(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本発明の第1の実施形態)
光ファイバケーブルの判別方式は、光ファイバケーブルの支持線又はテンションメンバとして使用されている鋼線に、送信器10から電気的な信号を送信用変流器(CT:current transformer)20を介して印加し、本発明に係るクランプ式電磁界センサ30(受信用センサ)を介して受信器40でその信号を検出することによって識別する。なお、送信器10及び受信器40は、例えば、TASCO社製の製品名「PTR600パワートレーサー」が挙げられる。
【0010】
送信器10は、様々なケーブル(0〜600V、交流(Alternating Current:AC)/直流(Direct Current:DC))に接続可能であり、判別の対象であるケーブル(以下、判別対象ケーブルと称す)の状況に応じて非常に微弱な誘導電流又は電圧を発生させる判別信号の印加方法を採用している。
【0011】
図1(a)において、送信器10は、周波数33.3kHzを基本信号として、1msecを周期(周波数1kHz)とするon/off及び400msecを周期(周波数2.5Hz)とするon/offを組合せた信号を発信する発信器11と、発信器11から入力される信号を増幅するアンプ12と、アンプ12から入力される信号のうち交流信号を通過させ直流信号を遮断するカップリングコンデンサ13を備えている。
【0012】
なお、発信器11から発信される信号において、周波数33.3kHz及び1kHzの信号は判別信号として機能する信号であり、周波数2.5Hzの信号はブザーの鳴動及びランプの点滅として機能する信号である。
【0013】
また、判別信号として、周波数33.3kHzの基本信号に周波数1kHzの信号を重畳させ、送信器10から判別対象ケーブルに印加して、受信器40により検出することで、判別対象ケーブルの周囲に敷設されている他のケーブルや周囲に設置されている機器が発生する外来ノイズ等の影響を低減させ、判別対象ケーブルの判別における信頼性の向上を図っている。
【0014】
送信用CT20は、内径27mmである分割型のフィライトコアに、20ターン(左右に各10ターン)の巻線を巻回している。なお、フィライトコアに巻回する巻線のターン数は、20ターンに限られるものではないが、次表1に示すように、実験結果により電圧印加及び電流通電の両特性が優れた20ターンにすることが好ましい。また、本実施形態に係る送信用CT20は、内径27mmのフィライトコアに巻線を巻回しているために、外径25mmまでのケーブルを判別対象にしているが、フィライトコアの内径を大きくすれば、この外径の判別対象ケーブルに限られるものではない。
【0016】
クランプ式電磁界センサ30は、判別対象ケーブルに対してクランプ可能に構成され、判別対象ケーブルに流れる電流に基づいて生じる磁界及び/又は判別対象ケーブルに印加される電圧に基づいて生じる電界を検出する検知器である。
【0017】
図2及び
図3(a)において、クランプ式電磁界センサ30は、判別対象ケーブルをクランプして軸通した状態で判別対象ケーブルの一部を周方向に包囲する略環状の電極31と、絶縁体32
(絶縁層32a)を介して電極31の環31aの外側に配設される磁気コア33
(金属層33a)と、磁気コア33
(金属層33a)を巻回する巻線34と、電極31からリード線35aにより引き出され、巻線34の両端からリード線35bにより引き出される出力部35と、磁気コア33
(金属層33a)を収容する筐体36とを備えている。
【0018】
電極31は、導電性を有する非磁性体からなり、本実施形態においては、略矩形状の1枚の銅板を屈曲して左右対称に形成され、略半環状を呈して対となって対向配置され、環31aの外側に突出して開閉時に相互が接離する突合せ端面31bを有し、当該突合せ端面31bに対して相反する方向に屈曲する対向面31cを有する。また、電極31は、判別対象ケーブルに印加される電圧に基づく静電誘導により電圧が生じ、リード線35aを介して出力部35に電圧を出力する。
【0019】
なお、電極31を非磁性体にすることは、判別対象ケーブルに流れる電流に基づいて生じる磁界を電極31により遮蔽することなく、磁気コア33に磁界を誘起するためである。
【0020】
また、電極31は、対向面31cを有することにより、対向面31cを壁面等に当接させ、壁内等に敷設された判別対象ケーブルに印加される電圧に基づいて生じる電界を検出することができ、判別対象ケーブルの敷設経路を確認することができる。
【0021】
なお、クランプ式電磁界センサ30に判別対象ケーブルの敷設経路の検索機能を持たせないのであれば、電極31に対向面31cを有する必要もなく、電極31は、例えば、
図4(a)に示すように、環31a及び突合せ端面31bを有する形状や、
図4(b)に示すように、環31aのみを有する形状であってもよい。
【0022】
磁気コア33は、導電性を有する磁性体からなり、本実施形態においては、薄いフィルム状の金属層33aに絶縁層32aであるPET(polyethylene terephthalate)フィルムをラミネートした磁気シールドシート(磁性体フィルム)を2枚使用し、電極31の環31a及び突合せ端面31bの外側に沿って各磁性体フィルムを配設している。
【0023】
また、磁気コア33は、検出感度が磁気回路中の空隙によって影響を受けるため、磁気コア33の突合せ状態を良い状態で保持することが重要である。このため、電極31の突合せ端面31bの外側に磁気コア33を配設することにより、電極31の突合せ端面31bにおける左右の磁性体フィルム同士の対向する面積を確保することができ、磁気コア33の特性の安定を図ることができる。
【0024】
なお、本実施形態に係る磁気コア33は、磁性体フィルムを用いているが、分割型のフィライトコアを用いてもよい。なお、導電性のあるコアを使用する場合は、
図3(b)に示すように、磁気コア33と電極31との間を絶縁するために、磁気コア33と電極31との間に絶縁体32を介在させる必要がある。
【0025】
巻線34は、左右の磁気コア33に対して同一方向(
図2では内巻き)に巻回したコイルを形成しており、左右のコイルは直列に接続されている。また、巻線34は、判別対象ケーブルに流れる電流に基づく電磁誘導により磁気コア33に電圧が誘起され、磁気コア33に誘起される磁界の変化に応じて誘導電流が生じ、リード線35bを介して出力部35に誘導電流を出力する。
【0026】
出力部35は、受信器40に接続して、電磁誘導により巻線34に生じる誘導電流を受信器40に出力し、静電誘導により電極31に生じる電圧を受信器40に出力する。
【0027】
筐体36は、樹脂により成形され、一対の磁気コア3
3をそれぞれ収納する略円弧状を呈して対となって対向配置されるコアカバー36aと、コアカバー36aの内側面に固着された電極31の突合せ端面31bを相互に接離するための一対のレバー36bとを備えている。
【0028】
受信器40は、送信器10から発信される信号のみを内部のマイクロプロセッサが自動的に識別することで、ケーブルを判別するための作業性及び確実性を飛躍的に向上している。なお、受信器40によるケーブルの判別は、判別対象ケーブルの導電部を通した閉回路が構成される場合には、判別対象ケーブルに、電圧がほとんど掛からず、電流が流れるために、この電流に基づいて生じる磁界の大きさから対象ケーブルの判別が可能となる。一方、判別対象ケーブルの導電部を通した閉回路が構成されない場合には、判別対象ケーブルに、電流がほとんど流れず、電圧が印加されるために、この電圧に基づいて生じる電界の大きさから対象ケーブルの判別が可能となる。
【0029】
図1(b)において、受信器40は、電磁界検出部41と、加算器42と、信号増幅・感度調整部43と、フィルタ44と、信号レベル検出部45と、報知部46とを備えている。
【0030】
電磁界検出部41は、クランプ式電磁界センサ30から入力される電圧及び/又は誘導電流から、電界(電圧)及び/又は磁界(誘導電流)を検出し、検出した誘導電流を電圧に変換して、加算器42に出力する。なお、磁界(誘導電流)の検出においては、共振回路を構成した場合と共振回路を構成しない場合とで、後述する評価試験を行なったところ、共振回路を構成した場合の方が、判別対象ケーブルの判別性能に優れていたために、電磁界検出部41は、磁界(誘導電流)の検出において共振回路を内蔵することが好ましい。
【0031】
加算器42は、電磁界検出部41から入力される、静電誘導に基づく電圧及び誘導電流を変換した電圧を加算して、信号増幅・感度調整部43に出力する。
【0032】
信号増幅・感度調整部43は、加算器42から入力される電圧に対して、受信強度が強い(以下、強受信と称す)場合には増幅率を50倍とし、受信強度が弱い(以下、弱受信と称す)場合には増幅率を2.5倍として、フィルタ44に出力する。なお、本実施形態に係る信号増幅・感度調整部43は、後述するクランプ式電磁界センサ30の仕様の検討において、受信器40に接続したクランプ式電磁界センサ30との相性が最適化できたために、この増幅率に設定しているが、この増幅率に限られるものではない。
【0033】
フィルタ44は、信号増幅・感度調整部43から入力される信号のうち、所定の周波数のみを通過させるバンドパスフィルタ(Band-pass filter:BPF)であり、通過させた所定の周波数の信号を信号レベル検出部45に出力する。
【0034】
信号レベル検出部45は、予め定めた閾値に基づき、フィルタ44から入力される信号のレベルを検出し、検出した信号レベルを報知部46に出力する。
【0035】
報知部46は、信号レベル検出部45から入力される信号のレベルに応じて、ブザーの鳴動及び/又はランプの点灯等により、作業者に対して報知する。
ここで、クランプ式電磁界センサ30の仕様を検討する。
【0036】
まず、クランプ式電磁界センサ30における巻線34の最適なターン数について、
図5(a)に示す評価試験回路を用い、閉回路の抵抗値が大きい場合(10kΩ以上)に電界の検出とし、閉回路の抵抗値が小さい場合(10kΩ以下)に磁界の検出として、受信器40と組み合わせて調整した結果を
図5(b)に示す。なお、ここでは、クランプ式電磁界センサ30における電極31及び磁性体フィルム(金属層33a、絶縁層32a)の長さ方向(周方向に直交する方向)の幅を16mmとしている。
【0037】
図5(b)に示すように、巻線34のターン数が30ターン及び40ターンの場合に、磁界検出において判別性能に良い結果が得られたために、本実施形態に係るクランプ式電磁界センサ30においては、巻線34のターン数として40ターンを選択した。なお、本実施形態に係る巻線34は、金属層33a(磁気コア33)を含む磁性体フィルムに対して40ターン(左右に各20ターン)で巻回しているが、この巻数に限られるものではなく、クランプ式電磁界センサ30に求められる磁界検出の感度に応じて巻数を調整することが好ましい。
【0038】
つぎに、
図6に示すフィールドを模擬した設備を構築し、送信器10、送信用CT20、クランプ式電磁界センサ30及び受信器40を備えたケーブル検索装置によるケーブルの判別性能について、検証した結果を
図7に示す。なお、ここでは、クランプ式電磁界センサ30における電極31及び磁性体フィルムの長さ方向の幅を16mmとしている。
【0039】
また、模擬フィールドは、一のテーブルと他のテーブル間の距離を20m程度とし、地上から1.5m程度の高さにアームにより吊り下げた、光ファイバ心線数200心、100心、12心、12心及び12心の光ファイバケーブルの組み合わせを、一のテーブルから他のテーブルを経由して一のテーブルに戻る略U字状のルートを作成した。この略U字状のルートのうち、模擬的に、200心、100心及び12心の3条と、12心、12心及び12心の3条との2ルートにおいて、検証試験を実施した。
【0040】
また、使用した光ファイバケーブルの長さは、200心の光ファイバケーブルが68mであり、100心の光ファイバケーブルが145mであり、12心の光ファイバケーブルが46mである。なお、光ファイバケーブルの余長については、端末部分で把を取って試験を実施している。
【0041】
また、接地点の抵抗値、並びに200心、100心及び12心の各光ファイバケーブルにおける支持線の抵抗値は、次表2に示すとおりである。
【0043】
さらに、検証試験では、判別信号の回り込みがない模擬装柱パターンとして、判別対象ケーブルと2本の他のケーブルとが接続されておらず、判別対象ケーブルの両端が接地されていない場合(模擬装柱パターン1)と、判別対象ケーブルと2本の他のケーブルとが接続されておらず、判別対象ケーブルの片端が接地されている場合(模擬装柱パターン2)と、判別対象ケーブルと2本の他のケーブルとが接続されておらず、判別対象ケーブルの両端が接地されている場合(模擬装柱パターン3)とを、各ルートについて検証した。
【0044】
また、検証試験では、判別信号の回り込みがあり、閉回路が構成されない模擬装柱パターンとして、判別対象ケーブルと1本の他のケーブルとが片端で接続されており、判別対象ケーブルの片端が接地されている場合(模擬装柱パターン4)と、判別対象ケーブルと1本の他のケーブルとが片端で接続されており、判別対象ケーブルの両端が接地されている場合(模擬装柱パターン5)とを、各ルートについて検証した。
【0045】
また、検証試験では、判別信号の回り込みがあり、閉回路が構成される模擬装柱パターンとして、判別対象ケーブルと1本の他のケーブルとが両端で接続されており、判別対象ケーブルの片端が接地されている場合(模擬装柱パターン6)と、判別対象ケーブルと1本の他のケーブルとが両端で接続されており、判別対象ケーブルの両端が接地されている場合(模擬装柱パターン7)と、判別対象ケーブルと2本の他のケーブルとが両端で接続されており、判別対象ケーブルの両端が接地されている場合(模擬装柱パターン8)とを、各ルートについて検証した。
【0046】
この検証試験では、
図7に示すように、電界を検出する性能(閉回路が構成されない場合のケーブルの判別性能)が劣っているという結果が得られた。そこで、電界検出の性能を向上させるため、電極
31の長さ方向の幅を30mm〜40mm範囲で変化させたところ、電極
31の長さ方向の幅が32mm以上において、ケーブル検索装置による電界検出の動作が良好であることを確認できた。
【0047】
なお、
図7において、二重丸(◎)印は、受信器40の報知部46であるLED(light-emitting diode)ランプが5個点灯し、非常に反応が良い場合であり、確実に判別が可能であるという評価結果を示す。また、丸(○)印は、受信器40の報知部46であるLEDランプが3〜5個点灯又はレベル判定が可能であり、反応が良い場合であり、判別が可能であるという評価結果を示す。また、三角(△)印は、受信器40の報知部46であるLEDランプが点灯し、反応が低い場合であり、LEDランプの点灯個数により判別が可能であるという評価結果を示す。また、ばつ(×)印は、受信器40の報知部46であるLEDランプが0〜3個点灯し、判別が不可能であるという評価結果を示す。
【0048】
図7に示す評価結果に基づき、電極
31の長さ方向の幅を32mmとし、磁性体フィルムの長さ方向の幅を16mmとしたクランプ式電磁界センサ30を用いた場合における、ケーブル検索装置によるケーブルの判別性能について、
図6に示す模擬フィールドを用いて検証した結果を
図8に示す。
【0049】
この検証試験では、
図8に示すように、全ての条件において、ケーブルの判別が可能であり、ケーブル検索装置は、ケーブルの判別器として良好な性能を有することを確認できた。
【0050】
前述したとおり、クランプ式電磁界センサ30における電極1及び磁性体フィルムは、長さ方向の幅を16mmとして、模擬フィールドでの検証を実施したところ、電界検出の性能の更なる向上が必要であり、電極
31の長さ方向の幅を32mm以上にすることが好ましいことが分かった。
【0051】
一方、電極
31の長さ方向の幅を大きくすることは、クランプ式電磁界センサ30の開閉に要する力が増加すると共に、筐体36に対して電極
31の突出量が大きくなり、判別対象ケーブルへのクランプ作業の作業性の低下や、判別対象ケーブルを十分にクランプできずに判別できない場合が想定される。
【0052】
これに対し、ケーブル検索装置によるケーブルの判別の信頼性と実用面とを考慮して、32mm〜50mmの範囲にある、32mm、35mm、40mm、45mm及び50mmの長さ方向の幅を有する電極
31を備えたクランプ式電磁界センサ30を用いて、
図5(a)に示す評価試験回路により電磁界検出の特性を検証した結果を次表3に示す。なお、受信器40は、磁界検出の性能が向上することが考えられる共振回路を構成したものを使用した。
【0054】
表3に示すように、クランプ式電磁界センサ30の特性は、電極
31の長さ方向の幅(以下、電極幅と称す)が32mm〜50mmにおいて大きな違いはないが、強受信における電界検出性能は、電極幅32mmに対して電極幅35mm以上の方が性能が良く、弱受信における磁界検出性能は、ループ抵抗が大きいほど小さな電流での判別が可能であるため、電極幅32mm及び35mmに対して電極幅40mm以上の方が性能が良いことになる。
【0055】
したがって、実用面を考慮して、クランプ式電磁界センサ30の電極幅として40mmが妥当であると考えられるため、電極幅40mmを含め、電極幅35mm及び50mmについて模擬フィールドで検証する。
【0056】
図6に示すフィールドとは別のフィールドを模擬した設備を構築し、ケーブル検索装置によるケーブルの判別性能について、電極幅を35mmにした場合の検証結果を
図9に示し、電極幅を40mmにした場合の検証結果を
図10に示し、電極幅を50mmにした場合の検証結果を
図11に示す。
【0057】
なお、模擬フィールドは、12心、12心及び12心の3条の1ルートにおいて、前述した模擬装柱パターン1〜8について、検証試験を実施した。また、使用した12心の光ファイバケーブルの長さは、90m、60m及び60mである。
さらに、接地点の抵抗値及び12心の各光ファイバケーブルにおける支持線の抵抗値は、次表4に示すとおりである。
【0059】
この検証試験では、
図9、
図10及び
図11に示すように、判別対象ケーブルの片端を接地した場合に、電界検出の性能に多少の差が現れ、電極幅が35mm、40mm、50mmの順に性能が向上していることがわかる。
【0060】
なお、全ての条件から判断すると、電極幅35mm、40mm及び50mmは、判別性能に問題はないものと考えられるが、実用面と判別性能の信頼性とを考慮すると、電極幅を40mmにすることが妥当であると考えられる。
【0061】
以上のように、本実施形態に係るクランプ式電磁界センサ30においては、1回のクランプ操作で判別対象ケーブルに流れる電流に基づいて生じる磁界及び判別対象ケーブルに印加される電圧に基づいて生じる
電界を検出することができ、ケーブルの判別作業性を大幅に簡略化することができるという作用効果を奏する。
【0062】
また、本実施形態に係るクランプ式電磁界センサ30においては、電極31が対向面31cを有することにより、壁内等に敷設された判別対象ケーブルに印加される電圧に基づいて生じる電界を検出することができ、判別対象ケーブルの敷設経路を確認することができるという作用効果を奏する。
【0063】
また、本実施形態に係るクランプ式電磁界センサ30においては、電極31の突合せ端面31bの外側に磁気コア33を配設することにより、電極31の突合せ端面31bにおける左右の磁性体フィルム同士の対向する面積を確保することができ、磁気コア33の特性の安定を図ることができるという作用効果を奏する。
【0064】
なお、以上の説明においては、電磁界センサとして、判別対象ケーブルの軸通を容易にするため、判別対象ケーブルに対してクランプ可能に構成されるクランプ式の電磁界センサを用いて説明したが、クランプ式に限られるものではなく、例えば、トロイダル型の磁気コア33を使用してトロイダル型の電磁界センサを構成してもよい。
【0065】
受信器の電磁界検出部41は、クランプ式電磁界センサ30から入力される電圧及び/又は誘導電流から、電界(電圧)及び/又は磁界(誘導電流)を検出し、検出した誘導電流を電圧に変換して、加算器42に出力することとしているが、電界検出信号と磁界検出信号との位相の相違による加算信号の打消し合いが生じ、誤判定を行うことがある。この誤判定を防止するためには、電界(電圧)を検出して信号レベルの判定を行い、及び/又は磁界(誘導電流)を検出して信号レベルの判定を行い、その後、総合的に判定する回路構成とすることで、判別性能を向上させることができる。また、誤判定を防止するための他の手段としては、検出した電界(電圧)信号を整流した後に増幅し、及び/又は検出した磁界(誘導電流)信号を整流した後に増幅し、その後、加算して信号レベルの判定を行う回路構成とすることでも、判別性能を向上させることができる。
【0066】
また、判別対象ケーブルとして、光ファイバケーブルを例に挙げて説明したが、光ファイバケーブルに限られるものではなく、本実施形態に係るクランプ式電磁界センサ30は、メタル通信ケーブルや電力ケーブル等の様々な電線・ケーブルの判別及び配線ルート探査などに適用することができる。