特許第5723212号(P5723212)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新日鉄住金エンジニアリング株式会社の特許一覧
<>
  • 特許5723212-洗浄装置、洗浄方法および調質圧延機 図000002
  • 特許5723212-洗浄装置、洗浄方法および調質圧延機 図000003
  • 特許5723212-洗浄装置、洗浄方法および調質圧延機 図000004
  • 特許5723212-洗浄装置、洗浄方法および調質圧延機 図000005
  • 特許5723212-洗浄装置、洗浄方法および調質圧延機 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5723212
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】洗浄装置、洗浄方法および調質圧延機
(51)【国際特許分類】
   B21B 28/04 20060101AFI20150507BHJP
   B21B 1/22 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
   B21B28/04 B
   B21B1/22 H
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-109477(P2011-109477)
(22)【出願日】2011年5月16日
(65)【公開番号】特開2012-240056(P2012-240056A)
(43)【公開日】2012年12月10日
【審査請求日】2013年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】新日鉄住金エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390022873
【氏名又は名称】NSプラント設計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】若林 久幹
(72)【発明者】
【氏名】小川 宗成
(72)【発明者】
【氏名】西川 広
【審査官】 坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−230219(JP,A)
【文献】 特開平11−216507(JP,A)
【文献】 特開2003−285114(JP,A)
【文献】 特開昭55−167075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 28/00−28/04
B21B 1/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調質圧延機のワークロールを洗浄する洗浄装置であって、
0℃未満の昇華性の固体粒子と噴出媒体とを含むブラスト材、圧力が20MPa以上30MPa以下の高圧流体および圧力が0.03MPa以上0.06MPa以下の低圧流体を噴出可能な洗浄ノズルと、
前記洗浄ノズルに前記ブラスト材を供給するブラスト材供給手段と、
前記洗浄ノズルに前記高圧流体を供給する高圧流体供給手段と、
前記洗浄ノズルに前記低圧流体を供給する低圧流体供給手段と、を備え、
前記洗浄ノズルは、前記高圧流体を噴出する第1噴出口と、この第1噴出口を囲み前記低圧流体および前記ブラスト材を噴出する第2噴出口と、を有し、
前記洗浄ノズルと前記ブラスト材供給手段との間には、前記ブラスト材の供給量を調整する第1調整手段が設けられ、
前記洗浄ノズルと前記高圧流体供給手段との間には、前記高圧流体の供給量を調整する第2調整手段が設けられ、
前記洗浄ノズルと前記低圧流体供給手段との間には、前記低圧流体の供給量を調整する第3調整手段が設けられている
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄装置において、
前記ブラスト材の0℃未満の昇華性の固体粒子が、ドライアイスである
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の洗浄装置において、
前記ワークロール表面の状態を検出する検出手段と、
この検出手段にて検出された前記ワークロール表面の状態に応じて、前記第1調整手段、前記第2調整手段および前記第3調整手段を制御する制御手段と、を備え、
前記ブラスト材を前記第2噴出口から噴出させて前記ワークロール表面に吹き付けながら調質圧延を行っている際に、前記検出手段にて前記ワークロール表面の凹凸の凹部に異物が付着し前記ブラスト材の吹き付けで前記異物を除去しきれないことを検出した場合には、前記制御手段が前記第1調整手段を制御して前記洗浄ノズルへの前記ブラスト材の供給を停止させ、前記第2調整手段を制御して前記洗浄ノズルへの前記高圧流体の供給を開始させることで、前記高圧流体を前記第1噴出口から噴出させて前記ワークロール表面に吹き付け、
さらに前記高圧流体の吹き付けで前記異物を除去しきれないことを前記検出手段にて検出した場合には、前記制御手段が第3調整手段を制御して前記洗浄ノズルへの前記低圧流体の供給を開始させ、前記第1噴出口からの前記高圧流体の噴出と前記第2噴出からの前記低圧流体の噴出とを同時に行ってキャビテーションジェット形成させて前記ワークロール表面に吹き付ける
ことを特徴とする洗浄装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の洗浄装置を用いる洗浄方法であって、
前記洗浄装置は、前記ワークロール表面の状態を検出する検出手段を備え、
前記ブラスト材を前記第2噴出口から噴出させて前記ワークロール表面に吹き付けながら調質圧延を行っている際に、前記ワークロール表面の凹凸の凹部に異物が付着し前記ブラスト材の吹き付けで前記異物を除去しきれないことを前記検出手段が検出した場合には、前記第1調整手段を制御して前記洗浄ノズルへの前記ブラスト材の供給を停止させるとともに、前記第2調整手段を制御して前記洗浄ノズルへの前記高圧流体の供給を開始させることで、前記高圧流体を前記第1噴出口から噴出させて前記ワークロール表面に吹き付け、 さらに前記高圧流体の吹き付けで前記異物を除去しきれないことを前記検出手段が検出した場合には、第3調整手段を制御して前記洗浄ノズルへの前記低圧流体の供給を開始させ、前記第1噴出口からの前記高圧流体の噴出と前記第2噴出からの前記低圧流体の噴出とを同時に行ってキャビテーションジェットを形成させて前記ワークロール表面に吹き付ける
ことを特徴とする洗浄方法。
【請求項5】
請求項4に記載の洗浄方法において、
前記ブラスト材、前記高圧流体および前記低圧流体を間欠的に噴出させる
ことを特徴とする洗浄方法。
【請求項6】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載の洗浄装置とワークロールとを備える調質圧延機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置、洗浄方法および調質圧延機に関する。
【背景技術】
【0002】
連続溶融亜鉛めっきラインにおいて鋼帯に調質圧延を行うと、亜鉛めっき層の一部が剥離して亜鉛粉などの異物が発生し、この異物がワークロール表面に付着することがある。亜鉛粉がワークロール表面に付着していると、圧延時に鋼帯に転写され、鋼帯の外観品質を損なうおそれがある。
また、調質圧延機のワークロール表面には、鋼板の表面にユーザーから要求される鋼板粗度を付与するための凹凸が、鋼板粗度に対応する粗度で形成されている。この凹凸の凹部に亜鉛粉などの異物が付着して堆積すると、ワークロール表面の粗度が低下して、「目詰まり」と呼ばれる状態となる。ワークロールが目詰まりすると、調質圧延後の溶融亜鉛めっき鋼帯に、必要な鋼板粗度を付与できず、自動車用部材などとして使用する際に所要のプレス成形性や鮮映性を確保できない問題がある。
このような問題に対して、溶融亜鉛めっき鋼帯を調質圧延する際にワークロール表面の異物を除去する方法や、ワークロールの目詰まりを防止する方法が種々提案されている。
【0003】
特許文献1には、ワークロールの出側(圧延された圧延板がワークロール間から送り出されてくる側)において、15kg/cm(15MPa)以上の高圧流体を、ワークロール表面にその全長にわたって、圧延中常時噴射するワークロール表面洗浄法が記載されている。このワークロール表面洗浄法に用いる高圧流体としては、圧延油、エア、オイルミスト、温水などが挙げられている。
また、特許文献2には、ワークロールと亜鉛めっき鋼板との間に水膜を形成して圧延する方法が記載されている。この水膜によってワークロールと鋼板との接触部分での発熱が抑制され、ワークロール表面に亜鉛粉などの異物が付着してロール粗度が低下する現象を抑制している。
【0004】
また、気中キャビテーションジェットによって被処理物を切削あるいはピーニングする方法も提案されている。
気中キャビテーションジェットを噴射させる切削ノズルは、例えば、特許文献3〜特許文献5に記載されている。この切削ノズルは、中心部に高圧ジェットノズルと、その高圧ジェットノズルを同心の二重環状に包囲し、内面が環状断面をなす低圧水流路を形成する低圧ジェットノズルとを有する。そして、高圧水ジェットの周りを囲むように低圧水ジェットを噴射してキャビテーション現象を生じさせる。
【0005】
さらに他の方法として、特許文献6には、高圧低温液化不活性ガスを投射媒体として、ドライアイスなどを高速で投射することにより被処理物の表面を清浄化する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3039895号公報
【特許文献2】特開2004−216397号公報
【特許文献3】特開2000−202326号公報
【特許文献4】特開平10−113871号公報
【特許文献5】特許第2957976号公報
【特許文献6】特開昭61−152368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された高圧流体を使用する洗浄方法では、ワークロール表面の凹部に堆積した亜鉛粉などの異物を充分に除去できない問題がある。さらに、圧延中は、常時、ワークロールの軸方向の全長にわたって高圧流体を噴出させるので、除去された当該異物を含む大量の洗浄廃液が発生する。そして、この洗浄廃液の処理コストが高いという問題もある。
さらに、特許文献2に記載された方法では、ワークロールと亜鉛めっき鋼板との間に水膜を絶えず形成しておく必要があるので、廃液が大量に発生し、廃液処理コストが高いという問題がある。
また、特許文献3〜特許文献5に記載された気中キャビテーションジェットを用いる方法では、切削やピーニングする効果は高圧流体のみを使用する方法よりも優れるものの、キャビテーション現象を生じさせるのに大量の低圧流体が必要となる。その結果、大量の廃液が発生する。
そして、特許文献6に記載された清浄化方法では、投射媒体として高圧低温液化不活性ガスを用い、投射材としてドライアイスなどを用いるので、洗浄廃液の処理コストを抑えることができるものの、ワークロール表面の凹部に付着した当該異物を充分に除去できない問題がある。
【0008】
本発明の目的は、ワークロール表面の異物を除去しつつ異物の付着を抑制できるとともに、洗浄廃液量を低減できる洗浄装置、洗浄方法および調質圧延機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の洗浄装置は、調質圧延機のワークロールを洗浄する洗浄装置であって、
0℃未満の昇華性の固体粒子と噴出媒体とを含むブラスト材、圧力が20MPa以上30MPa以下の高圧流体および圧力が0.03MPa以上0.06MPa以下の低圧流体を噴出可能な洗浄ノズルと、
前記洗浄ノズルに前記ブラスト材を供給するブラスト材供給手段と、
前記洗浄ノズルに前記高圧流体を供給する高圧流体供給手段と、
前記洗浄ノズルに前記低圧流体を供給する低圧流体供給手段と、を備え、
前記洗浄ノズルは、前記高圧流体を噴出する第1噴出口と、この第1噴出口を囲み前記低圧流体および前記ブラスト材を噴出する第2噴出口と、を有し、
前記洗浄ノズルと前記ブラスト材供給手段との間には、前記ブラスト材の供給量を調整する第1調整手段が設けられ、
前記洗浄ノズルと前記高圧流体供給手段との間には、前記高圧流体の供給量を調整する第2調整手段が設けられ、
前記洗浄ノズルと前記低圧流体供給手段との間には、前記低圧流体の供給量を調整する第3調整手段が設けられている
ことを特徴とする。
【0010】
このような本発明によれば、3種類の噴出材、すなわち、高圧流体、低圧流体および0℃未満の昇華性の固体粒子を含むブラスト材をワークロール表面に対して吹き付けることができる。そして、洗浄ノズルへの当該噴出材の供給および供給停止を、第1調整手段、第2調整手段および第3調整手段で切換えることができる。
そのため、まず、0℃未満の昇華性の固体粒子を含むブラスト材による洗浄を行えば、ブラスト材の吹き付け時の衝撃によってワークロール表面に付着する異物を除去することができる。
また、ブラスト材は、0℃未満という低温の固体粒子を含むので、ワークロール表面を冷却することができる。冷却効果は、高圧流体として圧延油を吹き付けた場合よりもブラスト材の方が優れる。その結果、ワークロール表面と鋼板との接触部分での発熱が抑制されるので、ワークロール表面の凹部への亜鉛粉などの異物付着を抑制できる。
ここで、ブラスト材の吹き付けでは洗浄力が不足して異物を除去し切れない場合には、より洗浄力の高い高圧流体の吹き付けに切換えることで、異物を除去することができる。
さらに、高圧流体の吹き付けでも異物などを除去し切れない場合には、同時に低圧流体を噴出させて、気中キャビテーションジェットを発生させる。この気中キャビテーションジェットは、高圧流体よりも洗浄力が高いので、異物をより確実に除去することができる。
このように、本発明の洗浄装置は、洗浄力の異なる3種類の噴出材を切換えながら噴出可能なので、ワークロール表面の状態に応じて適切な洗浄方法を選択し、ワークロール表面の異物を除去しつつ異物の付着を抑制できる。
【0011】
また、ブラスト材は、昇華性を有するので、ワークロールを洗浄した後に廃液として残らない。
よって、通常の調質圧延の際は、このブラスト材で洗浄して洗浄廃液量を低減させ、異物を除去しきれなくなってきたところで高圧流体や気中キャビテーションジェットによる洗浄に切換えることによって、高圧流体や気中キャビテーションジェットで常時洗浄を行う場合と比べて、洗浄廃液量を低減できる。
【0012】
本発明の洗浄装置では、前記ブラスト材の噴出媒体として、液化不活性ガスを使用することが好ましい。
【0013】
この場合、ブラスト材が、0℃未満の昇華性の固体粒子と液化不活性ガスとを含むので、当該ブラスト材は、ゾル状となる。ワークロール表面に吹き付けられた当該ブラスト材は、ワークロール表面の異物を除去するとともに、ワークロール表面を冷却する。特に、液化不活性ガスは、固体粒子に比べてワークロール表面に対して拡がり易いので冷却効果が向上する。よって、ワークロール表面の凹部への異物付着を抑制する効果が向上する。
さらに、液化不活性ガスは、ワークロール表面に吹き付けられた後に気化するので、洗浄廃液量も低減できる。
【0014】
本発明の洗浄装置では、前記ブラスト材の0℃未満の昇華性の固体粒子が、ドライアイスであることが好ましい。
【0015】
このような本発明では、ブラスト材に含まれる固体粒子がドライアイスであるので、工場内の余剰二酸化炭素を有効利用できる。
【0016】
本発明の洗浄装置では、
前記ワークロール表面の状態を検出する検出手段と、
この検出手段にて検出された前記ワークロール表面の状態に応じて、前記第1調整手段、前記第2調整手段および前記第3調整手段を制御する制御手段と、を備え、
前記ブラスト材を前記第2噴出口から噴出させて前記ワークロール表面に吹き付けながら調質圧延を行っている際に、前記検出手段にて前記ワークロール表面の凹凸の凹部に異物が付着し前記ブラスト材の吹き付けで前記異物を除去しきれないことを検出した場合には、前記制御手段が前記第1調整手段を制御して前記洗浄ノズルへの前記ブラスト材の供給を停止させ、前記第2調整手段を制御して前記洗浄ノズルへの前記高圧流体の供給を開始させることで、前記高圧流体を前記第1噴出口から噴出させて前記ワークロール表面に吹き付け、
さらに前記高圧流体の吹き付けで前記異物を除去しきれないことを前記検出手段にて検出した場合には、前記制御手段が第3調整手段を制御して前記洗浄ノズルへの前記低圧流体の供給を開始させ、前記第1噴出口からの前記高圧流体の噴出と前記第2噴出からの前記低圧流体の噴出とを同時に行ってキャビテーションジェット形成させて前記ワークロール表面に吹き付けることが好ましい。
【0017】
このような本発明では、検出手段にてワークロール表面の状態を検出し、この検出された表面状態に応じて制御手段にて各調整手段の制御を行うことができるので、3種類の噴出材の中から表面状態に応じて選択された適切な噴出材にてワークロール表面を洗浄できる。よって、ワークロール表面の異物除去および異物付着の抑制、ならびに洗浄廃液量の低減をより確実に行うことができる。
【0018】
本発明の洗浄方法は、上述の洗浄装置を用いる洗浄方法であって、
前記洗浄装置は、前記ワークロール表面の状態を検出する検出手段を備え、
前記ブラスト材を前記第2噴出口から噴出させて前記ワークロール表面に吹き付けながら調質圧延を行っている際に、前記ワークロール表面の凹凸の凹部に異物が付着し前記ブラスト材の吹き付けで前記異物を除去しきれないことを前記検出手段が検出した場合には、前記第1調整手段を制御して前記洗浄ノズルへの前記ブラスト材の供給を停止させるとともに、前記第2調整手段を制御して前記洗浄ノズルへの前記高圧流体の供給を開始させることで、前記高圧流体を前記第1噴出口から噴出させて前記ワークロール表面に吹き付け、
さらに前記高圧流体の吹き付けで前記異物を除去しきれないことを前記検出手段が検出した場合には、第3調整手段を制御して前記洗浄ノズルへの前記低圧流体の供給を開始させ、前記第1噴出口からの前記高圧流体の噴出と前記第2噴出からの前記低圧流体の噴出とを同時に行ってキャビテーションジェットを形成させて前記ワークロール表面に吹き付ける
ことを特徴とする。
【0019】
このような本発明では、ワークロール表面の状態を検出し、この検出された表面状態に応じて各調整手段の制御を行いながらワークロール洗浄を行うことができるので、ワークロール表面の異物付着や目詰まりをより確実に防止できる。ワークロール表面の凹部に異物が付着しない間は、ブラスト材にて洗浄を行い、目詰まりが生じブラスト材で除去しきれない場合には、高圧流体の噴出に切換え、さらに高圧流体では除去し切れない場合には、高圧流体および低圧流体の同時噴出に切換えて、気中キャビテーションジェットによって異物を除去するように制御できる。
したがって、ブラスト材では除去し難い状態となった後に除去能力の強い噴出材に切換えるので、目詰まりを確実に防止でき、しかも目詰まりが殆ど無いうちから廃液が大量に発生する洗浄方法(高圧流体洗浄や気中キャビテーションジェット洗浄)を採用する場合に比べて廃液発生量も低減できる。
【0020】
本発明の洗浄方法では、前記ブラスト材、前記高圧流体および前記低圧流体を間欠的に噴出させることが好ましい。
【0021】
このような本発明では、間欠的に3種類の噴出材を噴出させるので、連続的に噴出させる場合と比べて廃液発生量を低減できる。
【0022】
本発明の調質圧延機は、上述の洗浄装置とワークロールとを備えることを特徴とする。
【0023】
このような本発明では、上記本発明の洗浄装置を用いるので、当該洗浄装置の説明でも述べたようにワークロール表面の異物を除去しつつ異物の付着を抑制できるとともに、洗浄廃液量を低減できる。
その結果、調質圧延時の鋼帯の外観損傷や粗度低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係る調質圧延機の構成概略図。
図2】前記実施形態に係る調質圧延機の上面概略図。
図3】前記実施形態に係る洗浄装置の一部断面概略図。
図4】前記実施形態に係る洗浄装置にて行った洗浄実験結果を示す第1のグラフ。
図5】前記実施形態に係る洗浄装置にて行った洗浄実験結果を示す第2のグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔調質圧延機の構成〕
調質圧延機1は、図1に示すように、上下一対のワークロール2と、これら各ワークロール2の上下に配置されたバックアップロール3と、ワークロール2表面を洗浄するための洗浄装置5と、排気フード6と、ダクト7とを備える。
一対のワークロール2は、ワークロール2の入側(図1の左側)から供給される溶融亜鉛めっき鋼帯4を調質圧延して、ワークロール2の出側(図1の右側)から送り出す。
【0026】
〔洗浄装置の構成〕
洗浄装置5は、3種類の噴出材、すなわち、0℃未満の昇華性の固体粒子と噴出媒体とを含むブラスト材、高圧流体および低圧流体をワークロール2表面に吹き付けて、その表面を洗浄するためのものである。
この洗浄装置5は、洗浄ノズル51と、ブラスト材供給手段52と、高圧流体供給手段53と、低圧流体供給手段54と、洗浄ノズル移動手段55と、検出手段56と、制御手段57とを備える。
【0027】
洗浄ノズル51は、図1に示すように、各ワークロール2の出側に配置されている。洗浄ノズル51は、配管P1および配管P3を介してブラスト材供給手段52に、配管P2を介して高圧流体供給手段53に、配管P3を介して低圧流体供給手段54に、それぞれ接続されている。なお、配管P1は、配管P3の途中に合流させずに、直接、洗浄ノズル51に接続されていてもよい。
また、洗浄ノズル51は、図2に示すように、洗浄ノズル移動手段55に取付けられ、ワークロール2の軸方向に沿って1個、配置されている。
さらに、洗浄ノズル51は、図3に示すように、管状の第1ノズル511と、第1ノズル511の周りを囲む管状の第2ノズル512とを有する。
第1ノズル511は、その先端側に、高圧流体供給手段53から供給される高圧流体を噴出可能な第1噴出口513を有している。
第2ノズル512は、第1ノズル511を同心の二重管状に包囲するように設けられ、その先端側に、ブラスト材供給手段52から供給されるブラスト材、および、低圧流体供給手段54から供給される低圧流体を噴出可能な第2噴出口514を有する。
【0028】
ブラスト材供給手段52は、ブラスト材を製造して第2ノズル512へ供給するためのものであり、図1に示すように、第1貯蔵手段521と、第2貯蔵手段522と、粒子製造手段523と、混合手段524と、第1調整手段525と、コンプレッサ526と、減圧弁527とを備える。
ブラスト材供給手段52で供給されるブラスト材は、0℃未満の昇華性の固体粒子(以下、昇華性固体粒子とする。)と噴出媒体とを含むものである。
昇華性固体粒子は、その温度が0℃未満であって、常温常圧で昇華性を有するものであり、例えば、ドライアイスが挙げられる。
噴出媒体としては、例えば、圧縮空気や低温液化不活性ガスが挙げられる。低温液化不活性ガスは、常温で気体状態の不活性ガスを冷却することによって液化した液体状態のものであり、二酸化炭素、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの液化ガスが挙げられる。
本実施形態では、ブラスト材は、昇華性固体粒子の他に噴出媒体として低温液化不活性ガスも含むため、ゾル状である。
【0029】
第1貯蔵手段521および第2貯蔵手段522としては、タンクやボンベなどが挙げられる。
第1貯蔵手段521は、粒子製造手段523に接続され、昇華性固体粒子を製造するための原料を、高圧ガスや液化ガスの状態で貯蔵する。第1貯蔵手段521と粒子製造手段523との間には、調整手段521aが接続されている。調整手段521aは、制御手段57に接続され、制御手段57の制御により、第1貯蔵手段521から粒子製造手段523への昇華性固体粒子を製造するための原料の供給量や供給圧力を調整する。調整手段521aとしては、バルブや圧力計を備えた圧力調整器などが挙げられる。
ここで、昇華性固体粒子がドライアイスの場合、第1貯蔵手段521には、高圧の二酸化炭素や圧縮液化した二酸化炭素が貯蔵される。
【0030】
第2貯蔵手段522は、混合手段524に接続され、噴出媒体としての低温液化不活性ガスを貯蔵する。第2貯蔵手段522と混合手段524との間には、調整手段522aが接続されている。調整手段522aは、制御手段57に接続され、制御手段57の制御により、第2貯蔵手段522から混合手段524への低温液化不活性ガスの供給量や供給圧力を調整する。調整手段522aとしては、バルブや圧力計を備えた圧力調整器などが挙げられる。
【0031】
ここで、低温液化不活性ガスが、二酸化炭素を液化した液化炭酸ガスであり、昇華性固体粒子が、ドライアイスである場合は、第1貯蔵手段521および第2貯蔵手段522を共通化することもできる。この場合、液化炭酸ガスを貯蔵するタンク等から粒子製造手段523内に噴出させると、液化炭酸ガスは、断熱膨張し、固体状のドライアイスに変わる。そして、このドライアイスと貯蔵されている液化炭酸ガスを混合手段524で混合したブラスト材を、第2ノズル512へ供給することができる。
【0032】
粒子製造手段523は、混合手段524に接続されており、タンクやボンベなどから構成されている。この粒子製造手段523は、第1貯蔵手段521から供給された高圧ガスや液化ガスを断熱膨張させることで昇華性固体粒子を製造し、混合手段524へ供給する。
【0033】
混合手段524は、配管P1および配管P3によって第2ノズル512に接続されており、タンクやボンベなどから構成されている。この混合手段524は、粒子製造手段523にて製造された昇華性固体粒子と、第2貯蔵手段522に貯蔵された噴出媒体である低温液化不活性ガス、または減圧弁527を介して接続されたコンプレッサ526から供給される圧縮空気とを混合してブラスト材を製造し、配管P1へ供給する。
【0034】
第1調整手段525は、配管P1に設けられており、制御手段57の制御により、混合手段524から送り出されるブラスト材の供給量や供給圧力を調整する。この第1調整手段525としては、バルブや圧力計を備えた圧力調整器などが挙げられる。
【0035】
ブラスト材が昇華性固体粒子および低温液化不活性ガスからなる場合には、低温液化不活性ガスが噴出媒体の役割も果たすことができるので、コンプレッサ526から噴出媒体の供給を受けなくても、ブラスト材を当該圧送手段にて洗浄ノズル51まで送り出すことができる。
【0036】
コンプレッサ526および減圧弁527は、上記第1調整手段525と同様の構成を有する第4調整手段528を介して接続されており、制御手段57の制御により、上記噴出媒体を混合手段524に供給する。
【0037】
高圧流体供給手段53は、高圧流体を第1ノズル511へ供給するためのものであり、洗浄流体貯蔵手段531と、第1圧送手段532と、第2調整手段533と、を備える。
洗浄流体貯蔵手段531は、水や圧延油などの洗浄流体を貯蔵するタンクやボンベであり、配管P2によって第1ノズル511に接続される。
【0038】
第1圧送手段532は、高圧ポンプであり、配管P2に設けられている。第1圧送手段532は、制御手段57の制御により、洗浄流体貯蔵手段531から供給される洗浄流体を加圧して高圧流体として第1ノズル511へと供給する。この第1ノズル511に供給される高圧流体の圧力は、後に説明する気中キャビテーションジェットを発生させるための大きさであり、具体的には、20MPa以上30MPa以下である。また、高圧流体で洗浄する場合の圧力も20MPa以上30MPa以下である。
【0039】
第2調整手段533は、バルブや圧力計を備えた圧力調整器であり、配管P2における第1圧送手段532の第1ノズル511側に設けられている。この第2調整手段533は、制御手段57の制御により、第1圧送手段532から送り出される高圧流体の供給量や供給圧力を調整する。
【0040】
低圧流体供給手段54は、低圧流体を第2ノズル512へ供給するためのものであり、洗浄流体貯蔵手段531と、第2圧送手段542と、第3調整手段543と、を備える。本実施形態では、高圧流体および低圧流体は、同じ洗浄流体を用いるため、高圧流体供給手段53で説明した洗浄流体貯蔵手段531を用いることができる。そのため、洗浄流体貯蔵手段531は、配管P3によって第2ノズル512にも接続される。
なお、高圧流体とは異なる洗浄流体を低圧流体として用いる場合には、別途、低圧流体用の洗浄流体を貯蔵するための貯蔵手段を設ける。
【0041】
第2圧送手段542は、低圧ポンプであり、配管P3に設けられている。第2圧送手段542は、制御手段57の制御により、洗浄流体貯蔵手段531から供給される洗浄流体を加圧して低圧流体として第2ノズル512へと供給する。この第2ノズル512に供給される低圧流体の圧力は、後に説明する気中キャビテーションジェットを発生させるための大きさであり、具体的には、0.03MPa以上0.06MPa以下である。
【0042】
第3調整手段543は、バルブや圧力計を備えた圧力調整器であり、配管P3における第2圧送手段542の第2ノズル512側に設けられている。この第3調整手段543は、制御手段57の制御により、第2圧送手段542から送り出される低圧流体の供給量や供給圧力を調整する。
【0043】
洗浄ノズル移動手段55は、制御手段57の制御により、洗浄ノズル51とワークロール2との距離を一定に保ちながら洗浄ノズル51を移動させる。
洗浄ノズル移動手段55は、図2に示すように、各洗浄ノズル51を支持するノズル支持部571と、このノズル支持部571を貫通してノズル支持部571に螺合するノズル移動用リードスクリュ572と、このノズル移動用リードスクリュ572を正逆方向に回転させる駆動部573とを備える。
駆動部573にてノズル移動用リードスクリュ572を正逆方向に回転させると、ノズル移動用リードスクリュ572と螺合するノズル支持部571は、ワークロール2の軸方向に沿って走行する。そのため、洗浄装置5は、ワークロール2表面に対する3種類の噴出材の吹き付け領域に死角が無いように構成されている。
【0044】
検出手段56は、ワークロール2表面の状態を検出し、検出した表面状態に応じた情報を制御手段57に送る。ワークロール2表面の状態を示す要素としては、表面の粗度、表面の色、表面の温度、表面への異物付着状況などが挙げられ、検出手段56は、一つ以上の表面状態の要素を検出する。
例えば、ワークロール2表面の粗度を検出する場合には、検出手段56は、表面粗さ計測装置を備え、ワークロール2表面の凹凸の変化について計測し、凹部に異物が付着したり堆積したりしていないか検出する。
また、例えば、ワークロール2表面の色を検出する場合には、検出手段56は、カメラと画像解析手段を備えた画像処理装置を備え、亜鉛粉の付着による表面の色変化や異物の付着などを検出する。
その他、例えば、ワークロール2表面の温度を検出する場合には、検出手段56は、非接触型温度センサを備え、亜鉛粉付着の抑制作用が働く温度よりも表面温度が上昇していないかについて検出する。
【0045】
さらに、検出手段56を、調質圧延後の溶融亜鉛めっき鋼帯4の表面の粗度や表面の疵などの表面状態を検出するために、別途、用いても良い。
この場合、検出手段56は、ワークロール2や調質圧延後の溶融亜鉛めっき鋼帯4の表面状態を検出できるように配置され、制御手段57に接続される。
【0046】
制御手段57は、検出手段56、第1調整手段525、第2調整手段533、第3調整手段543、第1圧送手段532、第2圧送手段542、洗浄ノズル移動手段55、コンプレッサ526、減圧弁527、調整手段521aおよび調整手段522aに電気配線Cbを介して接続され、検出手段56にて検出した表面状態に基づいて、洗浄装置5による噴出材の噴出状態の切換え、流体の圧力や流量、洗浄ノズル51の位置や揺動を制御する。
【0047】
排気フード6は、洗浄ノズル51の近傍に配置され、昇華性固体粒子が気化して発生したガスや低温液化不活性ガスが気化して発生した不活性ガスを捕集する。
ダクト7は、排気フード6に接続され、捕集したガスを搬送させ、図示しない排気ファンにより工場外へ排気する。捕集したガスが二酸化炭素であれば、これを液化炭酸ガスに変化させてブラスト材の原料としてもよい。
【0048】
〔洗浄方法の説明〕
次に、ワークロール2の洗浄方法について説明する。
まず、洗浄ノズル51を、図1に示すように、各ワークロール2の出側に配置し、図2に示すように、ワークロール2の軸方向に沿って1個、配置する。そして、溶融亜鉛めっき鋼帯4を、図1の矢印方向に搬送しながら上下一対のワークロール2で調質圧延するとともに、ノズル支持部571を、図2に示すように、ワークロール2の軸方向に沿って走行させる。
そして、制御手段57は、検出手段56による検出状態に基づいて、以下に示すように噴出材を選択する。
【0049】
(ブラスト材による洗浄)
制御手段57は、検出手段56により、ワークロール2表面への異物付着が発生していないことが検出された場合、ブラスト材を噴出させながら調質圧延を行う。ブラスト材をワークロール2表面に吹き付けることで、吹き付け時の衝撃によって表面に付着する亜鉛粉などの異物を除去するとともに、表面を冷却してワークロール2表面の凹部への異物付着を抑制する。このようなブラスト材による洗浄では、ブラスト材は、気化するので、廃液にならない。
【0050】
(高圧流体による洗浄)
制御手段57は、検出手段56により、ブラスト材では除去できない量の異物がワークロール2表面の凹部に付着していることが検出された場合、噴出材をブラスト材から、より洗浄力の高い高圧流体に切換える。
この場合、制御手段57は、第1調整手段525を制御して洗浄ノズル51へのブラスト材の供給を停止させる。そして、制御手段57は、第2調整手段533を制御して洗浄ノズル51への高圧流体の供給を開始させ、高圧流体を第1噴出口513から噴出させてワークロール2表面に吹き付ける。この高圧流体の吹き付けによって異物を除去する。
【0051】
(気中キャビテーションジェットによる洗浄)
制御手段57は、検出手段56により、高圧流体の吹き付けで除去できない量の異物の付着が検出された場合、高圧流体の噴出から、より洗浄力の高い気中キャビテーションジェットに切換える。
具体的に、制御手段57は、第3調整手段543を制御して第2ノズル512への低圧流体の供給を開始させ、第1噴出口513からの高圧流体の噴出と第2噴出514からの低圧流体の噴出とを同時に行わせるとともに、第1圧送手段532から送り出される高圧流体の圧力を20MPa以上30MPa以下に制御し、第2圧送手段542から送り出される低圧流体の圧力を0.03MPa以上0.06MPa以下に制御する。このように圧力と速度が異なる高圧流体と低圧流体とを同時に噴出させることによって、キャビテーションジェットを形成して、ワークロール2表面に吹き付ける。この気中キャビテーションジェットに含まれる気泡がワークロール2表面で破裂することで洗浄流体の衝撃圧が増強されるので、ブラスト材や高圧流体よりも高い洗浄力で凹部に付着や堆積する異物を除去できる。
なお、ここでいう同時とは、高圧流体を噴出させている時間帯と低圧流体を噴出させている時間帯とが重なっていることをいうものとする。
【0052】
〔実施形態の作用効果〕
以上の本実施形態によれば、以下のような効果が得られる。
洗浄装置5は、洗浄力の異なる3種類の噴出材を切換えながら噴出可能なので、ワークロール2表面の状態に応じて適切な方法を選択し、異物を除去しつつ異物の付着を抑制できる。
【0053】
ブラスト材に含まれる昇華性固体粒子は昇華性を有するので、ワークロール2を洗浄した後に廃液として残らない。そのため、高圧流体や気中キャビテーションジェットで常時洗浄を行う場合と比べて、洗浄廃液量を低減できる。
【0054】
ブラスト材が昇華性固体粒子と液化不活性ガスとを含むので、当該ブラスト材は、ゾル状となる。ワークロール2表面に吹き付けられた当該ブラスト材は、異物を除去するとともに、表面を冷却する。特に、液化不活性ガスは、固体粒子に比べてワークロール2表面に対して拡がり易いので冷却効果が向上する。よって、ワークロール2表面の凹部への異物付着を抑制する効果が向上する。
さらに、液化不活性ガスは、ワークロール2表面に吹き付けられた後に気化するので、洗浄廃液量も低減できる。
【0055】
検出手段56にてワークロール2表面の状態を検出し、この検出された表面状態に応じて制御手段57にて第1調整手段525、第2調整手段533、第3調整手段543の制御を行うことができるので、3種類の噴出材の中から表面状態に応じて選択された適切な噴出材にてワークロール2表面を洗浄できる。よって、ワークロール2表面の異物除去および異物付着の抑制、ならびに洗浄廃液量の低減をより確実に行うことができる。
【0056】
洗浄装置5を用いて、ワークロール2の洗浄を行いながら調質圧延を行うので、調質圧延時の溶融亜鉛めっき鋼帯4の外観損傷や粗度低下を防止できる。
【0057】
〔変形例〕
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等をも含むものである。
例えば、前記実施形態で説明した洗浄ノズル51を複数個配置し、ワークロール2の軸方向に沿って走行、及び揺動の少なくともいずれかを実施させることもできる。
【0058】
また、前記実施形態で説明した洗浄ノズル移動手段55のノズル支持部571を走行させる機構を設けずに、さらに多くの洗浄ノズル51をノズル支持部571に取り付けて、ワークロール2表面に対する3種類の噴出材の吹き付け領域に死角が無いように構成することもできる。
【0059】
また、前記実施形態とは異なり、低圧流体とブラスト材とを同時に第2ノズル512から噴出させてもよい。
【0060】
また、前記実施形態とは異なり、ブラスト材の昇華性固体粒子の供給を停止して、噴出媒体の液化不活性ガスのみを噴出させてもよい。この場合、昇華性固体粒子の供給は、調整手段521aによって停止される。
【0061】
また、本発明の洗浄装置、及び洗浄方法は、連続溶融亜鉛めっきライン以外の鋼板処理ラインにも適用可能である。
【0062】
また、本発明の洗浄装置、及び洗浄方法は、調質圧延機以外の圧延機のロールにも適用可能である。
【0063】
また、本発明の洗浄装置、及び洗浄方法は、ワークロール以外の中間ロール、バックアップロールの異物除去にも適用可能である。
【0064】
また、本発明の洗浄装置、及び洗浄方法において、前記実施形態では、洗浄ノズルをワークロール出側に配置しているが、入側に配置してもよい。
【0065】
また、本発明の洗浄装置、及び洗浄方法において、前記実施形態では、ブラスト材や高圧流体等の使用有無、及び切替を検出手段により確認したワークロールの表面状態に応じて実施することにしているが、検出手段がなくとも鋼板、及びロールの状況を目視確認することで実施してもよい。
【実施例】
【0066】
(洗浄効果の確認)
図4〜5は、洗浄装置5にて行ったワークロールの洗浄実験結果を示すグラフである。洗浄実験は、連続溶融亜鉛めっきラインの調質圧延に使用して目詰まり状態が発生したワークロールに対して行った。
【0067】
・実験1:ブラスト材洗浄と高圧流体洗浄と気中キャビテーションジェット洗浄との比較
テスト機にワークロールを取り付けて、洗浄ノズルをロール幅方向に同一速度で同一距離を繰り返し走行させて洗浄を行った。実験1では、洗浄中にロールを回転させなかった。
まず、ブラスト材洗浄を行うエリアの初期目詰まり状態のロール表面の単位面積あたりに存在する亜鉛量を蛍光X線分析機にて洗浄前に測定した。洗浄ノズルをスタート位置にセットしてから洗浄を開始し、洗浄を行いながら走行させて、洗浄ノズルのストローク限界に到達したら洗浄を停止する。1回の走行洗浄完了ごとに洗浄前に測定したエリアの亜鉛量を測定した。
測定完了後、洗浄ノズルをスタート位置に戻し、次の走行洗浄を行い、同一エリアの亜鉛量を測定した。これを繰り返してブラスト材洗浄を行った回数とロール表面付着亜鉛の関連を測定した。
次にロールを90°回転させて新たな初期目詰まり状態のロール表面に対して高圧流体洗浄を行った。洗浄を開始する前にロール表面の付着亜鉛量を測定し、洗浄ノズルにて走行洗浄を行い、ブラスト材洗浄と同様の方法でロール表面の亜鉛量を測定した。
更にロールを90°回転させ、同様にして気中キャビテーションジェットにより洗浄を実施した。
ブラスト材洗浄のブラスト材にはドライアイスを用い、噴出媒体には圧縮エアを使用した。高圧流体洗浄および気中キャビテーションジェット洗浄には、流体として水を加圧したものを用い、高圧水圧力は同一圧力とした。
・使用ワークロール径 :φ410mm
・ノズル走行速度 :3mm/sec
・ノズル走行距離 :100mm
・ロール回転速度 :洗浄時にロール回転はなし
【0068】
結果を図4に示す。図4において、横軸は、走行洗浄回数を示し、縦軸は、初期目詰まり状態のロール表面亜鉛(Zn)量からの減少量を示す。また、図4において、DIは、ドライアイスを用いたブラスト材洗浄を示し、CVは、気中キャビテーションジェット洗浄を示し、HWは、高圧流体洗浄を示す。以下、実施例において、ドライアイスを用いたブラスト材洗浄をドライアイス洗浄という。
【0069】
図4に示されているように、ドライアイス洗浄は、1回目の洗浄での亜鉛除去量が多かったが、2回目以降の亜鉛除去量は大きく増えなかった。一方、高圧流体洗浄、及び気中キャビテーションジェットによる洗浄は、洗浄回数を重ねると亜鉛除去量が増えた。
【0070】
図4に示されているように、気中キャビテーションジェットによる洗浄は、高圧流体洗浄に比べると、その付着亜鉛除去能力において上回っていることがわかる。
【0071】
・実験2:ブラスト材洗浄と気中キャビテーションジェット洗浄の切換え洗浄
ワークロール表面に対して、最初はドライアイス洗浄を行い、その後、同じ箇所に対して気中キャビテーションジェット洗浄を行った。
実験2では、実験1と同じワークロールを用いたが、洗浄箇所は、実験1と異なる箇所とし、初期目詰まり状態から洗浄を行った。また、実験2では、ワークロールを操業時と同等の回転数で回転させて、洗浄ノズルを走行させずに固定位置として洗浄を行った。
・使用ワークロール径 :φ410mm
・ノズル走行速度 :ノズル走行なし(固定位置)
・ノズル走行距離 :0mm
・ロール回転速度 :112rpm
【0072】
結果を図5に示す。図5において、横軸は洗浄時間を示し、縦軸は、図4と同様である。また、図5において、DI洗浄は、ドライアイス洗浄を示し、CV洗浄は、気中キャビテーションジェット洗浄を示す。
【0073】
図5に示されているように、ドライアイス洗浄では、ドライアイスを噴出させた初期の段階で亜鉛減少量が増加するものの、500秒を過ぎた頃から次第に頭打ちになる。そこで、630秒を過ぎて、気中キャビテーションジェット洗浄に切換えたところ、亜鉛減少量が再び増加し始めた。
このことから、ドライアイス洗浄では、亜鉛除去力があるものの、付着した亜鉛を除去し切ることは出来ないが、途中から気中キャビテーションジェット洗浄に切換えることでさらに亜鉛を除去できるようになることが分かった。よって、ブラスト材洗浄は、ワークロール表面に亜鉛の付着や堆積が発生していない状態で行って、付着の抑制や少量の付着亜鉛を除去するのに適しており、気中キャビテーションジェットのような洗浄力の強い洗浄は、ブラスト材では除去し切れない場合に用いるのが適しているといえる。このような洗浄方法の切換えで、廃液発生量も低減できる。
【符号の説明】
【0074】
1…調質圧延機、2…ワークロール、5…洗浄装置、51…洗浄ノズル、52…ブラスト材供給手段、53…高圧流体供給手段、54…低圧流体供給手段、56…検出手段、57…制御手段、513…第1噴出口、514…第2噴出口、525…第1調整手段、533…第2調整手段、543…第3調整手段。
図1
図2
図3
図4
図5