特許第5723529号(P5723529)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5723529不連続な電極を保持する基体、同基体を含む有機エレクトロルミネッセントデバイスおよびそれらの作製
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5723529
(24)【登録日】2015年4月3日
(45)【発行日】2015年5月27日
(54)【発明の名称】不連続な電極を保持する基体、同基体を含む有機エレクトロルミネッセントデバイスおよびそれらの作製
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/28 20060101AFI20150507BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20150507BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20150507BHJP
   H05B 33/06 20060101ALI20150507BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20150507BHJP
【FI】
   H05B33/28
   H05B33/22 Z
   H05B33/14 A
   H05B33/06
   H05B33/10
【請求項の数】20
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2009-550746(P2009-550746)
(86)(22)【出願日】2008年2月25日
(65)【公表番号】特表2010-519699(P2010-519699A)
(43)【公表日】2010年6月3日
(86)【国際出願番号】FR2008050313
(87)【国際公開番号】WO2008119899
(87)【国際公開日】20081009
【審査請求日】2011年2月24日
(31)【優先権主張番号】0753453
(32)【優先日】2007年2月23日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】500374146
【氏名又は名称】サン−ゴバン グラス フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100140523
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 千尋
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100103920
【弁理士】
【氏名又は名称】大崎 勝真
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(72)【発明者】
【氏名】チヤカロフ,スベトスラフ
【審査官】 大竹 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−332674(JP,A)
【文献】 特開2002−313572(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/041620(WO,A1)
【文献】 国際公開第2004/057674(WO,A2)
【文献】 特開2005−116193(JP,A)
【文献】 特開2006−235384(JP,A)
【文献】 特開平09−283866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/06
H05B 33/10
H05B 33/22
H05B 33/26
H05B 33/28
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機発光照明デバイス用の基体であって、不連続な電極(2aから2”c)を主面上に保持し、前記電極が、基体から始まり、
ドープされたまたは非ドープのZnOを主成分とする接触層と、
固有の導電特性を有し、銀を主成分とする金属機能層であって、機能層の厚さが100nm未満である金属機能層と、
3から50nmの厚みを有するITOからなる仕事関数整合表面層と
を連続して含み、
金属機能層が、少なくとも1つの上にある遮断被覆の真下に堆積され、該少なくとも1つの上にある遮断被覆が、Tiを主成分とし、
電極が、5Ω/□以下の表面抵抗率を有し、
電極が、電極ゾーンの少なくとも1つの列の形態であり、電極ゾーンが、前記列の方向(X)において少なくとも3cmの第1の寸法(l)を有し、列の電極ゾーンが、距離(d1)だけ離隔され、これが、0.5mm以下であり、絶縁材料(3)が電極ゾーン間の間隔を充填し、電極ゾーンの厚みを超えて垂直に突出するとともに電極ゾーンの周辺縁を覆うように電極ゾーンの間隙を超えて水平に突出する、有機発光照明デバイス用の基体。
【請求項2】
表面抵抗率が、機能層の厚さが20nm以下である場合には、5Ω/□以下であり、光透過率Tが60%以上であり、吸収率Aが10%未満であることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光照明デバイス用の基体。
【請求項3】
金属機能層が、純銀またはAu、Pd、Al、Pt、Cu、Zn、Cd、In、Si、Zr、Mo、Ni、Cr、Mg、Mn、CoまたはSnと合金化されたまたはドープされ銀を主成分とすることを特徴とする、請求項1または2に記載の有機発光照明デバイス用の基体。
【請求項4】
機能金属層(32)が、接触層上にある少なくとも1つの下にある遮断被覆(31’)の真上に堆積されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の有機発光照明デバイス用の基体。
【請求項5】
少なくとも1つの下にある遮断被覆が、以下の金属、すなわち、Ti、V、Mn、Fe、Co、Cu、Zn、Zr、Hf、Al、Nb、Ni、Cr、Mo、TaおよびWの少なくとも1つを主成分とするか、または前記材料の少なくとも1つの合金を主成分とする金属層、金属窒化物層および/または金属酸化物層を含むことを特徴とする、請求項4に記載の有機発光照明デバイス用の基体。
【請求項6】
混合酸化物から構成される非結晶性平滑層を含み、前記平滑層が、前記接触層の真下に配置され、接触層の材料以外の材料から構成されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の有機発光照明デバイス用の基体。
【請求項7】
平滑層が、以下の金属、すなわちSn、Si、Ti、Zr、Hf、Zn、GaおよびInのうちの1つまたは複数の酸化物を主成分とする混合酸化物層であることを特徴とする、請求項6に記載の有機発光照明デバイス用の基体。
【請求項8】
平滑層が、亜鉛およびスズを主成分とするドープされたもしくはドープされない混合酸化物層または、混合インジウムスズ酸化物(ITO)層または混合インジウム亜鉛酸化物(IZO)層であることを特徴とする、請求項7に記載の有機発光照明デバイス用の基体。
【請求項9】
接触層の下に、アルカリ金属に対する障壁を形成することができる基部層を含み、前記基部層が10から150nmの厚さを有することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の有機発光照明デバイス用の基体。
【請求項10】
基層部が、シリコン酸化物、シリコン酸炭化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物またはシリコン酸炭窒化物を主成分として選択され、前記基層部の材料がドープされもしくはドープされていないことを特徴とする、請求項9に記載の有機発光照明デバイス用の基体。
【請求項11】
接触層の下に、エッチング停止層を含むことを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載の有機発光照明デバイス用の基体。
【請求項12】
基体(1)が、平坦であり、ガラスから構成されることを特徴とする、請求項1から1のいずれか一項に記載の有機発光照明デバイス用の基体。
【請求項13】
請求項1から1のいずれか一項に記載の有機発光照明デバイス用の基体を備え、前記不連続な電極(2aから2”c)が、下部電極ゾーンの少なくとも1つの列を形成し、
電極ゾーン上に配置されるエレクトロルミネッセント層ゾーンの形態で、1つまたは複数の有機エレクトロルミネッセント材料から構成される少なくとも1つの不連続なエレクトロルミネッセント層(4aから4”c)と、
エレクトロルミネッセント層ゾーン上に配置される電極ゾーン(5aから5”c)の形態の導電層を有する不連続な上部電極とを備え、
列の直列接続の場合には、エレクトロルミネッセント層ゾーンが、列の方向(X)において下部電極ゾーンからずれており、上部電極ゾーンが列の方向(X)においてエレクトロルミネッセント層ゾーンからずれている、有機発光照明デバイス(10)。
【請求項14】
デバイスが、少なくとも0.5mmだけ離隔された複数の実質的に平行なエレクトロルミネッセント列として組織化され、各列が、直列に接続され得ることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光照明デバイス(10)。
【請求項15】
個別の列のエレクトロルミネッセント層ゾーンの間の距離(d’2)が、所与の列のゾーン間の距離(d2)より大きいことを特徴とする、請求項1に記載の有機発光照明デバイス(10)。
【請求項16】
電極ゾーンに関連付けられる各照射ゾーンに関して、この照射ゾーンの縁の明るさに対する中心における明るさの比(Cd/m単位で測定される)が、0.7以上であることを特徴とする、請求項1から1のいずれか一項に記載の有機発光照明デバイス(10)。
【請求項17】
電気接続パッド(5dから5”d)が、上部電極材料と同一の材料から構成される導電層の形態であり、下部電極ゾーン(2a、2’a、2”a)の周辺縁と接触状態にあることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の有機発光照明デバイス(10)。
【請求項18】
デバイスが、1枚の板ガラス、二重板ガラス、複数の板ガラスまたは積層される板ガラスユニットであることを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の有機発光照明デバイス(10)。
【請求項19】
1つまたは複数の透明および/または反射性発光表面または表示ディスプレイパネルを形成し、装置が、一様な光またはガラス基体において案内された光抽出によって区別される発光ゾーンを生成することを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の有機発光照明デバイス(10)。
【請求項20】
建物の外部発光板ガラス、室内発光隔壁または発光板ガラス付き扉用であり、または
地上輸送手段、水上輸送手段または航空輸送手段の発光屋根、発光横窓または内部発光隔壁用であり、または
バス待合所パネル、ディスプレイカウンタの壁、宝飾品ディスプレイまたはショーウィンドウ、温室の壁または照明タイル用であり、または
屋内備品、棚または飾り戸棚の要素、飾り戸棚の外観、照明タイル、天井、光る冷蔵庫の棚、水槽の壁用であり、または
電子機器のバックライト用であり、または
浴室の壁または台所の調理台を照らすため、または天井用の照明ミラー用であることを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載の有機発光照明デバイス(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、有機発光デバイスのための不連続な電極を保持する基体と、それを組み込んだ有機発光デバイスおよびそれらの作製である。
【0002】
有機発光系またはデバイス(OLED)は、導電層の形態で材料の側面に位置する電極によって、電気が供給される有機エレクトロルミネッセント材料またはそのような材料の積層を含む。
【背景技術】
【0003】
従来、上部電極は、例えば、アルミニウムから構成される反射金属層であり、下部電極は、酸化インジウム、一般的には略語ITOによってさらに知られているスズをドープした酸化インジウムを主成分とし、厚さが約100から150nmの透明層である。しかし、このITO層には、多数の欠点がある。第一に、導電性を改善するための材料および高温(350℃)の堆積処理が、さらなるコストを生じる。層の厚さが150nmより大きい値まで増大しない限り、表面抵抗率は依然として、相対的に高く(10Ω/□程度)、それにより、透明度における減少および表面粗度における増大を結果として生じ、スパイク効果を生じ、OLEDの寿命および信頼性を著しく減少させる。
【0004】
さらに、電極を電気的に分離するために、下部電極は、不連続であり、通常、電極の平行なバンドを形成し、各照射バンドが、直列接続されている。ここで、本出願人は、大きな領域の照射バンドで均一な照明を有することが可能ではないことを発見した。さらに、デバイスの総領域に対する照射領域の比に相当する十分な充填率を得るために、電極バンド間の距離に関して、高価なフォトリソグラフィ技術を用いて著しく減少させることが必要である。
【0005】
このように、欧州特許第1521305号明細書は、裸眼には見えず、絶縁材料で充填され、フォトリソグラフィによって堆積される線をエッチングすることによって分離される直列接続電極のゾーンの形態で、ITOを主成分とする下部電極を提供する。
【0006】
他の知られているデバイスにおいて、上部電極は、連続反射電極であり、下部電極は、一般的にアルミニウムから構成され、任意に格子に組織化される金属線の上に置かれる連続ITO層であり、これらの金属線は、大きな領域にわたるさらに均一な照明のために、ITO層の導電率特性を改善することを目的としている。十分な充填率を得るために、これらの線は、微細であり、幅が100μm程度であり、通常、約400nmである感光性樹脂またはフォトレジストから構成されるマスクを用いて、フォトリソグラフィによって得られる。このフォトレジストは、下部電極と上部電極との間の短絡化を防止するために、不動態化の目的のために、線上に保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第1521305号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
1つの短絡が、領域全体の品質を劣化させ、発光デバイスを不良にするために、この下部電極は、高価であり、信頼性に欠ける。
【0009】
本発明の目的は、大きな領域にわたって照明の均一性を依然として確保し、十分な充填率を有すると同時に、信頼性が高く、廉価であり、特に工業規模で好ましくは作製が容易である下部電極を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明の1つの主題は、有機発光デバイス用の基体であって、不連続な電極の主面を保持し、基体から始まり、
1つまたは混合されたドープ金属酸化物または非ドープ金属酸化物を主成分とする接触層と、
固有の導電特性を有し、銀を主成分とする金属機能層であって、機能層の厚さが100nm未満である金属機能層と、
特に簡素または混合されたドープ金属酸化物または非ドープ金属酸化物を主成分とする仕事関数整合表面層であって、機能層の厚さが100nm未満、好ましくは50nm以下である場合には、電極が5Ω/□以下またはさらに4Ω/□以下の表面抵抗率を有する仕事関数整合表面層とを連続して含む。
【0011】
本発明による不連続な電極はさらに、電極ゾーンの少なくとも1つの列の形態であり、電極ゾーン(好ましくはすべてのゾーン)は、前記列の方向において、少なくとも3cm、好ましくは少なくとも5cmの第1の寸法を有し、列の電極ゾーンは、いわゆる列内距離によって離隔され、これは、0.5mm以下である。
【0012】
さらに、絶縁材料は、列の電極ゾーンの間の空間(好ましくは、適宜、任意の隣接する列の空間)を充填し、電極ゾーンを越えて延在する。
【0013】
本発明による電極の導電率特性は、銀を主成分とする機能層を有する多分子層積層の選択によって可能となり、これはまた、ITO機能層より廉価でもあり、電極材料の性質および作製によって、例えば、吹き付けまたは蒸発によって、周囲温度で実行され得る。
【0014】
導電率特性は、相対的に(少なくとも3cm)延長される選択された電極ゾーンによって画定される各照射ゾーンに関して、透明度を脅かすことなく、または粗度を生じることなく、照明の均一性を可能にする。機能層の厚さは、制限される。
【0015】
したがって、通常、電極ゾーンに関連する照射ゾーンまたはそのような照射ゾーンの複数またはそれぞれに関して、その任意の縁に対するこの照射ゾーンの中心における明るさの比(Cd/m単位で測定される)は、0.7以上またはさらに好ましくは0.8以上であってもよい。
【0016】
絶縁材料による不動態化は、OLEDの電極の間の短絡を防止する。さらに、樹脂は、電極ゾーンの不規則である可能性がある縁を被覆する。したがって、これらの被覆ゾーンは、照射せず、それにより、均一な照明の可能性を増大する。しかし、十分な充填率のためには、それぞれの被覆された境界の幅は、好ましくは、100μm未満であってもよく、さらに50μm未満、例えば、10から30μmであってもよい。
【0017】
列内距離の上限および各電極ゾーンの範囲は、電極ゾーンを作製するために、フォトリソグラフィに頼る必要がなく、高い充填率を確保する。
【0018】
電極は、1つまたは複数の列に組織化されるため、欠陥のある電極ゾーンは、他の電極ゾーンの動作を妨げない。
【0019】
電極におけるITOまたはインジウムを主成分とする酸化物の層厚は、40nm以下またはさらに30nmであってもよい。
【0020】
光抽出を容易にするために、電極の層厚は、250μm以下であってもよく、さらに好ましくは150nmであってもよい。
【0021】
本発明による電極は、大きな領域、例えば、0.02mm以下であってもよく、さらに0.5mまたは1mであってもよい。
【0022】
列内距離は、縁間の短絡を制限するために、少なくとも20μmであってもよく、好ましくは50μmから250μmであり、特に100μmから250μmであってもよい。
【0023】
有利には、不連続な電極は、フォトリソグラフィを用いることなく、例えば、
レーザエッチング、通常は成形ロールにより、
および/またはアンダマスキングにより、
および/またはエッチングペースト、特に酸を主成分とするペーストを用いた化学スクリーン印刷によって、通常はスクリーン印刷スクリーンのメッシュの結果として、波状である不規則な縁を形成し、
これらの技術は、工業条件用に完全に開発され、廉価である。
【0024】
アンダマスキングは、不連続なマスク、通常は任意に格子の形態の平行な線を堆積することからなる。このマスクは、電極に関して不活性である溶媒(水、アルコール、アセトンなど)によって溶解され得る材料から構成される。マスクは、スクリーン印刷またはインクジェット印刷によって堆積されてもよい。次に、電極材料の連続層が、堆積され、マスクが、溶解され、したがって、(好ましくは平行な線の形態で)電極ゾーン間の空間を形成する。
【0025】
本発明の好ましい設計において、絶縁材料はまた、最も外側の電極ゾーンの縁を被覆する。
【0026】
絶縁材料として、例えば、アクリル系樹脂またはポリアミド系樹脂、例えば、SD2154EおよびSD2954として知られているWepelan樹脂を選択することが可能である。
【0027】
好ましくは、作製コストをさらに削減するために、好ましくは有機絶縁材料、特にポリマー絶縁材料が、スクリーン印刷絶縁材料、特にアクリル系樹脂またはポリアミド系樹脂から選択され、絶縁材料は、例えば、米国特許第6986982号明細書に記載されたインクがインクジェット印刷によって堆積されるか、あるいはロールコーティングによって堆積される。
【0028】
スクリーン印刷絶縁材料は通常、スクリーン印刷スクリーンのメッシュの結果として、波状である不規則な縁を形成する。インクジェット印刷によって堆積される材料は、コーヒーカップの形状の外形を有し、縁は広がっている。
【0029】
好ましくは、電気接続の選択の自由に関して、電極は、複数の互いに平行な列を含み、電極ゾーンの列は、0.5mm以下、好ましくは100μmから250μmの列内距離によって離隔される。
【0030】
これらの列は好ましくは、絶縁樹脂、特に既に記載したような樹脂、特にインクジェット印刷によってスクリーン印刷または堆積される樹脂によって互いに電気的に絶縁されてもよい。
【0031】
列内距離と同様に、列と列との間の空間は好ましくは、レーザまたはアンダマスキングによって、エッチングペーストを用いた化学的スクリーン印刷によって作製されてもよい。
【0032】
各電極ゾーンは、完全な幾何学的図形(四角形、矩形、円など)パターンであってもよい。ある列から別の列まで、パターンは、例えば、互い違いの配置のために、ずれてもよい。
【0033】
同一の列の中で、電極ゾーンは、本質的に同一の形状および/またはサイズからなってもよい。
【0034】
ある列から別の列まで電極ゾーンは、本質的に異なる形状および/またはサイズからなってもよい。
【0035】
列に対して垂直の方向において、電極ゾーンは、任意のサイズ、例えば、少なくとも3cm、5cmまたはさらに数10cm(10cmおよび10cm以上)を有してもよい。
【0036】
有利には、本発明による電極は、
各機能層の厚さが20nm以下である場合には、5Ω/□以下の表面抵抗率と、60%以上、さらに好ましくは70%の光透過率Tと、10%未満の吸収率A(1−R−Tで与えられる)とを有し、下部放射発光デバイス用の特に十分な透明電極として用いられることを可能にし、
各機能層の厚さが20nmを上回る場合には、3Ω/□以下、好ましくは1.8Ω/□以下の表面抵抗率と、0.1から0.7のT/R比と、10%未満の吸収率Aとを有し、下部放射発光デバイス用および上部放射発光デバイス用の特に十分な半透明電極として用いられることを可能にし、
各機能層の厚さが50nmを上回る場合には、1Ω/□以下、好ましくは0.6Ω/□以下の表面抵抗率と、好ましくは70%以上、さらに一層好ましくは80%を超える光反射率Rと組み合わせて、それにより上部放射発光デバイス用の特に十分な反射電極として用いられることを可能にする。
【0037】
は、例えば、厚さ1mm程度の薄い基体で測定されることが好ましく、例えば、ソーダ石灰シリカガラスで約90%のTである。
【0038】
電極の表面は、スパイク効果を回避するために、好ましくは2nm以下、さらに一層好ましくは1.5nm以下またはさらに1nm以下のRMS粗度(Rとも呼ぶ)を有してもよい。
【0039】
RMS粗度は、二乗平均平方根粗度を示す。これは、粗度のRMS誤差の尺度である。したがって、このRMS粗度は、特に、平均高さに対する粗度の山および谷の高さを平均して定量化する。したがって、2nmのRMS粗度は、二重ピーク振幅を意味する。
【0040】
RMS粗度は、種々の方法で、例えば、原子間力顕微鏡によって、機械的スタイラスシステムによって(例えば、商品名DEKTAKでVEECOによって販売されている測定機器を用いて)測定されてもよい。測定は一般的に、原子間力顕微鏡によって1平方ミクロンの領域にわたって行われ、機械的スタイラスシステムの場合には、約50ミクロン×2mmのより大きな領域にわたって行われる。
【0041】
特に、基体が、基部層と接触層との間に、混合酸化物から構成される非結晶性平滑層を含み、前記平滑層が、前記接触層の真下に配置され、接触層の材料以外の材料から構成される場合に、この低い粗度が特に実現される。
【0042】
好ましくは、平滑層は、以下の金属、すなわちSn、Si、Ti、Zr、Hf、Zn、GaおよびInのうちの1つまたは複数の酸化物を主成分とする混合酸化物層であり、特に亜鉛およびスズを主成分とする任意にドープされた混合酸化物層または混合インジウムスズ酸化物(ITO)層または混合インジウム亜鉛酸化物(IZO)層である。
【0043】
好ましくは、平滑層は、0.1から30nm、さらに好ましくは0.2から10nmの幾何的厚さを有する。
【0044】
機能層は、純銀またはAu、Al、Pt、Cu、Zn、In、Si、Zr、Mo、Ni、Cr、Mg、Mn、Co、SnまたはPdと合金またはドープされる銀を主成分とする。例えば、Pdドープ銀または銅/金合金または銀/金合金が挙げられてもよい。
【0045】
真空蒸着技術によって、特に、蒸発によって、または好ましくはマグネトロンスパッタリングによって、特に周辺温度で、機能層を堆積することが可能である。
【0046】
高い伝導性が特に求められる場合には、純粋な材料を選択することが好ましい可能性がある。優れた機械特性が特に求められる場合には、ドープまたは合金される材料を選択することが好ましい場合がある。
【0047】
銀を主成分とする合金は、その伝導性およびその透明度のために選択される。銀を主成分とする機能層の厚さは、3から20nmであってもよく、5から15nmであれば好ましい。この厚さの範囲内で、電極は依然として透明である。主に透過における動作から主に反射における動作に切り替えるために、銀を主成分とする機能層の厚さはまた、20から50nmであってもよい。
【0048】
仕事関数整合表面層は、4.5eVから始まり、好ましくは5eV以上である仕事関数Wfを有してもよい。
【0049】
仕事関数整合表面層は好ましくは、以下の金属酸化物、すなわち、仕事関数を整合させるために半化学量的であることが好ましいインジウム酸化物、亜鉛酸化物、モリブデン酸化物およびニッケル酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物、タンタル酸化物、スズ酸化物およびシリコン酸化物のうちの少なくとも1つを主成分としてもよい。
【0050】
金属酸化物は通常、0.5から5%ドープされる可能性がある。特に、堆積プロセスの良好な安定性のため、および/または導電性の増大のために、金属酸化物は、Sドープスズ酸化物またはAl(AZO)、Ga(GZO)、B、ScまたはSbをドープした亜鉛酸化物である。
【0051】
表面層は、混合酸化物、特に、非晶相を有する一般的に非半化学量的に混合されたスズ亜鉛酸化物SnZnまたは混合インジウムスズ酸化物(ITO)または混合インジウム亜鉛酸化物(IZO)である。
【0052】
表面層は、単分子層であってもよく、または多分子層であってもよい。この層は、3から50nmの層厚を有することが好ましく、5から20nmであればさらに好ましい。
【0053】
10−6S/cmより大きいか、さらに10−4S/cmより大きい導電率を有する表面層を選択することが好ましい。このような層は、製作が容易および/または迅速であり、透明で、特に、ITO、IZO、SnZn、ZnO、NiO、MoOまたはInを主成分とするドープまたは非ドープ表面層である。
【0054】
この表面層は好ましくは最終層である可能性があるため、安定であり、保持されることになっているOLED有機構造を作製して最適化すると同時に、依然としてコストを抑制するための既存の技術を可能にするITO表面層を有することが最も好ましい。
【0055】
基体は好ましくは、平坦であってもよい。
【0056】
基体は、(特に基体による放射のために)透明であってもよい。基体は、剛性、可撓性または半可撓性のいずれであってもよい。
【0057】
基体の主面は、矩形、四角形または任意の他の形状(円、楕円、多角形など)であってもよい。この基体は、大きなサイズ、例えば、0.02mより大きい領域またはさらに0.5mまたは1mであってもよく、電極が(構造を形成するゾーンから離隔された)その領域を実質的に占める。
【0058】
基体は、プラスチック、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートPET、ポリエチレンナフタレートPENまたはポリメチルメタクリレートPMMAであってもよい。
【0059】
基体は好ましくはガラス、特にソーダ石灰シリカガラスから構成される。有利には、基体は、OLED放射波長で2.5m−1未満、好ましくは0.7m−1未満の吸収係数を有するガラスであってもよい。
【0060】
例えば、0.05%未満のFe(III)またはFeを有するソーダ石灰シリカガラス、特にSaint−Gobain GlassのガラスDIAMANT、PilkingtonのガラスOPTIWHITEまたはSchottのガラスB270が選択される。国際公開第04/025334号パンフレットに記載されるさらに透明な(仏語でextraclair)ガラス組成が、選択されてもよい。
【0061】
透明基体(下部放射)の厚さを通るOLED系の放射のために選択される構成において、発せられる放射の一部が、基体の中に案内される。
【0062】
さらに、本発明の有利な設計において、選択されたガラス基体の厚さは、少なくとも0.35mmであってもよく、例えば、少なくとも1mmであれば好ましい。これは、内部反射数を削減することを可能にし、したがって、ガラスの中で案内されるより多くの放射を抽出することを可能にし、それにより、発光ゾーンの明るさを増大することができる。
【0063】
パネルの縁もまた、案内される放射の最適な再循環のために、反射性であってもよく、好ましくはミラーを有し、縁は、OLED系に関連する主面と、45°以上の、好ましくは80°以上であるが90°未満である外角を形成し、より広い抽出領域にわたって放射を再指向する。したがって、パネルは、斜面であってもよい。
【0064】
電極は好ましくは、機能層の下に、アルカリ金属に対する障壁を形成することができる基部層を含んでもよい。
【0065】
基部層は、電極の下に位置するアルカリ金属に対する障壁であってもよい。基部層は、接触層または任意の上部層を任意の汚染物質(層間剥離などの機械的欠陥を結果として生じる可能性がある)から保護し、機能金属層の導電性もまた維持する。OLEDデバイスの有機構造を事実上、OLEDの寿命を著しく減少させるアルカリ金属によって汚染されないようにする。
【0066】
アルカリ金属の移動は、デバイスの作製中に生じる可能性があり、信頼性の欠如および/または作製後のその寿命の減少を結果として生じる。
【0067】
1つまたは複数の層が基部層と接触層との間に位置している場合であっても、基部層は、アセンブリ全体、層の積層の粗度をあまり増大することなく、接触層の接合特性を改善する。
【0068】
基部層は好ましくは、頑丈であり、種々の技術を用いて堆積することが容易かつ迅速である。基部層は、例えば、熱分解技術、特にCVD(化学気相蒸着)によって堆積されてもよい。この技術は、堆積変数を適切に調節することにより、強化障壁としてきわめて厚い層を得ることを可能にするため、本発明にとって有利である。
【0069】
基部層は任意に、アルミニウムをドープして、その真空蒸着をさらに安定させてもよい。基部層(任意にドープされた単分子層または多分子層)は、10から150nmの厚さを有してもよく、20から100nmの厚さであればさらに好ましい。
【0070】
基部層は好ましくは、
(一般式SiOの)シリコン酸化物を主成分とする層、
(一般式SiOCの)シリコン酸炭化物を主成分とする層、
(一般式SiNの)シリコン窒化物を主成分とする層、特にSiを主成分とする層、
(一般式SiONの)シリコン酸窒化物を主成分とする層、
(一般式SiNOCの)シリコン酸炭窒化物を主成分とする層、
であってもよい。
【0071】
基部層の窒化の場合には、わずかに半化学量的であることが可能である。
【0072】
基部層は、シリコン酸炭化物を主成分としてもよく、化学スクリーン印刷の場合には、酸アンチエッチング特性の強化のために、スズを用いてもよい。
【0073】
ドープまたは非ドープシリコン窒化物Siから本質的に構成される基部層は、とりわけ好ましい。シリコン窒化物は、きわめて迅速に堆積され、アルカリ金属に対する良好な障壁を形成する。さらに、担体基体に対するその高い光屈折率のおかげで、基部層は、この基部層の厚さを好ましく変更することによって、電極の光学特性を適合させることを可能にする。したがって、例えば、電極が透明である場合には、透過における色を調整することが可能であり、担体基体に対向する面がミラーである場合には、反射における色を調整することが可能である。
【0074】
電極は、接触層の下に(または、さらに任意の個別の基部層上に)特に化学エッチング用のエッチング停止層、特にスズ酸化物を主成分とする層を含むことが好ましい可能性があり、このエッチング停止層は特に、10から100nmの厚さを有し、20から60nmの厚さであればさらに一層好ましい。
【0075】
エッチング停止層は、特に化学スクリーン印刷によるエッチングの場合に、基体および/または基部層を保護してもよい。
【0076】
エッチング停止層のおかげで、基部層は、パターン形成(すなわち、エッチングされる)ゾーンにおいても依然として存在している。さらに、パターン形成されるゾーンにおける基体と隣接する電極部分(またはさらに有機構造)との間のエッジ効果によるアルカリ金属の移動を停止することができる。
【0077】
とりわけ、簡単のため、エッチング停止層は、基部層の一部を形成してもよくまたは基部層であってもよい。好ましくは、エッチング停止層は、シリコン窒化物を主成分としてもよく、シリコン酸化物を主成分とする層、またはシリコン酸窒化物を主成分とする層、またはシリコン酸炭化物を主成分とする層、あるいはシリコン酸炭窒化物を主成分とする層であってもよく、アンチエッチング特性による強化のためにスズを有する一般式SnSiOCNの層であってもよい。
【0078】
とりわけ、シリコン窒化物Siから(本質的に)構成される基部/エッチング停止層は、ドープの有無に関係なく、好ましい場合がある。シリコン窒化物は、既に述べたように、きわめて迅速に堆積され、良好なアルカリ金属障壁を形成する。さらに、担体基体に対するその高い光屈折率のおかげで、基部層は、この基部エッチング停止層の厚さを好ましく変更することによって、電極の光学特性を適合させることを可能にする。したがって、例えば、電極が透明である場合には、透過における色を調整することが可能であり、担体基体に対向する面がミラーである場合には、反射における色を調整することが可能である。
【0079】
接触層は好ましくは、銀を主成分とする機能層(任意の薄い遮断層を除外する)の真下であってもよく、機能層用の接着および/または湿潤層として作用する。
【0080】
接触層は好ましくは、以下の化学量的金属酸化物または非化学量的金属酸化物、すなわち、クロム酸化物、インジウム酸化物、亜鉛酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物、モリブデン酸化物、ジルコニウム酸化物、アンチモン酸化物、タンタル酸化物、シリカ酸化物またはさらにスズ酸化物の少なくとも1つを主成分としてもよい。
【0081】
通常、金属酸化物は、0.5から5%ドープされてもよい。特に、堆積プロセスの良好な安定性のために、金属酸化物は、Al(AZO)、Ga(GZO)またはB、ScまたはSbによってドープされたスズ酸化物、またはさらにFまたはSをドープしたスズ酸化物である。
【0082】
接触層は、金属酸化物、特に一般的に非半化学量的であり、非晶相からなる混合スズ亜鉛酸化物SnZnまたは混合インジウムスズ酸化物(ITO)または混合インジウム亜鉛酸化物(IZO)を主成分としてもよい。
【0083】
接触層は、単分子層であってもよく、または多分子層であってもよい。好ましくは、この層は、3から30nmの層厚、さらに一層好ましくは5から20nmの層厚を有する。
【0084】
有毒でなく、製作が簡単および/または迅速であり、必要であれば、任意に透明である層、特にITO、IZO、SnZnまたはZnOを主成分とするドープまたは非ドープ層を選択することが好ましい。
【0085】
さらに一層好ましくは、銀を主成分とする機能金属層のヘテロエピタキシを促進するために、優先的成長方向に沿って、結晶性からなる層が、選択される。
【0086】
したがって、亜鉛酸化物ZnOの層が、好ましく、xが1未満であれば好ましく、0.88から0.98であればさらに一層好ましく、0.90から0.95であれば特に好ましい。この層は、既に述べたように、純粋であってもよく、またはAlまたはGaによってドープされてもよい。
【0087】
本発明の好ましい設計において、機能層の腐食をさらに防止するために、とりわけ、表面層が薄い(20nm以下)場合には、電極は、機能層と表面層との間に、酸素および/または水からの保護のために、金属酸化物を主成分とする層を含んでもよい。
【0088】
保護層は好ましくは、以下の金属酸化物、すなわち、すなわち、インジウム酸化物、亜鉛酸化物、アルミニウム酸化物、チタン酸化物、ジルコニウム酸化物、タンタル酸化物、シリコン酸化物、スズ酸化物の少なくとも1つを主成分としてもよい。
【0089】
金属酸化物は通常、2から5%ドープされてもよい。特にSドープスズ酸化物またはドープ亜鉛酸化物ZnO(x)、例えば、良好な安定性のためにAl(AZO)をドープするか、伝導性の増大のために、Ga(GZO)をドープするか、またはB、ScまたはSbをドープする。
【0090】
保護層は、混合酸化物、特に一般的に非半化学量的であり、非晶相からなる混合スズ亜鉛酸化物SnZnまたは混合インジウムスズ酸化物(ITO)または混合インジウム亜鉛酸化物(IZO)を主成分としてもよい。
【0091】
保護層は、単分子層であってもよく、または多分子層であってもよい。この層は好ましくは、3から90nmの層厚、さらに好ましくは5から30nmの層厚を有する。
【0092】
当然のことながら、保護専用のこの層の追加は、特にOLEDに関する仕事表面に適合させるために、最適な表面特性を有するためだけに選択される表面層の選択におけるさらなる自由を可能にする。
【0093】
作製が容易および/または迅速かつ透明である保護層、特にITO、IZO、SnZnまたはZnOを主成分とするドープまたは非ドープ層を選択することが好ましい。
【0094】
亜鉛酸化物ZnOを主成分とする層を有することが特に好ましく、xが1未満であれば好ましく、0.88から0.98であればさらに一層好ましく、0.90から0.95であれば特に好ましい。この層は、既に述べたように、純粋であってもよく、またはドープされてもよい。この層は、その透明度またはその導電性を劣化させることなく、機能層の真上であるように適していることが最も好ましい。
【0095】
本発明の好ましい実施形態において、接触層および保護層は、同一の性質からなり、特に、純粋な亜鉛酸化物、ドープまたは合金された亜鉛酸化物から構成され、好ましくは、表面層はITOから構成される。
【0096】
(基部層に関する)層厚は、30nmから250nmであってもよく、またはさらに150nmであってもよい。
【0097】
電極被覆を形成する薄層の積層は好ましくは、機能単分子被覆であり、すなわち1つの機能層を有する。しかし、電極被覆を形成する薄層の積層は、機能多分子被覆であってもよく、特に機能二分子層であってもよい。
【0098】
銀を主成分とする機能層と表面層との間で、電極は、前記保護層を任意に含む金属酸化物を主成分とする分離層、前記平滑層、第2の接触層(特に、接触層と類似であるか、または前記の材料から少なくともすべて構成される)、銀を主成分とする第2の機能層(特に機能層と類似である)および任意の遮断被覆(特に、任意の遮断被覆と類似または前記の材料から最低限構成される)を連続的に含んでもよい。
【0099】
電極は、スパッタリング、任意にマグネトロンスパッタリングなどの真空技術によって行われる堆積動作の連続によって得られてもよい。特に銀を主成分とする各機能金属層の各側面の真下または真上に堆積される「遮断被覆」と呼ばれる1つまたはさらに2つのきわめて薄い被覆、接合、核形成および/または保護被覆として、基体の方向において、機能層の下にある被覆および保護被覆または「犠牲」被覆として機能層の上にある被覆を提供し、その上にある層から酸素の攻撃および/または移動による機能金属層の損傷、またはその上にある層が、酸素の存在下におけるスパッタリングによって堆積される場合の酸素の移動による機能金属層の障害を防止することも可能である。
【0100】
したがって、機能金属層は、少なくとも1つの下にある遮断被覆の真上に配置されてもよく、および/または少なくとも1つの上にある遮断被覆の真下に配置されてもよく、各被覆は、好ましくは0.5から5nmの厚さを有する。
【0101】
本発明の文脈の中で、層または被覆(1つまたは複数の層を含む)の堆積が、別の堆積物の真下または真上に形成されると明記されている場合には、これらの2つの堆積物の間に任意の層が介在しない可能性がある。
【0102】
少なくとも1つの遮断被覆は好ましくは、以下の金属、すなわち、Ti、V、Mn、Fe、Co、Cu、Zn、Zr、Hf、Al、Nb、Ni、Cr、Mo、Ta、Wの少なくとも1つを主成分とするか、または前記材料の少なくとも1つの合金を主成分とする金属層、金属窒化物層および/または金属酸化物層を含む。
【0103】
例えば、遮断被覆は、ニオブ、タンタル、チタン、クロムまたはニッケルまたは前記金属の少なくとも2つから形成される合金、例えば、ニッケル−クロム合金などを主成分とする層からなってもよい。
【0104】
薄い遮断層は、保護層またはさらに「犠牲」層を形成し、特に以下の構成の1つまたは複数において、機能金属層の金属の損傷を防止する、
機能層の上にある層が、反応性(酸素、窒素など)プラズマを用いて堆積される場合、例えば、機能層の上にある酸化物層が、スパッタリングによって堆積される場合、
機能層の上にある層の組成が、工業的作製中に変化しやすい(対象の摩耗タイプなどの堆積条件における変動)場合、特に、酸化物および/または窒化物のタイプの化学量論が変化し、その結果、機能層の品質を改変し、その結果、電極の特性(表面抵抗、光の透過など)を変化させる場合、および
電極被覆が、堆積後に熱処理を受ける場合。
【0105】
この保護層または犠牲層が、電極の電気特性および光学特性の再現性を著しく改善する。これは、電極の特性における小さな散乱のみが許容可能である工業用途にとってきわめて重要である。
【0106】
ニオブNb、タンタルTa、チタンTi、クロムCrまたはニッケルNiから選択される金属を主成分とするか、またはこれらの金属のうちの少なくとも2つから形成される合金、特にニオブ/タンタル(Nb/Ta)合金、ニオブ/クロム(Nb/Cr)合金またはタンタル/クロム(Ta/Cr)合金またはニッケル/クロム(Ni/Cr)合金を主成分とする薄い遮断層が、特に好ましい。少なくとも1つの金属を主成分とするこの種の層は、特に強いゲッタリング効果を有する。
【0107】
薄い金属遮断層は、機能層を損傷することなく容易に作製され得る。この金属層は好ましくは、希ガス(He、Ne、Xe、Ar、Kr)からなる不活性大気において(すなわち、酸素または窒素が意図的に導入されていない大気中で)堆積されてもよい。この金属層に関して、金属酸化物を主成分とする層の次の堆積中に、表面上で酸化されることは考慮されることもなく、問題にもならない。
【0108】
そのような薄い金属遮断層はまた、良好な機械的挙動(特に、耐摩耗性および耐引っ掻き性)も提供する。これは、特に、熱処理を受け、したがって、この処理中に酸素または窒素の実質的な拡散を受ける積層に関して当てはまる。
【0109】
しかし、金属遮断層の使用に関して、透明な電極に関する十分な光透過を保持するために、金属層の厚さを制限し、したがって、光吸収を制限することが必要である。
【0110】
薄い遮断層は、部分的に酸化されてもよい。この層は、非金属の形態で堆積され、したがって、化学量論的な形態で堆積されるのではなく、Mが材料を表し、xが材料の酸化物の化学量論に関する数より小さい数であるMOタイプか、または2つの材料MおよびN(または3つ以上の材料)の酸化物の場合にはMNOタイプの半化学量論的な形態で堆積される。例えば、TiOおよびNiCrOが挙げられてもよい。
【0111】
好ましくは、酸化物の化学量論に関して、xは正常数の0.75倍から0.99倍である。一酸化物の場合には、xは、特に0.5から0.98であるように選択され、二酸化物の場合にはxは、1.5から1.98であってもよい。
【0112】
1つの特別な変形例において、薄い遮断層は、TiOを主成分としており、xは特に、1.5≦x≦1.98または1.5<x<1.7、またはさらに1.7≦x≦1.95であってもよい。
【0113】
薄い遮断層は、部分的に窒化されてもよい。したがって、この層は、化学量論的な形態で堆積されるのではなく、Mが材料を表し、yが、材料の窒化物の化学量論に関する数より小さい数であるMNタイプの半化学量論的な形態で堆積される。yは、窒化物の正常な化学量論の0.75倍から0.99倍であることが好ましい。
【0114】
同様に、薄い遮断層はまた、部分的に酸窒化されてもよい。
【0115】
この薄い酸化遮断層および/または窒化遮断層は、機能層を損傷することなく、容易に作製され得る。好ましくは希ガス(He、Ne、Xe、Ar、Kr)からなる非酸化大気においてセラミックターゲットを用いて堆積されることが好ましい。
【0116】
電極の電気特性および光学特性の再現性をさらに増大するために、薄い遮断層は好ましくは、半化学量論的窒化物および/または半化学量論酸化物から構成されてもよい。
【0117】
選択された薄い半化学量論酸化物遮断層および/または薄い半化学量論的窒化物遮断層は、好ましくは、以下の金属、すなわち、Ti、V、Mn、Fe、Co、Cu、Zn、Zr、Hf、Al、Nb、Ni、Cr、Mo、Ta、Wの少なくとも1つから選択される金属を主成分とするか、またはこれらの材料の少なくとも1つを主成分とする半化学量論的合金の酸化物を主成分としてもよい。
【0118】
ニオブNb、タンタルTa、チタンTi、クロムCrまたはニッケルNiから選択される金属の酸化物または酸窒化物を主成分とするか、またはこれらの金属のうちの少なくとも2つから形成される合金、特にニオブ/タンタル(Nb/Ta)合金、ニオブ/クロム(Nb/Cr)合金、タンタル/クロム(Ta/Cr)合金またはニッケル/クロム(Ni/Cr)合金を主成分とする層が、特に好ましい。
【0119】
半化学量論的金属窒化物として、シリコン窒化物SiNまたはアルミニウム窒化物AlNまたはクロム窒化物CrN、またはチタン窒化物TiNまたはNiCrNなどの複数の金属の窒化物から構成される層を選択することも可能である。
【0120】
薄い遮断層は、酸化勾配を有してもよく、例えば、xが変化するM(N)Oxiを有してもよい。機能層と接触している遮断層の一部分は、特定の堆積大気を用いて機能層から最も遠いこの層の一部分ほど酸化されない。
【0121】
遮断被覆はまた、多分子層であってもよく、特に、
一方では前記機能層と直に接触している「界面」層を含み、この界面層は、前記したような非化学量論的金属酸化物、窒化物または酸窒化物を主成分とする材料から構成され、
他方では、前記したような金属材料から構成される少なくとも1つの層を含み、この層は、前記「界面」層と直に接触している。
【0122】
界面層は、任意に隣接する金属層に存在する1つまたは複数の金属の酸化物、窒化物または酸窒化物であってもよい。
【0123】
本発明はまた、特にガラスから構成される少なくとも1つの担体層を含み、
前記したような不連続下部電極を含み、したがって、下部電極ゾーンの少なくとも1つの列を形成し、
電極ゾーン上に配置されるエレクトロルミネッセント層ゾーンの形態で、1つまたは複数の有機エレクトロルミネッセント材料から構成される少なくとも1つの不連続層と、
エレクトロルミネッセント層ゾーン上に配置される電極ゾーンの形態で、導電層を有する不連続上部電極と
を含む有機発光デバイスに関する。
【0124】
列の直列接続に関して、エレクトロルミネッセント層ゾーンは、列の方向において下部電極ゾーンからずれており、下部電極ゾーンは、列の方向においてエレクトロルミネッセント層ゾーンからずれている。
【0125】
直列接続において、電流は上部電極ゾーンから隣接する下部電極ゾーンに流れることを想起されたい。
【0126】
下部電極は、この列に対して垂直な方向に沿って、下部電極ゾーンの1つの列を形成してもよく、上部電極およびエレクトロルミネッセント層は、複数の平行な列を形成するために不連続であってもよい。
【0127】
したがって、デバイスは有利には、少なくとも0.5mmだけ離隔された複数の実質的に平行なエレクトロルミネッセント列に組織化されてもよく、各列は、直列に接続され得る。
【0128】
個別の列のエレクトロルミネッセントゾーンの間の距離は、所与の列のゾーンの間の距離より大きくてもよく、好ましくは100μmより大きく、特に100μmから250μmである。
【0129】
したがって、各列は、独立であってもよい。各列におけるゾーンの1つに欠陥がある場合であっても、列全体が動作する。隣接する列は、損傷を受けていない。
【0130】
あるいは、下部電極は、複数の下部電極ゾーン列を含み、エレクトロルミネッセント層および上部電極は、(列の方向に沿ってずれた状態で)これらの列を再現する。
【0131】
種々のタイプの接続が可能である、
エレクトロルミネッセントゾーンのすべての1つの直列接続、
直列接続および並列接続の組み合わせ、
各列に特有の直列接続。
【0132】
好ましい実施形態において、上部電極材料と同一の材料から構成される導電層の形態の電気接続パッドは、下部電極ゾーンの周辺縁と接続状態にあり、任意に下にある絶縁樹脂を覆う。
【0133】
本発明による有機発光デバイスは、電流リードを備えてもよく、または備えなくてもよい。
【0134】
集電器または配電器の一部を形成する2つの連続電流リードバンドまたは不連続電流リードバンドはそれぞれ、好ましくは接続パッドを介して、下部電極ゾーンの周辺縁および上部電極ゾーンの周辺縁と電気的に接触状態にあってもよい。
【0135】
電流リードバンドは好ましくは、0.5から10μmの厚さおよび0.5mmの幅を有してもよく、種々の形態からなってもよい、
以下の金属、すなわち、Mo、Al、Cr、Ndの1つまたはMoCr、AlNdなどの金属の合金から構成される金属単分子層、
MoCr/Al/MoCrなどの以下の金属、すなわち、Mo、Al、Cr、Ndから形成される金属多分子層、
好ましくは、例えば、銀およびスクリーン印刷を含む伝導性エナメルから構成され、
好ましくは、伝導材料または伝導粒子を充填した材料から構成され、例えば、InkTec Nano Silver Paste InksのインクTEC PA 030(TM)などの銀インクがインクジェット印刷によって堆積され、
金属、例えば、銀をドープするかどうかに関係なく、伝導性ポリマーから構成される。
【0136】
例えば、Ag、Al、Pd、Cu、Pd、Pt、In、Mo、Auから構成されるTCC(透明伝導性被覆)と呼ばれ、所望の光の透過/反射に応じて、5から50nmの厚さを通常有する薄い金属層を用いることもまた、可能である。
【0137】
上部電極は、金属酸化物、特に以下の材料、すなわち、ドープ亜鉛酸化物、特にアルミニウムドープ亜鉛酸化物ZnO:Alまたはガリウムドープ亜鉛酸化物ZnO:Gaまたは他のドープインジウム酸化物、特にスズドープインジウム酸化物(ITO)または亜鉛ドープインジウム酸化物(IZO)から有利に選択される導電層であってもよい。
【0138】
さらに一般的には、例えば、20から1000nmの厚さを有する任意のタイプの透明導電層、例えば、TCO(透明導電性酸化物)層を用いることが可能である。
【0139】
OLEDデバイスは、単色光、特に青色光および/または緑色光および/または赤色光を生成してもよく、または白色光を生成するように構成されてもよい。
【0140】
白色光を生成するために、複数の方法が可能である。単一層における配色の混合(赤色放射、緑色放射、青色放射)、3つの有機構造(赤色放射、緑色放射、青色放射)または2つの有機構造(黄色および青色)の電極の面における積層、電極の面における有機構造に隣接する3つの有機構造(赤色放射、緑色放射、青色放射)の直列であり、1つの色に1つの有機構造が割り当てられ、適切な蛍光体層の他の面に割り当てられる。
【0141】
OLEDデバイスは、各系が白色光を発する複数の隣接する有機発光系を含んでもよく、または一連の3つの系が、赤色光、緑色光および青色光を発し、系は例えば直列に接続される。
【0142】
各列は、例えば、所与の色に発せられてもよい。
【0143】
デバイスは、複数の板ガラスユニット、特に真空板ガラスユニットの一部を形成してもよく、または空気層または別の気体の層を有する板ガラスユニットを形成してもよい。デバイスはまた、モノリシック構造であってもよく、さらにコンパクトおよび/またはさらに軽量にするために、モノリシック板ガラスユニットを含んでもよい。
【0144】
OLED系は、積層中間層、特にさらに透明な中間層を用いて、カバーと呼ばれ、ガラスなどの透明であることが好ましい別の平坦な基体に接合されてもよく、または別の平坦な基体に積層されてもよい。
【0145】
積層形板ガラスユニットは普通、2つの剛性基体からなり、それらの剛性基体の間に、熱可塑性ポリマーシートまたはそのようなシートの重ね合わせが配置される。本発明はまた、特に、ガラスタイプの剛性担体基体を用いたいわゆる「非対称」積層形板ガラスユニットと、被覆用基体として、1つまたは複数の保護ポリマーシートとを含む。
【0146】
本発明はまた、エラストマータイプの片面接着ポリマーまたは両面接着ポリマー(すなわち、用語の慣例的な意味において積層動作を必要としないもの、すなわち、積層は、熱可塑性中間層シートを軟化して接着させるために、一般的に加圧下で加熱を必要とする)を主成分とする少なくとも1つの中間層シートを有する積層形板ガラスユニットを含む。
【0147】
この構成において、カバーを担体基体に固定するための手段はこのとき、積層中間層、特に、例えば、ポリウレタン(PU)、ポリビニルブチラール(PVB)またはエチレン/ビニルアセテート(EVA)などの熱可塑性シート、または熱硬化可能な1成分または多成分樹脂(エポキシ、PU)または紫外硬化可能な1成分または多成分樹脂(エポキシ、アクリル樹脂)であってもよい。好ましくは、シートは、カバーおよび基体と実質的に同一の寸法を有する。
【0148】
積層中間層は、特に例えば、0.5mより大きい領域の大きなデバイスの場合には、カバーが屈曲しないようにすることができる。
【0149】
特に、EVAは、多くの利点を提供する、
EVAは、容量に水をほとんどまたは全く含まない、
EVAは、処理するために高圧を必ずしも必要としない。
【0150】
熱可塑性積層中間層は、実装しやすく、かつ廉価であり、さらに不浸透性である場合もあるために、注型樹脂から構成されるカバーに好まれる場合がある。
【0151】
中間層は任意に、上部電極に面するその内面に設置された導電性ワイヤセットのアレイおよび/またはカバーの内面上に導電層または導電性バンドを含む。
【0152】
OLED系は好ましくは、特に不活性ガス(例えば、アルゴン)層を用いて、二重板ガラスユニットの内側に配置されてもよい。
【0153】
さらに、本発明による電極を保持する基体に対向する面または別の基体に所与の機能性を有する被覆を加えることが有利である場合もある。これは、防曇層(親水性層を用いる)、防汚層(アナターゼ形態で少なくとも部分的に結晶化されたTiOを含む光触媒被覆)、あるいは、例えば、Si/SiO/Si/SiOタイプの反射防止被覆、あるいは例えば、チタン酸化物(TiO)の層などのUVフィルタであってもよい。また、1つまたは複数の蛍光体層、ミラー層または少なくとも1つの散乱光抽出層であってもよい。
【0154】
本発明はまた、これらのOLEDデバイスが入れられ、前記デバイスが屋外用途および室内用途の両方に関して配置される透明であるかおよび/または反射(ミラー機能)する1つまたは複数の発光表面を形成する、種々の用途に関する。
【0155】
デバイスは、別法としてまたは組み合わせて、照明、装飾、建築などのシステムまたは表示ディスプレイパネル、例えば、図面、ロゴまたは英数字表示タイプ、特に非常脱出口パネルを形成してもよい。
【0156】
OLEDデバイスは、特に均質な照明のために均一な光を生成するため、または同一強度または異なる強度の種々の発光ゾーンを生成するために配置されてもよい。
【0157】
逆に言えば、区別される照明が求められてもよい。有機発光系(OLED)は、直接光ゾーンを生成し、別の発光ゾーンが、基体の厚さにおける全反射によって案内されるOLED放射の抽出によって得られ、この発光ゾーンは、ガラスから構成されるように選択される。
【0158】
この他の発光ゾーンを形成するために、抽出ゾーンは、OLED系に隣接してもよく、または基体とは別の側面にあってもよい。1つまたは複数の抽出ゾーンは、特に建築用照明のために、例えば、直接光ゾーンによって提供される照明を増大するために機能してもよく、または照明パネルを表示するために機能してもよい。1つまたは複数の抽出ゾーンは、1つまたは複数の特に均一な光のバンドの形態であることが好ましく、これらは、面の一方の周囲に配置されることが好ましい。これらのバンドは例えば、強い照明フレームを形成してもよい。
【0159】
抽出は、抽出ゾーンに配置される以下の手段、すなわち、好ましくは鉱物粒子を主成分とし、鉱物系結合剤を有する光拡散層、光拡散するように作製された基体、特にテクスチャを有する基体または粗い基体の少なくとも1つによって実現される。
【0160】
2つの主面はそれぞれ、直接光ゾーンを有する。
【0161】
OLED系の電極および有機構造は、透明であるように選択され、照明ウィンドウが特に作製されてもよい。部屋の照明における改善はこのとき、光透過の不利益を被らない。特に、照明ウィンドウの外側における光反射もまた制限することによって、例えば、建物の壁における防眩規格を強制的に満たすように反射のレベルを制御することも可能である。
【0162】
さらに広義には、デバイス、特に部分的または完全に透明なデバイスは、
外部発光板ガラス、室内発光隔壁または発光板ガラス付き扉(または扉の一部)、特にスライディングドアなどの建物用でもよく、
発光屋根、発光横窓(または窓の一部)、地上輸送手段、水上輸送手段または航空輸送手段(自動車、大型トラック、列車、飛行機、ボートなど)の内部発光隔壁などの輸送手段用でもよく、
バス待合所パネル、ディスプレイカウンタの壁、宝飾品ディスプレイまたはショーウィンドウ、温室の壁または照明タイルなどの都市の備品または専門備品用でもよく、
屋内備品、棚または飾り戸棚の要素、飾り戸棚の外観、照明タイル、天井、光る冷蔵庫の棚、水槽の壁用でもよく、
電子機器のバックライト用、特に、テレビまたはコンピュータスクリーンなどの任意にはダブルスクリーンであるディスプレイスクリーン、タッチセンサースクリーン用などでもよい。
【0163】
例えば、種々のサイズの両面スクリーン用のバックライトを想定することが可能であり、小型スクリーンは好ましくは、集光するためにフレネルレンズに関連付けられる。
【0164】
照明ミラーを形成するために、直接光ゾーンにおける一面のみの優先照明が望ましい場合には、電極の1つは、反射性であってもよく、またはミラーは、OLED系に対向する面上に配置されてもよい。
【0165】
また、ミラーであってもよい。照明パネルは、浴室の壁または台所の調理台、場合によっては天井を照らすために機能してもよい。
【0166】
OLEDは一般的に、用いられる有機材料に応じて2つの大ざっばなグループに分けられる。
【0167】
エレクトロルミネッセント層が、小分子から形成される場合には、デバイスは、SM−OLED(小分子有機発光ダイオード)と呼ばれる。薄層の有機エレクトロルミネッセント材料は、蒸着分子、例えば、錯体AlQ(トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム)、DPVBi(4,4’−(ジフェニルビニレン)ビフェニル)、DMQA(ジメチルキナクリドン)またはDCM(4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(4−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン)などからなる。放射層はまた、例えば、Ir(ppy)(fac−トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム)をドープしたTCTA(4,4’,4”−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン)の層であってもよい。
【0168】
一般に、SM−OLEDの構造は、HIL(正孔注入層)およびHTL(正孔輸送層)、放射層およびETL(電子輸送層)の積層からなる。
【0169】
正孔注入層の実施例は、銅フタロシアニン(CuPC)であり、正孔輸送層は例えば、N,N’−ビス(ナフス−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)ベンジジン(アルファ−NPB)であってもよい。
【0170】
電子輸送層は、AlQ(トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム)またはBPhen(バソフェナントロリン)から構成されてもよい。
【0171】
上部層は、Mg/Al層またはLiF/Al層であってもよい。
【0172】
有機発光積層の実施例は、例えば、米国特許第6645645号明細書に記載されている。
【0173】
有機エレクトロルミネッセント層がポリマーである場合には、デバイスは、PLED(ポリマー発光ダイオード)と呼ばれる。
【0174】
薄層の有機エレクトロルミネッセント材料は、例えば、ポリ(パラ−フェニレンビニレン)の略称であるPPV、PPP(ポリ(パラ−フェニレン))、DO−PPP(ポリ(2−デシルオキシ−1,4−フェニレン)、MEH−PPV(ポリ[2−(2’−エチルヘキシルオキシ)−5−メトキシ−1,4−フェニレンビニレン])、CN−PPV(ポリ[2,5−ビス(ヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン−(1−シアノビニレン)])またはPDAF(ポリジアルキルフルオレン)などのCESポリマー(PLED)からなり、ポリマー層はまた、例えばPEDT/PSS(ポリ(3,4−エチレン−ジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホン酸))からなる正孔注入を促進する層(HIL)に関連付けられている。
【0175】
PLEDの一実施例は、以下の積層、すなわち、
ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)でドープした厚さ50nmのポリ(2,4−エチレンジオキシチオフェン)の層と、
厚さ50nmのフェニルポリ(p−フェニレンビニレン)Ph−PPVの層と
からなる。
【0176】
上部電極は、Caの層であってもよい。
【0177】
本発明はまた、前記で定義したような不連続な下部電極を作製するためのプロセスに関し、
1つまたは複数の平行列として下部電極ゾーンを形成するためのフォトリソグラフィを用いないエッチングステップと、
電極ゾーンの間を充填し、スクリーン印刷および/またはインクジェット印刷される絶縁樹脂(ポリマー有機材料が好ましい)を用いて、電極ゾーンの縁を越えて延在するステップと
を含む。
【0178】
このプロセスは、高速かつ廉価であり、信頼性が高い。
【0179】
フォトリソグラフィを用いないエッチングステップは、
レーザエッチングまたはアンダマスキングと、
および/または酸エッチングペースト、例えば、Merckによって販売されているインクHiperEtch(TM)04S isishape(TM)を用いた化学スクリーン印刷と
を含んでもよい(または、それらからなってもよい)。
【0180】
最小距離が、150nm以上である場合には、レーザアブレーションエッチングが用いられることが好ましい場合がある。エッチング対象のゾーンが100μmより大きい場合には、スクリーン印刷によるアンダマスキングが好ましい。エッチング対象のゾーンが100μmより狭い場合には、インクジェット印刷を用いたアンダマスキングが好ましい。
【0181】
プロセスはまた、既に示したように、例えば、スクリーン印刷またはインクジェット印刷によって、1つまたは複数の電流リードバンドを作製するステップを含んでもよい。
【0182】
本発明はまた、有機発光デバイスの処理であって、
前記で定義したように、1つまたは複数の平行な列として前記不連続下部電極を形成するステップと、
線で組織化されるアレイの形態において、マスク上に1つまたは複数のエレクトロルミネッセント材料、例えば、第1および第2の交差方向に沿って、アルミニウム材料または強誘電性材料(クロム、ニッケルなど)などの金属を堆積することによって、エレクトロルミネッセントゾーンを形成するステップであって、第2の方向に沿った線の方が太いステップとを含む処理に関する。
【0183】
このマスクは、例えば、金属シートから構成されてもよく、例えば、電気グラビア印刷によって作製される。
【0184】
太い線は、列内距離を作成すること用の細い線の剛性を増大する。これは、位置合わせを容易にし、短絡の危険性を制限する。
【0185】
有利には、上部電極ゾーンを形成するステップ中、プロセスは、1つまたは複数の上部電極材料の堆積による個別の列の周辺下部電極ゾーンにおける電気接続パッドの形成を含んでもよい。
【0186】
ここで、本発明は、非限定的な実施例および図面によってさらに詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0187】
図1】本発明による下部電極を含む有機発光デバイスの概略断面図である。
図2図1のデバイスの概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0188】
簡単のため、示された物体の種々の要素(角度を含む)は、一定の縮尺で描かれていないことに言及すべきである。
【0189】
図1は、意図的にきわめて概略的であり、有機発光デバイス10の断面(基体または「下部放射」デバイスを通る放射を伴う)を示す。図2は、デバイス10の概略上面図を示す。
【0190】
有機発光デバイス10は、その主面の一方に設けられた厚さ0.7mmの平坦で透明であるか、またはさらに透明なソーダ石灰シリカガラス基体1を含み、連続的に、
層厚が50から100nmの多分子層下部電極2aから2”cを有し、方向Xに沿って3つの平行な列の形態である不連続な電極はそれぞれ、例えば、3cm×3cmを示す四角形などの幾何的なパターンにおいて、3つの電極ゾーン2aから2c、2’aから2’c、2”aから2”cを有し、所与の列の隣接する下部電極ゾーンの間の(Xに沿った)距離d1は、約150μmであり、個別の列の隣接する下部電極ゾーンの間の(Yに沿った)距離d’1は、例えば、d1と同一であり、約150μmであり、これらの間隔は好ましくは、均質な電極をレーザエッチングすることによって得られ、
厚さ100nmの有機発光系4aから4”cを有し、方向Xに沿って3つの平行な列の形態で不連続である、不連続な系はそれぞれ、約3cm×3cmを示す四角形の形態において(またはさらにエッジ効果を例えば、10から20μm以上に制限するために、Yに沿って)、3つのエレクトロルミネッセント層ゾーン4aから4c、4’aから4’c、4”aから4”cを有し、十分な充填率のために所与の列の隣接するエレクトロルミネッセント層ゾーンの間の(Xに沿った)距離d2は、50μm未満、例えば、約25μmであり、
厚さ200nmの不連続反射上部電極5aから5cを含み、方向Xに沿って3つの平行な列の形態である不連続反射上部電極はそれぞれ、約3cm×3cmを示す四角形の形態において、3つの上部電極ゾーン5aから5c、5’aから5’c、5”aから5”cを有し、十分な充填率のために所与の列の隣接する上部電極ゾーンの間の(Xに沿った)距離d3は、50μm未満、例えば、約25μmである。
【0191】
下部電極ゾーン2aから2”cの間の間隔および下部電極ゾーン2aから2”cの縁は、厚さ数ミクロンのアクリル系ポリアミド樹脂などの絶縁樹脂3によって不動態化され、(所与の列の中で)Xに沿って幅L1および(2つの個別の列の間で)Yに沿ってL’1は、それぞれd1およびd’1以上であり、例えば、約250μmであり、樹脂は、スクリーン印刷によって堆積される。
【0192】
異なる列の隣接するエレクトロルミネッセント層ゾーン間の(Yに沿った)距離d’2は、L’1以下であり、例えば、100μmから250μmである。
【0193】
個別の列の隣接する上部電極ゾーン間の(Yに沿った)距離d’3は、L’1以下であり、例えば、100μmから200μmである。
【0194】
各列は、直列に接続される。さらに、エレクトロルミネッセントの四角形4aから4c、4’aから4’c、4”aから4”cは、下部電極の四角形2aから2c、2’aから2’c、2”aから2”cに対して、Xに沿って25から60μmだけずれており、上部電極の四角形5aから5c、5’aから5’c、5”aから5”cは、エレクトロルミネッセントの四角形4aから4c、4’aから4’c、4”aから4”cに対してXに沿って25から60μmだけずれている。したがって、電流は、上部電極ゾーンから隣接する下部電極ゾーンに、5aから2bに、5bから2cに流れる。
【0195】
エレクトロルミネッセントの四角形を生成する簡単かつ信頼性の高い方法は、特に、ガラス1の四隅上の基準マークの助けによって、下部電極上に第1および第2の垂直線の形態である金属マスクを配置することにある。第1の線は、細く、50μm未満の幅(d2を与える)、例えば、約25μmの幅であり、不動態化された縁の付近でYに平行に位置決めされる。
【0196】
第2の線は、100μmから250μmの幅(d’2を与える)でより太く、Xに平行に位置決めされる。これらの太い線は、第1の線を強化してまっすぐにし、したがって、所与の列のエレクトロルミネッセントゾーンの間の間隔が、鋭く画定された直線である。
【0197】
上部電極の四角形を生成する1つの簡単かつ信頼性の高い方法は、既に用いられたマスクを配置することにあるが、エレクトロルミネッセントの四角形の上にXに沿って25から60μmだけずらすことにある。
【0198】
この実施例において、充填率は、約0.98である。この照射用四角形の任意の縁の明るさに対する各照射用四角形の中心における明るさの比(Cd/m単位で測定される)は、約0.8である。デバイス10の明るさは、少なくとも1000Cd/mであってもよい。
【0199】
デバイスには、低電圧、例えば、24Vまたは12V(自動車用途など)が供給され、電流は、約50mAであり、所与の範囲内でほとんど変動しない。
【0200】
ガラス1の一方の側面上で、周辺下部電極の縁2a、2’a、2”aは、エレクトロルミネッセントの四角形によって覆われておらず、例えば、Xに沿って1cm程度およびYに沿って約3cmの幅で、電気接続バンド5aから5dと接続状態にある。これらの接続バンド5aから5dは、特に同一の材料から構成される上部電極と同時に作製されてもよい。
【0201】
直列接続および並列接続に関して、
第1の電流リードバンド61は、0.5から10μmの厚さが好ましく、例えば、5μmの厚さであり、Xに沿って5cmの厚さであり、例えば、以下の金属、すなわち、Mo、Al、Cr、NdまたはMoCr、AlNdなどの合金またはMoCr/Al/MoCrなどの多分子層のうちの1つから構成される金属層の形態であり、これらの接続バンド5aから5d上に形成され、
ガラスの他方の側面上で、第2の類似の電流リードバンド62は、上部電極ゾーン5c、5’c、5”cの周辺縁上に形成される。
【0202】
これらの直列接続および並列接続に関して、d’1は、ゼロであってもよい。
【0203】
すべての列の直列接続に関して、第1の電流リードバンド61は、2aと2’aとの間で不連続であり、第2の電流リードバンド62は、5’cと5”cとの間で不連続である。
【0204】
各列に特有の直列接続に関して、第1の電流リードバンド61は、2aと2’aとの間および2’aと2”aとの間で不連続であり、第2の電流リードバンド62は、5cと5’cとの間および5’cと5”cとの間で不連続である。
【0205】
透明であるように選択される不連続下部電極2aから2”cは、以下のタイプの多分子層の積層を含み、すなわち、
ドープまたは非ドープのZnO、SnZn、ITOまたはIZOから選択される接着接触層と、
好ましくは純銀から構成される機能層と、
ZnO、SnZn、ITOまたはIZOから選択される保護層、接触層および同一の性質からなる水および/または酸素に対して保護するための層と、
仕事関数整合表面層とを含み、すなわち、好ましくは、ZnO:Alに関して5から20nm、銀に関して5から15nm、ZnO:Alに関して5から20nm、ITOに関して5から20nmの厚さに対する積層ZnO:Al/Ag/ZnO:Al/ITOを含む。
【0206】
下部電極2aから2”cは、以下の特性、すなわち、
5Ω/□以下の表面抵抗率と、
(構造化する前の完全な層で測定される)70%以上の光透過率Tと、20%以下の光反射率Rと、
原子間力顕微鏡によって平方ミクロン上で光干渉法によって測定された3nm以下のRMS粗度(またはR)と
を有する。
【0207】
厚さ10nmから80nmのシリコン窒化物基部層は、下部電極2aから2”cと基体1との間であってもよい。
【0208】
Si4 20nm/ZnO:Al20nm/Ag12nm/ZnO:Al40nm/ITO20nm積層の場合には、75%のT、15%のR、4.5Ω/□の表面抵抗率および1.2nmのRMS粗度が、得られる。
【0209】
Si4 20nm/SnZnSb:Ox5nm/ZnO:Al5nm/Ag12nm/Ti1nm/ZnO:Al20nm/ITO20nm積層の場合には、85%のT、8%のR、3.3Ω/□の表面抵抗率および0.7nmのRMS粗度が、得られる。
【0210】
Si 20nm/SnZnSb:Ox5nm/ZnO:Al5nm/Ag12nm/Ti0.5nm/ITO20nm積層の場合には、65%のT、29%のR、3.3Ω/□の表面抵抗率および0.7nmのRMS粗度が、得られる。
【0211】
SnZn:SbOを主成分とする層は、重量で、Sn65%、Zn34%およびSb1%を含むアンチモンドープスズおよび亜鉛ターゲットを用いて、0.2Paの圧力下でアルゴン/酸素大気において、反応性スパッタリングによって堆積される。
【0212】
Ti層は、純粋なアルゴン大気において0.8Paの圧力下で、チタンターゲットを用いて堆積される。
【0213】
下部電極2aから2”cは、変形例として半透明電極であってもよい。Si 20nm/ZnO:Al20nm/Ag30nm/ZnO:Al40nm/ITO20nm積層の場合には、16%のT、81%のRおよび0.9Ω/□の表面抵抗率が、得られる。
【0214】
不連続有機発光系4aから4”cは、例えば、以下の構造、すなわち、
アルファ−NPDの層と、
TCTA+Ir(ppy)の層と、
BPhenの層と、
LiFの層と
からなるSM−OLEDである。
【0215】
不連続反射上部電極5aから5cは、特に金属であってもよく、特に銀またはアルミニウムを主成分としてもよい。
【0216】
層2、4および5はすべて、周辺温度でマグネトロンスパッタリングによって堆積された。
【0217】
EVAシートは、ガラス1を好ましくはガラス1と同一の特性を有する別のガラスに積層するために用いられてもよい。任意に、EVAシートに向かうガラスのその面は、所与の機能性の積層を備える。
【0218】
実施例に記載された有機発光系以外の有機発光系を用いる場合には、本発明は同様の態様で適用することは言うまでもない。
図1
図2