(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記温度検出部によって前記加熱部が所定温度に達したことが検出されると、前記加熱予想時間に制限されずに、前記結束処理を開始させることを特徴とする請求項3に記載の紙幣処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
第1の実施の形態
以下、本発明に係る紙幣を処理する紙幣処理装置の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、
図1乃至
図11は本発明の第1の実施の形態を示す図である。なお、本実施の形態の紙幣処理装置1aは、バラ紙幣の処理を行うバラ紙幣処理部50と、束紙幣の処理を行う束紙幣処理部60とを備えている。
【0020】
図1に示すように、バラ紙幣処理部50は、紙幣を投入するための紙幣投入口12と、紙幣投入口12から投入された紙幣を搬送する搬送部20と、入金時に搬送部20によって搬送された紙幣を一時的に保留するための入金一時保留部30と、搬送部20によって搬送された紙幣を金種別に収納するためのカセット31と、搬送部20に設けられて当該搬送部20によって搬送される紙幣が所定の要件を満たすかを識別する識別部15と、を備えている。なお、本実施の形態では、紙幣投入口12が紙幣を払い出すための紙幣払出口も兼ねている。ところで、以降の記載において「搬送部」とは、特に断りのない限り、バラ紙幣処理部50の搬送部だけでなく束紙幣処理部60が有する搬送部のことも意味している。
【0021】
搬送部20は、
図1に示すように、搬送路20aと、搬送路20a内の紙幣に駆動力を付与する駆動部(図示せず)と、を有している。また、搬送路20aの所定の箇所には、紙幣が正常に通過したかを検知するためのセンサ(図示せず)が配置されている。
【0022】
また、カセット31a−31cの各々には異なる金種の紙幣が収納され、例えば、カセット31aには1,000円紙幣が収納され、カセット31bには5,000円紙幣が収納され、カセット31cには10,000円紙幣が収納される。なお、カセット35にはカセット31がフルのため収納できなかったオーバーフロー紙幣や、カセット31a−31cに収納される紙幣として金種が指定されていない2,000円紙幣などが一括して収納されるようになっている。
【0023】
また、
図1に示すように、搬送部20には、搬送される紙幣の搬送先を適宜切り換えるための切換部21が設けられている。また、紙幣投入口12の前面側には、紙幣投入口12を開閉するためのバラシャッタ11が設けられている。なお、本実施の形態においては、紙幣投入口12とバラシャッタ11によってホッパー(入金部)10が構成されている。
【0024】
また、
図1に示すように、搬送部20の端部には、入金時に識別異常や搬送異常などの異常があると判断された紙幣が搬送される入金リジェクト部13が設けられている。ここで、識別異常とは、識別部15によって識別された情報が予め記憶された情報と一致しない場合のことを意味している。このような識別異常としては、例えば、識別された紙幣が予定していたのとは異なる種類の紙幣であると識別されたときや、そもそも紙幣の種類を識別することができなかったときなどを挙げることができる。また、搬送異常とは、搬送部20によって紙幣を搬送する際の異常を意味している。このような搬送異常としては、例えば、紙幣が斜めに搬送されている場合(斜行)や、複数の紙幣が重なって搬送されている場合(重送)や、複数の紙幣が所定の間隔を隔てないで搬送されている場合(連鎖)などを挙げることができる。
【0025】
また、
図1に示すように、搬送部20の別の端部には、出金時や結束するための紙幣を集積する集積時に識別異常や搬送異常などの異常があると判断された紙幣が搬送される出金リジェクト部23が設けられている。
【0026】
また、
図1に示すように、搬送部20のさらに別の端部には、集積時に搬送部20によって搬送された紙幣を集積して一時的に保留するための整理一時保留部(集積部)71が設けられている。
【0027】
また、
図1に示すように、整理一時保留部71近傍には、整理一時保留部71に集積された集積紙幣を把持して搬送する搬送アーム76と、当該搬送アーム76を上下方向でガイドする束ガイド部75が設けられている。そして、搬送アーム76によって搬送された集積紙幣を結束材で結束する結束処理を行う帯封部(結束部)65と、結束材を供給するテープセット部61も、設けられている。
【0028】
また、
図1に示すように、束紙幣処理部60は、結束された集積紙幣、すなわち束紙幣を出金するための束出金口82と、当該束出金口82の開閉を行う束シャッタ81も、有している。そして、これら束出金口82と束シャッタ81によって束出金部(出金部)80が構成されている。
【0029】
また、帯封部65は、
図2に示すように、集積紙幣を結束する結束処理を行う際に結束材を加熱するヒーター(加熱部)66と、ヒーター66が所定温度に達しているか否かを検出する温度検出部67と、所定温度に達した結束材によって集積紙幣を圧着することで結束する圧着部68と、を有している。
【0030】
また、
図2に示すように、紙幣処理装置1aは、温度検出部67によってヒーター66が所定温度に達していないことが検出されると、所定枚数(例えば100枚)の紙幣の同一金種の紙幣を整理一時保留部71に集積させる集積処理および「結束処理以外のその他の処理」を行うよう制御する制御部90も、を備えている。なお、「結束処理以外のその他の処理」としては、例えば、バラ紙幣を入金するバラ入金処理やバラ紙幣を出金するバラ出金処理などを挙げることができる。また、制御部90は、USBを介して上位端末95に接続されている。なお、制御部90には、紙幣処理装置1a内の在高、カセット31a−31cから搬送部20へ紙幣を繰り出す時間T1、搬送部20へ繰り出された紙幣が搬送部20から整理一時保留部71に到達するまでの時間T2(カセット31aから繰り出す場合はT2a、カセット31bから繰り出す場合はT2b、カセット31bから繰り出す場合はT2c)、ヒーター66の加熱開始から所定温度に達する加熱完了までの温度変化の推移を表す時系列データなどを記憶する記憶部94が接続されている。
【0031】
また、
図2に示すように、制御部90は、ヒーター66が所定温度に達するまでにかかる加熱予想時間と、集積処理が完了するまでにかかる集積予想時間とを比較する比較部91を有しており、当該比較部91によって加熱予想時間の方が集積予想時間よりも長いと判断された場合にのみ、集積処理に加えて「結束処理以外のその他の処理」も行わせるように制御する。加熱予想時間は、記憶部94に記憶されているヒーター66の時系列データに基づいて、制御部90によって算出される。また、集積予想時間は、制御部80によって記憶部94に記憶されているT1およびT2(T2a、T2bまたはT2c)から、T1×100(繰出枚数)+T2で算出される。
【0032】
なお、制御部90は、集積処理を行わせた後で「結束処理以外のその他の処理」を行わせるよう制御してもよいし、逆に、少なくとも一つの「結束処理以外のその他の処理」を行わせた後で集積処理を行わせるように制御してもよい。
【0033】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用および効果について述べる。
【0034】
バラ・結束出金
最初に、バラ紙幣と束紙幣を出金する処理を行う場合について説明する。
【0035】
まず、上位端末95を介して、利用者によって、バラ紙幣を出金する処理と、束紙幣を出金する処理を行うことが選択される。このように、バラ紙幣と束紙幣を出金する処理を行うことが選択されると、温度検出部67によって、ヒーター66が所定温度に達しているか否か(所定温度以上か)が検出される(
図6のS11参照)。なお、以降において、ヒーター66の温度は温度検出部67によって検出され続ける。
【0036】
ここで、ヒーター66が所定温度に達していない場合には(
図6のS11下方の“NO”参照)、比較部91によって、ヒーター66が所定温度に達するまでにかかる加熱予想時間と、集積処理が完了するまでにかかる集積予想時間とが算出され(
図6のS12参照)、比較される(
図6のS13参照)。
【0037】
そして、比較部91によって加熱予想時間の方が集積予想時間よりも長いと判断されると(
図6のS13下方の“NO”参照)、制御部90によって、集積処理に加えて「結束処理以外のその他の処理」(本実施の形態では、バラ紙幣を出金するバラ出金処理)も行うことが決定される。他方、比較部91によって加熱予想時間の方が集積予想時間よりも長くならないと判断されると(
図6のS13側方の“YES”参照)、制御部90によって、集積処理(
図6のS17参照)を行うことが決定される。
【0038】
以下、制御部90によって、集積処理に加えて「結束処理以外のその他の処理」(本実施の形態では、バラ紙幣を出金するバラ出金処理)も行うことが決定された場合について、まず説明する。
【0039】
制御部90によって、集積処理に加えてバラ出金処理も行うことが決定されると、集積処理とバラ出金処理の両方が行われる(
図6のS15参照)。
【0040】
ここで、バラ出金処理を行う際の処理方法について、
図3を用いて説明する。まず、利用者によって指定されたバラ紙幣の枚数からなる紙幣がカセット31から一枚ずつ繰り出される。そして、このように繰り出された紙幣は、識別部15によって識別された後で、紙幣投入口12へと払い出される。なお、識別部15で識別することができなかったりして異常(搬送異常も含む)が発生した紙幣は、出金リジェクト部23へと搬送される。
【0041】
また、集積処理を行う際の処理方法について、
図4を用いて説明する。まず、利用者からの指定に基づいて、一束を構成するだけの枚数(例えば100枚)の一金種(例えば1万円)の紙幣がカセット31から繰り出される。そして、このように繰り出された紙幣は、識別部15によって識別された後で、整理一時保留部71で集積される。なお、識別部15で識別することができなかったりして異常(搬送異常も含む)が発生した紙幣は、出金リジェクト部23へと搬送される。
【0042】
上述のように集積処理とバラ出金処理の両方が行われ(
図6のS15参照)、かつ、温度検出部67によってヒーター66が所定温度に達していることが検出されると(
図6のS16参照)、圧着部68によって結束材を用いて集積紙幣が結束される。
【0043】
その後、束紙幣が束出金口82から出金(結束出金)されて(
図6のS20参照)、処理が終了される。
【0044】
ところで、上記では、集積処理とバラ出金処理のみが行われる態様を用いて説明したが、これに限られることはなく、例えば紙幣投入口と紙幣払出口が別々に構成されている場合には(例えば
図9(a)(b)−
図11(a)(b)(詳細は後述する)に示した紙幣処理装置1b参照)、集積処理とバラ出金処理の両方が行われた後で未だヒーター66が所定温度に達していないときに、バラ紙幣の入金処理など、次の取り引きが行われてもよい。
【0045】
他方、上記とは異なり、利用者によって、バラ紙幣と束紙幣を出金する処理を行うことが選択された段階で、ヒーター66が所定温度に達している場合には(
図6のS11側方の“YES”参照)、続いて、集積処理(
図6のS17参照)、結束出金処理(
図6のS20参照)およびバラ出金処理(
図6のS18参照)が順に行われる。
【0046】
また、比較部91によって加熱予想時間の方が集積予想時間よりも長くならないと判断されて(
図6のS13側方の“YES”参照)、制御部90によって、集積処理を行うことが決定された場合にも、続いて、集積処理(
図6のS17参照)、結束出金処理(
図6のS20参照)およびバラ出金処理(
図6のS18参照)が順に行われる。
【0047】
上述のように、本実施の形態によれば、集積予想時間よりも加熱予想時間の方が長いときに、集積処理と「結束処理以外のその他の処理」(本実施の形態ではバラ出金処理)を行うことができる。このため、ヒーター66が温まるまでの空き時間をなくすことができ、全体の処理時間を短縮することができる。
【0048】
また、集積処理を先に行ってバラ出金処理を後に行う態様においては、温度検出部67によってヒーター66が所定温度に達していることが検出されると、例えばバラ出金処理の途中であっても、集積紙幣を結束材で結束することができる。このため、バラ出金処理と結束出金処理を同時並行で行うことができ、全体の処理時間をさらに短縮することができる。
【0049】
また、本実施の形態によれば、集積予想時間と加熱予想時間とが比較され、集積予想時間よりも加熱予想時間の方が長いときにのみ、集積処理と「結束処理以外のその他の処理」を行うので、必要な場合(集積予想時間よりも加熱予想時間の方が長い場合)以外は、結束出金処理を優先して行わせることができる。
【0050】
ところで、上記では、集積予想時間と加熱予想時間を算出するとともに、これらを比較する態様を用いて説明したが、これに限られることはない。例えば、
図7に示すように、利用者によってバラ紙幣と束紙幣を出金する処理を行うことが選択された段階でヒーター66が所定温度に達していない場合には、集積予想時間と加熱予想時間を算出することや集積予想時間と加熱予想時間とを比較することなく、直ちに、バラ出金処理と集積処理(
図7のS15参照)を開始してもよい。
【0051】
また、本実施の形態では、整理一時保留部71が一つだけ設けられている態様を用いて説明しているが、これに限られることはなく、整理一時保留部71は二つ以上あってもよい。このように整理一時保留部71が二つ以上ある場合には、整理一時保留部71の数の分だけ同時期に集積処理を行うことができる(すなわち、一方の整理一時保留部71に紙幣が集積されている際に、他方の整理一時保留部71に紙幣を集積させることができる。)。
【0052】
バラ・結束入金
次に、バラ紙幣を入金する場合について説明する。
【0053】
まず、上位端末95を介して、利用者によって、紙幣を入金する処理を行うことが選択され、利用者によって、紙幣が紙幣投入口12aに投入される。
【0054】
次に、紙幣投入口12に投入された紙幣が、搬送部20によって搬送されて識別部15で識別されるとともに計数され(
図8のS31参照)、その後、入金一時保留部30まで搬送される(
図8のS32参照)。
【0055】
次に、利用者によって上位端末95の入金確定のボタンが押下されると(
図8のS33下方の“YES”参照)、後述する処理(
図8のS34以降の処理)が行われる。他方、入金確定を拒否するボタンが押下されたり何も操作されないまま一定時間が経過したりすると(
図8のS33側方の“NO”参照)、入金された紙幣は搬送部20によって搬送されて、紙幣払出口12を介して利用者のもとに返却されて(
図8のS36参照)、処理が終了される。
【0056】
次に、利用者によって入金確定のボタンが押下された場合について、以下、説明する。
【0057】
利用者によって入金確定のボタンが押下されると、次に、制御部90によって機内在高が確認されて(
図8のS34参照)、入金された紙幣の全てをカセット31に収納することができるかが判断される。
【0058】
ここで、制御部90によって入金された紙幣の全てをカセット31に収納することができると判断された場合には(
図8のS35側方の“YES”参照)、入金一時保留部30の紙幣は識別部15を介して金種毎に振り分けられてバラ紙幣がそれぞれのカセット31a−31cに収納される(
図8のS48参照)。他方、制御部90によって入金された紙幣の全てをカセット31に収納することができないと判断された場合には(
図8のS35下方の“NO”参照)、次の処理が行われる。
【0059】
すなわち、まず、温度検出部67によって、ヒーター66が所定温度に達しているか否かが検出される(
図8のS41参照)。そして、ヒーター66が所定温度に達していない場合には(
図8のS41下方の“NO”参照)、比較部91によって、ヒーター66が所定温度に達するまでにかかる加熱予想時間と、集積処理が完了するまでにかかる集積予想時間とが算出され(
図8のS42参照)、比較される(
図8のS43参照)。
【0060】
次に、比較部91によって加熱予想時間の方が集積予想時間よりも長いと判断されると(
図8のS43下方の“NO”参照)、制御部90によって、集積処理に加えて「結束処理以外のその他の処理」(バラ紙幣をカセット31に収納するバラ収納処理)も行うことが決定される(
図8のS45の(1)参照)。他方、比較部91によって加熱予想時間の方が集積予想時間よりも長くならないと判断されると(
図8のS43側方の“YES”参照)、制御部90によって、集積処理を行うことが決定される(
図8のS47参照)。
【0061】
以下、制御部90によって、集積処理に加えて「結束処理以外のその他の処理」(バラ紙幣を収納するバラ収納処理)も行うことが決定された場合について、まず説明する。
【0062】
制御部90によって、集積処理に加えて「結束処理以外のその他の処理」も行うことが決定されると、集積処理とバラ収納処理の両方が行われる(
図8のS45の(1)参照)。この際には、集積処理を先に行ってバラ収納処理を後に行ってもよいし、逆に、バラ収納処理を先に行って集積処理を後に行ってもよい。なお、集積処理を先に行ってバラ収納処理を後に行う態様においては、温度検出部67によってヒーター66が所定温度に達していることが検出されると、例えばバラ収納処理の途中であっても、集積紙幣を結束材で結束してもよい。
【0063】
そして、集積処理が行われ、かつ、温度検出部67によってヒーター66が所定温度に達していることが検出されると(
図8のS49参照)、圧着部68によって結束材を用いて集積紙幣が結束される。
【0064】
その後、束紙幣が、例えば束出金口82内に収納されて入金される(
図8のS50参照)。なお、束紙幣の収納とバラ収納処理の両方が終了することで、処理が終了される。
【0065】
ところで、集積処理とバラ収納処理の両方が行われた後で未だヒーター66が所定温度に達していない場合には、「結束処理以外のその他の処理」として、バラ紙幣の出金処理などの次の取り引きが行われてもよい(
図8のS45の(2)参照)。
【0066】
他方、上記とは異なり、制御部90によって入金された紙幣の全てをカセット31に入金することができないと判断された段階で、ヒーター66が所定温度に達している場合には(
図8のS41側方の“YES”参照)、続いて、集積処理(
図8のS47参照)、結束収納処理(
図8のS50参照)およびバラ収納処理(
図8のS48参照)が順に行われる。
【0067】
また、比較部91によって加熱予想時間の方が集積予想時間よりも長くならないと判断されて(
図8のS43側方の“YES”参照)、制御部90によって、集積処理を行うことが決定された場合にも、続いて、集積処理(
図8のS47参照)、結束収納処理(
図8のS50参照)およびバラ収納処理(
図8のS48参照)が順に行われる。
【0068】
上述のように、集積予想時間よりも加熱予想時間の方が長いときに、集積処理と「結束処理以外のその他の処理」(バラ収納処理)を行うことができる。このため、入金時においても、ヒーター66が温まるまでの空き時間をなくすことができ、全体の処理時間を短縮することができる。
【0069】
また、集積処理を先に行ってバラ収納処理を後に行う態様においては、温度検出部67によってヒーター66が所定温度に達していることが検出されると、例えばバラ収納処理の途中であっても、集積紙幣を結束材で結束することができる。このため、バラ収納と結束収納を同時並行で行うことができ、全体の処理時間をさらに短縮することができる。
【0070】
さらに、集積処理とバラ収納処理の両方が行われた後で未だヒーター66が所定温度に達していない場合には、「結束処理以外のその他の処理」としてバラ紙幣の出金処理なども行うことができる。このため、ヒーター66が温まるまでの空き時間をさらに効率よくなくすことができる。
【0071】
ところで、上記では、集積予想時間と加熱予想時間を算出するとともに、これらを比較する態様を用いて説明したが、これに限られることはない。例えば、制御部90によって入金された紙幣の全てをカセット31に入金することができないと判断された段階で(
図8のS35下方の“NO”参照)、集積予想時間と加熱予想時間を算出することや集積予想時間と加熱予想時間とを比較することなく、直ちに、バラ収納と集積処理(
図8のS45参照)を開始してもよい。この場合、バラ・結束出金と同様、集積処理後はヒーター66が所定温度に達するまでの間、バラ収納処理を行い、所定温度に達した時点で結束処理を行うようにしても構わない。
【0072】
[変形例]
上述したように
図1に示すような紙幣処理装置1aを用いる代わりに、
図9(a)(b)−
図11(a)(b)に示すような紙幣処理装置1bを用いてもよい。
【0073】
以下、
図9(a)(b)−
図11(a)(b)に示した紙幣処理装置1bの構成について説明する。なお、紙幣処理装置1aと同様の機能を果たす部分には、紙幣処理装置1aと同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0074】
紙幣処理装置1bは、紙幣処理装置1aと同様、識別部を有しているが、この識別部は、入金時に識別を行う入金識別部15aと、出金時に識別を行う出金識別部15bとを有している。
【0075】
また、
図1に示す紙幣処理装置1aでは、紙幣投入口12が紙幣を払い出すための紙幣払出口も兼ねていたが、
図9(a)(b)−
図11(a)(b)に示す紙幣処理装置1bでは、紙幣投入口12aと紙幣払出口12bは別体を構成している。
【0076】
また、紙幣処理装置1bは、符号31dで示されたカセット31も有しており、このカセット31dには2,000円紙幣が収納される。また、各カセット31a−31dの上部には、入金された紙幣を金種別で一時保留するための入金一時保留部30a−30dが設けられている。また、一括して紙幣を集積するカセット35の上部にも紙幣を一時保留するための一括一時保留部36が設けられている。
【0077】
また、紙幣処理装置1bは、束紙幣を集積するための束集積部116と、束紙幣を金種別に収納するための束収納カセット131(束収納カセット131a−131e)と、搬送部20で搬送される束紙幣の金種などを識別する束判別部115と、を備えている。
【0078】
また、紙幣処理装置1bは、少量の束紙幣を出金するための束出金口82aと、大量の束紙幣を出金するための束機外投出口82bも、備えている。
【0079】
このような紙幣処理装置1bによれば、以下に示すような処理を行うことができる。
【0080】
バラ・結束入金処理
以下、
図9(a)(b)を用いて、バラ紙幣と束紙幣が入金される際の態様について説明する。
【0081】
まず、紙幣投入口12aに投入された紙幣は、入金識別部15aを通って、整理一時保留部71へ搬送される。
【0082】
そして、整理一時保留部71に所定枚数(例えば100枚)の紙幣が集積された時に、ヒーター66の温度が所定温度以下の場合には、「結束処理以外のその他の処理」として、バラ紙幣の入金処理が行われる。具体的には、紙幣投入口12aに投入された紙幣が、各カセット31a−31dに設けられた入金一時保留部30a−30dまで搬送され、入金が確定されると各カセット31a−31dに収納される。
【0083】
そして、ヒーター66が所定温度に達すると、整理一時保留部71に集積された紙幣が搬送アーム76によって搬送され、帯封部65で結束される。その後、結束された束紙幣は、一旦、束集積部116に集積され、束識別部115で金種識別されて、それぞれの束収納カセット131a−131dまで搬送され、収納される。なお、結束して束紙幣を束収納カセット131に収納する結束入金処理は、バラ紙幣の入金が完了されることを待たずに、ヒーター66が所定温度に達した時点で開始されてもよい。
【0084】
バラ・結束出金処理
以下、
図10(a)(b)を用いて、バラ紙幣と束紙幣が出金される際の態様について説明する。
【0085】
まず、カセット31から紙幣が繰り出され、当該紙幣は出金識別部15bを通って整理一時保留部71まで搬送される。
【0086】
そして、整理一時保留部71に所定枚数(例えば100枚)の紙幣が集積された時に、ヒーター66の温度が所定温度以下の場合には、「結束処理以外のその他の処理」として、バラ紙幣の出金処理が行われる。具体的には、カセット31から出金額分の紙幣が繰り出され、出金識別部15bを通って、紙幣払出口12bまで搬送される。
【0087】
そして、ヒーター66が所定温度に達すると、整理一時保留部71に集積された紙幣が搬送アーム76によって搬送され、帯封部65で結束される。その後、結束された束紙幣は束出金口82aまで搬送され、出金される。なお、結束して束紙幣を束出金口82aから出金する結束出金処理は、バラ紙幣の出金が完了されることを待たずに、ヒーター66が所定温度に達した時点で開始されてもよい。
【0088】
バラ入出金・結束出金処理
以下、
図11(a)(b)を用いて、バラ紙幣の入出金と束紙幣の出金が行われる際の態様について説明する。
【0089】
まず、カセット31から紙幣が繰り出され、当該紙幣は出金識別部15bを通って整理一時保留部71まで搬送される。
【0090】
そして、整理一時保留部71に所定枚数(例えば100枚)の紙幣が集積された時に、ヒーター66の温度が所定温度以下の場合には、「結束処理以外のその他の処理」として、バラ紙幣の出金処理が行われる。具体的には、カセット31から出金額分の紙幣が繰り出され、出金識別部15bを通って、紙幣払出口12bまで搬送される。
【0091】
バラ紙幣の出金処理が終了した時点でヒーター66が所定温度以下の場合には、「結束処理以外のその他の処理」として、次の取り引きで入金処理がある場合に限り、バラ紙幣の入金処理が行われる。具体的には、紙幣投入口12aに投入された紙幣が、各カセット31a−31dに設けられた入金一時保留部30a−30dまで搬送され、入金が確定されると各カセット31a−31dに収納される。
【0092】
そして、ヒーター66が所定温度に達すると、整理一時保留部71に集積された紙幣が結束される。その後、結束された束紙幣は束出金口82aまで搬送され、出金される。
【0093】
このように、紙幣処理装置1bでは、入金する紙幣を搬送する経路と出金する紙幣の経路とが完全に独立している。このため、バラ紙幣の入金処理と出金処理とを同時に行うことができ、有益である。
【0094】
なお、上述した変形例においては、
図7のフローに基づく実施の形態と同様の態様を用いて説明したが、これに限られることはなく、
図6または
図8に示されたフローと同様、加熱予想時間と集積予想時間とを比較した結果に基づいた処理を行っても構わない。
【0095】
参考例としての実施の形態
次に、
図12により、本発明の
参考例としての実施の形態(以下では「本実施の形態」とも言う。)について説明する。
【0096】
第1の実施の形態(変形例を含む)では、温度検出部67によって加熱部が所定温度に達していないことが検出されると、集積処理と少なくとも一つの「結束処理以外のその他の処理」が必ず行われていた。これに対して、
参考例としての実施の形態では、比較部91によって加熱予想時間の方が集積予想時間よりも長いと判断された場合に、集積処理または「結束処理以外のその他の処理」(本実施の形態では、バラ紙幣を出金するバラ出金処理)を開始し、温度検出部67によってヒーター66が所定温度に達し、かつ、集積処理が完了していることを条件として結束処理を開始させるものである。
【0097】
その他の構成は
図1乃至
図11(a)(b)に示す第1の実施の形態(変形例を含む)と略同一である。
図12に示す
参考例としての実施の形態において、
図1乃至
図11(a)(b)に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0098】
バラ・結束出金
バラ・結束出金とバラ・結束入金のいずれでも第1の実施の形態と同様、類似した効果を奏することができるので、本実施の形態では、バラ紙幣と束紙幣を出金する処理を行う場合を例にとって説明する。
【0099】
まず、上位端末95を介して、利用者によって、バラ紙幣と束紙幣を出金する処理を行うことが選択される。このように、バラ紙幣と束紙幣を出金する処理を行うことが選択されると、温度検出部67によって、ヒーター66が所定温度に達しているか否かが検出される(
図12のS11参照)。なお、以降において、ヒーター66の温度は温度検出部67によって検出され続ける。
【0100】
ここで、ヒーター66が所定温度に達していない場合には(
図12のS11下方の“NO”参照)、比較部91によって、ヒーター66が所定温度に達するまでにかかる加熱予想時間と、集積処理が完了するまでにかかる集積予想時間とが算出され(
図12のS12参照)、比較される(
図12のS13参照)。
【0101】
そして、比較部91によって加熱予想時間の方が集積予想時間よりも長いと判断されると(
図12のS13下方の“NO”参照)、制御部90によって、集積処理または「結束処理以外のその他の処理」(本実施の形態では、バラ紙幣を出金するバラ出金処理)を行うことが決定される。なお、本実施の形態では、まず集積処理(
図12のS17参照)を行い、その後で、バラ出金処理(
図12のS18’、S18参照)を行う態様を用いて以下説明するが、これに限られることはなく、まずバラ出金処理を行い、その後で、集積処理を行う態様であってもよい。
【0102】
他方、比較部91によって加熱予想時間の方が集積予想時間よりも長くならないと判断されると(
図12のS13側方の“YES”参照)、制御部90によって、集積処理(
図12のS17参照)を行うことが決定される。
【0103】
以下、制御部90によって、集積処理または「結束処理以外のその他の処理」を行うことが決定された場合について、まず説明する。
【0104】
制御部90によって、集積処理または「結束処理以外のその他の処理」を行うことが決定されると、本実施の形態では、まず集積処理(
図12のS17参照)が行われる。
【0105】
そして、集積処理が完了した時点で、予想に反して温度検出部67によってヒーター66が所定温度に達していることが検知された場合には(
図12のS16’下方の“YES”参照)、圧着部68によって結束材を用いて集積紙幣が結束されて、結束された束紙幣が束出金口82から出金(結束出金)される(
図12のS20参照)。
【0106】
そして、その後、バラ出金処理が行われて(
図12のS18参照)、処理が終了される。
【0107】
他方、集積処理が完了した時点で、予想通り温度検出部67によってヒーター66が所定温度に達していることが検知されない場合には(
図12のS16’側方の“NO”参照)、次に、バラ出金処理が開始される(
図12のS18’参照)。そして、温度検出部67によってヒーター66が所定温度に達していることが検出された時点で(
図12のS16参照)、圧着部68によって結束材を用いて集積紙幣が結束される。
【0108】
その後(または、バラ紙幣の出金が行われているときに)、束紙幣が束出金口82から出金(結束出金)される(
図12のS20参照)。
【0109】
ところで、上記では、集積処理とバラ出金処理のみが行われる態様を用いて説明したが、これに限られることはなく、例えば紙幣投入口と紙幣払出口が別々に構成されている場合には(例えば
図10(a)(b)に示した紙幣処理装置1b参照)、集積処理とバラ出金処理の両方が行われた後で未だヒーター66が所定温度に達していない場合には、バラ紙幣の入金処理などが行われてもよい。
【0110】
他方、上記とは異なり、利用者によって、バラ紙幣と束紙幣を出金する処理を行うことが選択された段階で、ヒーター66が所定温度に達している場合には(
図12のS11側方の“YES”参照)、続いて、集積処理(
図12のS17参照)、結束出金処理(
図12のS20参照)およびバラ出金処理(
図12のS18参照)が順に行われる。
【0111】
また、比較部91によって加熱予想時間の方が集積予想時間よりも長くならないと判断されて(
図12のS13側方の“YES”参照)、制御部90によって、集積処理を行うことが決定された場合にも、続いて、集積処理(
図12のS17参照)、結束出金処理(
図12のS20参照)およびバラ出金処理(
図12のS18参照)が順に行われる。
【0112】
上述のように本実施の形態では、予め予想していた加熱予想時間よりも早い段階で温度検出部67によってヒーター66が所定温度に達したことが検出された場合には(
図12のS16’下方の“YES”参照)、制御部90は、当該加熱予想時間に制限されずに、結束処理を開始させる。
【0113】
また、逆に、ヒーター66の加熱に予想以上の時間がかかった場合には、温度検出部67によってヒーター66が所定温度に達したことが検出されるまでの間は、制御部90は、加熱予想時間に制限されずに、集積処理およびバラ出金処理を行わせる。
【0114】
また、本実施の形態によれば、集積予想時間よりも加熱予想時間の方が長いときにのみ、集積処理とバラ出金処理を結束処理に先立って行うことを予定する。このため、実際の処理の状態に応じて、結束出金処理より先にバラ出金処理(結束処理以外のその他の処理)を行うことを予定するかどうか判断することができる。この結果、ヒーター66が温まるまでの空き時間をなくすことができ、全体の処理時間を短縮することができる。
【0115】
また、本実施の形態では、予想していた加熱予想時間よりも早い段階で、温度検出部67によってヒーター66が所定温度に達したことが検出された場合には、加熱予想時間に制限されずに結束処理が開始され、逆に、ヒーター66の加熱に予想以上の時間がかかった場合には、温度検出部67によってヒーター66が所定温度に達したことが検出されるまでの間は、加熱予想時間に制限されずに、集積処理とバラ出金処理が行われる。このため、加熱予想時間にとらわれることなく、臨機応変に処理を行うことができ、無駄な待ち時間を無くして、全体の処理時間を効率よく短縮することができる。
【0116】
また、本実施の形態では集積処理を先に行ってバラ出金処理を後に行うので、温度検出部67によってヒーター66が所定温度に達していることが検出されると、例えばバラ出金処理の途中であっても、集積紙幣を結束材で結束することができる。このため、バラ出金処理と結束出金処理を同時並行で行うことができ、全体の処理時間をさらに短縮することができる。