特許第5723315号(P5723315)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5723315
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150507BHJP
【FI】
   A63F7/02 320
【請求項の数】3
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-80026(P2012-80026)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-208232(P2013-208232A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2014年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135210
【氏名又は名称】株式会社ニューギン
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】関谷 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】松田 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】幸 将史
(72)【発明者】
【氏名】小山 純子
(72)【発明者】
【氏名】竹澤 勝彦
【審査官】 篠崎 正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−072395(JP,A)
【文献】 特開2011−229781(JP,A)
【文献】 特開2011−092367(JP,A)
【文献】 特開2004−358064(JP,A)
【文献】 特開2004−202008(JP,A)
【文献】 特開2010−193921(JP,A)
【文献】 特開2003−251009(JP,A)
【文献】 特開2004−350914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を入賞検知する始動入賞手段と、前記始動入賞手段により遊技球が検知されたことを契機として、複数種類の図柄を変動させて行う図柄変動ゲームを表示する演出実行手段と、を備え、前記図柄変動ゲームにおいて予め定められた特別表示結果が表示された場合には、遊技者に有利となる特別遊技が付与される遊技機において、
始動入賞手段による遊技球の入賞検知を契機に、図柄変動ゲームにて特別表示結果が表示されるか否かを判定する結果判定手段と、
結果判定手段に基づき、図柄変動ゲームの演出内容を特定する演出内容決定手段と、
前記演出内容決定手段が決定した演出内容の図柄変動ゲームを前記演出実行手段に実行させる演出制御手段と、
図柄変動ゲームが終了してから、次の図柄変動ゲームが実行されるまでの経過時間を計測する移行時間計測手段と、
前記計測手段が計測した経過時間が予め決められた移行時間に達したか否かを判定する時間判定手段と、
前記時間判定手段の判定結果が肯定の場合、予め決められた演出内容のデモ演出を演出実行手段に実行させるデモ演出制御手段と、
遊技が行われているか否かを判定する遊技継続判定手段と、
前記遊技継続判定手段の判定結果が肯定の場合に、前記デモ演出制御手段がデモ演出の実行を開始させたときの回数である遊技継続時デモ移行回数を計測するデモ回数計測手段と、
前記デモ回数計測手段が計測した遊技継続時デモ移行回数が予め決められた閾値以上となった場合、遊技演出の演出内容を変更する演出変更手段を備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記演出変更手段は、前記デモ回数計測手段が計測した遊技継続時デモ移行回数が予め決められた閾値となった場合、通常の演出内容とは異なる演出内容にてデモ演出を実行させることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記遊技継続判定手段の判定結果が肯定となっている遊技時間を計測する遊技継続時間計測手段を備え、
前記演出変更手段は、前記デモ回数計測手段が計測した遊技継続時デモ移行回数を、前記遊技継続時間計測手段が計測した遊技時間で割った値が、予め決められた判定値以上となった場合に、遊技演出の演出内容を変更することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デモ演出が行われる遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の一種であるパチンコ機は、例えば、液晶ディスプレイ型の可変表示器を備え、当該可変表示器において複数種類の図柄を変動させて図柄組み合わせを表示する図柄組み合わせゲーム(図柄変動ゲーム)が行われている。そして、遊技者は、図柄組み合わせゲームで導出され、最終的に確定停止表示された図柄組み合わせから大当り又ははずれを認識できる。このようなパチンコ機の中には、図柄変動ゲームが行われていない際には、遊技者に遊技を促すように、遊技者を引きつけるためのデモ演出が可変表示器上において実行されるものがある(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1では、デモ演出の実行回数により、デモ演出の内容やデモ演出に移行するまでの時間を変更させることにより、遊技者をより引きつけるように工夫している。なお、一般的な遊技機では、デモ演出の内容として、大当り回数やゲーム回数などの遊技履歴や、遊技方法の説明などが表示されるようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−72395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1のようなパチンコ機では、デモ演出の表示内容を変更させたり、デモ演出に移行するまでの時間を変更させたりしても、遊技者が遊技を開始するための動機付けとしては不十分だった。すなわち、デモ演出を見ても遊技者にとって有利なパチンコ機であるか否か判断が付かず、遊技を開始させるには至らないことが多かった。
【0006】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、遊技意欲を向上させることができる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、遊技球を入賞検知する始動入賞手段と、前記始動入賞手段により遊技球が検知されたことを契機として、複数種類の図柄を変動させて行う図柄変動ゲームを表示する演出実行手段と、を備え、前記図柄変動ゲームにおいて予め定められた特別表示結果が表示された場合には、遊技者に有利となる特別遊技が付与される遊技機において、始動入賞手段による遊技球の入賞検知を契機に、図柄変動ゲームにて特別表示結果が表示されるか否かを判定する結果判定手段と、結果判定手段に基づき、図柄変動ゲームの演出内容を特定する演出内容決定手段と、前記演出内容決定手段が決定した演出内容の図柄変動ゲームを前記演出実行手段に実行させる演出制御手段と、図柄変動ゲームが終了してから、次の図柄変動ゲームが実行されるまでの経過時間を計測する移行時間計測手段と、前記計測手段が計測した経過時間が予め決められた移行時間に達したか否かを判定する時間判定手段と、前記時間判定手段の判定結果が肯定の場合、予め決められた演出内容のデモ演出を演出実行手段に実行させるデモ演出制御手段と、遊技が行われているか否かを判定する遊技継続判定手段と、前記遊技継続判定手段の判定結果が肯定の場合に、前記デモ演出制御手段がデモ演出の実行を開始させたときの回数である遊技継続時デモ移行回数を計測するデモ回数計測手段と、前記デモ回数計測手段が計測した遊技継続時デモ移行回数が予め決められた閾値以上となった場合、遊技演出の演出内容を変更する演出変更手段を備えたことを要旨とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の遊技機において、前記演出変更手段は、前記デモ回数計測手段が計測した遊技継続時デモ移行回数が予め決められた閾値となった場合、通常の演出内容とは異なる演出内容にてデモ演出を実行させることを要旨とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の遊技機において、前記遊技継続判定手段の判定結果が肯定となっている遊技時間を計測する遊技継続時間計測手段を備え、前記演出変更手段は、前記デモ回数計測手段が計測した遊技継続時デモ移行回数を、前記遊技継続時間計測手段が計測した遊技時間で割った値が、予め決められた判定値以上となった場合に、遊技演出の演出内容を変更することを要旨とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、遊技意欲を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】パチンコ遊技機の機表側を示す正面図。
図2】遊技盤を示す正面図。
図3】パチンコ遊技機の制御構成を示すブロック図。
図4】デモ処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をパチンコ遊技機に具体化した一実施形態を説明する。
図1には、パチンコ遊技機10(以下、単に「遊技機10」と示す場合もある)が略示されており、パチンコ遊技機10の機体の外郭をなす外枠Y1の開口前面側には、各種の遊技構成部材をセットする縦長方形の中枠Y2が開放及び着脱自在に組み付けられているとともに、中枠Y2の前面側には前枠Y3が開閉及び着脱自在に組み付けられている。前枠Y3は、図1に示すようにパチンコ遊技機10の機正面側から見た場合において、中枠Y2に重なるように組み付けられている。
【0013】
また、前枠Y3は、中央部に窓口Y3aを有するとともに、当該窓口Y3aの下方にパチンコ遊技機10の遊技媒体となる遊技球を貯留可能な上皿(貯留皿)Y4を一体形成した構成とされている。前枠Y3の裏側には、機内部に配置された遊技盤YBを保護し、且つ窓口Y3aを覆う大きさのガラスを支持する図示しないガラス支持枠が着脱及び傾動開放可能に組み付けられている。なお、遊技盤YBは、中枠Y2に装着される。
【0014】
また、中枠Y2の前面側であって前枠Y3の下部には、上皿Y4から溢れ出た遊技球を貯留する下皿(貯留皿)Y5が装着されている。また、中枠Y2の前面側であって下皿Y5の右方には、遊技球を遊技盤YBに発射させる際に遊技者によって回動操作(発射操作)される発射装置Y6が装着されている。遊技者が発射装置Y6の発射ハンドルY6aを把持して回動操作すると、上皿Y4に貯留されている遊技球が1個ずつ機内部に取り込まれ、遊技盤YBに向けて発射される。また、発射装置Y6の発射ハンドルY6aの回動操作する回動量に応じて、遊技盤YBに向けて遊技球を発射させる強さ(遊技球を打ち出す方向)が変化するようになっている。このため、遊技者は、発射ハンドルY6aを回動操作する回動量を調節して、遊技盤YBにおいて遊技球を打ち出す方向を調節することができる。また、発射ハンドルY6aには、接触センサSEが設けられており、遊技者の手が接触していることを検知し、検知した場合には、接触信号を出力するようになっている。なお、接触センサSEが、遊技者の接触を検知していない場合、遊技球の発射が規制されるようになっている。
【0015】
次に、遊技盤YBの構成を詳しく説明する。
図2に示すように、遊技盤YBの前面には、発射ハンドルY6aの回動操作によって発射された遊技球を誘導し、かつ遊技の主体となるほぼ円形の遊技領域YBaを形成する誘導レールYRが円形渦巻き状に敷設されている。この誘導レールYRによって遊技盤YBには、該遊技盤YBの左下方から左上方に向かって延びる遊技球の発射レールとしての誘導路YRaが形成されるとともに、誘導レールYRの内側にほぼ円形の遊技領域YBaが形成される。また、遊技盤YBの前面であって誘導レールYRの外側となる遊技領域YBa外は、パチンコ遊技に直接関与しない非遊技領域YBbとされている。
【0016】
なお、誘導路YRaの最下流には、誘導路YRaから遊技領域YBaに発射された遊技球が誘導路YRaに逆戻りすることを防止する逆戻り防止弁YRbが設けられている。逆戻り防止弁YRbは、誘導路YRaの最下流に位置する誘導レールYRの先端に固定されている。
【0017】
また、遊技盤YBの遊技領域YBaのほぼ中央には、液晶ディスプレイ型の画像表示部を有する演出実行手段としての演出表示装置11が配設されている。演出表示装置11では、複数列(本実施形態では、3列)の図柄を変動させて行う図柄変動ゲームと、該ゲームに関連して実行される各種の表示演出が実行される。本実施形態の図柄変動ゲームでは、複数列(本実施形態では、3列)の図柄からなる図柄組み合わせを導出する。なお、演出表示装置11で実行される図柄変動ゲームでは、表示演出を多様化するための飾り図柄を用いて行われる。
【0018】
また、演出表示装置11の左下には、7セグメント型の特図表示装置12が配設されている。特図表示装置12では、複数種類の特別図柄(特図)を変動させて表示する図柄変動ゲームが行われる。特別図柄は、大当りか否か(大当り抽選)などの内部抽選の結果を示す報知用の図柄である。
【0019】
本実施形態において特図表示装置12には、複数種類(本実施形態では、101種類)の特図の中から、大当り抽選の抽選結果に対応する1つの特図が選択され、その選択された特図が確定停止表示される。101種類の特図は、大当りを認識し得る図柄となる100種類の大当り図柄と、はずれを認識し得る図柄となる1種類のはずれ図柄と、に分類される。また、大当り図柄が確定停止表示された場合、遊技者には、大当り遊技が付与される。
【0020】
また、本実施形態において演出表示装置11には、各列に[1]〜[8]の8種類の数字が飾り図柄として表示されるようになっている。そして、演出表示装置11には、特図表示装置12の表示結果に応じた表示結果が表示される。具体的には、特図表示装置12に大当り図柄が確定停止表示される場合、原則として、演出表示装置11にも大当りの図柄組み合わせ(特別表示結果)が確定停止表示されるようになっている。本実施形態の大当りの図柄組み合わせは、全列の飾り図柄が同一の図柄組み合わせ([222][777]など)である。また、特図表示装置12にはずれ図柄が確定停止表示される場合、原則として、演出表示装置11にもはずれの図柄組み合わせ(非特別表示結果)が確定停止表示されるようになっている。本実施形態のはずれの図柄組み合わせは、全列の飾り図柄が異なる図柄組み合わせ([123]など)、又は1列の飾り図柄が他の2列の飾り図柄と異なる図柄組み合わせ([122][767]など)である。
【0021】
また、本実施形態において、演出表示装置11における各列の飾り図柄は、図柄変動ゲームが開始すると、予め定めた変動方向(縦スクロール方向)に沿って変動表示されるようになっている。そして、図柄変動ゲームが開始すると(各列の飾り図柄が変動を開始すると)、演出表示装置11において遊技者側から見て左列(左図柄)→右列(右図柄)→中列(中図柄)の順に、変動表示された飾り図柄が一旦停止表示されるようになっている。そして、一旦停止表示された左図柄と右図柄が同一の場合には、その図柄組み合わせ([1↓1]など、「↓」は変動中を示す)からリーチ状態を認識できる。リーチ状態は、複数列のうち、特定列(本実施形態では、左列と右列)の飾り図柄が同一となって一旦停止表示され、かつ前記特定列以外の列(本実施形態では、中列)の飾り図柄が変動表示されている状態である。このリーチ状態を認識できる図柄組み合わせが飾り図柄によるリーチの図柄組み合わせとなる。
【0022】
なお、「変動表示」とは、演出表示装置11と、特図表示装置12に定める表示領域内において表示される図柄の種類が変化している状態である。一方で、「一旦停止表示」とは、前記表示領域内において図柄がゆれ変動状態で表示されている状態である。また、「確定停止表示」とは、前記表示領域内において図柄が確定停止している状態である。そして、特図表示装置12における図柄変動ゲームと、演出表示装置11における図柄変動ゲームは、その図柄変動ゲームに係る表示演出が同時に開始されるとともに、同時に終了する(すなわち、同時に特別図柄と飾り図柄が確定停止表示される)。
【0023】
また、特図表示装置12の下方には、複数個(本実施形態では、2個)の特図保留発光部を備えた特図保留記憶表示装置13が配設されている。特図保留記憶表示装置13は、機内部で記憶した特別図柄用の始動保留球の記憶数(以下、「保留記憶数」と示す)を遊技者に報知する。保留記憶数は、遊技盤YBに配設した始動入賞口19に遊技球が入球(入賞)することで1加算される一方で、図柄変動ゲームの開始により1減算される。したがって、図柄変動ゲーム中に始動入賞口19へ遊技球が入球すると、保留記憶数は更に加算されるとともに、所定の上限数(本実施形態では、4個)まで累積される。そして、本実施形態における2個の特図保留発光部は、保留記憶数に応じて点灯、点滅又は消灯する。具体的には、保留記憶数が「0」の場合、2個の特図保留発光部は消灯し、保留記憶数が「1」の場合、左方の特図保留発光部が点灯して、右方の特図保留発光部が消灯するようになっている。また、保留記憶数が「2」の場合、2個の特図保留発光部が点灯し、保留記憶数が「3」の場合、左方の特図保留発光部が点滅して、右方の特図保留発光部が点灯するようになっている。また、保留記憶数が「4」の場合、2個の特図保留発光部が点滅するようになっている。なお、保留記憶数は、実行が保留されている図柄変動ゲームの数を示す。
【0024】
また、演出表示装置11の下方には、遊技球の入賞口としての入賞口18を有する始動入賞口19が配設されている。そして、始動入賞口19の奥方には、入賞した遊技球を検知する始動入賞手段としての始動口スイッチSW1が配設されている。本実施形態では、始動口スイッチSW1で、始動入賞口19に入賞した遊技球を検知することにより、図柄変動ゲームの始動条件と予め定めた個数(本実施形態では、3個)の賞球としての遊技球の払出条件を付与し得る。
【0025】
また、始動入賞口19の下方には、図示しないアクチュエータ(ソレノイド、モータなど)の作動により開閉動作を行う大入賞口扉23を備えた特別入賞手段としての大入賞口24が配設されている。
【0026】
大入賞口24の奥方には、入賞した遊技球を検知するカウントスイッチSW2が配設されている。大入賞口24は、入賞した遊技球を検知することにより、予め定めた個数(例えば、13個)の賞球としての遊技球の払出条件を付与し得る。大入賞口24は、大当り遊技中に大入賞口扉23の開動作によって開放されることで遊技球の入賞が許容される。このため、大当り遊技中、遊技者は、賞球を獲得できるチャンスを得ることができる。また、遊技盤YBの遊技領域YBaにおける最下方中央には、遊技球をアウト球として機外に排出するアウト口29が配設されている。
【0027】
次に、本実施形態のパチンコ遊技機に規定する大当り遊技について説明する。
大当り遊技は、図柄変動ゲームにて、特図表示装置12に大当り図柄が確定停止表示され、該図柄変動ゲームの終了後に開始される。大当り遊技が開始すると、最初に大当り遊技の開始を示すオープニング演出が行われる。オープニング演出終了後には、大入賞口24が開放されるラウンド遊技が予め定めた規定ラウンド数を上限(本実施形態では、15ラウンド)として複数回行われる。1回のラウンド遊技中に大入賞口24は、規定個数(入球上限個数(本実施形態では、8個))の遊技球が入賞するまでの間、又は規定時間(ラウンド遊技時間)が経過するまでの間、開放される。また、ラウンド遊技では、ラウンド演出が行われる。そして、予め定めた規定ラウンド数のラウンド遊技の終了後には、大当り遊技の終了を示すエンディング演出が行われ、大当り遊技は終了される。
【0028】
また、本実施形態では、デモ演出が演出表示装置11において実行されるようになっている。デモ演出は、図柄変動ゲームが行われていないときに実行される演出である。本実施形態では、図柄変動ゲーム終了後、予め決められた時間(例えば、10秒)、図柄変動ゲームが開始されなかったとき(始動入賞口19に遊技球が入賞しなかったとき)にデモ演出が開始されるようになっている。デモ演出では、遊技の説明や、ゲーム中に表示されるキャラクタの表示、製造者の告知などを行い、遊技者に遊技に対して興味を持たせ、遊技を促すための演出となっている。
【0029】
次に、パチンコ遊技機の制御構成を説明する。
図3に示すように、機裏側には、パチンコ遊技機全体を制御する主制御基板30が装着されている。主制御基板30は、パチンコ遊技機全体を制御するための各種処理を実行するとともに、該処理結果に応じた各種の制御指令(制御コマンド)を出力する。また、機裏側には、演出制御基板31が装着されている。演出制御基板31は、主制御基板30が出力した制御信号(制御コマンド)に基づき、演出表示装置11の表示態様(図柄、背景、文字などの表示画像など)や各種の演出装置を制御する。
【0030】
以下、主制御基板30及び演出制御基板31の具体的構成を説明する。
主制御基板30には、制御動作を所定の手順で実行する主制御用CPU30aと、主制御用CPU30aの制御プログラムを格納する主制御用ROM30bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる主制御用RAM30cが設けられている。そして、主制御用CPU30aには、各種スイッチSW1,SW2が遊技球を検知して出力する検知信号を入力可能に接続されている。また、主制御用CPU30aには、接触センサSEが遊技者の接触を検知して出力する接触信号を入力可能に接続されている。また、主制御用CPU30aには、特図表示装置12、特図保留記憶表示装置13が接続されている。
【0031】
また、主制御用CPU30aは、当り判定用乱数、特図振分用乱数、リーチ判定用乱数、変動パターン振分用乱数などの各種乱数の値を所定の周期毎に更新する乱数更新処理(乱数生成処理)を実行する。当り判定用乱数は、大当り抽選(大当り判定)で用いる乱数である。特図振分用乱数は、大当り抽選に当選した場合に、付与する大当り遊技の種類を決定する際に用いる乱数である。リーチ判定用乱数は、大当り抽選で非当選の場合に、図柄変動ゲームにてリーチ演出を実行するか否かを決定するためのリーチ抽選(リーチ判定)で用いる乱数である。変動パターン振分用乱数は、変動パターンを選択する際に用いる乱数である。また、主制御用RAM30cには、パチンコ遊技機の動作中に適宜書き換えられる各種情報(乱数値、タイマ値、フラグなど)が記憶(設定)される。
【0032】
主制御用ROM30bには、メイン制御プログラム、各種の判定値(大当り判定値など)や、複数種類の変動パターンが記憶されている。変動パターンは、図柄変動ゲームが開始してから図柄変動ゲームが終了するまでの間の演出(表示演出、発光演出、音声演出)のベースとなるパターンであって、図柄変動ゲームの演出時間(変動時間)を特定し得る。
【0033】
変動パターンには、大当りのときに決定される大当り演出用の変動パターンと、はずれのときに決定されるはずれ演出用の変動パターンがある。また、はずれ演出用の変動パターンには、リーチ演出を演出内容に含むはずれリーチ演出用の変動パターンと、リーチ演出を演出内容に含まないはずれ演出用の変動パターンと、がある。
【0034】
また、リーチ演出は、演出表示装置11の飾り図柄による図柄変動ゲームにおいて、リーチの図柄組み合わせ(リーチ図柄)が表示されてから、最終的に図柄組み合わせ(大当り、はずれの図柄組み合わせ)が導出されるまでの間に行われる演出である。なお、はずれ演出用の変動パターンに基づいて行われる図柄変動ゲームでは、リーチ演出を経ることなく最終的にはずれの図柄組み合わせを確定停止表示させるように展開される。また、はずれリーチ演出用の変動パターンに基づいて行われる図柄変動ゲームでは、リーチ演出を経て、最終的にはずれの図柄組み合わせを確定停止表示させるように展開される。また、大当り演出用の変動パターンに基づいて行われる図柄変動ゲームでは、リーチ演出を経て、最終的に大当りの図柄組み合わせを確定停止表示させるように展開される。
【0035】
主制御用ROM30bには、大当り判定値が記憶されている。大当り判定値は、大当りか否かの内部抽選で用いる判定値であり、当り判定用乱数の取り得る数値の中から定められている。また、主制御用ROM30bには、リーチ判定値が記憶されている。リーチ判定値は、リーチ抽選で用いる判定値であり、リーチ判定用乱数の取り得る数値の中から定められている。
【0036】
次に、演出制御基板31について説明する。
図3に示すように、演出制御基板31には、制御動作を所定の手順で実行する演出制御用CPU31aと、演出制御用CPU31aの制御プログラムを格納する演出制御用ROM31bと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる演出制御用RAM31cが設けられている。演出制御用CPU31aは、各種乱数の値を所定の周期毎に更新する乱数更新処理(乱数生成処理)を実行する。また、演出制御用CPU31aには、演出表示装置11が接続されている。また、演出制御用ROM31bには、各種の画像表示用データ(図柄、背景、文字、キャラクタなどの画像データ)が記憶されている。また、演出制御用RAM31cには、パチンコ遊技機の動作中に適宜書き換えられる各種情報(乱数値、タイマ値、フラグなど)が記憶(設定)される。
【0037】
以下、主制御基板30及び演出制御基板31が実行する制御内容を説明する。
まず、主制御基板30の主制御用CPU30aが、メイン制御プログラムに基づき実行する特別図柄入力処理や特別図柄開始処理などの各種処理について説明する。本実施形態において主制御用CPU30aは、所定の制御周期(例えば、4ms)毎に特別図柄入力処理や、特別図柄開始処理、デモ処理などの各種処理を実行する。
【0038】
最初に、特別図柄入力処理について説明する。
主制御用CPU30aは、始動入賞口19へ遊技球が入球し、該遊技球を検知した始動口スイッチSW1が出力する検知信号を入力すると、主制御用RAM30cに記憶されている保留記憶数が上限数(本実施形態では、「4」)未満であるか否かの保留判定を行う。保留判定の判定結果が肯定の場合、主制御用CPU30aは、保留記憶数を1加算(+1)し、保留記憶数を書き換える。また、保留判定を肯定判定した主制御用CPU30aは、各種乱数の値を主制御用RAM30cから取得し、その値を保留記憶数に対応付けて主制御用RAM30cの所定の記憶領域に格納する。なお、主制御用CPU30aは、保留判定の判定結果が否定の場合、上限数を超える保留記憶数の書き換えを行わないとともに、前述した各乱数の値も取得しない。
【0039】
次に、特別図柄開始処理について説明する。
主制御用CPU30aは、図柄変動ゲームの実行中又は大当り遊技中か否かの実行条件判定を実行する。この実行条件判定の判定結果が肯定の場合、つまり、図柄変動ゲームの実行中又は大当り遊技中である場合、主制御用CPU30aは、特別図柄開始処理を終了する。一方、実行条件判定の判定結果が否定(図柄変動ゲーム中ではなく、且つ大当り遊技ではない)の場合、主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cの所定の記憶領域に特別図柄入力処理において取得された各種乱数の値が設定されているか否かを判定する。当該判定結果が否定の場合、主制御用CPU30aは、特別図柄開始処理を終了する。一方、判定結果が肯定の場合、主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cの所定の記憶領域に記憶されている当り判定用乱数の値を読み出す。
【0040】
続いて、主制御用CPU30aは、当り判定用乱数の値が、主制御用ROM30bに記憶されている大当り判定値と一致するか否かの大当り判定(結果判定)をする。この大当り判定の判定結果が肯定の場合、つまり、大当りの場合、主制御用CPU30aは、大当りとなる図柄変動ゲームを実行させるための大当り変動処理を実行する。大当り変動処理において主制御用CPU30aは、特別図柄表示装置12に確定停止表示させる特別図柄として大当り図柄を決定する。このとき主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cの所定の記憶領域に記憶されている特図振分用乱数の値に基づいて、1つの図柄を決定する。
【0041】
また、大当り変動処理において主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cの所定の記憶領域に記憶されている変動パターン振分用乱数の値を読み出す。そして、主制御用CPU30aは、読み出した変動パターン振分用乱数の値に基づいて、複数種類の大当り演出用の変動パターンの中から変動パターンを決定する。そして、主制御用CPU30aは、大当り変動処理において変動パターンを決定すると、特別図柄開始処理を終了する。
【0042】
一方、上記大当り判定の判定結果が否定の場合、主制御用CPU30aは、当り判定用乱数の値が大当りとなる値ではないことからはずれを認識する。そして、主制御用CPU30aは、リーチ判定用乱数の値を読み出すとともに、リーチ判定用乱数の値とリーチ判定値を比較し、当該リーチ判定値と一致するか否かのリーチ判定(リーチ抽選)を行う。このリーチ判定の判定結果が肯定の場合、主制御用CPU30aは、リーチ抽選に当選したことから、リーチ演出が行われてはずれとなる図柄変動ゲームを実行させるためのリーチ変動処理を実行する。リーチ変動処理において主制御用CPU30aは、特別図柄表示装置12に確定停止表示させる特別図柄としてはずれ図柄を決定する。また、はずれ図柄を決定した主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cの所定の記憶領域に記憶されている変動パターン振分用乱数の値を読み出し、当該変動パターン振分用乱数の値に基づいて、複数種類のはずれリーチ演出用の変動パターンの中から変動パターンを決定する。そして、主制御用CPU30aは、リーチ変動処理において変動パターンを決定すると、特別図柄開始処理を終了する。
【0043】
一方、リーチ判定の判定結果が否定の場合、主制御用CPU30aは、リーチ演出が行われないではずれとなる図柄変動ゲームを実行させるためのはずれ変動処理を実行する。はずれ変動処理において主制御用CPU30aは、特別図柄表示装置12に確定停止表示させる特別図柄としてはずれ図柄を決定する。また、はずれ図柄を決定した主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cの所定の記憶領域に記憶されている変動パターン振分用乱数の値を読み出し、当該変動パターン振分用乱数の値に基づいて、はずれ演出用の変動パターンの中から変動パターンを決定する。そして、主制御用CPU30aは、はずれ変動処理において変動パターンを決定すると、特別図柄開始処理を終了する。
【0044】
また、特別図柄開始処理において特別図柄及び変動パターンを決定した主制御用CPU30aは、決定した内容にしたがって生成した制御コマンドを所定のタイミングで演出制御基板31(演出制御用CPU31a)に出力する。具体的に言えば、主制御用CPU30aは、変動パターンを指示するとともに図柄変動ゲームの開始を指示する変動パターン指定コマンドを図柄変動ゲームの開始に際して最初に出力するとともに、特別図柄を変動表示させるように特別図柄表示装置12の表示内容を制御する。同時に、主制御用CPU30aは、特別図柄開始処理にて決定した特別図柄を指定する特別図柄指定コマンドを演出制御用CPU31aに出力する。そして、主制御用CPU30aは、指示した変動パターンに定められている変動時間の経過時に図柄変動ゲームの終了(飾り図柄の確定停止表示)を指示する全図柄停止コマンドを前記変動時間の経過に伴って出力するとともに、決定した特別図柄を確定停止表示させるように特別図柄表示装置12の表示内容を制御する。
【0045】
以上のことから、本実施形態では、主制御用CPU30aが、図柄変動ゲームにて特別表示結果が表示されるか否かを判定する結果判定手段となる。また、主制御用CPU30aが、図柄変動ゲームの演出内容を決定する演出内容決定手段となる。
【0046】
次に、大当り抽選に当選した場合に主制御用CPU30aが実行する当り遊技処理を説明する。
当り遊技処理において主制御用CPU30aは、最初にオープニング演出の実行を指示するオープニングコマンドを演出制御用CPU31aに出力する。次に、主制御用CPU30aは、大当り抽選に当選した場合には、オープニング演出の終了後、各ラウンド遊技を制御する。すなわち、主制御用CPU30aは、各ラウンド遊技の開始時にラウンド遊技の開始を指示するラウンドコマンドを演出制御用CPU31aに出力するとともに、大入賞口24の開放及び閉鎖を制御する。そして、主制御用CPU30aは、最終回のラウンド遊技が終了すると、エンディング演出の実行を指示するエンディングコマンドを演出制御用CPU31aに出力する。その後、主制御用CPU30aは、エンディング演出の終了によって大当り遊技を終了させる。
【0047】
次に、演出制御基板31の演出制御用CPU31aが制御プログラムに基づき実行する各種の処理について説明する。
演出制御基板31の演出制御用CPU31aは、変動パターン指定コマンド及び特別図柄指定コマンドを入力すると、当該コマンドの指示内容に応じて演出表示装置11に最終的に確定停止表示させる飾り図柄を決定する。以下、演出表示装置11に確定停止表示させる飾り図柄の決定について説明する。
【0048】
演出制御用CPU31aは、大当り図柄が指定された場合、数字図柄によって構成される大当りの図柄組み合わせ([111][222][333][444][555][666][777][888])の中から確定停止表示させる飾り図柄を決定する。また、演出制御用CPU31aは、はずれ図柄が指定されるとともに、はずれリーチ演出用の変動パターンが指定された場合、リーチの図柄組み合わせを含むはずれの図柄組み合わせ(例えば、[323])の中から確定停止表示させる飾り図柄を決定する。また、演出制御用CPU31aは、はずれ図柄が指定されるとともに、はずれ演出用の変動パターンが指定された場合、リーチの図柄組み合わせを含まないはずれの図柄組み合わせ(例えば、[426]や[211])の中から確定停止表示させる飾り図柄を決定する。
【0049】
また、演出制御用CPU31aは、変動パターン指定コマンドを入力すると、図柄変動ゲームの具体的な変動内容を特定するための演出実行パターンを、指定された変動パターンに応じて決定する。そして、演出制御用CPU31aは、決定した演出実行パターンに基づき、各列の飾り図柄を変動表示させて図柄変動ゲームを開始するように、演出表示装置11の表示内容を制御する。そして、演出制御用CPU31aは、全図柄停止コマンドを入力すると、確定停止表示させると決定した飾り図柄の図柄組み合わせを演出表示装置11に確定停止表示させる。
【0050】
次に、デモ演出を実行させるためのデモ処理について説明する。デモ処理は、所定周期毎(例えば、4ms毎)に主制御用CPU30aにより実行される処理である。
図4に示すように、まず、主制御用CPU30aは、デモ演出中であるか否かを判定する(ステップS10)。なお、デモ演出の実行を指定した場合には、デモ実行フラグに「1」を設定するようになっており、デモ実行フラグの値によりデモ演出中であるか否かを判定できるようになっている。デモ実行フラグは、変動パターン指定コマンド又は大当り遊技に関する制御コマンド(オープニングコマンドなど)を入力したときに、「0」が設定されるようになっている。
【0051】
ステップS10の判定結果が否定の場合、主制御用CPU30aは、図柄変動ゲームの実行中又は大当り遊技中か否かの実行条件判定を実行する(ステップS11)。この判定結果が肯定の場合、主制御用CPU30aは、デモ処理を終了する。一方、ステップS11の判定結果が否定の場合(図柄変動ゲームの実行中及び大当り遊技中でない場合)、主制御用CPU30aは、図柄変動ゲームが終了してからの経過時間が予め決められたデモ開始時間(例えば10秒)経過したか否かについて判定する(ステップS12)。本実施形態では、主制御用CPU30aが、全図柄停止コマンドを出力してから次の制御コマンド(変動パターン指定コマンド又はオープニング指定コマンド)が入力されるまで、経過時間を計測するようになっている。デモ開始時間は、発射装置Y6による遊技球の発射間隔、通常状態における遊技球の始動入賞口19への入賞確率、始動入賞口19に入賞したときの賞球数などによって予め設定される。本実施形態では、発射装置Y6は、1分間に100球の遊技球を発射する(10秒間に約16球の発射)ようになっている。また、310球の遊技球を発射したときに20回遊技球が入賞すれば(約16球当り1回)、入賞確率が通常であると本実施形態のパチンコ遊技機10は設定されている。つまり、入賞確率が通常であれば、10秒間に1回は入る確率となっているため、これ以上の時間が経過すれば、遊技を行っていないか、又は入賞確率が悪いかのいずれかであるため、デモ開始時間を10秒として設定している。
【0052】
ステップS12の判定結果が否定の場合、主制御用CPU30aは、デモ処理を終了する。これにより、図柄変動ゲームが終了してから予め決められた時間が経過するまで、図柄変動ゲーム終了時の表示画像が表示され続けることとなる。一方、ステップS12の判定結果が肯定の場合、主制御用CPU30aは、図柄変動ゲームが終了してから予め決められたデモ開始時間が経過するまで、遊技者が遊技を継続していたか否かを判定する(ステップS13)。なお、ステップS13において、本実施形態では、主制御用CPU30aが、全図柄停止コマンドを出力してから10秒経過するまで、発射ハンドルY6aに備えられた接触センサSEから遊技者が接触していることを検知する接触信号を継続して入力し続けていたか否かにより判定する。
【0053】
ステップS13の判定結果が肯定の場合には、主制御用CPU30aは、遊技中にデモ演出が実行された回数を示す遊技継続時デモ移行回数に1加算する(ステップS14)。遊技継続時デモ移行回数は、大当り遊技が開始されたとき、初期値「0」が設定されるようになっている。そして、主制御用CPU30aは、遊技継続時デモ移行回数が、閾値以上であるか否かを判定する(ステップS15)。本実施形態において、前記閾値は、予め決められた数値(5回)としている。本実施形態では、大当り遊技が終了してから累積した遊技継続時デモ移行回数が閾値以上であるか否かを判定している。この閾値には、遊技を継続しているにもかかわらず、遊技球が入賞しない回数が多い(通常よりも入賞率が悪い)と思われるときにおける遊技継続時デモ移行回数に相当する値が設定される。
【0054】
ステップS15の判定結果が肯定の場合、主制御用CPU30aは、デモ演出の演出内容を通常内容から特別内容に変化させるように、デモ演出の演出内容として特別内容を設定し、設定した特別内容のデモ演出の実行開始を指示するデモ指定コマンドを出力し(ステップS16)、デモ処理を終了する。デモ演出の演出内容として特別内容を設定する際、主制御用CPU30aは、複数種類の特別内容の中から決定するようになっている。また、決定した特別内容をそれ以降のデモ演出の演出内容として主制御用RAM30cの所定の記憶領域に設定する。また、デモ指定コマンドを出力した場合、デモ実行フラグに「1」を設定する。一方、ステップS15の判定結果が否定の場合、主制御用CPU30aは、デモ演出の演出内容として通常内容を設定し、設定した通常内容のデモ演出の実行開始を指示するデモ指定コマンドを出力し(ステップS17)、デモ処理を終了する。また、デモ指定コマンドを出力した場合、デモ実行フラグに「1」を設定する。
【0055】
また、ステップS13の判定結果が否定の場合、主制御用CPU30aは、主制御用RAM30cに設定されていたデモ演出の演出内容を指定すると共に、デモ演出の実行開始を指示するデモ指定コマンドを出力し(ステップS18)、デモ処理を終了する。つまり、それ以前に通常内容が演出内容として設定されていた場合には、通常内容のデモ演出を指定し、特別内容が演出内容として設定されていた場合には、特別内容のデモ演出を指定する。また、本実施形態では、パチンコ遊技機10がリセットされた場合又は電源断となったときに、通常内容が演出内容として設定されるようになっている。また、デモ指定コマンドを出力した場合、デモ実行フラグに「1」を設定する。
【0056】
演出制御基板31の演出制御用CPU31aは、デモ指定コマンドを入力すると、当該コマンドの指示内容に応じた演出内容のデモ演出を演出表示装置11に実行させるように制御する。これにより、遊技者は、デモ演出を見ることができる。なお、デモ演出は、変動パターン指定コマンドが入力されるまで繰り返し実行されるようになっている。また、遊技を継続しているにもかかわらず、始動入賞口19へ遊技球が入賞しないことにより、デモ演出が所定回数実行されてしまった場合、通常とは異なる特別なデモ演出が実行される。
【0057】
以上のことから、演出制御用CPU31aが、図柄変動ゲームを実行させる演出制御手段となる。また、主制御用CPU30aが、図柄変動ゲームが終了してから、次の図柄変動ゲームが実行されるまでの経過時間を計測する移行時間計測手段となる。また、主制御用CPU30aが、計測手段が計測した経過時間が予め決められた移行時間(デモ開始時間)に達したか否かを判定する時間判定手段となる。演出制御用CPU31aが、デモ演出を実行させるデモ演出制御手段となる。主制御用CPU30aが、遊技継続判定手段となる。また、主制御用CPU30aが、遊技継続時デモ移行回数を計測するデモ回数計測手段となる。また、主制御用CPU30aが、演出内容を変更する演出変更手段となる。
【0058】
以上詳述したように、本実施形態は、以下の効果を有する。
(1)遊技を継続しているにもかかわらず図柄変動ゲーム終了後から所定時間経過して、デモ演出を開始させる際には、遊技継続時デモ移行回数に1加算して、遊技継続中にデモ演出が開始された回数を計測する。そして、遊技継続時デモ移行回数が閾値以上となった場合に、デモ演出(遊技演出)の演出内容を変更する。具体的には、通常内容とは異なる特別内容を設定する。これにより、遊技者は、遊技継続中に、何回もデモ演出に移行した場合(すなわち、遊技を継続しているにもかかわらず、遊技球が入賞検知されず、図柄変動ゲームが実行されないとき)、デモ演出の演出内容が変更されるので、遊技の興趣を向上させ、遊技を継続する意欲をもたせることができる。また、デモ演出の演出内容が通常内容である場合、つまり、遊技演出の演出内容が変更されていない場合、遊技継続中にデモ演出に何度も移行していないことを示し、遊技球の入賞確率が良いパチンコ遊技機10であることを間接的に報知することができる。これにより、デモ演出の演出内容を見て、通常内容であることを確認することにより、遊技を継続する意欲をもたせることや、遊技を開始させる意欲を持たせることができる。
【0059】
(2)遊技継続時デモ移行回数が予め決められた閾値となった場合、デモ演出の演出内容を異なる内容とする。これにより、デモ演出の演出内容を見ることにより、当該遊技機が有利な状況で実行されているか否か(すなわち、不利な状況により実行されているか否か)を判断することができる。つまり、デモ演出の演出内容により、遊技者が遊技を行うか否かについての判断材料とすることができる。
【0060】
(3)遊技を継続していないときに、デモ演出に移行する際、それまで設定されていた演出内容のデモ演出が実行される。このため、遊技を行っていない遊技者であっても、デモ演出の演出内容を確認することにより、入賞率の良さを判断することができる。
【0061】
なお、上記実施形態は、次のような別の実施形態(別例)にて具体化できる。
・上記実施形態において、所定期間継続して遊技を行ったにもかかわらず、遊技継続時デモ移行回数が閾値以上とならない場合には、演出内容を変更しても良い。具体的には、所定期間継続して遊技を行ったにもかかわらず、遊技継続時デモ移行回数が閾値以上とならない場合には、始動入賞口19への入賞率が高いことを示す第2特別内容のデモ演出を実行可能としても良い。このようにすれば、遊技者は、演出内容から遊技球の入賞率を判断することができる。なお、所定期間としては、時間によって区切っても良いし、発射した遊技球数により期間を区切っても良い。
【0062】
・上記実施形態のステップS10では、デモ演出中であるか否かを判定したが、デモ指定コマンドを出力してから予め決められた時間を経過したか判定するようにしても良い。この予め決められた時間としては、1回のデモ演出に係る演出時間に相当する時間を設定することが望ましい。これにより、遊技を継続しているにもかかわらず、デモ演出が終了してしまった場合には、さらに遊技継続時デモ移行回数に1加算されることとなり、より遊技の実態に合わせてデモ演出の演出内容を変更することができる。また、デモ演出が開始する毎に演出内容を変更することができる。
【0063】
・上記実施形態では、遊技を継続していないときに、デモ演出を実行する際、それまで設定されていた演出内容のデモ演出を実行させていたが、通常内容のデモ演出を実行させても良い。このようにすることにより、遊技を継続している遊技者のみ特別内容を見ることができる。また、遊技を継続している遊技者のみデモ演出の演出内容を遊技球の入賞率の判断材料とすることができる。
【0064】
・上記実施形態において、図柄変動ゲームの変動内容及び変動時間は、それぞれ任意に変更しても良い。
・上記実施形態において、大当り遊技の種類及び種類数は、任意に変更しても良い。また、ラウンド数、開放時間、開放回数を任意に変更しても良い。
【0065】
・上記実施形態では、遊技を行っているか否かを、接触センサSEから入力された接触信号の有無により判定したが、これ以外の判定方法で判定してもよい。例えば、発射ハンドルY6aの回動操作が所定角度以上であるか否かを判定して、所定角度以上であれば、遊技を行っていると判定しても良い。また、発射ハンドルY6aから発射装置Y6に対して出力される遊技球の発射を指示する発射指示信号を所定間隔以内の割合で継続して入力しているか否かを判定することにより、判定しても良い。また、遊技領域YBaに遊技球が発射されているか否かにより判定しても良い。具体的には、誘導レールYRの先端に遊技球の通過を検知する通過センサを設け、当該通過センサから所定間隔以内の割合で遊技球が通過していることを検知している場合には、遊技が行われていると判定しても良い。また、アウト口29を通過する遊技球を検知するセンサを設けて、アウト口29に遊技球が所定間隔以内の割合で入球が継続しているか否かにより判定しても良い。
【0066】
・上記実施形態では、デモ演出の演出内容を変更したが、デモ演出以外の遊技演出の演出内容を変更するようにしても良い。例えば、図柄変動ゲームの演出内容や背景画像を変更しても良い。また、大当り遊技の演出内容を変更しても良い。
【0067】
・上記実施形態では、変更する演出内容を、複数の特別内容から抽選で決定したが、遊技状態に応じて変更する演出内容を決定しても良い。例えば、大当り判定の当選確率が通常よりも高確率となる確変状態が付与されているときには、確変状態専用の演出内容を設定しても良い。これにより、遊技者は、確変状態が付与されているか否かを演出内容により知ることができ、遊技を継続する意欲を持つことができる。また、遊技継続時デモ移行回数が多くて、遊技球の入賞率が通常よりも悪く(低くて)ても、確変状態が付与されていることを認識して、遊技を継続する意欲を持つことができる。この場合、確変状態が秘匿されるのであれば、より一層効果を得ることができる。なお、確変状態は、所定条件成立時(例えば、予め決められた種類の大当り遊技に当選したとき)に、付与される。
【0068】
・上記実施形態では、閾値を任意に設定しても良い。例えば、10回でも良い。
・上記実施形態のステップS15では、大当り遊技が終了してから累積した遊技継続時デモ移行回数が閾値以上であるか否かを判定しているが、遊技継続時デモ移行回数を遊技継続時間で割った値が、予め決められた閾値(毎時5回)以上であるか否かを判定するようにしても良い。このように設定することにより、遊技を継続している時間にかかわらず、単位時間当りのデモ演出発生回数により演出内容が変化する。従って、遊技を継続している時間が長くなることにより、遊技継続時デモ移行回数が多くなったとしても、特別内容のデモ演出が実行されないこととなる。すなわち、遊技を継続している時間によって左右されず、デモ演出の演出内容から入賞率をより正確に判断することができる。なお、遊技継続時間とは、遊技を継続している時間の合計時間である。この場合、主制御用CPU30aが、遊技時間を計測する遊技継続時間計測手段となる。
【0069】
・上記実施形態において、変更する演出内容を、遊技継続時デモ移行回数に応じて、段階的に変更してもよい。例えば、5回以上である場合には、第1の演出内容に変更し、10回以上である場合には、第2の演出内容に変更してもよい。これにより、遊技者は、遊技継続時デモ移行回数を認識することができ、遊技を継続するときの参考とすることができる。
【0070】
・上記実施形態において、始動入賞口19への遊技球の入賞確率が通常よりも向上する入球率向上状態が付与されているときには、遊技継続時デモ移行回数を判定する際に使用する閾値を変更しても良い。つまり、入球率向上状態中では、通常よりも入賞確率が向上しているため、その分、閾値を小さくしても良い。これにより、パチンコ遊技機10毎に、入球率向上状態における入賞確率が良いか否かについて認識することができる。遊技者は、この情報を元にして遊技を継続するか否かの判断材料にすることができる。なお、入球率向上状態は、所定条件成立時(例えば、大当り遊技に当選したとき)に、付与される。
【0071】
・上記実施形態において、遊技継続時デモ移行回数は、大当り遊技(特別遊技)が付与されたときに、リセットしても良い。また、確変状態又は入球率向上状態が付与されたときに、リセットしても良い。
【0072】
・上記実施形態では、遊技継続時デモ移行回数が閾値に達したときに、演出内容を変更したが、遊技継続時デモ移行回数が閾値に達したときに所定の遊技状態であるときに限り、演出内容を変更しても良い。例えば、閾値に達したときに、確変状態が付与されている場合には、演出内容を変更しても良い。その際、確変状態が付与されていることを示す演出内容に変更しても良い。これにより、遊技者は、確変状態が付与されているか否かを演出内容により知ることができ、遊技を継続する意欲を持つことができる。また、遊技継続時デモ移行回数が多くて、遊技球の入賞率が悪くても、確変状態が付与されていることを認識して、遊技を継続する意欲を持つことができる。この場合、確変状態が秘匿されるのであれば、より一層効果を得ることができる。
【0073】
・上記実施形態では、デモ演出の演出内容を変更したが、リーチ判定が当選する確率を変更しても良い。例えば、リーチ判定が当選する確率を高確率にしても良い。これにより、遊技球の入賞確率が低くても、遊技者の大当り期待度を向上させることができるリーチ演出を実行することにより、遊技を継続する意欲を持たせることができる。また、リーチ演出を実行することにより、その分、図柄変動ゲームの演出時間が長くなるため、図柄変動ゲームが継続しやすくなり、遊技継続中におけるデモ演出の発生を少なくすることができる。
【0074】
・上記実施形態では、デモ演出の演出内容を変更したが、図柄変動ゲームの変動時間を変更しても良い。例えば、変動時間が長い図柄変動ゲームが実行されやすくなるように変更しても良い。また、図柄変動ゲームの変動時間が長くなるように変更しても良い。これにより、図柄変動ゲームが継続しやすくなり、遊技継続中におけるデモ演出の発生を少なくすることができる。このため、遊技者に図柄変動ゲームが途切れるという感じさせることを少なくし、入賞率が良くなったかのように思わせることができる。
【0075】
・上記実施形態では、デモ演出の演出内容を変更したが、図柄変動ゲームが大当りとなるか否かを予告する予告演出の当選確率や演出内容を変更してもよい。
・上記実施形態では、デモ演出の演出内容を変更したが、全列の図柄の変動開始から変動停止までにより特定される変動サイクルが1回の図柄変動ゲームにおいて複数回実行される擬似連続演出の実行確率を高くしても良い。これにより、遊技球の入賞数が少なくても、恰も図柄変動ゲームが多く実行されているかのように感じさせることができる。
【0076】
・上記実施形態において、遊技継続時デモ移行回数を図柄変動ゲームが実行された回数で割った値が、閾値を超えたか否かを判定しても良い。これにより、1ゲーム数当りに実行される遊技継続時デモ移行回数に基づき、判定することができる。これにより、どれだけ頻繁にデモ演出が実行されるかについてより正確に判断できる。
【0077】
・上記実施形態では、主制御用CPU30aがデモ処理を実行したが、演出制御用CPU31aがデモ処理を実行しても良い。この場合、接触センサSEからの接触信号は、演出制御基板31に入力されることとなる。
【0078】
・上記実施形態では、デモ開始時間は、発射装置Y6による遊技球の発射間隔、通常状態における遊技球の始動入賞口19への入賞確率、始動入賞口19に入賞したときの賞球数などによって予め設定されていたが、任意に変更しても良い。例えば、5秒に変更しても良く、15秒に変更しても良い。
【0079】
・上記実施形態において、前記閾値は、通常の入賞確率であるときであって、遊技が継続しているときにおけるデモ演出開始確率と、当該デモ演出開始確率であるときにおける閾値に達するまでの確率に基づき、設定しても良い。例えば、通常の入賞確率(約16球当り1回)であるときであって、遊技が継続しているときにおけるデモ演出開始確率が67%である場合に、5回デモ演出に移行する確率は、1%未満であることから閾値を5回としてもよい。なお、閾値に達するまでの確率は、任意であるが、10%未満がのぞましい。
【0080】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)前記遊技継続時間計測手段は、遊技者に有利となる特別遊技が付与されていないときに、前記遊技継続判定手段の判定結果が肯定となっている遊技時間を計測することを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【0081】
(ロ)遊技継続時デモ移行回数は、特別遊技が付与されたときにリセットされることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の遊技機。
(ハ)所定の条件が成立したとき、前記結果判定手段の判定結果が肯定となる確率が、通常よりも高確率となる確変状態を付与する確変付与手段を備え、前記演出変更手段は、遊技演出の演出内容を変更するために、前記確変状態が付与されたことを示す報知演出を実行させることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の遊技機。
【0082】
(ニ)前記演出変更手段は、前記結果判定手段の判定結果が肯定となった場合、通常の演出内容とは異なる特別な演出内容の遊技演出を実行させることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の遊技機。
【0083】
(ホ)前記演出変更手段は、演出内容を変更するために、リーチ確率を通常確率とは異なる確率に変更することを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の遊技機。
【0084】
(ヘ)前記演出変更手段は、演出内容を変更するために、図柄変動ゲームの変動時間を長くすることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の遊技機。
(ト)前記演出変更手段は、演出内容を変更するために、図柄変動ゲームが大当りとなる可能性を示す予告演出の実行確率を高くすることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の遊技機。
【0085】
(チ)前記演出変更手段は、演出内容を変更するために、少なくとも図柄の変動開始を特定できる変動サイクルが複数回の図柄変動ゲームが実行される確率を高くすることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の遊技機。
【符号の説明】
【0086】
Y6…発射装置、Y6a…発射ハンドル、YB…遊技盤、YBa…遊技領域、10…パチンコ遊技機、11…演出表示装置、12…特図表示装置、13…特図保留記憶表示装置、19…始動入賞口、24…大入賞口、30…主制御基板、30a…主制御用CPU、30b…主制御用ROM、30c…主制御用RAM、31…演出制御基板、31a…演出制御用CPU、31b…演出制御用ROM、31c…演出制御用RAM。
図1
図2
図3
図4