は、腹壁10の開口部およびそれに対応する胃壁12の開口部(即ち、ストーマ)を通して配置される第1のチューブ30を備える。チューブ30の遠位端34は胃12の内側に配置されるが、チューブ30の近位端36は体外からアクセス可能である。第1のチューブ30は第1のボルスター32により支持され、第1のボルスター32はまた胃壁10の外部に沿って配置される。
【0010】
外部構成要素24は、第2のボルスター52により支持される第2のチューブ50を備える。第2のボルスター52は第1のボルスター32と選択的に結合し、第1のチューブ30を第2のチューブ50と連結させ、外部経皮流体接続を形成する。第2のチューブ50の遠位端54はボルスター52を通って延び、第1のチューブ30の近位端36に流体接続するように配置される。第2のチューブ50の近位端56は、例えば、食物または医薬を導入するために、患者および医療従事者がアクセス可能な状態を維持する。従って、近位端56は、供給ポンプまたはシリンジ等に接続されるように構成される。
【0011】
ここで図2を参照すると、内部構成要素22がより詳細に示されている。第1のチューブ30は、第1のチューブ30の遠位端34に隣接して配置される伸長可能な部材38を備える。拡張可能な要素38は好ましくは膨張可能なバルーンであるが、当業者には文字通り、固定部材38が拡張可能なウイングおよび補正ねじ(correctional threads)等を含む多くの構造を備えてもよいことが分かるであろう。第1のボルスター32は、概ね、第1の外側リング40と、第1の内側ハブ42と、第1の内側ハブ42と第1の外側リング40とを相互連結する第1の複数のスポーク44とを備える。図示する実施形態では、第1の複数のスポーク44は4つのスポークを備え、スポーク44間に第1の複数の開口部46を画定する。より詳細には、複数の空間46はスポーク44と、内側ハブ42と、外側リング40との間に画定される。直径方向反対側にある2つのタブ48は、内部構成要素22を操作するために把持し易い構造を提供するように外側リング40に取り付けられているものとして示されている。
【0012】
図3で最も良く分かるように、第1のボルスター32のこの実施形態は、2つの要素により形成されているものとして示された。外側リング40は、タブ48と単一体に一体化して形成されたものとして示されたが、第1の内側ハブ42、第1の複数のスポーク44は、互いにおよびそれ自体の外側リング構成要素40aと単一体に一体化して形成されたものとして示された。この補助的外側リング40aは第1の外側リング40の厚みに対応する半径方向の厚みを有し、補助的外側リング40aは、接着剤、プラスチック溶接または他の周知の結合方法を使用して第1の外側リング40に取り付けられてもよい。しかし、外側リング40および/またはタブ48は第1の内側ハブ42および第1の複数のスポーク44と単一体に一体化して形成されてもよく、ボルスター32全体に強磁性粒子43が含浸されてもよいことが分かるであろう。従って、第1の内側ハブ42と、第1の複数のスポーク44と、補助的外側リング40aは、強磁性粒子43(後述する磁石59の誘引のための)が埋め込まれているポリマー材料で形成されてもよい。あるいは、第1のボルスター32の構成要素のいずれか(第1の外側リング40、第1の内側ハブ42、または第1のスポーク44など)が、全部、鋼などの強磁性材料で形成されてもよい。好ましくは、第1のボルスター32のポリマー材料はエラストマーであり、最も好ましくは、柔軟なボルスターが形成されるようにシリコーンまたはsantoprene(商標)で形成される。第1のボルスター32はまた、腹壁10の皮膚との摩擦を低減するためにparylene(商標)などの材料でコーティングすることもできる。
【0013】
図3で最も良く分かるように、第1のチューブ30の近位端36は、好ましくは摩擦嵌合、接着剤、プラスチック溶接、または他の公知の結合方法を使用して、第1のボルスター32の第1の内側ハブ42に接続されている。特に、第1の内側ハブ42と第1の複数のスポーク44の遠位側は、腹壁10から近位方向に離間している。換言すれば、第1の外側リング40は、腹壁10に当てて配置されるように構成されている遠位面DPを画定する遠位側を備え、第1の内側ハブ42と第1の複数のスポーク44の遠位側は遠位面DPから離間している。従って、第1の外側リング40により画定される大きい内部空間45はスポーク44間の第1の複数の開口部46と連通しており、それにより腹壁10およびストーマへの、または患者の他の皮膚領域への気流が可能となる。
【0014】
また、第1のチューブ30の近位端36は、弁(図には簡単なフラップ弁47として示されている)を備えることが図3で分かる。弁47は第2のチューブ50の遠位端54により押圧されると、フラップ弁47は図3に示すように開放位置に移動する。平弁47に力がかかっていないとき、それは図3に点線で示す閉鎖位置に戻り、それにより内容物の一部が第1のチューブ30を通って不注意に出ることが防止される。
【0015】
ここで図4を参照すると、外部構成要素24がより詳細に示されており、第2のチューブ50と第2のボルスター52とを備える。第2のチューブ50の遠位端54はボルスター52を通って突出し、第1のチューブ30の近位端36に入り、前述の弁47と係合する。接続時、チューブ30、50は略一直線に並び、長手方向軸Lを中心として同心円状に配置される。第2のチューブ50の近位端56は、第2のチューブ50の近位端56を密封するのに使用することができる、または供給ポンプ、シリンジまたは他の医療器具に接続するために図示するように開放することができるストッパー58を有するフラップ57を備える。同様に、第2のチューブ50の代わりに、人工肛門用袋等の別の管状部材を一部または全部使用してもよい。
【0016】
第1のボルスター32とほぼ同様に、第2のボルスター52は、第2の外側リング60と、第2の内側ハブ62と、第2の内側ハブ62と第2の外側リング60とを相互連結する第2の複数のスポーク64とを備える。第2の複数のスポーク64はそれらの間に第2の複数の開口部66を画定する。第2の内側ハブ62は、第2のチューブ50の遠位端54に取り付けられており、それを支持する。
【0017】
特に、第2のボルスター52は磁石59を備える。図4に示すように、磁石59は、好ましくは環状の形状の磁石であり、その半径方向の厚みは第2の外側リング60の厚みに対応する。内部構成要素と外部構成要素22、24が接続されると気流が促進されるように、この厚み寸法は好ましくは第1の外側リング40の厚みにも対応する。環状の磁石59は、接着剤または当該技術分野で公知の他の結合方法を使用して第2の外側リング60に取り付けられている。磁石59は第1のボルスター32の強磁性材料を誘引する磁場を形成し、それにより第1のボルスターと第2のボルスター32、52との選択的接続が形成される。従って、第2のボルスター52とその磁石59が第1のボルスター32に十分近接して配置されると、外部構成要素24は内部構成要素22に接続し、第2のチューブ50は前述のように第1のチューブ30と流体接続して配置される。磁石59の磁束の集束を助けるために、第2の外側リング60と、第2の内部ハブ62と第2の複数のスポーク64は、第1のボルスター32のものと同様に、即ち、中に強磁性粒子が埋め込まれているポリマー(好ましくはエラストマー)で形成されてもよい。また、粒子は、単に強磁性であるのではなく、磁化されてもよいことも分かる。
【0018】
第2のチューブ50と磁石59をさらに支持するために、第2のボルスター52はさらに第3の外側リング70と、第3の内部ハブ72と、第3の内部ハブ72と第3の外側リング70とを相互連結する第3の複数のスポーク74とを備えてもよい。第3の内部ハブ72は第2のチューブ50に、好ましくは摩擦嵌合、接着剤、またはプラスチック結合法を使用して接続されている。磁石59は遠位側と近位側とを備え、第2の外側リング60は遠位側に取り付けられているが、第3の外側リング70は、ここでも接着剤または他の公知の結合法を使用して、磁石59の近位側に取り付けられている。直径方向反対側にある1対のタブ68は、患者または医療従事者に確実な把持面を提供するように、磁石59、第2の外側リング60または第3の外側リング70のいずれかに接続されてもよい。
【0019】
図5に示すように、第2のボルスター52を第1のボルスター32に十分近接して配置すると、第2のボルスター52の磁石59は、第1のボルスター32の強磁性材料43(図3)に誘引されることになる。第2のチューブ50の遠位端54が第2のボルスター52を越えて突出するため、遠位端54が第1のチューブ30の近位端36の中に突出するときだけ、磁石59を第1のボルスター32に最近接して配置することができる。図5に示すこの接続された状態では、第2のチューブ50の遠位端54はチューブ30の中に突出し、これにより平弁47が開放される。このようにして、外部構成要素24と内部構成要素22との間に外部経皮流体接続が形成され、それにより物質が患者の外部から第2のチューブ50と第1のチューブ30を通って患者の胃12または他の内臓もしくは管腔に流入することが可能となる。
【0020】
特に、図5に示す接続状態では、器具20は腹壁10のストーマおよび皮膚に十分な気流を提供する。特に、空気は、第3の複数の開口部76を通り、磁石59により画定される内部空間65を通り、第2の複数の開口部66と第1の複数の開口部46を通り、第1のボルスター32の内部空間45を通って流動することができる。気流は、大きい開口部46、66、76により確保される。図6に示すように、複数の開口部46、66、76の弧の長さまたは半径方向の厚みTは、複数のスポーク44、64、74の厚みTより大きく、好ましくは少なくとも2倍大きく、最も好ましくは少なくとも3倍大きい。従って、円周方向でスポーク44、64、74が完全に一直線に並ばないときでも、従って、開口部46、66、76が完全に一直線に並ばないときでも、開口部46、66は依然として流体接続されており、これにより空気が、第2のボルスター52の第2の内部空間65から第1の内部空間45に流動することができる。
【0021】
ここで図7および8を参照すると、第1のボルスター132の別の代替の実施形態が示されている。前述の実施形態と同様に、第1のボルスター132は、外側リング140と、内側ハブ142と、内側ハブ142と外側リング140とを相互連結する複数のスポーク144とを備える。スポーク144間に複数の開口部146が画定されている。図8で最も良く分かるように、外側リング140は近位側140pと遠位側140dとを備え、遠位側140dは遠位面DPを画定する。遠位面DPは長手方向軸Lに略垂直である(本明細書で使用する場合「略」は5%以内を含む)。ここでも内側ハブ142は、遠位面から離間している遠位側142dを備え、同様に複数のスポーク144は、同様に遠位面DPから離間している遠位側144dを備える。特に、スポーク144の遠位表面144dは湾曲しており、これによりこれらのスポーク144の垂直高さ又は厚さは、外側リング140から内側ハブ142の方に減少する。ボルスター132のこの実施形態は、単一体に一体化して形成された1個の部品として、好ましくは強磁性材料が含浸されたポリマーで形成されてもよいことも分かる。
【0022】
器具20の他の多くの変形も可能である。例えば、第2のボルスター52の磁石59は環状の形状の磁石として形成される必要はないが、環状の形状に配置された一連の別個の磁石であってもよい。同様に、磁石59は、中に埋め込まれた磁石を分離する一連の空間を有し、第2のチューブ50の周囲に延びるプラスチック材料であってもよい。さらに、第2のボルスター52の代わりに、図7および図8に示すものと類似の設計を使用し、磁化粒子が埋め込まれているポリマー材料から形成してもよい。即ち、磁化可能な粒子をポリマー材料に埋め込み、これらをその後、磁化して、第1のボルスター32を誘引する磁束を提供してもよい。同様に、第3の外側リング70、第3の内部ハブ72および第3の複数のスポーク74ならびに図4および図5の設計は任意選択的である。前述のように、第2のチューブ50の代わりに、人工肛門用袋等の他の器具を一部または全部使用してもよい。
【0023】
同様に、図5に示す接続状態を容易にするために、第2のボルスター52の直径のサイズを第1のボルスター32の直径より大きくし、これによりボルスター52、32が互いに入れ子になり、第1のチューブと第2のチューブ30、50が確実に長手方向軸Lと一直線に並ぶようにしてもよい。第1のボルスターと第2のボルスター32、34、特にそれらの合せ面(即ち、第1のボルスター32の近位表面と第2のボルスター52の遠位表面)は、第1のチューブと第2のチューブ30、50の位置合わせ、ならびにスポーク44、64の位置合わせを容易にする他の係止機構(タブと移動止め、またはピンと穴など)を有してもよい。
【0024】
本発明の様々な実施形態の前述の説明は、例証および説明の目的で記載した。それは、網羅的であること、または開示されたまさにその実施形態に本発明を限定することを意図するものではない。上記の教示に鑑みて、多くの変更または変形が可能である。前述の実施形態は、当業者が本発明を様々な実施形態に、且つ考えられる特定の用途に適するように様々に変更して使用できるように、本発明の原理およびその実際の応用を最も良く例証するように選択し、記載した。公正に、合法的に、且つ公平に権利が与えられる範囲に基づいて解釈される場合、このような変更および変形は全て、添付の特許請求の範囲により決定される本発明の範囲に入る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8