(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5723295
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】副駆動部を有する船舶推進装置
(51)【国際特許分類】
B63H 5/125 20060101AFI20150507BHJP
B63H 23/10 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
B63H5/12 Z
B63H23/10
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-549512(P2011-549512)
(86)(22)【出願日】2010年2月1日
(65)【公表番号】特表2012-517928(P2012-517928A)
(43)【公表日】2012年8月9日
(86)【国際出願番号】EP2010051153
(87)【国際公開番号】WO2010094549
(87)【国際公開日】20100826
【審査請求日】2012年12月27日
(31)【優先権主張番号】102009000992.2
(32)【優先日】2009年2月18日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンド、ガラト
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル、サッキ
(72)【発明者】
【氏名】アドネ、ベルトロ
【審査官】
須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭58−063598(JP,A)
【文献】
特表2008−532838(JP,A)
【文献】
特開昭50−020493(JP,A)
【文献】
特開昭60−080997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 5/125
B63H 23/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝動装置ユニット(1)を含む旋回式船舶推進装置であって、前記伝動装置ユニット(1)内で接続部(A)に駆動装置(10)の、1つの推進機関によって駆動可能な入力軸(11)が第1回転軸線(5)の周りを回転可能に配置されており、前記入力軸(11)に連結された出力軸(3)が第2回転軸線(6)の周りを回転可能に配置されており、前記回転軸線(5、6)が互いに平行でも同軸でもないものにおいて、
前記伝動装置ユニット(1)に2つの他の接続部(B、C)が設けられており、前記出力軸(3)を駆動するための、他の推進機関によって駆動可能な他の駆動装置(20)を前記他の接続部に配置することができ、これにより前記伝動装置ユニット(1)の3つの接続部(A,B,C)における異なる取り付けにより異なる駆動を行うことができ、
他の駆動装置(30)の前記入力軸が前記アングルドライブによって前記出力軸(3)と連結されていることを特徴とする船舶推進装置。
【請求項2】
前記駆動装置(10、20)が、前記推進機関に適合させるための手段(12、22、26)を備えた入力軸(11、21)と前記入力軸(11、21)を支承するための支承手段(14、41、42、24、43、44)とを含むことを特徴とする請求項1記載の船舶推進装置。
【請求項3】
前記第2駆動装置(20)の前記入力軸(21)が前記出力軸(3)と同軸で配置されて相対回転不能に前記出力軸と結合されており、これにより前記出力軸(3)が前記第2駆動装置(20)の前記支承手段(24、43、44)によって支承されていることを特徴とする請求項2記載の船舶推進装置。
【請求項4】
前記第1駆動装置の前記入力軸(11)が、少なくとも2つの傘歯車(13、23)を含むアングルドライブによって前記出力軸(3)と連結されていることを特徴とする請求項2記載の船舶推進装置。
【請求項5】
前記他の駆動装置(30)の前記入力軸が前記第1回転軸線(5)の周りを回転可能であることを特徴とする請求項1記載の船舶推進装置。
【請求項6】
前記伝動装置ユニット(1)が伝動装置ハウジング(4)を含み、各1つの駆動装置(10、20、30)を受容するための複数の内輪郭(7、8、9)が前記伝動装置ハウジング内に形成されていることを特徴とする請求項4記載の船舶推進装置。
【請求項7】
前記駆動装置(10、20)の前記傘歯車(13、23)の外径が前記伝動装置ハウジング(4)の、前記駆動装置に付属した前記内輪郭(7、8)の内径よりも小さいことを特徴とする請求項6記載の船舶推進装置。
【請求項8】
前記各駆動装置(10、20)の前記入力軸(11、21)を支承するための軸受(41、42、43、44)が軸受ブッシュ(14、24)内に配置されており、前記軸受ブッシュが前記伝動装置ハウジング(4)の前記各内輪郭(7、8、9)内に配置可能であることを特徴とする請求項7記載の船舶推進装置。
【請求項9】
付加的な前記駆動装置(20、30)が複数の場合、前記支承手段(43、44)と、前記入力軸(21)と、前記他の推進機関に適合させるための前記手段(22、26)が前記第2駆動装置(20)におけると同一に形成されていることを特徴とする請求項2または7記載の船舶推進装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に係る船舶を操舵し推進するための船舶推進装置に関する。
【背景技術】
【0002】
旋回式船舶推進装置またはラダープロペラとも称されるいわゆる船用ポッド推進装置は公知である。船舶の操舵と推進とを同時に行うこのような船舶推進装置は船体の内部に伝動装置ユニットを有し、船体の下方で海中に操舵ユニットを有する。操舵ユニットに少なくとも1つのプロペラが回転可能に配置されており、このプロペラは操舵ハウジングの内部で回転可能に支承されたプロペラ軸によって駆動される。操舵ユニットは、船舶を操舵するために船舶の垂直軸と実質平行な自己の垂直軸の周りで旋回可能である。伝動装置ユニットは駆動軸を介して原動機と連結されている。原動機は伝動装置ユニットと同様に船体の内部に配置されている。駆動動力を下方にプロペラ軸へと伝達するために伝動装置ユニット内にアングルドライブが配置されている。アングルドライブまたは任意伝達段において回転数変換もしくはトルク変換と軸の回転反転とが可能である。先行技術の伝動装置ユニットは、駆動軸もしくは原動機と結合された1つの軸接続部を有するだけである。例えば付加的に1つの電動機が代替的推進機関として設けられるハイブリッド推進装置において必要となるように他の推進機関がプロペラを選択的に駆動する場合、伝動装置ユニットはこのためにいわゆる副駆動部を必要とする。ハイブリッド推進装置における電動機の利点は、騒音発生および/または排ガス排出が制限されている運転範囲または例えば低速走行時または着岸操作時または離岸操作時等の低い速度範囲において電動機を利用できることにある。
【0003】
以下で副駆動部とされるのは、付加的推進機関への接続と動力取出し部もしくは出力軸への入力動力の転送とを可能とする技術的手段である。同様に特定応用事例では2つの異なる寸法の推進機関を配置するのが有意義であり、動力の強い方の推進機関は動力需要が高く例えば速度または引張荷重が高い第1運転範囲において作動し、動力の弱い方の推進機関は荷重が低い第2運転範囲において作動する。複数の機関を代替的に作動させることによって各機関はそれらの最良効率範囲内で作動させることができる。
【0004】
DE69933288T2が旋回式船舶推進装置を示しているが、しかしこの推進装置では代替的推進機関による駆動が可能でない。副駆動部を提供するには新たな伝動装置ユニットが設計されるかまたは既存の伝動装置ユニットが再設計され改造されねばならない。従って上記種類の既存船舶推進装置のハイブリッド化は著しく支出してのみ可能である。
【0005】
EP1259423B1が2エンジン船舶推進システムを示している。そこでは船舶用伝動装置が各推進機関用に2つの入力軸を有する。両方の入力軸は複数のクラッチによって選択的にプロペラ軸と連結可能であり、またはプロペラ軸を一緒に駆動することができる。船舶推進装置の運転が単に一方の原動機によって行われる場合でも、両方の入力軸が伝動装置内に設けられており、すなわち伝動装置は必要以上の支出で構成されており、そのことは例えば費用もしくは組立支出および重量の増加となって顕在化する。その逆に伝動装置が単に1つの原動機の駆動用に設計されると、伝動装置の組立時、利用されない第2入力軸は省くことができる。しかし2エンジン運転用に船舶推進装置を追加的に装備変更する場合、そのためにかなりの改造支出が必要となる。それに加えて上記伝動装置は、ラダープロペラ用に必要となる動力伝導軸の角度転換が解決されないので、旋回式船舶推進装置用に適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】ドイツ国特許公報DE69933288T2
【特許文献2】欧州特許公報EP1259423B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、少なくとも1つの他の推進機関によって駆動可能とするためにその伝動装置ユニットを簡単に改造することのできる、ラダープロペラとして実施された船舶推進装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、請求項1の特徴によって解決される。
ラダープロペラとして構成された旋回式船舶推進装置は船体内部の伝動装置ユニットと船体外側の操舵ユニットとを含む。伝動装置ユニット内で接続部に駆動装置の、1つの推進機関によって駆動可能な入力軸が第1回転軸線の周りを回転可能に配置されている。入力軸に連結された出力軸は第2回転軸線の周りを回転可能に配置されている。回転軸線は互いに平行でも同軸でもない。その際、伝動装置ユニットに少なくとも1つの他の接続部が設けられており、出力軸を駆動するための、他の推進機関によって駆動可能な他の駆動装置をこの接続部に配置することができる。出力軸を任意に追加駆動する可能性によって、例えば付加的電動機が必要となるハイブリッド推進装置を提供するのに必要となるような付加的推進機関を設けることが可能となる。同様に、追加駆動する可能性は高い荷重範囲用の主推進機関と低い荷重範囲用の小さな推進機関との配置を可能とし、両方の推進機関はそれぞれの運転範囲において最良の効率範囲内で作動させることができる。
同様に、他の駆動装置の入力軸はアングルドライブによって出力軸と連結しておくことが可能である。
【0009】
本発明の有利な諸構成は従属請求項から明らかとなる。
【0010】
本発明対象の一構成において、駆動装置は推進機関に適合させるための手段を備えた各1つの入力軸と入力軸を回転可能に支承するための支承手段とを含む。
【0011】
さらに、第2駆動装置の入力軸が出力軸と同軸で配置されて相対回転不能に出力軸と結合されており、これにより出力軸が第2駆動装置の支承手段によって支承されているようにすることができる。先行技術の旋回式船舶推進装置でも、すなわち代替的推進機関によって駆動する可能性がない場合でも、出力軸は支承されていなければならないので、推進機関に適合させるための手段の付加的支出はごく僅かである。というのも、副駆動部と出力軸は1つの共通する軸受を必要とするだけであるからである。従って、付加的推進機関によって駆動するというオプションを提供することはごく僅かな構造支出を意味している。
【0012】
さらに第1駆動装置の入力軸は、少なくとも2つの傘歯車を含むアングルドライブによって出力軸と連結しておくことが可能である。
【0014】
これに対する代替的実施において他の駆動装置の入力軸は第1駆動装置の入力軸と同様に第1回転軸線の周りを回転可能である。
【0015】
好ましくは伝動装置ユニットが伝動装置ハウジングを含み、この伝動装置ハウジング内に各1つの駆動装置を受容するための複数の内輪郭が形成されている。
【0016】
本発明の特別有利な1構成において駆動装置の傘歯車の外径は伝動装置ハウジングの、駆動装置に付属した内輪郭の内径よりも小さい。この条件により、伝動装置ユニットの外側から伝動装置ハウジング内に駆動装置を組付ける可能性が得られる。そのことが有する利点として例えば、伝動装置ユニットの外側で駆動装置の迅速な完全化を行うことができ、次に駆動装置は簡単に伝動装置ハウジングに嵌め込むことができる。それに加えて、整備時または修理時に駆動装置を交換するのに伝動装置ユニットを船体から取り外す必要がない。
【0017】
好ましくは、各駆動装置の入力軸を支承するための軸受が軸受ブッシュ内に配置されており、軸受ブッシュは伝動装置ハウジングの各内輪郭内に配置することができる。これにより、伝動装置ユニットの外側で駆動装置を予め組付けることが可能となる。
【0018】
最後に、付加的駆動装置が複数の場合、支承手段と、入力軸と、他の推進機関に適合させるための手段が第2駆動装置におけると同一に形成されていると有利であると判定される。そのことの利点として、同一部品を使用することによって修理と組付けが容易となり、一層経済的となる。
【0019】
本発明の実施例が図面に示してあり、以下で詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は船舶推進装置の伝動装置ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に伝動装置ユニット1が切断して示してある。この切断は入力軸11の回転軸線5と出力軸3の回転軸線6とに張り渡した平面で行われ、回転軸線5は船体の長手方向にあり、回転軸線6と直角に交差し、回転軸線6は回転軸線5に対して直角である。伝動装置ユニット1は船体の内部に配置されている。伝動装置ユニット1の伝動装置ハウジング4内で3つの接続部A、B、Cに各1つの円筒形内輪郭7、8、9が形成されており、内輪郭7、9の位置は回転軸線5と同軸であり、内輪郭8の位置は回転軸線6と同軸である。
【0022】
接続部Aでは内輪郭7内に駆動装置10が回転軸線5と同軸で配置されている。接続部A内で主原動機の駆動動力が伝動装置ユニット1に導入され、それゆえに駆動装置10は主駆動部とも称される。駆動装置10は2つの円錐ころ軸受41、42を備えた軸受ブッシュ14とフランジ12と入力軸11と蓋15と傘歯車13とを含む。
【0023】
軸受ブッシュ14が円筒形外輪郭18を有し、この外輪郭が内輪郭7とで嵌合寸法を生じる。これにより軸受ブッシュ14は伝動装置ハウジング4内に回転軸線5と同軸で配置されている。軸受ブッシュ14の内輪郭に2つの円錐ころ軸受41、42が配置されている。円錐ころ軸受41、42内で入力軸11は回転軸線5の周りを回転可能に支承されている。伝動装置ハウジング4の外側で入力軸11の第1末端にフランジ12が配置されて相対回転不能に入力軸11と結合されている。フランジ12を介して入力軸11はその駆動のために主原動機の図示しない駆動軸と相対回転不能に結合されている。
【0024】
伝動装置ハウジング4の内部で入力軸11の第2末端に傘歯車13が形成されており、入力軸11と一緒に1つの部材を形成する。そうする代わりに、傘歯車13は個別部材として形成して相対回転不能に入力軸11と結合しておくこともできる。軸受ブッシュ14とフランジ12との間に蓋15が配置されており、この蓋は複数のねじ46によって回転軸線5と同軸で軸受ブッシュ14に固着されている。蓋15と入力軸11との間でラジアル軸封リング49が蓋15に固定配置されており、これにより伝動装置ユニット1の内部は例えば汚れ、水等の外的影響に備えて密封される。
【0025】
接続部Bでは伝動装置ハウジング4の内輪郭8内に駆動装置20が配置されている。駆動装置20は中空軸21と、軸駆動体22と、2つの円錐ころ軸受43、44を備えた軸受ブッシュ24と、蓋29を備えたアダプタフランジ26と、傘歯車23とを含む。
【0026】
軸受ブッシュ24は軸受ブッシュ14と同様に複数のねじ48によって相対回転不能に伝動装置ハウジング4と結合されており、外輪郭28を有する。この外輪郭は内輪郭8とで嵌合を形成し、こうして伝動装置ハウジング4内で回転軸線6を基準に心出しされている。アダプタフランジ26はやはり回転軸線6と同軸で軸受ブッシュ24に配置されており、複数のねじ47によって相対回転不能にこの軸受ブッシュと結合されている。中空軸21は回転軸線6の周りを回転可能に円錐ころ軸受43、44内で支承されている。中空軸21の第1末端では中空軸21の内輪郭27で軸駆動体22が相対回転不能に中空軸21と結合されている。軸駆動体22はその外輪郭に歯列22aを有する。中空軸21の第2末端では出力軸3が内輪郭27で相対回転不能に中空軸21と結合されている。やはり中空軸21の第2末端に傘歯車23が形成されており、中空軸21と傘歯車23が1つの部材を形成する。そうする代わりに、傘歯車23は独自の部材として形成して相対回転不能に中空軸21と結合しておくことができる。
【0027】
軸駆動体22によって出力軸3は、入力軸11を駆動する推進機関の他に、他の推進機関によって直接駆動することができ、駆動装置20が副駆動部を形成する。
【0028】
図示しない他の駆動系統の固定部分はアダプタフランジ26と固定結合されている。付加的駆動系統のやはり図示しない回転駆動部分は歯列22aとの形状結合によって相対回転不能に軸駆動体22と結合されている。出力軸3は垂直下方に、
図2に示す操舵ユニット内に通じており、そこで他のアングルドライブを介してプロペラ軸を駆動する。主推進機関と第2推進機関とを切り離すために例えば伝動装置ユニット1の外側で各駆動系統中にクラッチを設けることができる。
【0029】
付加的推進機関による駆動が伝動装置ユニット1に設けられていない場合、アダプタフランジ26は蓋29によって閉鎖される。その場合、軸駆動体22はもはや必要とされない。1構成において軸駆動体が相対回転不能に、但し軸方向移動可能に中空軸21内に配置されていると、軸駆動体22は簡単に取り去ることができる。
【0030】
図示実施では2つの機能が駆動装置20内で統合されており、これにより付加的駆動系統を適合させるための支出は最小となる。一方で、先行技術による伝動装置ユニット内でも出力軸3用に支承部が必要である。本発明によれば出力軸3は駆動装置20内で、軸駆動体22も相対回転不能に結合されているのと同じ中空軸21によって支承されている。これにより駆動装置20は、付加的推進機関の適合が簡単に可能となるように形成されている。駆動装置20を副駆動部として構成するためにアダプタフランジ26と軸駆動体22が付加的に必要となるだけである。
【0031】
図1では接続部Cに付加的駆動部が設けられておらず、そのため駆動装置30は軸受も中空軸も含んでいない。図示駆動装置30では外輪郭38を有する軸受ブッシュ34が伝動装置ハウジング4の内輪郭9に嵌め込まれ、複数のねじ51によって相対回転不能に伝動装置ハウジング4と結合されている。軸受ブッシュ34は軸受ブッシュ14と同様に回転軸線5と同軸で配置されている。アダプタフランジ36が複数のねじ52によって固定軸受ブッシュ24と相対回転不能に結合されている。アダプタフランジ36は蓋39で閉鎖されている。
【0032】
軸受ブッシュ34、24の造形が有利なことに同一であるので、軸受ブッシュ34内に同様に円錐ころ軸受、傘歯車を有する中空軸、そして軸駆動体を配置することができる。これにより、入力軸11とは反対側の接続部Cでも回転軸線5の周りで副駆動を行うことができる。両方の駆動装置20、30内で同一部品を使用できることによって組立作製支出が低減されよう。駆動装置20内で出力軸3が支承されているので、駆動装置20はいずれにしても軸駆動体22に至る接続部Bでの付加的駆動なしでも伝動装置ハウジング4内に配置されている。
【0033】
付加的駆動用の両方の可能な接続部B、Cによって付加的推進機関の取付けは単に1つの取付箇所に限定されているのでなく、造船業者は異なる船舶の異なる空間事情を考慮して付加的推進機関の配置を一層柔軟に設計することができる。
【0034】
接続部Cで伝動装置ユニット1の付加的駆動を行うことなく駆動装置30が駆動装置20と同様に設けられているなら、傘歯車は、従って中空軸と円錐ころ軸受も、出力軸3と一緒に無負荷で回転するであろう。そのことから例えば効率損失と摩耗が引き起こされる。それに加えて、まったく必要とされない部品が伝動装置ユニット1内に取付けられていることになろう。これは例えば費用、取付支出および重量上の諸理由から望ましくない。
【0035】
伝動装置ハウジング4内への駆動装置10、20、30の簡単な取付けを可能とするために内輪郭7、8、9の内径は有利には、内径がそれぞれ各傘歯車13または23の最大外径よりも大きくなるように選択されている。駆動装置10、20全体はこうして伝動装置ユニット1の外側で軸受ブッシュ14、24内に予め完全に組付けることができる。
【0036】
引き続き軸受ブッシュ14、24はそのなかに取付けられた部材と一緒に伝動装置ハウジング4に押し込むことができる。各傘歯車は簡単にかみ合わせられる。引き続き当該軸受ブッシュはねじによって伝動装置ハウジングに固着される。こうして各駆動装置において組込みもしくは交換は伝動装置ユニット1を船体から取り外すことなく行うことができる。各軸受胴を省いて直接伝動装置ハウジング4内で異なる接続部に軸受を配置することも理論的には可能であるが、しかしながらこれは伝動装置ユニット内への駆動装置の取付を困難とする。
【0037】
こうして伝動装置ユニット1の3つの接続部A、B、Cで異なる駆動が可能であり、相応するクラッチは伝動装置ユニット1の外側でさまざまな駆動系統中に設けることができる。停止中の推進機関が一緒に作動するのを防止すべきである場合、この推進機関は伝動装置ユニット1から切り離すことができる。推進機関がそれらの駆動動力を累積すべきである場合、推進機関は伝動装置ユニット1と連結しておかねばならない。
【0038】
接続部B、Cで各駆動装置によって動力取出しを行い、すなわち伝動装置ユニット1の外側で機構の駆動を行うこともできる。
【0039】
図2は上記種類の船舶推進装置を斜視図で示しており、そこに伝動装置ユニット1と各副駆動部の相応する配置とを認めることができる。さらに、船体の外側にある操舵ユニット2の初端部が示してある。駆動装置20のうち外見図に認められるのは軸受ブッシュ24とアダプタフランジ26、そして蓋29と当該ねじである。同様に駆動装置30において示してあるのは軸受ブッシュ34とアダプタフランジ36、そして蓋39と当該ねじである。入力軸11を備えた駆動装置10は隠れている。
【符号の説明】
【0040】
1 伝動装置ユニット
2 操舵ユニット
3 出力軸
4 伝動装置ハウジング
5 回転軸線
6 回転軸線
7 内輪郭
8 内輪郭
9 内輪郭
10 駆動装置
11 入力軸
12 フランジ
13 傘歯車
14 軸受ブッシュ
15 蓋
18 外輪郭
20 駆動装置
21 中空軸
22 軸駆動体
22a 歯列
23 傘歯車
24 軸受ブッシュ
25 蓋
26 アダプタフランジ
28 外輪郭
30 駆動装置
34 軸受ブッシュ
35 蓋
36 アダプタフランジ
38 外輪郭
41 円錐ころ軸受
42 円錐ころ軸受
43 円錐ころ軸受
44 円錐ころ軸受
45 ねじ
46 ねじ
47 ねじ
48 ねじ
51 ねじ
52 ねじ
53 ラジアル軸封リング
A 接続部
B 接続部
C 接続部