【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された骨盤矯正ベルトを含め、ほとんどの骨盤矯正ベルトは、矯正を行う時間(例えば、数分〜数十分程度)のみに、ベルトのずれ上がりを防止するという観点から開発されたものであり、長時間に渡って装着したままで、日常生活を行うという観点が抜けていた。このため、上記骨盤矯正ベルトを装着したままでトイレに行こうとする場合には、強固に固定したベルトおよび弾性布地製大腿部用取付け部材の全ての結合部分を解除し、これらを体から取り外した後に、用を足す必要がある。このとき、自宅外のトイレでは、取り外した骨盤矯正ベルトを載置する適当な場所が見あたらないことが多い。また、骨盤矯正ベルトを完全に体から取り外すことなく、ベルトの一部を押さえながら用を足そうとすると、上段ベルトの自由端部分が垂れ下がってしまい、トイレの床に付いたり、トイレ内の溜水中に浸漬したりするおそれがある。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装着時のずれ上がりを防止すると共に、一時的な脱着を容易に行える骨盤矯正ベルト等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための第1の発明に係る骨盤矯正ベルトは、弾性を有する主ベルト用布地から構成され主として腸骨部分を覆うと共に一対の自由端部を備えた主ベルト片と、前記両自由端部に設けられて所定の位置で前記自由端部同士を係脱可能に位置決め固定する係合部と、前記主ベルト片の下方において前記主ベルト用布地よりも弱い弾性を有する大腿部用布地から構成される左右一対の大腿取付部とを備えたものであって、前記主ベルト片と前記大腿取付部とは、少なくとも前方と側方と後方との三点において連結されていることを特徴とする。
上記構成によれば、主ベルト片は大腿取付部によって、ずれ上がりを防止できる。また、トイレに行く際には、主ベルト片に設けられた係合部の係合を解除し、大腿取付部を脚の下方に移動させる。このとき、大腿取付部は、主ベルト用布地よりも弱い弾性を備えた大腿部用布地から構成されているので、脚を通した状態でも下方への移動が可能となる。
前記主ベルト片は、後部から側部にかけては、骨盤を締め付ける弾性を備えた素材により、側部から前部にかけては、鼠径部への圧迫を回避する柔らかい素材により構成されていることが好ましい。そのような構成とすれば、後部から側部の強い弾性を備えた素材により、骨盤部分を締め付ける力を発揮させる。また、前部を柔らかい素材にすることにより、鼠径部への圧迫を抑えるので、鼠径部にある重要な血管やリンパ管を圧迫せずに済む。特に、前部に強い弾性を備えた素材を用いた従来のものでは、座っているときや屈んだ時に鼠径部への圧迫により痛みを感じるという難点があったが、本願発明の構成によれば、これを解消できる。
【0006】
また、前記主ベルト片と前記大腿取付部とは、上下連結片によって連結されていると共に、前記上記連結片は長さが可変とされており、前記主ベルト片の位置を適切なところに固定可能とされていることが好ましい。
骨盤矯正ベルトがその効果を発揮するためには、装着したときの主ベルト片の位置は装着者の身体において、適切なところで動かないように安定しておく必要がある。骨盤矯正を行うために適切なところとは、骨盤前部に関して、上前腸骨棘(前部の骨盤で一番骨が出っ張っているところ)と恥骨までの間を意味する。主ベルト片が、この位置で安定するのが望ましい。この適切な位置にくる為に、主ベルト片と上下連結片が、特に重要な構成となる。連結片の長さが可変とは、(1)上下連結片の素材自体が弾性を備えたもの(例えば、ゴム紐など)であるか、(2)上下連結片の途中に長さを調節可能な調節部を設ける構成がある。こうして、長さ調節可能な上下連結片が、主ベルト片の装着位置を決定する。主ベルト片を巻く位置は、通常の者には分かりにくいので、前記上前腸棘までに位置するように図面を加えた説明書を添付しておくことが好ましい。上下連結片は、主ベルト片が上部にズレ上がりすることを抑制する機能を兼用する。こうして、上下連結片は、主ベルト片の位置の調節をすると共に、上部へのズレ上がりを抑えるという2つの機能を備える。
従来のベルトでは、長時間に渡って装着を続けると締め付け作用が強くなり、鼠径部などが痛くなることが多かった。この痛みを解消しようとすると、ベルトの装着力を緩める操作を行うが、そうするとベルトが上にズレ上がってしまい、骨盤矯正を行えなくなっていた。この理由のため、ベルトをつけなくなってしまう人がいた。本願発明の構成では、たとえ主ベルト片の締め付けを緩めたとしても、上下連結片の作用によって、主ベルト片がズレ上がる事態が回避される。
【0007】
また、前記主ベルト片と前記両大腿取付部との連結部分において、臀部が位置する後部下方位置には、臀部を覆う臀部覆い部が設けられており、この臀部覆い部は、左臀部、中央部および右臀部の三部分を備えていると共に、前記中央部は左右方向の弾性を備え、上下方向への弾性が規制された材質により構成され、前記左臀部および右臀部は上下方向の弾性を備えた材質により構成されていることが好ましい。
上記構成によれば、臀部の後部下方が臀部覆い部によって覆われるので、主ベルト片の係合操作によって、臀部が持ち上げられた状態となり、ヒップアップ効果が認められる。なお、上記三部分の全てが上下方向に弾性を備えた材質であると、十分なヒップアップ効果が認められなくなるので好ましくない。また、上記三部分の全てが上下方向への弾性が規制された材質であると、ヒップが臀部覆い部から、はみ出してしまうおそれがあるので好ましくない。
前記主ベルト片には、前記両自由端部に設けられた係合部の係合を解除したときに、該骨盤矯正ベルトを臀部よりも下方に移動可能な範囲で前記両自由端部を繋ぎ止める自由端部規制片が設けられることが好ましい。
上記構成によれば、主ベルト片の係合を解除したときには、両自由端部は、自由端部規制片によって、適当な範囲に留まっているので、垂れ下がってしまいトイレの床や、溜め水に浸漬されるという事態を回避しやすい。
【0008】
前記両大腿取付部において、互いに隣接する中央部分は、弾性を有する大腿連結片によって連結されていることが好ましい。
上記構成によれば、両大腿取付部は、大腿連結片によって互いに連結されているので、そのような連結片がない場合(このときには、両大腿取付部が方向を違えたり、捻れてしまう可能性が高い)に比べると、脚部を大腿連結片に挿入する操作を行いやすい。
また、第2の発明に係る骨盤矯正ベルトは、弾性を有する主ベルト用布地から構成され主として腸骨部分を覆うと共に一対の自由端部を備えた主ベルト片と、前記両自由端部に設けられて所定の位置で前記自由端部同士を係脱可能に位置決め固定する係合部とを備えたものであって、前記主ベルト片の後部下端からは、前方に向かって中央連結片が設けられており、この中央連結片の先端部分が左右一対に分離されて、各々が前記両自由端部の各々の下端に連結していることを特徴とする。
また、第3の発明に係る骨盤矯正ベルト用補助具は、主として腸骨部分を覆う骨盤矯正ベルトの下方に取り付けられることで、該骨盤矯正ベルトの装着時におけるずれ上がりを規制するものであって、左右一対の大腿取付部と、前記骨盤矯正ベルトと前記大腿取付部とを少なくとも前方と側方と後方との三点において連結する上下連結片とを備え、前記上下連結片の上端部分には、前記骨盤矯正ベルトの下端縁に対して連結可能な連結部が設けられていることを特徴とする。
上記構成によれば、従来の骨盤矯正ベルトのずれ上がりを防止する補助具を提供できる。